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特許7526530電磁波レンズ、電磁波レンズの生産方法及びレンズアンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電磁波レンズ、電磁波レンズの生産方法及びレンズアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/08 20060101AFI20240725BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240725BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01Q15/08
G02B3/00
G02B1/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023537900
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2022094314
(87)【国際公開番号】W WO2023005373
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】202110860941.2
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523108588
【氏名又は名称】佛山市粤海信通訊有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN EAHISON COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, No.5 Lianxin South Road, Yundonghai Street, Sanshui District, Foshan City, Guangdong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭洪振
(72)【発明者】
【氏名】芦永超
(72)【発明者】
【氏名】孫耀志
(72)【発明者】
【氏名】李家鐸
(72)【発明者】
【氏名】李涛
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-136851(JP,A)
【文献】米国特許第03307196(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393614(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111262042(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112662060(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111244640(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106207482(CN,A)
【文献】国際公開第2019/003939(WO,A1)
【文献】特開2019-024170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/08
G02B 3/00
G02B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波レンズであって、ストリップ状材料を巻回することで形成される巻回体であり、前記ストリップ状材料の表面及び/又は内部に誘電体材料が分布しており、前記誘電体材料は、ストリップ状材料の横方向と縦方向の両方にいずれも誘電率のグラデーションを有し、ストリップ状材料を巻回して巻回体を形成した後に、誘電体材料は、巻回体の内部の少なくとも一つの人為的に予め定められた立体空間範囲内に分布し、誘電体材料が分布しているこの立体空間範囲は、レンズ体と呼ばれ、巻回体のレンズ体以外の部位は、非レンズ部位と呼ばれ、巻回体は、非レンズ部位を持つか又は持たず、レンズ体内の誘電率は、非レンズ部位の誘電率よりも低くなく、前記レンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなり、前記の内から外への方向は、レンズ体の中心領域からレンズ体の境界に指向するものであり、
誘電体材料が、特定の長さを有するファイバー又は特定/不特定形状を有する立体部材である場合に、誘電体材料全体又は一部は、ストリップ状材料内に挿入又は嵌め込まれる
ことを特徴とする、電磁波レンズ。
【請求項2】
1つのみのレンズ体がある場合に、レンズ体の中軸線は、巻回体の中軸線と重なり合うか又は巻回体の中軸線に平行であり、2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体は、巻回体の中軸線方向に沿って配列されるか又は巻回体の中軸線方向に平行な方向に沿って配列されることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項3】
2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体は、巻回体の周方向に沿って配列されることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項4】
巻回体の横断面の中央部に管型キャビティを予め形成しておき、その後、管型キャビティに棒状部材を充填し、棒状部材がレンズ体を通過しなければならない時、棒状部材のレンズ体を通過する部位には、レンズ体に合致する誘電率分布が存在することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項5】
巻回体の中央部に、ストリップ状材料の巻き始め及び巻回のための軸部材が設けられ、軸部材の中軸は、巻回体の中軸と重なり合うか又はほとんど重なり合い、軸部材がレンズ体を通過しなければならない時、軸部材のレンズ体を通過する部位には、レンズ体に合致する誘電率分布が存在することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項6】
軸部材の両端は、本発明の電磁波レンズの固定端とすることを特徴とする
請求項5に記載の電磁波レンズ。
【請求項7】
前記巻回体は、円柱体又は楕円柱体又は角柱体又はカプセル状柱体又は球体又は管体を呈することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項8】
前記レンズ体は、球形又はラグビーボール形又は円柱形又は角柱形を呈することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項9】
2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体の大きさは互いに異なることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項10】
2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体の形状は互いに異なることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項11】
前記誘電体材料は、特定/不特定形状を有する薄片又は特定の長さを有するファイバー又は特定/不特定形状を有する立体部材であることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項12】
前記誘電体材料がまず低誘電率の薄膜に付着してから、このような薄膜をストリップ状材料の表面に付着させることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項13】
レンズ体が球形である時に、レンズ体全体における誘電体材料の分布は、ルーネベルグレンズの古典的なモデルのステップ近似規律に合致することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項14】
前記巻回体は、1個のストリップ状材料の一端から巻き始めることで形成され、又は1個のストリップ状材料の中部から巻き始めることで形成されることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項15】
