(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】基材を装飾する方法及びそれにより装飾された基材
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240725BHJP
B44C 5/06 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B44C5/06 B
(21)【出願番号】P 2022518900
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 ES2020070566
(87)【国際公開番号】W WO2021058845
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0023045(US,A1)
【文献】特開2003-043240(JP,A)
【文献】特開2019-049106(JP,A)
【文献】特開2016-101680(JP,A)
【文献】特開2014-100635(JP,A)
【文献】特開2010-241139(JP,A)
【文献】特表2004-533546(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0238971(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0052312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
B44B 1/00-11/04
B44C 1/00- 1/14
1/18- 7/08
B44D 2/00- 7/00
B44F 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(1)を提供するステップと、
前記基材(1)の第1の領域を覆う第1の図柄(10)を検出(40、50)するステップ及び/又は前記基材(1)に対する前記第1の図柄(10)の位置を検出するステップと、
前記第1の図柄(10)及び/又は前記基材(1)に対する前記第1の図柄(10)の位置に応じた第2の図柄(20)を提供する(40、41)ステップと、
前記基材(1)の第2の領域を覆う前記第2の図柄(20)を印刷(40、60)するステップと
を含み、前記基材(1)は、前面(3)、後面(4)、及び2対の反対側にある側面(5、6、7、8)を備えたパネル(1)の形状を有し、前記第1の領域は、前記パネル(1)の前記前面(3)に少なくとも部分的に広がり、前記第2の領域は、前記反対側にある側面(5、6、7、8)の1対の両方の面(5、6又は7、8)に少なくとも部分的に広がり、前記第2の図柄(20)の印刷は、前記パネル(1)が移動する加工ラインの位置に関して、前記加工ラインの定位置で行われ、前記パネル(1)の前記反対側にある側面(5、6、7、8)の第1の対に広がる前記第2の図柄(20)の印刷は、前記加工ラインの1つの同じ位置で行われ、前記第2の図柄(20)は、前記基材(1)の第3の領域を覆う第3の図柄(30)と連続するようにして形成され、前記第3の領域は、前記後面(4)又は前記第2の領域が存在しない少なくとも1つの前記側面(5、6、7、8)に少なくとも部分的に広がり、前記第3の図柄(30)は、前記第2の図柄(20)と連続して前記第3の領域を覆う、基材(1)を装飾する方法。
【請求項2】
前記第1の図柄(10)及び/又は前記第2の図柄(20)に応じた前記第3の図柄(30)を提供するステップと、
前記基材(1)の前記第3の領域を覆う前記第3の図柄(30)を印刷(40、60)するステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材(1)の印刷がインクジェット(60)によって行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材(1)の検出がコンピュータ画像認識(50)によって行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の領域、前記第2の領域及び/又は前記第3の領域が互いに隣接している、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の図柄(10)及び/又は前記第2の図柄(20)に応じて前記第2の図柄(20)及び/又は前記第3の図柄(30)を提供する機能が、それぞれの領域が互いに隣接している領域で互いに連続する図柄(10、20、30)を与える、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