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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】切開部閉鎖器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/03 20060101AFI20240725BHJP
   A61F 13/00 20240101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B17/03
A61F13/00 305
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022578684
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020038596
(87)【国際公開番号】W WO2021257082
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】522490446
【氏名又は名称】クローゼクス・メディカル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOZEX MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】レブナー・マイケル
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0038247(US,A1)
【文献】特表2005-512678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷又は切開部を閉鎖する2部コンポーネントの器具であって、
a)細長い第1コンポーネントであって、
i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第1取付部材、ならびに
ii)それぞれ、単一の第1牽引要素に2つ以上の細長い第1連結具が取り付けられたものである、1つ以上の第1横方向並進要素、を含む、細長い第1コンポーネントと、
b)細長い第2コンポーネントであって、
i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第2取付部材、ならびに
ii)個々の第2横方向並進要素は単一の第2牽引要素に2つ以上の細長い第2連結具が取り付けられたものである複数の第2横方向並進要素、
を含む、細長い第2コンポーネントと、
c)閉鎖時に前記2つ以上の細長い第1連結具を前記扁平で可撓性の第2取付部材に取り付ける手段であって、当該扁平で可撓性の第2取付部材への当該2つ以上の細長い第1連結具の取付けによって、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成される、手段と、
d)閉鎖時に前記2つ以上の細長い第2連結具を前記扁平で可撓性の第1取付部材に取り付ける手段であって、当該扁平で可撓性の第1取付部材への当該2つ以上の細長い第2連結具の取付けによって、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分が形成される、手段と、を備え、
前記細長い第1コンポーネントの、2以上の細長い第1連結具の一つは、細長い第2コンポーネントの2以上の細長い第2連結具の間に形成された空隙を通過して、それによって、第1及び第2の細長い連結具を、切断又は破壊することなく、リンクして切り離すことができない、2部コンポーネントの器具。
【請求項2】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項3】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項4】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記単一の第1牽引要素が、牽引補強具で補強されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項5】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、閉鎖時に前記2つ以上の細長い第1および第2連結具を前記扁平で可撓性の第2および第1取付部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの器具。
【請求項6】
請求項に記載の2部コンポーネントの器具において、前記接着剤が、1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項7】
請求項に記載の2部コンポーネントの器具において、前記剥離ライナーが、オプションとして取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項8】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の個々の前記下面の前記接着剤層が、第1および第2剥離ライナーによって保護されており、当該第1剥離ライナーは、前記創傷縁の前記下面に沿った前記接着剤を保護し、当該第2剥離ライナーは、当該第1剥離ライナーにより前記創傷縁から隔てられていて、前記下面のうちの前記創傷縁から隔てられた残りの平行部位に沿った前記接着剤を保護する、2部コンポーネントの器具。
【請求項9】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、1つ以上の位置合わせインジケータが設けられている、2部コンポーネントの器具。
【請求項10】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、創傷エッジバーが設けられている、2部コンポーネントの器具。
【請求項11】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のうちの前記創傷が、皮膚エッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの器具。
【請求項12】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの器具。
【請求項13】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平な第1および第2取付部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性高分子材料から製造されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項14】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、機械的操作によって変質した非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの器具。
【請求項15】
請求項1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のそれぞれに、巻縁と略直交する方向で穿孔されていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの器具。
【請求項16】
請求項14に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、スライス、穿孔およびパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの器具。
【請求項17】
請求項14に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの器具。
【請求項18】
請求項14に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、使用時に前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具。
【請求項19】
請求項14に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具。
【請求項20】
請求項16に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、第1及び第2の扁平で可撓性の取付部材へのスライスの導入よって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
ClozeX Medical,LLCは、米国特許第6,329,564号、米国特許第6,831,205号、米国特許第6,822,133号、米国特許第7,511,185号、米国特許第8,636,763号、米国特許第7,414,168号、米国特許第7,332,641号、米国特許第7,354,446号、米国特許第8,636,763号、米国特許第7,838,718号、米国特許第7,414,168号、米国特許第7,563,941号などを含め、2部コンポーネントの創傷/切開部閉鎖器具に関する多数の発行済み米国特許及び外国特許の所有名義人であり、いずれの特許も、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
これらの参照した米国特許のなかで、2部コンポーネントの創傷閉鎖器具の少なくとも一方のコンポーネントを、複数の細長い連結具が牽引要素と対応付けられてなるものとして開示している実施形態では、複数の細長い各連結具に対し、単一の牽引要素が対応付けられている。実用上、このことは、その単一の牽引要素による「牽引」を、大きさと方向を持つ単一の力ベクトルによって表現できることを意味する。単一の力ベクトルで表現されるこの牽引力により、2部コンポーネントの器具の一方のコンポーネントに対応する創傷縁(傷口)の全体が操作される。単一の力ベクトルで表現される第2牽引力により、2部コンポーネントの器具のうちの第2コンポーネントに対応する創傷縁が操作される。このような設計は、比較的短い切開部の閉鎖には上手く行くが、例えば、人工膝関節置換術や人工股関節置換術に伴う長い創傷エッジ/切開エッジの位置合わせや閉鎖の場合には、
創傷縁全体の操作が単一の力ベクトルで表現される牽引力に任されることからチャレンジ課題となる。
【0003】
Zipline Medical,Inc.も、切開部閉鎖用のコンポーネント型器具を製造している。Zipline Medical Inc.の技術は、前項で触れたClozeX Medical,LLCの技術と同じく、ステープル並みの速度で縫合に似た結果をもたらし、縫合に伴う針刺し事故のリスクを低下させる。Zipline Medical,Inc.の切開部閉鎖器具は、人工膝関節置換術や人工股関節置換術などの長い切開部の手術用途に一部上市されている。
【0004】
