(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】洗車場システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240725BHJP
G07F 17/20 20060101ALI20240725BHJP
B60S 3/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G07B15/00 L
G07F17/20
B60S3/04
(21)【出願番号】P 2024042997
(22)【出願日】2024-03-19
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503253079
【氏名又は名称】株式会社サニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志村 勲
(72)【発明者】
【氏名】河西 忠通
(72)【発明者】
【氏名】佐野 弘一
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-223345(JP,A)
【文献】特公昭52-048416(JP,B1)
【文献】特開2010-138618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
G07F 17/20
B60S 3/04
E04H 6/42
E01F 1/00,
13/00 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車場内に複数の個別の洗車スペースが配置され、前記洗車スペース毎に、前記洗車スペースからの車両の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備とを少なくとも備える洗車場システムであって、
前記ロック手段として、チェーンと、前記チェーンの一端が繋げられたチェーン付ポールと、前記チェーンの他端をロック可能なロック用ポールと、を有するゲートを備え、
前記チェーンの前記他端が前記ロック用ポールの所定位置にセットされると、前記ゲートがロック状態に駆動されると共に前記洗車用設備が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、前記ゲートのロック状態が解除されるように構成されている、洗車場システム。
【請求項2】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
前記チェーンの前記他端には嵌合用凹凸部、前記ロック用ポールの所定位置には被嵌合用凹凸部が形成され、
前記嵌合用凹凸部が前記被嵌合用凹凸部にセットされると、前記ゲートをロックする、ように構成されている、洗車場システム。
【請求項3】
請求項2に記載の洗車場システムにおいて、
前記嵌合用凹凸部が前記被嵌合用凹凸部にセットされると、前記セット後のロック指令に基づき前記ゲートをロックする、又は前記セット前のロック指令に基づき前記ゲートをロックする、ように構成されている、洗車場システム。
【請求項4】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
複数の前記洗車スペースとして、隣接して配置された複数の前記洗車スペースを備え、
隣接する前記ゲートは、前記チェーン付ポール同士又は前記ロック用ポール同士が隣り合うように配置され、
前記チェーンの長さは、同じゲートの前記チェーン付ポールから前記ロック用ポールまでの距離以上で、当該チェーン付ポールから隣接するゲートの前記ロック用ポールまでの距離より短くなる、ように構成されている、洗車場システム。
【請求項5】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
複数の前記洗車スペースとして、隣接して配置された複数の前記洗車スペースを備え、
隣接する前記ゲートは、前記チェーン付ポールと前記ロック用ポールが隣り合うように配置され、
前記チェーンの前記他端は、同じゲートの前記ロック用ポールにはセットできるが、隣接するゲートの前記ロック用ポールにはセットできない、ように構成されている、洗車場システム。
【請求項6】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
前記チェーンの前記他端の前記ロック用ポールの所定位置へのセットは、
前記他端に設けられた嵌合用凹凸部と、当該嵌合用凹凸部に対応して前記ロック用ポールに設けられた被嵌合用凹凸部と、の嵌合によっておこなわれるように構成されている、洗車場システム。
【請求項7】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
電源に接続される主電力ケーブルと、前記主電力ケーブルから分岐して前記洗車用設備に電力を供給する分岐電力ケーブルと、を有する電力ケーブルと、
前記洗車場システムの全体を制御する主制御装置に接続され、前記ゲートの制御信号が送られる通信ケーブルと、を更に備え、
前記主電力ケーブル及び前記通信ケーブルは、前記ロック用ポールを介して数珠繋ぎに配線されるように構成されている、洗車場システム。
【請求項8】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
更に車両検知装置を備え、
料金の支払いがおこなわれて前記ゲートのロック状態が解除された後、所定時間経過後も前記洗車スペース内に車両があることが前記車両検知装置によって検知されると警告を出すように構成されている、洗車場システム。
【請求項9】
請求項1に記載の洗車場システムにおいて、
前記洗車用設備に加えて、前記洗車用設備と同じように使用することが可能な充電設備を更に備える、洗車場システム。
【請求項10】
洗車場内に複数の個別の洗車スペースが配置され、前記洗車スペース毎に、前記洗車スペースからの車両の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備とを少なくとも備える洗車場システムであって、
前記ロック手段として、紐状部材と、前記紐状部材の一端が繋げられた紐状部材据付具と、前記紐状部材の他端をロック可能なロック用具と、を有するゲートを備え、
前記紐状部材の前記他端が前記ロック用具の所定位置にセットされると、前記ゲートがロック状態に駆動されると共に前記洗車用設備が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、前記ゲートのロック状態が解除されるように構成されている、洗車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車の状態を一層よい状態に保つため自分自身で洗車したい車ユーザーが増加している。一方、そのような車ユーザーの要望にできるだけ応えた洗車場を提供しようとする洗車場事業者がいる。
【0003】