の領域、前記第2の領域、及び/又は前記第3の領域は、互いに傾斜した前記基材(1)のそれぞれの表面(3、4、5、6、7、8)に広がる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の領域は、前記パネル(1)の前記後面(4)又は前記第2の領域でないいずれか1つの前記側面(5、6、7、8)に少なくとも部分的に広がる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検出及び/又は前記印刷は、水平に配置された前記パネル(1)に行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
図柄(10、20、30)の前記検出及び/又は前記印刷は、前記パネル(1)が移動する加工ラインの位置に関して、前記加工ラインの定位置で行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記パネル(1)の前記2対の反対側にある側面(5、6、7、8)に広がる図柄(10、20、30)の前記検出及び/又は前記印刷は、前記加工ラインの1つの同じ位置で行われ、前記方法は、前記加工ラインの前記同じ位置で前記パネル(1)を水平方向に90°回転させるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パネル(1)の前記2対の反対側にある側面(5、6、7、8)に広がる図柄(10、20、30)の前記検出及び/又は前記印刷は、前記加工ラインの異なる位置で行われ、前記方法は、前記加工ラインの中間位置で前記パネル(1)を水平方向に90°回転させるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の図柄(10)、前記第2の図柄(20)及び/又は前記第3の図柄(30)が木目である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の図柄(10)は木目であり、前記基材(1)において、木の層である第1の支持体の表面に提供される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材、特にパネル形状の基材を装飾する方法、及びそれにより装飾された基材に関する。本発明は、例えば、家具及びパネルを用いるあらゆるタイプの設備のためのパネルの装飾に適用されることができる。
【背景技術】
【0002】
あらゆるタイプの家具の製造や他の用途では、一定の厚さの木板でできたパネルが使用される。これらの木板では、表面及び裏面(前面若しくは後面、又はそれぞれ上面及び下面とも呼ばれる)にある木目の線又は単に木目が、エッジ、側方、又は横面とも呼ばれる側面で自然な連続性を有している。
【0003】
パネルが木板でなく、その前面、場合によっては前面及び後面で積層された基材による場合には、その側面の仕上がりに問題が生じる。
【0004】
実際には、様々な種類の要素で作られた積層パネルが使用されている。例えば、積層パネルが、例えばHDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などによって形成された基材からなり、この基材の表面、少なくともその上面が、木目調の天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる積層要素によって形成された被覆で積層された具体的な物が知られている。
【0005】
これまでに知られている方法では、異なる種類の少なくとも2つの要素で作られたこれらの積層パネルは、いくつかの材料、プラスチック、紙、天然木の層などでできた、それらが接着されたエッジによる側面という結果になり、その木目又は仕上がりは、前面の積層要素の木目と何の関係もない。
【0006】
基材が、木目調である天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙でできた前面積層要素に加えて、やはり木目調にされることができる天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙でできた後面積層要素も有する場合に、同じことが生じる。
【0007】
一般に、例えばパネルのエッジでの木目など、基材に図柄を手作業で与える必要があるように、基材、特にパネルに、複雑な図柄を自動的に与えることはできないという制限がある。同様に、例えば図柄が基材から剥がれたり取れたりした場合の図柄の修復もまた、手作業で行われなければならない。
【0008】