Zipline Medical,Inc.のコンポーネント型閉鎖器具の実施形態は、1つのコンポーネントに取り付けられた一連の数珠繋ぎ状の結束バンドと、閉鎖する切開部の反対側の第2コンポーネントに取り付けられた反対側の一連の数珠繋ぎ状の結束バンド受入部と、を備えている。使用説明書によると、結束バンド付近で親指と人差し指によって切開エッジ同士をつまんでから当該結束バンドを締結することにより、そのつまみによって確立させた局所的な創傷エッジの関係を維持する。この手順を、閉鎖する切開部に沿って繰り返す。数珠繋ぎ状の全ての結束バンドを調節し終えたら、当該数珠繋ぎ状の結束バンドの先端を切断することにより、いじられる可能性やドレッシング材や衣服との干渉を小さくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前項で説明した数珠繋ぎ状の結束バンドシステムは、数多くの理由から望ましくない。第一に、数珠繋ぎ状結束バンド型の器具は、単純な高分子シート材を使った単純なシステムに比べて、コストが比較的高い。第二に、器具の適用及び調整が終わると、余分な数珠繋ぎ状の結束バンドが切断されるが、このような切断端や数珠繋ぎ状の結束バンド要素は、皮膚表面上方へとある程度高くなり、衣類やドレッシング材に引っかかり易くなる。実際、手術後間もない時期や治癒過程初期に閉鎖器具が緩くなるという場合が考えられる。しかも、数珠繋ぎ状バンド型の器具は、適用される間隔幅が一定であるほか、一次元にしか締め付けることができず、従来技術の器具に比べて創傷縁の把持、操作及び位置合わせの精度が低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、創傷又は切開部を閉鎖する2部コンポーネントの器具に関する。前記2部コンポーネントの器具は、細長い第1コンポーネントを備え、当該細長い第1コンポーネントは:i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第1取付部材;ならびにii)それぞれ、単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い第1連結具が取り付けられたものである、1つ以上の第1横方向並進要素;を含む。前記2部コンポーネントの器具は、さらに、細長い第2コンポーネントを備え、当該細長い第2コンポーネントは:i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第2取付部材;ならびにii)それぞれ、単一の第2牽引要素に1つ以上の細長い第2連結具が取り付けられたものである、複数の横方向並進要素;を含む。前記2部コンポーネントの器具は、さらに、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1連結具を前記扁平で可撓性の第2取付部材に取り付ける手段を備え、当該扁平で可撓性の第2取付部材への当該1つ以上の細長い第1連結具の取付けによって、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成される。前記2部コンポーネントの器具は、さらに、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第2連結具を前記扁平で可撓性の第1取付部材に取り付ける手段を備え、当該扁平で可撓性の第1取付部材への当該1つ以上の細長い第2連結具の取付けによって、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分が形成される。
【0007】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、それぞれの第1横方向並進要素が、i)単一の細長い第1連結具および単一の第1牽引要素、ならびにii)複数の細長い第1連結具および単一の第1牽引要素、からなる群から選択される、2部コンポーネントの器具に関する。
【0008】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、それぞれの第2横方向並進要素が、i)単一の細長い第2連結具および単一の第2牽引要素、ならびにii)複数の細長い第2連結具および単一の第2牽引要素、からなる群から選択される、2部コンポーネントの器具に関する。
【0009】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、少なくとも前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透明な素材、または色付き若しくは不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0010】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0011】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0012】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記牽引要素および/または取付部材は、ユーザが区別できるようにコード化されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0013】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記コード化が、目視可能な幾何学的区別を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0014】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記コード化が、印刷による印を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0015】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記コード化は、区別色を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0016】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、当該器具の適用後、牽引要素が取外し可能である、2部コンポーネントの器具に関する。
【0017】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、牽引要素が、牽引補強具(pull bar)で補強されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0018】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1および第2連結具を前記扁平で可撓性の第2および第1取付部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0019】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記接着剤が、前記細長い第1および第2連結具の前記下面に設けられている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0020】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の前記下面に設けられた前記接着剤が、1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0021】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記剥離ライナーが、任意で、取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0022】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の前記下面の前記接着剤が、第1および第2剥離ライナーによって保護されており、当該第1剥離ライナーは、前記創傷縁側の前記下面に沿った前記接着剤を保護し、当該第2剥離ライナーは、当該第1剥離ライナーにより前記創傷縁から隔てられていて、前記下面のうちの前記創傷縁から隔てられた残りの平行部位に沿った前記接着剤を保護する、2部コンポーネントの器具に関する。
【0023】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記コード化が、前記第1、第2剥離ライナーをユーザが区別できるようにする印刷による印を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0024】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記コード化が、前記第1剥離ライナー、前記第2剥離ライナーの区別色を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0025】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、1つ以上の位置合わせインジケータが設けられている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0026】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、創傷縁バー(wound edge bar)が設けられている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0027】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のうちの前記創傷又は切開部側のエッジが、皮膚エッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0028】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記創傷又は切開部上方の遮られない表面積が増えることで滲出液が排出され易くなったり薬剤が適用され易くなったりするように、前記細長い第1および第2連結具の一部が切り取られている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0029】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの器具に関する。
【0030】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性高分子材料から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0031】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、機械的操作によって変質した非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0032】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記細長い第1および第2連結具は、それぞれの幅がそれぞれの厚さよりも大きい帯状である(strap-like)、2部コンポーネントの器具に関する。