これまで、洗車場の使い勝手の向上等を目的とするアイデアがあった(特許文献1参照)。これは、洗車場(1)内に多数の個別の洗車スペース(2)を設け、各洗車スペース(2)に、車両センサ(3)と、車両の退出を阻止するロック装置(4)と、洗車用設備(水道設備及び電源設備)(6)を設け、車両センサ(3)が車両を検知するとロック装置(4)で車両をロックすると共に洗車用設備(8)を使用可能とし、料金の精算によりロックを解除する構成とする洗車場システムである。
このシステムは、洗車場の使い勝手を高めようとする点で好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示されるように、ロック装置(4)として、ロック板(4B)を起立駆動する装置(段落0021等)や、フラップ(鎖錠板)を車両の前後に配置するタイヤロック式の装置(段落0042)を用いると、当該ロック装置が起立しているときにつまずいたり、起立していないときでもロック装置(ロックユニット)が地面にあることでつまずくという安全性についてのリスクがある。ロック板の起立時に車両を傷つける損傷リスクもある。又、このようなロック装置を洗車場に設置するのは必ずしも容易でない。
なお、特許文献1の説明では当該文献中の符号をそのまま使用するため、本発明の説明で使用する符号と一部重複する場合がある。両者を区別するため、特許文献1の説明で使用する符号は「(符号)」のように括弧で囲って使用した。課題を解決するための手段以降の本発明関連で使用する符号は、原則として括弧で囲わずに使用する。
【0006】
そこで、本発明は、ロック時の安全性向上、車両損傷リスク低減、ロック手段の設置容易性向上の少なくとも1つを達成可能な洗車場システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の一側面に係る洗車場システムは、
洗車場内に複数の個別の洗車スペースが配置され、前記洗車スペース毎に、前記洗車スペースからの車両の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備とを少なくとも備える洗車場システムであって、
前記ロック手段として、チェーンと、前記チェーンの一端が繋げられたチェーン付ポールと、前記チェーンの他端をロック可能なロック用ポールと、を有するゲートを備え、
前記チェーンの前記他端が前記ロック用ポールの所定位置にセットされると、前記ゲートがロック状態に駆動されると共に前記洗車用設備が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、前記ゲートのロック状態が解除されるように構成されている。
【0008】
係る洗車場システムによれば、ロック手段として、チェーンと、前記チェーンの一端が繋げられたチェーン付ポールと、前記チェーンの他端をロック可能なロック用ポールと、を有するゲートを備えるため、特許文献1のロック装置のように、当該ロック装置が起立しているときにつまずいたり、起立していないときでもロック装置(ロックユニット)が地面にあることでつまずくという安全性についてのリスクの低減が可能となる。又、通常、チェーンは車両と離れた所にあるため、車両下のロック板起立時に車両を傷つける損傷リスクも低減可能である。又、ロック板等に比べてチェーン等で構成されるゲートは設置が容易である。
そのため、ロック時の安全性リスク低減、車両損傷リスク低減、又はロック手段の設置容易性向上の少なくとも1つを達成可能な洗車場システムを提供することが可能となる。
【0009】
[10]本発明の他の一側面に係る洗車場システムは、
洗車場内に複数の個別の洗車スペースが配置され、前記洗車スペース毎に、前記洗車スペースからの車両の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備とを少なくとも備える洗車場システムであって、
前記ロック手段として、紐状部材と、前記紐状部材の一端が繋げられた紐状部材据付具と、前記紐状部材の他端をロック可能なロック用具と、を有するゲートを備え、
前記紐状部材の前記他端が前記ロック用具の所定位置にセットされると、前記ゲートがロック状態に駆動されると共に前記洗車用設備が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、前記ゲートのロック状態が解除されるように構成されている。
【0010】
係る洗車場システムによれば、前述したのと同様な理由で、ロック時の安全性リスク低減、車両損傷リスク低減、又はロック手段の設置容易性向上の少なくとも1つを達成可能な洗車場システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る洗車場システム1Aの構成例を説明するために示す図。
【
図2】実施形態1に係る洗車場システム1Aで用いる精算機4を説明するために示す図。
【
図3】実施形態1に係る洗車場システム1Aの使用状態を説明するために示す図。
【
図4】実施形態1に係る洗車場システム1Aのゲート3a~3dを説明するために示す図。
【
図5】実施形態1に係る洗車場システム1Aのゲート3a~3dのロック機構を説明するために示す図。
【
図6】実施形態1に係る洗車場システム1Aの配線例を説明するために示す図。
【
図7】実施形態1に係る洗車場システム1Aの動作を説明するために示すフローチャート。
【
図8】実施形態1に係る洗車場システム1Aの他の動作を説明するために示すフローチャート。
【
図9】実施形態2に係る洗車場システム1Bを説明するために示す図。
【
図10】実施形態3に係る洗車場システム1Cの動作を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る洗車場システムについて、図を用いて説明する。各図面は模式図であり、必ずしも実際の洗車場システム、洗車スペース、ゲート等の構成、動作ステップ(構成)等を厳密に反映するものではない。各実施形態は、特許請求の範囲を限定するものではない。各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。実質的に同等とみなせる構成要素に関しては実施形態をまたいで同じ符号を用い、再度の説明を省略する場合がある(説明が一部重複する場合もある)。
【0013】
〔実施形態1〕
図1~
図8は実施形態1に係る洗車場システム1Aを説明するために示す図である。
図1は、実施形態1に係る洗車場システム1Aの構成例を説明するために示す図である。
【0014】
図1に示されるように、実施形態1に係る洗車場システム1Aは、洗車場10内に複数の個別の洗車スペース2a~2dが配置され、洗車スペース2a~2d毎に、洗車スペース2a~2dからの車両9の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備8とを少なくとも備える洗車場システムであって、ロック手段として、チェーン31と、チェーンの一端31a(一方の端部、他端31bと逆側端)が繋げられたチェーン付ポール32と、チェーンの他端31bをロック可能なロック用ポール33(ロックポール)と、を有するゲート3a~3dを備え、チェーンの他端31bがロック用ポール33の所定位置にセットされると、ゲート3a~3dがロック状態に駆動されると共に洗車用設備8が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、ゲート3a~3dのロック状態が解除されるように構成されている。
