(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】放電加工機械
(51)【国際特許分類】
B23H 1/10 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B23H1/10 Z
(21)【出願番号】P 2023203309
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
(32)【優先日】2023-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520160901
【氏名又は名称】國立高雄科技大學
【氏名又は名称原語表記】National Kaohsiung University of Science and Technology
【住所又は居所原語表記】No.415 Chien-Kung Road,SanMing District,Kaohsiung,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】許 文政
(72)【発明者】
【氏名】林 宗叡
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特表平8-500538(JP,A)
【文献】特開昭53-80097(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電性液体と併用してワークを放電加工することが可能な放電加工機械であって、
前記ワークに加工誘電性環境を提供し、チャンバ刃具通路を有する加工チャンバと、
前記誘電性液体を受けて、前記誘電性液体を霧化して誘電性霧滴を発生させることが可能な霧化装置であって、前記加工チャンバに連通されて前記加工誘電性環境に前記誘電性霧滴を供給可能な霧化装置と、
刃具本体、刃具加工構造及び刃具内流路を有し、前記刃具加工構造が前記刃具本体の外部に設けられ、前記刃具内流路が前記刃具本体の内部に設けられて前記刃具本体を貫通している加工刃具と、
前記加工刃具を装設して、前記加工刃具を、前記チャンバ刃具通路を経由して前記加工チャンバに進入させることが可能な加工主軸であって、前記加工刃具を移動して、前記加工刃具を前記加工チャンバ内で前記ワークに接近させて前記刃具加工構造と前記ワークとの間に放電通路が形成されるようにすることも可能な加工主軸と、
前記刃具内流路に連通されて前記刃具内流路を経由して前記放電通路に負圧吸引力を供給し、前記放電通路に負圧流れ場が形成されるようにすることが可能な負圧供給モジュールであって、前記誘電性霧滴を駆動する流体が前記負圧流れ場を介して形成されることで、前記誘電性霧滴を前記放電通路に流入させて、前記刃具加工構造が前記放電通路で前記ワークを放電加工可能になるようにし、その後、前記負圧流れ場により、前記誘電性霧滴を、前記刃具内流路を経由して前記放電通路から離させることが可能となる負圧供給モジュールとを含む、放電加工機械。
【請求項2】
前記刃具加工構造が前記ワークを放電加工すると、前記放電通路に加工屑が生じ、前記負圧流れ場は、前記加工屑を駆動する流体を形成することで、前記加工屑を、前記刃具内流路を経由して前記放電通路から離させることも可能である、請求項1に記載の放電加工機械。
【請求項3】
前記加工チャンバに連通されて前記加工誘電性環境に正圧ガスを供給し、前記加工誘電性環境内に正圧流れ場が形成されるようにすることが可能な正圧供給モジュールであって、前記誘電性霧滴を駆動する流体が前記正圧流れ場を介して形成されることで、前記誘電性霧滴を前記加工誘電性環境内で流動させる正圧供給モジュールを更に含み、前記加工チャンバは、チャンバ内流路を更に有し、前記正圧供給モジュールは、前記チャンバ内流路に連通されて前記チャンバ内流路に前記正圧ガスを供給可能であり、前記チャンバ内流路は、前記正圧ガスが前記チャンバ内流路を経由して前記放電通路へ流動可能になるように、前記放電通路に向けて延在する一方で、前記チャンバ内流路は、前記正圧ガスが前記刃具本体の周囲に沿って流動可能になるように、前記刃具本体の周囲にある、請求項1に記載の放電加工機械。
【請求項4】
