(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】流量調整弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/32 20060101AFI20240725BHJP
F16K 1/38 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16K1/32 C
F16K1/38 Z
(21)【出願番号】P 2020109617
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孝行
(72)【発明者】
【氏名】那須 裕章
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第02827527(DE,A1)
【文献】特開2004-044632(JP,A)
【文献】特開2005-321061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102867(US,A1)
【文献】米国特許第04815698(US,A)
【文献】仏国特許発明第00638331(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00 - 1/54
F16K 5/00 - 5/22
F16K 31/00 - 31/05
F16K 31/44 - 31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ内部に形成される流入口と流出口とを連通する流路と、
該流路に配設される端面に弁座を形成した筒状体と、
該弁座に当接離間し、前記流路を連通遮断する弁体と、
該弁体を移動させるアクチュエータとを備える流
量調整弁であって、
前記弁体は、前記弁座と当接する傾斜面を備えた当接部及びアクチュエータから延設されるステムと接続される柱状部が同軸上に一体的に形成され、
前記柱状部には、弁体とステム端面とを接続するボルト
頭部が柱状部の軸心と直交する方向に挿通される幅広溝部及びボルトのネジ部が軸心と直交する方向に挿通される幅狭溝部を形成し、
前記幅広溝部及び幅狭溝部とボルトとの軸心と直交する方向に所定の隙間を形成する流
量調整弁。
【請求項2】
前記筒状体は、流入口と連通し反流入口側の端面に弁座を形成する小径路と、
該小径路と同心で、前記弁体の柱状部が摺接する大径路と、
大径路と流出口とを連通する排出路とを備えた請求項1に記載の流量調整弁。
【請求項3】
前記幅広溝部と前記ボルト頭部の軸方向の隙間に、低摩耗部材を充填した請求項1又は2に記載の流量調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流量調整弁に関し、より詳しくは、アクチュエータから延設されるステムの撓み等による弁体・弁座の摩耗を防止する流量調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流量調整弁、特に精密な流量制御が必要な電子バルブでは、弁体が弁座に着座した全閉位置を全閉検知信号から判断し、マイコン等の制御手段でモータ(例えば、ステッピングモータ)を制御し、広範囲のCv値制御を可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、この種の流量調整弁は、アクチュエータとしてのステッピングモータの回転を、ボールネジを介して直線運動に変換し、先端に弁体を形成したステムを移動させるようにしている。弁座に対して、弁体の先端の傾斜面が当接して流体の流れを阻止し、弁体が弁座から離間することで流体の流れを許容するようにしている。
【0004】
また、全閉位置の検出方法として、アクチュエータとして用いるモータのトルクを検知し、ステム先端の弁体が着座することによって閾値を越えたことで全閉位置を検知する技術も公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平07-058444号公報
【文献】国際公開第2018-199063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に従来の流量調整弁100を示す。この流量調整弁100では、弁体5を弁座70対して当接離間するアクチュエータ4から延設されるステム3は、弁体5とネジを介して固定されている。またステム3は、ボンネット6内でシール部材60に囲繞され、流路20内の流体の外部への漏洩を抑制している。この種の流量調整弁10では、ステム3は比較的長尺となり、シール部材60の下端から弁座70間のステム3に撓みなどが発生すると、弁体5の弁座70と当接する当接部50が弁座70に対して片当たりが生じ、弁体5の当接部50及び弁座70に偏摩耗が発生する。この摩耗が進行すると、流量調整弁100の全閉時に流体の漏れが発生する原因となる。これは、多くの場合には組立時に既に弁座70の軸心と弁体5の軸心とが若干ズレているにも拘らず、当初弁体5の当接部50や弁座70には摩耗が生じておらず、若干程度に撓んだ状態のステム3でも全閉時の漏れは殆ど生じることがなく、使用に伴って弁体5の片当たりによる摩耗が進行し、漏れに繋がると考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁体が弁座に対して片当たりすることがなく、またステムの撓みを吸収することができる流量調整弁を提供することである。