所定位置とは、例えば、ロック可能な位置である。
【0015】
この例では、洗車場10は、道路91(車道、歩道)に沿って設けられている。洗車場10の中には、洗車スペースが4つ設けられている(洗車スペース2a~2d)。洗車スペース2a~2d毎に車庫2yが設けられており、水が隣の洗車スペースに飛ばないようにされている。各洗車スペース2a~2d(車庫2y)の出入り口には、洗車スペース2a~2dに各々対応してゲート3a~3dが設けられている。この例では、洗車スペース2a、2cが使用され、ゲート3a、3cがロックされている。洗車スペース2b、2dは使用されていない空状態であり、ゲート3b、3dではロック解除されている。
【0016】
〔洗車用設備8〕
洗車用設備8としては、例えば、高圧洗浄機、フロアマットの洗浄機、掃除機等の設備を備える。
なお、このような洗車用設備8に加えて、上記の洗車用設備と同じように使用することが可能な(電気自動車の車両9等の)充電設備を更に備えるようにしてもよい。
【0017】
〔精算機4〕
洗車場10には精算機4が設置されている。
図2は、洗車場システム1Aの精算機4を説明するために示す図である。精算機4は、表示装置、現金処理装置、カード処理装置、領収書発行装置、主制御装置40等を備える。表示装置は、液晶パネル、ELパネル等の表示部41を有する。当該表示部41は、例えば、タッチセンサー付きの表示部で構成され、洗車スペースのマップ(場所)を表示し、利用した洗車スペースの番号(車室番号)が入力されると、利用料金を表示する。現金処理装置は、紙幣投入口42、硬貨投入口43、おつり払戻口44等を有し、現金処理をおこなう。カード処理装置は、クレジットカードのカード挿入口45を有し、カード処理をおこなう。なお、カード処理装置は、クレジットカードの他に、例えば、洗車場等のサービス券、サービスクーポン等も挿入可能でそれらも処理できるようにしてもよい。領収書発行装置は、領収書発行口46から領収書を発行する。主制御装置40は、精算機4の表示装置等の制御を含め、洗車場システム1A全体を制御する。これについては後述する。
【0018】
〔主制御装置40〕
主制御装置40は、洗車場システム1A全体を制御する。主制御装置40は、例えば、各ゲート3a~3dに各々対応して設けられているゲート制御装置30にゲートの開閉指令を出す。又、ゲート3a~3dの使用状況(利用状況)に応じ、表示装置に表示指令を出す。又、精算の際、使用状況に応じ、現金処理装置に現金処理指令を出す。又、カードでの支払精算の際、カード処理装置にカード処理指令を出す。又、領収書発行装置に領収書発行指令を出す。
【0019】
〔ゲート3a~3d〕
図3は、実施形態1に係る洗車場システム1Aの使用状態(利用状況)を説明するために示す図である。
図4は、実施形態1に係る洗車場システム1Aのゲートを説明するために示す図である。
図5は、実施形態1に係る洗車場システム1Aのゲートのロック機構を説明するために示す図である。
【0020】
図3に示されるように、実施形態1の洗車場システム1Aでは、複数の洗車スペース2a~2dとして、隣接して配置された複数の洗車スペース2a~2d(隣接配置)を備え、隣接するゲート(ゲート3aと3b、ゲート3bと3c、ゲート3cと3d)は、チェーン付ポール32同士又はロック用ポール33同士が隣り合うように配置され、チェーン31の長さは、同じゲート3a~3dのチェーン付ポール32からロック用ポール33までの距離L1以上で、当該チェーン付ポール32から隣接するゲートのロック用ポール33までの距離(L2、L3)より短くなる、ように構成されている。
【0021】
例えば、洗車スペース2c(ゲート3c)を例にすると、ゲート3cのチェーン付ポール32に繋げられたチェーン31の長さ(繋ぎ部からチェーンの他端31bまでの長さ)は、同じc3のチェーン付ポール32からロック用ポール33までの距離L1以上の長さで、当該チェーン付ポール32から隣接するゲート3bのロック用ポール33までの距離L2(又は隣接するゲート3dのロック用ポール33までの距離L3)より短くなる、ように構成されている。
これは、主として、複数のゲート3a~3dを実質的に同じ構造のゲートで構成し、どのゲート3a~3dのチェーンの他端31bも、どのロック用ポール33のロック用穴(差込口)に差し込むことが可能な場合のゲート3a~3dを使用する場合の例である。
【0022】
〔ロック〕
図4(a)は、洗車スペース2a(使用状態)と洗車スペース2b(非使用状態、空き状態)でのゲート3a、ゲート3bの様子を説明するために示す図である。
図4(b)は、チェーンの一端31aが繋げられたチェーン付ポール32を拡大して説明するための図である。チェーン付ポール32の上部には、チェーン31をロック用に使用しない場合に、チェーンの他端31bを引っ掛ける他端引掛部が設けられている。
図4(c)は、ロック用ポール33を拡大して説明するための図である。ロック用ポール33の上部には、チェーンの他端31b(嵌合用凹凸部Mが形成されている)をロックするために設けられた被嵌合用凹凸部Wが形成されている。被嵌合用凹凸部Wは、チェーン31がロックされたときに、チェーン31が適度にたわんで車両9が出るのを阻止できるような高さに形成されている。
【0023】
なお、嵌合用凹凸部Mと被嵌合用凹凸部Wの組合せは、例えば、一方が凸形状で他方が凹形状のような関係の組合せである。平面状の凹凸形状の組合せ、立体状の凹凸形状の組合せ、平面形状と立体形状を合わせた凹凸形状の組合せ等がある。例えば、平面状のものの外縁に形成された凹凸形状部とそれに嵌合する(はまり合う)凹凸形状部の組合せ、平面状のものの片面又は両面に形成された凹凸形状とそれに嵌合する凹凸形状の組合せ、互いに嵌合する立体状凹凸形状の組合せ(穴と穴に嵌まる棒のような組合せ)等である。
【0024】
図5は、実施形態1に係る洗車場システム1Aのゲート3a~3dのロック機構を説明するために示す図である。
この例では、チェーンの他端31b(先端)にプレート71がついている。これをロック用ポール33の被嵌合用凹凸部Wに差し込むと、ロック時は、両側の半円状のくぼみ部分(嵌合用凹凸部M)にロック装置が入り、引き抜けなくなる構造をしている。
【0025】
このロック機構では、大きく2段階のロック状態を生じさせる。
1段階目のロックは言わば簡易ロックである。プレート71が差し込まれると、アーム73(図示省略のバネでお互いの方向に引っ張り合うように構成)が開き、ローラー72が回転して、プレート71の差込を助け、ローラー72(凸部)がプレート71のくぼみに嵌まって、プレート71を所定位置にセットする。バネの力でプレート71がスルッと抜けない様に保持する。言わばセット状態にする。
