(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電池パックと、それを用いた電子機器ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 50/296 20210101AFI20240725BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240725BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/284
H01M50/107
H01M50/119
H01M50/213
H01M50/247
(21)【出願番号】P 2023196538
(22)【出願日】2023-11-20
【審査請求日】2024-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130732
【氏名又は名称】株式会社サンエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由英
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬司
(72)【発明者】
【氏名】松浦 史奈
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/241327(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/241329(WO,A1)
【文献】特開2019-054356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 50/107
H01M 50/119
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケース内に設けられた第1の基板と、前記本体ケース内に設けられ、前記第1の基板の一面側に配置された電池セルと、前記電池セルへの充電用の入力部と、前記電池セルからの放電用の出力部と、前記出力部からの出力を制御する制御部と、を備えた電池パックであって、
前記制御部は、前記第1の基板に実装され、
前記電池セルは、筒状の外周ケースを有し、
前記第1の基板の一面側には、前記制御部に接続された無線モジュールが配置され、前記無線モジュールは、無線アンテナを有している、電池パック。
【請求項2】
前記外周ケースは、金属製で、円筒状である請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1の基板の一面側に、前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが配置されている、請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記本体ケース内における前記第1の基板の一面側には、複数の前記電池セルが所定方向に並んだ状態で収容される電池セル収容部と、前記電池セル収容部外で前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが収容される機能部品収容部とが設けられている、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記機能部品収容部には、前記第1の基板の外周部に設けられた前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが配置されている、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記機能部品収容部における前記第1の基板の外周部であって、前記第1の基板の面方向について前記入力部の前記出力部を挟んで反対側、または、前記出力部の前記入力部を挟んで反対側に、前記無線モジュールが配置されている、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記機能部品収容部における前記第1の基板の外周部であって、前記入力部と前記出力部との間にUSB(Universal Serial Bus)端子が配置され、前記第1の基板の面方向について前記入力部の前記USB端子を挟んで反対側、または、前記出力部の前記USB端子を挟んで反対側に、前記無線モジュールが配置されている、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
本体ケースと、前記本体ケース内に設けられた第1の基板と、前記本体ケース内に設けられ、前記第1の基板の一面側に配置された電池セルと、前記電池セルへの充電用の入力部と、前記電池セルからの放電用の出力部と、前記出力部からの出力を制御する制御部と、を備えた電池パックであって、
前記電池セルは、筒状の外周ケースを有し、
