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特許7526564プライ搬送及び圧縮装置並びにそのための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】プライ搬送及び圧縮装置並びにそのための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/56 20060101AFI20240725BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B29C43/56
B29C43/02
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219703
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2020116941
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】16/229,024
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー. プラウゼ
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジェイ. ハルブリッター
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー イー. モディン
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03023231(EP,A1)
【文献】特表2014-522747(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105619835(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/56
B29C 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体フレームと、
前記フレームに固定された柔軟なゴム材料の上部層シートと、
開口部を有する有孔の柔軟なゴム材料の下部層シートと、
前記上部及び下部層シートの間に定められた第1のプレナム領域内に配置された空気透過性の流通媒体材料の中間層シートと、を備え、
前記フレームは、前記上部層シートの周縁部のみに固定されている、プライ搬送及び圧縮装置。
【請求項2】
前記フレームに結合した移動装置
をさらに備える、請求項1に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項3】
前記移動装置は、トリミング場所において複合材料プライへと前記フレーム及びシートを下降させ、前記第1のプレナム領域に真空がもたらされて前記下部層シートの前記開口部によって吸引力が生み出されるときに、吸引力によって前記複合材料プライを持ち上げるように構成されている、請求項2に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項4】
前記移動装置は、前記トリミング場所から持ち上げられた前記複合材料プライを形成場所へと搬送するように構成されている、請求項3に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項5】
前記移動装置は、前記第1のプレナム領域よりも大きい第2のプレナム領域を生成するように、前記複合材料プライを前記形成場所の形成ツール又は該形成ツール上にすでにかぶせられたプライへとかぶせるように構成されている、請求項4に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項6】
前記第2のプレナム領域は、前記第1のプレナム領域を含み、一部が前記複合材料プライの縁と前記形成ツール上のリップシールとの間に定められる、請求項5に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項7】
前記第2のプレナム領域に真空をもたらして、前記複合材料プライを固めることができる真空バッグ構造をもたらすことができる可搬の真空発生源をさらに備える、請求項6に記載のプライ搬送及び圧縮装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のプライ搬送及び圧縮装置を使用することを含む航空機の一部分の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のプライ搬送及び圧縮装置を使用することで、所望の形状を有する複合材料構造を形成するための方法であって、
前記プライ搬送及び圧縮装置の前記第1のプレナム領域にて形成された、真空を逃がさない第1のチャンバからの吸引力を使用することによって、第1の場所において複合材料プライを持ち上げるステップと、
前記複合材料プライを前記第1の場所から第2の場所まで搬送するステップと、
前記複合材料プライを前記第2の場所の形成ツール上に配置するステップと、
前記複合材料プライを前記第2の場所の前記形成ツール上に配置するときに、前記第1のチャンバを含む、真空を逃がさない第2のチャンバを形成するステップと、
前記第2のチャンバ内に真空をもたらして、前記複合材料プライを固めることができる真空バッグ構造をもたらすステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記複合材料プライを前記第2の場所の形成ツール上に配置するステップは、