【0026】
2段階目のロックは言わば本ロックである。プレート71のくぼみに挟まったアーム73が抜けないようにするロックである。これは、例えば、(ア)アーム73をプレート71を押す方向に電磁駆動する、(イ)プレート71差込時には、アーム73の動きを邪魔しない場所にあった突起をアークの移動を妨げる場所に移動させる、等により、プレート71が動かないようにする本格的なロックである、
【0027】
なお、ロック/ロック解除は、アーム73の状態を検出するセンサーを内蔵させ、アーム73が開/閉かを判別してロック/ロック解除するようにしてもよい。プレート71が挿し込まれると押されたことを検知するセンサー等を内蔵させ、その検知状態に基づきセットやロックをするようにしてもよい。
【0028】
プレート71(チェーンの他端31b)が所定位置にセットされると、ロックされる。例えば、プレート71(チェーンの他端31b)がロック用穴に差し込まれ、プレート71の外周凹部がローラー72(凸部)に嵌まると、(ア)アーム73がプレート71を押す方向に電磁駆動される、(イ)プレート71差込時には、アーム73の動きを邪魔しない場所にあった突起がアークの移動を妨げる場所に移動する、等により、プレート71が動かないようにロックする、
【0029】
このように、実施形態1の洗車場システム1Aでは、チェーンの他端31bには嵌合用凹凸部M、ロック用ポール33の所定位置には被嵌合用凹凸部Wが形成され、嵌合用凹凸部Mが被嵌合用凹凸部Wにセットされると、ゲート3a~3dをロックする、ように構成されている。
【0030】
又、実施形態1の洗車場システム1Aでは、チェーンの他端31bのロック用ポール33の所定位置へのセットは、他端31bに設けられた嵌合用凹凸部Mと、当該嵌合用凹凸部Mに対応してロック用ポール33に設けられた被嵌合用凹凸部Wと、の嵌合によっておこなわれるように構成されている。
【0031】
〔回路構成〕
図6は、実施形態1に係る洗車場システム1Aの回路構成例を説明するために示す図である。
図6に示すように、実施形態1の洗車場システム1Aでは、電源(外部電源)に接続される主電力ケーブル51と主電力ケーブル51から分岐して洗車用設備8に電力を供給する分岐電力ケーブル52とを有する電力ケーブル5と、洗車場システム1Aの全体を制御する主制御装置40に接続されゲート3a~3dの制御信号が送られる通信ケーブル6と、を更に備え、主電力ケーブル51及び通信ケーブル6は、ロック用ポール33を介して数珠繋ぎに配線される、ように構成されている。
【0032】
〔電力ケーブル5〕
図6を用いて、洗車場システム1Aの配線例について説明する。
図6に示されるように、電力ケーブル5は、主電力ケーブル51と、主電力ケーブル51から分岐する分岐電力ケーブル52とを有する。主電力ケーブル51は外部電源(200V、100V、24V等)に接続されている。主電力ケーブル51に設けられた主スイッチ55は精算機4の内部又は外側に設置されている。分岐電力ケーブル52は、洗車スペース2a~2d毎に主電力ケーブル51から分岐して当該洗車スペース2a~2dに備えられた洗車用設備8に電力を供給する。
【0033】
電力分岐ケーブルには分岐スイッチ56が設けられており、洗車用設備8への電力供給を供給したり遮断したりできるように構成されている。洗車スペース2a~2d内に複数の洗車用設備8がある場合、分岐スイッチ56を開くと、それら全てに対する電力供給が停止される。分岐スイッチ56を閉じると、それら全てに電力が供給される。
【0034】
分岐スイッチ56は、主電力ケーブル51と分岐電力ケーブル52との間に設けられる。分岐スイッチ56をロック用ポール33又はその近くに設けてもよい。なお、分岐スイッチ56と洗車用設備8の間に更にスイッチを設けて洗車用設備8毎の電力供給/停止ができるようにしてもよい。
分岐スイッチ56は、例えば、電気的に開閉可能な、リレー(スイッチ)、MOSFET、IPD(Intelligent Power Device)等の半導体スイッチを用いる。
【0035】
〔通信ケーブル6〕
通信ケーブル6は、洗車場システム1Aの全体を制御する主制御装置40に接続される。ゲート3a~3dを制御する制御信号は通信ケーブル6を介して主制御装置40からゲート制御装置30に送られる。場合によっては、ゲート制御装置30から主制御装置40への各種の信号(例えば、ロック状態の有無を知らせる信号等)がある場合、そのような信号も通信ケーブル6を介して送られる。
【0036】
主電力ケーブル51及び通信ケーブル6は、ロック用ポール33を介して数珠繋ぎに配線されている。
例えば、各ゲート3a~3dのロック用ポール33に分岐スイッチ56を設け、その一方の端子に主電力ケーブル51を配線(接続)し、他方の端子に分岐電力ケーブル52を接続する。隣接するゲート3aと3b、3bと3c、3cと3dの一方の端子間では、主電力ケーブル51が順次配線(接続)されるように配線(接続)する。言わば数珠つなぎに配線(接続)する。
通信ケーブル6も同様に数珠つなぎに配線(接続)する。つまり、各ゲート3a~3dのロック用ポール33にゲート制御装置30を設け、隣接するゲート3aと3b、3bと3c、3cと3dのゲート制御装置30間では、通信ケーブル6が順次配線(接続)されるように配線(接続)する。言わば数珠つなぎに配線(接続)する。
なお、電力ケーブル5(主電力ケーブル51又は分岐電力ケーブル52)又は通信ケーブル6の配線は、埋設してもよいし、露出でも構わない。
【0037】
〔制御装置〕
主制御装置40(精算機4に内蔵)やゲート制御装置30の制御装置(図示省略)は、ロジック回路、マイクロコンピューター等で構成される。マイクロコンピューターは、CPU(中央処理装置)を主体とし、ROM、RAM、入出力ポート、インターフェース等で構成されるコンピューターである。ROMに予め記憶された命令によって、各種の処理をおこなう。
【0038】
洗車スペース2a~2dに対応して、ゲート制御装置30には、各々アドレスが割り当てられている。主制御装置40・ゲート制御装置30との間の送受信信号にはアドレスが付けられており、主制御装置40からどのゲート制御装置30への指令信号か、どのゲート制御装置30から主制御装置40への信号であるか、が判別できるようになっている。アドレスの割当は、例えば、各ゲート制御装置30で、半導体素子が搭載された回路基板上にロータリースイッチを付け、その設定で各ロック用ポール33にアドレスを割り当るようにして、チェーンの他端31bが差し込まれた又は抜かれたという信号を精算機4に送る信号の中にアドレス情報を含めるようにしてもよい。通信ケーブル6は言わば信号をやり取りするための一種の通信路(バス)として機能する。
【0039】
〔洗車場システム1Aの動作〕
図7は、実施形態1に係る洗車場システム1Aの動作を説明するために示すフローチャートである。
点線の枠は、洗車スペース2a~2dの状態又は洗車場ユーザー(使用者、利用者)の動作又は状態を示す。
