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特許7526550放射線被曝を治療するためのダントロレンおよびダントロレンプロドラッグの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】放射線被曝を治療するためのダントロレンおよびダントロレンプロドラッグの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/661 20060101AFI20240725BHJP
   A61P 39/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 9/02 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61K31/661
A61P39/00
A61P9/02
A61P25/08
A61P25/28
A61K47/26
A61K47/32
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021529359
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019063503
(87)【国際公開番号】W WO2020112932
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】62/772,001
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520139206
【氏名又は名称】イーグル リサーチ ラブズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヘプナー、エイドリアン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-500570(JP,A)
【文献】特開平08-183777(JP,A)
【文献】米国特許第04163058(US,A)
【文献】Mehmet Emin Buyukokuroglu et al.,Dantrolene protects erthrocytes against oxidative stress during whole-body irradiation in rats,Cell Biochemistry and Function,John Wiley & Sons,2003年01月27日,vol.21,127-131
【文献】RYANODEX(R) (dantrolene sodium) for injectable suspension, for intravenous use,Dailymed,Reference ID: 3597641,米国,National Library of Medicine,2014年07月
【文献】山下久雄,放射線障害,RADIOISOTOPES,日本,公益社団法人日本アイソトープ協会,1964年,vol.13,no.3,244-260
【文献】S. A. VARIA et al.,Phenytoin Prodrugs III: Water-Soluble Prodrugs for Oral and Parenteral Use,Journal of pharmaceutical Sciences,米国,American Pharmaceutical Association,1984年08月,vol.73, no.8,1068-1073
【文献】Hans Bundgaard et al.,Pro-drugs as drug delivery systems VIII. Bioreversible derivatization of hydantoins by N-hydroxymethilation,International journal of Pharmaceutics,Elsevier,1980年,vol.5,67-77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線に曝されてきた、または曝される予定であるヒト対象の治療において使用される医薬組成物であって、前記医薬組成物は、治療上有効な量の式Iの化合物、または、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを有し、
ここで、Rは-P(O)(OH)または-P(O)(OR)(OR)であり;
はH、-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルであり;および
は-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである、
医薬組成物。
【請求項2】
請求項1記載の医薬組成物において、Rは-P(O)(OH)である、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1記載の医薬組成物において、Rは-P(O)(OR)(OR)である、医薬組成物。
【請求項4】
請求項3記載の医薬組成物において、RはHである、医薬組成物。
【請求項5】
請求項3記載の医薬組成物において、Rは-C1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項6】
請求項3記載の医薬組成物において、Rはアリールである、医薬組成物。
【請求項7】
請求項3記載の医薬組成物において、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項8】
請求項3記載の医薬組成物において、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項9】
請求項3記載の医薬組成物において、RはCalkOC(O)OC1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか1つに記載の医薬組成物において、Rは-C1-26アルキル、または、アリールである、医薬組成物。
【請求項11】
請求項4~9のいずれか1つに記載の医薬組成物において、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項12】
請求項4~9のいずれか1つに記載の医薬組成物において、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項13】
請求項4~9のいずれか1つに記載の医薬組成物において、RはCalkOC(O)OC1-26アルキルである、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1記載の使用のための医薬組成物であって、
を含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記式化合物は、薬学的に許容される塩の形態である、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記ヒト対象が0.3Gy~50Gyの間の放射線量に曝されてきた、または曝される予定である、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記ヒト対象が少なくとも0.7Gyの放射線量に曝されてきた、または曝される予定である、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記ヒト対象が少なくとも6Gy、少なくとも10Gy、少なくとも50Gyの放射線量に曝されてきた、または曝される予定である、医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記放射線は、X線放射線、ガンマ線放射線、中性子放射線、またはそれらの組み合わせである、医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記放射線への曝露は、化学放射線療法である、医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記放射線への曝露は、原子力発電所の漏洩被曝である、医薬組成物。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記放射線への曝露は、核兵器曝露である、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記ヒト対象が前記放射線に曝露されてから24時間以内に前記ヒト対象に投与されるものである、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記治療上有効な量は、1mg/kg~約30mg/kgの前記式Iの化合物である、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記ヒト対象が前記放射線に曝される前に、前記ヒト対象に投与されるものである、医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、静脈内、皮下、筋肉内、骨内、または経皮的に投与されるものである、医薬組成物。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、マンニトール、ポリソルベート、ポビドン、任意のpH調整剤、および水を有する、医薬組成物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記治療を受けなかった対照ヒト対象と比較して、前記医薬組成物による治療が前記放射線の被曝の結果としての前記ヒト対象の死亡率を低下させる、医薬組成物
【請求項29】
請求項1~28のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記治療を受けなかった対照ヒト対象と比較して、前記医薬組成物による治療が前記ヒト対象の少なくとも1つの血液学的パラメータを改善する、医薬組成物。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する造血症候群を治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する胃腸症候群を治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する心血管症候群を治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する中枢神経系症候群を治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する食欲不振、悪心、嘔吐、けいれん、または下痢を治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、前記放射線の被曝の結果として前記ヒト対象に発生する認知変化または行動変化を治療するのに有効である、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年11月27日に出願された米国仮出願第62/772,001号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、放射線被曝を治療するために、ダントロレン、ダントロレンのプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
急性放射線症候群(ARS)は、放射線毒性または放射線病としても知られており、通常は数分という短時間に高線量の透過性放射線を全身(または体の大部分)に照射することによって引き起こされる急性の医学的症状である。ARSの主な原因は、特定の組織における多能性細胞の枯渇である。ARSは、一般的に予測可能な臨床経過をたどり、細胞の欠損や電離放射線に対する様々な組織や臓器の反応を示す徴候や症状を特徴としている。高線量の電離放射線が身体の全体または一部に照射されると、主に放射線感受性の高い自己再生可能な組織、特に造血系に生命を脅かす損傷が生じることが多い。造血症候群の患者の生存率は、放射線被曝量の増加とともに低下する。主な死因は骨髄の破壊で、その結果、感染症や出血が起こる。
【0004】
放射線被曝を治療する方法が求められている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2015/231093号明細書
(特許文献2) 国際公開第2019/079721号
(非特許文献)
(非特許文献1) MEHMET EMIN BUYUKOKUROGLU ET AL,"Dantrolene protects erythrocytes against oxidative stress during whole-body irradiation in rats: RADIOPROTECTIVE EFFECTS OF DANTROLENE",CELL BIOCHEMISTRY AND FUNCTION.,Vol.21,No.2,01 June 2003(2003-06-01),page 127-131
(非特許文献2) DANIELA JORNADA ET AL,"The Prodrug Approach: A Successful Tool for Improving Drug Solubility", MOLECULES, Vol.21,No.1,29 December 2015 (2015-12-29),page 42
【発明の概要】
【0005】
本開示は、治療上有効な量のダントロレンまたはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を対象に投与する工程を有する、放射線に曝露された、または曝露される予定の対象者を治療する方法に関するものである。
【0006】
また、本開示は、治療上有効な量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を対象に投与する工程を有する、放射線に曝された、または曝される予定の対象を治療する方法にも関するものであり、
【化1】
ここで、Rは-P(O)(OH)または-P(O)(OR)(OR)であり;RはH、-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルであり;および、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。
【0007】
また、本開示は、治療上有効な量の式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を対象に投与する工程を有する、放射線に被曝した、または被曝する予定の対象を治療する方法にも関するものであり、
【化2】
ここで、RはH、-C(O)-Z-N(R)(R)、-C(O)Z-C(O)-OH、または-C(O)-NH-Y-CH-OC(O)-Z-C(O)-OHであり、ZはC1-6alkであり、Yはアリーレンであり、C1-6アルキル、RはHまたはC1-6アルキルであり、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクロアルキルを形成する。
【0008】
また、本開示は、治療上有効な量のダントロレン、式Iの化合物、式IIの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかの組み合わせを有する医薬組成物を対象に投与する工程を有する、放射線に曝露された、または曝露される予定の対象を治療する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この要約、および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでさらに理解される。開示された装置、システム、および方法を説明する目的で、図面には、装置、システム、および方法の例示的な実施形態が示されているが、装置、システム、および方法は、開示された特定の実施形態に限定されない。図面において:
【0010】
