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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】飲料容器および炭酸飲料取扱器具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/02 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B65D25/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020001602
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109665
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000198477
【氏名又は名称】石塚硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 知久
(72)【発明者】
【氏名】早川 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-045288(JP,A)
【文献】特開2019-214413(JP,A)
【文献】実開平03-123836(JP,U)
【文献】実開平07-011978(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側表面を有する飲料容器であって、
前記内側表面の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、高さが「ISO 25178」で規定されたSz値の5%以下である山を無視したときに、隣接する山同士の間の前記二次元平面における山間距離の平均値が4.0μm以上であり、かつ、
前記内側表面は、「ISO 4287」で規定されたRaが20~98nmの範囲内である、
ことを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記山間距離の前記平均値が10.0μm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記山間距離の最大値が7.0μm以上である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記山間距離の最大値が15.0μm以下である、
ことを特徴とする請求項3に記載の飲料容器。
【請求項5】
ガラス、樹脂、金属およびセラミックスのいずれかで構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の飲料容器。
【請求項6】
内側表面を有する炭酸飲料取扱器具であって、
前記内側表面の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、高さが「ISO 25178」で規定されたSz値の5%以下である山を無視したときに、隣接する山同士の間の前記二次元平面における山間距離の平均値が4.0μm以上であり、かつ、
前記内側表面は、「ISO 4287」で規定されたRaが20~98nmの範囲内である、
ことを特徴とする炭酸飲料取扱器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器および炭酸飲料取扱器具に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器に注がれた炭酸飲料からの炭酸の抜けが早いと、炭酸飲料の清涼感が失われてしまう。特許文献1には、内側底面にスポット状粗面が形成されたコップが記載されている。該コップに炭酸飲料を注ぐとその衝撃により炭酸飲料が発泡し、その後はスポット状粗面が気泡発生のとりかかり部分となり、その箇所でおだやかな発泡が続き、長時間にわたって気泡が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-168430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、飲料の発泡を促すためのスポット状粗面を内側底面に設けて、それによって内側側面の一部のみから意図的に飲料を発泡させようとするものである
【0005】
しかしながら、飲料の発泡は、通常は飲料容器の内側側面の全域において起こり、このようにして生成される泡は、きめが粗くて崩壊が早い。本発明者らは、飲料容器の内側側面の全域で生じる発泡の原因が、該内側表面に存在する数μm程度の微小な突起が原因であることを見出した。
【0006】
本発明は、飲料容器あるいは炭酸飲料取扱器具の内側側面の突起による粗い泡の発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの側面は、内側表面を有する飲料容器に係り、前記飲料容器は、前記内側表面の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、高さが「ISO 25178」で規定されたSz値の5%以下である山を無視したときに、隣接する山同士の間の前記二次元平面における山間距離の平均値が4.0μm以上であり、かつ、前記内側表面は、「ISO 4287」で規定されたRaが20~98nmの範囲内である。
【0009】
