(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】内視鏡デバイスの取り外しシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B1/00 650
(21)【出願番号】P 2021539381
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 US2020012251
(87)【国際公開番号】W WO2020142736
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2019-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517421769
【氏名又は名称】ジーアイ・サイエンティフィック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GI SCIENTIFIC, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ミラー スコット
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-127578(JP,A)
【文献】特表2017-532136(JP,A)
【文献】特開平07-199089(JP,A)
【文献】特開2015-211730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0036586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡器具からデバイスを取り外すためのシステムであって、
中心部分及び前記中心部分に移動可能に結合された第1及び第2の把持アームを含む本体を有し、前記デバイスを把持するための取り外し要素と、
前記取り外し要素に結合され、前記デバイス内の開口部の中へ前進するよう構成された突出部分を有する挿入デバイスと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記突出部分は、前記デバイスの内部チャネルを通って前進するよう構成された細長いシャフトである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記細長いシャフトは、当該細長いシャフトの少なくとも一部分の外径が前記デバイスの前記内部チャネルの中への前進により減少するように、折り畳み可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記挿入デバイスの中へ挿入するよう構成された拡張器具をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記挿入デバイスは、前記拡張器具を受け入れるための内部開口チャネルを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記挿入デバイスは、前記内部開口チャネルの中への前記拡張器具の前進により拡張可能である、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記挿入デバイスは、前記細長いシャフトの拡張を可能にする当該細長いシャフトに沿ったスリットを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1及び第2の把持アームは、内面上に隆起部又は指把持要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記挿入デバイスは、前記突出部分上に隆起部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記拡張器具は、拡大遠位ヘッドを有する細長いシャフトを含み、先細の先端で終端する、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
内視鏡器具からデバイスを取り外すためのシステムであって、
前記デバイスを把持するための取り外し要素と、
前記取り外し要素に結合され、前記デバイス内の開口部の中へ前進するよう構成された突出部分を有する挿入デバイスと、
前記突出部分が前記デバイス内で拡張するように、前記突出部分の中へ挿入するよう構成された拡張器具と、
を含む、システム。
【請求項12】
