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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】化粧シートの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/07 20060101AFI20240725BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240725BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20240725BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20240725BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240725BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240725BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E04F13/07 E
E04F13/08 101K
E04F15/00 601B
C09J5/06
C09J175/04
C09D5/00 D
C09D201/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020055023
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155948
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000103541
【氏名又は名称】オート化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 文
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-129019(JP,A)
【文献】特開2009-018452(JP,A)
【文献】特開2002-321328(JP,A)
【文献】特開2009-068327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/07
E04F 13/08
E04F 15/00
C09J 5/06
C09J 175/04
C09D 5/00
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材上に、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する塗布工程と、
前記下地材上に塗布された前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の含水率が5質量%以下になるまで前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を乾燥させて水系接着剤組成物層を形成する乾燥工程と、
前記水系接着剤組成物層の上に化粧シートの裏面を対向させて積層させ、積層体を形成する積層工程と、
前記積層体に加熱処理を施して、前記化粧シートを下地材上に接着する接着工程と、
を含み、
前記化粧シートの軟化点が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高く、前記加熱処理の温度が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ前記化粧シートの軟化点未満であ前記加熱処理を、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも20℃以上高い温度、且つ前記化粧シートの軟化点よりも10℃以上低い温度の範囲で行う、化粧シートの施工方法。
【請求項2】
前記化粧シートの軟化点が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも50℃以上高い請求項1に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項3】
前記ポリウレタンの軟化点が、50℃以上170℃以下である請求項1または2に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項4】
前記化粧シートの軟化点が、160℃以上220℃以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項5】
前記下地材上に、プライマーを塗布した後に、前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する請求項1乃至のいずれか1項に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項6】
前記化粧シートの基材が、ポリ塩化ビニル樹脂層を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項7】
前記下地材が、建築物の窯業系外装材である請求項1乃至のいずれか1項に記載の化粧シートの施工方法。
【請求項8】
前記下地材上の全面に、前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する請求項1乃至のいずれか1項に記載の化粧シートの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を用いて、建築物の外装や内装の下地材に化粧シートを貼設する、化粧シートの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂等を用いた化粧シートは安価でありながら、耐薬品性、耐水性が良好であり、また成形性に優れていることから、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材として汎用されている。化粧シートは、建築物の外装や内装の下地材に、建築物の意匠性を向上させるために貼設する。
【0003】