前記複合材料プライをすでにかぶせられたプライの上に配置して、前記複合材料プライをすでにかぶせられたプライの輪郭又は前記形成ツールの輪郭にかぶせて形成するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のチャンバ内に真空をもたらして、複数の複合材料プライから複合材料プリフォームを形成する真空バッグ構造をもたらすステップをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記複合材料プリフォームを前記真空バッグ構造において真空によって圧縮することにより、前記所望の形状を有する前記複合材料構造の形成を可能にするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記真空バッグ構造内の真空を解放するステップと、
前記所望の形状を有する前記形成された複合材料構造を取り出すステップと、
をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
複合材料プライをトリミング場所において持ち上げ、形成場所に配置し、次いで前記形成場所において真空圧着することを可能にするためのシステムであって、
請求項1~7のいずれか一項に記載のプライ搬送及び圧縮装置と、
(i)感知されたプライ位置情報に基づいて前記複合材料プライの持ち上げを制御し、(ii)感知されたプライ位置情報に基づいて前記複合材料プライの配置を制御し、(iii)前記第1のプレナム領域を含む第2のプレナム領域の感知された真空圧力情報に基づいて前記複合材料プライの真空圧着を制御するように構成されたコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記上部層シートと前記下部層シートとの間に定められた前記第1のプレナム領域に結合した真空発生源をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複合材料プライが前記形成場所において配置される形成ツールをさらに備える、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2のプレナム領域は、前記第1のプレナム領域よりも大きく、前記第1のプレナム領域を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、複合材料構造に関し、より詳しくは、プライ搬送及び圧縮装置並びにそのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料構造は、通常は、切断機及び形成ツールを使用して形成される。切断機が、複合材料プライの1つ以上の材料片を切り出し、次いで切り出された材料片が切断機から搬送され、形成ツール上に配置される。その後に、切断片が形成ツール上で固められ、複合材料構造が形成される。切断片を形成ツールへと搬送し、切断片を形成ツール上に配置し、その後に切断片を固める既知のやり方は、労働集約的であり、時間がかかる。複合材料プライ材料の1つ以上の切断片を搬送し、形成ツール上に配置し、固めることによって複合材料構造を形成する既知のやり方の欠点を克服することが、望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0003】
一態様においては、プライ搬送及び圧縮装置が、剛体フレームと、このフレームに固定された柔軟なゴム材料の上部層シートと、開口部を有する有孔の柔軟なゴム材料の下部層シートとを備える。この装置は、上部及び下部層シートの間に定められた第1のプレナム領域内に配置された流通媒体材料の中間層シートをさらに備える。この装置は、フレームに結合した移動装置をさらに備え、移動装置は、トリミング場所において複合材料プライへとフレーム及びシートを下降させ、第1のプレナム領域に真空がもたらされて下部層シートの開口部によって吸引力が生み出されるときに、この吸引力によって複合材料プライを持ち上げるように構成される。
【0004】
別の態様においては、所望の形状を有する複合材料構造を形成するための方法が提供される。この方法は、第1の真空を逃がさないチャンバからの吸引力を使用することによって、第1の場所において複合材料プライを持ち上げることと、複合材料プライを第1の場所から第2の場所まで搬送することとを含む。さらに、この方法は、複合材料プライを第2の場所の形成ツール上に配置することと、複合材料プライを第2の場所の形成ツール上に配置するときに、第2の真空を逃がさないチャンバを形成することとを含む。この方法は、第2の真空を逃がさないチャンバ内に真空をもたらして、複合材料プライを固めることができる真空バッグ構造をもたらすことをさらに含む。
【0005】
さらに別の態様においては、複合材料プライをトリミング場所において持ち上げ、形成場所に配置し、次いで形成場所において真空圧着することを可能にするためのシステムが提供される。このシステムは、フレームと、フレームによって支持された第1のプレナム領域とを備える。さらに、このシステムは、(i)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライの持ち上げを制御し、(ii)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライの配置を制御し、(iii)第1のプレナム領域を含む第2のプレナム領域の感知された真空圧力情報に基づいて複合材料プライの真空圧着を制御するように構成されたコントローラを備える。
【0006】
他の態様は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】出発状態における複合材料プライの典型的な切断片の側面断面図である。
図2図1の複合材料プライの上方の一実施形態に従って構成されたプライ搬送及び圧縮装置の側面断面図である。
