(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】耐火スリーブ、処理方法及び耐火スリーブの製造方法
(51)【国際特許分類】
A62C 3/16 20060101AFI20240725BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20240725BHJP
F16L 5/04 20060101ALI20240725BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A62C3/16 B
F16L5/00 Q
F16L5/04
E04B1/94 F
(21)【出願番号】P 2020159452
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000217295
【氏名又は名称】田中製紙工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】古川 和久
(72)【発明者】
【氏名】秋松 利典
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-117965(JP,A)
【文献】特開平10-318444(JP,A)
【文献】特開2019-052746(JP,A)
【文献】特開2013-147840(JP,A)
【文献】特開2018-007836(JP,A)
【文献】特開2019-216852(JP,A)
【文献】実開昭61-065152(JP,U)
【文献】特開2016-020629(JP,A)
【文献】実開昭63-029325(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0204999(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103162022(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
F16L 5/00
F16L 5/04
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内部に埋め込まれており、
前記耐火スリーブの製造方法は、
金型を準備する工程と、
前記金型の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる内側スリーブを形成する工程と、
前記内側スリーブの外面に前記補強材を被せる工程と、
前記本体部の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる外側スリーブを形成し、耐火スリーブ予備体を形成する工程と、
前記耐火スリーブ予備体を前記金型から脱枠して乾燥させる工程と、
を含む製造方法。
【請求項2】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた筒状の本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内側に配置されており、
前記耐火スリーブの製造方法は、
前記本体部の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる外側スリーブを形成し、耐火スリーブ予備体を形成する工程と、
前記耐火スリーブ予備体を乾燥させる工程と、
を含む製造方法。
【請求項3】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内部に埋め込まれており、
型内に前記補強材を配置する工程と、
型内に前記耐火スリーブ本体の原料を流し込んで固化させる工程と、
を含む製造方法。
【請求項4】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内部に埋め込まれており、
前記本体部に、前記耐火スリーブ本体の原料を吹き付ける工程を含む、
製造方法。
【請求項5】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた筒状の本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内側に配置されており、
型内に前記補強材を配置する工程と、
型内に前記耐火スリーブ本体の原料を流し込んで固化させる工程と、
を含む製造方法
【請求項6】
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブの製造方法であって、
前記耐火スリーブは、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた筒状の本体部を有する金属製の補強材と、を備え、前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内側に配置されており、
前記本体部に、前記耐火スリーブ本体の原料を吹き付ける工程を含む、
製造方法。
【請求項7】