図1図1は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目から30日目までの赤血球(RBCs)の変化率を示すヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図2図2は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目から30日目までの白血球(WBCs)の変化率を示すヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodexの照射後単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図3図3は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目から30日目までの血中好中球の変化率を示すヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図4図4は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目から30日目までの血中リンパ球の変化率を示すヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図5図5は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目から30日目までの血小板の変化率を示すヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図6図6は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目および30日目のヘモグロビン(HgB)の測定値を示す一連のヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図7図7は、Ryanodexを投与した動物、グループ1~4における7日目および30日目のヘマトクリット(HCT)の指標を示す一連のヒストグラムである。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図8図8A~8Cは、グループ1~4の照射後3日目から30日目までのベースラインからの体重の平均変化率を表した一連のグラフである。図8A:全体の体重変化。図8B:サブセットAの体重変化。図8C:サブセットBの体重変化。グループ1:対照、2:Ryanodex 照射前、3:Ryanodex 照射後 単回投与、および、4:Ryanodex 照射後 複数回投与(1~5日目)。
図9図9A~9Cは、対照ビヒクル(滅菌水)で処理した動物、照射1時間前にRyanodexを投与した動物、照射後1日目にRyanodexを投与した動物、照射後1~5日目にRyanodexを投与した動物について、照射後1日目から30日目までの平均グループ死亡率スコアを描いた一連のグラフである。図9A:全体の平均死亡率スコア。図9B:サブセットAの平均死亡率スコア。図9C:サブセットBの平均死亡率スコア。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、本開示の一部を構成する添付の図および例に関連して取られる以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に記載および/または示された特定の組成物または方法に限定されるものではなく、また、本明細書で使用される用語は、例示として特定の実施形態を説明するためのものであり、請求された開示を限定することを意図したものではないことを理解されたい。また、添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明らかに他を指示しない限り、少なくともその特定の数値を含む。すべての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。
【0012】
「約」という修飾語は、2つの端点の絶対値で定義される範囲を開示していると考えるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」という範囲も開示していることになる。単一の数値を修正するために使用される場合、用語「約」は、指示された数値のプラスまたはマイナス10%を指すことがあり、指示された数値を含む。たとえば、「約10%」は9%~11%の範囲を示すことができ、「約1」は0.9~1.1を意味する。
【0013】
明確にするために、別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されている本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本開示の様々な特徴は、別個に、または任意の部分的組み合わせで提供されることもある。さらに、範囲に記載された値への言及は、その範囲内のそれぞれおよびすべての値を含む。
【0014】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」とは、ヒトへの投与に適した組成物であり、薬学的に許容される賦形剤、例えば、安定剤、増量剤、緩衝剤、担体、希釈剤、ビヒクル、可溶化剤、結合剤などを含むものを意味する。本明細書で使用される医薬組成物には、皮下注射または点滴および筋肉内注射が可能な液状のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
「治療上有効な量」とは、本明細書に記載された活性剤のうち、特定の対象または対象集団において、治療対象の疾患または状態を抑制、停止、または改善させるのに十分な量をいう。ある実施形態では、ヒトまたは他の哺乳類において、治療上有効な量は、実験室または臨床の場で実験的に決定することができ、または治療される特定の疾患および対象に対する政府のガイドラインによって必要とされる量であってもよい。
【0016】
本明細書で使用される「改善する」とは、特定の対象または対象集団において、治療対象となる疾患または状態の重症度を軽減することを意味する。
【0017】
本明細書で使用される「患者」または「対象」は、哺乳類を意味することを意図している。したがって、本明細書に記載の方法は、ヒトおよび非ヒトの対象に適用可能である。本明細書に記載の方法は、特にヒトに適用可能である。
【0018】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」とは、薬学的に許容されるもの、例えば、医薬組成物の容器を含む成分が、許容できない薬理活性の損失や許容できない副作用を引き起こさないことを意味する。薬学的に許容される成分の例は、米国薬局方(USP)、1990年にミズーリ州ロックビルで開催された米国薬局方会議で採択された国民医薬品集(The National Formulary)(NF)、および米国食品医薬品局が発行したFDA Inactive Ingredient Guide 1990,1996に記載されている(いずれも図面を含めて参照により本明細書に組み込まれる)。また、USP/NF以外の必要な制限および/または仕様を満たす他のグレードの溶液または成分を使用することもできる。
【0019】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理活性を有する本開示の化合物の塩を意味する。特に、そのような塩は非毒性であり、無機または有機の酸付加塩および塩基付加塩であってもよい。具体的には、親化合物に含まれる酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオンなどで置換されているか、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基と配位している塩が挙げられる。塩には、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどがさらに含まれ、化合物が塩基性官能基を含む場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの無毒性の有機酸または無機酸の塩が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される「放射線被曝の結果」および「放射線被曝に起因する」という表現は、放射線被曝の直接的な結果である影響、放射線被曝の二次的な結果である影響、および放射線被曝の間接的な結果である影響を指す。
【0021】
用語「C-Calk」は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する脂肪族リンカーを指し、例えば、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-、および-C(CH-が含まれる。また、「-Calk-」とは、結合を意味する。
【0022】
「アルキル」とは、基中に1~12個の炭素原子(「C-C12」)、好ましくは1~6個の炭素原子(「C-C6」)を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、Cアルキル)、エチル(Et、Cアルキル)、n-プロピル(Cアルキル)、イソプロピル(Cアルキル)、ブチル(Cアルキル)、イソブチル(Cアルキル)、sec-ブチル(Cアルキル)、tert-ブチル(Cアルキル)、ペンチル(Cアルキル)、イソペンチル(Cアルキル)、tert-ペンチル(Cアルキル)、ヘキシル(Cアルキル)、イソヘキシル(Cアルキル)などを含む。
【0023】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む3~10員の単環式または二環式の飽和環構造を指す。適切なヘテロシクロアルキル基の例としては、アゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
単独で、または置換基の一部として使用される「アリール」という用語は、環内に6個または10個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭化水素環構造を意味する。好ましいアリール部位は、フェニルおよびナフチルを含む。
【0025】
「アリーレン」という用語は、環内に6個または10個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭化水素環構造を意味する。好ましいアリーレン部位には、フェニレンおよびナフチレンが含まれる。本開示の化合物は、キラルであってもよく、その結果、単一のエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物として存在することができる。すべてのエナンチオマーおよびその混合物は、本開示によって企図されている。
【0026】
とりわけ、本開示は、ダントロレン、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝された対象を治療する方法に関する。他の態様では、本開示は、ダントロレン、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝される予定の対象を治療する方法に向けられる。
【0027】
とりわけ、本開示は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝された対象を治療する方法に関するものであり、
【化3】
ここで、
Rは、-P(O)(OH)または-P(O)(OR)(OR)であり;
は、H、-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルであり;および
は、-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。
【0028】
本開示は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝された対象を治療する方法にも関するものであり、
【化4】
ここで、
は、H、-C(O)-Z-N(R)(R)、-C(O)Z-C(O)-OH、または-C(O)-NH-Y-CH-OC(O)-Z-C(O)-OHであり;
ZはC1-6alkであり;
Yはアリーレンであり;C1-6アルキル;
は、HまたはC1-6アルキルであり;またはRとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0029】
式IおよびIIの化合物は、ダントロレンプロドラッグであり、2018年10月19日に出願された国際特許出願第PCT/US2018/056713号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
他の態様では、本開示は、ダントロレン、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝される対象を治療する方法に関する。他の態様では、本開示は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することによって、放射線に曝される対象を治療する方法に関する。他の態様では、本開示は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与することによって、放射線に曝される対象を治療する方法に関する。
【0031】
他の態様では、本開示は、ダントロレン、式Iの化合物、式IIの化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを有する医薬組成物を投与することにより、放射線に曝される対象を治療する方法に関する。
【0032】
いくつかの態様では、本開示のダントロレンプロドラッグは、Rが-P(O)(OH)であり、式I-Aであるものである。
【化5】
【0033】
式I-Aの化合物の薬学的に許容される塩も本開示の範囲内である。好ましい塩としては、例えば、式I-Aの化合物のナトリウム塩が挙げられる。式I-Aの化合物のリチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびカリウム塩も本開示の範囲内である。代替の塩の形態には、アンモニウム塩、コリン塩、およびトロメタミン塩が含まれる。式I-Aの化合物の好ましい塩は、モノソジウム塩である。式I-Aの化合物の別の好ましい塩は、二ナトリウム塩である。式I-Aの化合物の別の好ましい塩は、モノトロメタミン塩である。式I-Aの化合物の別の好ましい塩は、トロメタニン塩である。また、本開示の範囲内で、式I-Aの化合物の薬学的に許容される有機塩がある。
【0034】
いくつかの態様では、本開示の方法で使用されるダントロレンプロドラッグは、Rが-P(O)(OR)(OR)であり、式I-Bであるものである。
【化6】
【0035】
いくつかの態様では、RはHである。これらの態様では、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。式I-Bのそのような化合物の薬学的に許容される塩もまた、本開示の範囲内である。好ましい塩としては、例えば、式I-Bの化合物のナトリウム塩が挙げられる。他の塩には、式I-Bの化合物のリチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびカリウム塩が含まれる。代替の塩の形態には、アンモニウム塩、コリン塩、およびトロメタミン塩が含まれる。また、本開示の範囲内には、式I-Bの化合物の薬学的に許容される有機塩がある。
【0036】
