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特許7526470衣服内換気装置及び衣服内換気装置付き衣服
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】衣服内換気装置及び衣服内換気装置付き衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A41D13/002 105
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020143133
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038560
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133121(JP,A)
【文献】特開2019-70215(JP,A)
【文献】特開2019-151959(JP,A)
【文献】特表2005-522591(JP,A)
【文献】特開2018-135614(JP,A)
【文献】特開2018-188756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/002-13/005、27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
服本体に取り付けられる衣服内換気装置であって、
空気を取り込み空気排出部より排出するファンと、
前記ファンを稼働させる電源装置と、
前記空気排出部に接続され、前記ファンが取り込んだ空気を服本体内に案内する空気案内手段と、
前記ファンの位置を、前記服本体外である前記服本体の裾部の下方と、前記服本体内と、に上下方向に変更可能な取付部と、を備えることを特徴とする衣服内換気装置。
【請求項2】
前記空気案内手段は、柔軟性を有するパイプを備え、
前記パイプは、複数の吹き出し孔を備えることを特徴とする請求項1に記載の衣服内換気装置。
【請求項3】
前記パイプは、第1端が前記空気排出部に接続される扁平パイプと、
前記扁平パイプの第2端に接続されるフィルムパイプと、を備え、
前記フィルムパイプに、前記吹き出し孔を備えることを特徴とする請求項2に記載の衣服内換気装置。
【請求項4】
前記フィルムパイプは、厚さが40μm以下のプラスチックシートであることを特徴とする請求項3に記載の衣服内換気装置。
【請求項5】
前記空気案内手段は、中空状または袋状の通気性のある布からなることを特徴とする請求項1に記載の衣服内換気装置。
【請求項6】
前記取付部は、前記服本体内に取り付け時に上下方向に伸びるスライダーを備え、
前記空気案内手段は、前記スライダーを挿通可能な挿通孔を有する輪状部材を備え、
前記挿通孔は、前記スライダーの任意の位置に固定可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の衣服内換気装置。
【請求項7】
服本体と、
請求項1に記載の衣服内換気装置と、を備え、
前記空気案内手段は、通気部を有する布部材である案内シートであって、
前記案内シートは、上部に通気部が形成されるように前記服本体の身側の裏地に取り付けられ、
前記ファンは、前記案内シートと前記服本体の身側の裏地との間に前記空気案内手段が位置するように前記服本体に取り付けられることを特徴とする衣服内換気装置付衣服。
【請求項8】
服本体と、
請求項2から5のいずれか一項に記載の衣服内換気装置と、を備え
記電源装置を保持可能な電源装置保持手段と、
前記空気案内手段を前記服本体内に係止可能な空気案内手段係止部と、を備えることを特徴とする衣服内換気装置付衣服。
【請求項9】
服本体と、
請求項1からのいずれか一項に記載の衣服内換気装置と、を備え、
前記衣服内換気装置は、前記服本体に着脱自在に固定されることを特徴とする衣服内換気装置付衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服内換気装置及び衣服内換気装置付き衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冬用の衣服として、ダウンジャケットやダウンコートといった、人工ダウンを含むダウンを使用したアウターウェアが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような衣服は、空気流通性が非常に低い上布と下布の間に保温材であるダウンやポリエステルが介在しているため、保温性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-275651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような衣服を着用した状態で激しい運動を行い、一時的に身体の産熱量が多くなると、衣服内で熱気がこもってしまう。これを解消するためには、衣服の開閉手段を開くことで熱気を排出する必要があり、手間であった。
