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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】クリップアプライヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B17/128
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022519524
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020052746
(87)【国際公開番号】W WO2021062170
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】62/906,585
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TELEFLEX MEDICAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】カストロ サルバトーレ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-163574(JP,A)
【文献】国際公開第2015/099067(WO,A1)
【文献】特開2011-036675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0149063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/10
A61B 17/128
A61B 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤであって、
第1の顎部材及び第2の顎部材であって、該第1の顎部材が開放構成と閉鎖構成間でピボット回転するように構成された前記第1の顎部材及び第2の顎部材と、
前記第1の顎部材を前記開放構成に付勢するように構成された板バネと、
細長スロットを備えた管状部材であって、前記板バネの前記付勢に対抗して前記第1の顎部材を閉鎖構成にカム留めするために該第1の顎部材の上を前進するように構成された前記管状部材と、
前記管状部材に配置され且つピンを備えたコネクタと、を備え、
前記ピンは、前記管状部材が前記第1の顎部材の上を前進する時に前記細長スロットを通って進行し、
前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の各々は、近位部材を有し、前記近位部材は、前記管状部材の内側に適合して閉鎖構成にカム留めされるように構成されていることを特徴とするクリップアプライヤ。
【請求項2】
前記第2の顎部材を開放構成に付勢するように構成された第2の板バネを更に備え、
前記第2の顎部材は、前記開放構成と閉鎖構成間でピボット回転するように構成され、前記管状部材は、前記第2の板バネの前記付勢に対抗して該第2の顎部材を該閉鎖構成にカム留めするために該第2の顎部材の前記近位部材上を前進するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項3】
前記板バネは、前記第1の顎部材を前記開放構成に付勢するために該第1の顎部材の近位部分と重なり合い、前記第2の板バネは、前記第2の顎部材を該開放構成に付勢するために該第2の顎部材の近位部分と重なり合うことを特徴とする請求項2に記載のクリップアプライヤ。
【請求項4】
前記第1及び第2の顎部材のうちの各々の前記近位部分は、前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材が開放構成及び閉鎖構成の両構成にあるとき、クリップアプライヤの長手軸線に対して傾斜した近位延長部を含むことを特徴とする請求項3に記載のクリップアプライヤ。
【請求項5】
記第1及び第2の顎部材の各々の前記近位部材の一方は、前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材が開放構成及び閉鎖構成の両構成にあるとき、前記クリップアプライヤの長手軸線に対して傾斜した近位延長部を含むことを特徴とする請求項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項6】
前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の各々が、近位部分と遠位部分を有し、該近位部分は、該遠位部分よりも短い幅を有し、かつ前記管状部材に受け入れられるように構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項7】