前記本体ケース内における前記第1の基板の一面側に、前記第1の基板とは別の第2の基板が配置され、前記第2の基板の前記電池セルに対向する面には、前記制御部に接続された無線モジュールが配置され、前記無線モジュールは、無線アンテナを有している、電池パック。
【請求項9】
前記外周ケースは、金属製で、円筒状である請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項1
または8に記載の電池パックと、前記電池パックから電源供給を受ける電子機器とを備えた電子機器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックと、それを用いた電子機器ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電池パックの大容量化により、この電池パックを用いた例えばファン付き冷却服や、ヒータ付き加温服などの電子機器ユニットが市販されている。
【0003】
前記電池パックは、本体ケースと、この本体ケース内に設けられた基板と、この基板の一面側に配置された電池セルと、前記電池セルに対する充電用の入力部、及び前記電池セルからの放電用の出力部と、前記出力部からの出力を制御する制御部と、を備えた構成となっている。また、前記入力部、出力部、制御部は、第1の基板に実装されている。
【0004】
さらに、前記第1の基板の他面側には、前記制御部に接続された無線モジュールを配置し、この無線モジュールは、無線アンテナを有する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例では、前記基板の一面側に電池セル、他面側に無線モジュールを配置することで、無線モジュールを、電池セルから遠ざけ、電池セルの金属外周面(外周ケース面)による無線通信機能への影響抑制を図ろうとしている。
【0007】
しかしながら、このような構成にすると、無線モジュールは本体ケースの表面側に近接した状態となり、このことが、近年、無線通信機能への悪影響を発生させる事例が見いだされた。
【0008】
つまり、電池パックは、例えば衣服のポケットなどに収納されて使用されるが、このポケット内に金属製カギを入れていた場合に、金属製カギと無線モジュールが近接した状態となるので、無線通信機能への悪影響が発生することがある。
【0009】
特に、近年は、例えば自動車のカギとして無線キーが使用されることが多いのであるが、無線キーが電池パックの無線モジュールに近接すると、両者の干渉により、電池パック側でも、自動車側でも、無線通信機能への悪影響が発生することがある。
【0010】
そこで、本発明は無線通信機能への悪影響の発生を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、本体ケースと、前記本体ケース内に設けられた第1の基板と、前記本体ケース内に設けられ、前記第1の基板の一面側に配置された電池セルと、前記電池セルへの充電用の入力部、及び前記電池セルからの放電用の出力部と、前記出力部からの出力を制御する制御部と、を備えた電池パックを前提とすることができる。前記制御部は、前記第1の基板に実装されており、前記電池セルは、筒状の外周ケースを有している。前記第1の基板の一面側には、前記制御部に接続された無線モジュールが配置され、前記無線モジュールは、無線アンテナを有している。また、前記外周ケースは、金属製で、円筒状とすることができる。
【0012】
また、前記第1の基板の一面側に、前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが配置されていてもよい。
【0013】
また、前記本体ケース内における前記第1の基板の一面側には、複数の前記電池セルが所定方向に並んだ状態で収容される電池セル収容部と、前記電池セル収容部外で前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが収容される機能部品収容部とが設けられていてもよい。
【0014】
前記機能部品収容部には、前記第1の基板が収容され、前記第1の基板の外周部に、前記入力部、前記出力部及び前記無線モジュールが配置されていてもよい。
【0015】
前記機能部品収容部における前記第1の基板の外周部であって、前記第1の基板の面方向について前記入力部の前記出力部を挟んで反対側、または、前記出力部の前記入力部を挟んで反対側に、前記無線モジュールが配置されていてもよい。
【0016】
前記機能部品収容部における前記第1の基板の外周部であって、前記入力部と前記出力部間にUSB(Universal Serial Bus)端子が配置され、前記第1の基板の面方向について前記入力部の前記USB端子を挟んで反対側、または、前記出力部の前記USB端子を挟んで反対側に、前記無線モジュールが配置されていてもよい。
【0017】