化粧シートは、例えば、表層側から、トップコート層、透明樹脂層、接着剤層、インキ層及びプライマー層が積層された、接着剤層を備えた積層構造のものが使用されることがある。接着剤層を備えた化粧シートは、下地材に対して接着剤層を介して接着して用いられる(特許文献1)。
【0004】
しかし、接着剤層を備えた化粧シートは、建築物のリホーム等にあたり化粧シートを取り替える際に、建築物の下地材に接着跡や傷がついてしまう等、下地材が損なわれてしまうおそれがあった。従って、化粧シートを取り替える際には、作業者は、慎重な作業が要求され、作業効率に改善の必要性があった。
【0005】
また、有機溶媒にウレタン系樹脂等を分散させたホットメルト接着剤を用いて建築物の下地材に化粧シートを貼設することがある。作業現場で下地材にホットメルト接着剤を塗布し、化粧シートを下地材の所定の位置に位置合わせして、化粧シート表面からホットメルト接着剤を加熱処理することで、下地材に化粧シートを貼設する。しかし、有機溶媒分散型のホットメルト接着剤は、貼設作業時に有機溶媒が揮発するので、作業安全性及び環境負荷の点で問題があった。また、有機溶媒分散型のホットメルト接着剤は、有機溶媒を十分に揮発させる必要があるので、加熱処理時に化粧シートが熱損傷を受け、シワ等の外観不良が生じる場合があるという問題があった。
【0006】
また、作業安全性及び環境負荷の低減のために、水系接着剤組成物を下地材に塗布して下地材に化粧シートを貼設することがある。しかし、水系接着剤組成物では、接着強度に改善の余地があった。また、水系接着剤組成物では、下地材から化粧シートの一部が剥がれてしまう膨れという現象が生じて、やはり、外観不良が生じる場合があるという問題があった。また、接着剤組成物の水分が揮発したり下地材に吸収されて接着剤組成物が固化する前に化粧シートを貼設しなければならず、出隅・入隅等の複雑な形状の下地への貼設には熟練を要したり、大面積の下地に化粧シートを貼設するには一度に接着剤組成物を塗布することができない等の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-37276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、化粧シートを貼設または取り替える際に、簡易な作業にて下地材が損なわれてしまうことを防止でき、また、接着強度と外観に優れ、さらに、作業安全性を有し、環境負荷を低減できるとともに、化粧シートの位置合わせが容易にでき化粧シートの貼設に熟練を要することの無い化粧シートの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1]下地材上に、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する塗布工程と、
前記下地材上に塗布された前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の含水率が5質量%以下になるまで前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を乾燥させて水系接着剤組成物層を形成する乾燥工程と、
前記水系接着剤組成物層の上に化粧シートの裏面を対向させて積層させ、積層体を形成する積層工程と、
前記前記積層体に加熱処理を施して、前記化粧シートを下地材上に接着する接着工程と、
を含み、
前記化粧シートの軟化点が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高く、前記加熱処理の温度が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ前記化粧シートの軟化点未満である、化粧シートの施工方法。
[2]前記化粧シートの軟化点が、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも50℃以上高い[1]に記載の化粧シートの施工方法。
[3]前記加熱処理を、前記水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも20℃以上高い温度、且つ前記化粧シートの軟化点よりも10℃以上低い温度の範囲で行う[1]または[2]に記載の化粧シートの施工方法。
[4]前記ポリウレタンの軟化点が、50℃以上170℃以下である[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
[5]前記化粧シートの軟化点が、160℃以上220℃以下である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
[6]前記下地材上に、プライマーを塗布した後に、前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
[7]前記化粧シートの基材が、ポリ塩化ビニル樹脂層を含む[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
[8]前記下地材が、建築物の窯業系外装材である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
[9]前記下地材上の全面に、前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の化粧シートの施工方法。
【0010】
上記[1]の態様では、下地材上に水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布した後、化粧シートの表面に加熱処理を施して化粧シートを下地材上に接着するので、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物は、ホットメルト接着剤として使用されている。また、本明細書における「軟化点」とは、熱機械分析装置を用いて空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃~350℃の温度範囲にて、試験対象に透明石英製ピン(先端の直径:0.5mm)を9.8mN圧で針入れすることにより測定した軟化温度を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高いことにより、化粧シートを取り替える際に、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満に加熱することで水系接着剤組成物層が軟化するので、簡易な作業にて下地材が損なわれることなく、化粧シートを剥がすことができる。また、本発明の態様によれば、化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高く、加熱処理の温度が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満であることにより、化粧シートと下地材との間に優れた接着強度を付与しつつ、接着工程時において化粧シートが熱損傷を受けることを防止して優れた外観を維持することができる。