前記加工チャンバは、少なくとも1つのチャンバ壁を有し、前記チャンバ壁は、前記加工誘電性環境の周囲にあり、前記霧化装置は、前記チャンバ壁に設けられ、前記加工チャンバは、前記霧化装置に連通されて前記誘電性霧滴を受け取るチャンバ霧滴案内構造を有し、前記チャンバ霧滴案内構造は、前記誘電性霧滴を案内して前記放電通路に向けて流動させるために、前記チャンバ壁を通って前記放電通路に向いており、前記誘電性液体を収容するために提供されている液体収容槽を更に含み、前記液体収容槽は、前記加工チャンバに隣接して前記霧化装置に前記誘電性液体を供給可能であり、前記チャンバ壁により、前記液体収容槽と前記加工誘電性環境とが仕切られている、請求項1に記載の放電加工機械。
【請求項5】
前記チャンバ壁は、前記チャンバ霧滴案内構造を前記放電通路に向かせるために傾斜しており、前記チャンバ壁が複数個備えられ、これらのチャンバ壁のうち、隣り合う2つが互いに接続されて前記加工チャンバの形体がテーパ状形体とされ、前記チャンバ霧滴案内構造は、前記放電通路に向くように、これらのチャンバ壁に配設されている、請求項4に記載の放電加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、放電加工機械の技術分野に関し、より具体的には、放電通路における加工屑の排屑効率を向上させることが可能な放電加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
放電加工(Electrical Discharge Machining、EDMと略す)は、放電通路でアーク放電を利用して金属を加工する技術であり、特に複雑な形状や難削材である導電材料の精密加工の需要に適している。深孔を放電加工する場合、特に止り孔やアスペクト比の高い微細孔を放電加工する場合、加工屑は、放電通路に堆積されて効果的に除去できないことが多いため、加工屑により、放電通路に電極間短絡及び異常放電が発生することで、放電加工効率や、ワークの加工部位の粗さ、形貌及び寸法精度が悪化してしまう。
【発明の概要】
【0003】
これに鑑みて、本願は、放電通路における加工屑の排屑効率を向上させ、上記加工屑が放電通路に堆積されることに起因した技術的課題を解決するための放電加工機械を提供する。
【0004】
従来技術と比較して、本願は、誘電性霧滴及び負圧吸引力を供給可能な放電加工機械を提供し、負圧吸引力を介して、誘電性霧滴を加工刃具とワークとの間に流動させ、加工刃具が誘電性霧滴によりワークに対して乾式に近い放電加工を行えるようにする。また、放電加工機械は、負圧吸引力を介して加工屑を、加工刃具を経由してワークから離させることが可能であるため、加工屑の排屑効率が向上され、加工屑がワークに堆積されて不安定な放電が発生することを避けられ、更に、放電加工効率が向上され、ワークの加工部位の粗さ、形貌及び寸法精度が所望通りにされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の先行技術の欠点を鑑み、本出願は提供します誘電性液体と併用してワークを放電加工することが可能な放電加工機械であって、前記ワークに加工誘電性環境を提供し、チャンバ刃具通路を有する加工チャンバと、前記誘電性液体を受けて、前記誘電性液体を霧化して誘電性霧滴を発生させることが可能な霧化装置であって、前記加工チャンバに連通されて前記加工誘電性環境に前記誘電性霧滴を供給可能な霧化装置と、刃具本体、刃具加工構造及び刃具内流路を有し、前記刃具加工構造が前記刃具本体の外部に設けられ、前記刃具内流路が前記刃具本体の内部に設けられて前記刃具本体を貫通している加工刃具と、前記加工刃具を装設して、前記加工刃具を、前記チャンバ刃具通路を経由して前記加工チャンバに進入させることが可能な加工主軸であって、前記加工刃具を移動して、前記加工刃具を前記加工チャンバ内で前記ワークに接近させて前記刃具加工構造と前記ワークとの間に放電通路が形成されるようにすることも可能な加工主軸と、前記刃具内流路に連通されて前記刃具内流路を経由して前記放電通路に負圧吸引力を供給し、前記放電通路に負圧流れ場が形成されるようにすることが可能な負圧供給モジュールであって、前記誘電性霧滴を駆動する流体が前記負圧流れ場を介して形成されることで、前記誘電性霧滴を前記放電通路に流入させて、前記刃具加工構造が前記放電通路で前記ワークを放電加工可能になるようにし、その後、前記負圧流れ場により、前記誘電性霧滴を、前記刃具内流路を経由して前記放電通路から離させることが可能となる負圧供給モジュールとを含む、放電加工機械。
【0006】