洗車スペース2aを例にして説明する。
【0040】
最初の状態では洗車スペース2aは空き状態になっており(ステップS1)、ゲート3aのチェーン31は掛けられていない(
図3の洗車スペース2bの状態、又は
図4(a)の右側の状態を参照)。
それを見たユーザーが空き状態の洗車スペース2aに車両9を入庫する(ステップS3)。
【0041】
洗車場システム1Aはチェーンの他端31Bが所定位置にセットされたか判断する(ステップS5)。ユーザーは、入庫後に、チェーンの他端31bをロック用ポール33の所定位置にセットするが、セット検知センサー(セット場所に設置、図示省略)は、セット状態にあるかないかを検知して検知信号を出すように構成されている。例えば、ゲート制御装置30は、検知信号を定期的にチェックし、チェーンの他端31bがロック用ポール33の所定位置にセットされたか否か判別する。ゲート制御装置30から主制御装置40には定期的にセット状態を示す信号が送られる。セットされていない場合(NOの場合)、ゲート制御装置30はセットされるまでチェックを繰り返す。
【0042】
他端31bがセットされると(YESの場合)、主制御装置40はゲート制御装置30にゲート3a~3dをロック状態に駆動する指令信号を出し、ゲート制御装置30はゲート3a~3dをロック状態に駆動する(チェーンの他端31bをロックする)。それと共に、主制御装置40はゲート制御装置30に、分岐電力ケーブル52の分岐スイッチ56を閉じる指令信号を出す。ゲート制御装置30によって分岐スイッチ56が閉じられると、洗車用設備8へ電力が供給されて使用可能(利用可能)になる(ステップS7)。
この状態でゲート3a~3dは閉鎖されて閉鎖状態になり、ユーザーは洗車用設備8を使用して洗車することが可能となる(ステップS9)。
【0043】
その際、嵌合用凹凸部Mが被嵌合用凹凸部Wにセットされると、セット後のロック指令に基づきゲート3a~3dをロックする、又はセット前のロック指令に基づきゲート3a~3dをロックする、ように構成してもよい。
例えば、嵌合用凹凸部Mが被嵌合用凹凸部Wにセットされると、センサー(図示省略)からセット状態を示す信号が出て、ゲート制御装置30が当該信号を主制御装置40に送ると、主制御装置40からゲート制御装置30にロック指令が出てロックする。又は、セットされたら即時に(直ちに)ロックするとのロック指令が、主制御装置40からゲート制御装置30に出ており、セットされたら当該ロック指令に基づきゲート制御装置30が即時にロックする。
【0044】
次に、洗車場システム1Aがユーザーによる料金支払いがされたか判断するステップS11に移行する。つまり、ユーザーは、洗車を終了して洗車スペース2a~2dから出る場合、まず、精算機4で精算するが、主制御装置40は料金の支払いがおこなわれたか否かを定期的にチェックしている。料金の支払いがおこなわれていない場合(NOの場合)、定期的チェックを繰り返す。
【0045】
料金の支払いがされると(YESの場合)、ロック状態が解除され、洗車用設備の使用ができなくなる(ステップS13)。つまり、主制御装置40はゲート制御装置30にゲート3a~3dをロック状態に駆動する指令信号を出し、ゲート制御装置30はゲート3a~3dのロック状態を解除する指令を出す(チェーンの他端31bをロック解除する)。それと共に、主制御装置40はゲート制御装置30に、分岐電力ケーブル52の分岐スイッチ56を開く指令信号を出す。ゲート制御装置30の制御によって分岐スイッチ56が開かれると、洗車用設備8への電力供給が遮断され洗車用設備8の使用が不可能になる。
ユーザーが洗車スペース2a~2dから車両9を出庫させると、空き状態となり、ステップS1に戻る。
【0046】
〔洗車場システム1Aの他の動作〕
実施形態1に係る洗車場システム1Aの他の動作を説明するために示すフローチャートである。基本的には
図7のフローチャートと同様である。
図7と異なるステップを主に説明し、同じステップについては説明を極力省略する。又、主制御装置40、ゲート制御装置30等の動作や、それらの間の送受信信号等は、
図7と同様であり、極力、説明を省略する。
【0047】
図8のステップS1、ステップS3は、
図7と同様である。
図8のチェーンの他端31bが差し込まれたか否かを判定するステップS5は、
図7のステップS5に対応する。
図8のフローでは、
図7の所定位置にセットされたか否かを、(所定位置に)差し込まれたか否かで判定する。
【0048】
図8のチェーンロックステップS71、(分岐)電力ケーブルのリレースイッチONステップS72、洗車用設備8への給電開始ステップS73は、
図7のステップS7に対応する。
図8のフローでは、
図7のステップS7をステップS71、S72、S73に分け、
図8のフロー順序でおこなう。つまり、チェーン31(の他端31b)をロックしたステップS71の後に、(分岐)電力ケーブルのリレーSWをONにし(ステップS72)、(分岐)電力ケーブルの分岐スイッチ56を閉じる(分岐スイッチ56はリレースイッチを使用)。すると、洗車用設備8への給電が開始される(ステップS73)。
【0049】
図8のステップS9、ステップS11は、
図7と同様である。
図8の(分岐)電力ケーブルのリレーSWをOFFするステップS131、洗車用設備8への給電停止ステップS132、チェーン31のロック解除ステップS133は、
図7のステップS13に対応する。
図8のフローでは、
図7のステップS7をステップS131、S132、S133に分け、
図8の順序でおこなう。つまり、
図8のフローでは、(分岐)電力ケーブルのリレースイッチをOFFにする(ステップS131、これは分岐スイッチ56を開くことでおこなう)。そして、洗車用設備8への給電を停止する(ステップS132)。ステップS131の後で、チェーン31(の他端31b)をロック解除する(ステップS133)。
【0050】
次に、洗車場システム1Aが出庫待機時間以内であるか否かを判断するステップS15に移行する。このステップS15について説明すると、主制御装置40は、チェーンロック解除後の時間経過を計時している。チェーンロック解除後、車両9が洗車スペース2a~2dから出車するまでの時間は予め設定されている。ここで、出庫待機時間とは、例えば、ロック解除後、出庫するまでの許容待機時間である。洗車場10の運営者が任意に定める時間である。この時間情報は、例えば、主制御装置40の記憶装置に格納される。
【0051】
出庫待機時間以内でない場合(NOの場合、換言すると出庫許容時間を超過した場合)、ステップS71に戻る。主制御装置40がゲート制御装置30にチェーンロック指令を出すことにより、ロック解除ステップS133で一旦解除された状態が再びロック状態に移行する。
なお、再びロック状態に移行する前に、主制御装置40が、精算機4に又は精算機4とは別に設けられた警告灯、表示装置又はスピーカー(図示省略)等で、出庫しないと再びロックされる旨の警告をするようにしてもよい。
【0052】