【0012】
また、本発明の態様によれば、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を使用することから、有機溶剤の揮発を回避できるので、作業安全性を有し、環境負荷を低減できる。また、本発明の態様によれば、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を乾燥させて水系接着剤組成物層を形成するので、化粧シートの位置合わせが容易にでき化粧シートの貼設に熟練を要することが無い。
【0013】
また、本発明の態様によれば、化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも50℃以上高いことにより、接着工程の温度管理を容易化できつつ、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持することができる。
【0014】
また、本発明の態様によれば、接着工程の加熱処理を、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも20℃以上高い温度、且つ化粧シートの軟化点よりも10℃以上低い温度の範囲で行うことにより、化粧シートと下地材との間にさらに優れた接着強度を付与しつつ、化粧シートにさらに確実に優れた外観を維持することができる。
【0015】
また、本発明の態様によれば、ポリウレタンの軟化点が50℃以上170℃以下であることにより、夏季等の高温時期でも、水系接着剤組成物層が外気温によって軟化して接着強度が低下することを防止しつつ、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の化粧シートの施工方法についての詳細を説明する。本発明の化粧シートの施工方法は、(a)下地材上に、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する塗布工程と、(b)前記下地材上に塗布された前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の含水率が50質量%以上低減するまで前記水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を乾燥させて水系接着剤組成物層を形成する乾燥工程と、(c)前記水系接着剤組成物層の上に化粧シートの裏面を対向させて積層させる積層工程と、(d)前記化粧シートの表面に加熱処理を施して、前記化粧シートを下地材上に接着する接着工程と、を含む。
【0017】
<(a)塗布工程>
塗布工程では、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を下地材上に塗布して塗膜を形成する。水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物は、化粧シートを接着する領域の全面に均一に塗布することが好ましい。水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の塗膜の厚さは、特に限定されないが、その下限値は、接着強度を確実に付与する点から、0.1mmが好ましく、0.2mmが特に好ましい。一方で、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の塗膜の厚さの上限値は、化粧シートの接着後の外観等の点から、1.5mmが好ましく、1mmが特に好ましい。
【0018】
水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の塗布方法としては、公知の方法はいずれも使用でき、例えば、ロールコーティング、スプレー塗布、刷毛塗り等が挙げられる。
【0019】
水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の塗布対象である下地材としては、床、天井、外壁、内壁等、建築物の外装や内装を挙げることができる。これらのうち、塗布対象である下地材としては、建築物の外装に用いられる窯業系外装材が好ましい。
【0020】
<(b)乾燥工程>
乾燥工程では、下地材上に塗布された水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の塗膜について、含水率が塗布時の含水率と比較して5質量%以下になるまで水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を乾燥させて、下地材上に水系接着剤組成物層を形成する。乾燥工程後の水系接着剤組成物層の含水率は、5質量%以下になっていれば、特に限定されないが、接着強度を確実に付与する点から、3%以下が好ましく、1%以下が特に好ましい。
【0021】
乾燥が十分である場合には、水系接着剤組成物層の表面の粘着性が十分に低減しており、従って、水系接着剤組成物層は、指触乾燥性を有している。
【0022】
上記から、水系接着剤組成物層の表面は、タックが無くなる程度まで乾燥処理がなされていることが好ましい。
【0023】
乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、外気中での外気温における放置、外気中での温風による乾燥等が挙げられる。乾燥後の水系接着剤組成物層において、水分散ポリウレタン由来のポリウレタンは、熱可塑性樹脂である。
【0024】
<(c)積層工程>