前記本体ケース内に前記第1の基板とは別の第2の基板が配置され、前記第2の基板の前記電池セルに対向する面には、前記制御部に接続された前記無線モジュールが配置され、前記無線モジュールは、無線アンテナを有していてもよい。
【0018】
また、本開示の他の態様では、電池パックと、前記電池パックから電源供給を受ける電子機器とを備えた電子機器ユニットとすることもできる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本開示では、第1の基板における電池セル側に無線アンテナを有する無線モジュールを配置することができ、また、第1の基板における電池セル側に配置された第2の基板に無線アンテナを有する無線モジュールを配置することができる。これにより、無線アンテナが本体ケースの外表面に近接することが無くなり、その結果として、電池パックを、例えば金属製カギや自動車などの無線キーとともにポケットに収納していた場合でも、これらの金属製カギ、無線キーによる無線通信機能への悪影響の発生を抑制することができる。
【0020】
また、第1の基板の一面側における無線モジュールと電池セルの位置関係は常時一定の状態となり、無線アンテナによる通信は、第1の基板の一面側に無線モジュールとともに配置された電池セルの金属部からの反射作用を用いて十分に安定するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電池パックの斜視図である。
【
図3】電池パックを表側から見た分解斜視図である。
【
図4】電池セル及び基板を表側かつ手前側から見た斜視図である。
【
図5】電池セル及び基板を裏側かつ手前側から見た斜視図である。
【
図6】電池セル及び基板を表側かつ奥側から見た斜視図である。
【
図7】電池セル及び基板を裏側かつ奥側から見た斜視図である。
【
図9】電池パックを裏側から見た分解斜視図である。
【
図10】電池セル及び基板を裏側かつ右側から見た斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る電池パックの電池セル及び基板を裏側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電池パック1の外観を示しており、
図2は、電池パック1の断面を示している。また、
図3及び
図9は電池パック1の分解斜視図である。電池パック1は、例えば樹脂材等からなる本体ケース2を備えている。本体ケース2は、上側ケース構成部材3と下側ケース構成部材4とを有している。本体ケース2内に基板5が収容されるとともに、複数の電池セル6が収容されている。
図4~
図8、
図10、
図11は、本体ケース2を省略し、基板5と電池セル6を示している。
【0024】
この実施形態の説明では、各図に示すように手前側、奥側、左側、右側を定義する。また、電池パック1の表側を
図1の上に向く側とし、電池パック1の裏側を
図1の下に向く側とする。電池パック1の表側を上側ともいい、電池パック1の裏側を下側ともいう。電池パック1の表裏方向を電池パック1の厚み方向とする。これらの定義は実施形態の説明の便宜を図るためだけであり、電池パック1の使用時や製造時の方向を限定するものではない。例えば電池パック1の使用時の姿勢はどのような姿勢であってもよい。
【0025】
本体ケース2は、特に限定されるものではないが、直方体に近い形状をなしている。上側ケース構成部材3は、本体ケース2の表面部、左右両側面部、手前側面部、奥側面部が一体化された形状を有しており、下側の略全体が開放されている。上側ケース構成部材3の手前側面部には、第1開口部3a、第2開口部3b及び第3開口部3cが左右方向に並ぶように形成されている。また、下側ケース構成部材4は、上側ケース構成部材3の下側に取り付けられ、上側ケース構成部材3の下側の開放部分を閉塞する部材である。
【0026】
図2に示すように、基板5は、本体ケース2内で上下方向中央部よりも上側寄りの部分に収容されており、本体ケース2の表面部と略平行となるように配置される。
図3等に示すように、基板5の形状は略矩形状とされている。
【0027】
本実施形態では、4本の電池セル6が本体ケース2内に収容されている場合について説明するが、電池セル6の数は4本に限られるものではなく、1本であってもよいし、任意の複数本であってもよい。電池セル6は、例えばリチウムイオン電池等であり、金属製で、円筒状の外周ケース6a(符号6aは
図3にのみ示す)を有している。
【0028】
電池セル6は、本体ケース2内で基板5の下側に配置されている。基板5の下側を基板5の一面側と定義し、また基板5の上側を基板5の他面側と定義する。本体ケース2内では、基板5が上側寄りに位置しているので、基板5の下側の空間が上側の空間よりも広くなり、相対的に広くなっている基板5の下側の空間に電池セル6を並べて収容している。
【0029】
