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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】護岸工法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/14 20060101AFI20240725BHJP
   E02B 3/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E02B3/14 301
E02B3/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020203832
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091183
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000126447
【氏名又は名称】アスザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正徳
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-240550(JP,A)
【文献】特開平11-006130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/14
E02B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状のコンクリートブロックの四隅部分を所定範囲にわたって切り落とした隅端縁のそれぞれに連結具が植設され、平面視八角形をなす複数種類の護岸用コンクリートブロックを護岸対象法面に敷設すると共に、互いに隣接する前記護岸用コンクリートブロックの前記連結具どうしを連結することにより一体化する護岸工法であって、
前記護岸対象法面の法長方向に沿う端縁部分が所要幅の範囲で他の部分よりも突出する法長方向突出部と、前記法長方向突出部の基部において平坦面に形成された平坦面部、および前記連結具を有する第1護岸用コンクリートブロックと、
前記法長方向突出部と、前記法長方向突出部と直交する前記端縁部分が所定幅の範囲で前記法長方向突出部と同じ高さに突出する法長直交方向突出部と、前記平坦面部、および前記連結具を有する第2護岸用コンクリートブロックと、
前記法長方向突出部と、前記法長直交方向突出部と、前記平坦面部、前記法長直交方向突出部の上端部から前記平坦面部の上面に至る傾斜面部、および前記連結具を有する第3護岸用コンクリートブロックと、
前記法長方向突出部と同じ法長方向寸法および前記所要幅と同じ幅寸法に形成されていると共に前記連結具を有する第4護岸用コンクリートブロックと、を用い、
前記護岸対象法面の施工延長方向における始端位置において、前記法長方向突出部を前記始端位置に一致させた配置で前記法長方向の法尻から法肩に向けて少なくとも1個の前記第1護岸用コンクリートブロックを敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、
前記法尻から前記法長方向において所定間隔をあけた位置に、前記第1護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の端縁に前記第2護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、
前記第2護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の前記端縁に前記第3護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、
前記第3護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の前記端縁に少なくとも1個の前記第1護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、を繰り返し実行して前記法尻から前記法肩までを前記第1護岸用コンクリートブロック、前記第2護岸用コンクリートブロック、および前記第3護岸用コンクリートブロックにより被覆する第1ユニットを構築する第1ユニット構築工程と、
前記第1ユニット構築工程を前記護岸対象法面の護岸延長方向に予め設定したユニット数になるまで繰り返し実行する工程と、
前記護岸延長方向における前記第1ユニットの敷設済み端縁において前記法長方向に複数個の前記第4護岸用コンクリートブロックを前記法長方向突出部と平行な配置で敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結して前記護岸延長方向の所要範囲を被覆する第2ユニットを構築する第2ユニット構築工程と、
前記第2ユニット構築工程を、前記護岸延長方向において予め設定したユニット数になるまで繰り返し実行することを特徴とする護岸工法。
【請求項2】