前記板バネ及び前記第2の板バネは、前記コネクタの両横側に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載クリップアプライヤ。
【請求項8】
前記板バネの近位部分及び第2の板バネの近位部分が前記コネクタに固着されることを特徴とする請求項2に記載のクリップアプライヤ。
【請求項9】
前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材のうちの少なくとも一方が、前記コネクタとピボット可能に結合されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項10】
前記第1の顎部材は、第1のピボットピンにおいて前記コネクタとピボット可能に結合され、前記第2の顎部材は、第2のピボットピンにおいて該コネクタとピボット可能に結合されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項11】
前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材のうちの少なくとも一方の近位部分が、前記コネクタの遠位部分を跨ぐことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項12】
前記管状部材は、遠位部分と近位部分を備え、該遠位部分は、該近位部分よりも大きい直径を有し、該遠位部分は、前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の前記近位部材を前記閉鎖構成にカム留めするように構成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項13】
前記コネクタの前記ピンは、前記管状部材を受け入れるシャフトに固着されることを特徴とする請求項1に記載のクリップアプライヤ。
【請求項14】
シャフトと、
前記シャフトの近位端上のハンドルアセンブリと、
前記シャフトを通って延びて前記ハンドルアセンブリによって作動されるアクチュエータと、
を更に備え、
前記アクチュエータは、前記シャフトを通って前進して前記管状部材を前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の上で前進させるように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のクリップアプライヤ。
【請求項15】
手術クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤであって、
開放構成と閉鎖構成間でピボット回転するように各々が構成された第1の顎部材及び第2の顎部材と、
前記第1の顎部材の近位部分と重なり合い、かつ該第1の顎部材を前記開放構成に付勢するように構成された第1の板バネと、
前記第2の顎部材の近位部分と重なり合い、かつ該第2の顎部材を前記開放構成に付勢するように構成された第2の板バネと、
細長スロットを備えた管状部材であって、前記第1の板バネ及び前記第2の板バネの前記付勢に対抗して前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材を前記閉鎖構成にカム留めするために該第1の顎部材及び該第2の顎部材の上を前進するように構成された前記管状部材と、
前記管状部材に配置され且つピンを備えたコネクタであって、前記第1の板バネ及び前記第2の板バネが該コネクタの両横側に配置される前記コネクタと、
シャフトと、
前記シャフトを通って延びるアクチュエータであって、該シャフトを通って前進して前記管状部材を前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の上で前進させるように構成された前記アクチュエータと、を備え、
前記ピンは、前記管状部材が前進する時に前記細長スロットを通って進行し、前記ピンは、前記管状部材を受け入れる前記シャフトに固着され
前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の各々は、近位部材を有し、前記近位部材は、前記管状部材の内側に適合して閉鎖構成にカム留めされるように構成されていることを特徴とするクリップアプライヤ。
【請求項16】
前記第1の顎部材は、第1のピボットピンにおいて前記コネクタとピボット可能に結合され、前記第2の顎部材は、第2のピボットピンにおいて該コネクタとピボット可能に結合されることを特徴とする請求項15に記載のクリップアプライヤ。
【請求項17】
前記管状部材は、遠位部分と近位部分を備え、該遠位部分は、該近位部分よりも大きい直径を有し、該遠位部分は、前記第1の顎部材及び第2の顎部材の前記近位部材を前記閉鎖構成にカム留めするように構成されることを特徴とする請求項15又は16に記載クリップアプライヤ。