各電池セル6は円柱状をなしており、軸方向一端部が正極部(一方の電極ともいう)、軸方向他端部が負極部(他方の電極ともいう)となっている。電池セル6の軸方向が本体ケース2の左右方向(一方向ともいう)を指向するように、本体ケース2内での各電池セル6の姿勢が設定されている。また、電池セル6の並び方向は、本体ケース2の奥行方向(平面視で前記一方向に直交する他方向ともいう)となっており、4本の電池セル6が本体ケース2内で奥行方向に配列された状態で保持されている。
図2に示すように、本体ケース2内における手前側には、電池セル6が収容されていない空間が形成されており、基板5の手前側部分は、電池セル6が収容されていない空間まで延出している。
【0030】
図2及び
図3に示すように、下側ケース構成部材4の内面には、仕切片8が上方へ突出し、かつ、左右方向に延びるように設けられている。仕切片8は、隣合う電池セル6の間に差し込まれるものである。仕切片8が隣合う電池セル6の間に差し込まれることにより、複数の電池セル6が基板5に対して所定位置に常時安定的に保持される。
【0031】
図4及び
図5に示すように、基板5の左縁部及び右縁部には、それぞれ電池セル6の電極と導通する複数の接続端子7が設けられている。接続端子7は、基板5から下方へ突出しており、電池セル6同士を電気的に接続するとともに、電池セル6と基板5上の電気回路(具体的には
図12に示す充放電制御部15)とを電気的に接続するための部材であり、薄い板状の導体で構成されている。各接続端子7は、電池セル6の電極に対してはんだ付け等によって固定されている。
【0032】
本体ケース2内における基板5の下側には、電池セル収容部R1と、機能部品収容部R2とが設けられている。電池セル収容部R1は、複数の電池セル6が奥行方向(所定方向)に並んだ状態で収容される部分であり、本体ケース2内の基板5の下側において奥側から手前側に近い部分まで連続して設けられている。電池セル収容部R1の大きさは、機能部品収容部R2よりも大きく設定されている。
【0033】
機能部品収容部R2は、電池セル収容部R1外に設けられており、本体ケース2内の基板5の下側において手前側に位置している。機能部品収容部R2は、電池セルへの充電用の入力部9、電池セルからの放電用の出力部10、USB(Universal Serial Bus)端子11及び無線モジュール12が収容される部分である。すなわち、
図5等に示すように、基板5の下側の面には、当該基板5の手前側の縁部近傍(外周部)に入力部9、出力部10、USB端子11及び無線モジュール12が実装されている。入力部9、出力部10、USB端子11及び無線モジュール12は、基板5の外周部(基板5の機能部品収容部R2へ延出した部分)に固定された状態で、機能部品収容部R2に収容されることになる。
【0034】
入力部9は、基板5の左縁部近傍に配置されており、充電用端子(図示せず)が差し込まれた状態で電気的に接続される部分である。入力部9における充電用端子の差し込まれる部分が開口しており、この開口は手間側に向いている。上側ケース構成部材3の第2開口部3bと、入力部9の開口とが一致するようになっており、上側ケース構成部材3の第2開口部3bに差し込まれた充電用端子が入力部9の開口に差し込まれる。
【0035】
出力部10は、基板5の右縁部近傍に配置されており、出力用端子(図示せず)が差し込まれた状態で電気的に接続される部分である。出力部10における出力用端子の差し込まれる部分が開口しており、この開口は手間側に向いている。上側ケース構成部材3の第1開口部3aと、出力部10の開口とが一致するようになっており、上側ケース構成部材3の第1開口部3aに差し込まれた出力用端子が出力部10の開口に差し込まれる。
【0036】
USB端子11は、基板5の入力部9と出力部10との間に配置されており、USBのオスコネクタが差し込まれた状態で電気的に接続される部分である。USB端子11は、例えばスマートフォン等の携帯端末を充電するための充電ケーブルに設けられたオスコネクタを差し込むことが可能な開口を有しており、この開口は手間側に向いている。電池セル6の電力は、USB端子11から出力され、充電ケーブルを介して携帯端末を充電するための電力として利用される。上側ケース構成部材3の第3開口部3cと、USB端子11の開口とが一致するようになっており、上側ケース構成部材3の第3開口部3cに差し込まれたオスコネクタがUSB端子11の開口に差し込まれる。
【0037】
無線モジュール12は、基板5の右縁部近傍に配置されている。すなわち、無線モジュール12は、機能部品収容部R2における基板5の外周部であって、基板5の面方向について入力部9の出力部10を挟んで反対側に配置されている。これにより、無線モジュール12を入力部9から離すことができる。なお、無線モジュール12は、出力部10の左右方向について入力部9を挟んで反対側に配置されていてもよい。これにより、無線モジュール12を入力部9から離すことができる。
【0038】
また、無線モジュール12は、基板5の面方向について入力部9のUSB端子11を挟んで反対側に配置されていてもよい。また、無線モジュール12は、出力部10のUSB端子11を挟んで反対側に配置されていてもよい。