【0008】
上記課題を解決するためになされた本第1の発明に係る流量調整弁は、ボディ内部に形成される流入口と流出口とを連通する流路と、この流路に配設される端面に弁座を形成した筒状体と、弁座に当接離間し、流路を連通遮断する弁体と、弁体を移動させるアクチュエータとを備える流量調整弁であって、弁体は、弁座と当接する傾斜面を備えた当接部及びアクチュエータから延設されるステムと接続される柱状部が同軸上に一体的に形成され、柱状部には、弁体とステム端面とを接続するボルト頭部が柱状部の軸心と直交する方向に挿通される幅広溝部及びボルトのネジ部が軸心と直交する方向に挿通される幅狭溝部を形成し、幅広溝部及び幅狭溝部とボルトとの軸心と直交する方向に所定の隙間を形成するようにしている。
【0009】
この流量調整弁は、弁体の柱状部が弁座を形成する筒状体の大径部と摺接し、弁体の弁座に対する片辺りを防止するとともに、ステムの軸心に対して直交する方向へのずれは、幅広溝部及び幅狭溝部とボルトとの間の隙間によって吸収する。
【0010】
また、同じ課題を解決するためになされた本第2の発明に係る流量調整弁は、ボディ内部に形成される流入口と流出口とを連通する流路と、この流路に配設される端面に弁座を形成した筒状体と、弁座に当接離間し、流路を連通遮断する弁体と、弁体を移動させるアクチュエータとを備える流量調整弁であって、弁体は、弁座と当接する傾斜面を備えた当接部及びアクチュエータから延設されるステムと接続される柱状部が同軸上に一体的に形成され、柱状部には、弁体とステム端面とを接続するボルトの頭部が挿通され、内周面に雌ネジが刻設された有底口を形成し、ボルトのネジ部が挿通される挿通口を備え、外周面に有底口の雌ネジと噛合する雄ネジが刻設された環状のボルト押さえを、有底口に螺合することによってボルト頭部の軸心方向の移動を規制するとともに、有底口及び挿通口とボルトとの軸心と直交する方向に所定の隙間を形成するようにしている。
【0011】
これら場合において、筒状体は、流入口と連通し反流入口側の端面に弁座を形成する小径路と、小径路と同心で、前記弁体の柱状部が摺接する小径路よりも大径の大径路と、大径路と流出口とを連通する排出路とから構成することができる。筒状体の大径路に、弁体の当接部と同心の柱状部が摺接することで、弁体が筒状体の軸心がズレることがない。
【0012】
さらに、この場合において、幅広溝部及び環状のボルト押さえとボルト頭部の軸方向の隙間には、低摩耗性部材配設することができる。
【0013】
低摩耗性部材としては樹脂製材料を用いることができる。樹脂製材料としては、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリアセタール樹脂(POM)、充填剤入りの四ふっ化エチレン樹脂等、摩擦抵抗が低く摺動性の高い材料を用いることが好ましく、これにより軸心に対して直交する方向へステムがずれてもボルトは、軸方向と直交する方向スムーズに滑り弁体と弁座の軸心がズレることなく、ステムの撓みが弁体と弁座に影響を及ぼさない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るバルブによれば、弁体の柱状部が弁座の筒状体に嵌装されるとともに、弁体はステムに対し軸心と直交する方向に移動可能となっているから、ステムが多少撓んだ場合でもステムの軸心のみが弁座の軸心からズレ、弁座の軸心に対して弁体の軸心がズレることなく、弁体及び弁座に偏荷重が係ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本第1の発明に係る流量調整弁の全閉状態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図2】同流量調整弁の弁座及び弁体部の概略図で、(a)は弁座を形成する筒状体を示す断面斜視図、(b)は、弁座の軸心に対し、ステムの軸心がLだけズレた状態の接合部を示す一部切欠き断面の正面図、(c)は筒状体に弁体を組み込んだ状態を示す斜視図である。
【
図3】同流調整弁の別の実施例を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図4】同別の実施例の流量調整弁の弁座及び弁体部を示す概略図で、(a)は弁座を形成する筒状体の断面斜視図、(b)は筒状体に弁体を組み込んだ状態を示す斜視図である。
【
図5】本第2の発明に係る流量調整弁の全閉状態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【
図6】同流量調整弁の弁体とステムの接合部の拡大図で、(a)は軸心が一致している状態、(b)は軸心がLだけズレ、弁体が軸心に直交する方向に移動した状態を示す。
【