互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程は、前記連結具とは別体の連結手段によって行われることを特徴とする請求項1記載の護岸工法。
【請求項3】
前記連結具どうしを連結した後、前記連結具を間詰コンクリートに埋設させる連結具埋設工程をさらに有していることを特徴とする請求項1または2記載の護岸工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は護岸工法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川、湖沼および海における岸辺の法面を水の浸食から保護するための護岸工法においては、特許文献1(特開2002-173927号公報)に開示されているように、いわゆるコンクリート二次製品を法面に敷設する工法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-173927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている護岸工法は、法面に敷設するコンクリート二次製品が枠体のみであるため、法面に枠体を敷設した後に、枠体で囲まれた部分(法面が露出している部分)に間詰コンクリートを現場打ちしなければならない。このように間詰コンクリートを現場打ちすることにより、コンクリート表面の均し作業が必要になるが、傾斜面でのコンクリート表面の均し作業は特殊な技能であるため作業員の確保が困難であり、たとえ作業員を確保できたとしても作業効率が悪いといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、護岸工法において法面の被覆体をすべてコンクリート二次製品で構成し、現場打ちコンクリート作業を不要とし、作業員の確保を容易にすると共に作業効率の向上が可能な護岸工法の提案を目的とする。
【0006】
すなわち本発明は、平面視矩形状のコンクリートブロックの四隅部分を所定範囲にわたって切り落とした隅端縁のそれぞれに連結具が植設され、平面視八角形をなす複数種類の護岸用コンクリートブロックを護岸対象法面に敷設すると共に、互いに隣接する前記護岸用コンクリートブロックの前記連結具どうしを連結することにより一体化する護岸工法であって、前記護岸対象法面の法長方向に沿う端縁部分が所要幅の範囲で他の部分よりも突出する法長方向突出部と、前記法長方向突出部の基部において平坦面に形成された平坦面部、および前記連結具を有する第1護岸用コンクリートブロックと、前記法長方向突出部と、前記法長方向突出部と直交する前記端縁部分が所定幅の範囲で前記法長方向突出部と同じ高さに突出する法長直交方向突出部と、前記平坦面部、および前記連結具を有する第2護岸用コンクリートブロックと、前記法長方向突出部と、前記法長直交方向突出部と、前記平坦面部、前記法長直交方向突出部の上端部から前記平坦面部の上面に至る傾斜面部、および前記連結具を有する第3護岸用コンクリートブロックと、前記法長方向突出部と同じ法長方向寸法および前記所要幅と同じ幅寸法に形成されていると共に前記連結具を有する第4護岸用コンクリートブロックと、を用い、前記護岸対象法面の施工延長方向における始端位置において、前記法長方向突出部を前記始端位置に一致させた配置で前記法長方向の法尻から法肩に向けて少なくとも1個の前記第1護岸用コンクリートブロックを敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、前記法尻から前記法長方向において所定間隔をあけた位置に、前記第1護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の端縁に前記第2護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、前記第2護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の前記端縁に前記第3護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、前記第3護岸用コンクリートブロックの前記法肩の側の前記端縁に少なくとも1個の前記第1護岸用コンクリートブロックを、前記法長方向突出部どうしが同一直線上配置となるように敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程と、を繰り返し実行して前記法尻から前記法肩までを前記第1護岸用コンクリートブロック、前記第2護岸用コンクリートブロック、および前記第3護岸用コンクリートブロックにより被覆する第1ユニットを構築する第1ユニット構築工程と、前記第1ユニット構築工程を前記護岸対象法面の護岸延長方向に予め設定したユニット数になるまで繰り返し実行する工程と、前記護岸延長方向における前記第1ユニットの敷設済み端縁において前記法長方向に複数個の前記第4護岸用コンクリートブロックを前記法長方向突出部と平行な配置で敷設し、互いに隣接する前記連結具どうしを連結して前記護岸延長方向の所要範囲を被覆する第2ユニットを構築する第2ユニット構築工程と、前記第2ユニット構築工程を、前記護岸延長方向において予め設定したユニット数になるまで繰り返し実行することを特徴とする護岸工法である。