前記突出部分は、前記デバイス内の内部チャネルを通って前進するよう構成された細長いシャフトを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記挿入デバイスの前記細長いシャフトは、当該細長いシャフトの少なくとも一部分の外径が前記デバイスの前記開口部の中への前進により減少できるように、折り畳み可能である、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記挿入デバイスは、前記拡張器具を受け入れるための内部開口チャネルを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記取り外し要素は、中心部分及び前記中心部分に枢動可能に結合された第1及び第2の把持アームを含む本体を有し、前記挿入デバイスの前記細長いシャフトは、
前記拡張器具を受け入れるための内部開口チャネルの中への前記拡張器具の前進により拡張可能である、請求項
12に記載のシステム。
【請求項16】
前記挿入デバイスは、前記シャフトの拡張を可能にする前記細長いシャフトに沿ったスリットを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2の把持アームは、内面上に隆起部を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1及び第2の把持アームは、外面上に指把持要素を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記挿入デバイスは、前記突出部分上に隆起部を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記拡張器具は、拡大遠位ヘッドを有する細長いシャフトを含み、前記拡張器具の前記細長いシャフトは、先細の先端で終端する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月6日出願の米国仮出願第62/788,901号の利益を主張し、その開示内容全体は、全ての目的のために引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、他の医療デバイス、器具、又は構成要素に対して又はこれらの上に取り付けられた医療デバイス、器具、付属品、又は構成要素を取り外すためのシステム及び方法に関し、より詳細には、医療デバイス又は内視鏡から内視鏡デバイスを取り外すためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学撮像技術の近年の進歩は、多くの医療手順が今日低侵襲方式で行われることを可能にしている。高度の視覚的機能を有するより洗練された可撓性スコープの進歩は、以前は侵襲性外科的介入でのみ達成することができた人体の深い領域へのアクセスを可能にしている。この今日の利便性は、内視鏡、腹腔鏡、関節鏡、検眼鏡、又は米国で毎年行われる他の遠隔撮像視覚化手順に対する需要、並びにその数の増加をもたらしている。これらの処置は、比較的安全であるがリスクがないわけではない。
【0004】
内視鏡は、内腔、体腔、又は心臓、肝臓、膵臓、胃、結腸、膀胱、生殖器系及び身体の他の部分のような種々の器官を含む、身体の内部の視覚検査に用いられる医療器具である。一般的な内視鏡は、長くて細く、点灯光学的特徴部を有し、患者の中への導入の容易さ並びに処置時に視覚化をもたらす。内視鏡は、体腔又は器官の検査に加えて治療のために例えば、切断又は焼灼器具などの他の医療デバイス、器具、又は構成要素と一緒に用いることができる。これらの内視鏡併用デバイス又は構成要素の一部は、内視鏡に対して又はその上に配置することができ、数例を挙げると、例えば、内視鏡キャップ、内視鏡シールド、シース、光結合器、レンズ、静脈瘤結束デバイス、及び内視鏡粘膜下切除デバイスである。これらのデバイスは、内視鏡の機能性をさらに強化する及び/又は汚染物質からの保護を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの証拠は、経時的に内視鏡からのこれらの種々のデバイスの連続した取り外しが、内視鏡処置中に生体物質から汚染物質を回避するようにシールされたままであると想定されるエポキシ接合部及び他の領域の緩みをもたらし、さらに内視鏡を無用の摩耗及び引裂にさらすことを示す。これらのシールを維持できないと、生体物質が蓄積する可能性がある領域を生じ、スコープ又は器具の洗浄及び再処理が困難になり、従って、場合によっては、コロニーを形成して危険な薬剤耐性感染症につながる病原体をかくまう傾向があり、スコープ維持費の増加及びスコープの耐用寿命の短縮につながる可能性がある。
【0006】
従って、これらの内視鏡デバイスを内視鏡又は医療器具から効果的に取り外すためのシステムを改善することが望ましであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、正確で、予測可能であり、デバイスが組み込まれた器具又は内視鏡に対する損傷が少ない、器具及び内視鏡からの種々の内視鏡デバイスの取り外しのための取り外しシステムのための長年のニーズに対処するものである。本開示の1つの態様によれば、内視鏡器具からデバイスを取り外すためのシステムは、デバイスを把持するための取り外し要素及び取り外し要素に結合された挿入要素を含む。取り外し要素は、中心部分及びオペレータがデバイス上で堅固な把持を得ることを可能にするために中心部分に移動可能に結合された第1及び第2の把持アームを含む本体を有する。挿入デバイスは、デバイス内の開口部の中への前進のために構成された突出部分を有する。挿入デバイスは、デバイス上の堅固な把持をオペレータに提供する。加えて、オペレータがデバイスの内部から力を加えて内視鏡器具からデバイスを容易に引き抜くことを可能にする。