好ましくは、上記における放電加工機械において、刃具加工構造が前記ワークを放電加工すると、前記放電通路に加工屑が生じ、前記負圧流れ場は、前記加工屑を駆動する流体を形成することで、前記加工屑を、前記刃具内流路を経由して前記放電通路から離させることも可能である。
【0007】
好ましくは、上記における放電加工機械において、加工チャンバに連通されて前記加工誘電性環境に正圧ガスを供給し、前記加工誘電性環境内に正圧流れ場が形成されるようにすることが可能な正圧供給モジュールであって、前記誘電性霧滴を駆動する流体が前記正圧流れ場を介して形成されることで、前記誘電性霧滴を前記加工誘電性環境内で流動させる正圧供給モジュールを更に含み、前記加工チャンバは、チャンバ内流路を更に有し、前記正圧供給モジュールは、前記チャンバ内流路に連通されて前記チャンバ内流路に前記正圧ガスを供給可能であり、前記チャンバ内流路は、前記正圧ガスが前記チャンバ内流路を経由して前記放電通路へ流動可能になるように、前記放電通路に向けて延在する一方で、前記チャンバ内流路は、前記正圧ガスが前記刃具本体の周囲に沿って流動可能になるように、前記刃具本体の周囲にある。
【0008】
好ましくは、上記における放電加工機械において、加工チャンバは、少なくとも1つのチャンバ壁を有し、前記チャンバ壁は、前記加工誘電性環境の周囲にあり、前記霧化装置は、前記チャンバ壁に設けられ、前記加工チャンバは、前記霧化装置に連通されて前記誘電性霧滴を受け取るチャンバ霧滴案内構造を有し、前記チャンバ霧滴案内構造は、前記誘電性霧滴を案内して前記放電通路に向けて流動させるために、前記チャンバ壁を通って前記放電通路に向いており、前記誘電性液体を収容するために提供されている液体収容槽を更に含み、前記液体収容槽は、前記加工チャンバに隣接して前記霧化装置に前記誘電性液体を供給可能であり、前記チャンバ壁により、前記液体収容槽と前記加工誘電性環境とが仕切られている。
【0009】
好ましくは、上記における放電加工機械において、チャンバ壁は、前記チャンバ霧滴案内構造を前記放電通路に向かせるために傾斜しており、前記チャンバ壁が複数個備えられ、これらのチャンバ壁のうち、隣り合う2つが互いに接続されて前記加工チャンバの形体がテーパ状形体とされ、前記チャンバ霧滴案内構造は、前記放電通路に向くように、これらのチャンバ壁に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1-2】本願に係る放電加工機械の使用状態模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の内容は、図面を参照しながら、特定の具体的な実施例を通じて本願の技術内容を説明するものであるが、当業者であれば、本明細書に開示される内容から本願の他の利点及び効果を容易に理解可能である。本願は、他の異なる具体的な実施例を通じて実施又は適用することも可能である。本明細書における各細部に対しては、本願の精神から逸脱することなく、異なる視点及び適用に基づき、様々な修正や変更を行うことも可能である。特に、図面における各要素の比例関係及び相対位置は、例示のみを目的としており、本願の実施の実際状況を示すものではない。
【0012】
本願の技術開示の実施例の説明については、
図1~
図2を併せて参照されたい。
【0013】
図2の実施例のように、本願は、放電加工機械1を提供する。放電加工機械1は、例えばイオン水又は灯油である誘電性液体Lと併用してワーク2を放電加工可能である。放電加工機械1は、加工チャンバ11、霧化装置12、加工刃具13、加工主軸14及び負圧供給モジュール15を含む。加工チャンバ11は、ワーク2に加工誘電性環境DIE(Dielectric Environment)を提供し、且つ加工チャンバ11は、チャンバ刃具通路111を有する。霧化装置12は、誘電性液体Lを受けて、誘電性液体Lを霧化して誘電性霧滴Gを発生させることが可能であり、且つ霧化装置12は、加工チャンバ11に連通されて加工誘電性環境DIEに誘電性霧滴Gを供給可能である。
【0014】
説明すべきなのは、霧化装置12は、主に電磁作用や機械的な作用力等によりエネルギーを供給し、誘電性液体Lを霧化して非常に小さい液滴に分散させて、誘電性液体Lが誘電性霧滴Gに遷移可能なるようにする。霧化装置12としては、高周波の振動により誘電性液体Lを誘電性霧滴Gに分散させるためには、超音波振動装置が選択されてもよい。
