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特許7526579物体回避方法、物体回避システム、およびコンピュータプログラム製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】物体回避方法、物体回避システム、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/04 20060101AFI20240725BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64D45/00 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020068142
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2020194533
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】16/387,741
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】レジナ アイネス エストコースキ
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-007971(JP,A)
【文献】特開平03-009211(JP,A)
【文献】特開2011-143774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0125221(US,A1)
【文献】特開2008-134224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実施される物体回避方法であって、
特定の時空間ゾーンにあり且つ制御対象ビークルを含むビークルであって、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にあるビークルの時間参照位置及び状態データを所定数のプロセッサによって受信し、
一部が前記特定の時空間ゾーンの一部と重なる対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを所定数のプロセッサによって受信し、
前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを所定数のプロセッサによって算出し、
テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲における空間的バッファゾーンを所定数のプロセッサによって算出し、
前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路であって、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持する経路を所定数のプロセッサによって算出し、
前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを所定数のプロセッサによって経路制御し、
所定数のプロセッサによって空間分割を生成し、
所定数のプロセッサによって、前記制御対象ビークルに対する位置の観点から前記制御対象ビークルを中心とした往来情報を表示する前記制御対象ビークルの操縦マニホールドを前記空間分割にマッピングする、方法。
【請求項2】
前記ホモトピー的に別個の経路は、前記制御対象ビークルの操縦機能及び制約に従って算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、他のビークルの位置及び状態データの変化又はテレイン及び障害物データの変化のいずれかに応答して、所定数のプロセッサによって、所定数の新たなホモトピー的に別個の経路を算出し、
所定数のプロセッサによって、前記新たな経路のうちの1つに沿って、前記制御対象ビークルを経路制御する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記テレイン及び障害物データは、三角測量の形式で与えられる、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記テレイン及び障害物データは、等間隔の格子点における標高データを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ホモトピー的に別個の経路を、四次元仮想予測レーダ(4D-VPR)で表示する、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記4D-VPRは、ビークル、テレイン、及び、障害物の交差を、時間リング上に示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
所定数のプロセッサによって、テレイン及び障害物データの分解能を、操縦マニホールドの分解能に一致するように間引き又は精緻化することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記テレイン及び障害物データは、前記制御対象ビークルのオンボードのデータベース 又はオフボードのサーバのうちの少なくとも1つによって提供される、請求項1~のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
制御対象ビークル、及び、
前記制御対象ビークルに接続されたコンピュータ、を含む物体回避システムであって、前記コンピュータは、
バスシステムと、
前記バスシステムに接続された、プログラム命令を格納する記憶装置と、
前記バスシステムに接続された所定数のプロセッサと、を含み、前記所定数のプロセッサは、請求項1~のいずれか1つに記載の前記方法を行うための前記プログラム命令を実行する、物体回避システム。
【請求項11】
物体回避のためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、
プログラム命令が記録された不揮発性のコンピュータ可読の記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、請求項1~のいずれか1つに記載の前記方法を前記コンピュータに行わせるように、所定数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ビークル間の離隔を維持し且つ障害物を回避するためのビークルの経路制御に関する。より具体的には、本開示は、ビークルの離隔に、テレイン(terrain)及び障害物の回避を自動的に組み込むことに関する。