現在存在する方法の説明された欠点又は制限に照らして、基材、特にパネルに与えられる代わりの又は複雑な図柄を、単純かつ安価な方法で提供することを可能にする方法が必要である。例えば、天然木で作られたパネルを、その表面だけでなく、そのすべての体積によっても模倣する装飾を備えたパネル形状の基材を得て、それによって厚さを模倣することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この目的を達成し、前述の技術的問題を解決しすることを目的とし、加えて後で導き出されることができる追加の利点を提供して、本発明は、以下に記載される装飾の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による基材の装飾方法は、基材を提供するステップと、基材の第1の領域を覆う第1の図柄を検出するステップ及び/又は基材に対する第1の図柄の位置を検出するステップと、第1の図柄及び/又は基材に対する第1の図柄の位置に応じた第2の図柄を提供するステップと、基材の第2の領域を覆う第2の図柄を印刷するステップとを含む。
【0011】
本発明では、図柄は、例えば画像、特に、色、線、形状などや、質感であり得る。基材は、図柄で装飾されること、特に印刷されることが予期される又は適用される物として理解される。言い換えれば、それは図柄の支持体であり、例えば薄層の形態である図柄を支持する。基材は任意の形状を有することができ、例えばシート形状、又は特に本発明によれば、パネル形状を有することができる。
【0012】
更に、本発明の方法は、第1の図柄及び/又は第2の図柄に応じた第3の図柄を準備するステップと、基材の第3の領域を覆う第3の図柄を印刷するステップとを含むことができる。
【0013】
本発明によれば、好ましくは、第1の領域、第2の領域、及び/又は第3の領域は、基材の異なる領域であることが想定され、それはそれらが互いに重ならないことを意味する。
【0014】
好ましくは、図柄の印刷は、インクジェット印刷によって行われる。インクジェット印刷は、非常に多様な又は複雑な図柄を正確かつ高品質で印刷することを可能にする、その自動化と制御能力の利点を提供する。
【0015】
同様に、好ましくは、図柄の検出は、コンピュータ画像認識によって行われる。図柄の検出の用語は、本発明の方法でのその後の処理のために、図柄を取り込む、取得する、獲得するなどの概念を含む。同様に、コンピュータ画像認識による検出は、図柄を正確かつ高品質で検出できるようにする、その自動化と制御能力の利点を提供する。したがって、連携して図柄を正確かつ高品質で検出及び印刷できるようにする方法に関しては、コンピュータ画像認識による検出は、特にインクジェット印刷と連携して適用されることができる。
【0016】
第2の図柄又は第3の図柄を提供するために、例えば、記憶された図柄の群の中から図柄を選択して、それを第1の図柄に適合させる管理システムを使用することができる。あるいは、それぞれの第1の図柄又は第2の図柄から図柄を当てはめるように構成された図柄生成ソフトウェアを用いて、図柄を生成することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、第1の領域、第2の領域、及び/又は第3の領域は、互いに隣接している。特に、図柄が互いに隣接して配置されることができ、例えば、1つが他のものの隣に配置されること、互いに接続して配置されること、1つの単位を形成することなどができる。
【0018】
このようにして、例えば、前面に木目線がある図柄と、装飾されたパネルの側面の1つでの図柄の間だけでなく、隣接する側面の図柄の間でも、連続性が実現されることができる。
【0019】
本発明の方法によれば、第1の図柄及び/又は第2の図柄から始めて第2の図柄及び/又は第3の図柄を提供する機能は、それぞれの領域が互いに隣接する領域において互いに連続する図柄、特に互いに連続するそれぞれの画像又は質感を備えた図柄を与えることが想定される。
【0020】
同様に、本発明の方法では、第1の領域、第2の領域、及び/又は第3の領域は、互いに傾斜した、特に90°で互いに傾斜した、基材のそれぞれの表面に広がることが想定される。例えば、基材がパネル形状を有する場合、それらの領域は、パネルの辺の間でのパネルのそれぞれの面に広がることができる。
【0021】
基材がパネル形状又はそれに類似のものである場合、第1の領域、第2の領域及び/又は第3の領域は、それぞれパネルの前面、後面又はいずれか1つの側面に少なくとも部分的に(特に、それぞれの表面全体に)広がることが想定される。
【0022】
好ましくは、本発明によれば、検出及び/又は印刷は、水平に配置されたパネル形状の基材で行われることが想定される。また、好ましくは、検出及び/又は印刷は、基材が移動する、特に水平方向に移動する加工ラインの位置に関して、加工ラインの定位置で行われる。