【0015】
加工刃具13は、刃具本体131、刃具加工構造132及び刃具内流路133を有する。刃具加工構造132は、刃具本体131の外部に設けられている。刃具内流路133は、刃具本体131の内部に設けられて刃具本体131を貫通している。
【0016】
加工主軸14は、加工刃具13を装設して、加工刃具13を、チャンバ刃具通路111を経由して加工チャンバ11に進入させることが可能であり、加工主軸14は、加工刃具13を移動して、加工刃具13を加工チャンバ11内でワーク2に接近させて刃具加工構造132とワーク2との間に放電通路Pが形成されるようにすることも可能である。説明すべきなのは、放電通路Pは、加工刃具13の端部又は側壁とワーク2との間に位置し、刃具加工構造132によりワーク2を放電加工させることが可能である。
【0017】
加工チャンバ11は、少なくとも1つのチャンバ壁113及びチャンバ霧滴案内構造114を有する。チャンバ壁113は、加工誘電性環境DIEの周囲にあり、霧化装置12は、チャンバ壁113に設けられている。チャンバ霧滴案内構造114は、霧化装置12に連通されて誘電性霧滴Gを受け取り、且つチャンバ霧滴案内構造114は、誘電性霧滴Gを案内して放電通路Pに向けて流動させるために、チャンバ壁113を通って放電通路Pに向いている。放電加工機械1は、誘電性液体Lを収容するために提供されている液体収容槽17を更に含み、液体収容槽17は、加工チャンバ11に隣接して霧化装置12に誘電性液体Lを供給可能であり、液体収容槽17に収容されている誘電性液体Lが加工誘電性環境DIEに直接流入することを避けるためには、チャンバ壁113により液体収容槽17と加工誘電性環境DIEとが仕切られている。
【0018】
図2に示す実施例のように、加工チャンバ11の形体は、テーパ状形体とされるとともに、複数個の傾斜するチャンバ壁113であって、隣り合う2つが互いに接続された複数個のチャンバ壁113を有する。また、チャンバ霧滴案内構造114は、放電通路Pに向くように、これらのチャンバ壁113に配設されている。
【0019】
負圧供給モジュール15は、刃具内流路133に連通されることにより、負圧供給モジュール15は、刃具内流路133を経由して放電通路Pに負圧吸引力を供給し、放電通路Pに負圧流れ場NPF(Negative pressure flow field)が形成されるようにすることが可能であり、誘電性霧滴Gを駆動する流体が負圧流れ場NPFを介して形成されることで、加工誘電性環境DIE内の誘電性霧滴Gを放電通路Pに流入させ、刃具加工構造132が放電通路Pで誘電性霧滴Gによりワーク2に対して乾式に近い放電加工を行えるようにし、その後、負圧流れ場NPFにより、誘電性霧滴Gを、刃具内流路133を経由して放電通路Pから離させることが可能となる。
【0020】
説明すべきなのは、刃具加工構造132がワーク2を放電加工すると、放電通路Pに加工屑SWが生じ、負圧流れ場NPFは、加工屑SWを駆動する流体を形成することで、加工屑SWを、刃具内流路133を経由して放電通路Pから離させることも可能であり、放電加工機械1は、刃具内流路133を経由して放電通路Pに負圧吸引力を供給して、放電通路Pにおける加工屑SWを吸引除去可能であり、これにより、放電通路Pにおける加工屑SWの排屑効率が向上される。
【0021】
図2に示す実施例のように、放電加工機械1は、正圧供給モジュール16を更に含む。正圧供給モジュール16は、加工チャンバ11に連通されることにより、正圧供給モジュール16は、加工誘電性環境DIEに正圧ガスPGを供給し、加工誘電性環境DIE内に正圧流れ場PPF(Positive pressure flow field)が形成されるようにすることが可能であり、誘電性霧滴Gを駆動する流体が正圧流れ場PPFを介して形成されることで、誘電性霧滴Gを加工誘電性環境DIE内で流動させる。
【0022】