【請求項18】
シャフトと、
前記シャフトの近位端上のハンドルアセンブリと、
前記シャフトを通って延びて前記ハンドルアセンブリによって作動されるアクチュエータと、
を更に備え、
前記アクチュエータは、前記シャフトを通って前進して前記管状部材を前記第1の顎部材及び前記第2の顎部材の上で前進させるように構成される、
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載クリップアプライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権〕
本出願は、引用によって本明細書にその開示が全体的に組み込まれている米国仮特許出願第62/906,585号(2019年9月26日出願)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、一般的にクリップアプライヤに関連し、より具体的には、改良型作動機構及び/又は手術クリップを安定化するように構成された安定化部材を有するクリップアプライヤに関する。
【背景技術】
【0003】
組織(例えば、血管、リンパ節、神経、卵管、及び心臓組織)の結紮は、多くの外科手技にわたって一般的な仕事である。これは、手術クリップを用いて血管を閉じることによって又は手術糸を用いて血管を縫合することによって実行することができる。手術糸の使用は、血管を固定するのに必要な結び目を形成するのに針及び手術糸の複合操作を必要とする。そのような複合操作は、時間を消費し、特に、限られた空間及び/又は可視性によって特徴付けられる内視鏡手技では実行するのが困難である。これとは対照的に、手術クリップは、適用するのが比較的迅速かつ容易である。従って、内視鏡及び開腹手技での手術クリップの使用は、飛躍的に拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,880,699号明細書
【文献】米国特許第4,834,096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、クリップアプライヤ内の手術クリップの安定性及び/又は作動の容易性のようなクリップアプライヤの1又は2以上の特徴を改良する必要性が存在することを認識している。手術クリップは、多くの場合に、1対の対向する顎部を有するクリップアプライヤによって適用される。現在利用可能なクリップアプライヤは、多くの場合に、2つの接触点を用いてクリップを固定し、例えば、対向する顎部は、手術クリップの遠位端上のボスに係合することができる。しかし、2つの接触点は、十分な安定性を手術クリップに提供せず、これは、手術クリップが外科手技中にクリップアプライヤに対して不整合になること又は抜け落ちることさえも引き起こす場合がある。更に、既存のクリップアプライヤは、多くの場合に、十分な閉鎖力及び/又は顎部の確実な開放を提供しない。開示する方法及びシステムは、上記に列挙した問題及び/又は従来技術の他の問題のうちの1又は2以上を軽減又は克服することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、手術クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤに向けられる。クリップアプライヤは、第1の顎部材及び第2の顎部材を含むことができる。第1の顎部材は、第1の内面と第1の内面から延びる第1の安定化部材とを含むことができ、かつ手術クリップの第1の脚部材の遠位部分に係合するように構成することができる。第2の顎部材は、第2の内面と第1の内面から延びる第2の安定化部材とを含むことができる。第2の顎部材は、手術クリップの第2の脚部材の遠位部分に係合するように構成することができる。第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、手術クリップの横移動を低減するために手術クリップの近位部分の両横側に位置決めされるように構成することができる。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の脚部材及び第2の脚部材を有する手術クリップとクリップアプライヤとを含むアセンブリに向けられる。クリップアプライヤは、第1の顎部材及び第2の顎部材を含むことができる。第1の顎部材は、第1の内面と第1の内面から延びる第1の安定化部材とを含むことができ、かつ手術クリップの第1の脚部材の遠位部分に係合するように構成することができる。第2の顎部材は、第2の内面と第1の内面から延びる第2の安定化部材とを含むことができる。第2の顎部材は、手術クリップの第2の脚部材の遠位部分に係合するように構成することができる。第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、手術クリップの横移動を低減するために手術クリップの近位部分の両横側に位置決めされるように構成することができる。