前記本体部の開口率は、45%以上である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項8】
前記本体部の開口率は、95%以上である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項9】
前記耐火スリーブは、柔軟性を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項10】
前記耐火スリーブ内には、配管又はケーブルが挿入される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項11】
前記配管は、鋼管、保温材で覆われた鋼管、プラスチック管、保温材で覆われたプラスチック管、CD管、保温材で覆われたCD管、又は、モルタル被覆である、
請求項10に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項12】
前記耐火スリーブは、前記配管又はケーブルが隙間なく挿入されるような内径を有する、
請求項10又は11に記載の耐火スリーブの製造方法。
【請求項13】
前記耐火スリーブは、前記配管又はケーブルとの間に隙間が存在するような内径を有する、
請求項10又は11に記載の耐火スリーブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための耐火スリーブに関する。また、本発明は、当該耐火スリーブを使用した、木質系耐火構造の壁又は床の貫通孔の処理方法に関する。また、本発明は、当該耐火スリーブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の防火区画構成部材(例えば、壁、床)に貫通孔を開け、その貫通孔に配管を通す場合、その貫通孔部分を経由しての延焼を防ぐために、貫通孔の内面と配管との間の隙間を耐火材で埋め戻すことが行われている。
【0003】
特許文献1には、耐火スリーブ本体1’と、耐火スリーブ本体1’の外周に一体形成された有孔の金属製の補強材7と、を備える耐火スリーブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、木枠は火災に対して非常に脆弱である。
【0006】
本発明は、木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用可能な耐火スリーブを提供することを目的とする。また、本発明は、当該耐火スリーブを使用した、木質系耐火構造の壁又は床の貫通孔の処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該耐火スリーブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の特徴を有する。
【0008】
(項目1)
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブであって、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた本体部を有する金属製の補強材と、
を備え、
前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内部に埋め込まれている、
耐火スリーブ。
【0009】
(項目2)
木質系耐火構造の壁又は床の防火区画貫通部材として使用するための筒状の耐火スリーブであって、
筒状の耐火スリーブ本体と、
複数の開口部が設けられた筒状の本体部を有する金属製の補強材と、
を備え、
前記本体部は、前記耐火スリーブ本体の内側に配置されている、
耐火スリーブ。
【0010】
(項目3)
前記本体部の開口率は、45%以上である、
項目1又は2に記載の耐火スリーブ。
【0011】
(項目4)
前記本体部の開口率は、95%以上である、
項目1から3のいずれか1項に記載の耐火スリーブ。
【0012】
(項目5)
前記耐火スリーブは、柔軟性を有する、
項目1から4のいずれか1項に記載の耐火スリーブ。
【0013】
(項目6)
前記耐火スリーブ内には、配管又はケーブルが挿入される、
項目1から5のいずれか1項に記載の耐火スリーブ。
【0014】
(項目7)
前記配管は、鋼管、保温材で覆われた鋼管、プラスチック管、保温材で覆われたプラスチック管、CD管、保温材で覆われたCD管、又は、モルタル被覆である、
項目6に記載の耐火スリーブ。
【0015】
(項目8)
前記耐火スリーブは、前記配管又はケーブルが隙間なく挿入されるような内径を有する、
項目6又は7に記載の耐火スリーブ。
【0016】
(項目9)
前記耐火スリーブは、前記配管又はケーブルとの間に隙間が存在するような内径を有する、
項目6又は7に記載の耐火スリーブ。
【0017】
(項目10)
項目9に記載の耐火スリーブを使用した、木質系耐火構造の壁又は床の貫通孔の処理方法であって、
前記隙間を不燃材料から成る埋戻し材で埋め戻す工程を含む、
処理方法。
【0018】
(項目11)
前記埋戻し材は、黒鉛膨張フェルト、アルカリアースシリケート繊維フェルト、又はロックウールフェルトである、
項目10に記載の処理方法。
【0019】