前記巻回体は、2個以上のストリップ状材料のそれぞれの一端を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成され、又は2個以上のストリップ状材料のそれぞれの中央位置を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成されることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項16】
前記誘電体材料は、材質分布規律又は密度分布規律又は材質分布規律と密度分布規律との組み合わせでレンズ体内に分布することを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項17】
前記レンズ体内は、若干の誘電率ステップ層に分けられ、誘電率値が比較的に高い誘電率ステップ層は、誘電率値が比較的に低い誘電率ステップ層を完全に包み、隣接する誘電率ステップ層のそれぞれの誘電率値はステップ状のものであり、レンズ体にとって、内から外への方向での誘電率はいずれもステップ状にますます低くなることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【請求項18】
ストリップ状材料を展開し、誘電体材料は、ストリップ状材料の一つの特定の平面領域に分布しているものであり、このような一つの特定の平面領域は、誘電体分布領域と呼ばれ、誘電体分布領域は、若干のサブ分布領域に分けられ、誘電率が比較的に高いサブ分布領域は、誘電率が比較的に低いサブ分布領域によって半分に囲まれるか又は完全に囲まれ、ストリップ状材料は、最高誘電率のサブ分布領域から巻き始めると、その後に形成されるレンズ体内の各サブ分布領域は、一つの誘電率ステップ層として形成されることを特徴とする
請求項17に記載の電磁波レンズ。
【請求項19】
前記誘電体分布領域は、三角形形態又は矩形形態であることを特徴とする
請求項18に記載の電磁波レンズ。
【請求項20】
前記巻回体の巻回層の間に接着層があり、又は巻回体の外部に包み層が設けられることを特徴とする
請求項1に記載の電磁波レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器生産分野に関し、より具体的には、電磁波レンズ、電磁波レンズの生産方法及び電磁波レンズアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーネベルグレンズは、RKLunebergによって1944年に幾何学的光学法に基づいて提出されたものであり、アンテナと散乱体の応用として用いられ、主に、高速走査システム、衛星通信システム、自動車の衝突回避レーダー、レーダー反射器などの分野に用いられる。
【0003】
ルーネベルグレンズの古典的なモデルは、ルーネベルグレンズの誘電率が、球心から外径へ2から1まで一定の数学法則に従って連続的に変化するはずである。しかしながら、自然界では、このような望ましい構造が存在しないため、実際の設計では、理論構造に近づくために、誘電率が段階的に変化する階層化構造をしばしば用いる。
【0004】
従来技術では、誘電率が段階的に変化する階層化構造は、大きく分けて以下の3種類がある。第一の種類は、包み型であり、第二の種類は、巻回型であり、第三の種類は、空孔型である。これらの異なる構造は、その欠点と利点が同様に明らかである。
【0005】
包み型構造の生産には一般的に金型が必要であり、層数が多過ぎると、プロセスが複雑すぎてコストが高く、そして個体によって性能の一貫性が悪い。
【0006】
巻回型構造の層数は、多くの層になることが容易であるが、従来技術では、それを古典的なモデルの球体ではなく円柱体又は楕円柱体にするしかなく、そして円柱体と楕円柱体の中軸方向では古典的なモデルの理論に適合していないため、その性能効果が大幅に低下し、多くのシナリオで性能要求を満たすことができない。
【0007】
空孔型は、一般的には、3Dプリントの方式で作製されるが、3Dプリントで作製される構造体は一般的に単一のホットメルト材料である。現在では、3Dプリントに適したホットメルト材料は、誘電率が適切でないか、密度が十分に低くないため、大型レンズを作製する場合、その重量はかなり大きく、取り付けや使用上の様々な困難を引き起こしている。
【0008】
中国特許文献CN111262042Bには、「人工誘電体多層円筒レンズの製造方法」が開示されており、これは、巻回型構造に属する。この製造方法によって製造されたレンズは、上記の巻回型構造の欠点を有する。
【0009】
生産効率がより高く、コストがより低く、重量が軽く、性能指数がより良好であり、性能一致性がより好ましいルーネベルグレンズ製品を得るために、従来の製品構造及び生産方法を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術に存在する欠点を解消するために、本発明は、より好適な電磁波レンズ、電磁波レンズの生産方法及びレンズアンテナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の技術案を採用する。
【0012】
電磁波レンズであって、特に、ストリップ状材料を巻回することで形成される巻回体であり、前記ストリップ状材料の表面及び/又は内部に誘電体材料が分布しており、前記誘電体材料は、ストリップ状材料の横方向と縦方向の両方にいずれも誘電率のグラデーションを有し、ストリップ状材料を巻回して巻回体を形成した後に、誘電体材料は、巻回体の内部の少なくとも一つの人為的に予め定められた立体空間範囲内に分布し、誘電体材料が分布しているこの立体空間範囲は、レンズ体と呼ばれ、巻回体のレンズ体以外の部位は、非レンズ部位と呼ばれ、巻回体は、非レンズ部位を持つか又は持たず、レンズ体内の誘電率は、非レンズ部位の誘電率よりも低くなく、前記レンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなり、前記の内から外への方向は、レンズ体の中心領域からレンズ体の境界に指向するものである。
【0013】
以上の技術案により、巻回を一回行う場合には1つ又は複数のレンズ体を得ることができ、そしてこれらのレンズ体はいずれも誘電率が内から外に向かって低くなるという規律に合致し、レンズ体はある方向に限らず、より多くの方向におて電磁波に対して作用する。本発明における巻回は、螺旋型巻回である。
【0014】
前記巻回体内に1つ又は2つ以上のレンズ体が設けられてもよい。1つのみのレンズ体がある場合、レンズ体の中軸線は、巻回体の中軸線と重なり合ってもよく、巻回体の中軸線に平行であってもよい。2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体は、巻回体の中軸線方向に沿って配列されるか又は巻回体の中軸線方向に平行な方向に沿って配列されてもよい。なお、2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体は、巻回体の周方向に沿って配列されてもよい。
【0015】
前記レンズ体の体積は、500mm~2mにあってもよい。
【0016】
前記ストリップ状材料の厚さは、定常のものであり、0.01~15mmにある。前記非ストリップ状材料の厚さは、非定常のものであってもよく、例えば、ストリップ状材料の巻き始め部位と巻き終わり部位は、他の部位よりも薄い。比較的に薄い巻き始め部位は、巻回時に巻回体の中央に大きな管型キャビティが生じることを回避することができ、又は、管型キャビティが生じても、管型キャビティ内部の周方向に明らかな段差が生じないようにすることができる。比較的に薄い巻き終わり部位は、巻回体の周方向の外周に明らかな段差が生じることを回避することができる。
【0017】
前記ストリップ状材料の幅は、定常のものであってもよく、非定常のものであってもよい。幅が定常ではないストリップ状材料は、カプセル状の柱体又は球体となる巻回体に巻回することができる。
【0018】
前記ストリップ状材料は、好ましくは、軽質発泡材料からなり、発泡材料の密度は、0.005~0.1g/cmの範囲内にあり、且つその誘電率は1に近いほど好ましくなる。
【0019】