積層工程では、乾燥後の水系接着剤組成物層の上に化粧シートの裏面を対向させて、下地材と化粧シートとの積層体を形成する。積層工程は、下地材に化粧シートを貼り合わせる工程である。化粧シートを下地材に貼り合わせる際には、貼り始めの化粧シートの縁端を下地材の所定の位置に合わせ、タッカーで仮止めしてから貼り始めるのが好ましい。また、貼り合わせ作業を進めるにあたり、化粧シートは上部から下部に向けてしわが発生しないよう、張り揃えてタッカーで仮止めしながら行うことが好ましい。
【0025】
下地材に化粧シートの裏面を貼り合わせることで、下地材の外面が、化粧シートの意匠が施された表面によって装飾された状態となる。
【0026】
<(d)接着工程>
接着工程では、積層体に加熱処理を施すことで、化粧シートを下地材上に接着する。本発明では、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物は、ホットメルト接着剤として使用されている。積層体に加熱処理を施すことで、熱可塑性樹脂である水分散ポリウレタン由来のポリウレタン、すなわち、水系接着剤組成物層のポリウレタンが、化粧シートを介して受熱し、軟化する。積層体の加熱方法としては、特に限定されず、例えば、化粧シートの表面を加熱する方法、下地材の表面を加熱する方法、水系接着剤組成物層を加熱する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明では、化粧シートと水系接着剤組成物層のポリウレタンは、化粧シートの軟化点が、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高い関係を有している。さらに、本発明では、加熱処理の温度が、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満の範囲に設定されている。
【0028】
本発明の態様によれば、化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高く、加熱処理の温度が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満であることにより、化粧シートを貼設する際に、化粧シートと下地材との間に優れた接着強度を付与しつつ、接着工程時に化粧シートが熱損傷を受けることを防止して優れた外観を維持することができる。また、本発明の態様によれば、化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高いことにより、化粧シートを取り替える際に、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満に加熱することで水系接着剤組成物層が軟化するので、簡易な作業にて下地材が損なわれることなく、化粧シートを剥がすことができる。
【0029】
また、本発明の態様によれば、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を使用することから、有機溶剤の揮発を回避できるので、作業安全性を有し、環境負荷を低減できる。また、本発明の態様によれば、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物をタックがなくなる程度まで乾燥させることで水系接着剤組成物層を形成するので、化粧シートの下地材上における位置合わせが容易にでき、化粧シートの貼設に熟練を要することが無い。
【0030】
化粧シートの軟化点が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高ければ、化粧シートの軟化点と水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点との関係は、特に限定されない。例えば、接着工程の温度管理を容易化できつつ、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持することができる点から、化粧シートの軟化点が、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも50℃以上高いことが好ましく、70℃以上高いことが特に好ましい。
【0031】
また、加熱処理の温度は、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満の範囲であれば、特に限定されない。例えば、加熱処理の温度は、化粧シートと下地材との間にさらに優れた接着強度を付与しつつ、化粧シートにさらに確実に優れた外観を維持することができる点から、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも20℃以上高い温度、且つ化粧シートの軟化点よりも10℃以上低い温度の範囲が好ましく、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも30℃以上高い温度、且つ化粧シートの軟化点よりも20℃以上低い温度の範囲が特に好ましい。
【0032】
水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点は、化粧シートの軟化点よりも低い温度であれば、特に限定されないが、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点の下限値は、夏季等の高温の季節でも、水系接着剤組成物層が外気温によって軟化して接着強度が低下することを防止する点から、50℃が好ましく、55℃が特に好ましい。一方で、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点の上限値は、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持する点から、170℃が好ましく、150℃が特に好ましい。
【0033】
化粧シートの軟化点は、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点よりも高い温度であれば特に限定されないが、その下限値は、化粧シートの優れた外観を確実に維持する点から、160℃が好ましく、170℃が特に好ましい。一方で、化粧シートの軟化点の上限値は、高いほど好ましいが、例えば、220℃が挙げられる。
【0034】