【0033】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第2および第1取付部材への前記細長い第1および第2連結具の前記取付けによって、個々の細長い連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成され、細長い連結具毎の当該橋渡し部分の平均幅が当該取付部分の平均幅よりも小さい、2部コンポーネントの器具に関する。
【0034】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記橋渡し部分が、実質的に接着剤を含まない、2部コンポーネントの器具に関する。
【0035】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のそれぞれに、創傷縁と略直交する方向で穿孔されているか又は切込みが入れられていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの器具に関する。
【0036】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、当該器具に、感染の発症を検出するのに有用な感染インジケータが埋め込まれている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0037】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、当該器具が、経皮薬剤送達用に適合化されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0038】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、当該器具が、弾性張力インジケータ要素を備える、2部コンポーネントの器具に関する。
【0039】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記細長い第1コンポーネントおよび前記細長い第2コンポーネント、あるいは、それらの構成要素が、シート素材から型抜きされたものである、2部コンポーネントの器具に関する。
【0040】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記細長い第1および第2コンポーネントがインターレースされている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0041】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの器具に関する。
【0042】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記取付部分の幅が一定である、2部コンポーネントの器具に関する。
【0043】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、少なくとも前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、色付き又は不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの器具に関する。
【0044】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記機械的操作が、スライス、穿孔、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【0045】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの器具に関する。
【0046】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記機械的操作が、使用時に前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具に関する。
【0047】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具に関する。
【0048】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの器具であって、前記機械的操作が、扁平で可撓性の取付部材へのスリットの導入によって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】両コンポーネントが複数の横方向並進要素を含んでいる、本閉鎖器具の一実施形態を、当該閉鎖器具が部分的に閉鎖した状態で示した斜視図である。
図2】両コンポーネントが複数の横方向並進要素を含んでいる、本開示の2部コンポーネントの一実施形態の適用前を示す平面図である。
図3】一方のコンポーネントのみが複数の横方向並進要素を含んでいる、本開示の2部コンポーネントの一実施形態の適用前を示す平面図である。
図4】両コンポーネントが複数の横方向並進要素を含んでいる、本開示の2部コンポーネントの一実施形態の適用前を示す平面図である。
図5】両コンポーネントが複数の横方向並進要素を含んでいる、本閉鎖器具の別の実施形態を、当該閉鎖器具が部分的に閉鎖した状態で示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示は、創傷又は切開部を閉鎖する2部コンポーネントの器具に関する。同器具は、実施形態において、細長い第1コンポーネントを備える。当該細長い第1コンポーネントは、創傷縁および下面を有する扁平で可撓性の第1取付部材を含む。当該下面は接着剤層を具備しており、適用前の当該接着剤層は1つ以上の剥離ライナーによって保護されている。前記細長い第1コンポーネントは、さらに、それぞれ、単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い第1連結具が取り付けられたものである、1つ以上の第1横方向並進要素を含む。「扁平で可撓性の取付部材」と「接着剤付きの係止部材」という用語は、「取付部材」と「係止部材」という用語と同じく、本明細書では同義的に用いられる。
【0051】
前記器具は、細長い第1コンポーネントに加えて、細長い第2コンポーネントを備える。当該細長い第2コンポーネントは、創傷縁および下面を有する扁平で可撓性の第2取付部材を含む。当該下面は接着剤層を具備しており、適用前の当該接着剤層は1つ以上の剥離ライナーによって保護されている。前記細長い第2コンポーネントは、それぞれ、単一の第2牽引要素に1つ以上の細長い第2連結具が取り付けられたものである、複数の第2横方向並進要素を含む。
【0052】
前記器具は、さらに、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1連結具を前記扁平で可撓性の第2取付部材に取り付ける手段を備える。当該扁平で可撓性の第2取付部材への当該1つ以上の細長い第1連結具の取付けによって、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成される。前記器具は、さらに、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第2連結具を前記扁平で可撓性の第1取付部材に取り付ける手段を備える。当該扁平で可撓性の第1取付部材への当該1つ以上の細長い第2連結具の取付けによって、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分が形成される。
【0053】
以下では、例示目的として、1)ジッパーの実施形態、2)鍵穴Aの実施形態、3)鍵穴Bの実施形態、および4)インターレースの実施形態の、4種類の具体的な実施形態についての事例を詳細に説明する。これらの実施形態を詳細に説明する前に、全ての実施形態に共通する特定の考慮事項について述べたい。
【0054】
(インターレースの実施形態と鍵穴の実施形態)
本開示の医療器具の実施形態は、インターレースされているか、されていないかの、いずれかであり得る。インターレースの実施形態では、単一の牽引要素に取り付けられた細長い1種類目、2種類目の連結具の2つ以上の細長い連結具を有する第1コンポーネントと、別の単一の牽引要素に取り付けられた細長い1種類目、2種類目の連結具の2つ以上の細長い連結具を有する第2コンポーネントと、が存在する。そして、2つあるうちの一方のコンポーネントの細長い連結具が、他方のコンポーネントにおける細長い2つの連結具の間に形成された空隙を通過する。このように組み付けられることで第1および第2コンポーネントが連結され、それら2つのコンポーネントのうちの少なくとも一方を切断又は破壊しない限りは、それらを切り離すことができない。このようなインターレースされた器具を簡単に例えるとするならば、一対のインターロッキングリングが挙げられる。
【0055】
当業者であれば、第1コンポーネントのインターレースを発展させて、3つ以上の隣合う細長い連結具により形成された2つ以上の隣合う空隙にインターレースされるようにすれば、より複雑なインターレースの実施形態を作り出せることが分かるであろう。そのような実施形態の例は、先行技術の欄で引用し且つ参照をもって取り入れた発行済み米国特許に開示されている。
【0056】
インターレースの実施形態は、様々な方法で作り出すことが可能である。一例として、先ほどインターロッキングリングに例えた最も単純な実施形態について考える。このようなインターレース構造を製作する際には、第1、第2コンポーネントが単一物として型抜きされ得る。次に、2つあるコンポーネントのうちの一方を切断し得て、切断していないほうのコンポーネントとインターレースさせてから、その切断部を、例えば接着剤やその他の何らかの適切な手段で修復するということが可能である。この最も単純なインターレースの実施形態を製作する別の方法としては、一方のコンポーネントを単一物に型抜きし得る一方で、第2コンポーネントの型抜きを構成要素又は構成要素の一部を欠くように行うということが可能である。例えば、第2コンポーネントは、必要とされる2つの細長い連結具のうちの1つがない状態で型抜きされ得る。欠けている2つ目の細長い連結具は、接着剤付きの別の型抜き部品として用意することができる。不完全な(partial)第2コンポーネントと第1コンポーネントをインターレースさせた後、別途供与される不足分の細長い連結具を取り付けることにより、インターレース構造を完成させることができる。
【0057】
上記のいずれのインターレース型器具の製法も、コンピュータ制御の大量生産製造技術に向いていない。しかしながら、そのような方法として、開発や公衆への開示にまで至っている方法も存在しており、同方法については、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。当業者であれば、その開示内容を踏まえたうえで、本開示の2部コンポーネントの医療器具におけるインターレースの実施形態の製法として、コンピュータ制御の製法を開発・実施することができるであろう。
【0058】