式I-Bの化合物のいくつかの態様では、RはHであり、Rは-C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C1-6アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-C1-12アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-C13-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-C18-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-C20-26アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C10アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C11アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C12アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C13アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C14アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C15アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C16アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C17アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C18アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C19アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C20アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C21アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C22アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C23アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C24アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-C25アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、RはC26アルキルである。
【0037】
式I-Bの化合物のいくつかの態様では、RはHであり、Rはアリールである。例えば、式I-Bの化合物のいくつかの態様では、RはHであり、Rはフェニルである。
【0038】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様において、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C1-6アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C1-12アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C13-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C18-26アルキルである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6alkC(O)O-C20-26アルキルである。
【0039】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、RはHであり、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)C1-6アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)C1-12アルキルである。RはHであり、Rは-CalkOC(O)C13-16アルキルである。RはHであり、Rは-CalkOC(O)C18-26アルキルである。RはHであり、Rは-CalkOC(O)C20-26アルキルである。
【0040】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC1-6アルキルである。他の態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC1-12アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC13-16アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC18-26アルキルである。いくつかの態様では、RはHであり、Rは-CalkOC(O)OC20-26アルキルである。
【0041】
式I-Bの化合物の他の態様では、Rが-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルであり、Rが-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。
【0042】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、Rは-C1-26アルキルであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、これらの態様では、Rは-C1-6アルキルであり得る。他の態様では、Rは-C1-12アルキルである。他の態様では、Rは-C13-26アルキルである。他の態様では、Rは-C18-26アルキルである。他の態様では、Rは-C20-26アルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-Cアルキルである。いくつかの態様では、Rは-C10アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C11アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C12アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C13アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C14アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C15アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C16アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C17アルキルである。いくつかの態様では、R1は-C18アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C19アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C20アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C21アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C22アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C23アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C24アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C25アルキルである。いくつかの態様では、Rは-C26アルキルである。
【0043】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、Rはアリールであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様において、Rはフェニルであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。
【0044】
式I-Bの化合物のいくつかの態様では、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはCalkC(O)O-C1-26アルキルである。他の態様では、RはC1-6alkC(O)O-C1-6アルキルである。他の態様では、RはC1-6alkC(O)O-C1-12アルキルである。他の態様では、RはC1-6alkC(O)O-C13-26アルキルである。他の態様では、RはC1-6alkC(O)O-C18-26アルキルである。他の態様では、RはC1-6alkC(O)O-C20-26アルキルである。
【0045】
式I-Bの化合物のいくつかの態様では、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはCalkOC(O)C1-6アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)C1-12アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)C13-16アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)C18-26アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)C20-26アルキルである。
【0046】
式I-Bの化合物のいくつかの態様において、Rは-CalkOC(O)OC1-26アルキルであり、Rは-C1-26アルキル、アリール、C1-6alkC(O)O-C1-26アルキル、-CalkOC(O)C1-26アルキル、またはCalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RはCalkOC(O)OC1-6アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)OC1-12アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)OC13-16アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)OC18-26アルキルである。他の態様では、Rは-CalkOC(O)OC20-26アルキルである。
【0047】
いくつかの態様では、Rは-C1-26アルキルであり、Rは-C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RおよびR2は、それぞれ独立して、-C1-6アルキル、-C1-12アルキル、-C13-26アルキル、-C18-26アルキル、-C20-26アルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-Cアルキル、-C10アルキル、-C11アルキル、-C12アルキル、-C13アルキル、-C14アルキル、-C15アルキル、-C16アルキル、-C17アルキル、-C18アルキル、-C19アルキル、-C20アルキル、-C21アルキル、-C22アルキル、-C23アルキル、-C24アルキル、-C25アルキルまたは-C26アルキルである。
【0048】
いくつかの態様では、Rはアリール(例えば、フェニル)であり、Rはアリール(例えば、フェニル)である。
【0049】
いくつかの態様では、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルであり、RはC1-6alkC(O)O-C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様では、RおよびRは、それぞれ独立して、CalkC(O)O-C1-26アルキル、CalkC(O)O-C1-26アルキル、CalkC(O)O-C1-26アルキル、CalkC(O)O-C1-26アルキル、CalkC(O)O-C1-26アルキル、CalkC(O)O-C1-26アルキル、C1-6alkC(O)O-C1-6アルキル、C1-6alkC(O)O-C1-12アルキル、C1-6alkC(O)O-C13-26アルキル、C1-6alkC(O)O-C18-26アルキル、またはC1-6alkC(O)O-C20-26アルキルである。
【0050】
いくつかの態様では、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルであり、Rは-CalkOC(O)C1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様において、RおよびRは、それぞれ独立して、CalkOC(O)C1-6アルキル、-CalkOC(O)C1-12アルキル、-CalkOC(O)C13-16アルキル、-CalkOC(O)C18-26アルキル、または-CalkOC(O)C20-26アルキルである。
【0051】
いくつかの態様では、Rは-CalkOC(O)OC1-26アルキルであり、Rは-CalkOC(O)OC1-26アルキルである。例えば、いくつかの態様において、RおよびRは、それぞれ独立して、CalkOC(O)OC1-6アルキル、-CalkOC(O)OC1-12アルキル、-CalkOC(O)OC13-16アルキル、-CalkOC(O)OC18-26アルキル、または-CalkOC(O)OC20-26アルキルである。
【0052】
式I-AおよびI-Bの化合物を含む式Iの化合物は、該当する場合、薬学的に許容される塩として存在することができる。これらの塩には、ナトリウム塩が含まれる。カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩も想定される。代替の塩形態としては、アンモニウム塩、コリン塩、トロメタミン塩などがある。
【0053】
また、本開示の範囲内には、式IIのダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を使用する方法があり、
【化7】
ここで、
は、H、-C(O)-Z-N(R)(R)、-C(O)Z-C(O)-OH、または-C(O)-Y-CH-OC(O)-Z-C(O)-OHであり;
ZはC1-6alkであり;
Yはアリールであり;
は、HまたはC1-6アルキルであり;
は、HまたはC1-6アルキルであり;
または、RとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0054】
好ましい態様では、RはHであり、式IIの化合物は式II-Aの化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【化8】
【0055】
式IIの他の態様では、RはC(O)-Z-N(R)(R)であり、式IIの化合物は式II-Bの化合物またはその薬学的に許容される塩であり、
【化9】
ここで、
ZはC1-6alkであり;
は、HまたはC1-6アルキルであり;
は、HまたはC1-6アルキルであり;
またはRとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0056】
式II-Bのこれらの態様において、Zは、Calk、Calk、Calk、Calk、Calk、またはCalkであり得る。いくつかの態様では、ZはC1-2alkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。
【0057】
式II-Bのこれらの態様では、RはHであり、他の態様では、RはC1-6アルキルであり、例えば、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである。好ましい態様では、Rはメチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0058】