図3図1の複合材料プライ上へと下げられた図2のプライ搬送及び圧縮装置を示す側面断面図である。
図4】複合材料プライを持ち上げる図3のプライ搬送及び圧縮装置を示す側面断面図である。
図5】複合材料プライを形成ツールの上方に移動させた状態の図4のプライ搬送及び圧縮装置を示す側面断面図である。
図6】複合材料プライを複合材料構造を形成するための図5の形成ツールへと下降させた状態の図5のプライ搬送及び圧縮装置を示す側面断面図である。
図7】形成ツール上の形成された複合材料構造から遠ざかるように上昇した図6のプライ搬送及び圧縮装置を示す側面断面図である。
図8図6と同様であり、プライ搬送及び圧縮装置と共に使用することができる随意によるフィンガ形成ユニットを示している側面断面図である。
図9図1のプライ搬送及び圧縮装置に組み合わせられ、複合材料構造を形成するように装置を制御することができる典型的なコンピュータシステムである。
図10】一実施形態に従って複合材料構造を形成するための典型的な方法を示すフロー図である。
図11】航空機の製造及び就航方法のフロー図である。
図12】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願は、プライ搬送及び圧縮装置並びにそのための方法に関する。プライ搬送及び圧縮装置並びにそのための方法の具体的構成、さらにはこの装置及び方法を実施する産業は、さまざまであってよい。以下の開示が、種々の実施形態のさまざまな特徴を実施するための複数の実施形態又は実施例を提供することを理解すべきである。構成要素及び配置の具体例が、本開示を簡単にするために説明される。これらはあくまでも例にすぎず、限定を意図していない。
【0009】
例として、以下の開示は、航空機部品用の複合材料構造を形成するためのプライ搬送及び圧縮装置並びに方法を説明する。このプライ搬送及び圧縮装置並びに方法を、軍事及び宇宙の規定に従って相手先商標製品の製造業者(OEM)によって実施することができる。本開示のプライ搬送及び圧縮装置並びに方法は、多数の他の複合材料製造産業において実施できると考えられる。
【0010】
図1を参照すると、出発状態における複合材料プライ100の典型的な切断片の断面図が示されている。複合材料プライ100は、切断場所のベッド/テーブル102に載せられて図示されている。有孔バリアフィルム104が、複合材料プライ100の上に配置されている。例えば、複合材料プライ100は、有孔バリアフィルム104が複合材料プライ100にすでに接続された状態で供給又は製造されてよい。複合材料プライ100は、エポキシを予め含浸させた炭素繊維材料を含むことができる。複合材料プライ100は、正味の形状へとトリミング(net-trimmed)された複合材料プライを含むことができ、切断場所は、トリミング場所を含むことができる。
【0011】
図2を参照すると、図1の複合材料プライの上方に、一実施形態に従って構成されたプライ搬送及び圧縮装置200の断面図が示されている。装置200は、上部層シート204が固定された剛体フレーム202を含む。装置は、上部層シート204と下部層シート208との間に挟まれた中間層シート206をさらに含む。上部層シート204は、中実かつ柔軟なゴムを含み、中間層シート206は、流通媒体207を含み、下部層シート208は、開口部210を有する有孔の柔軟なゴムを含む。中実かつ柔軟なゴム材料及び有孔の柔軟なゴム材料は、例えばシリコーンゴムを含むことができる。
【0012】
上部層シート204及び下部層シート208は、中間層シート206の流通媒体207が配置される第1のプレナム領域209(すなわち、マニホールド)をもたらすやり方で互いに結合している。第1のプレナム領域209は、フレーム202によって支持されている。中間層シート206の流通媒体207は、(可搬の真空発生源908に連通した)真空ライン212の真空が流通媒体207へと作用したときに、流通媒体207から下部層シート208の有孔の柔軟なゴムの開口部210に真空の圧力を伝えることができる。例えば、流通媒体207は、例えばバイプレイナ(bi-planer)メッシュ又は不織布などの透過性材料を含む。他の種類の流通媒体207も可能である。
【0013】
図3を参照すると、複合材料プライ100上へと下げられた図2のプライ搬送及び圧縮装置200を示す断面図が示されている。より具体的には、下部層シート208が、複合材料プライ100上に配置されたバリアフィルム104を介して複合材料プライ100に当接している。バリアフィルム104は、複合材料プライ100と下部層シート208との間の中間層として機能する。真空ライン212からの真空が、上部層シート204と下部層シート208との間の第1のプレナム領域209の流通媒体207に作用すると、流通媒体207は、有孔の下部層シート208の開口部210を介して複合材料プライ100へと真空を伝えることができる。これにより、真空によって生み出される吸引力によって複合材料プライ100を持ち上げることができる。複合材料プライ100に剥離可能に結合したバリアフィルム104は、真空を下部層シート208から複合材料プライ100へと伝えることができるように有孔である。バリアフィルム104は、複合材料プライ100上の粘着性の樹脂が下部層シート208に粘着することがないように、下部層シート208と複合材料プライ100との間のバリアとしても機能する。
【0014】