【背景技術】
【0002】
全米航空システム(NAS)に無人航空機システム(UAS)を組み込むためには、離隔距離の確保(Remain Well Clear)が必要とされる。特に、他のビークルからの離隔状態を維持しつつ、テレイン及び固定の障害物を回避することは、都市部やインフラストラクチャ検査のためなど、低高度での運用において重大な懸念事項である。
【0003】
移動中の航空機やその他のビークルは、多くの移動中又は静止した障害物に遭遇する。移動中の障害物の例として、他の航空機や、鳥の群れ、気象システムなどがある。静止した障害物の例として、テレイン(地形)のような自然物、及び、塔や建物などの人工物がある。飛行経路に沿って移動中の航空機が、想定済み及び想定外の障害物のために、一時的なコース修正を行うことが必要になる場合がある。航空機のオペレータは、速度、高度、安全性、及び、乗客の快適性に関する制約を守りつつ、到着予定時刻を順守することができる機首方向の変更を行おうとする。
【0004】
他の航空機に加えて、航空機のオペレータは、テレインや静止した障害物も考慮しなければならない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態は、コンピュータにより実施される物体回避方法を提供する。当該方法は、特定の時空間ゾーンにおける、制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを受信することを含み、前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にある。対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信し、前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっている。前記特定の時空間ゾーン内の各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウが算出される。テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に、空間的バッファゾーンが算出される。次に、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までにわたる所定数のホモトピー的に別個の経路が算出され、前記経路は、他のビークルの軌道ウィンドウとテレイン及び障害物のバッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持する。次に、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルが経路制御される。
【0006】
別の例示的な実施形態は、制御対象ビークル及び前記制御対象ビークルに接続されたコンピュータを含む物体回避システムを提供する。コンピュータは、バスシステムと、前記バスシステムに接続された、プログラム命令を格納する記憶装置と、前記バスシステムに接続された所定数のプロセッサと、を含み、前記所定数のプロセッサは、特定の時空間ゾーンにおける、前記制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを受信し、前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にあり、対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信し、前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっており、前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを算出し、テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に空間的バッファゾーンを算出し、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路を算出し、前記経路は、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持するものであり、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを経路制御する、ための前記プログラム命令を実行する。
【0007】
別の例示的な実施形態は、物体回避のためのコンピュータプログラム製品を提供する。前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令が記録された不揮発性のコンピュータ可読の記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、以下のステップ、すなわち、特定の時空間ゾーンにおける、前記制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを受信し、前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にあり、対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信し、前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっており、前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを算出し、テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に空間的バッファゾーンを算出し、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路を算出し、前記経路は、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持するものであり、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを経路制御するステップを前記コンピュータに行わせるように、所定数のプロセッサによって実行可能である。
【0008】