式II-Bのこれらの態様では、RはHであり、他の態様では、RはC1-6アルキルであり、例えば、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである。好ましい態様では、Rはメチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0059】
式II-Bのこれらの態様の一部では、RはHであり、RはHである。他の態様では、RはHであり、RはC1-6アルキル、例えば、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、CアルキルまたはCアルキルである。さらに他の態様では、RおよびRはそれぞれ独立してC1-6アルキル、例えば、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、またはCアルキルである。
【0060】
式II-Bのこれらの態様の一部では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。好ましいヘテロシクロアルキル部位としては、例えば、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、およびアジリジニルを含む。
【0061】
式II-Bの好ましい化合物としては、例えば、以下のものおよびその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【化10】
【化11】
【0062】
式IIの他の態様では、RはC(O)-Z-C(O)-OHであり、式IIの化合物は、式II-Cの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化12】
【0063】
式II-Cのこれらの態様において、Zは、Calk、Calk、Calk、Calk、Calk、またはCalkであり得る。いくつかの態様では、ZはC1-2alkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。
【0064】
式II-Cの好ましい化合物は、
【化13】
およびその薬学的に許容される塩である。
【0065】
式IIの他の態様では、Rは-C(O)-NH-Y-CH-OC(O)-Z-C(O)-OHであり、式IIの化合物は式II-Dの化合物またはその薬学的に許容される塩であり、
【化14】
ここで、
Yはアリーレンであり;
ZはC1-6alkである。
【0066】
式II-Dのこれらの態様において、Yはフェニレンまたはナフチレンであり得、好ましくはフェニレンである。
【0067】
式II-Dのこれらの態様において、Zは、Calk、Calk、Calk、Calk、Calk、またはCalkであり得る。いくつかの態様では、ZはC1-2alkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。
【0068】
式II-Dの好ましい化合物は、
【化15】
およびその薬学的に許容される塩である。
【0069】
他の態様では、Rは-C(O)-O-Y-CH-OC(O)-Z-C(O)-OHであり、式IIの化合物は式II-Eの化合物またはその薬学的に許容される塩であり、
【化16】
ここで、
Yはアリーレンであり;
ZはC1-6alkである。
【0070】
式II-Eのこれらの態様において、Yはフェニレンまたはナフチレンであり得、好ましくはフェニレンである。
【0071】
式II-Eのこれらの態様において、Zは、Calk、Calk、Calk、Calk、Calk、またはCalkであり得る。いくつかの態様では、ZはC1-2alkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。いくつかの態様では、ZはCalkである。
【0072】
式II-A、II-B、II-C、II-D、およびII-Eの化合物を含む式IIの化合物は、該当する場合、薬学的に許容される塩として存在することができる。これらの塩には、ナトリウム塩が含まれる。カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩も想定される。別の塩の形態としては、アンモニウム塩、コリン塩、およびトロメタミン塩を含む。また、本開示の範囲内には、式IIの化合物の薬学的に許容される有機塩も含まれる。
【0073】
式I-A、I-B、II-A、II-B、II-C、II-D、およびII-Eの化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む式IおよびIIの化合物は、その化合物を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることにより、医薬組成物として調製することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬学的に許容される賦形剤は、防腐剤、酸化防止剤、またはそれらの混合物からなる群から選択される。本開示のさらなる実施形態では、追加の薬学的に許容される賦形剤は、フェノール、クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、またはそれらの混合物などの防腐剤であるが、これらに限定されるものではない。本開示のさらなる実施形態では、追加の薬学的に許容される賦形剤は、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、またはそれらの混合物などの酸化防止剤であるが、これらに限定されない。
【0074】
本開示の医薬組成物は、懸濁液として提供されてもよい。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、溶液として提供されてもよい。
【0075】
本開示の方法で使用される医薬組成物は、約1mg/ml~約400mg/mL、例えば、1mg/mL~約200mg/mL、1mg/mL~約300mg/mL、好ましくは5mg/mL~約125mg/mLの濃度で存在する本開示の化合物を、好ましくは生理的pHで有することができる。本開示の特定の実施形態では、本開示の化合物は、約5mg/mLに等しいまたはそれ以上の濃度で存在する。さらなる実施形態では、本開示の化合物は、約10~25mg/mLの濃度で存在する。さらなる実施形態では、本開示の化合物は、約1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、または50mg/mLの濃度で存在する。さらに別の実施形態では、本開示の化合物は、約125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、または約400mg/mLの濃度で存在する。
【0076】
特定の実施形態では、本開示の化合物は、約55mg/mLに等しいかそれ以上の濃度で存在する。さらなる実施形態では、本開示の化合物は、約55~125mg/mLの濃度で存在する。特定の実施形態では、本開示の化合物は、約75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、105mg/mL、110mg/mL、115mg/mL、120mg/mL、または125mg/mLの濃度で存在する。他の実施形態では、本開示の化合物は、約75mg/mL~95mg/mL、80mg/mL~100mg/mL、90mg/mL~110mg/ml、95mg/mL~105mg/mL、95mg/mL~115mg/mL、100mg/mL~110mg/mL、110mg/mL~125mg/mLの濃度で存在し、その間のすべての範囲およびサブレンジを含む。
【0077】
放射線に曝される「予定である」対象を治療する方法に関する態様では、対象が近い将来(すなわち、約1ヶ月後、約2週間後、約7日後、約6日後、約5日後、約4日後、約3日後、約2日後、約1日後)に放射線に曝される可能性が高くなるようになっている。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される可能性は確実であり、すなわち、対象が近い将来に放射線に曝される確率は100%である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は100%未満であり、例えば90%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、80%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、70%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、60%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、70%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、60%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、50%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、40%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、30%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、20%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、10%の確率またはそれ以上である。いくつかの態様では、対象が近い将来に放射線に曝される確率は、5%の確率またはそれ以上である。
【0078】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、安定剤または2つ以上の安定剤をさらに有してもよい。本開示のさらなる実施形態では、安定剤は、界面活性剤、ポリマー、架橋ポリマー、緩衝剤、電解質、および非電解質からなる群から選択される。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、界面活性剤、ポリマー、架橋ポリマー、緩衝剤、電解質、および非電解質からなる群から選択される2つ以上の安定剤の組み合わせを有する。本開示のさらなる実施形態では、安定剤は、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEO誘導体、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、ポリエトキシル化植物油、レシチン、ヒト血清アルブミン、およびそれらの混合物などの界面活性剤であるが、これらに限定されない。本開示の特定の実施形態では、安定剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドンK12、ポビドンK17、およびそれらの混合物などであるが、これらに限定されない)、ポリエチレングリコール3350、およびそれらの混合物などのポリマーであるが、これらに限定されない。本開示の他の実施形態では、安定剤は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、およびそれらの混合物などの電解質であるが、これらに限定されない。本開示のさらに他の実施形態では、安定剤は、デキストロース、グリセロール、マンニトール、またはそれらの混合物などの非電解質であるが、これらに限定されない。本開示の他の実施形態では、安定剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などの架橋ポリマーであるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、安定剤は、CMC 7LF、CMC 7MF、CMC 7HF、またはそれらの混合物である。
【0079】
本開示のさらなる実施形態では、非電解質安定剤と電解質安定剤の組み合わせを使用してもよい。いくつかの実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の非電解質安定剤から構成されてもよい。他の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の電解質安定剤から構成されてもよい。さらなる実施形態では、安定剤の組み合わせは、1つまたは複数の非電解質安定剤および1つまたは複数の電解質安定剤から構成されていてもよい。さらなる実施形態では、安定剤の組み合わせは、マンニトール、デキストロース、および塩化ナトリウムのうちの2つ以上を有してもよい。
【0080】
本開示の特定の実施形態では、界面活性安定剤とポリマー安定剤の組み合わせを使用してもよい。いくつかの実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の界面活性剤安定剤を有してもよい。他の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上のポリマー安定剤を有してもよい。さらなる実施形態では、安定剤の組み合わせは、1つ以上の界面活性剤安定剤および1つ以上のポリマー安定剤を有してもよい。さらなる実施形態では、安定剤の組み合わせは、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマー188のうちの2つ以上を有してもよい。さらなる実施形態では、安定剤の組み合わせは、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマー188のうちの1つ以上と、ポビドンK12、ポビドンK17、およびポリエチレングリコール3350の1つ以上を有してもよい。
【0081】
本開示の特定の実施形態では、組成物は、約0.2mg/mL~約75mg/mLの1つ以上の安定剤、ならびにその間のすべての範囲およびサブレンジを含む。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約0.2~0.7mg/mL、0.5~1mg/mL、1~5mg/mL、2~8mg/mL、5~6mg/mL、5~10mg/mL、8~12mg/mL、10~15mg/mL、15~20mg/mL、20~30mg/mL、30~40mg/mL、40~50mg/mL、45~55mg/mL、50~60mg/mL、または60~75mg/mLの1つ以上の安定剤、ならびにその間のすべての範囲およびサブレンジを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約0.2mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、5.5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、12mg/mL、15mg/mL、17mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、または75mg/mLの1つまたは複数の安定剤を有する。
【0082】
本開示の特定の実施形態では、組成物は、1つ以上の緩衝剤、例えば、NaHPO・H2O、NaHPO・2HO、無水NaHPO、クエン酸ナトリウム、クエン酸、トリス、水酸化ナトリウム、HCl、またはそれらの混合物をさらに有するが、これらに限定されるものではない。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約1mM~20mMの1つまたは複数の緩衝剤、ならびにその間のすべての範囲およびサブレンジを含む。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約1~2mM、1~3mM、1~5mM、2~8mM、5~6mM、5~10mM、8~12mM、10~15mM、または15~20mMの1つまたは複数の緩衝剤、ならびにその間のすべての範囲およびサブレンジを含む。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、または20mMの1つ以上の緩衝剤を有する。
【0083】