図4を参照すると、複合材料プライ100(及び、複合材料プライ100に付着したバリアフィルム104)を持ち上げる図3のプライ搬送及び圧縮装置200を示す断面図が示されている。プライ搬送及び圧縮装置200は、吸引力が複合材料プライ100の表面に作用して複合材料プライ100を下部層シート208に対して保持しているときに、ベッド/テーブル102から遠ざかるように上昇して複合材料プライ100を持ち上げるように、移動装置217によって制御される。換言すると、バリアフィルム104及び付着した複合材料プライ100が、装置200の下部層シート208の開口部210を封じるように機能することにより、装置200と複合材料プライ100との間に真空引きの接続を生み出す。移動装置217は、従来からの移動装置であり、したがって説明は省略する。
【0015】
図5を参照すると、複合材料プライ100を形成ツール214の上方に移動させた状態の図4のプライ搬送及び圧縮装置200を示す断面図が示されている。形成ツール214は、複合材料プライ100を持ち上げた切断場所から離れた形成場所においてベッド/テーブル215上に載せられて図示されている。リップシール216が、形成ツール214の外周に配置されている。図5において、プライ搬送及び圧縮装置200は、すぐに形成ツール214へと下降させることができる位置にある。
【0016】
図6を参照すると、複合材料プライ100を移動装置217によって形成ツール214へと下降させた状態の図5のプライ搬送及び圧縮装置200を示す断面図が示されている。複合材料プライ100が、形成ツール214又は形成ツール214をすでに覆っているプライを覆い、第1のプレナム領域209よりも大きく、第1のプレナム領域209を含んでいる第2のプレナム領域211を生み出す。第2のプレナム領域211は、第1のプレナム領域209を含み、一部分が複合材料プライ100の縁107と形成ツール214上のリップシール216との間に定められる。
【0017】
装置200が図5に示される位置から図6に示される位置へと下降するとき、上部層シート204、中間層シート206、及び下部層シート208は、形成ツール214の形状に一致するようにたわんで湾曲する。これが生じるとき、複合材料プライ100は、形成ツール214と下部層シート208との間で圧縮される。圧縮された複合材料プライ100も、形成ツール214の形状に一致するようにたわんで湾曲する。装置200が形成ツール214へと下降するときに複合材料プライ100が過度に引き伸ばされることがないように、バリアフィルム104が、下部層シート208が伸びるときに下部層シート208が複合材料プライ100上を或る程度滑ることを可能にする。
【0018】
切断場所において複合材料プライ100を持ち上げ、形成場所へと搬送し、次いで形成ツール214へと下降させる上述のプロセスが、所望されうる任意のさらなる数の複合材料プライについて繰り返される。これにより、形成ツール214上に複合材料プライの積層(すなわち、1つ以上の複合材料プライ)が形成される。装置200が最後の複合材料プライを形成ツール214上に配置した後で、複合材料プライの積層は、所望の数の複合材料プライを含み、装置200は、図6に示されるとおりの下降位置のままである。任意の従来からのプライ積層装置を、1つ以上のプライを生成するために使用することができる。プライ積層装置は、一方向性のテープ又はトウを隣接した切れ目のない配置にて積層することができる。各々のプライは、異なる繊維の向きを有することができる。各々のプライを、積層に先立って正味の形状へとトリミングすることができる。
【0019】
装置200が図6に示される位置にあるとき、真空ライン212を介する真空が、中間層シート206の流通媒体207に作用している。上述のように、流通媒体207は、真空を有孔の下部層シート208の開口部210を介して形成ツール214上の複合材料プライ100へと伝えることを可能にする。リップシール216が、形成ツール214と下部層シート208との間に真空を逃がさないシールをもたらす。形成ツール214の材料は、不透過性である。したがって、図6に示される複合材料プライ100は、装置200と、形成ツール214と、リップシール216とによって定められる第2のプレナム領域211の真空を逃がさない囲い(すなわち、「真空バッグ構造」)の中にある。
【0020】
図6に示される複合材料プライ100は、形成ツール214の形状(或いは、形成ツール214をすでに覆っているプライの形状)に対応する所望の形状にある。複合材料プライ100を、真空バッグ環境内の真空による複合材料プライ100のさらなる圧縮を可能にするために所望される限りにおいてずっと、図6の位置に保つことができる。
【0021】
図7を参照すると、断面図が、形成ツール214上に配置されて固められた複合材料プライ101から遠ざかるように上昇した装置200を示している。図7に示される固められた複合材料プライ101は、図1~6に示した複合材料プライ100との区別のために、参照番号「101」で示される。装置200が図6に示される位置から図7に示される位置へと上昇するとき、真空バッグ構造の真空は解放され、固められた複合材料プライ101にさらなる処理(例えば、硬化)を施すことができ、或いは1つ以上のさらなる複合材料プライ100を固められた複合材料プライ101へと重ね、固められた複合材料プライの積層を形成することができる。
【0022】
図8を参照すると、図6と同様の断面図が示されている。とくには、図8は、複合材料プライの機械的な形成を提供するために図6の装置200と共に使用することができる随意によるフィンガ形成ユニット220を示している。混乱を避けるために、図8の実施形態を、図6における番号に添え字「a」を加えたものを用いて説明する。随意によるフィンガ形成ユニット220は、輪郭224及び変曲点226又はそれらの付近などにおいて複合材料プライ100aの機械的な形成を適用するために、任意の適切な市販のフィンガ形成ユニットを備えることができる。フィンガ形成ユニットの構造及び動作は、既知かつ従来からのものであり、したがって説明は省略する。