【0039】
図12は制御ブロック図である。入力部9、出力部10、USB端子11は充放電制御部15を介して制御部16に接続されている。制御部16は、例えばマイクロコンピュータやメモリ等で構成されており、あらかじめ記憶されたプログラムによって動作する。制御部16は基板5に実装されている。また、充放電制御部15には電池セル6が接続されている。
【0040】
つまり、入力部9を介した電池セル6への充電、電池セル6から出力部10、またはUSB端子11への放電(出力)は充放電制御部15を介して制御部16によって行われる構成となっている。充放電制御部15による充放電制御は従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。充放電制御部15は制御部16に統合されていてもよい。
【0041】
無線モジュール12は、通信部13と、無線アンテナ14を有する構成となっている。通信部13は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を実現するための部分であり、制御部16(
図12に示す)によって制御される。制御部16によって制御された通信部13は、無線アンテナ14に対して送信信号を所定のレベルで出力するとともに、無線アンテナ14で受信された入力信号を受け取って制御部16へ送信する。
【0042】
入力部9を介した電池セル6への充電、電池セル6から出力部10、またはUSB端子11への放電(出力)は、制御部16に接続された操作部17の操作、あるいは無線アンテナ14を介した無線指示によって実行可能になっている。つまり、通信部13は、同規格の通信モジュールを内蔵した携帯端末(図示せず)からの指示を無線で受信し、出力部10、またはUSB端子11からの放電(出力)状態を可変することができる。また、無線により電池セル6への充電指示を行う構成としても良い。これらの無線動作指示は、上記先行文献などでも知られた構成であるので、説明の煩雑化をさけるため、詳細な説明は簡略する。
【0043】
操作部17は、例えば、
図1における押し釦17a、17b、17c等によって構成されている。押し釦17a、17b、17cは、制御部16に接続されており、制御部16は、押し釦17a、17b、17cの操作状態を検出可能に構成されている。例えば、押し釦17aを数秒間連続的に押し続けると、制御部16はその操作状態を検出し、充放電制御部15を制御して出力部10、またはUSB端子11からの放電(出力)を開始する。その後、押し釦17aを押す回数が増えたことを制御部16が検出すると、制御部16はその操作状態を検出し、充放電制御部15を制御して出力を増加させる。押し釦17bが押されたことを制御部16が検出すると、制御部16はその操作状態を検出し、充放電制御部15を制御してその回数に応じて出力を減少させる。押し釦17bを数秒間連続的に押し続けると、制御部16はその操作状態を検出し、充放電制御部15を制御して出力部10、またはUSB端子11からの放電(出力)を停止させる。出力部10、またはUSB端子11からの出力状態は第1表示部18によって表示される。
【0044】
出力部10、またはUSB端子11からの出力を無線で指示するときには、先ずは押し釦17cを押す。制御部16は、押し釦17cが押されたことを検出すると、第2表示部19を点灯させた状態とする。その後、携帯端末から出力を指示すると、その指示信号が無線モジュール12を介して制御部16で受信される。制御部16は、充放電制御部15を制御して出力部10、またはUSB端子11から出力を開始することや、出力を停止することができる。これらの動作も、本技術分野では広く知られていることなので、これ以上の詳細な説明を簡略する。
【0045】
以上の構成において本実施形態の電池パック1の特徴は、本体ケース2と、この本体ケース2内に設けられた基板5と、この基板5の一面側に配置された電池セル6と、電池セル6に対する充電用の入力部9、及び電池セル6からの放電用の出力部10、USB端子11と、出力部10、USB端子11からの出力を制御する制御部16と、を備え、制御部16は基板5に実装され、電池セル6は、金属製で筒状の外周ケースを有し、基板5の一面側には、制御部16に接続された無線モジュール12を配置し、この無線モジュール12は、無線アンテナ14を有する構成としたことである。つまり、無線アンテナ14は基板5の電池セル6側に配置され、本体ケース2の表面からは離れた状態になるということである。
【0046】
以上の構成にすると、無線アンテナ14が本体ケース2の外表面に近接することが無いので、電池パック1を、例えば金属製カギや自動車などの無線キーとともにポケットに収納していた場合でも、これらの金属製カギ、無線キーによる無線通信機能への悪影響の発生を抑制することができる。
【0047】