本開示の特定の実施形態では、医薬組成物は、約3~10のpH、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約5~9のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約6~9のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約6~7のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約6~8.5のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約7~8.5のpHを有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、7超~8.5のpHを有する。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約6.0~8.0のpHを有する。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約6.0~7.0、6.5~7.0、6.5~7.5、6.7~7.2、7.0~7.2、7.0~7.5、7.0~8.0、または7.0~8.5のpHを有する。
【0084】
本開示の特定の実施形態では、医薬組成物は、約280mOsm/L~約310mOsm/Lの浸透圧、例えば、約280、285、290、300、305、または約310mOsm/Lの浸透圧を有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約290mOsm/L~約300mOsm/Lの浸透圧を有する。本開示のさらなる実施形態では、組成物は、約290mOsm/Lの浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、浸透圧は、本明細書に記載されている非電解質安定剤および電解質安定剤などの、組成物において等張化剤として作用する1つ以上の安定剤の適切な量の使用を通じて選択され得る。いくつかの実施形態では、浸透圧は、本明細書に記載された緩衝剤などの、組成物において等張化剤として作用する1つ以上の緩衝剤の適切な量の使用を通じて選択されてもよい。
【0085】
放射線に曝される「予定である」対象を治療する方法に関する態様において、対象が近い将来(すなわち、約1ヶ月後、約2週間後、約7日後、約6日後、約5、日後、約4日後、約3日後、約2日後、約1日後)に放射線に曝される可能性は、癌の治療としての放射線の結果である。
【0086】
放射線に曝される「予定である」対象を治療する方法に関するこれらの態様では、対象が近い将来(すなわち、約1ヶ月後、約2週間後、約7日後、約6日後、約5日後、約4日後、約3日後、約2日後、約1日後)に放射線に曝される可能性は、原子力発電所の漏洩被曝の結果である。これらの態様では、原子力発電所の健全性は、近い将来に漏れが発生する可能性が高くなるようなものである。いくつかの態様では、対象は、原子力発電所の漏出地点から半径100マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は、原子力発電所の漏出地点から半径75マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径50マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径40マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径30マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径20マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径10マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径9マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径8マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏洩サイトから半径7マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径6マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径5マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径4マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径3マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径2マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場から半径1マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は原子力発電所の漏出現場にいる。
【0087】
放射線に曝される「予定である」対象を治療する方法に関する態様では、対象が近い将来(すなわち、約1ヶ月後、約2週間後、約7日後、約6日後、約5日後、約4日後、約3日後、約2日後、約1日後)に放射線に被曝する可能性は、核兵器の爆発の結果であると考えられる。これらの態様においては、核兵器の爆発の可能性が上昇している。いくつかの態様では、核兵器の爆発の可能性は、テロの脅威のために上昇することができる。いくつかの態様では、核兵器の爆発の可能性は、核兵器の発射の識別のために上昇させることができる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径100マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は、核兵器の爆発から半径75マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径50マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径40マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径30マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径20マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径10マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径9マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径8マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径7マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径6マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径5マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径4マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径3マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径2マイル以内にいる。いくつかの態様では、対象は核兵器の爆発から半径1マイル以内にいる。
【0088】
本開示の方法は、好ましくは、哺乳類の治療に使用される。より好ましい態様では、本開示の方法は、ヒトの治療に用いられる。
【0089】
治療可能な放射線被曝(曝露前または曝露後のいずれか)には、周囲の放射線被曝を超える任意の種類の放射線被曝が含まれる。いくつかの態様では、放射線曝露は、透過性放射線の線量である。いくつかの態様では、放射線照射は、60分以下の時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、または約60分の期間における浸透性放射線の線量である。いくつかの態様では、放射線照射は、開示された方法に従って治療されていない対照である対象において、未成熟な実質幹細胞の枯渇をもたらすのに十分である。いくつかの態様では、放射線照射は、60分よりも長い時間、例えば、2、3、4、5、6、7、8時間、またはそれ以上の時間にわたる透過性放射線の線量である。
【0090】
いくつかの態様では、対象は化学放射線療法に曝されている。いくつかの態様では、対象は、癌と診断され、対象の癌を治療するのに十分な量の放射線に曝されている。いくつかの態様では、対象は化学放射線療法に曝されることになる。いくつかの態様では、対象は癌と診断されており、対象の癌を治療するのに十分な量の放射線に曝されることになる。
【0091】
いくつかの態様では、対象は、原子力発電所の漏洩に起因する放射線に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、原子力発電所の漏洩に起因する放射線に曝されることになる。
【0092】
いくつかの態様では、対象は、核兵器曝露の結果として生じる放射線に曝露されてきた。いくつかの態様では、対象は、核兵器曝露の結果として生じる放射線に曝されることになる。
【0093】
いくつかの態様では、放射線は、X線放射線、ガンマ線放射線、中性子放射線、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、放射線はX線放射線である。いくつかの態様では、放射線はガンマ線放射線である。いくつかの態様では、放射線は中性子線である。
【0094】
いくつかの態様では、対象は周囲レベルを超える放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、少なくとも0.3Gyの放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、少なくとも0.7Gyの放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は少なくとも6Gyの放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は少なくとも10Gyの放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は少なくとも50Gyの放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、0.3Gyから50Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、0.7Gyから50Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから0.7Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから6Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから10Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから6Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから10Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから50Gyの間の放射線量に曝されてきた。いくつかの態様では、対象は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.5、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または約50Gy放射線量に曝されてきた。
【0095】
いくつかの態様では、対象は周囲レベルを超える放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は、少なくとも0.3Gyの放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は、少なくとも0.7Gyの放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は少なくとも6Gyの放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は少なくとも10Gyの放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は少なくとも50Gyの放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は、0.3Gyから50Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は、0.7Gyから50Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから0.7Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから6Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.3Gyから10Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから6Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから10Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は0.7Gyから50Gyの間の放射線量に曝される予定である。いくつかの態様では、対象は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.5、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または約50Gy放射線量に曝される予定である。
【0096】
記載された方法のいずれかに従って対象を治療するのに治療上有効なダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩の量は、当業者が決定すべきである。治療上有効な量は、対象を1回の投与で治療するのに必要な量とすることができる。あるいは、治療上有効な量は、慢性的または長期的な治療コースにおいて、複数回の投与、例えば複数回の投与で対象を治療するために必要なダントロレンの累積量とすることができる。
【0097】
いくつかの態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、1回または2回の投与で、1mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、1mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約5mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約10mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約15mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約20mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約5mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約5mg/kg~約15mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約5mg/kg~約10mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約10mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約2mg/kg~約10mg/kg、好ましくは約2mg/kg~約6mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約15mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または約30mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、1回または2回の投与で、30mg/kg以上、例えば、30mg/kg~約100mg/kgである。いくつかの態様では、治療上有効な量のダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩は、約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100mg/kgである。