しかしながら、厚いストリップ状材料を使用する必要がある場合には、巻き始めの難しさを下げるために、巻き始めの時に大きな巻き始め半径を採用し、まず、巻回体の横断面の中央部に管型キャビティを予め保留してから、管型キャビティに棒状部材を充填してもよい。棒状部材がレンズ体を通過しなければならない時、棒状部材のレンズ体を通過する部位には、レンズ体に合致する誘電率分布が存在することが好ましい。この時、前記の合致することは、レンズ体の電気的性能が過度に劣化しないことを意味する。又は、巻回体の中央部に、ストリップ状材料の巻き始め及び巻回のための軸部材が設けられ、軸部材の中軸は、巻回体の中軸と重なり合うか又はほとんど重なり合う。軸部材がレンズ体を通過しなければならない時、軸部材のレンズ体を通過する部位には、レンズ体に合致する誘電率分布が存在することが好ましい。この時、前記の合致することは、レンズ体の電気的性能が過度に劣化しないことを意味する。この時、前記軸部材は、一般的に十分な剛性を備えている必要があり、それによってストリップ状材料を巻回体に巻回する過程で軸部材の振れによってストリップ状材料が緩んで乱雑にならないことを確保する。前記軸部材は、高誘電率材料からなり、そして空孔構造によって目標部位の相対的誘電率を低減させることができる。前記空孔構造は、材料除去プロセスにより加工された孔であってもよく、又は軸部材を3Dプリントする時に予め計画された材料のない空間であってもよい。棒状部材と軸部材の直径は一般的には可能な限り小さく、このように、レンズ体の電磁性能への影響を低減させることができる。なお、棒状部材と軸部材の両端は、本発明の電磁波レンズの固定端として、レンズホルダとの機械的な接続に用いられてもよく、それによってレンズとレンズホルダとの間の接続構造を別途考慮する必要がない。
【0020】
前記巻回体は、円柱体又は楕円柱体又は角柱体又はカプセル状柱体又は球体又は管体などを呈してもよい。
【0021】
前記レンズ体は、球形又はラグビーボール形又は円柱形又は角柱形などを呈してもよい。レンズ体の形状は、巻回体の形状と同じであってもよく、巻回体の形状と異なってもよい。
【0022】
なお、2つ以上のレンズ体がある場合に、これらのレンズ体の大きさは、互いに異なってもよく、そしてこれらのレンズ体の形状は互いに異なってもよい。例えば、一つの巻回体内に大きさが異なる二つの球形レンズ体が形成されており、また例えば、一つの巻回体内に一つの球形レンズ体と一つの円柱形レンズ体が形成されている。
【0023】
前記巻回体の巻回層数nは好ましくは、3≦n≦2000である。
【0024】
前記誘電体材料は、ストリップ状材料の一つの表面又は二つの表面に分布してもよく、ストリップ状材料の一つの表面又は二つの表面からストリップ状材料の内部に入って分布してもよい。
【0025】
前記誘電体材料は、特定/不特定形状を有する薄片又は特定の長さを有するファイバー又は特定/不特定形状を有する立体部材であってもよい。前記薄片は、切削によって形成されてもよく、又は、プレスによって形成されてもよく、又は、プリントによって形成されてもよく、又は、型押しによって形成されてもよく、又は、エッチングによって形成されてもよい。ここで、切削とプレスは、、一般的には、一枚の誘電体材料薄片を切断して細小規格の薄片に分けることであり、ここで、プリントと型押しは、一般的には、対応する機器によって、液体の誘電体材料を目標位置に吹き付けた後に硬化して薄片を得ることであり、ここで、エッチングは、一般的には、エッチング機器によって、下地層を持つ一枚の材料上の不必要な材料を除去し、下地層と所望の目標形状を持つ薄片のみを残すことであり、ここでいう下地層は低誘電率のものであり、除去された材料は高誘電率のものである。
【0026】
前記誘電体材料は、ストリップ状材料の表面に直接付着してもよく、又は、低誘電率の薄膜に付着してからこのような薄膜をストリップ状材料の表面に付着させてもよい。この構造は特に、誘電体材料が特定/不特定形状を有する薄片である場合に適用され、誘電体材料が特定の長さを有するファイバーである場合に適用されてもよい。なお、低誘電率における異なる特定の領域では、これらの領域に、対応する多くの特定/不特定形状の薄片をプリント又は型押ししてから、このような薄膜を接着の方式でストリップ状材料の表面に付着させ後に巻回を行ってレンズを形成することは、コストパフォーマンスの高い方法である。なお、このような薄膜は、ストリップ状材料の縦方向又はストリップ状材料の横方向に多段に分けられた後にストリップ状材料の表面に粘着されてもよい。これは、幅の狭いプリンター又は型押し機を利用して、誘電体材料を幅の狭い薄膜に固定してから、幅の狭い薄膜をストリップ状材料の縦方向又は横方向に沿ってつなぎ合わせて所望の幅の広い薄膜体にすることができることに相当する。
【0027】
誘電体材料が、特定の長さを有するファイバー又は特定/不特定形状を有する立体部材である場合に、誘電体材料全体又は一部をストリップ状材料内に挿入又は嵌め込んでもよい。前記特定形状の立体部材は、中実の立体部材又は中空の立体部材又はフレームワーク形態の立体部材であってもよい。前記立体部材は、球形又は立方体形又は柱体形であってもよい。前記不特定形状の立体部材は、破砕された微粒子、例えば破砕された鉱石であってもよく、これらの鉱石は、異なる粒度の大きさに選別されて利用されてもよい。
【0028】
レンズ体が球形である時に、レンズ体全体における誘電体材料の分布は、ルーネベルグレンズの古典的なモデルのステップ近似規律に合致することが好ましい。
【0029】
前記巻回体は、1個のストリップ状材料の一端から巻き始めることで形成され、又は1個のストリップ状材料の中部から巻き始めることで形成されてもよい。後者の構造は、巻回層数を維持したまま、巻回の回転数を減らすことができ、それによって生産効率を向上させることができる。
【0030】
前記巻回体は、2個以上のストリップ状材料のそれぞれの一端を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成され、又は2個以上のストリップ状材料のそれぞれの中央位置を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成されてもよい。このような構造は、巻回層数を維持したまま、巻回の回転数を減らすこともできる。
【0031】
前記ストリップ状材料の縦方向には他のストリップ状材料との接続がないことが好ましく、このように製品の構造と性能は比較的に安定しており、制御可能である。しかしながら、レンズ体の体積が比較的大きく、単一のストリップ状材料の長さが足りないため、別のストリップ状材料と継ぎ合わせる必要がある場合がある。このような場合は、必ずしも最も望ましいものではないが、それに起因する構造や性能での不足は必ずしも許容できないものではないので、ストリップ状材料が縦方向において他のストリップ状材料と継ぎ合わせることはある程度許容されるが、このような継ぎ合わせ構造は、本発明では1個のストリップ状材料全体の構造と同等であると考えられる。なお、ストリップ状材料の縦方向において他のストリップ状材料との継ぎ合わせがあるかどうかにかかわらず、ストリップ状材料の幅は単一のレンズ体の最大外形寸法よりも小さくないことが望ましい。そうでなければ、この時、レンズ体が一回の巻回で作製されるものではないことに相当し、これによる構造や性能での不足が許容できない可能性が高い。
【0032】
前記誘電体材料は、材質分布規律又は密度分布規律又は材質分布規律と密度分布規律との組み合わせでレンズ体内に分布してもよい。前記材質分布規律とは、2種以上の材質の誘電体材料を使用した時、誘電体の誘電率が高いほど、レンズ体の中心領域に近くなることを指す。説明すべきこととして、材質分布規則には、異なる材質の誘電体材料が混合によって誘電率値が過渡値になる場合も含まれる。この場合、混合物の誘電率は誘電率の高い単一の材質よりも低く、また誘電率の低い単一の材質よりも高くなるが、混合物における異なる材質の割合を制御することで混合物の誘電率の大きさを制御することができる。誘電率の高い混合物の分布位置は、誘電率の低い混合物の分布位置よりもレンズ体の中心領域に近くなるが、誘電率の高い混合物では、高誘電率の材質が占める割合も高いため、この時、依然として、誘電率の高い誘電体材料がレンズ体の中心領域に近くなると理解されてもよい。前記密度分布規則とは、レンズ体の中心領域に近いほど誘電体材料の分布密度が高くなることを意味し、前記分布密度とは、誘電体材料の数とレンズ体内の単位体積との比、又は誘電体材料の重量とレンズ体内の単位体積との比を意味する。材質分布規律又は密度分布規律又は材質分布規律と密度分布規律との組み合わせにより、レンズ体内にすべての内から外への方向での誘電率がますます低くなる効果を実現することができる。
【0033】