【0023】
随意によるフィンガ形成ユニット220は、CNC制御である。したがって、センサは不要である。随意によるフィンガ形成ユニット220は、複合材料プライ100aの成形を促進するために空気圧シリンダ(図示せず)を使用して装置200aへと下げられる。滑り面222が、随意によるフィンガ形成ユニット220と上部層シート204との間に配置される。滑り面222の材料により、随意によるフィンガ形成ユニット220は、機械的な圧力を加えることによって変曲点226をまたぐ橋渡しを除去するための形成ツール214に対する位置へと滑ることができる。随意によるフィンガ形成ユニット220は、変曲点をまたぐ橋渡しを回避するやり方で形成ツール214に適応するようなサイズ及び形状を有することができる。滑り面222は、TeflonTM(The Chemours Companyの商標)などの引き伸ばし可能な材料で覆われた例えば英国のArmalon Limitedから市販されているガラス繊維を含むことができる。
【0024】
図9を参照すると、図2のプライ搬送及び圧縮装置200に組み合わせられ、固められた複合材料プライ101(図7)又は固められた複合材料プライの積層を形成するように装置を制御することができる典型的なコンピュータシステム900が示されている。コンピュータシステム900は、内部データ記憶ユニット904、外部データ記憶ユニット(図示せず)、又はこれらの組み合わせに格納された命令を実行する処理ユニット902を含む。処理ユニット902は、任意の種類の技術を含むことができる。例えば、処理ユニット902は、汎用の電子プロセッサを備えることができる。他の種類のプロセッサ及び処理ユニットの技術も可能である。内部データ記憶ユニット904は、任意の種類の技術を含むことができる。例えば、内部データ記憶ユニット904は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、固体メモリ、又はこれらの任意の組み合わせを備えることができる。他の種類のメモリ及びデータ記憶ユニットの技術も可能である。
【0025】
コンピュータシステム900は、任意の種類の技術を含むことができる所定数の入力/出力(I/O)装置906をさらに含む。例えば、I/O装置906は、キーパッド、キーボード、タッチ反応ディスプレイ画面、液晶表示(LCD)画面、マイクロホン、スピーカ、又はこれらの任意の組み合わせを備えることができる。他の種類のI/O装置及び技術も可能である。随意による感知ユニット910が、コンピュータシステム900へと入力信号をもたらす。本明細書に記載の随意によるフィンガ形成ユニット220も、コンピュータシステム900への入力信号をもたらすことができる。
【0026】
処理ユニット902は、複合材料プライの切断片を持ち上げるようにプライ搬送及び圧縮装置200を制御する。さらに、処理ユニット902は、形成ツール214上の成形された複合材料プライ100が本明細書において説明したように真空を逃がさない環境において硬化できるよう、真空ライン212を介して第1のプレナム領域209の真空を引く(すなわち、中間層シート206の流通媒体207へと真空をもたらす)ように真空発生源908を制御する。さらに、処理ユニット902は、随意によるフィンガ形成ユニット220及び移動装置217を制御する。
【0027】
コンピュータシステム900は、コンピュータ数値制御(CNC)に基づくシステムを備えることができる。CNCに基づくシステムは、予め作成されてコンピュータシステム900のデータ記憶ユニット904に格納されるCNCプログラムのパラメータの一部である位置座標(例えば、(x,y,z)座標)に依存する。格納された位置座標は、プライ搬送及び圧縮装置200並びにフィンガ形成ユニット220の制御を可能にする。
【0028】
切断場所のベッド/テーブル102(図1)上の複合材料プライ100(図1)の位置座標が、予め作成されたNCプログラムに格納される。格納された複合材料プライの位置座標が、複合材料プライ100を持ち上げるためにどの場所に移動すればよいかを装置200に伝える。また、格納された複合材料プライ100の座標は、複合材料プライ100を形成場所のベッド/テーブル215上の形成ツール214の上方へと運ぶためにどの場所に移動すればよいかを装置200に伝える。このプロセスが、結果として得られる複合材料構造を形成するために必要なすべての複合材料プライ(すなわち、1つ以上の複合材料プライ)について繰り返される。
【0029】
さらに、図8の随意によるフィンガ形成ユニット220の位置座標、並びにフィンガ形成ユニット220のサイズ及び寸法並びにインターフェースが装置200の上に望まれる形成ツール214の構成も、予め作成されたNCプログラムに格納される。この情報は、フィンガ形成ユニット220を複合材料構造の形成を促進するための適切な場所に下降させることができるような整列のためにどの場所に移動すればよいかを、空気圧シリンダ(図示せず)又は任意の他の種類の移動システムに伝える。図9に示したコンピュータシステム900は、センサを必要とせずに、複合材料構造を形成すべくプライ搬送及び圧縮装置200の動作を制御することができると考えられる。
【0030】
以上の説明は、コンピュータシステム900を、センサを必要とせずにプライ搬送及び圧縮装置200の動作を制御できるとして説明しているが、随意による感知ユニット910を設け、NCプログラムに格納された位置座標によって示される場所に対して複合材料プライの位置を割り出し、さらには/或いは検証することも考えられる。検出された複合材料プライの位置の差を、装置200を複合材料プライに正確に整列させるように(処理ユニット902によって実行されるフィードバック制御によって)相応に調整することができる。随意による感知ユニット910は、例えば頭上カメラ/光学認識システムを備えることができる。位置の感知に関して、レーダー、ライダー、映像感知、などの使用も考えられる。