【0008】
特定の実施形態では、突出部分は、開口部を通ってデバイスの内部チャネルの中に入るように構成された細長いシャフトを含む。好ましくは、挿入デバイスの細長いシャフトは、シャフトの少なくとも一部分がデバイスの内部チャネルを通って進むための小さな直径を有することができるように折り畳み可能(collapsible)である。これは、デバイスの中へのシャフトの前進を容易にし、次に、シャフトが外向きに拡張して、デバイスの内部チャネル内に摩擦嵌めをもたらしてデバイス上により堅固な把持を提供することを可能にする。また、摩擦嵌めは、引き抜かれる場合にユーザがデバイスの内部から力を加えることを可能にする。デバイスの内部から力を加えることで、デバイスの外部から(把持アームを介して)及び挿入デバイスを介して内側から加えられるように、力の付与を分散する。これは、デバイスのいずれかに1つの部分に加えられる局所的な圧力を低減し、正確かつ外傷のない取り外しをもたらす、これによって、器具に対する摩耗及び引裂が減少してエポキシ接合部及び他のシール領域への損傷が最小になる。
【0009】
例示的な実施形態では、シャフトは、デバイスの内部チャネルからの外部圧力によりシャフトが折り畳み可能にするために、実質的に長手方向に延びる1又は2以上のスリットを含む。これは、取り外されるデバイスの中へのシャフトの前進を容易にする。別の例示的な実施形態では、シャフトは、外面の少なくとも一部分上に隆起部を含み、シャフトとデバイスとの間の把持を強化する。
【0010】
特定の実施形態では、取り外しシステムは、挿入デバイスの中への挿入のために構成された拡張器具をさらに含む。好ましくは、拡張器具は、挿入デバイスの内径よりも大きな直径を備えた少なくとも1つの部分を有する(少なくともその折り畳み構成において)。拡張器具は、取り外されるデバイスの内部チャネルに対して挿入デバイスのシャフトを拡張し、これらの間の摩擦嵌めをさらに増加させる。例示的な実施形態では、拡張器具は、シャフトの遠位端部分上に拡大ヘッドを有する細長いシャフトを含む。拡大ヘッドは、挿入デバイスのシャフトを貫通して進む際にこれを拡張する働きをする。例示的な実施形態では、拡張器具は、先細の先端で終端し、挿入デバイスの中への拡張器具の前進を容易にする。
【0011】
特定の実施形態では、第1及び第2の把持アームは、取り外し要素の中心部分に枢動可能に結合され、中心部分に対して実質的に平行な向きから横断方向又は垂直方向の向きに枢動するように構成される。このデザインは、オペレータがデバイスに対して把持アームを枢動することを可能にする。例示的な実施形態では、把持アームは、デバイスに対して追加の把持を提供するためにこれらの内面上に1又は2以上の隆起部をさらに含む。また、把持アームは、外面上に指把持要素を含み、把持アームの取り扱いを容易にすることができる。例示的な実施形態では、指把持要素は、把持アームの各々から横方向外向きに延びる突出部を含む。突出部は、オペレータが湾曲面に対して自分の指を置くのを可能にする湾曲遠位面(遠位はオペレータから離れる面である)を含むことができる。指把持要素は、オペレータに追加のてこ作用を提供し、取り外し要素及びデバイスを内視鏡器具から遠くに引き出すための十分な力を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、取り外されるデバイスは、内視鏡キャップ、内視鏡シールド、シース、光結合器、レンズ、静脈瘤結束デバイス、及び内視鏡粘膜下切除デバイスから成るグループから選択される。例えば、取り外されるデバイスは、内視鏡の遠位又は近位端に取り付けられた光結合器又は内視鏡キヤップなどの内視鏡デバイスとすることができる。
【0013】
本発明の別の態様では、内視鏡器具からデバイスを取り外すための方法は、取り外し要素を用いてデバイスの一部分を把持する段階と、取り外し要素の突出部分をデバイスの開口部の中に挿入する段階と、内視鏡器具からデバイスを引き出すように取り外し要素に力を加える段階とを含む。特定の実施形態では、突出部分は、取り外し要素に結合された細長いシャフトを含む。細長いシャフトは、取り外されるデバイス内の内部チャネルを通って進む。例示的な実施形態では、細長いシャフトは、内部チャネルの中へ進む際に折り畳まれ、デバイスの中へのシャフトの挿入を容易にする。
【0014】