本発明の第の側面は、内側表面を有する炭酸飲料取扱器具に係り、前記炭酸飲料取扱器具は、前記内側表面の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、高さが「ISO 25178」で規定されたSz値の5%以下である山を無視したときに、隣接する山同士の間の前記二次元平面における山間距離の平均値が4.0μm以上であり、かつ、前記内側表面は、「ISO 4287」で規定されたRaが20~98nmの範囲内である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飲料容器あるいは炭酸飲料取扱器具の内側側面の突起による粗い泡の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の飲料容器を示す図。
図2】ウェットブラスト装置の構成を模式的に示す図。
図3】評価結果を示す図。
図4】評価結果を示す図。
図5】サンプルA(実施例)の内側領域における第1領域の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図6】サンプルA(実施例)の内側領域における第2領域の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図7】サンプルB(実施例)の内側領域における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図8】サンプルC(実施例)の内側領域における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図9】サンプルD(実施例)の内側領域における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図10】サンプルE(実施例)の内側領域における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図11】サンプルF(比較例)の内側領域における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップを示す図。
図12】サンプルEの内側表面における一部分の領域の高さ分布をXY座標空間にマッピングした例を示す図。
図13】乾燥容易性および洗浄容易性に関する評価結果を示す図。
図14】ブラスト条件を例示する図。
図15】ブラスト条件を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態の飲料容器10が例示的に示されている。飲料容器10は、内側表面12を有し、内側表面12は、平滑化処理された平滑面で構成されうる。内側表面12を平滑面で構成することによって、内側表面12が炭酸飲料20を発泡させること、そして、その発泡によって粗い泡が形成されることを抑えることができる。一方、内側表面12が平滑化処理されていない場合には、図11に例示されるように、内側表面12は、多数の微小な突起を有し、これらの突起が炭酸飲料を発泡させて粗い泡を形成しうる。ここで、図11は、平滑化処理がなされていない内側表面12の一部分における高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップである。平坦化処理には、ウェットブラスト加工が使用されうる。
【0014】
図2には、ウェットブラスト加工を実施するためのウェットブラスト装置100の構成が模式的に示されている。ウェットブラスト装置100は、ワークとしての半製品状態の飲料容器10を保持する保持部110と、保持部110によって保持された半製品状態の飲料容器10の内側表面12に向けてスラリーを噴射する噴射ノズル120とを備えうる。スラリーは、例えば、粒子(例えば、石、ガラスまたはプラスチック等)と液体(例えば、水または薬液等)を混合して形成されうる。保持部110は、例えば、飲料容器10をその軸を中心として自転させうる。ウェットブラスト装置100は、保持部110によって保持された飲料容器10と噴射ノズル120との相対位置および/または相対角度を変更する変更機構130を備えうる。
【0015】
図3図4には、内側表面12の平坦化処理としてウェットブラスト加工が施されたサンプルA、B、C、D、E、F(実施例)と、ウェットブラスト加工が施されていないサンプルF(比較例)との評価結果が示されている。ここで、A1は、サンプルAの第1箇所の評価結果を示し、A2は、サンプルAの第2箇所の評価結果を示している。ブラスト条件は、図14図15に示されている。
【0016】
ここで、図15(a)は、サンプルA、B、C、D、Eについて共通の条件を示し、図15(b)は、サンプルA、B、C、D、Eについて個別の条件を示している。投射距離は、図14に示されるように定められたサンプル(半製品状態の飲料容器10)と噴射ノズル120との距離である。サンプル傾斜角度は、サンプルの軸と水平軸との角度である。噴射ノズル傾斜角度は、サンプルの軸と噴射ノズル120の軸との間の角度である。走査処理は、噴射ノズル120の走査方法である。サンプル回転速度は、サンプルの回転速度である。走査回数は、噴射ノズル120を走査する回数である。エア圧は、噴射ノズル120に供給されるエアの圧力である。走査処理速度は、噴射ノズル120を走査する速度である。走査処理時間は、噴射ノズル120を走査する時間である。停止時間は、ウェットブラスト加工の開始後、噴射ノズル120を図14に示される停止位置(噴射ノズル傾斜角度)に停止させる時間である。総処理時間は、ウェットブラスト加工をサンプルに施す総時間である。ウェットブラスト装置としては、マコー株式会社から入手可能なウェットブラスト装置を使用した。スラリーとしては、粒径3μmのアルミナを濃度15%vol%で使用した。サンプルA、B、C、D、E、Fは、ガラスで構成されている。なお、ここで挙げられたブラスト条件等の条件は、例示的なものに過ぎないことに留意されたい。