【0005】
本発明の課題は、容易に衣服内の熱気を排出することができる衣服内換気装置及び衣服内換気装置付き衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
服本体に取り付けられる衣服内換気装置であって、
空気を取り込み空気排出部より排出するファンと、
前記ファンを稼働させる電源装置と、
前記空気排出部に接続され、前記ファンが取り込んだ空気を服本体内に案内する空気案内手段と、
前記ファンの位置を、前記服本体外である前記服本体の裾部の下方と、前記服本体内と、に上下方向に変更可能な取付部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衣服内換気装置であって、
前記空気案内手段は、柔軟性を有するパイプを備え、
前記パイプは、複数の吹き出し孔を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の衣服内換気装置であって、
前記パイプは、第1端が前記空気排出部に接続される扁平パイプと、
前記扁平パイプの第2端に接続されるフィルムパイプと、を備え、
前記フィルムパイプに、前記吹き出し孔を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の衣服内換気装置であって、
前記フィルムパイプは、厚さが40μm以下のプラスチックシートであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の衣服内換気装置であって、
前記空気案内手段は、中空状または袋状の通気性のある布からなることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の衣服内換気装置であって、
前記取付部は、前記服本体内に取り付け時に上下方向に伸びるスライダーを備え、
前記空気案内手段は、前記スライダーを挿通可能な挿通孔を有する輪状部材を備え、
前記挿通孔は、前記スライダーの任意の位置に固定可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、衣服内換気装置付衣服であって、
服本体と、
請求項1に記載の衣服内換気装置と、を備え、
前記空気案内手段は、通気部を有する布部材である案内シートであって、
前記案内シートは、上部に通気部が形成されるように前記服本体の身側の裏地に取り付けられ、
前記ファンは、前記案内シートと前記服本体の身側の裏地との間に前記空気案内手段が位置するように前記服本体に取り付けられることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、衣服内換気装置付衣服であって、
服本体と、
請求項2から5のいずれか一項に記載の衣服内換気装置と、を備え
記電源装置を保持可能な電源装置保持手段と、
前記空気案内手段を前記服本体内に係止可能な空気案内手段係止部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、衣服内換気装置付衣服であって、
服本体と、
請求項1からのいずれか一項に記載の衣服内換気装置と、を備え、
前記衣服内換気装置は、前記服本体に着脱自在に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に衣服内の熱気を排出することができる衣服内換気装置及び衣服内換気装置付き衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る衣服内換気装置の正面図である。
図2】第1実施形態に係る衣服内換気装置が取り付けられた服本体の側面図である。
図3】(a)は第1実施形態の変形例に係る衣服内換気装置を使用している場合の服本体の正面図であり、(b)は使用していない場合の服本体の正面図である。
図4】第2実施形態に係る衣服内換気装置の正面図である。
図5】第3実施形態に係る衣服内換気装置の正面図である。
図6】第3実施形態に係る衣服内換気装置が取り付けられた、前身頃の開閉手段を開いた状態の服本体の正面図である。
図7】第4実施形態に係る衣服内換気装置が取り付けられた、前身頃の開閉手段を開いた状態の服本体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、図1から図3を参照して、本発明に係る衣服内換気装置の第1実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
[衣服内換気装置]