特定の実施形態では、本方法は、デバイスのチャネル又は開口部の中へ挿入された後に細長いシャフトの少なくとも一部分を拡張させる段階をさらに含む。シャフトは、シャフト内の内部チャネルを通って拡張器具を挿入することによって拡張させることができる。膨張器具は、挿入デバイスを拡張する働きをする拡大ヘッドを有する細長いシャフトを含むことができる。
【0015】
特定の実施形態では、本方法は、デバイスの第1及び第2の側面を取り外し要素の第1及び第2の把持アームに接触させる段階をさらに含む。把持アームは、オペレータがデバイスに対する所定位置へ把持アームを枢動するように、取り外し要素の中心部分に枢動可能に結合することができる。取り外し力を加える段階は、デバイスに接触して第1及び第2の把持アームを把持する段階と、取り外し要素の中心部分をデバイスから引き離して内視鏡器具からデバイスを取り外す段階とを含むことができる。
【0016】
以上の全体説明及び以下の詳細説明の両方は、例示的かつ単に説明的であり、本発明の開示の制限ではないことは理解されるものとする。本発明の開示の追加の特徴は、以下に続く説明に一部列挙されることになり、又は本発明の開示の実施によって習得することができる。
【0017】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を例示し、明細書と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本開示による折られていない構成の取り外し要素の外側等図を示す。
【
図1C】
図1Aの取り外し要素の折られた構成の俯瞰図を示す。
【
図3A】本開示による内視鏡器具からデバイスを取り外す方法のある段階を示す。
【
図3B】挿入デバイスを挿入することによって取り外しシステムに内視鏡デバイスを固定するある段階を示す。
【
図3C】取り外す準備ができている取り外しシステム及び内視デバイスの内側等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本説明及び添付の図面は、例示的な実施形態を示し、非限定的であり、特許請求の範囲は、均等物を含む本開示の範囲を定義する。種々の機械的、構成的、構造的、及び操作上の変更は、均等物を含む本説明及び特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。一部の例では、公知の構造及び技術は、本開示を曖昧にしないように詳細に図示又は説明されていない。2又は3以上の図面における同様の参照番号は、同じ又は類似の要素を表す。さらに、1つの実施形態を参照して詳細に説明され要素及びこれに関連する態様は、実施する場合は、これらが具体的に図示又は説明されていない他の実施形態に含めることができる。例えば、要素が1つの実施形態を参照して詳細に説明されて、第2の実施形態を参照して説明されていない場合、要素は、それでもなお第2の実施形態に含まれると主張することができる。さらに、本明細書の記述は単なる例示目的であり、システム又は例示された構成要素の実際の形状、大きさ、又は寸法を必ずしも反映していない。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、「the」、及び何らかの単語の何らかの単数形の使用は、明確に規定しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。本明細書で用いられる場合、用語「含む」及びその文法的変形形態は、非限定的であることが意図されており、リスト中の要素の記述は、列挙された要素に置き換えること又追加することができる他の同様の要素を排除するものではない。
【0021】
本開示は、内視鏡処置で用いる様々なデバイスの正確で、予測可能であり、損傷が少ない取り外しを可能にするシステムを提供する。取り外すことができるデバイスは、例えば、内視鏡キャップ、内視鏡シールド、シース、光結合器、レンズ、静脈瘤結束デバイス、内視鏡粘膜下切除デバイス、バルーン、並びに、内視鏡的に、介入的に、又は器具又は他のデバイスが身体に挿入される他の手順で使用される、内視鏡又は他のデバイス上、その内部、又はそれに対して配置することができる他のデバイスを含む。本開示は、内視鏡の遠位端部分に取り外し可能に結合することができる光結合器及び伝導性光学要素などの内視鏡からデバイスを取り外すのに特に有用である。例えば、本発明のシステム及び方法による取り外しに適した光結合デバイスは、2016年7月21日出願の国際出願番号:PCT/US2016/043371、2016年6月2日出願のPCT/US2016/035566、及び米国特許第8,905,921号で説明され、これらの開示内容全体は、全ての目的のために引用により本明細書に組込まれる。
【0022】