【0008】
一部の実施形態では、第1の安定化部材の内側部分は、開放構成で第2の顎部材から離間し、第2の安定化部材の内側部分は、開放構成で第1の顎部材から離間する。一部の実施形態では、第1の顎部材は、第1の内面に第1のチャネルを有し、第2の顎部材は、第2の内面に第2のチャネルを有し、第1のチャネルは、開放構成で第2の安定化部材を受け入れず、第1のチャネルは、閉鎖構成で第2の安定化部材を受け入れ、第2のチャネルは、開放構成で第1の安定化部材を受け入れず、第2のチャネルは、閉鎖構成で第1の安定化部材を受け入れる。一部の実施形態では、第1のチャネルは、第2の安定化部材を受け入れるように構成された拡幅近位部分を有し、第2のチャネルは、第1の安定化部材を受け入れるように構成された拡幅近位部分を有する。一部の実施形態では、第1の安定化部材は、第1の内面に沿って長手方向に延びる第1の壁を含み、第2の安定化部材は、第2の内面に沿って長手方向に延びる第2の壁を含み、第1の壁及び第2の壁は、クリップアプライヤの長手軸線の両横側に配置される。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材の各々は、少なくとも1つの実質的に平坦な外側面を有する。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、開放構成及び閉鎖構成で実質的に平行に延びる。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、閉鎖構成で横方向に重なり合う。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、開放構成で横方向に重なり合わない。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材の各々は、開放構成で遠位に延びる頂点を定める内側部分を有する。一部の実施形態では、第1の内面は、手術クリップの第1の脚部材上の第1のボスを受け入れるように構成された遠位部分上の少なくとも1つの第1の凹部を有し、第2の内面は、手術クリップの第2の脚部材上の第2のボスを受け入れるように構成された遠位部分上の少なくとも1つの第2の凹部を有する。一部の実施形態では、第1の安定化部材は、第1の顎部材と一体であり、第2の安定化部材は、第2の顎部材と一体である。一部の実施形態では、第1の安定化部材及び第2の安定化部材は、開放構成で手術クリップの近位端と近接して接触しないように構成される。
【0009】
本発明の第3の態様は、手術クリップを適用するように構成されたクリップアプライヤに向けられる。クリップアプライヤは、第1の顎部材及び第2の顎部材を含むことができ、第1の顎部材は、開放構成と閉鎖構成の間でピボット回転するように構成される。クリップアプライヤはまた、第1の顎部材を開放構成に付勢するように構成された板バネと、第1の顎部材の上を前進して第1の顎部材を板バネの付勢に対抗して閉鎖構成にカム留めするように構成された管状部材とを含むことができる。
【0010】
一部の実施形態では、クリップアプライヤは、第2の顎部材を開放構成に付勢するように構成された第2の板バネを有し、第2の顎部材は、開放構成と閉鎖構成の間でピボット回転するように構成され、管状部材は、第2の顎部材の上を前進して第2の顎部材を第2の板バネの付勢に対抗して閉鎖構成にカム留めするように構成される。一部の実施形態では、板バネは、第1の顎部材を開放構成に付勢するために第1の顎部材の近位部分と重なり合い、第2の板バネは、第2の顎部材を開放構成に付勢するために第2の顎部材の近位部分と重なり合う。一部の実施形態では、第1及び第2の顎部材のうちの各々の近位部分は、クリップアプライヤの長手軸線に対して傾斜した近位延長部を含む。一部の実施形態では、近位延長部は、それぞれの第1及び第2の顎部材の一方の横側のみから延びる。一部の実施形態では、第1の顎部材及び第2の顎部材の各々は、近位部分及び遠位部分を有し、近位部分は、遠位部分よりも小さい幅を有し、かつ管状部材に受け入れられるように構成される。一部の実施形態では、クリップアプライヤは、管状部材に配置されたコネクタを有し、板バネ及び第2の板バネは、コネクタの両横側に配置される。一部の実施形態では、板バネの近位部分及び第2の板バネの近位部分は、コネクタに固着される。一部の実施形態では、第1の顎部材及び第2の顎部材のうちの少なくとも一方は、コネクタとピボット可能に結合される。一部の実施形態では、第1の顎部材は、第1のピボットピンでコネクタとピボット可能に結合され、第2の顎部材は、第2のピボットピンでコネクタとピボット可能に結合される。