衣服内換気装置100は、図1に示すように、ファン110と、空気案内手段120と、を備え、図2に示すように、服本体200に取り付けられ、ファン110によって取り込まれた空気を、空気排出部112と接続された空気案内手段120によって、例えばダウンジャケットである服本体200内に流通させることで、服本体200内の熱気を排出する装置である。
【0020】
(ファン)
本実施形態におけるファン110としては、17mm角かつ厚さ3mmで、静圧40Pa、最大風量6.5L/min、3V37mA、消費電力0.1Wであり、前面から空気を取り入れ、1辺方向の空気排出部112から吹き出す既成のブロアファンを例示する。
ファン110としては上記のものに限られず、静圧10Pa以上であり、図1に示すように、電源装置111によって稼働し、空気を取り込んで空気排出部112から排出するように形成されていれば良い。また、消費電力は1W以内であるのが望ましい。
【0021】
(電源装置)
電源装置111は、ファン110を稼働させるための装置である。例えば、2本の単4電池が内蔵され、接続ケーブルを通じてファン110と接続するための接続端子(不図示)を備える。
電源装置111を稼働させる電源としては単4電池に限られず、適宜公知の構成を用いることができる。ただし、後述するように、服本体200内に電源装置111を取り付ける場合、安全性及び携帯性等の観点から、単3型以下の乾電池やニッケル水素電池を用いるのが望ましいが、リチウムイオン電池等の他の種類の電池を用いても良い。
なお、電源装置111としては、従来既知の構成のようにスイッチやボタン等の起動手段によって起動するものとしても構わない。特に、電源装置111に通信手段を設け、スマートフォン等の外部手段の無線通信によって、起動、停止及び送風量の調整等を行うことができるようにしても構わない。
【0022】
(空気案内手段)
空気案内手段120は、ファン110が取り込んだ空気を服本体200内に案内可能に形成されている部材である。第1実施形態における空気案内手段120は、フィルムパイプ121と、フィルムパイプ121とファン110の空気排出部112とを接続する扁平パイプ122である。
【0023】
(フィルムパイプ)
フィルムパイプ121は、例えば厚さ40μm以下のプラスチックシートであって、柔軟性を有する、長さが約30cmの略矩形状の管状部材である。適所に適正な大きさの孔部である吹き出し孔1211が形成されているため、空気がフィルムパイプ121の各所から流出され、服本体200内の熱気をムラなく体外に排出することができる。
【0024】
(扁平パイプ)
扁平パイプ122は、第1端がファン110の空気排出部112に接続された略扁平の管状部材である。第2端がフィルムパイプ121の端部に取り付けられ、ファン110が取り込んだ空気をフィルムパイプ121に送り込む連結部材である。
【0025】
(服本体)
服本体200は、一例としてブルゾンタイプを例示して説明するが、空気流通性の低いシート状部材によって、着用者の少なくとも胴部を覆い、裾部に設けられた裾ゴムによって外気が流入しないように形成されている。
なお、服本体200の形状はブルゾンタイプに限られない。また、服本体200の着用時において着用者に向く面を裏面、その反対側の服本体200の着用時において外部空間に向く面を表面とする。また、服地の裏面及び服本体200の着用時において服地の裏面よりも着用者側に位置する部分を服本体200の裏面側とし、服地の表面及び服本体200の着用時において服地の表面よりも外部空間側に位置する部分を服本体200の表面側とする。
【0026】
(衣服内換気装置の装着方法)
本実施形態に係る衣服内換気装置100を服本体200に取り付けるにあたっては、電源装置111を服本体200のポケット等に格納し、図2に示すように、空気案内手段120のフィルムパイプ121が服本体200内に、ファン110が服本体200外に、それぞれ位置するようにするととともに、扁平パイプ122が服本体200の裾ゴムの裏面側に当接するようにする。このようにすることで、裾ゴムの圧力により、扁平パイプ122が服本体200と体表面とに挟まれることとなり、衣服内換気装置100が服本体200に取り付けられる。
したがって、扁平パイプ122としては、裾ゴムの圧力によって潰れず、フィルムパイプ121への空気の送出を妨げない程度の強度を有しているのが好ましい。
【0027】
[実施形態の効果]
空気流通性が非常に低い生地を使用している、例えばジャケット等の従来の冬用衣服の着用時においては、一時的に身体の産熱量が上昇した場合、熱気が体外に排出されにくく、服本体200内にこもってしまい、体外に放出するには服本体200の開閉手段を開放する必要があった。