特徴、機能、及び、利点は、本開示の様々な実施形態によって個別に達成することができ、あるいは、さらに他の実施形態と組み合わせてもよく、そのさらなる詳細は、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示的な実施形態に特有のものと考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。一方、例示的な実施形態や、その好ましい利用形態、さらなる目的や特徴などは、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を、添付図面に照らして参照すれば最もよく理解されるであろう。
【0010】
図1】例示的な実施形態による、離隔管理システム内における経路決定のシステムのブロック図である。
図2】例示的な実施形態による、様々な程度の不確定性における航空機の安全離隔ウィンドウの概略図を提示する図である。
図3A-3B】例示的な実施形態による、様々な程度の不確定性における、テレイン用の安全離隔ウィンドウの概略図を提示する図である。
図4】例示的な実施形態による、テレイン対処ならびに検出及び回避(DAA)のためのシステムを示すブロック図である。
図5】例示的な実施形態による、空間分割座標系の投影に重ね合わされたVPR座標系を示す図である。
図6】例示的な実施形態による単一分解能の空間分割の一部を示す図である。
図7】例示的な実施形態による多分解能の空間分割の一部を示す図である。
図8】例示的な実施形態による、4D-VPRの複数のレイヤーを示す図である。
図9】例示的な実施形態による、ファット経路を表示している仮想予測レーダの図である。
図10】例示的な実施形態による、ファット経路をテレインデータと組み合わせて表示している仮想予測レーダの図である。
図11】例示的な実施形態による、テレインデータを考慮した変更後のファット経路を表示している仮想予測レーダの図である。
図12】例示的な実施形態による、VPR物体回避にテレイン情報を組み込むための処理フローを示すフローチャートである。
図13】例示的な実施形態による、VPRファット経路にテレイン情報を組み込むための処理フローを示すフローチャートである。
図14A-14B】例示的な実施形態による、テレインデータをVPRにマッピングするためのプロセスを示すフローチャートである。
図15】例示的な実施形態によるデータ処理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他のビークルからの離隔を維持しつつテレイン及び障害物を回避することが、低高度、特に、アーバンエアモビリティ(Urban Air Mobility)環境における運行にとって、さらに重要になっているということを例示的な実施形態は認識及び考慮している。
【0012】
例えば航空機などの制御対象ビークルは、決定ポイント(decision points)に到着する前に、航行及び機首情報を与えられる必要があるということを例示的な実施形態は認識及び考慮している。
【0013】
航空機の飛行経路に関し、航空機と当該航空機の前方地点との間における航空機の計画飛行経路上に、対象の物体が存在する場合があるということを例示的な実施形態は認識及び考慮している。
【0014】
航空機は、例えば、ホモトピー的に他と区別される少なくとも1つの飛行領域をたどるが、このような領域を本明細書では「ファット経路(fat path)」と称する。当該航空機の操縦特性および確率的に予想される他の航空機の対象ゾーンとに基づいて、航空機の初期位置と目的地との間で複数のファット経路が算出される。なお、初期位置および目的地は、時間情報が付加(時間参照)される。離隔管理システムは、制御対象航空機、及び、制御対象航空機が回避しようとする他の航空機についての航空機情報及び空域情報を受信し、フィルタリングする。各航空機の軌道ウィンドウが求められ、時間及び推定位置について監視が行われる。離隔管理システムは、いつ軌道の重複が発生しそうかを判定し、制御対象ビークルのコース修正を行うことができる。
【0015】
仮想予測レーダ(virtual predictive radar: VPR)スクリーンは、制御対象ビークルの複数の軌道経路を表示するとともに、時間リングを表示に含めることで、時間を加味した三次元空間において制御対象ビークルの位置を予測することができる。制御対象ビークルの操縦特性及び速度に基づいて、制御対象ビークルに制約が課される場合がある。第2のビークルがVPRを横切ることが予測される際には、第2のビークルからの制御対象ビークルの離隔を維持するために、軌道経路のサブセットに沿って複数のファット経路を生成することができる。
【0016】
ホモトピー的に別個の飛行領域(ファット経路)、離隔管理システム、仮想予測レーダ、ならびにこれらのサポート方法及びシステムについては、2011年11月15日付の米国特許第8,060,295号「Automated Separation Manager」に、より詳しく記載されている。
【0017】
航空機のファット経路の算出方法は、時間参照空域内における制御対象航空機の周囲の他の航空機を考慮しているが、経路選択肢の生成の際に、テレインや地上障害物に対応していないということを例示的な実施形態は認識及び考慮している。
【0018】
VPR操縦マニホールド(Maneuver Manifold)は、制御対象ビークルに対する位置の観点から制御対象ビークルを中心とした往来情報(traffic information)を表示するが、テレインデータは、経度・緯度の格子点における標高などの広域的な形で表されるのが一般的であるということを、例示的な実施形態は、認識及び考慮している。従って、テレイン、障害物、及び、往来機からの同時離隔を実現するには、異種の座標で表されたり、異種のデータ構造で保持されたりするテレイン情報とビークル情報とを統合する方法が必要とされる。
【0019】
例示的な実施形態は、離隔維持及び物体回避のために、テレイン及び障害物に対する考慮をVPRデータ構造に組み込むための方法及びシステムを提供する。テレインデータは、八分木や矩形の3D格子のような構造などの空間分割データ構造に保持され、これが、VPRデータ構造にマッピングされる。操縦マニホールドも、テレイン表示にマッピングされ、テレインが操縦マニホールドと交差する場所が求められる。
【0020】
例示的な実施形態は、制御対象ビークルのVPRの形態で操縦マニホールドを保持する自動離隔システムを提供し、VPRは、時空ゾーン内の関連する通行位置を継続的に監視するものである。離隔管理システムは、テレイン及び障害物情報を空間分割データ構造内に保持するための八分木モジュールを含み、その範囲は、時空ゾーンを包含する。離隔管理システムは、テレイン及び障害物情報を含む空間分割内にVPRをマッピングし、これにより、VPR内のテレイン及び障害物の位置を往来機情報と共にコード化する。離隔管理システムは、往来機、テレイン、及び、建物又は塔などの障害物を回避する複数のファット経路をVPR内に生成する。