図1A-1Dに示される1つの例示的な実施形態によれば、取り外しシステム100は、取り外されるデバイスの外面又は端部を外傷なく把持してこれに力を加えるように構成された取り外し要素20を含み、ユーザが内視鏡又は器具から取り外しの対象となるデバイスを把持してこれに力を加えることを可能にする。取り外し要素20は、隣接するタブ又は把持アーム26a、26bの両側に配置された中心部分24を有する細長い本体22を備え、把持アーム26a、26bは、刻み目領域29のところで中心部分24に結合する。中心部分24と把持アーム26a、26bとの間の刻み目領域28は、
図1C及び1Dに示すように、中心部分24に対して把持アーム26a、26bを折ること又は枢動させること可能にする。もちろん他の構成も可能である。例えば、把持アーム26a、26bは、ヒンジ又は他の適切な関節機構などの様々な異なる機構によって中心部分24に枢動可能に結合することができる。
【0023】
取り外し要素20の内面32上において、隆起部36又は他の適切な把持要素などの表面突出部は、
図1Bに示すように設けることができ、取り外し対象のデバイスを把持して取り外すための把持及び力の適用を向上させる。システム100の取り外し要素20又は何らかの他の態様は、
図1Aに示すように、システム100を保持してこれに力を加えるのを容易にすることによってシステムの人間工学的態様を改善するために、外面34上に指把持要素38を含むことができる。1つの実施形態では、指把持要素38は、把持アーム26a、26bから外向きに延びる突出部である。これらの突出部は、好ましくは、オペレータの指と接触するように構成された湾曲内面を含み、オペレータは、取り外し要素20を近位方向(又は湾曲面の反対方向)に引っ張る際に把持要素38をしっかりつかまえておくことができる。
【0024】
本開示の1つの態様によれば、
図2に示すように、システム100は、挿入デバイス40をさらに含むことができ、これは、内部チャネルを含む取り外しの対象となる内視鏡シールド、光結合器、内視鏡キャップ、又は他のデバイスのワーキングチャネルの中に挿入することができるコレット又は他の適切な要素とすることができる。挿入デバイス40は、取り外し要素20に取り付け可能とすることができ、挿入要素は、取り外しの対象のデバイスの内部チャネルの中へ進む。もしくは、挿入デバイス40は、取り外し要素20の一体部分とすることができる(すなわち、同じ金型で一緒に製造される)。挿入デバイス40は、好ましくは、スリット44又は他の適切な切り欠き又は設計特徴部を有する細長いシャフト42を含み、これらは、挿入時に挿入デバイス40が折り畳まれる又は別の方法でその細長いシャフト42が縮径するのを可能にする。これによって、挿入デバイス40は、取り外しの対象のデバイスの内部チャネルを貫通して容易に進むことができる。加えて、挿入デバイス40は、次に、デバイスの内部で外向き必然的に拡張して、挿入デバイス40と取り外されるデバイスとの間に摩擦嵌めを引き起こすことになる。この摩擦嵌めにより、ユーザは、引き戻す際にデバイスの内部から力を加えることができる。デバイスの内部から力を加えることは、加えられる力がデバイスの外部から(把持アーム26a、26bを介して)及び挿入デバイス40を介して内部からとなるように、力の付与を分散する。これは、デバイスのいずれか1つの部分へ加えられる局所的な圧力を低減し、正確かつ外傷のない取り外しをもたらす、
【0025】
もちろん、取り外し要素20は、取り外されるデバイスの内部から半径方向の圧力又は力を与えるように構成することができること、又は端部を広げて取り外されるデバイスを捕らえるために用いることができることを理解されたい。換言すると、取り外し要素20は、デバイスを効果的に把持して、開口端部を広げてデバイスをユーザに向かって引っ張ることによって、取り付けられた器具又は内視鏡からデバイスを引き離すために用いることができる。
【0026】
別の実施形態では、挿入デバイス40は、取り外されるデバイスの開口部の中に挿入することができるノブ、フランジ、リップ、延長部、又は他の突出部などの突出部分(図示せず)を含む。これらの実施形態では、突出部分は、開口部の中への挿入により外向きに拡張してデバイスの内部で摩擦嵌めをもたらすように構成される。突出部分は、例えば、ばね又は材料の天然組成物によって外向きに付勢される可撓性材料を含むことができる。ユーザは、突出部分上に力を作用させて、突出部分を折り畳み、それを開口部の中に挿入することができ、それによって、突出部分は、次に、外向きに拡張して摩擦嵌めをもたらす。このような1つの実施形態では、突出部分は、開口部の中への挿入によって外向きに広がるように構成され、突出部分は、ユーザによって引き戻されると、デバイスの近位内面に力を加えるようになっている。これらの実施形態では、挿入デバイス40は、例えば、開口部を有するが、その内部の内部チャネルがないデバイスを取り外すのに用いることができる。
【0027】
一部の実施形態では、挿入デバイス40は、外面上に1又は2以上の隆起部48又は他の表面特徴部又は変形形態を有することができ、デバイスを取り外すために取り外しシステム100が適用される場合に、内部チャネルの中の付着力又は把持力を高めるようになっている。隆起部48は、例えば、シャフト42の外側又は遠位面上に配置することができる。