【0023】
図柄の検出及び/又は印刷が加工ラインの定位置で行われる場合、2つの選択肢が想定される。第1の選択肢では、パネル形状の基材の複数の反対側の側面に広がる図柄の印刷及び/又は検出は、加工ラインの1つの同じ位置で行われ、この方法は、加工ラインのその同じ位置でパネル形状の基材を水平方向に90°回転させるステップを含む。第2の選択肢では、複数の反対側の側面に広がる図柄の検出及び/又は印刷は、加工ラインの異なる位置で行われ、この方法は、加工ラインの中間位置でパネル形状の基材を水平方向に90°回転させるステップを含む。
【0024】
以下、パネル状の基材及びそれに類似するものに適用される本発明の方法について説明する。一般に、第1の図柄は、例えば積層又は被覆の形態で、予め基材に貼り付けられることができる。この場合、本発明の方法は、積層又は被覆されたパネルからなる基材に適用されることができ、そこでは第1の図柄は、それぞれパネルの積層又は被覆によって提供される。この目的のために、本発明では、装飾されたパネル、特に積層又は被覆された、より具体的には印刷がされたパネルは、それに装飾がなされた、特に積層又は被覆がされた、より具体的には印刷がされたパネル形状の基材として理解される。
【0025】
例えば、第1の図柄、第2の図柄及び/又は第3の図柄が木目である場合、木目の第1の図柄は、基材において、木の層である第1の支持体の表面に提供されることができる。
【0026】
特に、本発明の方法は、HDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などからなる基材と、木目調の天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる前面積層被覆要素とで定められる、異なる種類の2つの要素からなる積層パネルを提供することから始めることができ、次にそのエッジは、必要であれば、その後の処理について準備される。
【0027】
例えば、基材が凝集粒子でできたボードである場合、プラスチック材料、紙又は他の要素からなるエッジによって、上部積層要素の背景色と同様の背景色又は白色(その後のその着色のために)でそのエッジを形成するのが一般的である。エッジをパテで被覆するか、又は基材のエッジを準備するために用いられるいずれかの他の従来の方法を適用することも可能である。
【0028】
積層パネルのエッジの準備後に、必要に応じてエッジの上記材料を、又は該当する場合にはエッジ自体を処理する必要があり、そのためにインクジェット技術によって、その後の印刷工程でインクが正しく固定される。
【0029】
積層パネルのエッジの準備ができており、そのパネルがインクジェット印刷機の輸送手段で移動している状態で、装飾が必要な1つ又は複数のエッジとの交点に形成される端部に対して、パネルの上面積層要素の木目の切れ目の読み取りが、コンピュータ画像認識システム又は同様の読み取りシステムによって行われる。
【0030】
端部での木目のその位置データは管理システムに転送され、管理システムは、対応するソフトウェアを用いて、異なる木目のファイルの画像を調整し、それによりこのエッジにその画像を印刷する時に、上面積層要素の木目の位置と、エッジで木目を一致させる。
【0031】
すべてのこの工程は真っすぐ一列で行われることも、又は部分的に行われて、後に印刷されることもできる。
【0032】
パネルの4つの側面の印刷は、単一のインクジェットヘッドプリンタにより、2回のパスで行われることができる。それにより最初のパスでパネルの2つの横のエッジが印刷され、印刷後に、好ましくは自動的に、パネルを90度回転させて残りの2つのエッジを印刷する。または、2つのプリンタで、その場合には単一パスで行われることができる。
【0033】
HDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などからなる中間の基材と、木目調であって基材をその前面及び後面で被覆する天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる2つの積層要素とからなるパネルの場合には、工程は前述の工程と同じであるが、2つの選択肢を備える。第1の選択肢では、前面のみに積層要素を有するパネルの前述の場合と同じ工程が適用され、その場合には、エッジの木目は前面積層パネルの木目に関連する。
【0034】
好ましくは、コンピュータ画像認識システムは、前面及び/又は後面の2つの積層要素の木目を検知し、それらを管理システムに転送することができる。管理システムは、ソフトウェアを用いて、エッジの縁で前面及び後面の積層要素の木目と一致し、中央領域で互いに調和している又は連続性を有するようにして、エッジの木目を調整することができる。