これとは別の、インターレースのない構造は、「鍵穴」構造と呼ばれている。この構造では、例えば、2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネントが別々に製造される。好ましい方法の一つでは、それらが、単一物のコンポーネント同士として型抜き法で製造される。2つの単一物コンポーネントは、それぞれ、扁平で可撓性の取付部材、1つ以上の細長い連結具、および牽引要素を有する。1つ目のコンポーネントにおける前記1つ以上の細長い連結具は、組付・適用後の器具において中央に位置することになる。2つ目のコンポーネントにおける細長い連結具同士は離間しており、それにより、1つ目における前記牽引要素および前記1つ以上の細長い連結具を差し込む空隙、すなわち、「鍵穴」が形成される。1つ目と2つ目のコンポーネント同士を差し込んで共通の平面上にまで回転させることで、それら2つのコンポーネントが「鍵穴」配置で嵌合し、2部コンポーネントの器具の適用状態となる。
【0059】
(シート素材)
好ましい実施形態において、扁平で可撓性の取付部材、細長い連結具、および牽引要素は、実質的に非弾性の高分子材料から製造される。あるいは、これらは、非弾性構造成分で強化された弾性材料から製造されることで、前記器具を実質的に非弾性にするものであってもよい。例えば、そのような非弾性材料として、単繊維高分子のラインやメッシュが挙げられ得る。本明細書では、このような強化済み高分子のことを高分子複合材と称する。当該技術分野では、強化用の非弾性構造材料のことを「スクリム」と称する。スクリムは、織布、高分子の織物、高分子の不織物、または基材を安定化させるように機能するその他の任意の構造材料であり得る。好ましくは、スクリムで強化された基材は、高い透過度(例えば、1,000~8,000リットル/秒/m)を有する。
【0060】
また、扁平で可撓性の取付部材と細長い連結具が別々に製造され、その後互いに取り付けられる実施形態(すなわち、非単一物の実施形態)であれば、扁平で可撓性の取付部材の製造において、ある程度の弾性を示す非強化高分子(例えば、ポリウレタン、ポリエステル等)が使用されてもよい。扁平で可撓性の取付部材の製造に用いられる高分子としては、厚さ3~12ミルのポリウレタンが好ましい。このような高分子は、通気性があり、ある程度の可撓性も示す。非強化弾性高分子を用いて扁平で可撓性の取付部材を製造する場合には、閉鎖過程のあいだ創傷縁が切開箇所に亘って実質真っ直ぐに維持されるように非弾性要素で当該創傷縁の上面を強化するのが好ましい。本明細書では、このような要素を「創傷縁補強具」(wound edge bar)と称する。当業者であれば、創傷縁に剛性を付与する目的の創傷縁補強具の製造に、広範囲の非弾性高分子、さらには、金属を使用できることが分かるであろう。透湿性の高分子材料は、本器具の製造に用いる際の透湿性以外の条件を満たしていることが前提となるが、快適性が向上して好ましい。また、治癒過程や創傷箇所全体が観察し易いように、透明な素材が好ましい。そのため、好ましい実施形態では、少なくとも、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透明な素材から製造される。状況によっては(例えば、コスト等を考慮した際に)、設計上の別の選択肢として、少なくとも、扁平で可撓性の第1および第2取付部材の製造において、色付き又は不透明の素材が使用されてもよい。
【0061】
好ましい実施形態では、扁平で可撓性の取付部材、細長い連結具、および牽引要素が、ポリウレタン、ポリエステルなどの、高分子材料や高分子複合材のシートまたはロールから製造される。当該シートまたはロール素材は、好ましい実施形態での厚みが約0.5ミル~約5ミルの範囲とされる(但し、用途によっては違うものになり得る)ことから、典型的に「フィルム」と称される。高分子シート素材から上記の構成要素を型抜きし、組付/一体化(packaged)時に前記2部コンポーネントの器具を構成することになる2つの単一物(すなわち、継ぎ目や接合部がない)コンポーネントを提供するという製造アプローチは、極めて経済的である。型抜きは、例えば、本明細書で別途説明するインターレースの実施形態の製作時等のように、他種の組付工程と併用されてもよい。レーザトリム装置や超音波トリム装置も、本開示のコンポーネントの切断に利用可能な機器の例である。前記シート素材は、前記2部コンポーネントの器具下方の皮膚との間で空気のやり取りが可能となるように穿孔されていてもよい。
【0062】
(シート素材の機械的操作)
ここでの開示は、2部コンポーネントの医療器具のうちの扁平で可撓性の取付部材を構成する高分子フィルムの改良や変質に関する内容である。具体的に述べると、ここでの開示事例における扁平で可撓性の第1および第2取付部材は、高分子フィルムに1つ以上の非連続部が存在することによって当該扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方からの汗の放出が可能となっていることを特徴とする。前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の製造用として、本質的に通気性を有する高分子フィルム(すなわち、機械的操作を行わずとも扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方の皮膚との間で空気やり取りが可能な高分子フィルム)を使用した場合、汗の放出が可能にならない。
【0063】
汗の放出が可能でない本質的に通気性を有する高分子フィルムにある種の機械的操作を施すことにより、創傷閉鎖器具下方の皮膚からの汗を通すことが可能となる。本質的に通気性を有さない高分子フィルムの機械的操作についても、同じことが言える。
【0064】
扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方からの汗の放出を可能にする非連続部を導入することで、接着低減の問題に対処できる。ヒトの、活動中の汗腺の大きさ、数および分布には、ばらつきがある。例えば、専門家の見積もりによると、手のひらには1cmあたり約370個の汗腺が存在する。これに対し、手の甲には約200個、額には約175個、胸部、腹部および前腕部には約155個、脚部と背中には約60ないし80個(いずれも、1cm当たりの汗腺)存在する。汗腺のこのような分布パターンを踏まえると、当業者であれば、接着低減の問題に最も効果的に対処するにあたって、扁平で可撓性の取付部材の領域の広範囲に非連続部を導入するのが望ましいことが分かるであろう。
【0065】
非連続部は、扁平で可撓性の第1および第2取付部材の製造に用いられる高分子材料に様々な方法で導入することが可能である。ある特定の扁平で可撓性の取付部材に導入される非連続部は、全て均質又は一様でなくともよい。打ち抜き技法(die cutting technology)は、非連続部を導入するための好ましい方法の一つである。打ち抜きは、ダイを用いて高分子シート材料などの低強度材料の1つ以上のウェブを剪断する方法である。例えば、ニードルやピン・ダイを用いた穿孔加工により、扁平で可撓性の第1および第2取付部材に数百、さらには数千の、小さな丸い非連続部を導入することができる。本明細書で用いる目開きとは、金型に組み付けられた数々のピンのうちの各ピンのような個別の穿通要素が材料を貫通する際に、同材料のいずれの側(例えば、突き刺した側、突き出た側等)にも余分な肉厚が生じることのない加工を言う。ある特定の穿通要素の貫通によって片側又は別の側に余分な肉厚(例えば、突き出た側の材料の変形等)が生じるか生じないかは、その穿通要素自体だけでなく、穿通対象の材料(本例では、高分子シート材料)にも左右される。例えば、高分子シート素材によっては、小釘のサイズのような大きめの線番(ゲージ)の穿通要素であると、突き出た側に変形が生じる可能性があり、本開示に沿った非連続部の導入には有効でない。穿通要素の形状は、丸状である必要はない。穿通要素の形状に幾何学的な制限はない。
【0066】
高分子材料に小釘を刺した際に生じる非連続部のような大きめの非連続部を導入するのであれば、パンチプロセスがより妥当であり得る。本明細書で用いる「パンチ(孔開け)
」は、孔開け過程のなかで材料が切り離されるという必然性の面で、「穿孔」と対比をなす。例えば、ある特定の直径の孔開け金型では、高分子材料から材料屑が打ち抜かれ、すなわち、切り離される。型抜き法(die cutting process)において、このようなばら物状の(loose)材料屑は、例えば、切断後の材料屑を捕集するための接着ウェブの設置や吸着処理等を含む様々な方法によって除去される。
【0067】
前述の孔開けやパンチングのほかに、1つ以上のスリット又はスライスをカッテング(例えば、ダイカット等)によって扁平で可撓性の取付部材へ導入することも可能である。ここでも、上述した汗腺分布を踏まえて、スリットを複数にするのが好ましい。
【0068】
当業者であれば、非連続部の大きさ、形状および分布を最適化するにあたって、ある程度の日常的な実験が必要となり得ることが分かるであろう。ある程度大きめのゲージの穿孔、パンチまたはスリットにすることで、創傷閉鎖器具下方の皮膚から汗を逃がすことが可能になる。例えば前述のピン金型によって形成されるような、ある程度小さめのゲージ
の穿孔である場合、湿気を逃がすことは可能かもしれないが、汗を逃がすことはできないかもしれない。日常的な実験により、汗を逃がすことのできる非連続部のパラメータが求められる。ある特定の接着剤が付いたある特定の高分子シートに対する最適な非連続部の構成は、別の高分子シートおよび/または別の接着剤になると上手く行かない可能性がある。例えば、極めて小径の穿通要素で目開きを導入した際に、接着剤が極めて軟質な又は粘着性のものであると、そのような目開きに同接着剤が流れ込んだり埋まったりして勝手に修復されてしまう場合がある。
【0069】
また、当業者であれば、パンチ型の非連続部の場合、扁平な可撓性の取付部材から皮膚と接触する表面部(および接着剤)が失われる(remove)傾向になることが分かるであろう。このため、少なくとも、高接着特性を必要とする用途では、大きめの孔開け型非連続部(例えば、ペーパーパンチによる大きさ又はそれを超えるサイズの非連続部等)は好ましくない。
【0070】
様々な理由から、扁平で可撓性の取付部材にスリット又はスライスが導入されているのが好ましい。その一つとして、スリット又はスライスでは、穿孔と同じく、扁平で可撓性の取付部材から材料が失われないことから、スリット又はスライスが導入された後も、扁平で可撓性の取付部材の表面積及び接着剤の含有量が全く変わらないという点が挙げられる。スリット又はスライスは、直線状や曲線状であってもよい。スリット又はスライス
は、比較的長い(例えば、扁平で可撓性の取付部材の長さ又は幅に亘って延びる)ものであってもよいし、略短い長さのものであってもよい。しかも、スリット又はスライスは、屈曲した際に開く傾向がある。この傾向は、2部コンポーネントの創傷閉鎖器具の場面で利点となる少なくとも2つの目的を果たす。第一に、屈曲時にスリット又はスライスが「開く」ことにより、扁平で可撓性の取付部材下方の皮膚の表面から外部環境へと汗を比較的妨げられずに逃がすことができる。第二に、スリット又はスライスが「開く」ことにより、スリット又はスライスに隣合う接着剤付き面と皮膚との間で、良好な接着性を維持できる傾向がある。スリットやスライスの存在により、接着特性の悪化をもたらしがちな剥離力やせん断力が軽減される傾向にある。