一部の実施形態では、第1の顎部材及び第2の顎部材のうちの少なくとも一方の近位部分は、コネクタの遠位部分を跨いでいる。一部の実施形態では、管状部材は、遠位部分及び近位部分を含み、遠位部分は、近位部分よりも大きい直径を有し、遠位部分は、第1の顎部材及び第2の顎部材を閉鎖構成にカム留めするように構成される。一部の実施形態では、コネクタは、ピンを有し、管状部材は、細長スロットを有し、ピンは、管状部材が前進する時に細長スロットを通って進行する。一部の実施形態では、コネクタのピンは、管状部材を受け入れるシャフトに固着される。一部の実施形態では、クリップアプライヤは、シャフトと、シャフトの近位端上のハンドルアセンブリと、シャフトを通って延びてハンドルアセンブリによって作動されるアクチュエータとを含み、アクチュエータは、シャフトを通って前進して管状部材を第1の顎部材及び第2の顎部材の上を前進させるように構成される。
【0011】
本発明の開示を容易に理解することができるように、本発明の開示の態様を添付図面に例示的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の開示のクリップアプライヤの例示的実施形態を示す図である。
図2図1のクリップアプライヤの遠位エンドエフェクタの斜視図である。
図3図2の遠位エンドエフェクタの前面図である。
図4】例示的手術クリップが装着された図2図3の遠位エンドエフェクタの側面図である。
図5】例示的手術クリップが装着された図2図4の遠位エンドエフェクタの斜視図である。
図6】開放構成にある図1図5のクリップアプライヤの側面図である。
図7】閉鎖構成にある図1図6のクリップアプライヤの側面図である。
図8】オーバーチューブが除去された閉鎖構成にある図1図7のクリップアプライヤの上面図である。
図9】シャフトが除去された閉鎖構成にある図1図8のクリップアプライヤの側面図である。
【0013】
同じか又は類似の部品を指すために図面及び以下の詳細説明に同じか又は類似の参照番号を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで本発明を類似の参照番号が全体を通して類似の部品を指す図を参照して以下に説明する。従来の慣例により、本明細書に使用する時にかつ本明細書で他に指示しない限り、用語「近位」は、使用されることが意図されるデバイスを取り扱う又は操作するユーザ又は医療関係者に一般的により近いクリップアプライヤ又は構成要素の相対位置決めを指し、用語「遠位」は、使用されることが意図されるデバイスを取り扱う又は操作するユーザ又は医療関係者からより遠いクリップアプライヤ又は構成要素の相対位置決めを指す。用語「垂直」は、両方の顎部材を通って均一に又は同様に構成要素まで延びる平面に平行な又はそれに沿ったクリップアプライヤの相対方向を指す。用語「長手方向」は、クリップアプライヤ又は構成要素の長手軸線又は長さに沿った相対方向を指す。用語「横方向」は、第1及び第2の顎部材間を垂直に又は同様に構成要素まで延びる平面に平行な又はそれに沿った相対方向を指す。
【0015】
図1は、顎アセンブリ102、シャフト104、及びハンドルアセンブリ106を有する例示的クリップアプライヤ100を示している。顎アセンブリ102は、シャフト104の遠位部分においてピボット可能に結合されてオーバーチューブ又は管状部材114の長手移動によって作動可能な第1の顎部材110及び第2の顎部材112を含むことができる。管状部材114の移動は、第1のハンドル部材116及び第2のハンドル部材118の相対運動によって引き起こすことができる。例えば、第1のハンドル部材116は、固定することができ、第2のハンドル部材118は、第1のハンドル部材116に対する第2のハンドル部材118のピボット回転が管状部材114の長手前進を引き起こすことができるようにピボットピンにおいてピボット可能に移動可能とすることができる。管状部材114は、第1及び第2の顎部材110、112を閉鎖構成にカム留めするカム留め面を管状部材114の遠位端に含むことができる。クリップアプライヤ100は、手動クリップアプライヤとすることができ、ユーザ又は医療関係者は、手術クリップ50をクリップカートリッジから顎アセンブリ102に前面装着して手術クリップ50の各々を毎回の装着後に組織に個々に適用する。クリップアプライヤ100を手動装着の更に別の開示は、米国特許第6,880,699号明細書に見出すことができ、その開示全体は、引用によって本明細書に全体的に組み込まれている。
【0016】