しかし、本実施形態の衣服内換気装置100は、図2に示すように、服本体200に取り付けられた状態において、空気を取り込むことができるファン110と、ファン110によって取り込まれた空気を服本体200内に拡散する空気案内手段120と、を備え、空気案内手段120のフィルムパイプ121が服本体200内に、ファン110が服本体200外に、それぞれ位置するように取り付けられる。そして、電源装置111を起動すると、ファン110から取り込まれた空気が扁平パイプ122を経由して、フィルムパイプ121の各所に設けられた吹き出し孔1211から服本体200内へ吹き出し、服本体200内の熱気が、首回り、袖、又は裾回りといった服本体200と身体の隙間から排出されることとなる。
【0028】
本実施形態に係るファン110の場合、空気案内手段120内での圧力や、服本体200内の圧力を考慮しても、2L/min程度の空気が服本体200内に吹き出されるため、1分間程度で熱気のこもりの大半を解消することができる。このことから、所定の時間、例えば、1分間程度、電源装置111の電源をONとして、ファン110で空気を服本体200に取り込むようにしても良い。仮に電源装置111の電源を単4アルカリ電池2本とし、1回に1分使用し、2Lの空気を換気した場合、1000回以上使用することができる。
このように、本実施形態に係る衣服内換気装置100によれば、少ない電力で、容易かつ迅速に服本体200内の熱気を排出することができる。
【0029】
本実施形態においては、ファン110は、最大風量が6.5L/minのものを例示したが、服本体200内に送風される風量が1L/min以上6.5L/min以下となるものであっても良い。また、フィルムパイプ121の素材もプラスチックシートに限られず、服本体200内での使用に適合する程度の柔軟性を有していれば良い。例えば、通気性を有する布等を筒状や袋状にしたものを使用しても良く、この場合には、フィルムパイプ121に設けた吹き出し孔1211に相当する孔は省略することも可能である。
【0030】
なお、所定の強度を有するフック113に電源装置111を取り付け、当該フック113を服本体200の裾ゴムと体表面と挟んで、衣服内換気装置100を服本体200に着脱自在に固定するようにしても構わない。電源装置111を服本体200に着脱自在に固定するフック113を備えることで、服本体200が電源装置111を収納するポケット等を備えなくても、衣服内換気装置100を取り付けることができる。
【0031】
また、フック113には、電源装置111のON/OFFや風量等を設定するための電源スイッチ(図示省略)が取り付けられていても良い。当該電源スイッチは、フック113に取り付けずに、別体として服本体200のポケット等に収納するようにしても良く、この場合、電源スイッチと電源装置111は、コードで接続しても良いし、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の通信手段を用いてワイヤレスで操作可能としても良い。また、電源装置111及び電源スイッチは、共にフック113に取り付けなくとも良く、この場合、電源装置111及び電源スイッチは、共に服本体200のポケット等に収納すれば良い。
【0032】
(取付部)
また、図3(a)に示すように、電源装置111の側面部に沿うように配され、上方向に伸びる取付部であるスライダー114を設け、扁平パイプ122の側面部には、スライダー114を挿通可能な挿通孔123aを有する輪状部材123を設け、輪状部材123をスライダー114の任意の箇所に固定可能な構成とすることで、図3(b)に示すように、ファン110を服本体200内に隠すことができる。そのため、衣服内換気装置100を使用しない際に目立ちにくくすることができる。
なお、衣服内換気装置100を使用しない際に、目立ちにくくするためにファン110を服本体200内に隠す形態を考慮しないのであれば、フック113(スライダー114)と扁平パイプ122を一体化しても良いし、さらに、電源装置111、フック113(スライダー114)、及び扁平パイプ122を一体化しても良い。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る衣服内換気装置100Aについて、図4に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る衣服内換気装置100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図4は、第2実施形態に係る衣服内換気装置100Aの正面図である。
図4に示すように、第2実施形態に係る衣服内換気装置100Aは、電源装置111A及びフック113Aを備えるファン110Aと、空気案内手段120Aである扁平パイプ122A及び断熱シート124Aを備える。
【0035】
(空気案内手段)
図4に示すように、第2実施形態に係る空気案内手段120Aは、扁平パイプ122A及び断熱シート124Aである。ファン110Aから取り込まれた空気は、空気排出部112Aと接続された扁平パイプ122Aから排出され、服本体200内で拡散される。
【0036】
(断熱シート)