【0021】
次に、図面を参照する。図1は、離隔管理システムにおける経路決定システム100のブロック図を示している。システム100は、制御対象ビークル102、コンピュータ104、アプリケーション106、障害物108、障害物110、障害物112、ファット経路114、ファット経路116、ファット経路118、初期位置120、目的地122、決定境界124、及び、経路制御マニホールド126を含む。
【0022】
制御対象ビークル102は、例えば、固定翼飛行機、ヘリコプター、グライダー、気球、飛行船、または無人航空機を含む航空機である。制御対象ビークル102は、船及び潜水艦を含む船舶であってもよい。制御対象ビークル102は、陸上車両であってもよい。
【0023】
コンピュータ104は、例えば、汎用コンピュータである。コンピュータ104は、制御対象ビークル102に搭載することができる。また、コンピュータ104は、例えば航空管制センターなどの地上位置に配置することもできる。コンピュータ104は、物理的に異なる位置にあるコンピュータを含め、目的のために協働する複数のコンピュータであってもよい。
【0024】
アプリケーション106は、コンピュータ104で実行され、制御対象ビークル102のオペレータが機首方向に関して決定を行うことができる時間及び空間に関する境界の設定であって本明細書に提示の操作を実行することができる。一実施形態において、アプリケーション106の一部は、2つ以上の場所に配置されているか、あるいは2つ以上の航空機又はその他のビークルに搭載された、2つ以上のコンピュータ104において実行することができる。
【0025】
障害物108、障害物110、及び、障害物112は、静止あるいは移動中の航空機、気球、グライダー、無人航空機を含みうる。障害物108、障害物110、及び、障害物112は、さらに、鳥の群れ、気象システム、ならびに、静止または移動中を問わず、制御対象ビークル102が回避することが望ましい任意の他の物体も含みうる。障害物108、障害物110、及び、障害物112はまた、地上に存在する場合もあり、例えば山脈を含むテレインなどの自然物、あるいは、通信塔、建物、または飛行禁止区域などの人造物の場合もある。海洋の実施形態では、障害物108、障害物110、及び、障害物112は、他の船、潜水艦、ブイ、水中又は非水中のテレイン、及び、気象システムの場合がある。
【0026】
ファット経路114、ファット経路116、及び、ファット経路118は、ホモトピー的に別個の飛行領域である。ファット経路114、ファット経路116、及び、ファット経路118は、制御対象ビークル102の操縦特性、及び、他の航空機を含む障害物108、障害物110、及び障害物112の確率的予想対象ゾーンに基づいて、制御対象ビークル102の時間参照位置と所定の参照地点との間で算出される。ファット経路114、ファット経路116、及び、ファット経路118は、経路制御(操縦用)マニホールド126内に含まれた、最大単連結領域であり、当該領域内の各地点には、当該地点を含むとともに時間参照初期位置120で始まり目的地122で終了する、制御対象ビークル102の実現可能なルートが存在する。制御対象ビークル102のルートが実現可能とは、当該ルートがスケジュール要件及び制約を満たし、且つ、物理的に可能であることをいう。
【0027】
初期位置120、目的地122、及び、経路制御マニホールド126によって、制御対象ビークル102の操縦上及び動作上の制約を満たすとともに障害物108~112を回避する、開始状態から終了状態までの、空間及び時間における可能な経路の集合体あるいは連合体を生成することができる。操縦及び動作上の制約には、例えば、速度、高度、安全性、及び乗客の快適性が含まれる。
【0028】
決定境界124は、時間及び空間のうちの少なくとも一方における複数の点からなる単連結組である。実現可能な経路を維持するためには、決定境界124上のある点に到着した際、制御対象ビークル102は、以下のいずれか、すなわち、ファット経路114、ファット経路116およびファット経路118のうちの1つ以上を含む分岐選択肢に移行する経路上にあるか、あるいは、ファット経路114、ファット経路116およびファット経路118のうちの1つに移行する別のファット経路への機首方向の変更を開始するか、でなければならない。なお、例示的な実施形態は、決定境界無しで実施することもできる。例えば、時刻0においてファット経路の選択を行い、その後は他のファット経路へ変更しないようにしてもよい。これによって、決定境界124の必要性を排除することができる。
【0029】
図1示した例示的な実施形態は、様々な例示的な実施形態が実現される態様について、物理的または構造的な限定を示唆するものではない。図示したものに加えて及び/又は代えて、他のコンポーネントを用いることも可能である。例示的な実施形態によっては、不要なコンポーネントもあり得る。また、図に示したブロックは、いくつかの機能的なコンポーネントを表している。これらのブロックのうちの1つ又は複数は、別の実施形態で実施する際には、統合したり、異なるブロックに分割したりすることもできる。
【0030】
図2は、例示的な実施形態による、様々な程度の不確定性がある場合における航空機の安全離隔ウィンドウの概略図を提示する図である。図2は、例示を目的として提示されており、本開示のシステム及び方法が土台としうる離隔管理システムにおいて考慮すべき不確定性を描いたものである。図2に示したコンポーネントは、図1に示したコンポーネントに対応付けられる。図2に示した制御対象航空機202は、図1に示した制御対象ビークル102に対応する。図2に示した参照航空機208は、図1に示した障害物108に対応する。図2は、様々な程度の不確定性における航空機の安全離隔ウィンドウを示す概略図である。
【0031】
図2は、200a及び200bと符号を付した2つの別個のシナリオを示している。制御対象航空機202及び参照航空機208の各々が、軌道ウィンドウ(確率的予想位置ゾーン)を有している。制御対象航空機202は、計画軌道経路からの航行上の不確定性を表す軌道ウィンドウR1を有する。軌道ウィンドウR1は、環境条件(例えば風、気団など)、計装の制限及び/又は許容誤差、又は、航空機の軌道に影響を与えるその他の要素に起因しうる。このサブセットの軌道ウィンドウR1によって表される航行不確定性は、通常小さく、経時的にほぼ一定であると仮定することができる。制御対象航空機202の第2軌道ウィンドウR2は、時間の関数としての制御対象航空機202の取りうる軌道として規定され、ここで、R2の半径は、直線経路からの距離を表す。例えば、高操縦性航空機は、比較的短い距離で急角度の操縦を行うことができるため、非常に大きいR2を有する一方、低操縦性の航空機は、より狭いR2値を有する。一般的に言って、R2値は、航空機の最大の操縦不確定性を規定し、R2エリアは、時間とともに急速に大きくなるという特徴がある。