【0035】
中間の基材と、基材をその前面及び後面部分で被覆する2つの積層要素とからなるパネルの場合には、前面積層要素のみが木目を有するならば、エッジの印刷は、第1の選択肢により行われることができる。
【0036】
これまでになされた説明は、パネルの積層要素の1つ又は複数の面の木目と、側面の木目との「同調」又は連続性の機能を実現することについて具体的に述べられたが、この方法は、あらゆる図柄又は装飾モチーフに拡張されることができる。特に図柄は、パネルの1つ若しくは複数の薄層又は被覆要素とエッジが一致又は連続するようになされることができ、これらの図柄又はモチーフは、幾何学的図形、人間、動物、建築物、風景などのあらゆるタイプの図形、形状、色及び/又はこれらのモチーフの組み合わせである。インクジェット技術によって印刷された図柄又はモチーフは、例えば質感の作成、3D仕上げなどのその技術で現在利用可能であるすべての可能であるものを含め、あらゆる種類のものであり得る。
【0037】
本発明の別の目的は、上述した方法によって得ることができる、特にパネルの形状を有する基材であり、特にそのエッジが上述した方法に従って装飾された積層パネルである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】これまでに知られている一実施形態を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の方法の一実施形態により得られた装飾パネルの一実施形態を概略的に示す斜視図である。装飾されたパネルは、木板で作られたパネルを模倣する。
【
図3】本発明の方法の一実施形態での種々の手段の配置のブロック図を示す。
【
図4】積層要素によってその前面に積層されてパネルに配置された図柄が、コンピュータ画像認識システムの読み取りヘッドによって読み取られる一実施形態を概略的に示す。
【
図5】それぞれの積層要素によってその前面に積層されてパネルに配置された図柄及びその後面に配置された別の図柄が、その前面でのコンピュータ画像認識システムの読み取りヘッド及びその後面での読み取りヘッドによって読み取られる一実施形態を概略的に示す。
【
図6】プリンタのインクジェットヘッドによる印刷工程の一実施形態を概略的に示す。
【
図7】1つの同じプリンタ及び1つの同じコンピュータ画像認識システムの2回のパスでの読み取り及び印刷工程の一実施形態を概略的に示しており、装飾されるパネルは90°回転され、リーダーヘッド及び印刷ヘッドは、2つの反対側にあるエッジでのその読み取りと印刷のために、パネルに対して分けられている。
【
図8】読み取り及び印刷工程ラインの異なる地点に配置された2つのプリンタ及び2つのコンピュータ画像認識システムでの読み取り及び印刷工程の一実施形態を概略的に示し、装飾されるパネルは、それぞれの反対側にあるエッジの印刷及び読み取りステップの間にあるそのラインの中間ステップで90°回転される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
あらゆるタイプの家具の製造やその他の用途では、一定の厚さの木板でできたパネルが使用される。
図1に示されるこれまでに知られている実施形態では、パネルは、木目状の上部薄層と、上部積層要素の木目との連続性がないエッジが形成されたその側面とを備えた基材からなる。
【0040】
パネルが木板でなく、その前面、場合によっては前面及び後面で積層された基材による場合には、その側面の仕上がりに問題がある。
【0041】
実際に、様々な種類の要素で作られた積層パネルが知られている。例えば、積層パネルが、HDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などでできた基材からなり、この基材の表面、少なくともその上面が、木目調の天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる積層要素で被覆された具体的な物が知られている。
【0042】
これまでに知られている方法では、異なる種類の少なくとも2つの要素で作られたこれらの積層パネルは、
図1に示されるように、いくつかの材料、プラスチック、紙、天然木の層などでできた、それらが接着されたエッジによる側面という結果になり、その木目又は仕上がりは、前面積層要素の木目と何の関係もない。
【0043】
基材が、木目調である天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙でできた前面積層要素に加えて、やはり木目調にされることができる天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙でできた後面積層要素も有する場合に、同じことが生じる。