【0031】
図10を参照すると、フロー図1000が、一実施形態に従って複合材料構造を形成すべく装置200の動作を制御するために図9の典型的なコンピュータシステムを動作させるための典型的な方法を示している。ブロック1002において、複合材料プライが、第1の真空を逃がさないチャンバからの吸引力を使用することによって第1の場所において持ち上げられる。次いで、このプロセスは、複合材料プライを第1の場所から第2の場所まで搬送するブロック1004へと進む。次いで、ブロック1006において、複合材料プライは、第2の場所において形成ツール上に配置される。複合材料プライが第2の場所において形成ツール上に配置されるとき、ブロック1008に示されるように第2の真空を逃がさないチャンバが形成される。ブロック1010において、第2の真空を逃がさないチャンバにおいて真空が引かれ、複合材料プライを固めることができる真空バッグ構造がもたらされる。次いで、プロセスは終了する。
【0032】
いくつかの実施形態において、複合材料プライは、すでにかぶせられたプライの上に配置され、したがって複合材料プライは、すでにかぶせられたプライの輪郭又は形成ツールの輪郭へとかぶせて形成される。
【0033】
いくつかの実施形態においては、複数の複合材料プライから複合材料プリフォームを形成する真空バッグ構造をもたらすために、第2の真空を逃がさないチャンバにおいて真空が引かれる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本方法は、真空バッグ構造内で真空によって複合材料プリフォームを圧縮することにより、所望の形状を有する複合材料構造の形成を可能にすることをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、真空バッグ構造内の真空が解放され、所望の形状を有する形成された複合材料構造が取り出される。
【0036】
いくつかの実施形態において、複合材料プライは、複合材料プライを持ち上げる前にトリミングされる。
【0037】
上述の装置200がロボット制御であることは明らかであろう。切断された複合材料プライを持ち上げて形成ツールまで運ぶように人員を働かせる必要がなくなる。したがって、複合材料構造を形成するための自動プロセスがもたらされる。したがって、自動プロセスは、形成された複合材料構造の損傷の可能性を少なくする。
【0038】
上部層シート204及び下部層シート208が、真空発生源908からの真空を引くことができる第1のプレナム領域209を定めることも、明らかであろう。処理ユニット902を含むコンピュータシステム900は、(i)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライ100の持ち上げを制御し、(ii)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライ100の配置を制御し、(iii)第1のプレナム領域209を含む第2のプレナム領域211の感知された真空圧力情報に基づいて複合材料プライ100の真空圧着を制御するように、真空発生源908を含む装置を制御する。
【0039】
さらに、上述のプライ搬送及び圧縮装置200が、複合材料プライの運搬装置及び真空バッグの両方として機能することは、明らかであろう。装置200は、複合材料プライを切断場所(又は、トリミング場所)から形成場所へと正確なインデキシングにて搬送することができるように複合材料プライを保持するための真空「チャック」として使用される。また、装置200は、正確なインデキシングで固められた複合材料プライを形成するために真空バッグ内の真空によって複合材料プライをさらに圧縮することを可能にするための真空バッグとしても使用される。単一の装置が、複合材料プライを搬送すること、及び複合材料プライを真空で固めることの両方に使用される。これは、複合材料構造の形成に必要な工場の床面積を減らすだけでなく、複合材料プライの切断と切断された複合材料プライの形成ツール上への配置との間の時間を減らすがゆえに、複合材料構造の形成に必要な時間も短縮する。したがって、全体としての製造コストが低減される。
【0040】
さらに、複合材料プライが正確なインデキシングで形成場所の形成ツールへと配置されることも、明らかであろう。これは、複合材料プライについて、形成ツール上の所望の形成位置へのより正確かつ再現性のあるインデキシングをもたらす。さらに、本明細書に記載の真空バッグ構造が使用されるとき、装置を後退させる工程、及びその後に別個の真空バッグを適用する工程が、不要である。これは、本明細書に記載の真空バッグ構造が実質的に真空バッグであり、複合材料プライが形成ツールへと配置されるときに形成されるからである。このように、真空バッグ構造は、複合材料構造の形成後のトリマーの必要性をなくすだけでなく、複合材料構造を形成するために1つ以上の複合材料プライの積層を圧縮する際の別個の真空バッグの必要性もなくす。
【0041】
本開示の実施例を、図11に示される航空機の製造及び就航方法1100並びに図12に示される航空機1102に関連させて説明することができる。生産開始前において、航空機の製造及び就航方法1100は、航空機1102の仕様決定及び設計1104と、材料調達1106とを含むことができる。製造中には、航空機1102の部品/小組立品の製造1108及びシステム統合1110が行われる。その後、航空機1102は、認証及び納品1112を経て、就航1114の期間に入る。顧客による就航の期間中は、航空機1102は、改良、再構成、改修、なども含みうる定期的な整備及び保守1116のスケジュールに組み込まれる。