断熱シート124Aは、扁平パイプ122Aの第2端に設けられた、例えば略矩形状の断熱部材である。扁平パイプ122Aから排出された、服本体200内に拡散される前の空気によって、扁平パイプ122Aの空気排出部近傍が極度に冷却されてしまうのを防ぐことを目的とする。
【0037】
(隙間埋め具)
隙間埋め具125Aは、例えばスポンジ等によって形成される、扁平パイプ122Aの両側面部に設けられた弾力性を有する部材である。扁平パイプ122Aが服本体200の裾ゴムと体表面とに挟まれて固定される際に、隙間埋め具125Aが撓むことで、身体と服本体200との間に生じる隙間を塞ぐことを目的とする。
【0038】
[実施形態の効果]
第2実施形態に係る衣服内換気装置100Aによれば、空気排出部112Aに接続された扁平パイプ122Aから服本体200内へ空気が取り込まれるため、フィルムパイプ121を設ける必要が無く、より容易かつ安価に衣服内換気装置100Aを製造することができる。
【0039】
また、ファン110Aから取り込まれた空気は裾部近傍の扁平パイプ122Aから排出されるが、扁平パイプ122Aの第2端に断熱シート124Aが設けられているため、裾部近傍のみが冷却されてしまうのを防ぐことができる。
加えて、扁平パイプ122Aの両側面部に、扁平パイプ122Aが服本体200の裾ゴムと体表面とに挟まれることによって固定される際に、身体と服本体200との間に生じる隙間を塞ぐ隙間埋め具125Aを備えるため、空気が裾部近傍の扁平パイプ122Aから排出された際に、当該空気が裾部の隙間から漏れ出してしまい、冷却機能が低減してしまうのを防ぐことができる。
【0040】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る衣服内換気装置100Bを備える服本体200Bについて、図5及び図6に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る衣服内換気装置100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図5に示すように、衣服内換気装置100Bは、ファン110Bと、空気案内手段120Bであるフィルムパイプ121Bと、を備え、フィルムパイプ121Bは、ファン110Bの空気排出部112Bに直接接続されている。また、電源装置111Bには通信機能が備えられており、スマートフォン等の通信によってファン110Bに供給する電圧や通電時間等を制御可能に形成されている。
また、図6に示すように、第3実施形態に係る服本体200Bは、ファン取付孔210Bと、空気案内手段係止部220Bと、電源装置保持手段230Bと、を備える。
【0042】
(ファン取付孔)
ファン取付孔210Bは、服本体200B下部に設けられた孔部である。服本体200Bの着用時において、服本体200B内の空間と、服本体200B外の空間と、を繋ぐ孔部であり、その形状はファン110Bの外形に合わせた形状である。
なお、図6においては服本体200Bの後見頃側にファン取付孔210Bを設けているが、これに限られず、例えば前身頃側に設けても構わない。
【0043】
(空気案内手段係止部)
空気案内手段係止部220Bは、服本体200Bの身体側に設けられた、例えば略円形の係止部材であり、フィルムパイプ121Bを挿通及び係止可能に形成されている。空気案内手段係止部220Bとしては、例えば帯状の面ファスナーの第1端を服に縫着し、自由端である第2端を折り返して輪状とすることで形成するのが好ましい。
なお、図6においては、空気案内手段係止部220Bは、服本体200Bの左右方向にフィルムパイプ121Bが配列するように設けられているが、これに限られず、上下方向に配列するように設けても、服本体200B内を一周するように設けても構わない。
【0044】
(電源装置保持手段)
電源装置保持手段230Bは、例えば服本体200Bの身体側に設けられたポケットであり、内部に電源装置111Bが保持可能に形成されている。
電源装置保持手段230Bの具体的な構成は任意であり、例えば、服本体200Bの外側に設けられたポケット等の収納部を電源装置保持手段230Bとしても良い。この場合、服本体200Bの内側から外側に接続ケーブルを挿連するケーブル通し部を設ければ良く、服本体200Bを着用した際、服本体200Bの外側から電源の操作が可能となる。このように、適宜公知の構成を用いることができる。
【0045】
[実施形態の効果]
第3実施形態に係る衣服内換気装置100Bを備える服本体200Bによれば、空気案内手段120Bが着用者の身体を囲うように配列させることができるため、正面側にのみ固定されている場合に比べて、より迅速に服本体200B内の熱気を排出することができるようになる。
【0046】
また、電源装置111Bは服本体200Bの身体側に設けられた電源装置保持手段230B内に保持されているが、通信により制御可能であるため、容易にファン110Bを稼働させることができる。