【0032】
参照航空機208も、時間の関数としての想定される軌道及び位置を規定する軌道ウィンドウ206を有する。
【0033】
シナリオ200aは、制御対象航空機202にとって望ましくない状況を描いている。制御対象航空機202の軌道ウィンドウR2が広すぎることにより、軌道ウィンドウR2と軌道ウィンドウ206との交差を操縦で回避する十分な余裕が無いためである。このような状況では、制御対象航空機202と参照航空機208とが干渉するリスクが高い。
【0034】
例示的な実施形態は、制御対象航空機202の軌道ウィンドウを狭め、これにより、制御対象航空機202と参照航空機208との間の潜在的な離隔ゾーンを拡大する。
【0035】
シナリオ200bは、制御対象航空機202と参照航空機208とが安全に通過できるように、軌道ウィンドウR3がより狭くなっているため、制御対象航空機202が安全に離隔される状態を描いている。例示的な実施形態は、確率曲線を用いて、軌道ウィンドウR2を、シナリオ200bに示した最小安全距離軌道ウィンドウR3まで狭める。例えば、軌道ウィンドウR3は、制御対象航空機202の軌道に対して、98%の信頼区間を提示しうる。シナリオ200aとは異なり、シナリオ200bは、制御対象航空機202の軌道ウィンドウR3と参照航空機208の軌道ウィンドウ206との交差を含んでおらず、これにより、2つの航空機の間に安全な離隔距離を形成している。例示的な実施形態は、離隔管理部を実装して空域を制御する際に、関連する航空機に軌道ウィンドウR3を用いるものである。
【0036】
これらの異なる軌道ウィンドウR1、R2、R3を、図2のセクション200cに、より詳細に示している。上述したように、R1は、通常、環境条件、計装の制限及び/又は許容誤差に起因する小さな航行上の不確定性を表しており、経時的にほぼ一定である。R2は、ビークルが今後向かうかもしれない進行エリア(look-forward area)を表す、最大の操縦不確定性を反映しており、プロジェクトタイムとともに急速に大きくなる。R3は、最接近の最小安全距離を表している。当業者であればわかるように、R2がR3より大きいという概括的な関係が同じであれば、R1、R2、及び、R3の半径が、セクション200cに示したものと大きく異なっていてもよい。
【0037】
図1に戻ると、経路制御マニホールド126は、パイロット、地上管制官、及びその他のために不確定性の領域についての情報を包含することができ、さらに、図1の制御対象ビークル102及び障害物108の軌道ウィンドウ(例えばR2、R3)についての情報も包含することができる。システム100は、複数の点からなる単連結の組を提示する決定境界124も含み、これに到達すると、制御対象ビークル102のオペレータは、例えば不確定性の領域及び軌道ウィンドウについての情報を含んだ、先に確立された制約を確認しつつ、機首方向に関する決定をしなければならない。
【0038】
仮想予測レーダ(VPR)は、制御対象航空機の前方における前方監視(look-ahead)/時空間ゾーン内にある他の航空機の軌道ウィンドウと、制御対象航空機の操縦性制約とを考慮に入れた操縦/経路制御マニホールドを表すデータ構造である。
【0039】
図3A及び図3Bは、例示的な実施形態による、様々な程度の不確定性におけるテレイン用の安全離隔ウィンドウの概略図を提示する図である。図3A及び図3Bは、例示を目的として提示されており、本開示のシステム及び方法が土台としうるテレイン回避システムにおいて考慮すべき不確定性を描いたものである。図3A及び図3Bに示したコンポーネントは、図1に示したコンポーネントに対応付けされている。図3Aに示した制御対象航空機302は、図1に示した制御対象ビークル102に対応する。図3Aに示したテレイン特徴304は、図1に示した障害物108に対応する。図3A及び図3Bは、様々な程度の不確定性におけるテレイン用の安全離隔ウィンドウを示す概略図である。
【0040】
図3A及び図3Bは、300a、300b、及び300cと符号を付した3つの別個のシナリオを示している。制御対象航空機302の操縦は、テレイン測定値の不確定性を表すT1を考慮する必要がある。テレイン測定値は、格子緯度及び経度位置、及び、標高を表す。T1は、通常、よく把握されており、バッファゾーン306に組み込まれる。
【0041】
制御対象航空機302の操縦は、T1不確定性によって定まるバッファを超えて延びるT2aも考慮する必要がある。T2aは、テレインデータの粗な分解能による不確定性を表しており、これは、テレインの特徴によって大きく変化する場合があり、測定データ不足のために周知でない場合がある。テレイン特徴304は、あるスポットにおけるテレインの高度を表し、粗な測定分解能のために、その測定データは提供されていない。
【0042】
制御対象航空機302は、特に山岳テレインにおける上昇気流と風の状態による制御対象航空機302の挙動の不確定性を考慮する軌道不確定性T2bを有しており、これは、気象、典型的な循環パターン、テレインの種類、及び、航空機の種類によって変化する。
【0043】
300aに示したシナリオは、図2のシナリオ200aの場合の参照航空機208と同様に、短距離センサによってテレイン特徴304が検出された時には、制御対象航空機302が操縦によりこれを回避するには手遅れであるというリスクを伴う。
【0044】
シナリオ300bでは、軌道経路R3は、バッファゾーン306に対して、最小安全接近距離を確立する。すべての風の条件下ですべての種類のテレインに当てはまる固定の最小値は存在しない。ただし、ある特定のエリア及び種類のテレインには、典型的な既知の風条件がある。シナリオ300bでは、バッファゾーン306を拡大して、既知の風条件及びテレインの種類を考慮に入れている。
【0045】
シナリオ300cでは、より高いテレイン分解能308が可能な場合に、制御対象航空機302がこれに切り替わり、危険なテレインの種類を考慮に入れる。テレインデータ分解能が向上したためにバッファゾーンは縮小されているが、それでもなお、風条件は考慮されている。
【0046】