出庫待機時間以内である場合(YESの場合)、ステップS17に移行する。このステップでは、主制御装置40は、ゲート制御装置30からのチェーン状態を報告する信号で、チェーンの他端31bが抜かれたか否かを判定する。抜かれていない場合(NOの場合)、ステップS15に戻る。
主制御装置40が、チェーンの他端31bが抜かれていると判断すると(YESの場合)、車両9が洗車スペース2a~2dから出庫したと判断し、ステップS1に戻る。
【0053】
〔洗車場10の利用例〕
洗車場10の利用例の1つを説明する。
(ア)ユーザーが車両9を空き洗車スペース2a~2dに停車させる。(イ)ユーザーがロック用ポール33にチェーンを差し込む。すると、チェーン31がロックされ、洗車場内にある全ての洗車用設備8が使用可能となる。(ウ)ユーザーが洗車作業をする(洗い、拭き上げ、ワックスがけ等全て)。(エ)ユーザーが精算機4で滞在時間分の料金を支払う(30分1000円等)。すると、チェーン31のロックが解除される。(オ)ユーザーがロック用ポール33からチェーンを抜く。(カ)ユーザーが洗車スペース2a~2dから車両9を出庫させる。
【0054】
〔実施形態1の効果〕
係る洗車場システム1Aによれば、ロック手段として、チェーン31と、チェーンの一端31aが繋げられたチェーン付ポール32と、チェーンの他端31bをロック可能なロック用ポール33と、を備えるゲート3a~3dを用いるため、特許文献1のロック装置のように、当該ロック装置が起立しているときにつまずいたり、起立していないときでもロック装置(ロックユニット)が地面にあることでつまずくという安全性についてのリスクの低減が可能となる。又、通常、チェーン31は車両9と離れた所にあるため、車両9の下のロック板起立時に車両9を傷つけるような車両9を損傷するリスクの低減も可能となる。又、チェーン31等で構成されるゲート3a~3dはロック板等に比べて設置が容易である。
そのため、ロック時の安全性リスク低減、車両損傷リスク低減、又はロック手段の設置容易性向上の少なくとも1つを達成可能な洗車場システム1Aを提供することが可能となる。又、洗車スペース内に車両があることを検知する車両検知装置(センサー)は必ずしも必要ではないため、洗車場システムを一層シンプルに構成することも可能となる。
又、利用者が手動でチェーンを取り扱うことで、退出(出庫)可能な状態であるかどうかを利用者が自覚できるため、ロック解除し忘れによる接触事故のリスクも低減可能である。
【0055】
なお、上記の利用例のような洗車場システム1Aにすると、例えば、高圧洗浄機、フロアマットの洗浄機等を使用する場合、ユーザーにとっては、洗車用設備8毎に設けられた料金支払用機器への支払いが不要となり便利である。
【0056】
又、洗車場10の運営者にとっては、洗車用設備8毎に設けられた料金支払用機器(各洗車用設備)を回って集金を行うことが不要となり、集金作業効率が向上する。洗車用設備8毎の料金支払い機能が不要となるため、そのような特殊機能がない汎用的な(一般的な)洗車用設備8を設置することが可能になり、洗車用設備8の設置が容易になる。投資費用の低減も可能となる。洗車用設備8毎の利用時間ではなく、洗車スペース2a~2dの利用時間に応じて課金するようにすると、精算処理も容易になる。このようなことから、収益性の向上も期待できる。
【0057】
なお、駐車場の出入口に1つのゲート機を設け、洗車場10に入出する車両9を管理するような所謂ゲート式駐車場は、大掛かりなシステムが必要であり、それに見合う広い駐車用の土地や駐車用建物が必要であるが、広い土地等が確保できない場所で、少ない数の車両用の洗車場10をつくる場合に特にメリットがある。
【0058】
更に、複数の洗車用設備8を利用した場合であっても、精算機4で集中的に精算処理するため、領収書の発行が容易である。洗車用設備毎に料金支払い機能がある場合、領収書発行機能までは備わっていない場合が多いが、精算機4で集中的に精算処理すると領収書発行が容易であることから、業務利用の増加も期待できる。クーポン発行も容易であり、それによる利用促進も期待できる。
【0059】
又、チェーンの他端31bに嵌合用凹凸部M、ロック用ポール33の所定位置に被嵌合用凹凸部Wが形成され、嵌合用凹凸部Mが被嵌合用凹凸にセットされるとゲート3a~3dをロックする、ように構成されていると、一層適切にロックすることが可能となる。
【0060】
又、嵌合用凹凸部Mが被嵌合用凹凸部Wにセットされると、ロック指令に基づきゲート3a~3dをロックする、ように構成されていると、より一層適切(的確)にロックすることが可能となる。その際、セット後にロック指令が出るようにすると、セットされたことを判断した後でロック指令を出すため、誤ったロック指令が出ることを一層抑制することが可能となる。一方、セットされたらロックするようにセット前に出されているロック指令に基づきセットするように構成されていると、一層迅速にロックすることが可能となる。
【0061】
又、複数の洗車スペース2a~2dとして、隣接して配置された複数の洗車スペース2a~2dを備え、隣接するゲートを、チェーン付ポール32同士又はロック用ポール33同士が隣り合うように配置し、チェーン31の長さが、同じゲートのチェーン付ポール32からロック用ポール33までの距離L1以上で、当該チェーン付ポール32から隣接するゲートのロック用ポール33までの距離(L2又はL3のうち短い方)より短くなる、ように構成されていると、例えば、洗車場システム1Aを同様な構造のゲート3a~3d(ロック用ポール33、チェーン31等が同じ)で構成しながら、隣接するゲートのロック用ポール33にチェーン31が誤ってセット(ロック)されるリスクを回避することが可能となる。
【0062】
又、チェーンの他端31bのロック用ポール33の所定位置へのセットが、他端31bに設けられた嵌合用凹凸部Mと、当該嵌合用凹凸部Mに対応してロック用ポール33に設けられた被嵌合用凹凸部Wの嵌合、によっておこなわれるように構成されていると、所定位置へのセットを適切(的確)又は容易におこなうことが可能となる。
【0063】
又、電源(外部電源)に接続される主電力ケーブル51と主電力ケーブル51から分岐して洗車用設備8に電力を供給する分岐電力ケーブル52とを有する電力ケーブル5と、洗車場システム1Aの全体を制御する主制御装置40に接続されゲート3a~3dの制御信号が送られる通信ケーブル6と、を更に備え、主電力ケーブル51及び通信ケーブル6は、ロック用ポール33を介して数珠繋ぎに配線される、ように構成されていると、各洗車スペース2a~2dへの電力供給や各ゲート3a~3dを制御するための主要要素である電力ケーブル5、通信ケーブル6等をロック用ポール33に集めることができるため、ゲートのメンテナンスが容易である。電力ケーブル5や通信ケーブル6の長さを短くすることで、洗車場システム1Aを簡略化したり、施工をしやすくすることも可能となる。
【0064】