化粧シートの融点は水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点よりも高く、例えば、接着工程の温度管理を容易化できつつ、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持することができる点から、化粧シートの融点が、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点よりも50℃以上高いことが好ましく、70℃以上高いことが特に好ましい。
【0035】
また、加熱処理の温度は、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点超、且つ化粧シートの融点未満の範囲であり、例えば、化粧シートと下地材との間にさらに優れた接着強度を付与しつつ、化粧シートにさらに確実に優れた外観を維持することができる点から、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点よりも20℃以上高い温度、且つ化粧シートの融点よりも10℃以上低い温度の範囲が好ましく、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点よりも30℃以上高い温度、且つ化粧シートの融点よりも20℃以上低い温度の範囲が特に好ましい。
【0036】
水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点は、化粧シートの融点よりも低い温度であり、例えば、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点の下限値は、夏季等の高温の季節でも、水系接着剤組成物層が外気温によって軟化して接着強度が低下することを防止する点から、45℃が好ましく、50℃が特に好ましい。一方で、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点の上限値は、化粧シートと下地材との間の優れた接着強度と化粧シートの優れた外観を確実に維持する点から、170℃が好ましく、150℃が特に好ましい。
【0037】
化粧シートの融点は、水系接着剤組成物層のポリウレタンの融点よりも高い温度であり、化粧シートの優れた外観を確実に維持する点から、その下限値は、160℃が好ましく、170℃が特に好ましい。一方で、化粧シートの融点の上限値は、高いほど好ましいが、例えば、220℃が挙げられる。なお、本明細書では、「融点」は、JIS K7121-1987に準拠して測定される値である。
【0038】
積層体の加熱方法として化粧シートの表面を加熱する場合には、化粧シート側から所定の圧力と熱を加える方法が挙げられる。具体的には、例えば、加熱ローラ、アイロン等が挙げられる。このうち、化粧シート表面に圧力をかけながら加熱することで、接着強度を確実に向上させる点から、加熱ローラが好ましい。化粧シート表面に圧力をかける際の圧力としては、例えば、50~150g/cmの範囲が挙げられる。
【0039】
次に、上記軟化点を有する水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物及び化粧シートについて、以下に説明する。
【0040】
<水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物>
本発明で使用する水系接着剤組成物は、水分散ポリウレタンを含んでいる。水分散ポリウレタンは、水性ポリウレタンエマルジョンであり、化学構造中に有機ポリイソシアネートと高分子ポリオールを反応させた化学構造を有している。
【0041】
有機ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素に結合している芳香族系ポリイソシアネート、芳香環を有しかつイソシアネート基が脂肪族炭化水素基に結合している芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族炭化水素基のみからなる脂肪族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0042】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリル系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、上記ポリオールの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、「高分子」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000以上である。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/またはメタクリル」を意味する。
【0043】
水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の含水率は、特に限定されないが、例えば、40質量%以上70質量%以下が挙げられる。また、23℃における粘度は、例えば、40mPa・s以上1000mPa・s以下が挙げられる。
【0044】
<化粧シート>
本発明では、化粧シートは、一般に使用されているものであれば、いずれも適用可能である。化粧シートは、基材として、例えば、隠蔽性熱可塑性樹脂層と、絵柄層と、透明熱可塑性樹脂層とを備えている。
【0045】
隠蔽性熱可塑性樹脂層の樹脂系としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンと(メタ)アクリル系のアイオノマー、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらのうち、耐候性の点から、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。また、隠蔽性熱可塑性樹脂層の厚さは、特に限定されないが、化粧絵柄模様等の印刷し易さ、下地材に貼る際の形状保持性、下地材への貼り易さの点から、例えば、20μm以上200μm以下が好ましい。また、隠蔽性熱可塑性樹脂層は、該樹脂層の樹脂系に、適宜、不透明着色剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、金属粉等の不透明顔料を添加または塗工することにより、下層を隠蔽可能な隠蔽性のある着色が施されていることが好ましい。