図3Bのセクション300dは、テレインに関連付けられた不確定性T1、T2a、T2bと、テレインの種類及び風条件に応じた最小安全接近距離T3とによって構成された全体のバッファゾーンT4を示している。シナリオ300b及び300cは、T3を含まない部分バッファゾーンを示している。最小の軌道経路R3は、T3を包含していることを理解されたい。
【0047】
図4は、例示的な実施形態によるテレイン対処ならびに検出及び回避(detect and avoid:DAA)のためのシステムを示したブロック図である。システム400は制御対象ビークルの前方監視領域内の航空機及びテレインのデータについての情報を統合する。航空機システム402における各航空機システム404は、位置406及び計画経路408を有しており、これらは、複数のシステムによってアクセス可能とされている。
【0048】
ローカルデータベース及び/又はテレインサーバ410は、テレインデータを提示し、現在位置、計画経路、及び更新用のパラメータ定義のローカル領域を更新する。テレイン及び障害物データへのアクセスを高速化するために、オンボードのテレイン及び障害物データベースを含めることもできる。また、DAAシステムと通信する遠隔のテレインサーバも、オンボードデータベースの代わりに、あるいはこれと組み合わせて用いることができる。
【0049】
テレインパラメータは、テレイン分解能412及びテレイン更新用領域サイズ414を含む。テレインパラメータは、リアルタイムで更新することができ、また、動作上の必要性又は実装に応じて固定とすることもできる。更新用領域サイズ414は、テレインの具体的な前方監視領域に依存し、これは侵入機(例えば他のビークル)のものよりも大きい場合がある。前方監視領域は、当事者速度(ownership speed)、計画からの許容逸脱、回避時間枠、および回避時間枠を超えるバッファゾーンに依存する。
【0050】
航空機及びテレインデータは、複合トラッカー418、警告システム420、及び、入力及び通信監理422を含むDAAシステム416に供給される。入力及び通信監理422は、当事者状態、飛行計画、テレイン、警告、予測軌道及び衝突回避に関する情報を、回避サブシステム424に提供する。
【0051】
空間分割管理部426は、空間分割パラメータを保持する。テレイン管理部428は、空間分割432にテレイン情報を保持する。多分解能分割(multi-resolution partition)の場合、テレイン管理部428は、受信したテレインデータを、様々な分解能で表せるように間引き又は精緻化して、制御対象ビークルの操縦マニホールドの分解能に適合させる。これは、単一分解能分割において、受信したテレインデータが分割分解能に一致しない場合にも、行うことができる。テレイン管理部428は、補助データ構造も保持し、標高ソーター(elevation sorter)として作用する。
【0052】
軌道管理部430は、当事者予測軌道及び侵入機予測軌道を保持し、予測軌道を分割に保持する場合は、予測軌道で空間分割432を更新する。
【0053】
空間分割432は、空間構成体内の場所が関連する場合に、情報の効率的な表示、保持、及びアクセスに用いられるデータ構造である。空間分割は、空域の往来に関する情報を保持するために用いることができ、往来の多いエリアにおいて特に有用である。
【0054】
空間分割432は、複数の空間分割セル、各分割セルに関連付けられた情報、および分割パラメータを表すとともに、多くの場合ツリー構造である、効率的な分割検索のための構造を表す。空間分割432は、関連するテレインデータを保持したり、テレインデータをVPR434にマッピングしたりするのに用いられる。
【0055】
VPR434は、制御対象航空機の当事者予測軌道に基づいて、VPRデータを生成し、VPR侵入予測軌道に侵入機を表示する。このデータから、VPRは、図9に示したファット経路914、916、918などの回避ファット経路を生成する。
【0056】
VPR空間分割リンカー436は、空間分割432をVPR434にマッピングする機能及びその逆を行う機能を提供する。VPR434は、方位角、距離、標高、及び時間の形態で、当事者中心の空域表示を提供する。空間分割432は、例えば図6に示すように、緯度、経度、及び、高度に基づいた、通常は矩形のテレイン表示である。従って、VPR434及び空間分割432は、異なる座標系の異なるデータ構造を有する。VPR空間分割リンカー436は、VPRセルを空間分割セルにマッピングする、あるいは、VPRファット経路を空間分割セル及び標高ソーターにマッピングすることができる。
【0057】
ファット経路改良部(refiner)440は、テレイン及び障害物データと計量情報に基づいて、ファット経路を改良し、他のビークルの位置及び状態データの変化、あるいは、テレイン及び障害物データの変化のいずれかに応じて、新たなファット経路を算出することができる。ガイダンスオプション438は、ルート変更の選択肢を含むファット経路情報を、出力の表示、ならびに、ウェイポイント選択肢/バンドなどの他の表示に変換する。ガイダンス出力部442は、ガイダンス情報を、必要な出力形式に配置する。
【0058】
図5は、例示的な実施形態による、空間分割座標系の投影に重ね合わされたVPR座標系を示す図である。具体的には、図5は、投影空間分割に重ね合わされたVPR座標系の1つのレイヤーを示しており、Z軸は一定である。
【0059】
VPR520は、制御対象航空機の前方の時空間ゾーンを表している。空間分割510は、少なくとも一部が時空間ゾーンと重なる対象空間ゾーンを表している。対象空間ゾーンと時空間ゾーンの互いに重なる部分は、各ゾーンのサブセクションのみあるいは各ゾーン全体を含む。
【0060】
図5からわかるように、空間分割510は、この図では、X-Y平面内の矩形格子の形をとる。空間分割内のセルは、X寸法512及びY寸法514によって画定されている。VPR520は、最初の0点から始まる放射状格子の形をとり、0点は、制御対象航空機の位置も表している。vx方向ベクトル522は、0に位置しており、空間分割510のX方向に平行に向いている。同様に、vY方向ベクトル524は、0に位置しており、空間分割510のY方向に平行に向いている。
【0061】
なお、図5は、説明を簡単にするために、空間分割510及びVPR520の両方の単一の平面を描いている。後述するように、空間分割510及びVPR520の両方が、Z軸に沿う複数のレイヤーを含む場合がある。
【0062】