【0098】
本開示のいくつかの態様では、放射線への曝露後に、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を対象に投与するタイミングが、治療に影響を与える可能性がある。
【0099】
ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する組成物は、対象が放射線に曝露された後、2回以上の投与量で、すなわち2週間以上にわたって、例えば2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の期間にわたって、対象に慢性的に投与することができる。ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、対象に1回または複数回に分けて急性に投与することができる。対象が放射線に曝露された後、数時間または数日かけて、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間にわたって、あるいは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13日にわたって、投与することができる。
【0100】
ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与するタイミングについて、いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、24時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、20時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、16時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の投与量が、対象が放射線に曝された後、12時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、8時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、4時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の投与量が、対象が放射線に曝された後、2時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、1時間以内に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝された後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または約24時間以内に対象に投与される。
【0101】
ダントロレンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物を投与するタイミングについて、いくつかの態様では、ダントロレンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される24時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される20時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される16時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される12時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される8時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される4時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される2時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される1時間以上前に対象に投与される。いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、少なくとも1回の用量が、対象が放射線に曝される約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または約24時間前に対象に投与される。
【0102】
いくつかの態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、治療上有効な量のダントロレン(または5-ヒドロキシダントロレンなどのダントロレン代謝物)を、放射線に曝された対象に1回の用量で送達することができる。他の態様では、治療上有効な量のダントロレンを放射線被曝した対象に送達するために、医薬組成物の2回以上の用量が必要となる場合がある。例えば、治療上有効な量のダントロレンを放射線被曝した対象に投与するために、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回の医薬組成物の用量が必要となる場合がある。これらの追加用量は、最初の用量と実質的に同時に投与することができる。他の態様では、追加の用量は、最初の用量から時間的に分離される。3回以上の用量が投与される態様では、各用量は他の用量の投与から時間的に分離することができる。
【0103】
本開示のいくつかの態様では、放射線に曝された対象へのダントロレンの投与は、放射線曝露に対する補助療法である。放射線に曝された対象は、1つ以上の放射線療法を投与されることもできる。
【0104】
ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、静脈内に投与することができる。他の態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、経皮的に投与することができる。他の態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、筋肉内に投与することができる。他の態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、鼻腔内に投与することができる。他の態様では、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を有する医薬組成物は、皮下に投与することができる。
【0105】
記載された方法で使用するための好ましい医薬組成物は、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。好ましい医薬組成物は、ダントロレン、ダントロレンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩、マンニトール、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、ポビドン(例えば、ポビドンK12)、任意のpH調整剤(例えば、NaOHまたはHCl)、および水を有する。
【0106】
ダントロレンまたはその薬学的に許容される塩を含む特に好ましい医薬組成物は、RYANODEX(登録商標)(ダントロレンナトリウム、Eagle Pharmaceuticals,Woodcliff Lake,NJ)である。RYANODEX(登録商標)は、無菌の凍結乾燥粉末として提供される注射用懸濁液である。本剤は、ダントロレンナトリウム250mg、マンニトール125mg、ポリソルベート80 25mg、ポビドンK12 4mg、およびpH調整に十分な水酸化ナトリウムまたは塩酸を含む20mLバイアルで提供される。 5mLの注射用水(USP)で再構成すると、懸濁液となる。
【0107】
本開示の方法は、記載された任意の方法に従って治療されていない対照対象と比較して、放射線被曝の結果としての対象の死亡率が低くなる。
【0108】
いくつかの態様では、本開示の方法による治療は、記載された任意の方法に従って治療されていない対照対象と比較して、対象の少なくとも1つの血液学的パラメータを改善する。血液学的パラメータは、例えば、白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球分布幅、血小板、平均血小板容積、示差白血球数(絶対)、好中球絶対数、リンパ球絶対数、単球絶対数、好酸球絶対数、好塩基球絶対数、網状赤血球比率、および網状赤血球絶対数を含む。
【0109】
いくつかの態様では、本開示の方法による治療は、放射線照射の結果として対象に発生した造血症候群の治療に有効である。
【0110】
いくつかの態様では、本開示の方法による治療は、放射線照射の結果として対象に発生した胃腸症候群の治療に有効である。
【0111】
いくつかの態様では、本開示の方法による治療は、放射線被曝の結果として対象に発生した心血管症候群の治療に有効である。
【0112】
いくつかの態様では、本開示の方法による治療は、放射線被曝の結果として対象に発生した中枢神経系症候群の治療に有効である。
【0113】
本開示の化合物の同位体バリアントも本開示の範囲内である。本明細書では、「同位体バリアント」という用語は、そのような化合物を構成する1つ以上の原子における同位体の割合を、天然よりも多く含む化合物を意味する。例えば、化合物の「同位体バリアント」は、放射性標識、すなわち1つ以上の放射性同位体を含むことができ、また、例えば、重水素(HまたはD)、炭素-11(11C)、炭素-13(13C)、窒素-15(15N)、フッ化物-18(18F)などの非放射性同位体で標識することもできる。このような同位体置換が行われた化合物では、存在する場合の以下の原子が異なっていてもよく、例えば、任意の水素がH/Dであってもよく、任意の炭素が11Cまたは13Cであってもよく、任意の窒素が15Nであってもよく、または任意のフッ化物(存在する場合)が18Fであってもよく、このような原子の存在および配置は当業者の技術の範囲内で決定され得ることが理解されるであろう。
【0114】
実施例
以下の実施例は、本開示内で説明される概念のいくつかを説明するために提供される。各実施例は、本開示の具体的な個別の実施形態を提供すると考えられるが、いずれの実施例も、本明細書に記載されたより一般的な実施形態を制限すると考えるべきではない。以下の実施例では、使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮する必要がある。
【0115】
実施例1.放射線照射研究
研究目的 全身照射されたC57BL/6オスのマウス造血モデルにおける急性放射線症候群の予防または緩和を目的としたRyanodexの静脈内投与の有効性を評価すること。
【0116】
放射線と線量測定 全身の照射線量を投与するために、動物はSNBL USA SOPに従ってRS-2000 X線生物学的照射装置(Rad Source,Suwanee,GA)で照射された。
目標線量 6.0 Gy(施設の致死プロファイルに基づいて計算されたLd50 /30
目標線量率 約1.325Gy/分
エネルギー 25mAで160kV(円形RAD+を備えたRS-2000チャンバーの床上)
銅フィルターサイズ 0.3 mm Cu
イオンチャンバー RadCal 2086イオンチャンバー線量計
計算 線量(Gy)=線量率(Gy/分)*時間(分)
【0117】
試験および対照品
試験品 RYANODEX(登録商標)(ダントロレンナトリウム)注射用懸濁液(Eagle Pharmaceutical,Inc.)。室温(15~25℃)で保存。
【0118】
対照品/ビヒクル 注射用滅菌水(静菌剤なし)。室温(15~25℃)で保存。
【0119】
調製 無菌手順を使用して、静菌剤を含まない注射用滅菌水(対照品/ビヒクル)5mLを添加することにより、試験品の各バイアルを再構成した。再構成された懸濁液には、ダントロレンナトリウム250mg/5mL(50mg/mL)が含まれていた。再構成されたバイアルは、オレンジ色の均一な懸濁液になるように反転させて混合した。調製した試験品は室温(15~25℃)で保存し、再構成後6時間以内に投与した。
【0120】
試験システム
種と系統 C57BL/6マウス(ハツカネズミ)。未実施の動物(Naive animals)。オス。(Charles River Laboratories)
体重範囲 順化開始時に20~30g
年齢層 順化開始時に10~11週間
順化のための動物数 オス120匹
投与のための動物数 オス108匹
【0121】
動物の世話
筐体 動物は温度と湿度が管理された環境で飼育された。温度は20~26℃、相対湿度は30~70%を目標範囲とした。目標湿度範囲外への移動が4時間未満の場合は偶発的なものとみなし、報告しなかった。自動照明システムは、12時間の明暗サイクルに設定された。
【0122】
動物福祉法および実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)(全米研究評議会 2011)とSENBL USA SOPに記載されている推奨事項に準拠したケージに、動物を社会的に収容した(1ケージあたり3匹以下とした)。確立された集団飼育の単位内の動物は、研究中に新しい社会グループに導入されなかった。動物が攻撃的な兆候を示した場合、研究中に単独で飼育した。寝具と餌は週2回交換し、照射後にマウスを清潔なケージに戻すようにした。
【0123】
食事と給餌 動物にはPMIのLabDiet(登録商標)Certified Rodent Diet 5002を自由摂取で与えた。飼料は定期的に汚染物質の分析が行われ、メーカーの仕様の範囲内であることが判明した。試験結果に支障をきたすレベルの汚染物質は存在しないと考えられる。食品分析記録は試験施設の記録として保存される。照射後1日目から、飼料の一部をケージの底に設置した。
【0124】
飲用水 酸性化した飲料水(pH2.5~3.0)をSNBL USAのSOPに従って調製し、すべての動物に自由摂取で与えた。源水は定期的に汚染物質の分析が行われている。試験結果に支障をきたすレベルの汚染物質は存在しないと考えられる。源水の分析記録は、試験施設の記録として保存される。
【0125】
環境エンリッチメント 動物には、SNBL USAのSOPに従って、研究期間中、栄養補助食品やケージを豊かにする装置が与えられた。
【0126】
獣医学的治療。獣医学的評価を行ったが、動物に獣医学的治療は行わなかった。罹患率はIrradiated Mouse Scoring Criteria SOPを用いて判定した。
【0127】
実験計画
動物の選択 ベンダーから提供された予防的健康データは、動物を受け取る前に獣医師によってレビューされ、承認された。受領後、動物は箱から出され、飼育技術者と研究技術者によって検査された。臨床的な異常が認められた動物は、獣医スタッフにより評価された。オスのC57BL/6研究用マウス110匹を無作為に割り付けた。予備のオスのC57BL/6マウス10匹を無作為に割り付けた。予備の動物は0日目以降にストックに戻された。
【0128】
無作為化 体重を組み込んだ層別無作為化スキームを用いて、動物を研究グループに割り当てた。