【0044】
図2に示されるように、木板又はパネルでは、上面及び下面にある木目の線は、側面の表面で連続している。以下に記載される本発明の一実施形態によれば、
図2に示されるような、木の自然な木目を模倣するパネルを得ることが可能である。
【0045】
本発明は、積層パネル(1)の側面を装飾することを可能にし、パネルは異なる種類の少なくとも2つの要素(2)~(8)からなる。この方法により、例えば、
図2のものように、その側面で木目が前面(3)、後面(4)、及び/又は側面(5)~(8)の薄層の木目に関して連続性を有する、天然木板の仕上がりと同一又は類似である最終的なものを得ることができ、それによりまるで天然木板の切片のように見えることができる。
【0046】
図3から
図6を参照して、この目的を達成するために提示される装飾方法の一実施形態を以下で説明する。
【0047】
まず、HDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などからなる下部基材(2)と、例えば、木目調の天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる上部積層被覆要素(3)の2つの要素からなる積層パネル(1)から始める場合、エッジ(5)~(8)は、これらのエッジが必要とする場合には、その後のエッジの処理について準備される。
図2は、前面(3)及び側面(6)、(7)のそれぞれの木目の図柄(10)、(20)、(30)を示す。
【0048】
前面(3)と側面(5)~(8)の間、及び側面(6)と(7)の間の辺では、それぞれの図柄(10)、(20)、(30)の間で連続した図柄の木目の線を備えた連続した木目(21)、(31)が見られる。
図2に示されるように、この場合には、第1の図柄(10)は、パネルの前面(3)のすべてを覆う木目であり、その表面は本発明による第1の領域を構成する。第2の図柄(20)は、パネルでの間にあるエッジで第1の図柄(10)の木目と連続してそれに隣接する木目であり、パネルの側面(6)のすべてを覆い、それにより木製パネルの自然な厚さに似せている。同様に、第3の図柄(30)は、第1の図柄(10)及び第2の図柄(20)の木目と連続してそれらに隣接する木目であり、パネルの側面(7)のすべてを覆い、それにより木製パネルの自然な厚さに似せている。第1の図柄(10)は、第2の図柄(20)及び第3の図柄(30)と連続性を有している(符号(21)及び(31)を参照)。同様に、
図2では見えない側面(5)、(8)、及びやはり見えない後面(4)は、それらの図柄において、そのそれぞれの隣接する面に対して連続性を有することが想定される。
【0049】
例えば、基材(2)が凝集粒子でできたボードである場合、プラスチック材料、紙又は他の要素からなるエッジによって、上部積層要素の背景色と同様の背景色又は白色(その後のその着色のために)でそのエッジを形成するのが一般的である。エッジ(5)~(8)をパテで被覆するか、又は基材(2)のエッジ(5)~(8)を準備するために用いられるいずれかの他の従来の方法を適用することも可能である。
【0050】
装飾されるパネル(1)のエッジ(5)~(8)の準備後に、必要に応じてエッジ(5)~(8)の上記材料を、又は該当する場合にはエッジ(5)~(8)自体を処理する必要があり、そのためにインクジェット技術又はこの種の印刷が行われることができる別の印刷技術によって、その後の印刷工程でインクが正しく固定される。
【0051】
パネル(1)のエッジ(5)~(8)の準備ができており、そのパネル(1)が印刷機、限定するものではないが、好ましくはインクジェット印刷機の輸送手段で移動しており、装飾が必要な1つ又は複数のエッジ(5)~(8)との交点に形成される端部に対して、パネル(1)の前面積層要素(3)の木目の切れ目の読み取りが、コンピュータ画像認識システム(50)又は同様の読み取りシステムの読み取りヘッド(51、52)によって行われる。
【0052】
端部での木目のこの位置データは管理システム(41)に転送され、管理システム(41)は、対応するソフトウェアを用いて、異なる木目のファイルの画像を調整し、それにより対応するエッジ(5)~(8)にその画像を印刷する時に、エッジで前面積層要素(3)の木目の位置と連続性があるか又は一致する。
【0053】
図3に概略的に示されるように、この方法は、例えばコンピュータ画像認識又はコンピュータ画像認識システム(50)である検出手段及びインクジェットプリンタ(60)と相互作用するプロセッサ(40)によって指示されることができる。図示されるように、印刷される異なる画像は、例えば管理システム(41)によって生成されることができる。