図6は、例示的な実施形態による単一分解能の空間分割の一部を示している。空間分割600は、複数のセル602を含む矩形の3D格子のような構造として表されている。セル602は、X軸に沿う座標604、Y軸に沿う座標606、及び、Z軸に沿う座標608によって画定されており、このように、テレイン特徴610を図示のセル内に三次元で表すことができるようになっている。テレインデータは、三角測量により等間隔の緯度及び経度のX-Y格子点それぞれにおける標高値を与える形式でDAAシステムに提供することができる。
【0063】
図6に示した例の空間分割600は、単一サイズのセルのみを用いた単一分解能である。
【0064】
図7は、例示的な実施形態による多分解能の空間分割の一部を示している。この例では、空間分割700は、各セル702が8個の子セル712を有する八分木の形式で表されている。親セル702及び子セル712は、異なる分解能レベルを表す。以下に説明するように、テレインデータ分解能の度合いは、当該データがVPRデータと組み合わさる態様に影響しうる。
【0065】
図8は、例示的な実施形態による四次元(4D)VPRの複数のレイヤーを示している。図8は、説明を簡単にするために単純化して示している。この図において、4D-VPR800は、2つのVPRレイヤー802及び804を含む。図示のように、航空機810は、現在、VPRレイヤー802で表される高度で飛行している。図8からわかるように、VPRレイヤー804は、VPRレイヤー802と比較すると、切頭された形態を有する。この切頭部分は、VPRレイヤー804の高度まで上昇する間に航空機810がカバーしなければならない水平距離を表している。
【0066】
例示的な実施形態では、空間分割のデータ構造とVPRのデータ構造とを互いにマッピングして、これらのデータ構造間の交差を探す。VPRに表されたファット経路は、テレイン特徴の存在に応じて、最適化又は変更することができる。
【0067】
図9は、例示的な実施形態による、ファット経路を表示している仮想予測レーダの図である。図9に示したコンポーネントは、図1に示したコンポーネントに対応付けされている。図9に示した制御対象ビークル902は、図1に示した制御対象ビークル102に対応する。図9に示した障害物908、障害物910、及び、障害物912は、図1に示した障害物108、障害物110、及び、障害物112に対応する。図9に示したファット経路914、ファット経路916、及び、ファット経路918は、図1に示したファット経路114、ファット経路116、及び、ファット経路118に対応する。図9に示す初期起点920及び目的地922は、其々、図1に示した時間参照初期位置120及び時間参照目的地122に対応する。図9は、図1に示したコンポーネントに対応していないコンポーネントも、いくつか示している。図9は、2つの追加の障害物、すなわち、障害物928及び障害物930を示している。
【0068】
4D-VPR900は、時間リングも含み、これらのうちの2つを、説明のために、時間リング932及び時間リング934と符号付けしている。図9にはリングとして描いているが、時間リング932及び時間リング934は、リングのような形状でなくともよく、様々な形状とすることができる。特定の時間に特定の地点にビークルが到着する可能性も、時間リング932及び時間リング934のうちの少なくとも1つと関連付けることができる。時間リング932及び934は、所与の時間における制御対象ビークルの位置の不確定性を反映するために、様々な次元(dimensions)を取ることができる。時間リング932、934は、それ自体はシステム又は方法の構成要素ではなく、むしろ、時間における境界を表すものである。制御対象ビークル902が初期起点920を出発して目的地922に向かって移動する際には、当該制御対象ビークル902は、例えば図1のアプリケーション106によって設定される、時間リング932及び時間リング934を含む境界を横切る。時間リング932、934は、ファット経路914、ファット経路916、及び、ファット経路918の任意の組み合わせにおける分岐点に制御対象ビークル902が到着するまでの予測時間を算出する際に用いることができる。時間リング932、934はまた、障害物908、910、912の位置を、特にこれらの障害物が移動している場合に求めるのに有用である。
【0069】
図10は、例示的な実施形態による、ファット経路をテレインデータと組み合わせて表示している仮想予測レーダの図である。図9のVPR900と同様に、4D-VPR1000は、障害物1008、1010、1012、1028、及び1030を回避する3つのファット経路1014、1016、及び、1018を含み、これらの障害物は航空機である。VPR1000は、セル1040、1042、1044、1046、1048、1050、及び、1052においてテレイン特徴が操縦マニホールドと交差することを示すテレインデータも組み込んでいる。
【0070】
図11を参照すると、セル1040~1052内にテレイン障害物の存在が特定されたことにより、VPR1000からファット経路1018が削除されており、時間参照初期位置1020と目的地1022との間で制御対象航空機1002が航空機及びテレイン障害物の両方を回避するための残りのファット経路として、ファット経路1014とファット経路1016のみが残されている。
【0071】
例示的な一実施形態において、制御対象航空機のファット経路を算出する前に、テレインデータがVPRにマッピングされる。別の例示的な実施形態では、制御対象航空機のファット経路は、テレインデータをVPRにマッピングする前に算出され、その後、テレインデータに従って、必要に応じて変更される。テレインデータがVPRよりも高い分解能を有する場合は、処理負荷を軽減するために、後者の実施形態がより好適である。
【0072】
図12は、例示的な実施形態による、VPR物体回避にテレイン情報を組み込むための処理フローを示すフローチャートである。プロセス1200は、図4に示した回避サブシステム424によって実施することができる。プロセス1200では、ファット経路を見つける前に、VPRにテレインデータが追加される。このアプローチは、テレインデータの分解能が低い状況に適している。
【0073】
プロセス1200は、制御対象航空機の当事者状態更新を受信すること(ステップ1202)によって開始する。位置及び飛行計画の更新がある場合には、これらも受信することができる。回避サブシステムが、現在のテレイン範囲が十分であるかどうかを判定する(ステップ1204)。テレイン範囲が十分でない場合、回避システムは、所望の範囲を示して、テレイン情報を要求する(ステップ1206)。テレイン情報が受信され(ステップ1208)、システムは、新たなデータの境界を決定する(ステップ1210)。これは、テレインサーバが、予め定められた情報(現在のデータと新たなデータとの両方を含みうる)のみを提供する場合に必要となりうる。