【0042】
方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよく、第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織、などであってよい。
【0043】
図12に示されるように、例示的な方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を有する機体1118を含みうる。複数のシステム1120の例としては、推進系1124、電気系1126、油圧系1128、及び、環境系1130のうちの1以上が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。
【0044】
本開示の装置及び方法を、航空機の製造及び就航方法1100における1以上の任意の工程において採用することができる。一例として、航空機1102の一部(又は、いくつかの部分)を、本開示の装置及び方法を使用して組み立てることができる。別の例として、部品/小組立品の製造1108、システム統合1110、並びに/或いは整備及び保守1116に対応する部品又は小組立品を、本開示の装置及び方法を使用して組み立てることができる。別の例として、機体1118を、本開示の装置及び方法を使用して組み立てることができる。また、1以上の装置の実施例、方法の実施例、又はそれらの組み合わせを、部品/小組立品の製造1108及び/又はシステム統合1110で用いることによって、例えば、機体1118及び/又は内装1122などの航空機1102の組み立て速度を大幅に速めたり、コストを大幅に削減したりすることができる。同様に、1以上の装置の実施例、方法の実施例、又は、それらの組み合わせを、航空機1102の就航期間において、例えば、限定するものではないが、整備及び保守1116に用いてもよい。
【0045】
開示された実施形態の態様を、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにて実現することができる。システムのさまざまな要素を、個別に、又は組み合わせにて、プロセッサによる実行のための機械可読記憶装置(記憶媒体)に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品(命令のプログラム)として実現することができる。実施形態のさまざまなステップを、入力に基づいて動作して出力を生成することによって機能を実行するようにコンピュータ可読媒体上に有形に具現化されたプログラムを実行するコンピュータプロセッサによって実行することができる。コンピュータ可読媒体は、開示された実施形態の態様を具現化するコンピュータプログラムをコンピュータ上にロードできるように、例えば、メモリ、コンパクトディスク又はフラッシュドライブなどの可搬の媒体、などであってよい。
【0046】
上述の装置及び方法は、航空機に関連して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の装置及び方法がさまざまな用途に好適であり、本開示が航空機の製造の用途に限られないことを、容易に理解できるであろう。例えば、本開示の装置及び方法を、例えばヘリコプタ、客船、自動車、船舶製品(ボート、モータ、など)などのさまざまな種類の乗り物において実施することができる。乗り物以外の用途も考えられる。
【0047】
また、以上の説明は、航空機産業において航空機の部品のための複合構造を軍事及び宇宙の規定に従って形成するための装置及び方法を説明しているが、この装置及び方法を、あらゆる産業において、適用されうる産業規格に従った複合構造の形成を促進するために実施することができると考えられる。具体的な装置及び方法を、個々の用途に応じて選択及び調整することが可能である。
【0048】
本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0049】
付記1:剛体フレーム(202)と、
フレーム(202)に固定された柔軟なゴム材料の上部層シート(204)と、
開口部(210)を有する有孔の柔軟なゴム材料の下部層シート(208)と、
上部及び下部層シート(204、208)の間に定められた第1のプレナム領域(209)内に配置された流通媒体材料の中間層シート(206)と
を備えるプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0050】
付記2:フレーム(202)に結合した移動装置(217)をさらに備える、付記1に記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0051】
付記3:移動装置(217)は、トリミング場所において複合材料プライ(100)へとフレーム(202)及びシート(204、206、208)を下降させ、第1のプレナム領域(209)に真空がもたらされて下部層シート(208)の開口部(210)によって吸引力が生み出されるときに、吸引力によって複合材料プライ(100)を持ち上げるように構成されている、付記1又は2に記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0052】
付記4:移動装置(217)は、トリミング場所から持ち上げられた複合材料プライ(100)を形成場所へと搬送するように構成されている、付記1~3のいずれかに記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0053】