【0046】
絵柄層の印刷顔料としては、耐候性に優れた有機顔料、無機顔料が好ましい。黄色系顔料としては、アンスラキノン、モノアゾ、ジスアゾ、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラキノン、酸化鉄、及びこれらの混合物、赤色系顔料としては、ジケトピロロピロール、ポリアゾ、モノアゾ、キナクリドン、酸化鉄、及びこれらの混合物、藍色系顔料としては、フタロシアニン、コバルトブルー、黒色系顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄などが挙げられる。
【0047】
透明熱可塑性樹脂層には、例えば、耐候性処方( ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等)を施したアクリル系樹脂またはポリオレフイン系樹脂が用いられる。これらのうち、透明性や光沢などの意匠性の点から、アクリル系樹脂が好ましい。
【0048】
<他の実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物を塗布する塗布工程の前に、予め、下地材上にプライマーを塗布してもよい。下地材上にプライマーを塗布しておくことで、下地材と水系接着剤組成物層との界面剥離を防止でき、下地材と化粧シートの接着強度をさらに向上させることができる。
【0049】
プライマーとしては水性プライマー組成物を挙げることができる。水性プライマー組成物としては、有機イソシアネート化合物(a)と、活性水素含有(メタ)アクリル重合体(b-1)及びアニオン性基を有する活性水素含有化合物(b-2)を含む活性水素含有化合物(b)とを反応させてアニオン性基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(U)を合成し、さらに鎖延長剤(c)を反応させて得られる、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂(A)を含有する水性プライマー組成物を挙げることができる。
【0050】
有機イソシアネート化合物(a)としては、有機ポリイソシアネート化合物、有機モノイソシアネート化合物を挙げることができる。活性水素含有(メタ)アクリル重合体(b-1)としては、水酸基含有(メタ)アクリルポリオールを挙げることができる。アニオン性基を有する活性水素含有化合物(b-2)としては、カルボキシル基を有する活性水素含有化合物およびスルホン基を有する活性水素含有化合物を挙げることができる。鎖延長剤(c)は、その化合物中に活性水素(基)を有する化合物であり、且つウレタンプレポリマー(U)のイソシアネート基と反応(鎖延長)してウレタンプレポリマー(U)を高分子化させるものである。鎖延長剤(c)としては、例えば、エチレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,4-ヘキサメチレンジアミン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン(水和物を含む)、2,5-ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物が挙げられる。
【実施例
【0051】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例の態様に限定されるものではない。
【0052】
<水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物>
水分散ポリウレタンエマルジョンWU-1
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土谷化学工業株式会社製、PTG 2000、数平均分子量2,000)344g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)126g、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.03gを仕込み、80℃で2時間反応した。次いで、この反応液を50℃まで冷却した後、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)23.5g、トリエチルアミン(TEA)17.7g、アセトン194gを加えて3時間反応させた。さらにこの反応液にアセトン216gを加えて30℃まで冷却し、3-アミノプロピルトリエトキシシラン8.5gを加え攪拌し、ヒドラジン一水和物10g、イソプロピルアルコール(IPA)103g、水778gからなる混合液を加えて高速攪拌し、この液よりアセトンとIPAを留去して、水性ポリウレタンエマルジョンWU-1を得た。得られた水性ポリウレタンエマルジョンWU-1は、固形分41質量%、25℃における粘度110mPa・s、平均粒子径78nmであった。
【0053】
上市されている水分散ポリウレタン
・ディスパコールU42(住化コベストロウレタン株式会社製、最低熱活性温度(融点)は80℃~100℃
・ディスパコールU56(住化コベストロウレタン株式会社製、最低熱活性温度(融点)は55℃~65℃
【0054】
<プライマー>
水性プライマーP-1
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ジメチルカーボネート96.1g、アクリルポリオール(ARUFONUH-2041、東亞合成株式会社製、水酸基価120mgKOH/g、数平均分子量1,320、水酸基価と数平均分子量から算出した水酸基数が、1分子中に平均して2.8個)53.5g、ビスフェノールAのオキシプロピレン3付加物(BAP-3G、日本乳化剤株式会社製、水酸基価280mgKOH/g)5.0g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)71.5g、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアヌレート3量体、スミジュールN3300、住化バイエルウレタン社製、イソシアネート基含有量21.8%、NCO当量193)17.9g、反応触媒としてオクチル酸第一錫を0.1g仕込み、発熱に注意しながら70℃まで徐々に加熱し、反応系中のイソシアネート基含有量が10.3質量%以下になるまで反応を行った後、2,2-ジメチロールプロピオン酸18.0g、トリエチルアミン12.9g加えてさらに反応しアニオン性基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液を得た。