説明すべきこととして、巻回体内にレンズ体が1つしかない場合、そしてこの巻回体がストリップ状材料の一端から巻き始め、且つレンズ体の中軸線が巻回体の中軸線と重なり合う時、ストリップ状材料を広げると、ストリップ状材料の特定の平面領域に誘電体材料が分布していることがわかる。このような特定の平面領域は、誘電体分布領域と呼ばれる。この場合の誘電体分布領域の長さは一般的には、その幅よりもはるかに長くなる。誘電体分布領域の長さは、ストリップ状材料の縦方向に沿った長さであり、誘電体分布領域の幅は、ストリップ状材料の横方向に沿った長さである。誘電体分布領域内の誘電体材料は、ストリップ状材料の横方向と縦方向の両方においていずれも誘電率のグラデーションが存在する。これは中国特許文献CN111262042Bに記載されているストリップ状材料の縦方向にのみ誘電率のグラデーションが存在するのとは異なる。巻回体に複数のレンズ体がある場合、そしてこの巻回体がストリップ状材料の一端から巻き始め、且つそれらのレンズ体のそれぞれの中軸線がいずれも巻回体の中軸線と重なり合う時、ストリップ状材料を広げると、レンズ体の数に対応する数の誘電体分布領域が見られ、この時、その中の単一の誘電体分布領域にとって、その中の誘電体分布状況は上記の単一のレンズ体のみを有する場合と同じである。巻回体内にレンズ体が1つしかない場合、そしてこの巻回体がストリップ状材料の中部から巻き始め、且つレンズ体の中軸線が巻回体の中軸線と重なり合う時、ストリップ状材料に二つの誘電体分布領域が存在することに相当し、そしてこの二つの誘電体分布領域は、軸対称に分布しており、且つ両者がつながっていたりつながっていなかったりする可能性がある。巻回体に2つ以上のレンズ体があり、且つこの巻回体は、2個以上のストリップ状材料のそれぞれの一端を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成され、又はこの巻回体は、2個以上のストリップ状材料のそれぞれの中央位置を組み合わせた後に同時に巻き始めることで形成され、そしてレンズ体の中軸線が巻回体の中軸線と重なり合う時、ストリップ状材料にレンズ体の数の二倍の誘電体分布領域が存在することに相当し、そして各二つの誘電体分布領域は、軸対称に分布しているものを構成し、且つ各対の誘電体分布領域のそれぞれがつながっていたりつながっていなかったりする可能性がある。
【0034】
さらに説明すべきこととして、誘電率の連続した単調なグラデーションの実現が困難であるため、ステップ単調グラデーションで代用してもよく、ステップ数が十分に多い場合には連続した単調なグラデーションの効果に非常に近づけることも可能である。この方式は本発明の電磁波レンズの構造に現れる場合、前記レンズ体内は、若干の誘電率ステップ層に分けられ、誘電率値が比較的に低い誘電率ステップ層は、誘電率値が比較的に高い誘電率ステップ層を完全に包み、隣接する誘電率ステップ層のそれぞれの誘電率値はステップ状のものであり、レンズ体にとって、内から外への方向での誘電率はいずれもステップ状にますます低くなり、この時、レンズ体内に、誘電率値が内から外へますます低くなる多層の包み構造を形成することに相当する。ステップ状の単調なグラデーションが本発明のストリップ状材料構造に現れる場合、誘電体分布領域は、若干のサブ分布領域に分けられ、誘電率が比較的に高いサブ分布領域は、誘電率が比較的に低いサブ分布領域によって半分に囲まれるか又は完全に囲まれ、ストリップ状材料は、最高誘電率のサブ分布領域から巻き始めると、その後に形成されるレンズ体内の各サブ分布領域は、一つの誘電率ステップ層として形成される。同じ目標外径で、ストリップ状材料の厚さが薄いほど、それによって得られる巻回体の巻回層数が多くなり、巻回層数が多いほど、分けられる誘電率ステップ層の数も多くなってもよく、このように、レンズ体の目標特性を制御しやすくなる。例えば、本発明のレンズ体は、50層以上の誘電率ステップ層数で、古典的なルーネベルグレンズモデルの電磁特性にステップ状に近づくことができる。説明すべきこととして、本発明のレンズ体の誘電率ステップ層の数は、巻回体の巻回層数nより大きくなることはないが、必ずしも巻回体の巻回層数nと等しくなるわけではない。
【0035】
巻回体内にレンズ体が1つしかなく、そしてこの巻回体がストリップ状材料の一端から巻き始め、且つレンズ体の中軸線が巻回体の中軸線と重なり合う時、前記誘電体分布領域は好ましくは以下のレイアウトを採用する。一つの三角形領域と、若干のV字状領域とを含み、これらのV字状領域の大きさは異なるが、これらはいずれも同じ向きを有しそしてストリップ状材料の縦方向に沿って配列され、小さいV字状領域は、大きいV字状領域によって半分に囲まれ、三角形領域は、最も小さいV字状領域によって半分に囲まれ、三角形領域の誘電率が最も高く、V字状領域が三角形領域から離れるほど誘電率が低くなる。誘電体分布領域のこのようなレイアウト形態は、本発明では、三角形形態と呼ばれ、三角形領域が位置する端は、開始端である。三角形形態の誘電体分布領域を有するストリップ状材料は、三角形形態の開始端から巻き始めた後に巻回体の内部に球形又はラグビーボール形のレンズ体を形成することができる。どのような形態になるかは、最大のV字状領域の長さと幅との比によって決まる。
【0036】
巻回体内にレンズ体が1つしかなく、そしてこの巻回体がストリップ状材料の一端から巻き始め、且つレンズ体の中軸線が巻回体の中軸線と重なり合う時、前記誘電体分布領域は以下のレイアウトを採用してもよい。一つの矩形領域と、若干のU字状領域とを含み、これらのU字状領域の大きさは異なるが、これらはいずれも同じ向きを有しそしてストリップ状材料の縦方向に沿って配列され、小さいU字状領域は、大きいU字状領域によって半分に囲まれ、矩形領域は、最も小さいU字状領域によって半分に囲まれ、矩形領域の誘電率が最も高く、U字状領域が矩形領域から離れるほど誘電率が低くなり、U字状領域のU字状の底部は、半円の底部を含むだけでなく、ストレートな底部も含む。誘電体分布領域のこのようなレイアウト形態は、本発明では、矩形形態と呼ばれ、矩形領域が位置する端は、開始端である。矩形形態の誘電体分布領域を有するストリップ状材料は、矩形形態の開始端から巻き始めた後に巻回体の内部に円柱形のレンズ体を形成することができる。太くて短く見えるか細く見えるかは、最大のU字状領域の長さと幅との比によって決まる。
【0037】
巻回体に複数のレンズ体があり、そしてこの巻回体がストリップ状材料の一端から巻き始め、且つそれらのレンズ体のそれぞれの中軸線がいずれも巻回体の中軸線と重なり合う時、ストリップ状材料を広げると、対応する数の三角形形態の誘電体分布領域が見られる。これらの球形レンズ体の大きさが互いに異なる時、これらの三角形形態の誘電体分布領域の長さも互いに異なる。
【0038】
巻回体が自動的に緩むことを防止するために、前記巻回体の巻回層の間に接着層があり、又は巻回体の外部に包み層が設けられる。前記包み層は、熱収縮性のものであってもよい。
【0039】
中国特許文献CN111262042Bの記載によれば、そのレンズ製造方法は、柱体レンズ又は楕円柱体レンズの製造に限られるが、柱体レンズ又は楕円柱体レンズの形状は、定常の幅のストリップ状材料が巻回されてから自然に形成したものである。この電磁波レンズと中国特許文献CN111262042Bのレンズ製造方法で得られたレンズがいずれも巻回したレンズである。しかしながら、1)このレンズでは、その誘電体材料は、ストリップ状材料の横方向と縦方向の両方にいずれも誘電率のグラデーションを有するため、レンズ体内に内から外への方向でのすべての誘電率はいずれもますます低くなるが、中国特許文献CN111262042Bの記載では、柱体レンズ又は楕円柱体レンズの径方向に沿った誘電率のみがますます低くなり、柱体レンズ又は楕円柱体レンズの中軸線方向での誘電率が変化しない。2)中国特許文献CN111262042Bの記載に比べて、本発明のレンズ体の形状は、ストリップ状材料が巻回された後に自然に形成された形状によって決まるものではなく、人為的に予め定められたものであるため、巻回体の形状が円柱体である時、レンズ体の形状は、球形又は角柱形であってもよく、必ずしも円柱体であるわけではない。本発明のレンズ体が球体である場合、本発明は、ルーネベルグレンズの古典的なモデルにより合致することができ、それによって最も理想的な効果を得ることができる。例えば、巻回された円柱体形状の巻回体内に古典的なモデルに合致するルーネベルグレンズが1つ、2つひいてはより多く設置されていると考えてみると、これは、中国特許文献CN111262042Bのレンズ製造方法では得られない技術的効果である。 3)中国特許文献CN111262042Bに記載のシリンドリカルレンズでは、その円柱体に含まれる層数がnであると、その基材上で分けられる領域の数もnであり、異なる領域に、誘電率値の異なる高誘電率粒子材料が分布しているため、円柱体レンズの内から外への誘電率ステップ層の数が円柱体の巻回層数に等しいことを限定していることに相当する。しかしながら、実際の応用では、電磁波レンズの機械的直径は振動子の作動周波数帯域に関係しており、振動子の作動周波数帯域が低いと、対応する電磁波レンズの機械的直径が大きいことを意味し、この場合、円柱体レンズの誘電率ステップ層の数、円柱体の巻回層の数及び円柱体レンズの機械的直径の三者の間に両立が困難であるという問題が生じることがある。例えば、ある円柱体レンズのために21層の誘電率ステップ層を設計しており、この時、算出された各層の誘電率ステップ値は、0.05である。このような21種類の高誘電率粒子材料の製造は容易ではなく、そして円柱体レンズのその時の巻回層の数もただ21層である。目標機械的直径が1000mmである円柱体レンズにとって、その基材の厚さは、約24mmに達する必要がある。厚さが24mmに達した材料を小さい曲率半径で巻回することは、容易ではない。これによって一般的には、円柱体レンズの横断面の中部に内径が比較的に大きい管型キャビティが残される。この時、以上に記載の棒状部材充填の方式を採用しても、円柱体レンズの作動特徴への影響も比較的に大きい。