図7】従来の流量調整弁の全閉状態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るバルブの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
<実施形態1>
本第1の発明に係る流量調整弁1の実施形態を、
図1~
図2に示す。
【0018】
本発明に係る流量調整弁1は、ボディ2内部に形成される流入口21と流出口22とを連通する流路20と、この流路20に配設される端面に弁座70を形成した筒状体7と、弁座70に当接離間し、流路20を連通遮断する弁体5と、弁体5を移動させるアクチュエータ4とを備えている。
【0019】
そして、弁体5は、弁座70と当接する傾斜面を備えた当接部50及びアクチュエータ4から延設されるステム3と接続される柱状部51が同軸上に一体的に形成される。この柱状部51には、弁体5とステム3の端面とを接続するボルト8の頭部80が柱状部51の軸心と直交する方向に挿通される幅広溝部52及びボルト8のネジ部81が軸心と直交する方向に挿通される幅狭溝部53を形成し、幅広溝部52及び幅狭溝部53とボルト8との軸心と直交する方向に所定の隙間Sを形成されている。
【0020】
[アクチュエータ]
アクチュエータ4は、弁体5を弁座70に対し当接離間するようにステム3を上下動させるものであれば特に限定するものではないが、本実施形態ではステッピングモータを採用している。アクチュエータ4のステッピングモータの回転軸は、アクチュエータ4内に上下動可能に備えられたスライダ(図示省略)に配設されるボールネジと接続されている。このボールネジによって、ステッピングモータの回転運動をスライダの直進運動に変換し、スライダに接続されるステムを軸方向に移動させるようにしている
【0021】
[ボディ]
流入口21、流出口22及びこれらを連通する流路20を形成するボディ2は、その上部に、ステム3が挿通されるボンネット6が配置される。ボンネット6は、ボンネットナット62によってボディ2に固定される。ボンネット6内にはボディ2内を流通する流体が外部に漏洩することを防止する環状のシール部材60が配設され、ボンネット6の上部に螺合するグランドナット61によってシール部材60は固定されている。
【0022】
ボンネット6の外周面中央部には雄ネジが形成されており、アキュムレータ4から延設される脚部40Aの下部に形成された内周面に雌ネジを備えた環状の取付部が螺合され、ロックナット40Bによって固定される。脚部40Aは、2本のバー形状で、アキュムレータ4と環状の取付部と一体構造、例えば鋳物構造であっても構わない。
【0023】
流路20に形成される弁座70は、ボンネット6と同心上の適所に形成されるもので、本実施形態では、ボディ2に螺合するよう外周面に雄ネジが刻設された筒状体7の内周端面に形成するようにしている。
【0024】
ボディ2に螺合される弁座70を形成する筒状体7の適所にはOリング等のシール部材を配設し、流入口21側からの流体が流出口22側に漏洩することを防止するようにしている。
【0025】
[弁体]
弁体5は、従来例と同様ステム3の端面(下端面)3aに形成されるネジ穴3bに螺合されるネジによってステム3と接合される。従来例では弁体5と、ステム3と螺合する雄ネジ部分が一体構造であったため、弁体5はステム3の撓みの影響を受け、弁座70に対し弁体5が片当たりを起こし偏荷重が発生し漏れに繋がる摩耗が生じていた。本実施形態では、弁体5とステム3の端面3aに形成されるネジ穴3bに螺合される雄ネジ部分とは別体構造となっている。
【0026】
具体的には、弁体5は、弁座70と当接する傾斜面を備えた当接部50及びアクチュエータ4から延設されるステム3の端面3aと当接する端面を備えた柱状部51が同軸上に一体的に形成されている。そして、この柱状部51には、弁体5とステム3の端面とを接続するボルト8の頭部80が柱状部51の軸心と直交する方向に挿通される幅広溝部52及びボルト8のネジ部81が軸心と直交する方向に挿通される幅狭溝部53が正面視逆T字状に形成されている。
【0027】
そして、この幅広溝部52及び幅狭溝部53とボルト8との軸心と直交する方向に所定の隙間Sを形成し、ステム3が撓んでもステム3とボルト8のみが軸心と直交する方向に移動(
図2(b)参照)し、弁体5の当接部50の軸心は弁座70の軸心に対し、偏心することがないように構成されている。
【0028】
ステム3と弁体5との組付手順を説明する。ボルト8のネジ部81をステム3の端面3aに形成されたネジ穴3bに所定深さまで捻じ込み、頭部80に軸心と直交する方向に形成した孔部80aが幅広溝部52の開口側から見える位置になるよう調整し、頭部80を幅広溝部52、ネジ部81を幅狭溝部53に挿通する。ボルト8の周り止めとして、孔部80aに軸状体を挿通し、柱状部51の周面に形成した二面幅部51aを工具で挟持し、弁体5に対して周り止めされているボルト8をステム3に螺合する。
【0029】
ボルト頭部80と幅広溝部52の底面と天面との間、特に天面側にはボルトが軸と直交する方向スムーズに移動するように低摩耗部材85を配設することが好ましい。天面側に設ける低摩耗部材85としては、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリアセタール樹脂(POM)、充填剤入りの四ふっ化エチレン樹脂等、摩擦抵抗が低く摺動性の高い樹脂製の低摩耗ワッシャを用いることが好ましい。