【0071】
好ましい事例として、スリットは、扁平で可撓性の各取付部材に、当該扁平で可撓性の取付け部材の創傷縁と略直交する方向で導入される。スリットは、適用後の器具において細長い連結具同士の間となるように設けられる。ある特定の扁平で可撓性の取付部材に対し、スリットをこのような向き方向とした場合、導入したスリットによって複数の接着副領域に分割されているように見える傾向が生じる。接着後の2部コンポーネントの器具は、屈曲時にアコーディオン状に開くようになる。実際、本開示の2部コンポーネントの器具の事例では、前記接着副領域同士が時間と共に互いに離れていき、それによって、独立した副領域を呈することが可能となる。
【0072】
上述したような種類の機械的操作により、非弾性高分子に「弾性様」特性を付与することが可能である。機械的操作によって特定の高分子の非弾性特性が変わることはないが、空隙や非連続部を導入すれば、空隙や非連続部を持たない場合の同一高分子と比較して、動きや寸法の屈曲を可能にできる。
【0073】
(適用/使用時の考慮事項)
以下では、前記器具を用いた裂傷や切開部の閉鎖について詳細に説明するが、ここで簡単な前置きを挟んでおいたほうが良いかと思われる。使用時には、前記器具の第1コンポーネントの接着剤付き取付部材が、動物やヒトの患者において、閉鎖すべき裂傷や切開部に隣接した皮膚に適用される。第1コンポーネントの創傷縁は、裂傷又は切開部のエッジの極めて近隣に、ただし、第1コンポーネントの取付部材から裂傷又は切開部の開放領域に接着剤が入り込むほどの近さにならないように配置される。1つ以上の細長い連結具は、第1コンポーネントの取付部材の創傷縁から、当該創傷縁と略直交する方向に延出し、裂傷又は切開部の部分を横切って当該裂傷の反対側へと延びることになる。
【0074】
第2コンポーネントの適用も同様の適用手順で行われるが、2つ目の適用手順は1つ目の適用手順の鏡像となる。扁平で可撓性の取付部材の適用が済むと、取付部材同士を互いに向かって押すか、あるいは、各コンポーネントの1つ以上の細長い連結具を掴んで取付部材同士を引いて裂傷を引き閉じることにより、裂傷が閉じられる。X、Y寸法の細かい微調節により、傷跡を最小限に抑えながら裂創を確実に閉鎖することが可能である。第1および第2コンポーネントの位置が施術者やその他の器具適用者が満足する位置となれば、第1コンポーネントの1つ以上の細長い連結具を第2コンポーネントの取付部材に取り付けて、かつ、第2コンポーネントの1つ以上の細長い第2連結具を第1コンポーネントの取付部材に取り付けることにより、2つのコンポーネントの関係が固定される。
【0075】
(接着剤)
本開示に関する用途に選択される接着剤は、多くの要件を満たす必要がある。初めに、皮膚と接触することになる接着剤であれば、皮膚による有害反応の可能性が最小限になるものが選択されなければならない。すなわち、選択される接着剤は、低アレルゲン性のものが望ましい。また、どの接着剤も、皮膚に接触するものであるか否かにかかわらず、器具の除去が妥当となる時点まで治癒過程が進むのに十分な期間のあいだ確実な保持を行うものでなければならない。接着剤の保持期間としては、一般的に約7~10日間が適切である。
【0076】
接着剤は、1つ以上の細長い連結具を扁平で可撓性の取付部材に取り付ける好ましい手段の一つである。一実施形態において、接着剤は、2つのコンポーネントのうちの一方のコンポーネントの細長い連結具を他方のコンポーネントの適用済み取付部材に取り付ける目的で、当該細長い連結具の下面の少なくとも一部に塗布されている。これに代えて又はこれに加えて、接着剤は、扁平で可撓性の第1および第2取付部材の上面の一部に塗布されていてもよい。器具の適用前では、塗布された接着剤を保護するために剥離ライナーが適用されている。
【0077】
細長い連結具は、取付部分と橋渡し部分という2つの部分又は部位を有する。細長い連結具の取付部分は、その名前が表すように、器具の適用後に他方のコンポーネントの取付部材に取り付けられる部分である。橋渡し部分は、細長い連結具又は連結部材のうちの、裂傷上部領域を跨ぐ部分である。さらに改良した実施形態では、橋渡し部分の下面の接着剤が、取付部分よりも少ない。好ましい実施形態では、1つ以上の細長い連結具の橋渡し部分全体に接着剤がないか、あるいは、橋渡し部分に接着剤があるものの、当該橋渡し部分の当該接着剤が機能を果たさないようにする別のフィルム(無効化層)によって遮られている。
【0078】
(細長い連結具)
前述したように、細長い連結具の寸法は、幅が厚さよりも大幅に大きい帯状とされる。細長い第1および第2コンポーネント同士の取付け箇所が細長い連結具の取付部分の下側と取付済みの細長いコンポーネントの上面との間になる点に鑑みると、接触面積を最大化すれば、接着剤の接触面積も最大になって、器具の閉鎖がより確実なものになる。したがって、閉鎖の確実性の観点からみれば、取付部分の幅は広いほうが好ましい。しかし、全ての細長い連結具の幅を増やすと、細長い連結具間の距離が必然的に小さくなる。隣合う細長い連結具間に十分な距離を設けておき、第2取付部材の位置決めを行っている際や、2つの取付部材の位置決め後から細長い連結具を取付部材に取り付けて関係を固定するまでの間にかけて、器具の微調節をし易くしておくことが極めて重要である。
【0079】
参照をもって開示内容を本明細書に取り入れた米国特許第6,329,564号の記載にもあるように、細長い連結具間の間隔については、絶対的な最小値を述べることはできない。恐らく、器具の長さ(すなわち、器具の寸法のうち、裂傷または切開部と略平行な寸法)に対する百分率として好ましい範囲を述べるのが最も良いであろう。例えば、包帯の長さの約5%~約10%の間隔が、適切な範囲の一例である。
【0080】
このような間隔により、細長い連結具の取付部分と取付部材との間の接着剤の接触を大幅なものとしつつ、第2取付部材の取付け前後の微調節のための間隔が十分なものとなる。第2取付部材の取付け後の微調節とは、一般的に、裂傷を閉じてから細長い連結具を扁平で可撓性の取付部材に取り付ける直前までに関するそれである。適用過程のこの段階では、1つ以上の細長い第1連結具の橋渡し部分と1つ以上の細長い第2連結具の橋渡し部分とが、閉じておいた裂傷または切開部の上方で互いに揃えられる。本開示の好ましい一実施形態では、細長い連結具における橋渡し部分の平均幅が取付部分の平均幅よりも小さい。平均幅は、橋渡し部分の外エッジ部分、取付部分の外エッジ部分からの測定で求まる。
【0081】
取付部分に対する橋渡し部分の幅のこのような違いは、細長い連結具の幅が長さに沿って略一定である先行技術の器具に比べて有利である。一例として、確実性を最大限にするように設計されている先行技術の器具について考える。このような器具では、細長い連結具同士が可能な限り接近して配置されると共に、調節範囲の許容度は最小限に抑えられている。このような器具において橋渡し領域の幅を狭めた場合には、正味の効果として、裂傷上方の露出領域の増加(これは、薬剤の適用、滲出液の除去などに望ましい)や調節範囲の増加(細長い連結具の幅を橋渡し部分にて狭めることで、隣接する橋渡し部分間の距離が実質増加する)が得られる。
【0082】
前項で述べたものと同じ先行技術の器具について考える。橋渡し部分の幅を一定に保ちながら取付部分の幅を広げると、接着剤の接触面積が実質増加して確実性がより高まる。当業者であれば、ハイブリッド的構成(すなわち、幅が一様な先行技術の器具に比べて幅狭の橋渡し部分と幅広の取付部分を有する器具)が本開示の重要な実施形態を成すことが分かるであろう。
【0083】
細長い連結具は、その寸法から、帯状であると見なされ得る。好ましい実施形態では、細長い連結具の一部が、創傷又は切開部上方の遮られない表面積を増加させるように切り取られている。これにより、滲出液の排出や薬剤の適用が容易になる傾向がある。この切り取られた部分は、型抜き法で製造されるのが最も良い。参照によって開示内容を本明細書に取り入れた米国特許第6329564号の図3には、例えば、切欠き部が示されている。切欠き部の形状は重要でない。重要なのは、細長い連結具の構造的完全性を、切欠き部の導入によって損なわないようにするという点である。
【0084】
(牽引要素)
本開示の好ましい実施形態では、細長い連結具又は細長い連結具の延長部に牽引要素が取り付けられている。コンポーネントに細長い連結具の数が1つだけ対応付けられている実施形態では、細長い連結具の延長部自体を牽引要素と見なすことも可能である。定義から言って、細長い連結具の取付部分は、別のコンポーネントの取付部材に取り付けられるものである。細長い連結具の延長部は、細長い連結具の長さを延ばして適用し易くするためのものであり、一般には、適用過程の後に切り離される。その切離しを簡単にするために、穿孔又はミシン目(scoring)が設けられるのが好ましい。コンポーネントに対応付けられている細長い連結具の数が複数の実施形態では、ユーザが複数の連結部材に牽引力を容易に加えられるように細長い連結具同士又は細長い連結具の延長部同士を繋げるものとして牽引要素が有用である。
【0085】
牽引要素を切り離すことで、適用後の2部コンポーネントの器具の専有面積(footprint)が抑えられる。器具全体の大きさがこのように減少することで、包帯の一部が例えば衣類や枕に引っ掛かる可能性が少なくなる。このような事態に陥ると、適用済みの器具が皮膚から引き離されて創傷又は切開部が開くという傾向が生じ得る、また、適用済みの器具の総専有面積が抑えられると、より快適な装着感となる傾向がある。
【0086】
(反らせエッジ)
好ましい実施形態において、扁平で可撓性の第1および第2取付部材の創傷縁は、創傷治癒を促するために皮膚エッジを反らせる(または上げる)ように適合化されている。創傷又は切開箇所の皮膚エッジを反らせる、上げる又は盛り上げると創傷の陥没(wound inversion)が阻止されることが当該技術分野で知られている。これを達成することのできる方法の一つは、創傷縁に曲折を付与することである。曲折部は、角度が付けられたものであってもよいし、円弧状のものであってもよい。扁平で可撓性の取付部材の下部の接着剤は、創傷縁の部分にも塗布されている。このような反らせエッジは、皮膚に取り付けられた際に閉鎖接触箇所の皮膚エッジを持ち上げる傾向を示すことで、創傷又は切開部の治癒を促す。
【0087】
(コード化)
本開示の器具の新規ユーザの混乱が最小限になるように、牽引要素および取付部材は、ユーザが区別できるようにコード化され得る。つまり、コード化は、例えば、牽引要素の形状と扁平で可撓性の取付部材の形状との間での、目視可能な幾何学的区別を含み得る。別の実施形態において、このようなコード化は、コンポーネント間の区別をユーザができるようにするための印刷による印を含み得る。また、色によってこのような区別機能を提供するようにしてもよい。
【0088】
(横方向並進要素)
本明細書で説明する横方向並進要素は、それぞれ、単一の牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものである。本開示の4種類の具体的な実施形態で例示するように、各横方向並進要素は:a)単一の細長い連結具および単一の牽引要素;ならびにb)複数の細長い連結具および単一の牽引要素;からなる群から選択される。
【0089】
(剥離ライナー)