【0129】
順化期間 すべての動物は、照射前に最低14日間、研究室に順化させた。順化期のデータは予備も含めてすべての動物から収集した。割り当てられた動物は、順化期に得られた結果に基づいて、必要に応じて予備の動物と交換された。予備の動物は0日目以降に研究から除外した。動物には、順化の2日目までに酸性化した飲料水を与えた。
【0130】
研究デザイン 動物をグループに分け、表1に示すように治療した。
【表1】
【0131】
照射準備と手順
動物の拘束 意識のある動物は、RS-2000チャンバーの床に配置された円形のパイケージに入れた。
【0132】
照射被曝レベルおよび線量測定 グループ1~4の動物には、X線照射装置の照射によって6.0Gyの計算されたLD50/30レベルに曝露された。線量マップは、動物に照射する前と、その日のすべての照射が完了した後に、照射の各日に作成された。線量マップは研究データとともに保存された。
【0133】
照射頻度 放射線は、第0日目の朝に、グループ1~4の各動物に1回ずつ照射された。
【0134】
試験および対照品の投与
用量レベル 0、20、または30mg/kg
【0135】
投与経路 すべてのグループは、尾静脈または一時的なカテーテルを介して尾静脈に静脈内(IV)ボーラス注射により投与され、0.2mLのビヒクルで洗浄された。投与部位、投与開始時間、投与量が文書化された。
【0136】
投与頻度 試験品は、本文の表1に記載されているように投与した。投与は、0日目(グループ2、照射の1時間前)、1日目(グループ1、3、5)、1~5日目(グループ4、6)に行った。
【0137】
投与期間 表1に記載の通り。
【0138】
観察と検査
観察的ARSスコアリング 姿勢、被毛、および行動のパラメータに関するスコアは、順化中(-1日目)、0日目の照射前に1回、1~29日目に1日2回、および30日目に1回、SNBL USA SOPに従って実施および記録された。1~29日目のARSスコアリングは午前中に開始され、2回目のARSスコアリングは午前中のARSスコアリングの完了から4~6時間後に開始された。30日目のARSスコアリングは、剖検前の午前中に行われた。ARSスコアリングSOPに基づき、3つのパラメータースコアの合計が合計8以上の場合、試験品の最後の投与から24時間後に開始し、動物は瀕死と見なされ、瀕死の動物SOPに従って処理された。試験品投与後24時間までのARSスコアが8以上の動物は瀕死とはみなされなかった。
【0139】
死亡率チェック ケージサイドでの死亡率チェックはSOPに従って、1~29日目に1日2回実施され、午前と午後のARSスコアリング完了後2~3時間で開始された。個々の評価は、明らかに瀕死の動物については再採点を行い、発見された死骸については除去することでのみ記録された。必要に応じて、追加の死亡率チェックを行った。
【0140】
体重 各動物の体重は、順化中に2回、照射前の0日目に1回、その後は3日ごとに測定した。必要に応じて追加の体重測定を行った。
【0141】
採血手順
【表2】
採血および手順 血液は、表2に記載されているように、予定されている中間の剖検時に採取した。
【0142】
臨床病理学
血液学
動物/グループ グループ1~4のサブセットごとの最初の3匹の動物。
最小サンプル量 0.3mLの血液
チューブタイプ 0.5mL K2EDTA BD MAPチューブ
分析の方法 血液学的パラメータは,Advia社の自動分析装置を用いて測定した。血液学的パラメータは、照射後7日目および30日目に評価した。
パラメータ
白血球
赤血球
ヘモグロビン
ヘマトクリット
平均赤血球容積
平均赤血球ヘモグロビン
平均赤血球ヘモグロビン濃度
赤血球分布幅
血小板
平均血小板容積
示差白血球数(絶対)
好中球絶対数
リンパ球絶対数
単球絶対数
好酸球絶対数
好塩基球絶対数
網状赤血球比率
網状赤血球絶対数
【0143】
処分 残留したEDTA処理済みのサンプルは、分析前に2~8℃で最大24時間保存され、分析後に廃棄した。
【0144】
末端処理と病理学
予定された剖検 剖検の日に、グループ1~4の生存している動物は、末期の体重を記録し、SNBL USA SOPに従って麻酔を行い、続いて本明細書に記載の方法に従って血液を採取した。動物を放血により安楽死させ、剖検した。グループ5~6の動物は、剖検することなく安楽死させ、廃棄した。
【0145】
予定外の剖検 安楽死が認められたグループ1~4の動物は、末期の体重を記録し、SNBL USAのSOPに従って麻酔を行った。可能であれば、動物を放血により安楽死させ、剖検した。必要に応じて、剖検前に動物を安楽死させ、冷蔵した。安楽死が認められたグループ5~6の動物は、剖検させることなく安楽死させて廃棄した。
【0146】
死亡動物の発見 発見された死亡動物の体重を測定し、24時間以内に剖検した。必要に応じて、剖検前に動物を冷蔵した。
【0147】
肉眼的所見 すべての動物は、剖検時に完全な肉眼検査を受けた。予定された動物と予定外の動物のすべてから、大腿骨の骨髄の塗抹標本を2つ採取した。骨髄塗抹標本は、死亡が確認された動物や、剖検前に冷蔵された動物からは採取されなかった。骨髄塗抹標本の検査が必要な場合は、必要に応じて研究プロトコルに修正を加えた。
【0148】
臓器重量 臓器重量は、予定された剖検時の動物からのみ記録した。相対的な臓器重量は、最終体重および脳重量に対する割合として算出した。重さを測定する組織のリストは表3を参照。
【0149】
組織採取と保存 表3に示す組織をすべての動物から採取し、病理組織学的検査のために固定した。Modified Davidson液(MDF)で固定された精巣を除いて、すべての組織は10% NBFで固定された。
【表3】
【0150】
統計解析 予定された動物のすべての数値データの要約統計(平均および標準偏差)は、米国SNBL社から提供された。計算は、生データの完全な精度を用いて行った。予定された動物の数が1グループあたり3匹未満である時点でのデータは、統計的に分析されなかった。予定された対照データがない時点のデータは、統計的に分析されなかった。生存率は、Kaplan-Meier推定法を用いて、研究の過程全体および各用量群について算出された。
【0151】
結果
血液学的パラメータは、骨髄抑制と血球毒性のため、全身照射後7日目に最低値となった。照射後30日目に回復を評価した。
【0152】
全体的に見て、Ryanodexを投与した動物は対照動物よりも長生きし、WBC、好中球、リンパ球、血小板の絶対数が非投与の動物よりも改善されていた。(図1~5参照)。
【0153】
また、図6~7に示すように、Ryanodexを投与した動物では、7日目と30日目にヘモグロビン(HgB)とヘマトクリット(HCT)の測定を行った。
【0154】
照射後3日目~30日目まで、対照(例えば、滅菌水)、Ryanodexの照射前投与、Ryanodexの照射後単回投与、およびRyanodexの照射後1~5日目までの複数回投与を行った動物について、体重の平均変化率を評価した(図8A~8C参照)。
【0155】
照射後1日目~30日目まで、対照ビヒクル(滅菌水)、照射1時間前にRyanodex、照射後1日目にRyanodex、照射後1~5日目にRyanodexを投与した動物について、平均グループ死亡率スコアを評価した。図9A~9C参照。
【0156】
実施例2
ダントロレンナトリウム(1eq)を無水ジメチルホルムアミドに溶解した。試薬3(1eq)を加え、反応混合物を窒素下において60℃で撹拌した。4時間後、もう1当量の試薬3を加え、反応物を60℃で一晩撹拌した。その後、反応物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウムで2回洗浄した。層を分離した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、バキュームで濃縮した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。目的の製品が90~95%の純度で単離された。H NMRは、目的の製品について予測されたものと一致した。
【0157】
実施例2、方法A:1aをP2Oで一晩乾燥させた。DMF(10mL)中の1a(500mg、1.48mmol)の混合物に、0℃で3(0.84mL、3.72mmol)、続いてNaI(245mg、1.63mmol)を加えた。得られた混合物を室温で64時間撹拌した後、EtOAc(30mL)および塩水(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×15mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。粗残渣を、0~10% MeOH/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィー(2回)で精製し、目的の化合物4(355mg,45%)を黄色の固体として得た。
【0158】
実施例2、方法B:1aをP2Oで一晩乾燥させた。DMF(160mL)中の1a(8.0g,23.8mmol)の混合物に、室温で3(6.5mL,28.79mmol)、続いてNaI(4.28g,28.55mmol)を加えた。得られた混合物を室温で40時間撹拌し、混合物をEtOAc(250mL)および塩水(60mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×75mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をCHCl2-ヘキサンで粉砕し、黄色の固体(~7g)を得た。この固体を、0~10% MeOH/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィー(2回、不活性化したSiO)で精製し、目的の化合物4(1.92g、15%)を黄色の固体として得た。
【0159】
実施例3
化合物4のサンプルを、トリフルオロ酢酸/水の9/1混合物の1mlで常温において20~30分処理した。過剰なTFAを高真空で直ちに除去し、得られた固体をろ過で回収し、水(5ml)で洗浄し、風乾させた。出発物質、反応混合物、最終生成物をLC/MSで分析し、脱保護条件中に2がダントロレンに転化するかどうかを調べた。その結果、2のダントロレンへの転化は認められなかった。生成物のH NMRは、目的の生成物について予測されたものと一致した。
【0160】
実施例3、方法A:CHCl(9mL)中の4(886mg,1.65mmol)の混合物に、TFA(9mL)を加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させて乾燥させた。得られた残渣をヘキサンで1時間粉砕し、黄色の固体をろ過して乾燥させ、目的の化合物2(660mg、94%)を得た。
【0161】
実施例4
2の50mgを3mlのメタノールと混合(完全溶解)し、1gのNa+イオン交換カラムに適用した。化合物はメタノールで溶出し、凍結乾燥後、18mg(回収率36%)のオレンジ色の固体が得られた。この物質を水に溶かし、撹拌しながら少量の0.1M NaOHを加えて慎重にpH8.5まで滴定した。この溶液を凍結乾燥して、オレンジ色の固体である化合物2aを得た。凍結乾燥前後のサンプルのLC/MSは同一であり、イオン交換中にダントロレンに転化していないことがわかった。生成物のH NMRは、目的の生成物について予測されたものと一致した。
【0162】
実施例4、方法A:水(63mL、HPLCグレード)中の2(500mg、1.17mmol)の撹拌された懸濁液に、室温で0.1N NaOH(23.6mL、2.34mmol)を650μLの分注で直ちに加え、pHが8.5になるまで素早くボルテックスを行った。溶液をろ過し、ろ液を一晩凍結乾燥して、表題化合物2a(530mg,96%)を黄色の固体として得た。MS(CI)m/z=424.9[M]H NMR(300MHz,DO):δ8.08(d,J=8.8Hz,2H)、7.72(d,J=8.8Hz,2H)、7.59(s,1H)、6.98(d,J=3.6Hz,1H)、6.86(d,J=3.6Hz,1H),5.19(d,J=6.0Hz,2H),4.32(s,2H)。
【0163】
実施例5.2bの調製
水(12mL、HPLCグレード)中の2(100mg、0.23mmol)の撹拌懸濁液に、水(5mL)に溶解したトリス(5、57mg、0.47mmol)を室温で滴下して加えた。最終溶液のpHは6.6であった。溶液をろ過し、ろ液を一晩凍結乾燥して、表題化合物2b(150mg、95%)を黄色の固体として得た。MS(CI)m/z=424.9[M]+。H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.24(m,2H)、7.93(m,2H)、7.73(m,1H)、7.12(m,1H)、6.97(m,1H)、5.20(m,2H)、4.40(m,2H)、3.63(m,15H)。
【0164】
実施例6.
【0165】
工程1:1aをP2Oで一晩乾燥させた。DMF(20mL)中の1a(1.0g、2.97mmol)の混合物に、室温で氷酢酸(340μL、5.95mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を砕いた氷の上に注ぎ、固体をろ過し、水で洗浄した。得られた湿った固体を無水P上で一晩乾燥させて、目的の化合物7(920mg、98%)を黄色の固体として得た。
【0166】
工程2:水(45mL)中の7(1.35g,4.29mmol)の懸濁液に、ホルマリン(4.35mL,57.45mmol,37%水中ホルムアルデヒド)を加え、続いてKCO(51mg,0.37mmol)を加えた。反応混合物をろ過し、黄色の固体を3%ホルムアルデヒド水溶液で洗浄し、24時間風乾して、目的の化合物9(1.2g、82%)を得た。
【0167】
工程3:DMF:アセトン(40mL、15:25mL)中の9(615mg、1.78mmol)の溶液に、0℃でPCl(1.2mL、13.71mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で10分、室温で2時間撹拌した。その後、混合物を砕いた氷の上に注ぎ、得られた黄色の固体をろ過し、水(3×50mL)で洗浄し、P上で16時間、真空下で乾燥させて、目的の化合物6(600mg、92%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.33(d,J=8.5Hz,2H)、8.03(d,J=8.8Hz,2H)、7.87(s,1H)、7.48(d,J=3.3Hz,1H)、7.11(d,J=3.6Hz,1H),5.42(s,2H)、4.53(s,2H)。
【0168】
実施例7.
【0169】
工程1:1aをP2Oで一晩乾燥させた。DMF(20mL)中の1a(1.0g、2.97mmol)の混合物に、室温で氷酢酸(340μL、5.95mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を砕いた氷の上に注ぎ、得られた固体をろ過し、水で洗浄した。湿った固体を無水P上で一晩乾燥させて、目的の化合物7(920mg、98%)を黄色の固体として得た。
【0170】
工程2:水(2.6mL)中の7(90mg,0.28mmol)の懸濁液に、ホルマリン(0.29mL,3.83mmol,37%水中ホルムアルデヒド)を加え、続いてKCO(3.4mg,0.02mmol)を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌した後、反応混合物をろ過し、黄色の固体を3%ホルムアルデヒド水溶液で洗浄し、24時間風乾して、目的の化合物9(86mg,88%)を得た。MS(CI)m/z=343[M]H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.32(d,J=9.0Hz,2H)、8.03(d,J=9.1Hz,2H)、7.83(s,1H)、7.47(d,J=3.6Hz,1H)、7.08(d,J=3.6Hz,1H)、6.52(t,1H)、4.85(d,J=7.1Hz,2H)、4.45(s,2H)。
【0171】
実施例8.