【0040】
本発明は、電磁波レンズの生産方法をさらに提供し、特に、以下の工程を含む。
【0041】
S100:ストリップ状材料上に、各レンズ体のために対応する誘電体分布領域を設置し、同一のレンズ体に属する誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が単調に変化するように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布する。
【0042】
S150:ストリップ状材料の縦方向に沿ってストリップ状材料の誘電率の高い端から巻き始め、すべての誘電体分布領域がいずれも巻き込まれて且つ各誘電体分布領域ではこれによって製造された巻回体の内部に対応する人為的に予め定められた立体形状のレンズ体を形成するまで継続し、前記ストリップ状材料の誘電率の高い端は同時にストリップ状材料の実体端である。
【0043】
S190:巻回プロセスでは又は巻回が完了した後に各巻回層を固定する。
【0044】
本発明は、別の電磁波レンズの生産方法をさらに提供し、特に、以下の工程を含む。
【0045】
S200:ストリップ状材料上に、各レンズ体のために対応する誘電体分布領域を設置し、同一のレンズ体に属する誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、異なるレンズ体に属する誘電体分布領域の中心はいずれも一本の軸線を通過し、この軸線は巻き始め軸線と呼ばれ、前記巻き始め軸線は、ストリップ状材料の縦方向に垂直であり、前記誘電体分布領域の中心は、ストリップ状材料の縦方向と横方向のいずれにおいても誘電率が最も高い位置点である。
【0046】
S250:巻き始め軸線からストリップ状材料の両端に向かって同時に巻き始め、巻回プロセスではストリップ状材料の縦方向に沿うことを維持し、すべての誘電体分布領域がいずれも巻き込まれて且つ各誘電体分布領域ではこれによって製造された巻回体の内部に対応する人為的に予め定められた立体形状のレンズ体を形成するまで継続する。
【0047】
S290:巻回プロセスでは又は巻回が完了した後に各巻回層を固定する。
【0048】
本発明は、別の電磁波レンズの生産方法をさらに提供し、特に、以下の工程を含む。
【0049】
S300:ストリップ状材料上に、各レンズ体のために対応する誘電体分布領域を設置し、同一のレンズ体に属する誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が単調に変化するように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、ストリップ状材料の誘電率の高い端は同時にストリップ状材料の実体端であり、同一規格の本工程のストリップ状材料はS個製造されており、S≧2であり、又はS≧3である。
【0050】
S350:これらのストリップ状材料のそれぞれの誘電率の高い端を共同で接触させて組み合わせ、そしてそれらの共同接触構造の中軸線を巻き始め軸線としてすべてのストリップ状材料を同時に巻き始め、巻回プロセスでは各ストリップ状材料自体の縦方向に沿うことを維持し、すべての誘電体分布領域がいずれも巻き込まれて且つ各誘電体分布領域ではこれによって製造された巻回体の内部に対応する人為的に予め定められた立体形状のレンズ体を形成するまで継続する。
【0051】
S390:巻回プロセスでは又は巻回が完了した後に各巻回層を固定する。
【0052】
本発明は、別の電磁波レンズの生産方法をさらに提供し、特に、以下の工程を含む。
【0053】
S400:ストリップ状材料上に、各レンズ体のために対応する誘電体分布領域を設置し、同一のレンズ体に属する誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、同一のストリップ状材料上に、異なるレンズ体に属する誘電体分布領域の中心はいずれも一本の軸線を通過し、この軸線は巻き始め軸線と呼ばれ、前記巻き始め軸線は、ストリップ状材料の縦方向に垂直であり、前記誘電体分布領域の中心は、ストリップ状材料の縦方向と横方向のいずれにおいても誘電率が最も高い位置点であり、同一規格の本工程のストリップ状材料はP個製造されており、P≧2であり、又はP≧3である。
【0054】
S450:これらのストリップ状材料のそれぞれの誘電体分布領域の中心を共同で接触させて組み合わせ、そしてそれらの共同接触構造の中軸線を巻き始め軸線としてすべてのストリップ状材料を同時に巻き始め、巻回プロセスでは各ストリップ状材料自体の縦方向に沿うことを維持し、すべての誘電体分布領域がいずれも巻き込まれて且つ各誘電体分布領域ではこれによって製造された巻回体の内部に対応する人為的に予め定められた立体形状のレンズ体を形成するまで継続する。
【0055】
S490:巻回プロセスでは又は巻回が完了した後に各巻回層を固定する。
【0056】
以上に列挙されたいくつかの電磁波レンズアンテナの生産方法では、その誘電体分布領域のレイアウト形態は、本発明の上記の三角形形態又は矩形形態を採用してもよい。
【0057】
本発明は、レンズアンテナをさらに提供し、アンテナ振動子を含み、特に、本発明に記載の電磁波レンズをさらに含み、本発明の電磁波レンズに非レンズ部位が形成されており、前記アンテナ振動子は、前記非レンズ部位に固定される。
【0058】
このような技術案によれば、アンテナ振動子と電磁波レンズとの間の位置決め構造を無くしてもよく、前記位置決め構造は、アンテナ振動子と電磁波レンズのレンズ体との間の相対的位置を維持するための構造を指す。
【0059】
2つ以上のレンズ体が巻回体の周方向に沿って配列される場合に、前記アンテナ振動子は、巻回体の内部に置かれて且つ非レンズ部位に位置する。他の場合には、アンテナ振動子は一般的には巻回体の外周に位置する。
【0060】
本発明は、以下の利点を有する。
【0061】
1)電磁特性は良好である。2)製品一致性は高い。3)生産効率は高い。4)幅広い目標寸法に適用可能である。5)構造はコンパクトで安定している。6)単実体マルチレンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】実施例1の上面構造概略図である。
図2図1のA-A断面構造概略図である。
図3】実施例1のストリップ状材料の展開構造概略図である。
図4】実施例1のストリップ状材料の各領域の輪郭点の座標系内における位置である。
図5】実施例1の薄膜が付着しているストリップ状材料の構造概略図である。
図6】薄膜が付着している別のストリップ状材料の構造概略図である。
図7】実施例2の断面構造概略図である。
図8】実施例3の上面構造概略図である。
図9図8のB-B断面構造概略図である。
図10】実施例4の上面構造概略図である。
図11図10のC-C断面構造概略図である。
図12】実施例5の断面構造概略図である。
図13】実施例6の上面構造概略図である。
図14】実施例6の正面構造概略図である。
図15】実施例7の上面構造概略図である。
図16図15のF-F断面構造概略図である。
図17】実施例6の棒状部材の断面構造概略図である。
図18】非定常の厚さを有するストリップ状材料の構造概略図である。
図19】実施例8の断面構造概略図である。
図20】実施例9の上面構造概略図である。
図21図20のD-D断面構造概略図である。
図22】実施例9のストリップ状材料の展開構造概略図である。
図23】実施例10の断面構造概略図である。
図24】実施例11の断面構造概略図である。
図25】実施例12の上面構造概略図である。
図26図25のE-E断面構造概略図である。
図27】実施例13の上面構造概略図である。
図28】実施例13のストリップ状材料の展開構造概略図である。