本開示の器具の接着剤裏打ち面は、製造時に剥離ライナーが適用されて(例えば、異物混入や酸化等から)保護されている。一部の事例では、複数の剥離ライナー又は剥離ライナーシステムによって途切れのない単一の接着剤裏打ち面が保護され得る。一例として、本開示の器具の取付部材について考える。閉鎖する裂傷又は切開部の隣りに取付部材の創傷縁を正確に取り付けるには、当該取付部材を片手で把持しつつもう片方の手で裂傷又は切開部の領域を自由に操作するのが好ましい。よって、各々の取付部材に複数の剥離ライナーがあるのが好ましい。好ましい実施形態では、創傷縁を保護する第1剥離ライナーが適用過程で最初に取り外される。これにより、創傷縁の一部を皮膚に接着させると同時に、取付部材のうちの保護されている部分を保持することができるので、器具がユーザの(例えば、手袋をはめた手の)指に引っ付くことがない。創傷縁の適用が済むと、第2剥離ライナーを取り外し、取付部材を完全に固定することが可能である。剥離ライナー製造用の好ましい材料としては、例えば、抄紙、厚紙、高分子シート材料等が挙げられる。細長い連結具の延長部や牽引要素が「接着剤なし」で設けられる好ましい実施形態では、細長い連結具に伴う接着剤について複数の剥離ライナーを使用することの重要性は低くなる。本開示の器具の新規ユーザの混乱が最小限になるように、剥離ライナーについてもコード化が施されてよい。剥離ライナーの取外し順序をユーザが即座に認識できるようにするコード化の例としては、剥離ライナーの色や、剥離ライナー上の印刷による印が挙げられる。
【0090】
前述したように、本開示の器具の第1および第2コンポーネントの製造に用いられるフィルムまたはシート素材は、極めて薄いものであってもよく、かつ、そのようなものが好ましい。そのような薄い素材から製造された取付部材を裂傷又は切開部の隣りに適用する際には、エッジのしわや重なり合い、不測の又は不正確な位置決めによる初期接触などに関係した困難性が容易に想像される。器具に対して用いられる剥離ライナーは、適切に選択すれば、器具、特に、薄いシート素材から製造された器具の取扱い時に、著しい手助けとなり得る。例えば、2つの剥離ライナーを使用して取付部材の接着剤付き面を保護する場合、取付部材の創傷縁を保護しているほうの剥離ライナーの特性は、扁平で可撓性の同じ取付部材を保護しているそれよりも後で取り外される2つ目の剥離ライナーの特性に比べると全く重要でない。例えば、2つ目の剥離ライナーとして半剛体の剥離ライナーを用いると、扁平で可撓性の取付部材の創傷縁の配置をより高精度に行うことができる。
【0091】
(別の素材)
前述した器具の実施形態は、第1および第2のコンポーネントが本質的に単一物のものである。すなわち、(取付部材と1つ以上の細長い連結具を含む)第1コンポーネントは、接合部や継ぎ目のない1枚の素材シートから製造される。同じことが、第2コンポーネントにも当てはまる。代替的な一実施形態では、第1および第2コンポーネントが本質的に非単一物とされる。この代替的な実施形態は、取付部材にとって所望とされる物性と細長い連結具にとって所望とされる物性とが全ての事例で共通になるとは限らないとの認識に基づいたものである。例えば、ある程度の弾性は、関節のような領域等への適用時の取付部材とって望ましい特徴である。ある程度の弾性を有するフィルムから製造された取付部材は、そのような領域に適用された場合、実質非弾性の材料から製造された取付部材に比べて早期に剥がれてしまう可能性が低い。弾性は、細長い連結具の製造時には避けなければならない特性である。細長い連結具の伸張は、裂傷又は切開部が早期に開放されてしまう傾向に繋がるので、避けるべきである。
【0092】
第1および第2コンポーネントが単一物でない実施形態では、ある程度の弾性を有する素材から取付部材が製造されてもよい。細長い連結具は、別途、実質非弾性の素材から製造される。そして、1つ以上の細長い第1連結具が第1取付部材に(例えば、接着剤等で)取り付けられることにより、第1コンポーネントが製造される。第2コンポーネントも、同様に構築される。特に、ある程度の弾性を有するシート素材が採用される実施形態では、別の箇所で説明するような創傷縁補強具が、創傷縁を補強するように取り付けられ得る。
【0093】
非単一物のコンポーネントにおける細長い連結具と取付部材は、必ずしも別々の素材材料で製造しなければならないわけではない。例えば、追加の強度を付与するために、細長い連結具のうちの一部(例えば、橋渡し部分等)を多重にする(create an overlap)のが望ましい場合がある。つまり、連結部材の一部を含んだ単一物の取付部材を製造することで、橋渡し領域の厚さの二重化を行うようにしてもよい。この単一物の取付部材に対し、別途製造した細長い連結具を重ね合わせるようにして取り付けられる。これにより、橋渡し部分の厚さが二重となって追加の強度を得た第1コンポーネントが形成されると共に、伸張も防がれる。
【0094】
(補強要素)
取付部材の創傷縁部分は、可撓性の低い素材の別の層で補強することが望ましい場合がある。この「創傷縁補強具」により、細長い連結具により加わった力は、創傷縁全体に沿って一様かつ良好に移動することになる。同様に、任意の牽引要素又はその一部についても、可撓性の低い素材の別の層で補強することが望ましい場合がある。この「牽引補強具」は、器具を閉鎖用の位置に持っていく際に、牽引要素から全ての細長い連結具に一様な張力を適用するうえで役立つ。この構成は、扁平で可撓性の各取付部材へと牽引固定される細長い連結具が4つ以上にもなり得る長い裂傷又は切開部の閉鎖用に意図された器具の実施形態において重要性が増す。
【0095】
(弾性張力インジケータ)
本開示の包帯は、オプションとして弾性張力インジケータ要素を備えるものであってもよい。張力インジケータ要素の目的は、包帯を適用させている際に所望の張力に到達したことを視覚的に知らせることである。例えば、所定の張力が加わったときに色が変化する材料が当該技術分野で知られている。この目的には、その他のグラフィック表現も同様に利用されてよい。例えば、長方形のグラフィック表現が、弾性張力インジケータ要素に採用されてよい。この張力インジケータが伸張すると、長方形の描出表現が伸張する。この要素は、元々の長方形の表現が幾何学的な正方形に近くなるところまで伸ばされた際に張力が所望になったことが分かるように設計され得る。
【0096】
この弾性張力インジケータ要素は、包帯の適用後に牽引要素と共に取り外し可能であるのが望ましい。少なくとも、弾性張力インジケータ要素は、包帯を適用させた際に、当該弾性要素が伸び続けることや当該弾性要素がそれまでに確立した所望の張力を放出することができないように包帯に設置されているのが望ましい。
【0097】
(経皮薬剤送達)
本開示の2部コンポーネントの器具は、任意で経皮薬剤送達用に適合化され得る。当該技術分野で知られていることであるが、薬剤は、皮膚を介して経皮送達することが可能である。そのような用途では、皮膚を介して薬剤を送達することができるように、薬剤含有パッチが扁平で可撓性の少なくとも一方の取付部材に固定される。薬剤送達パッチの領域では皮膚と扁平で可撓性の取付部材との間で接着剤による接触がなくなるであろうことから、そのような経皮薬剤送達の実施形態では、包帯の固定のために、扁平で可撓性の部材のサイズを大きくしなければならない場合がある。経皮薬剤送達は当該技術分野で周知のものであるから、当業者は、背景技術を確認せずとも、同開示の事例を製造および使用することが可能である。
【0098】
(埋込み感染インジケータ)
埋込み感染インジケータの使用は比較的新しい技術であり、同技術を組み込むことにより、例えば、色の変化によって望ましくない細菌の存在を示すことが可能な創傷閉鎖器具を提供することができる。同技術の一つは、望ましくない細菌が分泌する毒素により、ナノカプセルから蛍光色素の放出が惹起されるものである。
【0099】
(使用方法)
本開示は、さらに、前述したタイプの器具を使用して裂傷又は切開部を閉鎖する方法に関する。このような方法は、第1および第2コンポーネントの取付部材を、閉鎖すべき裂傷又は切開部の反対側に適用する過程を備える。次いで、前記裂傷は、前記扁平で可撓性の取付部材の領域の皮膚を操作して当該裂傷のエッジ同士を押し合わせるか、横方向並進要素を用いて前記裂傷を引き閉じるか、あるいは、これらの何らかの組合せによって、ユーザにより閉じられる。前記裂傷が閉じられた後、前記細長い連結具を前記扁平で可撓性の取付部材に取り付けることによって、前記第1および第2コンポーネントの互いに対する位置が固定される。
【0100】
全実施形態に共通する考慮事項の説明を終えたので、次に、1)ジッパーの実施形態、2)鍵穴Aの実施形態、3)鍵穴Bの実施形態、および4)インターレースの実施形態の、4種類の具体的な実施形態について説明する。
【0101】
1)ジッパー
図1に、ジッパーの実施形態を示す。図1では、本開示のジッパーの実施形態を、切開部12の閉鎖用として描いている。細長い第1コンポーネント14と細長い第2コンポーネント16は、最適な美容結果で閉鎖及び治癒を確立するために、切開部12の両側のエッジを一緒に引き込んで協働係合させた状態で図示されている。
【0102】
本開示のジッパーの実施形態の細長い第1および第2コンポーネントの構成についての参照を分かり易くするために、図2では、細長い第1、第2コンポーネント14,16を分離させて描いている。細長い第1コンポーネント14は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第1取付部材13を含む。細長い第2コンポーネント16は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第2取付部材15を含む。2部コンポーネントの器具の構成要素を適用する前は、可撓性の取付部材13,15の前記接着剤層が、詳細に既述済みの剥離ライナーによって保護されている。使用時には、扁平で可撓性の第1取付部材13上の前記接着剤層を保護する1つ以上の剥離ライナーが取り外されて、当該扁平で可撓性の第1取付部材の第1創傷縁22が、閉鎖する切開部のうちの一方のエッジと揃えられる。多くの外科手術で形成される切開部は、図2に示す(第1)創傷縁22及び(第2)創傷縁24のように略直線状である。
【0103】
図2に示す細長い第1コンポーネント14及び細長い第2コンポーネント16を具体的に参照すると、複数の第1横方向並進要素25および複数の第2横方向並進要素26が、追加の構成要素として含められている。ジッパーの実施形態では、各(第1)横方向並進要素25および各(第2)横方向並進要素26が、単一(第1または第2)牽引要素30,32に単一の細長い(第1または第2)連結具27,28が取り付けられたものされる。
【0104】
前述のように、多くの実施形態では、細長い第1および第2コンポーネントの一方(両方ではない)が、1つ以上の横方向並進要素を含む。このような実施形態では、細長い第1または第2コンポーネントが1つ以上の横方向並進要素を含み、細長い他方のコンポーネントが複数の横方向並進要素を含むと共にその各横方向並進要素は単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものとされる。複数の横方向並進要素が存在していることにより、創傷縁の位置合わせについての微調整を拡張創傷閉鎖器具の全長にわたって継続して行うことが可能である。