上記実施例において、加工チャンバ11は、チャンバ内流路112を更に有し、正圧供給モジュール16は、チャンバ内流路112に連通されることにより、正圧供給モジュール16は、チャンバ内流路112に正圧ガスPGを供給可能であり、正圧ガスPGは、例えば、アルゴンガスや酸素ガス等の不活性ガスを含む。チャンバ内流路112は、正圧ガスPGがチャンバ内流路112を経由して放電通路Pへ流動可能になるように、放電通路Pに向けて延在することで、正圧の押し流し力により誘電性霧滴Gを放電通路Pに流入させ、加工刃具11が誘電性霧滴Gによりワーク2に対して乾式に近い放電加工を行えるようにし、正圧ガスPGは、加工屑SWを駆動する流体を形成することで、正圧の押し流し力により、加工屑SWを、刃具内流路133を経由して放電通路Pから離させることも可能である。選択的に、チャンバ内流路112は、刃具本体131の周囲にあるようにされてもよく、こうすれば、正圧ガスPGは、刃具本体131の周囲に沿って流動可能となり、正圧ガスPGは、刃具本体131の周囲を経由して放電通路Pへ流動可能となり、正圧の押し流し力により、放電通路Pにおける加工屑SWが排出され、更に放電通路における加工屑SWの排屑効率が向上される。
【0023】
説明すべきは、上記の実施例においては、前述の部分構成要素を省略することも可能であり、例えば、本出願においては、放電加工機械が含まれるものとする誘電性液体と併用してワークを放電加工することが可能な放電加工機械であって、前記ワークに加工誘電性環境を提供し、チャンバ刃具通路を有する加工チャンバと、前記誘電性液体を受けて、前記誘電性液体を霧化して誘電性霧滴を発生させることが可能な霧化装置であって、前記加工チャンバに連通されて前記加工誘電性環境に前記誘電性霧滴を供給可能な霧化装置と、刃具本体、刃具加工構造及び刃具内流路を有し、前記刃具加工構造が前記刃具本体の外部に設けられ、前記刃具内流路が前記刃具本体の内部に設けられて前記刃具本体を貫通している加工刃具と、前記加工刃具を装設して、前記加工刃具を、前記チャンバ刃具通路を経由して前記加工チャンバに進入させることが可能な加工主軸であって、前記加工刃具を移動して、前記加工刃具を前記加工チャンバ内で前記ワークに接近させて前記刃具加工構造と前記ワークとの間に放電通路が形成されるようにすることも可能な加工主軸と、前記刃具内流路に連通されて前記刃具内流路を経由して前記放電通路に負圧吸引力を供給し、前記放電通路に負圧流れ場が形成されるようにすることが可能な負圧供給モジュールであって、前記誘電性霧滴を駆動する流体が前記負圧流れ場を介して形成されることで、前記誘電性霧滴を前記放電通路に流入させて、前記刃具加工構造が前記放電通路で前記ワークを放電加工可能になるようにし、その後、前記負圧流れ場により、前記誘電性霧滴を、前記刃具内流路を経由して前記放電通路から離させることが可能となる負圧供給モジュールとを含む、放電加工機械である。
【0024】
総合的に述べれば、本願は、誘電性霧滴及び負圧吸引力を供給可能な放電加工機械を提供し、負圧吸引力を介して、誘電性霧滴を加工刃具とワークとの間に流動させ、加工刃具が誘電性霧滴によりワークに対して乾式に近い放電加工を行えるようにする。また、放電加工機械は、負圧吸引力を介して加工屑を、加工刃具を経由してワークから離させることが可能であるため、加工屑の排屑効率が向上され、加工屑がワークに堆積されて不安定な放電が発生することを避けられ、更に、放電加工効率が向上され、ワークの加工部位の粗さ、形貌及び寸法精度が所望通りにされる。
【0025】
以上説明したように、本願は、放電通路でワークを放電加工するために刃具に放電加工液を供給可能な放電加工機械、及び、放電加工液の流動を案内可能な内流路を有する刃具を提供し、内流路は、放電加工液の流動速度及び流動方向を変更して、放電加工液が放電通路に排出された加工屑を側方から押し流し可能になって加工屑を放電通路から離させるようにすることも可能であるため、加工屑が放電通路に堆積されて電極間短絡及び異常放電が発生することを避けられ、更に、放電加工効率が向上されてワークの加工部位の粗さ、形貌及び寸法精度が所望通りにされ、ひいては、放電加工時における刃具の消耗時間の低減も可能となる。
【要約】 (修正有)
【課題】放電通路における加工屑の排屑効率を向上させることが可能な放電加工機械を提供する。
【解決手段】本願は、誘電性霧滴及び負圧吸引力を供給可能な放電加工機械を提供し、負圧吸引力を介して、誘電性霧滴を加工刃具とワークとの間に流動させ、加工刃具が誘電性霧滴によりワークに対して乾式に近い放電加工を行えるようにする。また、放電加工機械は、負圧吸引力を介して加工屑を、加工刃具を経由してワークから離させることが可能であるため、加工屑の排屑効率が向上され、加工屑がワークに堆積されて不安定な放電が発生することを避けられ、更に、放電加工効率が向上され、ワークの加工部位の粗さ、形貌及び寸法精度が所望通りにされる。
【選択図】
図2