図29】実施例14の上面構造概略図である。
図30】実施例15の上面構造概略図である。
図31】実施例16の上面構造概略図である。
図32】実施例16のストリップ状材料の展開構造概略図である。
図33】実施例17の断面構造概略図である。
図34】実施例18の上面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、実施例に結び付けて本発明の内容をさらに説明する。
【0064】
実施例1
本実施例は、電磁波レンズ及び電磁波レンズの生産方法である。図1図2に示すように、この電磁波レンズは、ストリップ状材料101を巻回することで形成される円柱体状の巻回体100である。図3に示すように、ストリップ状材料101の表面に誘電体材料が分布しており、誘電体材料が特定の形状の領域内に分布するため、このような領域は、誘電体分布領域103と呼ばれる。ストリップ状材料101を巻回体100にした後、 誘電体材料は、巻回体100の内部の人為的に予め定められた球体範囲内に分布する。誘電体材料が分布しているこの球体範囲は、本実施例の電磁波レンズのレンズ体104である。巻回体100のレンズ体104以外の部位は、非レンズ部位105と呼ばれる。非レンズ部位105は、ストリップ状材料101の非誘電体分布領域106から形成される。
【0065】
本実施例では、ストリップ状材料101として、低誘電率の発泡材料を採用し、発泡材料の誘電率は1に近いほど好ましくなる。具体的な材料の種類は、中国特許文献CN111262042Bにおいて紹介されており、ここで説明を省略する。
【0066】
本実施例の目的は、ルーネベルグレンズの古典的なモデルに合致するレンズ体を得て、そしてステップ近似構造を採用することである。具体的には、図2に示すように、本実施例の巻回体100は、1個のストリップ状材料101の一端から巻き始めることで形成されるものである。図3に示すように、本実施例のストリップ状材料101の誘電体分布領域は、三角形形態レイアウトを採用し、それは、1つの三角形領域と、3つのV字状領域とを含み、ストリップ状材料101が巻回されて巻回体100を形成した後に、誘電体分布領域103の位置するストリップ状材料部位は、ほぼ球形のレンズ体104を形成し、そして形成されたレンズ体104内に4層の誘電率ステップ層が含まれる。
【0067】
図3に示すように、誘電体分布領域103の三角形形態は、1つの三角形領域107と、3つのV字状領域とを含み、これらのV字状領域はそれぞれ第一のV字状領域108、第二のV字状領域109及び第三のV字状領域110と呼ばれる。第一のV字状領域108は、最も小さく、第二のV字状領域109は、比較的に大きく、第三のV字状領域110は、最も大きい。第一のV字状領域108は、三角形領域107を半分に囲み、第二のV字状領域109は、第二のV字状領域108を半分に囲み、第三のV字状領域110は、第二のV字状領域109を半分に囲み、そして3つのV字状領域がいずれも同じ向きを有し且ついずれもストリップ状材料101の縦方向に沿って配列されるため、三角形領域とこれらのV字状領域は、全体の内部に空白のない誘電体分布領域103を共同で構成する。このような誘電体分布領域103の外輪郭は三角形であるため、三角形形態の名称はこれに由来する。ここで、三角形領域107内のストリップ状材料部位は、最も高い誘電率を有し、第一のV字状領域108と第二のV字状領域109内のストリップ状材料部位は、次に低い誘電率を有し、第三のV字状の領域110のストリップ状材料部位は、最も低い誘電率を有する。これから分かるように、本実施例では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が単調に変化するように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布する。ストリップ状材料101の一端には三角形領域107が密着しており、ストリップ状材料101の縦方向に沿って三角形領域107の位置する端からストリップ状材料101を巻き始め、誘電体分布領域103全体が巻き込まれるまで継続し、その後に、4層の誘電率ステップ層を有するレンズ体を形成し、そしてこの時、レンズ体104の中軸線は巻回体100の中軸線と重なり合う。具体的には、三角形領域107のストリップ状材料部位に、最も内側の第一の誘電率ステップ層121を形成し、第一のV字状領域108のストリップ状材料部位に、次の外側の第二の誘電率ステップ層122を形成し、第二のV字状領域109のストリップ状材料部位に、より外側の第三の誘電率ステップ層123を形成し、第三のV字状領域110のストリップ状材料部位に、最も外側の第四の誘電率ステップ層124を形成する。平面の三角形領域107が巻回された後にほぼ球形であり、平面のV字状領域が巻回された後にほぼ中空球形ケーシング状であるため、三角形領域107は、球形の第一の誘電率ステップ層121を形成し、第二のV字状領域108、第三のV字状領域109及び第四のV字状領域110は、球形ケーシング状の第二の誘電率ステップ層122、第三の誘電率ステップ層123及び第四の誘電率ステップ層124を形成する。このような内から外に向かって誘電率がステップ状に低くなっていく三次元積層構造は、本実施例のレンズ体に必要な構造である。
【0068】
図1図2に示すように、本実施例の目標規格は以下のとおりである。巻回体100の直径dnは約160mmであり、レンズ体104の直径は、巻回体100の直径と同じであり、レンズ体104は、4層の誘電率ステップ層を有し、各層の誘電率ステップ層の厚さはそれぞれ約20mmであり、本実施例に採用されるストリップ状材料の幅hは、160mmであり、厚さtは、2mmであり、即ち内から外に向かって各誘電率ステップ層の外径は、40mm、80mm、120mm、160mmである。この条件では、それぞれの具体的な境界範囲を得るために、各三角形領域及び各V字状領域の重要な輪郭点を決定する必要がある。以下では説明する。
【0069】
必要なストリップ状材料の総長Lは、以下の近似計算式L=π*n*(d1+dn)/2を採用してもよく、
ここで、d1は、最内層の直径値であり、dnは、最外層の直径値であり、nは、巻回層数(片辺)であり、n=[(dn-d1)/(2*t)]+1であり、tは、定常の厚さのストリップ状材料の厚さである。
具体的に、本実施例では、dn=160mmであり、d1=4mmであり、t=2mmであると、n=[(160-4)/(2*2)]+1=40であり、L=π*40*(4+160)/2≒10299mmである。
【0070】
以上のストリップ状材料101の総長の計算式は、三角形領域及び各V字状領域のストリップ状材料の縦方向における長さの計算に用いられてもよく、それによってストリップ状材料におけるそれぞれの具体的な位置を決定する。
【0071】
図4に示すように、x座標をストリップ状材料101の縦方向とし、y座標をストリップ状材料101の横方向とし、そしてストリップ状材料101の一端の横方向の中点を原点Oとすると、
【0072】
三角形領域107に対して、その3つの輪郭点の座標は、それぞれp1(0,20)、p2(0,-20)、p3(691,0)である。ここで、691という計算結果は、このように算出される。この領域に対応する誘電率ステップ層の外径が40mmであるため、n=[(40-4)/(2*2)]+1=10であり、L1=π*10*(4+40)/2≒691である。
【0073】
第一のV字状領域108に対して、その3つの輪郭点の座標は、それぞれw1(0,40)、w2(0,-40)、w3(2638,0)である。ここで、2638という計算結果は、このように算出される。この領域に対応する誘電率ステップ層の外径が80mmであるため、n=[(80-4)/(2*2)]+1=20であり、L2=π*20*(4+80)/2≒2638である。
【0074】
第二のV字状領域109に対して、その3つの輪郭点の座標は、それぞれu1(0,60)、u2(0,-60)、u3(5840,0)である。ここで、5840という計算結果は、このように算出される。この領域に対応する誘電率ステップ層の外径が120mmであるため、n=[(120-4)/(2*2)]+1=30であり、L3=π*30*(4+120)/2≒5840である。
【0075】
第三のV字状領域110に対して、その3つの輪郭点の座標は、それぞれv1(0,80)、v2(0,-80)、v3(10299,0)である。ここで、10299という計算結果は、このように算出される。この領域に対応する誘電率ステップ層の外径が160mmであるため、n=[(160-4)/(2*2)]+1=40であり、L4=L=π*40*(4+160)/2≒10299である。
【0076】