なお、主電力ケーブル51及び通信ケーブル6が、ロック用ポール33を介して数珠繋ぎに配線される、ように構成されていると、洗車場10での施工が容易である。洗車スペース2a~2dの幅(又は車庫2yの幅、又は車庫2yと車庫2yとの距離)、つまりロック用ポール33同士の距離は、概ね一定になるため、工事現場(洗車場10)で配線(接続)するためのケーブル(電力ケーブル5又は通信ケーブル6)を洗車スペース2a~2d毎(又は車庫2y毎)に作る手間がなくなり、工場出荷品(電力ケーブル5や通信ケーブル6、場合によっては、更にゲート制御装置30や又は分岐スイッチ56を内蔵したロック用ポール33も付いたもの)を現場で設置するだけで大部分の施工済ませることも可能である。
【0065】
又、洗車場システム1Aが、洗車用設備8に加えて、洗車用設備と同じように使用することが可能な充電設備を更に備えると、電気自動車の場合、洗車の他に車両9の充電もすることも可能となり、利便性を向上させることが可能となる。
【0066】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る洗車場システム1Bは、基本的には、実施形態1に係る洗車場システム1Bと同様であるが、ゲート3a~3dの構成等が異なる。
つまり、実施形態2に係る洗車場システム1Bは、複数の洗車スペース2a~2dとして、隣接して配置された複数の洗車スペース2a~2dを備え、隣接するゲートは、チェーン付ポール32とロック用ポール33が隣り合うように配置され、チェーンの他端31bは、同じゲートのロック用ポール33にはセットできるが、隣接するゲートのロック用ポール33にはセットできない、ように構成されている。
【0067】
図9は、実施形態2に係る洗車場システム1Bを説明するために示す図である。
図9(a)は、ゲート3a~3dの設置状態を示す図である。図示されるように、ゲート3a~3dは互いに隣接配置されている。
図9(b)及び
図9(c)は、各々、ゲート3aとゲート3cの、及びゲート3bとゲート3dの、チェーンの他端31b(嵌合用凹凸部M)と、当該他端31bが差し込まれるロック用ポール33の差込口(被嵌合用凹凸部W)の形状の組み合わさり方の例を示す図である。
【0068】
ゲート3a、3cでは、
図9(b)に示すように、チェーンの他端31bに凸部(嵌合用凹凸部M)が設けられ、ロック用ポール33の差込口には当該形状に対応して端部に凹部(被嵌合用凹凸部W)が設けられている。
一方、ゲート3b、3dでは、
図9(c)に示すように、それらが中央部に設けられている。
従って、ゲート3a~3dのチェーンの他端31b(嵌合用凹凸部M)は、当該ゲートのロック用ポール33の差込口(被嵌合用凹凸部W)に嵌合してセットできるが、隣接するゲートのロック用ポール33の差込口(被嵌合用凹凸部W)には嵌合せず、セットすることができない。
【0069】
なお、この場合、チェーン31の長さは、同じゲートのチェーン付ポール32からロック用ポール33までの距離以上の長さにすることが好ましい。又、当該チェーン付ポール32から、当該ゲートが隣接するゲートに更に隣接するゲートの、ロック用ポール33までの距離より短くすることが好ましい(例えば、ゲート3bのチェーン付ポール32からからゲート3dのロック用ポール33までの距離より短くする)。大雑把にいうと、洗車スペースの幅(例えば、洗車スペース2cの幅)より短くすることが好ましい。
【0070】
実施形態2に係る洗車場システム1Bによれば、隣接する複数のゲート3a~3dのどのゲートについても、チェーン付ポール32とロック用ポール33の配置を、同じ方向にできるため、ユーザーが利用しやすい。又、施工も容易である。
【0071】
なお、チェーン付ポール32とロック用ポール33の配置を、隣接するゲート3a~3d間で異なる方向にしてもよい(隣接するゲートで、チェーン付ポール32同士又はロック用ポール33同士が隣り合うように配置する)。
その場合、例えば、
図3に示すような配置になる。チェーン31の長さは、同じゲートのチェーン付ポール32からロック用ポール33までの距離以上の長さにすることが好ましい。又、当該チェーン付ポール32から、当該ゲートが隣接するゲートに更に隣接するゲートの、ロック用ポール33までの距離(最短距離)より短くする(
図3で、ゲート3dのチェーン付ポール32からからゲート3bのロック用ポール33までの距離より短くする)。大雑把にいうと、洗車スペースの幅(例えば、洗車スペース2cの幅)より短くすることが好ましい。
【0072】
〔実施形態3〕
実施形態3に係る洗車場システム1Cは、基本的には、実施形態1に係る洗車場システム1Aと同様であるが、洗車して料金支払後も車両9が出庫しない場合に警告する点が異なる。
つまり、実施形態3に係る洗車場システム1Cは、更に車両検知装置を備え、料金の支払いがおこなわれてゲート3a~3dのロック状態が解除された後、所定時間経過後も当該洗車スペース2a~2d内に車両9があることが車両検知装置によって検知されると警告を出すように構成されている。
【0073】
図10は、実施形態3に係る洗車場システム1Cの動作を説明するために示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、基本的には
図8のフローチャートと同様であるが一部異なる。極力、
図8と異なるステップを中心に説明し、
図8のステップと同じステップについては説明を省略する。なお、主制御装置40、ゲート制御装置30、それらの間の送受信信号、指令等は、
図8(又は
図7)のフローチャートでの説明と同様であり、説明を省略する。
【0074】
実施形態3に係る洗車場システム1Cでは、各洗車スペース2a~2dに各々車両検知装置(図示省略)があり、車両有無を検知する(ステップS21)。車両9が検知されないとき(NOの場合)は車両検知動作を繰り返す。ゲート制御装置30は車両検知装置から車両有無の検知信号を受け取り、定期的に主制御装置40に車両有無状態を知らせる。
車両が検知されると(YESの場合)、主制御装置40は時間に応じた課金計算を開始する(ステップS22)。
次にチェーンの他端差込有無の判断ステップS5に移行する。
【0075】
ステップS71、S72、S73、S9、S11、S131、S132、S133、S15、S17は、
図8と同様である。
チェーンの他端31bが抜かれたか否かの判断ステップS17で、抜かれたと判断すると(YESの場合)、車両検知無か否かを判断するステップS191に移行する。
ステップ191で車両検知無と判断されると(YESの場合)、ステップS21に戻る。
車両検知有と判断されると(NOの場合)、出庫待機時間を経過したか否かを判断するステップS193に移行する。出庫待機時間を経過していないと判断されると(NOの場合)、ステップS191に戻る。
【0076】
出庫待機時間を経過していると判断されると(YESの場合)、警告ステップS193に移行する。
出庫待機時間を経過している場合、不正滞在と判断して警告を出すようにしている。警告は、例えば、精算機4に又は精算機4とは別に設けられた警告灯、表示装置又はスピーカー(図示省略)等でおこなう。例えば、警告灯を点灯する。又は、「出庫待機時間が超過した」、「チェーンの他端31bが差し込まれていない場合は速やかに出車して下さい」、「差し込まれている場合はチェーンをロックする」旨の表示、音声アナウンス等でもよい。