図2は、クリップアプライヤ100の顎アセンブリ102の例示的実施形態の第1の斜視図を示し、図3は、顎アセンブリ102の前面図を示している。図4は、手術クリップ50が装着された顎アセンブリ102の側面図を示し、図5は、手術クリップ50が装着された顎アセンブリ102の斜視図を示している。図6は、開放構成にあるクリップアプライヤ100の側面図を示し、図7は、閉鎖構成にあるクリップアプライヤ100の側面図を示している。図8は、明瞭化の目的で管状部材114が除去された閉鎖構成にあるクリップアプライヤ100の上面図を示している。図9は、明瞭化の目的でシャフト104が除去された閉鎖構成にあるクリップアプライヤ100の側面図を示している。
【0017】
図2図3に示すように、第1の顎部材110は、第1の長手チャネル122、遠位部分上の1又は2以上の凹部124、及び近位部分上の安定化部材126を有する第1の内面120を含むことができる。第2の顎部材112は、第2の長手チャネル132、遠位部分上の1又は2以上の凹部134、及び近位部分上の安定化部材136を有する第2の内面130を含むことができる。凹部124、134は、顎部材110、112の遠位部分において実質的に半円のチャネルとすることができる。安定化部材126、136は、それぞれの顎部材110、112と一体とすることができる。安定化部材126、136は、実質的に剛性とすることができ、開放及び閉鎖構成にある顎部材110、112の長手軸線と実質的に平行に延びて長手空間をその間に生成する。第1の安定化部材126は、第1の内面120から突出して第1の内面120に沿って長手方向に延びる第1の壁を含むことができ、第2の安定化部材136は、第2の内面130から突出して第2の内面130に沿って延びる第2の壁を含むことができる。第1及び第2の壁126、136は、フィン形状とすることができ、これは、遠位に面する頂点を内側部分128、138で定めるように各々が内面120、130に対してる凹面の及び/又は傾斜した遠位面及び凸面の及び/又は傾斜した近位面を含む。内側部分128、138は、図4に示すように、開放構成で遠位に延びることができる。第1及び第2の顎部材110、112は、第1及び第2の安定化部材126、136をクリップアプライヤの長手軸線の両横側に配置することができるように回転対称とすることができる。手術クリップ50は、クリップアプライヤの長手軸線に沿って受け入れることができ、すなわち、安定化部材126、136は、手術クリップ50の近位部分の両側に位置決めすることができる。
【0018】
安定化部材126、136は、開放構成(例えば、図1図6)で互いに横方向に重なり合う又は重なり合わない場合があり、安定化部材126、136は、閉鎖構成(例えば、図7)で互いに横方向に重なり合うことができる。第1の内側部分128は、第2の顎部材112から離間することができ、開放構成(例えば、図2図6)で第2の長手チャネル132に受け入れられない。第1の内側部分128は、閉鎖構成(例えば、図7)で第2の長手チャネル132に受け入れることができる。同様に、第2の内側部分138は、第1の顎部材110から離間することができ、開放構成(例えば、図2図6)で第1の長手チャネル122に受け入れられない。第2の内側部分138は、閉鎖構成で第1の長手チャネル122に受け入れることができ、第2の内側部分138は、閉鎖構成で第1の長手チャネル122に受け入れることができる(例えば、図7)。例えば、図3に更に示すように、第1の長手チャネル122は、第2の安定化部材136を受け入れるように構成された拡幅近位部分123を含むことができ、第2の長手チャネル132は、第1の安定化部材126を受け入れるように拡幅近位部分133を含むことができる。拡幅近位部分123、133は、長手チャネルが長手軸線に対して非対称形であるようにクリップアプライヤ100の長手軸線に対して横方向、軸外とすることができる。安定化部材126、136の各々は、それぞれの長手チャネル122、132の中への挿入を容易にする及び/又は手術クリップ50の横方向安定性を提供するための少なくとも1つの横方向平坦面を含むことができる。例えば、安定化部材126、136の各々は、拡幅近位部分123、133の平坦内部側面に沿って摺動する平坦横方向外面を含むことができる。第1の長手チャネル122及び/又は第2の長手チャネル132はまた、開放構成(図4に示すように)及び/又は閉鎖構成で手術クリップ50の一部分を受け入れることができる。
【0019】