また、基板5の一面側における無線モジュール12と電池セル6の位置関係は常時一定の状態となり、無線アンテナ14による通信は、基板5の一面側に無線モジュール12とともに配置された電池セル6の金属部からの反射作用を用いて十分に安定するものとなる。
【0048】
図11はその状態を模式的に示している。無線モジュール12の無線アンテナ14から放射される電波(複数の矢印で示している)は、電池セル6の外周ケースが金属製で、しかも円筒状であるので、その円筒面で反射し、電波が広範囲に放出される。
【0049】
逆に、携帯端末から送信される指示用電波も、電池セル6の外周ケースが金属製で、しかも円筒状であるので、その円筒面で反射し、
図11の矢印とは反対側の経路で無線アンテナ14に安定的に届くことになる。
【0050】
したがって、電池パック1を、例えば金属製カギや自動車などの無線キーとともにポケットに収納していた場合でも、これらの金属製カギ、無線キーによる無線通信機能への悪影響の発生を抑制することができ、その結果として、携帯端末からの電池パック1の指示動作も安定化することになる。
【0051】
また、本実施形態では、無線アンテナ14の近傍に、出力部10が存在するが、電池セル6の外周ケースが金属製で、しかも円筒状であるので、出力部10のノイズ成分がその円筒面で反射することで、出力部10による影響を受けることなく、無線アンテナ14による無線通信が安定的に行われる。
【0052】
なお、電池セル6の外周ケースは金属製で、しかも円筒状であることが好ましいが、電池セル6の外周ケースは金属製で、しかも角筒状であってもよく、この場合も円筒状の場合と同様に効果を発揮することができる。
【0053】
図12では、電子機器ユニットSを示している。電子機器ユニットSは、電池パック1と、電池パック1から電源供給を受けるファンモータM(電子機器の一例)とを備えている。ファンモータMは、冷却服の内部に外気を送風するためのファンを回転駆動するモータである。電子機器は、ファンモータM以外の機器であってもよく、例えば通信機器、ヒータ、表示装置等を挙げることができる。
(実施形態2)
図13は本発明の実施形態2を示しており、基板5の一面側の機能部品収容部R2における基板5の外周部で、USB端子11の入力部9とは反対側(出力部10側)に無線モジュール12を配置したものである。なお、USB端子11の出力部10とは反対側(入力部9側)に、無線モジュール12を配置しても良い。
【0054】
これらの形態でも、電池セル6の外周ケース6aが金属製で、しかも円筒状であるので、その円筒面で電波が反射することで、出力部10による影響を受けることなく、無線アンテナ14による無線通信が安定的に行われる。
【0055】
また、上記二つの実施形態では、電池セル6と無線モジュール12を一つの基板5の一面側に設けたが、電池セル6を一つの基板(第1の基板)5に配置し、図示しない他の基板(第2の基板)を、
図11における基板5の無線モジュール12側において、第1の基板5に直交して設け、その直交した第2の基板の電池セル6に対向する面に無線モジュール12を配置しても良い。その場合、第2の基板の幅を電池セル6の直径とほぼ同じ寸法とすることで、本体ケース2が大きくなることを防げる。
【0056】
また、その第2の基板に配置した無線モジュール12の無線アンテナ14からの電波放出、電波入射も、電池セル6の外周ケース6aが金属製で、しかも円筒状であるので、その円筒面で反射することで、無線アンテナ14による無線通信が安定的に行われる。実施形態2の電池パック1を用いて電子機器ユニットSを構成することもできる。
【0057】
また、入力部9と出力部10とを一体化してもよい。この場合、1つのコネクタ部材によって入力部9と出力部10とを兼ねることができる。
【0058】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明は、例えば、ファン付き冷却服や、ヒータ付き加温服などで利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 電池パック
2 本体ケース
5 基板(第1の基板)
6 電池セル
6a 外周ケース
7 接続端子
9 入力部
10 出力部
11 USB端子
12 無線モジュール
13 通信部
14 無線アンテナ
16 制御部
M ファンモータ(電子機器)
S 電子機器ユニット
【要約】
【課題】無線通信機能への悪影響の発生を抑制する。
【解決手段】電池パック1は、本体ケース2と、本体ケース2内に設けられた基板5と、本体ケース2内に設けられ、基板5の一面側に配置された電池セル6と、入力部9及び出力部10と、出力部10からの出力を制御する制御部16とを備えている。制御部16は、基板5に実装されている。電池セル6は外周ケースを有している。基板5の一面側には、制御部16に接続された無線モジュール12が配置されている。無線モジュール12は、無線アンテナ14を有している。
【選択図】
図12