各領域の重要な輪郭点の座標が算出された後に、それぞれの具体的な境界範囲を得ることができる。説明すべきこととして、ストリップ状材料の長さLは、三角形形態の誘電体分布領域の縦方向における長さよりも大きくてもよく、この時に形成される巻回体の非レンズ部位は、レンズ体を完全に包む。
【0077】
図5に示すように、本実施例では、誘電体材料がまず低誘電率の薄膜130に付着してから、このような薄膜をストリップ状材料101に付着させる。薄膜130の誘電率が1に近いが、誘電体材料が高誘電率のインク、例えば導電性インクであり、インクがプリンターによって薄膜にプリントされ、インク滴は、薄膜上にパターンを形成する。インク滴の大きさ及び位置が正確に制御可能であるため、対応する領域の誘電率も正確に制御可能である。無論、誘電体材料は、他の形態又は構造の実体であってもよい。図6に示すように、ストリップ状材料の幅がプリンターの最大プリント幅よりも大きい時、薄膜上のパターンを一つずつプリントし、そしてこれらの薄膜をストリップ状材料の縦方向に沿ってストリップ状材料の表面に粘着し、目標パターンにつなぎ合わせることができる。図6は、3個の薄膜がストリップ状材料の縦方向に沿って並列にストリップ状材料の表面に粘着されることを示す。
【0078】
本実施例で設定された第一の誘電率ステップ層121、第二の誘電率ステップ層122、第三の誘電率ステップ層123、第四の誘電率ステップ層124及び非レンズ部位105に対応する誘電率は、2、1.7、1.4、1.1、1である。この分布規律は、ルーネベルグレンズの古典的なモデルのステップ近似規律に従うものである。より理想的な効果を得ようとすれば、より多くの誘電率ステップ層を設定することができるが、誘電率ステップ層の数は巻回層数nより大きくてはない。例えば、巻回体の外径を160mm、ストリップ状材料の厚さを2mmとした場合、巻回層数nは最大160/(2*2)=40層であり、各層の巻回層を1層の誘電率ステップ層とした場合であっても、誘電率ステップ層は 最大40層である。厚さがより薄いストリップ状材料を採用することで、巻回層の数を増加させることができる。
【0079】
実施例2
図7に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体200は、実施例1の巻回方式と構造を採用するが、巻回体200の内部に、大きさが同じである2つの球形のレンズ体201が形成されており、2つのレンズ体201はそれぞれ円柱体の両端に位置する。2つのレンズ体201内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。2つのレンズ体201は、巻回体200の中軸線方向に沿って配列される。
【0080】
実施例3
図8図9に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体300は、四角柱体であり、巻回体300の内部に、1つの球形のレンズ体301が形成されている。レンズ体301内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなり、レンズ体301の中軸線は、巻回体300の中軸線と重なり合う。
【0081】
実施例4
図10図11に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体400は、円柱体であり、巻回体400の内部に、1つの球形のレンズ体401が形成されている。レンズ体401内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなり、レンズ体401の中軸線は、巻回体400の中軸線403と平行であり且つ重なり合わない。
【0082】
本実施例の電磁波レンズの生産方法は実施例1と異なり、発明者らは、他の文献において説明する。
【0083】
実施例5
図12に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体500は、実施例1の巻回方式を採用し、巻回体500は、カプセル状柱体であり、巻回体500の内部に、2つの球形のレンズ体501が形成されており、2つのレンズ体501はそれぞれカプセル状柱体の両端に位置する。レンズ体501内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。2つのレンズ体501は、巻回体500の中軸線方向に沿って配列される。
【0084】
実施例6
図13図14に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体600は、管体であり、管体は、柱体の内部に貫通孔601が残されたものに相当し、そして貫通孔601の軸線は、柱体の軸線と重なり合うか又は平行である。具体的に、本実施例では、管体の外周は円柱面であり、その内部の貫通孔601は、円孔であるが、管体は、相対的に厚い巻回した壁体を有し、壁体の内部に3つの球形のレンズ体602が形成されている。レンズ体602内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。本実施例の3つのレンズ体602は、巻回体600の周方向に沿って配列される。
【0085】
本実施例の電磁波レンズの生産方法は実施例1と異なり、発明者らは、他の文献において説明する。
【0086】
実施例7
図15図16に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体700は、円柱体であり、ストリップ状材料を巻き始める時に比較的に大きい巻き始め半径を採用するため、巻回体700の横断面の中央部に管型キャビティを形成し、巻回プロセス全体を完了した後に、管型キャビティに棒状部材701で充填する。巻回体700内に1つのレンズ体702が形成されており、レンズ体702の中軸線は、巻回体700の中軸線と重なり合い、且つ管型キャビティの中軸線と巻回体700の中軸線が重なり合うため、棒状部材701がレンズ体702を通過し且つそれぞれの中軸線も重なり合う。図17に示すように、棒状部材701のレンズ体を通過する部位に、レンズ体に合致する誘電率分布を有するため、レンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなることを確保する。
【0087】
図18に示すように、巻き始め部位703と巻き終わり部位704が他の部位よりも薄いストリップ状材料705を採用して巻回を行ってもよい。
【0088】
実施例8
図19に示すように、本実施例と実施例7との相違点は、巻回体800の中央部にストリップ状材料の巻き始め及び巻回のための軸部材801が設けられることである。軸部材801のレンズ体802を通過する部位に、レンズ体802に合致する誘電率分布を有するため、レンズ802に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなることを確保する。軸部材801の両端は、電磁波レンズの固定端として、レンズホルダ(図示されず)との機械的接続に用いられる。
【0089】
実施例9
図20図21に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体900は、円柱体であり、巻回体900の内部に、1つの円柱形のレンズ体901が形成されている。本実施例の巻回体900は、ストリップ状材料の誘電率の高い端から巻き始め、レンズ体901の中軸線は、巻回体900の中軸線と重なり合う。ストリップ状材料902の誘電体分布領域は、図22に示すように、矩形形態で分布するものである。ここで、矩形領域903のストリップ状材料902の縦方向に沿った長さの計算は、実施例1の三角形領域の計算プロセスを参照してもよく、各U字状領域904のストリップ状材料902の縦方向に沿った長さの計算は、実施例1における対応するV字状領域の計算プロセスを参照してもよい。矩形形態と三角形形態の両者によって形成されるレンズ体の構造は同じであり、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなり、相違点は、巻回後に形成されたレンズ体の形状が異なることだけである。前者は、巻回体が円柱体である場合に円柱形のレンズ体を形成するために用いられ、又は、巻回体が角柱体である場合に角柱形のレンズ体を形成するために用いられることが多い。
【0090】
実施例10
図23に示すように、本実施例と実施例2との相違点は、巻回体1000の内部に、一つの球形を呈する比較的大きいレンズ体1001と一つの球形を呈する比較的小さいレンズ体1002が形成されていることである。
【0091】
実施例11