【0077】
次にチェーンの他端31bが差し込まれたか否かを判断する(ステップS194)。
チェーンの他端31bが差し込まれたと判断されると(YESの場合)、警告を解除する(ステップS195)。そして、ステップS71に戻る。
ステップS194において差し込まれていないと判断されると(NOの場合)、車両検知有か判断する(ステップS197)。YESの場合、つまり車両検知有と判断されると、ステップS194に戻る。NOの場合、つまり車両検知有でない(無し)と判断されると、警告が解除され(ステップS198)、ステップS21に戻る。
【0078】
〔車両検知装置〕
車両検知装置は、例えば、監視カメラ、洗車パーキングに埋設されたループコイル、ロック用ポール33に設置されたエリアセンサー、レーダーセンサー、超音波センサー等で構成する。磁気センサーを内蔵したポール一体型センサーを用いてもよい(例えばロック用ポール33に内蔵)。
【0079】
実施形態3に係る洗車場システム1Cによれば、車両9が洗車終了後、出庫待機時間を経過しても洗車スペース2a~2dにいる場合、警告して退場するよう促すことが可能となる。
【0080】
〔変形例〕
上記実施形態1~3の「チェーン31」は、必ずしも全てがチェーンで構成されているものだけでなく、一部がチェーンで構成されているものも含むが、その全部又は一部が紐であってもよい。つまり、「チェーン31」は、それらを含む「紐状部材」であってもよい。
同様に、「チェーン付ポール32」は、例えば、チェーン31を直付けした車庫(洗車場毎に設けられている車庫)の壁のようなものであってもよい。つまり、「チェーン付ポール32」は、それらを含む、紐状部材の一端が繋げられた「紐状部材据付具」であってもよい。
同様に、「ロック用ポール33」は、例えば、チェーン31の他端をロック可能な車庫2y(洗車場毎に設けられている車庫)の壁のようなものであってもよい。つまり、「ロック用ポール33」は、それらを含む、紐状部材の他端をロック可能な「ロック用具」であってもよい。
【0081】
係る洗車場システムは、次のような洗車場システムである(
図1参照)。
つまり、当該洗車場システムは、洗車場10内に複数の個別の洗車スペース2a~2dが配置され、洗車スペース2a~2d毎に、洗車スペース2a~2dからの車両9の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備8とを少なくとも備える洗車場システム1Aであって、ロック手段として、紐状部材(チェーン31)と、紐状部材の一端(チェーンの一端31a。一方の端部。他端31bと逆側端)が繋げられた紐状部材据付具(チェーン付ポール32)と、紐状部材の他端(チェーンの他端31b)をロック可能なロック用具(ロック用ポール33。ロックポール)と、を有するゲート3a~3dを備え、紐状部材の他端(チェーンの他端31b)がロック用具(ロック用ポール33)の所定位置にセットされると、ゲート3a~3dがロック状態に駆動されると共に洗車用設備8が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、ゲート3a~3dのロック状態が解除されるように構成されている。
【0082】
このような洗車場システムは、実施形態1~3及び後述の変形例(1)~(3)において、「チェーン31」を「紐状部材」に、「チェーン付ポール32」を「紐状部材据付具」に、「ロック用ポール33」を「ロック用具」代えることで、それらの実施形態及び後述の変形例の構成がそのまま適用でき、同様な作用効果を奏する。
【0083】
なお、上記実施形態や変形例において、「チェーン31」と「チェーン付ポール32」と「ロック用ポール33」の3つ全てを上記語に代えてもよいが、「チェーン31」と「チェーン付ポール32」、「チェーン付ポール32」と「ロック用ポール33」、又は「チェーン31」と「ロック用ポール33」の2つを上記語に代えてもよい。あるいは、「チェーン31」、「チェーン付ポール32」又は「ロック用ポール33」の1つを上記語に代えてもよい。
【0084】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能である。例えば、下記に示すような変形も可能である。
【0085】
(1)実施形態1では、洗車スペースの数を4とした(洗車スペース2a~2d)が、洗車スペースの数は4に限られるものではない。例えば、2、3,5、・・・10、20、30等であってもよい。
【0086】
(2)実施形態1では、洗車場10(又は、洗車スペース2a~2d、又はゲート3a~3d)が道路91に面しているが、必ずしも道路に面している必要はない。例えば、広い駐車場内の一部(道路に面していない場所)にあってもよい。
【0087】
(3)実施形態1では、洗車スペース2a~2d毎に車庫2yを設けたが、必ずしも車庫2yは必要でない。例えば、車庫2yの代わりに塀であってもよい。又は、車庫2y等がなくてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1A、1B、1C…洗車場システム、2a~2d…洗車スペース、2y…車庫、3a~3d…ゲート、30…ゲート制御装置、31…チェーン、31a…チェーンの一端、31b…チェーンの他端、32…チェーン付ポール、33…ロック用ポール、4…精算機、40…主制御装置、41…表示部、42…紙幣投入口、43…硬貨投入口、44…おつり払戻口、45…カード挿入口、46…領収書発行口、5…電力ケーブル、51…主電力ケーブル、52…分岐電力ケーブル、55…主スイッチ、56…分岐スイッチ、6…通信ケーブル、61…主通信ケーブル、62…分岐通信ケーブル、71…プレート、72…ローラー、73…アーム、8…洗車用設備、9…車両、91…道路、10…洗車場、M…嵌合用凹凸部、W…被嵌合用凹凸部、L1…チェーン付ポールから同じゲートのロック用ポールまでの距離、L2,L3…チェーン付ポールから隣接するゲートのロック用ポールまでの距離
【要約】
【課題】ロック時の安全性向上、車両損傷リスク低減、ロック手段の設置容易性向上の少なくとも1つを達成可能な洗車場システム1を提供すること。
【解決手段】洗車場内に複数の個別の洗車スペース2a~2dが配置され、洗車スペース2a~2d毎に、洗車スペース2a~2dからの車両の退出を阻止するロック手段と、洗車用設備8とを少なくとも備える洗車場システム1であって、ロック手段として、チェーン31と、チェーンの一端31aが繋げられたチェーン付ポール32と、チェーンの他端31bをロック可能なロック用ポール33と、を有するゲート3a~3dを備え、チェーンの他端31bがロック用ポール33の所定位置にセットされると、ゲート3a~3dがロック状態に駆動されると共に洗車用設備8が使用可能状態とされ、料金の支払いがおこなわれると、ゲート3a~3dのロック状態が解除されるように構成されている。
【選択図】
図1