図4図5に示すように、顎アセンブリ102は、手術クリップ50を少なくとも3つの接触点で保持するように構成することができる。手術クリップ50は、ヒンジ部分56でピボット可能に接合された近位端を有する第1の脚部材52及び第2の脚部材54を含むことができる。手術クリップ50は、1又は2以上のボス58を第1及び第2の脚部材52、54の各々の遠位部分において含むことができる。ボス58は、凹部124、134に対応する円形とすることができ、手術クリップ50の遠位部分を固定するために凹部124、134に解除可能に受け入れることができる。更に、手術クリップ50の近位部分(例えば、ヒンジ部分56)は、手術クリップ50の横移動又は左右振れを低減するために安定化部材126、136間に受け入れることができる。安定化部材126、136の内側部分(例えば、遠位に面する頂点)128、138の各々は、手術クリップ50の横移動又は左右振れを低減するためにヒンジ部分56と横方向に重なり合うことができる(図4に示すように)。手術クリップ50の第1の脚部材52は、凹状内面、凸状外面、及び遠位部分上のフック部材を有することができる。第2の脚部材54は、凸状内面、凹状内面、及び遠位部分上の先端部材を含むことができる。手術クリップ50が閉じる時に、第1の脚部材52上のフックは、手術クリップ50をラッチ式構成で固定するために第2の脚部材上の先端部材の周りで偏向することができる。湾曲に起因して、第1及び/又は第2の脚部材52、54は、閉鎖及び/又はラッチ過程中に真っ直ぐになる及び/又は伸長することができる。クリップアプライヤ100及び/又は安定化部材126、136は、手術クリップが閉鎖及び/又はラッチ過程中に真っ直ぐになる及び/又は伸長することを可能にするように手術クリップ50と近位に当接することができない。
【0020】
手術クリップ50は、あらゆる適切なサイズで製造することができ、かつ血管、リンパ節、神経、卵管、又は心臓組織のようなあらゆる数の組織に適用することができる。手術クリップ50は、金属及びポリマーのようなあらゆる適切な生体適合材料で製造することができる。一部の実施形態では、手術クリップ50は、外科インプラントに一般的に使用されるタイプのような適切な強い生体適合性工業用プラスチックで形成されたワンピース一体的ポリマー本体で構成される。例示的材料は、ホモポリマー又はコポリマーポリアセタール、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン、又は射出成形、押し出し、又は他に類似の物品に加工することができる類似の特性を有する他の熱可塑性材料を含む。手術クリップ50の例示的実施形態及び特徴は、米国特許第4,834,096号明細書に更に開示されており、その開示は、引用によって全体的に本明細書に組み込まれている。
【0021】
図6図9に示すように、顎アセンブリ102のピボット回転は、少なくとも1つの板バネ140によって開放構成に付勢され、かつ管状部材114の長手移動によって作動させることができる。少なくとも1つの板バネ140は、顎部材110、112のうちの少なくとも一方と重なり合う遠位端を有することができる。例えば、少なくとも1つの板バネ140は、垂直ビーム又はコネクタ142の両横側に1対の板バネ140を含むことができ、板バネ140の近位端は、片持ち構成でコネクタ142に固定(例えば、溶接)することができる。板バネ140は、クリップアプライヤ100の長手軸線の両垂直側とすることができる。顎部材110、112の各々は、1対の近位部材144を含む近位部分を有することができる。各顎部材110、112の近位部材144は、互いから分離されてピボット式安定性に関してコネクタ142の遠位部分を跨ぐ1対の脚を含むことができる。近位部材144は、少なくとも1つのピボットピン146を用いてコネクタ142にピボット可能に固定することができる。従って、第1の顎部材110は、少なくとも1つのピボットピン146を用いてコネクタ142に固定することができ、第2の顎部材112は、少なくとも1つのピボットピン146を用いてコネクタ142に固定することができる。顎部材110、112の第1及び第2のピボットピン146は、コネクタ142の長手軸線の両垂直側とすることができる。コネクタ142は、シャフト104の管腔108に固着的に固定され、かつ管状部材114から遠位に延びることができる。近位部材144は、近位部材144が管状部材144の内側に適合して閉鎖構成にカム留めされるように顎部材110、112の遠位長さよりも短い幅を有することができる。管状部材144は、更に、顎部材110、112が閉鎖構成で屈曲することを防止する。
【0022】