【0047】
なお、服本体200Bの外面に、服本体200Bと同色であり、ファン取付孔210Bを覆うことができるような大きさを有し、服本体200Bに着脱自在なメッシュを設けても良い。
このようにすることで、ファン110Bが服本体200Bに取り付けられていない状態において、ファン取付孔210Bを目立ちにくくすることができる。
【0048】
また、電源装置111Bは通信により制御可能としたが、これに限られず、衣服内換気装置100BにCPU等の制御装置と温度センサー等を設け、服本体200B内の温度等に応じて自動的に電源装置111Bの稼働及び停止の切り替え、並びにファン110Bに供給する電圧や通電時間等の制御を行うことができるようにしても構わない。
【0049】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る衣服内換気装置100Cを備える服本体200Cについて、図7に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る衣服内換気装置100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
第4実施形態に係る衣服内換気装置100Cは、電源装置111Cを備えるファン110Cを備える。
また、第4実施形態に係る服本体200Cは、図7に示すように、身体側に空気案内手段120Cである案内シート240Cが設けられ、当該案内シート240Cと服本体200Cの裏地との間に空気が流入するように、ファン110Cの空気排出部112Cが挿通される。
【0051】
(案内シート)
案内シート240Cは、服本体200Cの身体側に設けられた布部材であり、適正な通気性を有する素材からなる。また、隙間が形成されるように所々が縫合等により服本体200Cの裏地に取り付けられている。
なお、案内シート240Cは予め服本体200Cに取り付けられていても構わないが、着用者が任意に着脱可能であるのが好ましい。また、上方に隙間が形成されるように縫合する例を挙げているが、案内シート240Cの上部を通気性のある、言い換えれば、上部に通気部241Cが形成されるよう案内シート240Cを構成すれば、必ずしも隙間を設ける必要はない。このように種々変更は可能である。
【0052】
[実施形態の効果]
第4実施形態に係る衣服内換気装置100Cを備える服本体200Cによれば、案内シート240Cは適正な通気性を有する素材からなるため、ファン110Cが動作し、服本体200Cの裏地と案内シート240Cとで構成された空間に空気が送風されると、空気の一部は案内シート240Cを透過し、残りは開放された案内シート240Cの通気部241Cから服本体200Cの上方へと流通し、首回りや袖といった隙間から服本体200C内の熱気が排出されることとなる。
【0053】
[他の変形例]
図1から図7においては服本体200を、裾部が着用者の腰部近傍に位置するブルゾンタイプのダウンジャケットを例として図示したが、これに限られず、服本体200は、例えば裾が長いダウンコートであっても構わない。服本体200がダウンコートである場合、裾部は開放されているため、ファン110は必ずしも外気を取り込むように取り付けられている必要は無く、裾部近傍の、下半身に対応する服本体200内の空気を取り込み、上半身に対応する箇所に送風するようにしても構わない。
このようにすることで、ファン110を服本体200に取り付けても目立ちにくくすることができる。
【0054】
また、ダウンコートである服本体200を、衣服内換気装置100が取り付けられた専用の服とする場合、着用者の腰部に相当する裏地に、スノーガードのような裾を設けるようにして、裾部の隙間を小さくするようにしても構わない。
【0055】
また、服本体200への衣服内換気装置100の固定方法として、服本体200の裾ゴムを用いる形態を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、例えばズボン等に懸架可能なフック113等によって固定する構成としても良い。或いは、所定の挟持力を有するフック113等によって服本体200の裾部を挟持する構成としても良い。
【0056】
また、以上の実施形態の他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
100 衣服内換気装置
110 ファン
111 電源装置
112 空気排出部
114 スライダー(取付部)
120 空気案内手段
121 フィルムパイプ
1211 吹き出し孔
122 扁平パイプ
123 輪状部材
123a 挿通孔
200 服本体
210B ファン取付孔
220B 空気案内手段係止部
230B 電源装置保持手段
240C 案内シート
241C 通気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7