【0030】
次に、ステム3の軸心が弁座70の軸心に対し偏心した状態で組み立てられた時(組立時において弁体5の軸心も弁座70の軸心に対して偏心した状態となる)の、弁体5の軸心補正について説明する。
【0031】
例えば、ステム3が組立時の撓みなどによって弁座70の軸心に対し正面視で左にLだけズレている場合、アクチュエータ4の作動によって全開状態からステム3が下降を始めると、弁体5の当接部50の左側が先に当接し、なおもステム3が下降すると当接部50と弁座70との右側の隙間に向かって弁体5は、軸方向の規制は抑制されているものの、上述した通り軸心に直交する方向には移動可能に構成されているから、下側に移行しつつ、軸心に直交する右側に移動する(
図2(b)参照)。そして、弁座70に対して当接部50が均一に当接した状態で、弁体5の下側への移行は止まり全閉位置検知手段(図示省略)によって全閉位置が検知され、全閉位置として記録し、アクチュエータ4(例えば、ステッピングモータ)の基本位置として制御装置(図示省略)に記録され、流量調整弁1の運転制御行う。
【0032】
<実施形態1の別の実施例>
本第1の発明に係る流量調整弁10の実施形態の別の実施例を、
図3~
図4に示す。
【0033】
この流量調整弁10は、弁座70を形成する筒状体7の形状が異なる以外、実施形態1と同様の構成であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0034】
本実施例に使用する筒状体7は、
図4(a)に示すように、流入口21と連通し反流入口側の端面7aに弁座70を形成する小径路71と、小径路71と同心で、弁体5の柱状部51
が摺接する大径路72と、大径路72と流出口22とを連通する排出路73とを備えている。排出路73の数は、特に限定するものではないが、周方向に複数形成することが好ましい。
【0035】
大径路72に柱状部51を摺接させることで、組立時の弁体5が弁座70に着座する前から、換言するとアキュムレータ4を作動し、開弁状態から閉弁状態に移行させることなく両者の軸心は一致し、ステム3の軸心がズレているときは開弁状態の時から、弁体5の軸心は、ステム3の軸心から移動し、弁座70の軸心と一致し、その位置を保持する。
【0036】
<実施形態2>
本第2の発明に係る流量調整弁の実施形態を、
図5~
図6に示す。
【0037】
この流量調整弁は、実施形態1の弁体5の柱状部51へのボルト8の係合方法を変更したもので、それ以外の構成は、第1実施例と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0038】
流量調整弁11の柱状部51には、弁体5とステム3の端面とを接続するボルト8の頭部80が挿通され、内周面に雌ネジ54bが刻設された有底口54を形成している。有底口54の内径は、ボルト8の頭部80の外径よりも大径で、後述する隙間Sが形成される。そして、中心にボルト8のネジ部81が挿通される挿通口90を備え、外周面に有底口54に形成した雌ネジと噛合する雄ネジ9bが刻設された環状のボルト押さえ9を、有底口54の雌ネジ54bに螺合することによってボルト8の頭部80の軸心方向の移動を規制している。この際、ボルト8には低摩耗部材85として上述した低摩耗ワッシャを配設することが好ましい。
【0039】
そして、有底口54及び挿通口90とボルト8との軸心と直交する方向に所定の隙間Sを形成しており、実施形態1と同様に、ステム3及びボルト8とは別個に、軸心に直交する方向に弁体5の移動を許容するように構成されている。
図6(b)は、ステム3が組立時の撓みなどによって弁座70の軸心に対しLだけズレている場合に、ステム3と弁体5が相対的に軸と直交する方向にLだけ移動した状態を示す。
【0040】
また、本実施形態の流量調整弁11は、
図5に示すように実施形態1の別の実施例で説明した、大径路72を備え、弁体5の柱状部51を摺接させるようにした筒状体7を用いているが、実施形態1のような大径路72を備えていない筒状体7を用いるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の流量調整弁は、弁体と弁座の軸心のズレが生じることがなく経年変化による流体の漏れを抑制することができるから、流体の精密な制御用として、また、カロリーメータの冷媒制御、水素燃料、圧縮天然ガス等の流量制御を行うための流量調整弁として好適に用いることができる。さらに、ステムと弁体を取り換えることで、既設の流量調整弁の改造の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 流量調整弁
2 ボディ
20 流路
21 流入口
22 流出口
3 ステム
4 アクチュエータ
5 弁体
50 当接部
51 柱状部
52 幅広溝部
53 幅狭溝部
6 ボンネット
7 筒状体
70 弁座
71 小径路
72 大径路
73 排出路
8 ボルト
80 頭部(ボルト頭部)
81 ネジ部
9 ボルト押さえ
90 挿通口