【0007】
これにより、護岸工法において法面の被覆体をすべてコンクリート二次製品で構成し、現場打ちコンクリート作業を不要とし、特殊作業員の確保が不要であり、作業効率を向上させることが可能になる。
【0008】
また、互いに隣接する前記連結具どうしを連結する工程は、前記連結具とは別体の連結手段によって行われることが好ましい。
【0009】
これにより、第1護岸用コンクリートブロック乃至第4護岸用コンクリートブロックの連結具を第1護岸用コンクリートブロック乃至第4護岸用コンクリートブロックの外周縁から大きくはみ出させなくて済むため、第1護岸用コンクリートブロック乃至第4護岸用コンクリートブロックを互いに密着させた状態で法面に敷設することができ、工事後の外観を向上させることができる。
【0010】
また、前記連結具どうしを連結した後、前記連結具を間詰コンクリートに埋設させる連結具埋設工程をさらに有していることが好ましい。
【0011】
これにより、連結具部分が間詰コンクリートにより目隠しされ、工事後の外観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明における護岸工法の構成によれば、法面の被覆体をすべてコンクリート二次製品で構成することができ、現場打ちコンクリート作業を不要にすることで、特殊作業員の確保が不要であって、護岸工事における作業効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における護岸工法に用いられる第1護岸用コンクリ―トブロックの外形説明図である。
図2】本実施形態における護岸工法に用いられる第2護岸用コンクリ―トブロックの外形説明図である。
図3】本実施形態における護岸工法に用いられる第3護岸用コンクリ―トブロックの外形説明図である。
図4】本実施形態における護岸工法に用いられる第4護岸用コンクリ―トブロックの外形説明図である。
図5】本実施形態における護岸工法の施工図であり、護岸対象法面を整形し、均しコンクリートおよび基礎を敷設した状態を示す展開図である。
図6図5に続く施工図であり、基礎から法肩に向けて第1護岸用コンクリートブロックを敷設した状態を示す展開図である。
図7図6に続く施工図であり、第1護岸用コンクリートブロックの法肩の側の端縁に第2護岸用コンクリートブロックを敷設した状態を示す展開図である。
図8図7に続く施工図であり、第2護岸用コンクリートブロックの法肩の側の端縁に第3護岸用コンクリートブロックを敷設した状態を示す展開図である。
図9図8に続く施工図であり、第3護岸用コンクリートブロックの法肩の側の端縁に第1護岸用コンクリートブロックを敷設した状態を示す展開図である。
図10図9に続く施工図であり、第1護岸用コンクリートブロックの法肩の側の端縁に第3護岸用コンクリートブロックと第1護岸用コンクリートブロックを記載順に敷設して第1ユニットを構築した状態を示す展開図である。
図11図10に続く施工図であり、護岸対象法面の護岸延長方向に第1ユニットを複数敷設した状態を示す展開図である。
図12図11に続く施工図であり、第4護岸用コンクリートブロックを敷設し、第2ユニットを構築した状態を示す展開図である。
図13図12に続く施工図であり、護岸対象法面の護岸延長方向に第2ユニットを複数敷設した状態を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態においては、河川の護岸工事に本発明を適用した実施形態について説明を行うものとする。なお、本発明は河川の護岸工事に限定されるものではなく、湖沼や海の護岸工事においても適用することができる。
【0015】
本護岸工法に用いる第1護岸用コンクリートブロックについて図1を参照しながら説明する。第1護岸用コンクリートブロック10は、平面視矩形状をなすコンクリートブロックの四隅部分を所定範囲にわたって切り落とした形状であって、4つの隅端縁12を有する平面視八角形に形成されている。第1護岸用コンクリートブロック10の隅端縁12のそれぞれには、U字状をなす連結具14における開口部の所要長さ範囲が埋設された状態で取り付けられている。連結具14の屈曲部分の先端位置は、隅端縁12が形成される前のコンクリートブロックの外周縁(図1の平面図における破線)の範囲内に納められている。また、第1護岸用コンクリートブロック10には、護岸対象法面N(図5参照)の法長方向に沿う端縁部分の一方が所要幅で他の部分よりも高さ方向に突出する法長方向突出部16と、法長方向突出部16の起立基部において法長方向突出部16の高さよりも低背の平坦面に形成された平坦面部18とを有している。
【0016】