付記5:移動装置(217)は、第1のプレナム領域(209)よりも大きい第2のプレナム領域(211)を生成するように、複合材料プライを形成場所の形成ツール(214)又は形成ツール(214)上にすでにかぶせられたプライへとかぶせるように構成されている、付記1~4のいずれかに記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0054】
付記6:第2のプレナム領域(211)は、第1のプレナム領域(209)を含み、一部が複合材料プライ(100)の縁と形成ツール(214)上のリップシール(216)との間に定められる、付記1~5のいずれかに記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0055】
付記7:第2のプレナム領域(211)に真空をもたらして、複合材料プライ(100)を固めることができる真空バッグ構造をもたらすことができる可搬の真空発生源(908)をさらに備える、付記1~6のいずれかに記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)。
【0056】
付記8:付記1~7のいずれかに記載のプライ搬送及び圧縮装置(200)を使用することを含む航空機(1102)の一部分の製造。
【0057】
付記9:所望の形状を有する複合材料構造を形成するための方法(1000)であって、
第1の真空を逃がさないチャンバからの吸引力を使用することによって、第1の場所において複合材料プライを持ち上げること(1002)と、
複合材料プライを第1の場所から第2の場所まで搬送すること(1004)と、
複合材料プライを第2の場所の形成ツール上に配置すること(1006)と、
複合材料プライを第2の場所の形成ツール上に配置するときに、第2の真空を逃がさないチャンバを形成すること(1008)と、
第2の真空を逃がさないチャンバ内に真空をもたらして、複合材料プライを固めることができる真空バッグ構造をもたらすこと(1010)と
を含む方法(1000)。
【0058】
付記10:複合材料プライを第2の場所の形成ツール上に配置すること(1006)は、複合材料プライをすでにかぶせられたプライの上に配置して、複合材料プライをすでにかぶせられたプライの輪郭又は形成ツールの輪郭にかぶせて形成することを含む、付記9に記載の方法(1000)。
【0059】
付記11:第2の真空を逃がさないチャンバ内に真空をもたらして、複数の複合材料プライから複合材料プリフォームを形成する真空バッグ構造をもたらすことをさらに含む、付記9又は10に記載の方法(1000)。
【0060】
付記12:複合材料プリフォームを真空バッグ構造において真空によって圧縮することにより、所望の形状を有する複合材料構造の形成を可能にすることをさらに含む、付記9~11のいずれかに記載の方法(1000)。
【0061】
付記13:真空バッグ構造内の真空を解放することと、
所望の形状を有する形成された複合材料構造を取り出すことと
をさらに含む、付記9~12のいずれかに記載の方法(1000)。
【0062】
付記14:複合材料プライを持ち上げる前に複合材料プライをトリミングすることをさらに含む、付記9~13のいずれかに記載の方法(1000)。
【0063】
付記15:コンピュータ可読記憶媒体に有形に具現化された命令の1つ以上のプログラムを実行するメモリを有しているコンピュータによって実行される、付記9~14のいずれかに記載の方法(1000)。
【0064】
付記16:付記9~15のいずれかに記載の方法(1000)に従って製造された航空機(1102)の一部分。
【0065】
付記17:複合材料プライ(100)をトリミング場所において持ち上げ、形成場所に配置し、次いで形成場所において真空圧着することを可能にするためのシステム(900)であって、
フレーム(202)と、
フレーム(202)によって支持された第1のプレナム領域(209)と、
(i)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライの持ち上げを制御し、(ii)感知されたプライ位置情報に基づいて複合材料プライの配置を制御し、(iii)第1のプレナム領域(209)を含む第2のプレナム領域(211)の感知された真空圧力情報に基づいて複合材料プライの真空圧着を制御するように構成されたコントローラと
を備えるシステム(900)。
【0066】
付記18:第1のプレナム領域(209)は、柔軟であってフレーム(202)によって支持された上部層シート(204)と、柔軟かつ有孔であり、フレーム(202)によって支持された下部層シート(208)との間に定められる、付記17に記載のシステム(900)。
【0067】
付記19:フレーム(202)は、剛体であり、上部層シート(204)は、柔軟なゴム材料を含み、下部層シート(208)は、柔軟なゴム材料を含む、付記17又は18に記載のシステム(900)。
【0068】
付記20:上部層シート(204)と下部層シート(208)との間に定められた第1のプレナム領域(209)に結合した真空発生源(908)をさらに備える、付記17~19のいずれかに記載のシステム(900)。
【0069】
付記21:複合材料プライ(100)が形成場所において配置される形成ツール(214)をさらに備える、付記17~20のいずれかに記載のシステム(900)。
【0070】
付記22:第2のプレナム領域(211)は、第1のプレナム領域(209)よりも大きく、第1のプレナム領域(209)を含む、付記17~21のいずれかに記載のシステム(900)。
【0071】
さらに、開示された実施形態の種々の態様を図示及び説明したが、当業者であれば、本明細書を検討することで、改良に想到できるであろう。本出願は、そのような改良を含み、特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12