【0105】
2)鍵穴A
図3に、鍵穴Aの実施形態を示す。実施形態間で対応する構造が存在する限り、好ましい実施形態間で共通の参照符号を維持するよう努めた。図3は、図2と同じく、細長い第1および第2コンポーネント14,16を分離させて描いている。
【0106】
細長い第1コンポーネント14は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第1取付部材13を含む。細長い第2コンポーネント16は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第2取付部材15を含む。2部コンポーネントの器具の構成要素を適用する前は、可撓性の取付部材13,15の前記接着剤層が、詳細に既述済みの剥離ライナーによって保護されている。使用時には、扁平で可撓性の第1取付部材13上の前記接着剤層を保護する1つ以上の剥離ライナーが取り外されて、当該扁平で可撓性の第1取付部材の第1創傷縁22が、閉鎖する切開部のうちの一方の縁と揃えられる。多くの外科手術で形成される切開部は、図2に示す(第1)創傷縁22及び(第2)創傷縁24のように略直線状である。
【0107】
ジッパーの実施形態と鍵穴Aの実施形態の違いは、図2図3を比較することで即座に認識できる。いずれの実施形態においても、細長い第1および第2コンポーネントの一方が1つ以上の横方向並進要素を含み、細長い他方のコンポーネントが複数の横方向並進要素を含むと共にその各横方向並進要素は単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものとされる。ジッパーの実施形態では、細長い第1および第2コンポーネントの両方が、複数の横方向並進要素を含む。一方、鍵穴Aの実施形態では、細長い第1連結具14が複数の横方向並進要素25を含むのに対し、細長い第2連結具16が単一の横方向並進要素26のみを含む。
【0108】
鍵穴Aの実施形態の使用時を説明すると、細長い第1連結具14の個々の横方向並進要素25が細長い第2コンポーネント16の細長い第2連結具28間の交互の空間に挿通され、本器具を使って切開部の創傷縁同士を引き寄せる。当業者であれば、複数の横方向閉止要素を含んでいるのが鍵穴Aの実施形態の細長い第1コンポーネント14と細長い第2コンポーネント16のどちらなのかは重要でないことが分かるであろう。換言すると、図3の鏡像も鍵穴Aの実施形態となる。
【0109】
3)鍵穴B
図4に、鍵穴Bの実施形態を示す。実施形態間で対応する構造が存在する限り、好ましい実施形態間で共通の参照符号を維持するよう努めた。図4は、図2図3と同じく、細長い第1および第2コンポーネント14,16を分離させて描いている。
【0110】
細長い第1コンポーネント14は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第1取付部材13を含む。細長い第2コンポーネント16は、接着剤層(図示せず)が下面に設けられた扁平で可撓性の第2取付部材15を含む。2部コンポーネントの器具の構成要素を適用する前は、可撓性の取付部材13,15の前記接着剤層が、詳細に既述済みの剥離ライナーによって保護されている。使用時には、扁平で可撓性の第1取付部材13上の前記接着剤層を保護する1つ以上の剥離ライナーが取り外されて、当該扁平で可撓性の第1取付部材の第1創傷縁22が、閉鎖する切開部のうちの一方のエッジと揃えられる。多くの外科手術で形成される切開部は、図2図4に示す(第1)創傷縁22及び(第2)創傷縁24のように略直線状である。
【0111】
鍵穴Aの実施形態と鍵穴Bの実施形態の違いは、図3図4を比較することで即座に認識できる。鍵穴Aと鍵穴Bのいずれの実施形態においても、細長い第1および第2コンポーネントの一方が1つ以上の横方向並進要素を含み、細長い他方のコンポーネントが複数の横方向並進要素を含むと共にその各横方向並進要素は単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものとされる。実際、鍵穴Bの実施形態では、細長い第1および第2コンポーネント14,16の両方が、複数の横方向並進要素を含むと共にその各横方向並進要素は単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものとされる。図4の第1横方向並進要素には符号25を付し、図4の第2横方向並進要素には符号26を付している。
【0112】
鍵穴Bの実施形態の使用時を説明すると、細長い第1コンポーネント14の個々の横方向並進要素25は、単一の細長い第1連結具27を有する横方向並進要素と2つの細長い第1連結具27を有する横方向並進要素とが入れ替わるものである。細長い第2コンポーネント16の構造も、単一の細長い第2連結具28を有する横方向並進要素と2つの細長い第2連結具28を有する横方向並進要素とで複数の横方向並進要素26が入れ替わるという点で、細長い第1コンポーネント14の構造と同様である。
【0113】
鍵穴Bの実施形態の使用時に関することであるが、細長い第1および第2コンポーネント14,16は、切開部の両側の横方向並進要素同士を嵌合させることができるように配置される。換言すると、細長い第1コンポーネント14の横方向並進要素25のうち、単一の細長い第1連結具27を有した横方向並進要素25が、細長い第2コンポーネント16の横方向並進要素26のうち、2つの細長い第2連結具28を有した横方向並進要素26と、切開部を挟んで揃えられる。細長い第1コンポーネント14の単一の横方向並進要素25は、細長い第2コンポーネント16の第2横方向並進要素26における隣合う細長い第2連結具28間に(through)挿通される。この挿通取付手順に従って、切開部が閉鎖される。
【0114】
4)インターレース
上述した他の好ましい実施形態(ジッパー、鍵穴Aおよび鍵穴B)では、細長い第1コンポーネント14、細長い第2コンポーネント16または両方に対応付けられている横方向並進要素に、単一の細長い第1連結具27を有する横方向並進要素、細長い第2連結具28を有する横方向要素、または両方(ジッパー実施形態の場合)が含まれていた。ジッパー、鍵穴Aおよび鍵穴Bの製造は、細長い第1コンポーネント14および細長い第2コンポーネント16を単に型抜きするというのが好ましい製造方法であるという点で単純明快である。
【0115】
インターレースの実施形態は、製造上の特別な配慮を要するより複雑な構造である。図5に、インターレースの実施形態の一例を示す。図5で見て取れるように、細長い第1および第2コンポーネント14,16は、それぞれ、複数の(第1または第2)横方向並進要素(25または26)で構成されている。複数の(第1または第2)横方向並進要素(25または26)は、それぞれ、単一の(第1または第2)牽引要素(30または32)と繋がった複数の細長い(第1または第2)連結具(27または28)で構成されている。当業者であれば、インターレースの実施形態の細長い第1および第2コンポーネント14,16を別々に型抜きしてから組み付けて創傷閉鎖器具として使用することが不可能であるという点が明確であろう。これが不可能な理由は、(第1および第2)牽引要素(30および32)が両側の細長い第1および第2連結具27,28同士の交互配置を阻害するからである。
【0116】
製造上の観点からみて、単純な型抜き加工以外でインターレースの実施形態を作り上げるための代替方法は2つある。代替方法の一つでは、対応する牽引要素25がない状態の細長い第1コンポーネント14を型抜きし、対応する牽引要素26がない状態の細長い第2コンポーネント16を型抜きするという2段階型抜き加工がまず行われる。すると、本段落に従って(すなわち、牽引要素がない状態で)型抜きした細長い第1および第2コンポーネント14,16を、細長い第1連結具27と細長い第2連結具28との入れ替わりで交互配置することが可能となる。その後、別途用意した(第1および第2)牽引要素30,32を適切な細長い連結具に取り付けるという(手動または自動の)2段階組立方法により、器具を完成させて製造することができる。
【0117】
単純な型抜き加工以外の代替方法の2つ目は、参照をもって本明細書に取り入れた米国特許第7,332,641号に記載されている。当業者であれば、米国特許第7,332,641号の教示内容を参酌することで、前項で説明した2段階方法を必要とせずに例えば図5等に示されたインターレースの実施形態を製造することが可能である。
【0118】
図5に示されたインターレースの実施形態では、細長い一方の(第1または第2)コンポーネント(14または16)における、2つの細長い(第1または第2)連結具(27または28)を有した横方向並進要素が、細長い他方の(第2または第1)コンポーネント(16または14)における、3つの細長い(第2または第1)連結具(28または27)を有した横方向並進要素と、切開部を挟んで嵌合する構成が描かれている。このような横方向並進要素嵌合配置構成は、関与する横方向並進要素の各対からの細長い連結具の貢献数を参考にして、「2×3」の実施形態とも称することができる。同様の命名法を用いると、ジッパーの実施形態は「1×1」の実施形態と称することができ、鍵穴Aや鍵穴Bの実施形態は「1×2」の実施形態と称することができる。
【0119】
本開示のインターレースの実施形態の数は、実用時の検討要項の制限しか受けない。例えば、「3×4」や「4×5」や「5×6」のどの実施形態も前述のようにして製造することが可能である。時間が経てば、存在する多数の選択肢の中から、医療的にどれが好ましいのかが手術毎に分かってくるであろう。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
[態様1]創傷又は切開部を閉鎖する2部コンポーネントの器具であって、
a)細長い第1コンポーネントであって、
i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第1取付部材、ならびに
ii)それぞれ、単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い第1連結具が取り付けられたものである、1つ以上の第1横方向並進要素、を含む、細長い第1コンポーネントと、
b)細長い第2コンポーネントであって、
i)創傷縁および下面を有し、当該下面が接着剤層を具備し、適用前の当該接着剤層が1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、扁平で可撓性の第2取付部材、ならびに
ii)単一の第2牽引要素に1つ以上の細長い第2連結具が取り付けられたものである複数の横方向並進要素、を含む、細長い第2コンポーネントと、
c)閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1連結具を前記扁平で可撓性の第2取付部材に取り付ける手段であって、当該扁平で可撓性の第2取付部材への当該1つ以上の細長い第1連結具の取付けによって、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成される、手段と、
d)閉鎖時に前記1つ以上の細長い第2連結具を前記扁平で可撓性の第1取付部材に取り付ける手段であって、当該扁平で可撓性の第1取付部材への当該1つ以上の細長い第2連結具の取付けによって、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分が形成される、手段と、を備える、2部コンポーネントの器具。