次に、本実施形態における第2護岸用コンクリートブロック20について図2を参照しながら説明する。第2護岸用コンクリートブロック20は、第1護岸用コンクリートブロック10と同様にして平面視八角形状に形成されている。第2護岸用コンクリートブロック20の隅端縁22のそれぞれには、第1護岸用コンクリートブロック10と同様にして連結具24が取り付けられている。第2護岸用コンクリートブロック20にも第1護岸用コンクリートブロック10と同様の法長方向突出部26が形成されている。また、法長方向突出部26と同一平面内における直交方向の端縁部分の一方が所定幅の範囲で法長方向突出部26と同じ突出高さに突出する法長直交方向突出部27が法長方向突出部26と一体に形成されている。また、第2護岸用コンクリートブロック20には、法長方向突出部26および法長直交方向突出部27の起立基部において、法長方向突出部26および法長直交方向突出部27の高さよりも低背の平坦面に形成された平坦面部28が形成されている。
【0017】
次に図3を参照しながら、本実施形態における第3護岸用コンクリートブロック30について説明する。第3護岸用コンクリートブロック30は、第1護岸用コンクリートブロック10と同様にして平面視八角形状に形成されている。第3護岸用コンクリートブロック30の隅端縁32のそれぞれには、第1護岸用コンクリートブロック10と同様にして連結具34が取り付けられている。第3護岸用コンクリートブロック30にも第1護岸用コンクリートブロック10と同様の法長方向突出部36が形成されている。また、この法長方向突出部36と同一平面内において法長方向突出部36と直交方向の端縁部分の一方が所定幅の範囲で法長方向突出部36と同じ突出高さに突出する法長直交方向突出部37が法長方向突出部36と一体に形成されている。
【0018】
また、法長方向突出部36および法長直交方向突出部37の起立基部において、法長方向突出部36および法長直交方向突出部37の高さよりも低背の平坦面に形成された平坦面部38が形成されている。さらには、法長直交方向突出部37の上端部から平坦面部38の上面に至る傾斜面部39が法長直交方向突出部37に平行な平坦面部38の所要範囲にわたって形成されている。
【0019】
次に図4を参照しながら、本実施形態における第4護岸用コンクリートブロック40について説明する。第4護岸用コンクリートブロック40は、第1護岸用コンクリートブロック10の基本形態と同様に平面視八角形状をなしている。第4護岸用コンクリートブロック40の隅端縁42のそれぞれには、第1護岸用コンクリートブロック10と同様にして連結具44が取り付けられている。このように本実施形態における第4護岸用コンクリートブロック40は基本形態が八角柱をなし、平面視した際における外周縁に対して一つ置きに連結具44が取り付けられたものである。また、第4護岸用コンクリートブロック40は第1護岸用コンクリートブロック10の法長方向突出部16と同じ法長方向寸法、幅寸法および高さ寸法に形成されている。
【0020】
本実施形態においては、以上に説明した第1護岸用コンクリートブロック10乃至第4護岸用コンクリートブロック40を所定の敷設パターンで護岸対象法面Nに敷設し、互いに隣接する連結具(14,24,34,44)どうしを連結して一体化することで護岸工を形成している。
【0021】
次に本実施形態における護岸工法について説明する。図5に示すように護岸対象法面Nの表面を整形し、所定厚さで均しコンクリートNCを敷設する。均しコンクリートNCの表面には、第1護岸用コンクリートブロック10乃至第4護岸用コンクリートブロック40のそれぞれの敷設位置を墨出ししておくこともできる。また、本実施形態においては、図5に示すように護岸対象法面Nの法尻NJに基礎工Kを敷設することもできる。この基礎工Kは、公知のコンクリート二次製品を法尻NJの所定位置に敷設すればよく、必要に応じてアンカー工(図示せず)を施してもよい。基礎工Kを敷設した後、図6に示すように基礎工Kを基点として法長方向に(法肩NKに向かって)第1護岸用コンクリートブロック10を敷設する。なお、図6以降は表示を簡略化するため、均しコンクリートNCの表示を省略している。
【0022】
第1護岸用コンクリートブロック10は、法長方向突出部16を護岸対象法面Nの施工対象範囲の始端位置に位置合わせした状態で護岸対象法面Nに敷設される。そして、互いに隣接する基礎工Kの連結具KRと第1護岸用コンクリートブロック10の連結具14どうしを図示しない連結手段を用いて連結する。また、本実施形態においては、互いに隣接する基礎工Kの連結具と第1護岸用コンクリートブロック10の連結具14を間詰コンクリートMCにより埋設(連結具埋設工程)している。
【0023】
本実施形態においては、第1護岸用コンクリートブロック10を基礎工Kから法肩NKの法長方向に5個(複数個)連続させて敷設し、それぞれの第1護岸用コンクリートブロック10における法長方向突出部16どうしが法長方向における同一直線上配列となるように敷設している。また、法長方向において互いに隣接する第1護岸用コンクリートブロック10どうしは、各々に設けられている連結具14どうしを連結手段により連結することによって一体化されている。互いに隣接する第1護岸用コンクリートブロック10の隅端縁12で囲まれた部分(連結具14がある部分)に間詰コンクリートMCを打設し、間詰コンクリートMCに連結具14を埋設させてもよい。
【0024】