【0172】
工程1:無水DMF(0.8mL,10.33mmol)を無水テトラヒドロフラン(13mL)に溶解した。この溶液を、テトラヒドロフラン(9mL)に溶解した塩化チオニル(0.75mL,10.33mmol)の撹拌溶液に滴下して加え、氷浴で冷却した。完全に添加し、氷上で30分経過した後、氷浴を取り除き、固体のN-ヒドロキシスクシンイミド(832mg,7.23mmol)をすぐに添加し(これは完全に溶解した)、続いて固体のプレ粉末モルホリン酢酸(1.0g,6.88mmol)を添加した。モルホリン酢酸はゆっくりと溶解し、均一な溶液となったが、急速に白濁した。この反応を室温で一晩激しく撹拌した。白い固体をテトラヒドロフランで洗浄し、真空下で乾燥させると、目的の化合物11(1.6g、96%)が白い固体として得られた。
【0173】
工程2:無水DMF(12mL)中の9(660mg,1.92mmol)および11(928mg,3.83mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.39mL、2.8mmol)を加えた。得られた混合物を60℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、アセトニトリル-水を溶離液とする逆相カラムクロマトグラフィーで精製した。カラムフラクションをHPLCで分析し、生成物を含むフラクションを凍結乾燥させて、純度50%の粗化合物を得た。この粗生成物を再度、アセトニトリル-水を用いた分取HPLCで精製した。純粋なフラクションを凍結乾燥すると、表題化合物10(100mg、10%)が黄色の固体として得られた。
【0174】
工程3:無水1,4-ジオキサン(4mL)中の10(75mg,0.16mmol)の撹拌溶液に、室温でHCl(0.3mL,1,4-ジオキサン中の4N)を加え、結果として得られた混合物を2時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥させた。得られた残渣を水に溶解し、一晩凍結乾燥して10c(75mg、94%)を得た。
【0175】
MS(CI)m/z=472.1[M]H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.33(d,J=8.8Hz,2H)、8.03(d,J=9.1Hz,2H)、7.89(s,1H)、7.49(d,J=3.6Hz,1H)、7.11(d,J=4.1Hz,1H)、5.60(s,2H)、4.54(s,2H)、3.32-3.81(m,10H).H NMR(300MHz,DO):δ8.17(d,J=8.5 Hz,2H)、7.81(d,J=8.8Hz,2H)、7.60(s,1H)、6.93-7.02(m,1H)、6.88-6.92(m,1H)、5.73(s,2H)、4.39(s,2H)、4.26(s,2H)、3.90-4.09(m,4H)、3.30-3.52(m,4H).
【0176】
実施例9.
【0177】
工程1:水(8mL)中のKCO(4.0g,28.94mmol)およびTBAHSO(240mg,0.70mmol)の混合物に、0℃でCHCl(8mL)中の13(2.0g,11.48mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で20分間撹拌した後、14(1.3mL,12.85mmol)を加え、再び3時間撹拌した。有機層を分離し、水(2×5mL)および飽和水性塩水(5mL)で洗浄した後、CHCl層を無水NaSO上で乾燥させろ過し、真空中で濃縮した。粗残渣を0~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物15(2.2g、86%)を無色のガムとして得た。
【0178】
工程2:1aをPで一晩乾燥させた。DMF(35mL)中の15(2.2g,9.87mmol)の混合物に、室温で1a(1.66g、4.93mmol)を加えた。得られた混合物を室温で20時間撹拌した後、EtOAc(50mL)で希釈し、水(2×25mL)および飽和水性塩水(15mL)で洗浄した。EtOAc層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過して、真空下で蒸発させた。粗残渣を0~100% EtOAc/CHCl(2回)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、続いてCHCl-ヘキサンで粉砕して、目的の化合物16(500mg,20%)を黄色の固体として得た。
【0179】
工程3:CHCl(18mL)中の16(340mg、0.68mmol)の混合物に、TFA(1.8mL)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、乾燥させた。得られた残渣をヘキサンで1時間粉砕し、黄色の固体をろ過して乾燥させ、目的の化合物12(300mg,99%)を得た。
【0180】
工程4:水(36mL,HPLCグレード)中の6(260mg,0.58mmol)の撹拌された懸濁液に、室温で0.1N NaOH(5.85mL,0.58mmol)を400μLのアリコートですぐに加え、その後素早くボルテックスを行った。最終溶液のpHは6.73であった。溶液をろ過し、ろ液を一晩凍結乾燥して、表題化合物12a(150mg,55%)を黄色固体として得た。MS(CI)m/z=445.1[M]H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.34(d,J=8.8Hz,2H)、8.04(d,J=8.8Hz,2H)、7.87(s,1H)、7.49(d,J=3.6Hz,1H)、7.11(d,J=3.8Hz,1H)、5.43(s,2H)、4.51(s,2H)、2.40(m,2H)、2.15(m,2H)。
【0181】
実施例10.
【0182】
工程1:無水DMF(10mL)中の化合物9(500mg、1.45mmol)の溶液に、DMF(2mL)中の化合物18(488mg、1.85mmol)を加え、続いてTEA(0.3mL、2.2mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。この混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×15mL)で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させて乾燥させた。粗生成物を、0~10%MeOH/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで2回精製し、目的の化合物19(350g、40%)を黄色の固体として得た。
【0183】
工程2:MeOH:1,4-ジオキサン(1:1、6mL)中の化合物19(200mg、0.32mmol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(63mg、0.32mmol)を加えた。この透明な溶液を室温で16時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、乾燥させた。残渣を0~10%MeOH/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物20(125g、77%)を黄色の固体として得た。
【0184】
工程3:m-キシレン:1,4-ジオキサン(1:1、16mL)中の化合物20(120mg、0.24mmol)および化合物21(26.4mg、0.26mmol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(15mg、0.07mmol)および4Åモレキュラーシーブ(100mg)を加えた。得られた混合物を16時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、1,4-ジオキサン(30mL)で希釈し、ろ過した。ろ液を蒸発させ、粗残渣を0~10%MeOH/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで2回精製し、目的の化合物17(16mg、11%)を黄色固体として得た。
【0185】
工程4:水(3mL、HPLCグレード)中の17(5mg、8.4μmol)の撹拌懸濁液に、0.1Nトリス(90μL、8.9μmol)を室温で滴下して加えた。この混合物を室温で3時間撹拌した後、溶液をろ過し、ろ液を一晩凍結乾燥して、表題化合物17b(6mg,100%)を黄色の固体として得た。MS(CI)m/z=594.1[M]H NMR(300MHz,DMSO-d):δ9.96(brs,1H)、8.34(d,J=8.8Hz,2H)、8.05(d,J=8.5Hz,2H)、7.89(s,1H)、7.5(d,J=3.2Hz,1H)、7.46(d,J=8.8Hz,2H)、7.29(d,J=8.5Hz,2H)、7.12(d,J=3.5Hz,1H)、5.57(s,2H)、4.99(s,2H)、4.55(s,2H)、3.23-3.32(m,9H)、2.33-2.36(m,4H)。
【0186】
実施例11.
【0187】
工程1:DMF(30mL)中の23(2.5g、14.28mmol)の混合物に、トリエチルアミン(3.47mL、24.93mmol)を加え、続いて24(3.92mL、53.9mmol)を室温で加えた。得られた混合物を室温で40時間撹拌した後、EtOAc(100mL)および水(50 mL)で希釈した。EtOAc層を、水(2×25mL)、5%NaHCO(25mL)、および飽和水性塩水(15mL)で洗浄した。EtOAc層を無水NaSO上で乾燥させ、バキュームで濃縮した。粗残渣を0~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物25(657mg、21%)を無色の油として得た。
【0188】
工程2:1aをP2Oで一晩乾燥させた。DMF(12mL)中の1a(647mg,1.92mmol)の混合物に、25(647mg,2.89mmol)を室温で加えた。得られた混合物を室温で110時間撹拌した後、EtOAc(40mL)で希釈し、水(2×15mL)、飽和水性塩水(15mL)で洗浄した。EtOAc層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過して、真空下で蒸発させた。粗残渣を0~100%EtOAc/CHClで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、目的の化合物26(260mg、27%)を黄色の固体として得た。
【0189】
工程3:無水1,4-ジオキサン(4mL)中の26(210mg,0.41mmol)の撹拌溶液に、室温でHCl(4mL,1,4-ジオキサン中の4N)を加え、得られた混合物を一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、乾燥させた。得られた残渣をヘキサンで1時間粉砕し、黄色の固体をろ過して乾燥させ、表題化合物22c(153mg、83%)を得た。MS(CI)m/z=402.1[M]H NMR(300MHz,DMSO-d):δ8.47(brs,3H)、8.34(d,J=8.8Hz,2H),8.04(d,J=8.8Hz,2H)、7.91(s,1H)、7.50(d,J=3.6Hz,1H)、7.12(d,J=3.6Hz,1H)、5.61(s,2H)、4.56(s,2H)、3.85(s,2H)。
【0190】
本明細書で引用した各特許、特許出願、および出版物の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に多数の変更や修正を加えることができ、そのような変更や修正は本発明の精神から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神と範囲内に入るすべてのそのような同等の変形をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C