(項目12)
項目1又は項目3から9のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法であって、
金型を準備する工程と、
前記金型の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる内側スリーブを形成する工程と、
前記内側スリーブの外面に前記補強材を被せる工程と、
前記本体部の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる外側スリーブを形成し、耐火スリーブ予備体を形成する工程と、
前記耐火スリーブ予備体を前記金型から脱枠して乾燥させる工程と、
を含む製造方法。
【0020】
(項目13)
項目2から9のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法であって、
前記本体部の外面に、抄造により、前記耐火スリーブ本体の一部となる外側スリーブを形成し、耐火スリーブ予備体を形成する工程と、
前記耐火スリーブ予備体を乾燥させる工程と、
を含む製造方法。
【0021】
(項目14)
項目1から9のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法であって、
型内に前記補強材を配置する工程と、
型内に前記耐火スリーブ本体の原料を流し込んで固化させる工程と、
を含む製造方法。
【0022】
(項目15)
項目1から9のいずれか1項に記載の耐火スリーブの製造方法であって、
前記本体部に、前記耐火スリーブ本体の原料を吹き付ける工程を含む、
製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の耐火スリーブでは、金属製の本体部が耐火スリーブ本体の内部に埋め込まれているか、又は耐火スリーブ本体の内側に配置されており、本体部は耐火スリーブの外面に露出していない。そのため、本発明の耐火スリーブを防火区画貫通部材として使用したとき、木質系耐火構造の壁又は床への熱伝達を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明の耐火スリーブ10について説明する。
図1は、耐火スリーブ10の斜視図である。
図2は、耐火スリーブ10の使用状態の斜視図である。耐火スリーブ10は、木質系耐火構造の壁・床100の防火区画貫通部材として使用される。すなわち、耐火スリーブ10は、木質系耐火構造の壁・床100に開けられた貫通孔に配管又はケーブルを通す際に、貫通孔の内面と配管又はケーブルとの間に配置され、当該貫通孔を介しての延焼を防ぐために使用される。
【0026】
図1に示すように、耐火スリーブ10は、円筒状の耐火スリーブ本体1と、金属製の補強材2と、を備える。補強材2は、円筒状の本体部21と、本体部21の軸方向端部に設けられた取付部22と、を備える。本体部21は、耐火スリーブ本体1の内部に埋設されている。
図2に示すように、取付部22は、耐火スリーブ10を所定の位置に配置する際に、耐火スリーブ10を壁・床100に固定するために使用される。
【0027】
一実施形態において、耐火スリーブ10(耐火スリーブ本体1)内には、
図2に示すように、配管・ケーブル200が挿入される。配管は、例えば、鋼管、保温材で覆われた鋼管、プラスチック管、保温材で覆われたプラスチック管、CD管、保温材で覆われたCD管、又は耐火二層管などのモルタル被覆管である。ケーブルは、例えば、電線ケーブルや光ファイバケーブルである。
【0028】
耐火スリーブ本体1は、断熱材料及び/又は不燃材料から成る。一実施形態において、耐火スリーブ本体1は、主原料として、繊維材と、混和材と、連結剤と、を含む。繊維材としては、例えばガラス繊維、ロックウール又はセラミック繊維等の無機繊維、パルプ等の有機繊維が挙げられる。混和材としては、例えば、活性白土、けい藻土、石膏、粘土、カオリン、カルシウムベントナイトが挙げられる。連結剤としては、例えば、澱粉又はスターチ、アクリル、ゴム、シリコン等のエマルジョン、無機質エマルジョン、ラテックス等のエラストマーが挙げられる。無機質エマルジョンを配合することは防火上好ましい。耐火スリーブ本体1がこのような材料から構成されることにより、耐火スリーブ10は柔軟性を有する。
【0029】
耐火スリーブ本体1は、全体が中性であることが好ましい。一実施形態において、繊維材をアルカリ性、混和材を酸性とすることにより、あるいは、繊維材を酸性、混和材をアルカリ性とすることにより、耐火スリーブ本体1を中性化(すなわち、耐火スリーブ10を中性化)することができる。
【0030】
一実施形態において、耐火スリーブ10の内径は、配管・ケーブル200を耐火スリーブ10内に挿入したときに、耐火スリーブ10の内面と配管・ケーブル200の外面との間に隙間がないような大きさである。
【0031】
一実施形態において、耐火スリーブ10の内径は、配管・ケーブル200を耐火スリーブ10内に挿入したときに、耐火スリーブ10の内面と配管・ケーブル200の外面との間に隙間が存在するような大きさである。耐火スリーブ10がこのような大きさの内径を有する場合、耐火スリーブ10と配管・ケーブル200との間の隙間は、不燃材料から成る埋戻し材によって埋め戻される。埋戻し材は、例えば、黒鉛膨張フェルト、アルカリアースシリケート繊維フェルト、又はロックウールフェルトである。