[態様2]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、それぞれの第1横方向並進要素が、
a)単一の細長い第1連結具および単一の第1牽引要素、ならびに
b)複数の細長い第1連結具および単一の第1牽引要素、
からなる群から選択される、2部コンポーネントの器具。
[態様3]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、それぞれの第2横方向並進要素が、
a)単一の細長い第2連結具および単一の第2牽引要素、ならびに
b)複数の細長い第2連結具および単一の第2牽引要素、
からなる群から選択される、2部コンポーネントの器具。
[態様4]態様40に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、扁平で可撓性の取付部材へのスリットの導入よって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具。
[態様5]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透明な素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様6]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様7]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様8]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記牽引要素および/または取付部材は、ユーザが区別できるようにコード化されている、2部コンポーネントの器具。
[態様9]態様8に記載の2部コンポーネントの器具において、前記コード化が、目視可能な幾何学的区別を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様10]態様8に記載の2部コンポーネントの器具において、前記コード化が、印刷による印を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様11]態様8に記載の2部コンポーネントの器具において、前記コード化は、区別色を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様12]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、当該器具の適用後、牽引要素が取外し可能である、2部コンポーネントの器具。
[態様13]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、牽引要素が、牽引補強具で補強されている、2部コンポーネントの器具。
[態様14]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1および第2連結具を前記扁平で可撓性の第2および第1取付部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様15]態様14に記載の2部コンポーネントの器具において、前記接着剤が、前記細長い第1および第2連結具の前記下面に設けられている、2部コンポーネントの器具。
[態様16]態様15に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の前記下面に設けられた前記接着剤が、1つ以上の剥離ライナーによって保護されている、2部コンポーネントの器具。
[態様17]態様16に記載の2部コンポーネントの器具において、前記剥離ライナーが、オプションとして取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの器具。
[態様18]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材の前記下面の前記接着剤が、第1および第2剥離ライナーによって保護されており、当該第1剥離ライナーは、前記創傷縁側の前記下面に沿った前記接着剤を保護し、当該第2剥離ライナーは、当該第1剥離ライナーにより前記創傷縁から隔てられていて、前記下面のうちの前記創傷縁から隔てられた残りの平行部位に沿った前記接着剤を保護する、2部コンポーネントの器具。
[態様19]態様18に記載の2部コンポーネントの器具において、前記コード化が、前記第1、第2剥離ライナーをユーザが区別できるようにする印刷による印を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様20]態様19に記載の2部コンポーネントの器具において、前記コード化が、前記第1剥離ライナー、前記第2剥離ライナーの区別色を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様21]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、1つ以上の位置合わせインジケータが設けられている、2部コンポーネントの器具。
[態様22]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材に、創傷エッジバーが設けられている、2部コンポーネントの器具。
[態様23]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のうちの前記創傷又は切開部側のエッジが、皮膚エッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの器具。
[態様24]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記創傷又は切開部上方の遮られない表面積が増えることで滲出液が排出され易くなったり薬剤が適用され易くなったりするように、前記細長い第1および第2連結具の一部が切り取られている、2部コンポーネントの器具。
[態様25]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの器具。
[態様26]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平な第1および第2取付部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性高分子材料から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様27]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、機械的操作によって変質した非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様28]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い第1および第2連結具は、それぞれの幅がそれぞれの厚さよりも大きい帯状である、2部コンポーネントの器具。
[態様29]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第2および第1取付部材への前記細長い第1および第2連結具の前記取付けによって、個々の細長い連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成され、細長い連結具毎の当該橋渡し部分の平均幅が当該取付部分の平均幅よりも小さい、2部コンポーネントの器具。
[態様30]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記橋渡し部分が、実質的に接着剤を含まない、2部コンポーネントの器具。
[態様31]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材のそれぞれに、創傷縁と略直交する方向で穿孔されていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの器具。
[態様32]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、当該器具に、感染の発症を検出するのに有用な感染インジケータが埋め込まれている、2部コンポーネントの器具。
[態様33]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、当該器具が、経皮薬剤送達用に適合化されている、2部コンポーネントの器具。
[態様34]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、当該器具が、弾性張力インジケータ要素を備える、2部コンポーネントの器具。
[態様35]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い第1コンポーネントおよび前記細長い第2コンポーネント、あるいは、それらの構成要素が、シート素材から型抜きされたものである、2部コンポーネントの器具。
[態様36]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントがインターレースされている、2部コンポーネントの器具。
[態様37]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの器具。
[態様38]態様29に記載の2部コンポーネントの器具において、前記取付部分の幅が一定である、2部コンポーネントの器具。
[態様39]態様1に記載の2部コンポーネントの器具において、少なくとも前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材が、色付き又は不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの器具。
[態様40]態様27に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、スライス、穿孔、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの器具。
[態様41]態様27に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの器具。
[態様42]態様27に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、使用時に前記扁平で可撓性の第1および第2取付部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具。
[態様43]態様27に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具。
図1
図2
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図5