【0054】
図4及び5は、コンピュータ画像認識システム(50)の読み取りヘッド(51)、(52)による前面積層要素(3)の読み取りパスと、任意での読み取りヘッド(53)、(54)による後面積層要素(4)の読み取りパスを示す。
【0055】
図6は、プリンタ(60)の印刷ヘッド(61)、(62)によるパネル(1)の反対側にあるエッジ(5)~(8)への印刷パスを示す。
【0056】
図7及び8に示されるように、すべてのこの工程は真っすぐ一列で行われることも、又は部分的に行われて、後に印刷されることもできる。
【0057】
図7に示されるように、パネル(1)の4つの側面(5)~(8)の印刷は、パネル(1)のエッジ(5)~(8)の2つに関して配置されるインクジェットヘッド(61)、(62)を有する単一のプリンタ(60)により、2回のパスで行われることができる。それにより、最初のパスでパネル(1)の2つの横のエッジ(5)~(8)が印刷され、印刷後に、好ましくは自動的に、パネル(1)を90度回転させて残りの2つのエッジ(5)~(8)を印刷する。
【0058】
あるいは、
図8に示されるように、パネル(1)の4つの側面(5)~(8)は、加工ラインの異なる地点に配置された2つのプリンタ(60)、(70)により、したがって単一パスで印刷されることができる。
【0059】
HDF又はMDF繊維板、凝集板、塑性体などからなる中間の基材(2)と、基材(2)をその前面及び後面で被覆する木目調の天然木の層若しくは合成材料の層又は装飾紙からなる2つの積層要素(3)、(4)とからなるパネル(1)の場合には、工程は前述の工程と同じであるが、2つの選択肢を備える。第1の選択肢では、前面のみに積層要素(3)を有するパネル(1)の前述の場合と同じ工程が適用され、その場合には、エッジ(5)~(8)の木目は、前面積層パネル(3)の木目に関連する。
【0060】
第2の選択肢では、コンピュータ画像認識システムは、前面(3)及び後面(4)の2つの積層要素の木目を認識し、それらを管理システムに転送する。管理システムは、そのソフトウェアを用いて、エッジ(5)~(8)の縁で前面(3)及び後面(4)の積層要素の木目と一致し、中央領域で互いに調和するようにして、エッジ(5)~(8)の木目を調整することができる。
【0061】
同様に、2つの隣接する側面(3)、(4)の木目は、互いに連続性を有することができる。
【0062】
中間の基材(2)と、基材(2)をその前面及び後面で被覆する2つの積層要素(3)、(4)とからなるパネル(1)の場合において、前面積層要素(3)のみが木目を有するならば、エッジ(5)~(8)の印刷は、第1の選択肢により行われる。
【0063】
基材(2)及び1つ又は2つの積層被覆要素(3)、(4)からなるパネル(1)の本発明の本質を変えることなく、パネル(1)のエッジ(5)~(8)の装飾は、4つのエッジ(5)~(8)、又はその一部の1つ、2つ、又は3つのエッジだけを装飾することによって行われることができる。同様にその装飾は、それぞれのエッジ(5)~(8)の表面全体、又は縦方向又は横方向でのその1つの部分又は複数の部分のみを占めることができる。
【0064】
これまでになされた説明は、パネルの積層要素(3)、(4)の1つ又は複数の面の木目と、エッジ(5)~(8)の木目を「同調」させることについて具体的に述べられたが、この方法は、パネル(1)の1つ又は複数の積層要素(3)、(4)とエッジ(5)~(8)が一致又は連続する、幾何学的図形、人間、動物、建築物、風景などのあらゆるタイプの図形、形状、色及び/又はこれらのモチーフの組み合わせである、あらゆる図柄又は装飾モチーフに拡張されることができる。インクジェット技術又はこの印刷を実施できる別の技術によって印刷された図柄又はモチーフは、例えば質感の作成、3D仕上げなどの現在知られているすべての可能であるものを含め、あらゆる種類のものであり得る。
【0065】
本発明の別の目的はパネル(1)であり、その側面(5)~(8)は、本発明の方法に従って装飾される。それによりパネル(1)は、前面積層要素(3)及び/又は、該当する場合には後面積層要素(4)の仕上がりに対して連続性をもたらす印刷がなされた、完全に又は部分的に装飾されたそのエッジの少なくとも1つを有する。
【符号の説明】
【0066】
1 積層パネル
2 基材
3 前面(上部)積層要素
4 後面(下部)積層要素
5~8 側面、エッジ
10、20、30 図柄
21、31 木目
40 プロセッサ
41 管理システム
50 コンピュータ画像認識システム
51~54 読み取りヘッド
60 インクジェットプリンタ
61、62 印刷ヘッド