アニオン性基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液のイソシアネート基含有量は5.0質量%であった。次いで、水546.8g加えてアニオン性基を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを乳化、分散させた後、水253.8gとN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(アミノシランカップリング剤KBM-602、信越シリコーン株式会社製)16.7gとヒドラジン一水和物3.8gとの混合液を加えて30℃で鎖延長反応を行った。さらに、この液よりジメチルカーボネートを留去し、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂を含有する水性プライマー組成物P-1(理論樹脂成分19.8質量%)を得た。
【0055】
<化粧シート>
・bonlex BE(BE-701):タキロンシーアイ株式会社製、軟化点182℃
・RENOPLAS(HSE47516):タキロンシーアイ株式会社製、軟化点204℃
【0056】
<下地材>
大きさ70mm×150mm、厚さ10mmのモルタル板
【0057】
<試験方法>
(1)90度剥離接着強さ
水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物の剥離接着強さは、上記下地材に、上記各化粧シートを用いて、JIS A 5536:2015 6.3.3b)2)に準じて、23℃、50%RH雰囲気下で、必要に応じて水性プライマーP-1を塗布し、30分間養生した後に、WU-1及び上記した上市されている水分散ポリウレタンを塗布し、7日間養生した。その後、200mm×25mmの化粧シートを卓上型テストプレス(SA-302、テスター産業株式会社製)を用いて、下記表1に示す各温度で10秒間、圧力100g/cmにて圧着して試験体を作成し、23℃、50%RH雰囲気下に1日間静置した後に、JIS A 5536:2015 6.3.3e)1)に準じて、90度剥離で行った。接着強さは10.0[N/25mm]以上を合格とした。
【0058】
(2)破壊状況
90度剥離接着強さ試験を行った試験体の破壊状況を、以下の基準で評価した。
AF:化粧シートと接着剤との間の界面剥離
GA:下地材と接着剤との間の界面剥離
F:化粧シートの破壊
なお、上記AF、GA、Fの右側に付した数値は、当該評価の割合を百分率(%)で示したものである。
【0059】
(3)シート表面
化粧シートの表面状態を目視にて観察し、若干シワ以上を合格とした。
【0060】
(4)軟化点
離型紙上に厚さ2mmの角バッカーを用いて四角形の枠を作成し、枠内にWU-1及び上市されている水分散ポリウレタンを流し込み、余分の試料をヘラで取り除き、その表面を平らにならし、23℃、50%RH雰囲気下で7日間養生して、軟化点温度測定用シートを得た。
【0061】
熱機械分析装置(TMA8310、株式会社リガク製)を使用して、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃~350℃の温度範囲で軟化点温度測定用シートに透明石英製ピン(先端の直径:0.5mm)を9.8mN圧で針入れすることにより軟化点温度測定用シートの軟化点を測定した。また、化粧シートについても、軟化点温度測定用シートと同様にして、化粧シートの軟化点を測定した。なお、化粧シートの軟化点の測定結果は、上記の通りである。
【0062】
試験結果を下記表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記表1から、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点が化粧シートの軟化点よりも低いディスパコールU42、ディスパコールU56では、接着工程における加熱温度を、120℃、180℃と、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点超、且つ化粧シートの軟化点未満とした条件を満たすことで、優れた接着強度を有し、また、熱損傷によるシワの発生を抑制できたので、接着工程時において化粧シートが優れた外観を維持することができた。また、ディスパコールU42、ディスパコールU56では、プライマーを塗布することで、接着強度がさらに向上した。
【0065】
一方で、接着工程における加熱温度を210℃と、化粧シートの軟化点超とすると、熱損傷によるシワが発生し、優れた外観を維持できなかった。また、化粧シートとしてbonlex BEを用い、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物としてWU-1を用いると、水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点が化粧シートの軟化点よりも高くなるので、接着工程における加熱温度を、120℃、180℃と、化粧シートの軟化点未満としても、接着強度は得られなかった。また、化粧シートとしてRENOPLASを用い、水分散ポリウレタンを含む水系接着剤組成物としてWU-1を用いると、熱損傷によるシワの発生を抑制するために、接着工程における加熱温度を120℃、180℃とすると、接着工程における加熱温度が水系接着剤組成物層のポリウレタンの軟化点未満となるので、接着強度は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の化粧シートの施工方法は、化粧シートを貼設または取り替える際に、簡易な作業にて下地材が損なわれてしまうことを防止でき、また、接着強度と外観に優れ、さらに、作業安全性を有し、環境負荷を低減できるので、種々の材質の化粧シートに対応でき、特に、建築物の外装や内装の下地材に、多種多様な化粧シートを用いる分野で利用することができる。