続いて図7に示すように、法尻NJから法長方向における所定間隔をあけた位置である、法尻NJから5つ目の第1護岸用コンクリートブロック10の法肩NKの側の端縁に第2護岸用コンクリートブロック20の法尻NJの側の端縁を当接させ、第2護岸用コンクリートブロック20の法長方向突出部26を護岸対象法面Nの施工対象範囲の始点位置に位置合わせした状態で敷設する。これにより、法長方向において第1護岸用コンクリートブロックの法長方向突出部16と第2護岸用コンクリートブロック20の法長方向突出部26が同一直線上に配置される。第1護岸用コンクリートブロック10と第2護岸用コンクリートブロック20の連結は、互いに隣接する連結具14および連結具24を連結手段により連結することによって一体化されている。また、互いに隣接する連結具14および連結具24は間詰コンクリートMCに埋設させてもよい。
【0025】
続いて図8に示すように、第2護岸用コンクリートブロック20の法肩NKの側の端縁に、法長方向に沿って第3護岸用コンクリートブロック30の法尻NJの側の端縁を当接させ、第3護岸用コンクリートブロック30の法長方向突出部36を護岸対象法面Nの施工対象範囲の始点位置に位置合わせした状態で敷設する。これにより、法長方向において第1護岸用コンクリートブロックの法長方向突出部16と第2護岸用コンクリートブロック20の法長方向突出部26と第3護岸用コンクリートブロック30の法長方向突出部36が同一直線上に配置される。また、法長直交方向においては、第2護岸用コンクリートブロック20の法長直交方向突出部27と第3護岸用コンクリートブロック30の法長直交方向突出部37が隣接した状態で平行に配設される。ここでは、法長直交方向突出部27と法長直交方向突出部37の短手方向の幅寸法の和が法長方向突出部36の短手方向の幅寸法と等しく形成されている。そして互いに隣接する連結具34と連結具24を連結手段により連結することによって一体化している。
【0026】
続いて図9に示すように第3護岸用コンクリートブロック30の法肩NKの側の端縁に第1護岸用コンクリートブロック10を敷設し、互いに隣接する連結具34と連結具14を連結する。本実施形態においては、さらに第2護岸用コンクリートブロック20を1個、第1護岸用コンクリートブロック10を1個、記載順に法肩NKの側に敷設して互いに隣接する連結具14、連結具24、連結具34を連結し一体化する。このようにして図10に示すように、第1護岸用コンクリートブロック10、第2護岸用コンクリートブロック20、および第3護岸用コンクリートブロック30を用いて護岸対象法面Nの法尻NJから法肩NKまでを被覆した第1ユニットU1が構築される。このように護岸対象法面Nを法尻NJから法肩NKまでを第1護岸用コンクリートブロック10、第2護岸用コンクリートブロック20、および第3護岸用コンクリートブロック30で被覆する工程が第1ユニット構築工程となる。
【0027】
このようにして構築された第1ユニットU1を護岸対象法面Nの護岸延長方向に予め設定されたユニット数になるまで繰り返し実行する。本実施形態においては、図11に示すように第1ユニットU1を護岸延長方向に5ユニット敷設した。図12に示すように5つの第1ユニットU1を敷設した後、第1ユニットU1の敷設済み端縁に沿って第4護岸用コンクリートブロック40を法長方向に敷設する。このとき第4護岸用コンクリートブロック40の長手方向を既設の第1護岸用コンクリートブロック10乃至第3護岸用コンクリートブロック30の法長方向突出部(16,26,36)と平行にした状態で敷設する。そして、第4護岸用コンクリートブロック40の連結具44と第1ユニットU1における連結具14、連結具24、または、連結具34とを連結手段を用いて連結し、第4護岸用コンクリートブロック40を第1ユニットU1に一体化して第2ユニットU2を構築する。このように複数の第1ユニットU1の敷設と、第4護岸用コンクリートブロック40を敷設する工程が第2ユニット構築工程となる。
【0028】
以上のような第2ユニットU2を構築することにより、護岸対象法面Nの法長方向における所要位置に法長方向と直交する方向(施工延長方向)に第3護岸用コンクリートブロック30の傾斜面部39による滑り止めが形成され、法長方向における歩行の安全を確保することができる。また、連結具44と連結具14、連結具24、または、連結具34との連結部分はこの部分に打設した間詰コンクリートMCにより埋設させることもできる。このようにして構築した第2ユニットU2は、図13に示すように護岸延長方向に予め設定したユニット数になるまで繰り返し敷設される。本実施形態においては2つの第2ユニットU2からなる法面被覆体NHTによる護岸対象法面Nの被覆が完了した。また、法肩NK部分に敷設した第1護岸用コンクリート10の敷設方向終端部側の端縁に沿って保護工(図示はせず)を構築することもできる。保護工は基礎工Kと同様に施工することができる。
【0029】