【0017】
初期ガスボリューム[GV]、15分後ガスボリューム[GV]、ガスボリューム差[GV]は、各サンプルの炭酸ガスの保持能力を評価した結果である。より具体的には、埃を除去するために事前に内側表面を濡らしたサンプルに炭酸水を注いだ後、サンプルを耐圧容器の中に配置し、耐圧容器の内圧が0.5MPaになるまで炭酸水中に炭酸ガスを充填し、その後、サンプルを耐圧容器の外に出して評価を行った。初期ガスボリューム[GV]は、耐圧容器からサンプルを出した直後におけるサンプル内の炭酸水のガスボリュームである。15分後ガスボリューム[GV]は、耐圧容器からサンプルを出してから15分が経過した時点におけるサンプル内の炭酸水のガスボリュームである。ガスボリューム差[GV]は、初期ガスボリューム[GV]と15分後ガスボリューム[GV]との差分であり、ガスボリューム差[GV]が小さいことは、サンプル(飲料容器)内の炭酸水からの炭酸ガスの抜けが小さいこと、すなわち、内側表面12の特性が良いことを示している。ガスボリューム差[GV]が大きいことは、サンプル(飲料容器)内の炭酸水からの炭酸ガスの抜けが大きいこと、すなわち、内側表面12の特性が悪いことを示している。内側表面12の特性が悪いことは、内側表面12に存在する微小な突起が炭酸水に刺激を与えて、気泡を発生させることを示唆している。なお、ガスボリュームは、炭酸水が入ったサンプルを密封可能な容器内に載置した後、内圧を0.5MPaにすることにより、炭酸水に入れたチューブを通してAnton Paar社製のCarboQCに炭酸水を送ることで測定した。
【0018】
内側表面12がウェットブラスト加工されたサンプルA、B、C、D、E(実施例)は、内側表面12がウェットブラスト加工されなかったサンプルF(比較例)と比較して、ガスボリューム差[GV]がかなり小さいことが分かる。しかし、線粗さ(ISO 4287)および面粗さ(ISO 25178)の評価結果では、サンプルA、B、C、D、E(実施例)とサンプルF(比較例)との間に有意な差は認められない。一方、山間距離では、サンプルA、B、C、D、E(実施例)とサンプルF(比較例)との間に有意な差が認められる。
【0019】
そこで、ウェットブラスト加工されたサンプルA、B、C、D、E(実施例)と内側表面12がウェットブラスト加工されなかったサンプルF(比較例)とは、山間距離によって区別されうる。山間距離とは、内側表面12の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、隣接する山同士の間(隣接する山と山との間)の該二次元平面における距離である。ここで、山と山との間の該二次元平面における距離は、隣接する山の頂上と山の頂上との間の該二次元平面における距離として評価される。山間距離は、山頂距離と表現されてもよい。なお、図4に示された評価結果における山間距離については、三鷹光器株式会社製の非接触表面性状測定装置(PF-60)および三次元表面性状解析ソフト(MitakaMap)のモチーフ解析機能を使用して得た。この際、高さがSz値の5%以下である山を無視して、近隣のモチーフと結合するように設定した。
【0020】
図5には、サンプルAの内側表面12における第1領域の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップが示されている。図6には、サンプルAの内側表面12における第2領域の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップが示されている。同様に、図7図8図9図10図11には、それぞれ、サンプルB~Fの内側表面12における一部分の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップが示されている。
【0021】
モチーフ法は、線粗さを評価するための基準として、JIS B0631(2000年)において規定されている。山間距離は、JIS B0631(2000年)における「粗さモチーフの長さ」に対応する。ただし、JIS B0631(2000年)では、線粗さ(一次元における粗さ)の評価基準を与えるに過ぎないので、これを二次元の評価基準に拡張する必要がある。これは、二次元を規定するXY座標において、X軸に平行な複数の線およびY方向に平行な複数の線について粗さモチーフを抽出し、抽出された粗さモチーフをXY座標空間にマッピングすることによって達成されうる。
【0022】
図12には、サンプルEの内側表面12における一部分の領域の高さ分布をXY座標空間にマッピングした例が示されている。この領域内には、モチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、山(粗さモチーフにおける山)が3つあり、それらの頂上は、M1、M2、M3で示されている。M1とM2との距離L1は、隣接する山同士の間の二次元平面(XY座標空間)における山間距離である。また、M2とM3との距離L2は、隣接する山同士の間の二次元平面(XY座標空間)における山間距離である。図12には、隣接する山同士の組として、頂上M1を有する山と頂上M2を有する山との組、および、頂上M2を有する山と頂上M3を有する山との組があり、他の組は存在しない。L1は、モチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて隣接する山同士の間の二次元平面における山間距離L1、L2のうちの最大値であり、L2は、モチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて隣接する山同士の間の二次元平面における山間距離L1、L2のうちの最小値である。(L1+L2)/2は、モチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて隣接する山同士の間の二次元平面における山間距離L1、L2の平均値(算術平均値)である。