【0028】
図2に示すように、拡張器具60は、取り外しシステム100と共に使用するために提供することができる。例示的な実施形態の別の態様によれば、挿入デバイス40は、拡張器具60を受け入れるために、細長いシャフト42の内部チャネル(図示せず)に通じる開口部46(
図3Bを参照)を含むことができる。一部の実施形態では、拡張器具60は、挿入デバイス40の内部チャネルの内径よりも大きな外径を有し、拡張器具60は、挿入デバイス40を拡張するようになっている。場合によっては、拡張器具60の外径は、挿入デバイス40の折り畳み内径(すなわち、デバイスの中に挿入されてシャフト42上のスリット44により折り畳まれた後の)よりもわずかに大きい。他の実施形態では、拡張器具60は、拡大ヘッド部分62及びこのヘッド部分62から延びる細長いシャフト64を含むことができる。これらの実施形態では、拡大ヘッド部分62は、挿入デバイス40を拡張する働きをする(すなわち、拡張器具60の外径は、挿入デバイス40の内径に等しいか又はそれ未満とすることができる)。これらの実施形態の全てにおいて、開口部46を通って挿入デバイス40の内部チャネルの中に挿入デバイス40を進めると、挿入デバイス40を用いて取り外し対象のデバイスを取り外す場合に、細長いシャフト42の直径が増大し、結果的に抵抗力及び伝達力の大きさが増大する。
【0029】
拡張器具60の細長いシャフト64は、先端66で終端することができる。一部の実施形態では、先端66は、先細にして丸くする又は鋭くすることができる。先端66は、挿入デバイス40の内部チャネルを貫通する拡張器具の前進を容易にする働きをする。
【0030】
ここで
図3A-3Cを参照して、本開示による器具又は内視鏡の上に取り付けられた代表的なデバイス200を取り外す例示的な方法を説明する。
図3Cに示すように、挿入デバイス40は、デバイスの開口部を通ってその内部に進む。スリット44によって、挿入デバイス40のシャフト42が折り畳まれ、挿入デバイス40は、デバイス200の開口部を通って容易に前進することができる。次に、
図3Aに示すように、取り外し要素20の把持アーム26a、26bは、デバイス200の上に折ることができる。取り外し要素20の内面32上の隆起部36は、ユーザが取り外されるデバイス200の上に取り外し要素20を折るために指把持要素38を用いて圧力を加える場合に、しっかりした把持を可能にすることができる。次に、
図3Bに示すように、拡張器具60は、挿入デバイス60の開口部46を通って挿入することができる。これは、
図3Cに示すように、挿入デバイス40の細長いシャフト42の直径を拡張し、取り外しシステムの中のデバイス200をさらにしっかり固定する。挿入デバイス60が挿入されると、ユーザは、取り外しシステム100全体を把持し、器具又は内視鏡からデバイス200を引き離すことができ、それによって、現在の方法よりも正確で、予測可能であり、損傷の少ない方式でデバイス200を取り外すことができる。
【0031】
取り外しシステム100の構成要素は、限定されるものではないが、例えば、エラストマー材料、剛性材料、又は弾性及び剛性材料の両方を含むことができる種々の性能要素(performance element)を達成する材料の組合せを含む何らかの医療用等級材料で作ることができ、これらは、ポリプロピレン、PET材料、PTFE材料、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート、アクリル、及び何らかの他の弾性又は剛性医療用等級材料を含むことができる。
【0032】
もちろん、取り外しシステム100は、何らかの容認できる方法を用いて滅菌すること、又は非滅菌とすることができることを理解されたい。例えば、取り外しシステム100は、使い捨て又は単回使用システムとして提供することができる。
【0033】
これによって、本明細書に言及される全ての交付済み特許、公開特許出願、及び非特許文献は、個別の交付済み特許、公開特許出願、又は非特許文献が具体的に及び個別に引用により組込まれることが指示されるかのような同じ程度まで、これらの開示内容全体が全ての目的のために引用により本明細書に組み込まれる。
【0034】
他の実施形態は、本明細書で開示する実施形態の仕様及び実践の考慮から当業者には明らかであろう。仕様及び実施例は、単に例示とみなされるように意図され、実施形態の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0035】
20 取り外し要素
22 細長い本体
24 中心部分
26a、26b 把持アーム
28 刻み目領域
34 外面
38 指把持要素
40 挿入デバイス
44 スリット
60 拡張器具
66 先端
100 システム