本実施形態における法面被覆体NHTにおいては、第2護岸用コンクリートブロック20の法長直交方向突出部27と第3護岸用コンクリートブロック30の法長直交方向突出部36が隣接した状態で平行に配設されているため、法長方向において最も法尻NJの側のすべり止め部分である傾斜面39の位置を分かりやすくすることができる点において好都合である。また、先にも説明したように、法長直交方向突出部27と法長直交方向突出部37の短手方向の幅寸法の和が法長方向突出部36の短手方向の幅寸法と等しく形成されているため、縦横の幅寸法が等しい見た目に美しい格子状の法面被覆体NHTを構築することができる。
【0030】
以上に説明したとおり、本実施形態における護岸工法によれば、護岸対象法面Nに第1護岸用コンクリートブロック10乃至第4護岸用コンクリートブロック40(複数種類の護岸用コンクリートブロック)を所定の敷設パターンに基づいて敷設し、互いに隣接する連結具14、連結具24、連結具34、および連結具44を連結手段により連結するだけで護岸対象法面Nを被覆する法面被覆体NHTを構築することができ、法面(傾斜面)における現場打コンクリート工を不要にすることができる。これにより、護岸工法を行うにあたり特殊作業員を手配する必要がなく、傾斜面での作業を最小限にすることができる。また、現場打ちコンクリート工が無いことにより、護岸工事の施工速度の向上ができると共に、護岸工事の時期が河川の水量が減少する冬期間に限定されることもないため、施工期間の平準化を図ることも可能になる点で好都合である。
【0031】
以上に本実施形態における護岸工法およびこの工法により構築される法面被覆体NHTについて説明したが、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、護岸対象法面Nの法面長さは護岸延長方向において一定である形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。護岸対象法面Nの法面長さが護岸延長方向において異なる場合には、河川の勾配に合わせて第2護岸用コンクリートブロック20および第3護岸用コンクリートブロック30の法肩NKからの法面長さ方向における位置が一定の位置となるように敷設し、第2護岸用コンクリートブロック20の法尻NJの側および法肩NKの側に法面長さに応じて少なくとも一つの第1護岸用コンクリートブロック10乃至第3護岸用コンクリートブロック30を敷設した形態を採用することもできる。
【0032】
また、本実施形態においては、法尻NJの基礎工Kから法肩NKに向けて5つの第1護岸用コンクリートブロック10を配設した後、すべり止め部分となる第2護岸用コンクリートブロック20および第3護岸用コンクリートブロック30を5個目の第1護岸用コンクリートブロック10における法肩NKの側に記載順に1個ずつ敷設し、法肩NKの側にさらに第3護岸用コンクリートブロック30と第1護岸用コンクリートブロック10を記載順に1個ずつ敷設して第1ユニットU1を構築しているが、以上の第1護岸用コンクリートブロック10乃至第3護岸用コンクリートブロック30の敷設組み合わせに限定されるものではない。法尻NJから法肩NKまでの間に第3護岸用コンクリートブロック30を法長方向に所要間隔をあけて複数箇所に配設して第1ユニットU1を構築することもできる。また、第2ユニットU2の具体的な敷設形態も本実施形態の敷設組み合わせに限定されるものではない。護岸対象法面Nの法面長さや護岸延長方向に応じて法面被覆体NHTを構成する第1ユニットU1および第2ユニットU2の具体的な組み合わせは適宜変更することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、互いに隣接する連結具14、連結具24、連結具34および連結具44どうしを連結する際に、図示しない連結手段を用いて連結する形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。互いに隣接する連結具14、連結具24、連結具34および連結具44の隅端縁12、隅端縁22、隅端縁32および隅端縁42からの突出高さを互いに隣接する連結具14、連結具24、連結具34および連結具44で重複可能な高さに増やすと共にカラビナ形状に形成し、互いの連結具14、連結具24、連結具34および連結具44を直接連結させる形態を採用することもできる。
【0034】
さらに、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 第1護岸用コンクリートブロック
12 隅端縁
14 連結具
16 法長方向突出部
18 平坦面部
20 第2護岸用コンクリートブロック
22 隅端縁
24 連結具
26 法長方向突出部
27 法長直交方向突出部
28 平坦面部
30 第3護岸用コンクリートブロック
32 隅端縁
34 連結具
36 法長方向突出部
37 法長直交方向突出部
38 平坦面部
39 傾斜面部
40 第4護岸用コンクリートブロック
42 隅端縁
44 連結具
K 基礎工
KR 連結具
N 護岸対象法面
MC 間詰コンクリート
U1 第1ユニット
U2 第2ユニット
NHT 法面被覆体
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