【0023】
図4に示された評価結果において、サンプルA、B、C、D、E(実施例)では、山間距離の平均値が4.0μm以上であり、サンプルF(比較例)では、山間距離の平均値が3.37μmであり、これは4.0μm未満である。また、図4に示された評価結果において、サンプルA、B、C、D、E(実施例)では、山間距離の最大値が7.0μm以上であり、サンプルF(比較例)では、山間距離の最大値が5.24μmであり、これは7.0μm未満である。一方、図4に示された評価結果において、サンプルA、B、C、D、E(実施例)では、ガスボリューム差が0.6[GV]以下であり、サンプルF(比較例)では、ガスボリューム差が0.90[GV]である。よって、ガスボリューム差を評価項目とすると、サンプルA、B、C、D、E(実施例)の全てがサンプルF(比較例)よりも優れている。よって、飲料容器10は、その内側表面12の山間距離の平均値が4.0μm以上であることが好ましい。また、飲料容器10は、その内側表面12の山間距離の最大値が7.0μm以上であることが好ましい。
【0024】
図4に示された評価結果において、サンプルA、B、C、D、E(実施例)の中で比較すると、サンプルA、B、C、D、Eでは、山間距離の平均値が10.0μm以下であり、サンプルDでは、山間距離の平均値が11.10μmであり、これは10.0より大きい。また、サンプルA、B、C、D、Eでは、山間距離の最大値が15.0μm以下であり、サンプルDでは、山間距離の最大値が17.20μmであり、これは15.0より大きい。一方、サンプルA、B、C、Eでは、ガスボリューム差が0.50[GV]以下であり、サンプルDでは、ガス差が0.57[GV]である。よって、飲料容器10は、その内側表面12の山間距離の平均値が10.0μm以下であることが好ましい。また、飲料容器10は、その内側表面12の山間距離の最大値が15.0μm以下であることが好ましい。
【0025】
図13には、乾燥容易性および洗浄容易性に関する評価結果が示されている。乾燥容易性は、サンプルA~Fを水道水で洗浄し、開口部を下方に向けて静置してから12分後における内側表面の水滴の有無を評価した結果であり、〇は内側表面に水滴がなかったことを示し、×は内側表面に水滴があったことを示している。サンプルA、B、C、D、E(実施例)では、水滴がなくなったことが確認されたが、サンプルF(比較例)では、多数の水滴が残っていることが確認された。
【0026】
洗浄容易性は、サンプルA~Fの内側表面にグリース(日本グリース社製カートリッジリチウムEP)を付着させ、洗浄機(ホシザキ社製業務用食器洗浄機JW-350RUF-R形)によって洗浄した結果を示している。サンプルA、B、C、D、E(実施例)では、17回の洗浄でグリースによる汚れが完全に除去されたことが確認されたが、サンプルF(比較例)では、25回の洗浄の後においてもグリースによる汚れが残っていることが確認された。
【0027】
実施例のサンプルA、B、C、D、Eに係る飲料容器10は、ガラスで構成されているが、飲料容器10は、樹脂、ステンレス等の金属およびセラミックスのいずれかで構成されてもよい。
【0028】
以下、飲料容器の製造方法を説明する。該製造方法は、半製品状態の飲料容器10(サンプルFに相当する)を準備する準備工程と、該半製品状態の飲料容器10の内側表面12にウェットブラスト加工を施す加工工程と、を含みうる。該加工工程では、内側表面12の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、隣接する山同士の間の該二次元平面における山間距離が大きくなるように該ウェットブラスト加工を行いうる。
【0029】
上記の飲料装置に適用された技術は、例えば、炭酸飲料を取り扱う炭酸飲料取扱器具の内側表面に適用されうる。該内側表面は、炭酸飲料に接触しうる面である。該炭酸飲料取扱器具は、例えば、炭酸飲料を製造または貯蔵するためのタンク、炭酸飲料の移送管、または、炭酸飲料を注出するための注出機等を含みうる。該炭酸飲料取扱器具は、内側表面を有し、該内側表面の高さ分布を二次元平面にマッピングした二次元高さマップからモチーフ法によって抽出される粗さモチーフにおいて、隣接する山同士の間の該二次元平面における山間距離の平均値は、4.0μm以上でありうる。該山間距離の平均値は、10.0μm以下でありうる。該山間距離の最大値は、7.0μm以上でありうる。該山間距離の最大値は、15.0μm以下でありうる。
【0030】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
10:飲料容器、12:内側表面、100:ウェットブラスト装置、110:保持部、120:噴射ノズル、130:変更機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15