図24に示すように、本実施例と実施例2との相違点は、巻回体1100の内部に、一つの球形を呈するレンズ体1101と一つの円柱体を呈するレンズ体1102が形成されていることである。
【0092】
実施例12
図25図26に示すように、本実施例と実施例3との相違点は、巻回体1200内のレンズ体が四角柱形を呈することである。
【0093】
実施例13
図27に示すように、本実施例は、電磁波レンズ及び電磁波レンズの生産方法であり、巻回体1300は、円柱体を呈し、1個のストリップ状材料の中部から巻き始めることで形成されるものである。巻き始めるべき位置のため、本実施例のストリップ状材料1301では、その誘電体分布領域1302は、2つの同じ三角形形態のサブ誘電体分布領域1303、1305からなり、これら2つの三角形形態のサブ誘電体分布領域1303、1305の三角形領域が互いに近接し、図28に示すように、これは、誘電体分布領域では、ストリップ状材料1301の縦方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料1301の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布することに相当する。本実施例では、異なるレンズ体に属する誘電体分布領域の中心はいずれも一本の軸線を通過し、この軸線は、巻き始め軸線1304と呼ばれ、巻き始め軸線1304は、ストリップ状材料1301の縦方向に垂直であり、誘電体分布領域1302の中心は、ストリップ状材料1301の縦方向と横方向のいずれにおいても誘電率が最も高い位置点である。1個のストリップ状材料の中部から巻き始めることは、2個の比較的に短いストリップ状材料が同時に巻き始めると見なされてもよいため、誘電率ステップ層の厚さが同じである場合に、このようなストリップ状材料の巻回長さは、1個のストリップ状材料がその一端から巻き始める時の約1/2であればよく、この時、ストリップ状材料上の誘電体分布領域の縦方向における割合も1個のストリップ状材料の場合の1/2程度になり、横方向での割合は変わらない。1個のストリップ状材料の中部から巻き始まる方式によれば、同様な巻回体の直径目標で、巻回に要する時間を効果的に短縮することができる。巻き始め軸線1304からストリップ状材料1301の両端に向かって同時に巻き始め、巻回プロセスではストリップ状材料1301の縦方向に沿うことを維持し、すべての誘電体分布領域1302がいずれも巻き込まれて且つ各誘電体分布領域1302ではこれによって製造された巻回体1300の内部に対応する球形を呈するレンズ体を形成するまで継続すると、この時、レンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。
【0094】
実施例14
図29に示すように、本実施例は、電磁波レンズ及び電磁波レンズの生産方法であり、巻回体1400は、円柱体を呈し、3個のストリップ状材料1401を巻き始めることで形成されるものである。3個のストリップ状材料1401のそれぞれの誘電率の高い端を共同で接触させて組み合わせ、そしてそれらの共同接触構造の中軸線を巻き始め軸線としてすべてのストリップ状材料を同時に巻き始める。本実施例のストリップ状材料のそれぞれの誘電体分布領域は、三角形形態で分布するものであり、且つ3個のストリップ状材料1401を同時に巻き始めることで形成されるものである。誘電率ステップ層の厚さが同じである場合に、各ストリップ状材料1401の巻回長さは、1個のストリップ状材料の場合の約1/3であればよく、この時、各ストリップ状材料1401上の誘電体分布領域の縦方向における割合も1個のストリップ状材料の場合の1/3程度になり、横方向での割合は変わらない。複数のストリップ状材料を同時に巻回する方式によれば、同様な巻回体の直径目標で、巻回に要する時間を効果的に短縮することができる。この時、単一のストリップ状材料の誘電体分布領域にとって、誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が単調に変化するように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布する。ストリップ状材料が巻回体に巻回した後に、巻回体内に球形を呈するレンズ体が形成されており、そしてレンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。
【0095】
実施例15
図30に示すように、本実施例は、電磁波レンズ及び電磁波レンズの生産方法であり、巻回体1500は、円柱体を呈し、2個の同一規格のストリップ状材料1501、1502を同時に巻き始めることで形成されるものである。2個のストリップ状材料1501、1502のそれぞれの誘電体分布領域の中心を共同で接触させて組み合わせ、そしてそれらの共同接触構造の中軸線を巻き始め軸線としてすべてのストリップ状材料を同時に巻き始める。誘電体分布領域の中心は、ストリップ状材料の縦方向と横方向のいずれにおいても誘電率が最も高い位置点である。実施例13と類似するように、本実施例の単一のストリップ状材料の誘電体分布領域は、2つの三角形形態のサブ誘電体分布領域からなり、これら2つの三角形形態のサブ誘電体分布領域の三角形領域が互いに近接し、これは、誘電体分布領域では、ストリップ状材料の縦方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料1301の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布することに相当する。2個のストリップ状材料1501、1502のそれぞれの中部から同時に巻き始めるため、誘電率ステップ層の厚さが同じである場合に、各ストリップ状材料の片辺の巻回長さは、1個のストリップ状材料の場合の約1/4であればよく、この時、各ストリップ状材料上の誘電体分布領域の縦方向における割合も1個のストリップ状材料の場合の1/4程度になり、横方向での割合は変わらない。ストリップ状材料1501、1502は巻回体1500に巻回した後に、巻回体内に球形を呈するレンズ体が形成され、そしてレンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。
【0096】
実施例16
図31に示すように、本実施例は、電磁波レンズであり、巻回体1600は、円柱体を呈し、1個のストリップ状材料1601の中部から巻き始めることで形成されるものである。巻き始めるべき位置のため、本実施例のストリップ状材料1601では、その誘電体分布領域1604は、2つの同じ矩形形態のサブ誘電体分布領域1602、1603からなり、これら2つの矩形形態のサブ誘電体分布領域1602、1603の矩形領域が互いに近接し、図32に示すように、これは、誘電体分布領域1604では、ストリップ状材料1601の縦方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布し、且つストリップ状材料1601の横方向において、誘電率が中央で高くて両側に向かって単調に低くなるように誘電体材料が分布することに相当する。ストリップ状材料1601は巻回体1600に巻回した後に、巻回体1600内に円柱形を呈するレンズ体が形成され、そしてレンズ体内に、すべての内から外への方向での誘電率はいずれもますます低くなる。
【0097】
実施例17
図33に示すように、本実施例は、レンズアンテナであり、実施例9の電磁波レンズ1700と1つのアンテナ振動子1701とを含む。アンテナ振動子1701は、電磁波レンズの巻回体の外周に位置し、且つ巻回体の非レンズ部位に固定される。この時、アンテナ振動子1701とレンズ体1702との間に、予め設計された相対的位置と距離を有する。
【0098】
実施例18
図34に示すように、本実施例は、レンズアンテナであり、実施例6の電磁波レンズ1800と3つのアンテナ振動子1801とを含む。3つのアンテナ振動子1801、1802、1803は、貫通孔1804の内部に位置し且つ電磁波レンズの巻回体の非レンズ部位に固定される。この時、アンテナ振動子1801、1802、1803と対応するレンズ体1805、1806、1807との間に、予め設計された相対的位置と距離を有する。
【0099】
本明細書に列挙されたものは、本発明の好ましい実施の形態に過ぎず、すべての図面における六角形のハッチングパターンは、誘電体材料のカバー領域を示しているだけであり、誘電体自体の形状を示しているわけではなく、本発明の動作原理と構想で行われた同等の技術的変換は、いずれも本発明の保護範囲とみなされる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34