【0032】
なお、上記において、耐火スリーブ10の内径とは、
図1に示す耐火スリーブ10では耐火スリーブ本体1の内径のことであり、後述する
図4に示す耐火スリーブ10では本体部21の内径のことである。また、耐火スリーブ10の内面とは、
図1に示す耐火スリーブ10では耐火スリーブ本体1の内面のことであり、後述する
図4に示す耐火スリーブ10では本体部21の内面のことである。
【0033】
補強材2は、ステンレス製、メッキ鋼板製、アルミニウム製、アルミニウム合金製であることが好ましい。
図1に示すように、本体部21は、複数の開口部を備える。一実施形態において、本体部21は、金網から成る。開口部の形状は特に限定されず、例えば、長方形、正方形、菱形、五角形若しくは六角形などの多角形、又は、真円若しくは楕円などの丸形である。本体部21の開口率(本体部21の表面積に対する開口部の総開口面積の割合)は、45%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。開口率が高くなることにより、耐火スリーブ10全体に占める金属の割合が減るため、熱伝導を抑えることができると共に、材料コストを抑えることができる。
【0034】
図3を参照して、
図1に示す耐火スリーブ10の製造方法について説明する。一例として、耐火スリーブ10を抄造により製造する方法について説明する。
(a)金型300を準備する。金型300の下部には排水ホース400が接続されている。
(b)金型300の外面に、抄造により、耐火スリーブ本体1の一部となる内側スリーブ1Aを形成する。
(c)内側スリーブ1Aの外面に補強材2を被せる。
(d)本体部21の外面に、抄造により、耐火スリーブ本体1の一部となる外側スリーブ1Bを形成する。これにより、耐火スリーブ予備体10’が形成される。
(e)耐火スリーブ予備体10’を金型300から脱枠し、乾燥させると、耐火スリーブ10が完成する。
【0035】
本発明の耐火スリーブ10は以下の特徴を有する。
【0036】
本発明の耐火スリーブ10では、本体部21が耐火スリーブ本体1内に埋設されている。そのため、耐火スリーブ10を防火区画貫通部材として使用したとき、木質系耐火構造の壁・床100への熱伝達を低下させることができ、火災の延焼を防ぐことができる。
【0037】
耐火スリーブ10が柔軟性を有していることにより、耐震性を向上させることができる。
【0038】
耐火スリーブ10が中性であることにより、補強材2や配管・ケーブル200の腐食を防止することができる。
【0039】
本体部21の開口率が45%以上、好ましくは95%以上であることにより、耐火スリーブ10全体に占める金属の割合を減らして熱伝導を抑えることができると共に、材料コストを抑えることができる。
【0040】
上記実施形態は、本発明の好ましい一具体例を示すものである。本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。本発明は、例えば以下に示す変形例を採用することができる。以下で説明する変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0041】
(1)耐火スリーブ本体1及び本体部21の形状は、円筒状に限定されず、楕円筒状、又は四角筒、五角筒若しくは六角筒などの多角形の角筒状であってもよい。
【0042】
(2)耐火スリーブ本体1は、膨張黒鉛を含んでいてもよい。これにより、遮熱性を向上させることができる。
【0043】
(3)取付部22は、本体部21の反対側の端部にも設けられていてもよい。
【0044】
(4)
図4に示すように、本体部21は、耐火スリーブ本体1の内側に配置されていてもよい。
図4に示す耐火スリーブ10では、本体部21は、耐火スリーブ本体1の内側に露出している。
図4に示す耐火スリーブ10は、例えば、本体部21の外面に、抄造により、耐火スリーブ本体1の一部となる外側スリーブを形成して耐火スリーブ予備体を形成し、その後、耐火スリーブ予備体を乾燥させることにより製造することができる。
【0045】
図4に示す耐火スリーブ10においても、本体部21は耐火スリーブ本体1の外側には露出していない。したがって、耐火スリーブ10を防火区画貫通部材として使用したとき、木質系耐火構造の壁・床100への熱伝達を低下させることができ、火災の延焼を防ぐことができる。
【0046】
(5)耐火スリーブ10の製造方法としては、型内に補強材2をセットし、耐火スリーブ本体1の原料を型内に流し込んで固めるモールド法や、本体部21に耐火スリーブ本体1の原料をガンなどによって吹き付ける吹付法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 耐火スリーブ
10’ 耐火スリーブ予備体
1 耐火スリーブ本体
1A 内側スリーブ
1B 外側スリーブ
2 補強材
21 本体部
100 壁・床
200 配管・ケーブル
300 金型