顎部材110、112のうちの各々の近位部材144のうちの一方は、ピボットピン146の近位であってクリップアプライヤ100の長手軸線に対して傾斜した近位延長部148を更に含むことができる。近位延長部148は、同じ顎部材110、112の対向する近位部材144よりも更に近位に一方の近位部材144から延びる脚延長部とすることができる。第1及び第2の顎部材110、112の近位延長部148は、クリップアプライヤ100の長手軸線において互いに横方向に交差することができる。各顎部材110、112の近位部材144の一方のみが、それぞれの板バネ140によってピボット回転すること及び対向する顎部材110、112による干渉を防止することを可能にするために近位延長部148を有することができる。近位延長部148は、それぞれの第1及び第2の顎部材110、112の一方の横側のみから延びることができる。従って、顎部材110、112の近位延長部148は、コネクタ142の両横側で延びることができる。近位延長部148は、長手軸線に対して傾斜した上面149を含むことができる。板バネ140は、開放構成で顎アセンブリ102を付勢するように開放構成(図6)及び閉鎖構成(図7)の両方で顎部材110、112の近位延長部148の各々の傾斜面と重なり合うことができ、又は傾斜面の上に放射状に対称に置くことができる。従って、板バネ140は、顎部材110、112の相対角度に起因して開放構成で偏向する(真っ直ぐに)又は僅かに偏向することができず、閉鎖構成で偏向する又は更に偏向することができない。板バネ140の偏向は、顎アセンブリ102を開放構成に付勢するように顎部材110、112の各々の延長部148をクリップアプライヤ100の長手軸線に対して反対方向に対称に押すことができる。顎部材110、112は、更に別のピボット回転を防止し、かつ開放構成でのストップを提供するように、互いに接触することができる(例えば、図6に示すように近位延長部148において)。
【0023】
管状部材114は、アクチュエータ150の長手移動によって作動させることができる。アクチュエータ150は、シャフト104の管腔108を通って延びてハンドルアセンブリ106に接続された作動シャフトとすることができる。第1のハンドル部材116に対する第2のハンドル部材118の圧搾又は圧縮は、板バネ140の付勢に対抗して顎アセンブリ102の近位部材144を閉鎖構成にカム留めするような管状部材114の長手前進を引き起こすアクチュエータ150の長手前進を引き起こすことができる。第2のハンドル部材118の解除は、板バネ140の付勢が顎部材110、112を開放して管状部材114を長手方向に後退させるように、管状部材114に印加された遠位力を解除する。管状部材114は、遠位部分152及び近位部分154を有することができ、遠位部分152は、近位部分154よりも大きい直径を有する。遠位部分152は、シャフト104から遠位に延びることができ、シャフト104の直径と実質的に同じ直径を有することができる。すなわち、遠位部分152の近位端は、顎アセンブリ102が開放構成にある時に(図6に示すように)シャフト104の遠位部分に当接することができる。遠位部分152は、近位部分144を受け入れて顎アセンブリ102を閉じるために第1及び第2の顎部材110、112をカム留めするように構成することができる。すなわち、板バネ140は、ヒンジピン146の近位の近位延長部148102を半径方向に覆うことによって顎アセンブリを付勢して開くことができ、管状部材114は、ヒンジピン146の遠位の顎部材110、112の一部分をカム留めすることによって顎アセンブリ102を閉じることができる。
【0024】
管状部材114の近位部分154は、シャフト104の管腔108に摺動可能に受け入れることができる。近位部分154は、アクチュエータ150を近位部分154の管腔に受け入れる及び/又はアクチュエータ150の1又は2以上の半径方向突出部を近位部分154内の又は上の1又は2以上の近位スロットと噛み合わせることにより、アクチュエータ150に固定することができる。近位部分154は、コネクタ142の近位端を遠位開口部に受け入れ、かつコネクタ142上のピン162をその長さに沿って受け入れる細長スロット160を含むことができる。コネクタ142に対する管状部材114の長手移動は、細長スロット160を通って長手方向にピン162を摺動させることができる。ピン162は、コネクタ142を安定化するためにシャフト104に固着的に固定(例えば、溶接)することができる。例えば、ピン162は、管状部材114の細長スロット160と重なり合うシャフト104の細長スロット164を通って延びてその中に溶接することができる。細長スロット160、164の重なり合いは、顎アセンブリ102の作動中に相対長手位置及び/又は管状部材114の移動の可視性を可能にすることができる。
【0025】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書から明らかであり、すなわち、本発明の真の精神及び範囲に該当する本発明の全てのそのような特徴及び利点を添付の特許請求の範囲によって網羅するように意図している。更に、多くの修正及び変形は、当業者に容易に想起されることになるので、本発明を図示及び説明した構成及び作動通りに限定することは望ましくなく、従って、全ての適切な修正及び均等物は、本発明の範囲に該当するとして用いることができる。
図1
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