【0074】
システムは、次に、テレイン情報を段階的に追加するようにモードが設定されているかどうかを判定する(ステップ1212)。テレインを段階的に追加するようにモードが設定されていない場合、すべての新たなテレインデータで空間分割を更新する(ステップ1214)。
【0075】
テレインを段階的に追加するようにモードが設定されている場合、システムは、現在の分割テレイン情報が、考えられるVPR範囲をカバーしているかどうかを判定する(ステップ1216)。テレイン情報がVPR範囲をカバーしていない場合、必要なテレインデータで分割を更新する(ステップ1218)。
【0076】
システムは、次に、侵入機アラートがあるかどうかを判定する(ステップ1220)。侵入機アラートが無い場合、プロセスはステップ1202に戻り、更新された当事者状態データを受信する。
【0077】
アラートがある場合、システムは、侵入機をVPRに追加し(ステップ1222)、侵入機の其々の確率的予想軌道ウィンドウに従って、VPRを横切る侵入機があるかどうかを判定する(ステップ1224)。いずれの侵入機もVPRを横切らない場合、プロセスはステップ1202に戻る。
【0078】
侵入機がVPRを横切る場合、回避サブシステムは、テレインデータをVPRに追加する(ステップ1226)。これは、以下に詳述するように、空間分割セル列をVPRにマッピングすることによって行うことができる。
【0079】
テレインデータがVPRにマッピングされた後、回避システムは、侵入機とテレインデータ内のテレイン特徴との両方を回避するファット経路をVPR内に見つける(ステップ1228)。これは、他の航空機の確率的予想軌道ウィンドウ、(データの不確定性及び分解脳に基づいて)テレイン特徴及び障害物の周囲に算出した空間的バッファゾーン、及び、制御対象ビークルの操縦機能及び制約に従って達成される。ファット経路によれば、他のビークルの軌道ウィンドウ、及び、テレインならびに障害物のバッファゾーンから、少なくとも所定の最小距離隔てた位置に制御対象ビークルが維持される。
【0080】
ファット経路が決定された後、ファット経路情報から所望の出力形式が生成され(ステップ1230)、回避ガイダンスが出力される(ステップ1232)。
【0081】
図13は、例示的な実施形態による、VPRファット経路にテレイン情報を組み込むための処理フローを示すフローチャートである。プロセス1300は、まずファット経路を決定し、次に、必要に応じて、テレインデータを考慮するようにファット経路を改良するという点が、プロセス1200と異なっている。プロセス1300は、テレインが高分解能である場合に、処理負荷を軽減するのに適している。この手順は、VPR分割がテレイン分割よりも、ずっと粗である場合に好ましい。
【0082】
プロセス1300は、制御対象航空機の当事者状態更新を受信すること(1302)によって開始する。位置及び飛行計画の更新がある場合には、これらも受信することができる。回避サブシステムが、現在のテレイン範囲が十分であるかどうかを判定する(ステップ1304)。テレイン範囲が十分でない場合、回避システムは、所望の範囲を示して、テレイン情報を要求する(ステップ1306)。テレイン情報が受信され(ステップ1308)、システムは、新たなデータの境界を決定する(ステップ1310)。これは、テレインサーバが、予め定められた情報(現在のデータと新たなデータとの両方を含みうる)のみを提供する場合に必要となりうる。
【0083】
システムは、次に、テレイン情報を段階的に追加するようにモードが設定されているかどうかを判定する。(ステップ1312)。テレインを段階的に追加するようにモードが設定されていない場合、すべての新たなテレインデータで空間分割を更新する(ステップ1314)。
【0084】
テレインを段階的に追加するようにモードが設定されている場合、システムは、現在の分割テレイン情報が、考えられるVPR範囲をカバーしているかどうかを判定する(ステップ1316)。テレイン情報がVPR範囲をカバーしていない場合、必要なテレインデータで分割を更新する(ステップ1318)。
【0085】
システムは、次に、侵入機アラートがあるかどうかを判定する(ステップ1320)
侵入機アラートが無い場合、プロセスはステップ1302に戻り、更新された当事者状態データを受信する。
【0086】
アラートがある場合、システムは、VPRに侵入機を追加し(ステップ1322)、VPRを横断する侵入機があるかどうかを判定する(ステップ1324)。いずれの侵入機もVPRを横切らない場合、プロセスはステップ1302に戻る。
【0087】
VPRを横切る侵入機がある場合、回避サブシステムは、まず、侵入機を回避するファット経路をVPR内に見つける(ステップ1326)。ファット経路が決定された後、システムは、ファット経路にテレインデータを追加する(ステップ1328)。これは、空間分割にVPRセルをマッピングすることによって行うことができる。
【0088】
あるパスが、どこかの段階でテレインによってブロックされると、システムはそのパスを通行不可能としてマークし、次のパスに移る(ステップ1330)。システムは、既存のファット経路内でテレインを回避するファット経路を見つける(ステップ1332)。通行可能なファット経路が決定された後、ファット経路情報から所望の出力形式が生成され(ステップ1334)、回避ガイダンスが出力される(ステップ1336)。
【0089】
図14A及び図14Bは、例示的な実施形態による、テレインデータをVPRにマッピングするためのプロセスを示すフローチャートである。プロセス1400は、テレインデータをVPRに、あるいはその逆にマッピングして、其々のデータ構造間の交差を見つける。プロセス1400は、空間分割におけるX範囲の最小値/最大値及びY範囲の最小値/最大値を決定すること(ステップ1402)によって開始し、これらは、制御対象航空機の前方の前方監視領域に含まれる空間分割の範囲を画定するものである。プロセス1400は、分割内のX列又はY列のいずれかを用いて、進めることができる。本実施例では、X列を使用すると仮定する。
【0090】
次に、現在の分割Zレイヤー値が、最小VPRレイヤーに交差しているレイヤーに設定され(ステップ1404)、現在のZレイヤーに起こりうるテレイン交差があるかどうかが判定される(ステップ1406)。起こりうる交差が無い場合、プロセスは、この現在のZレイヤー値を次のZレイヤーに設定し(ステップ1408)、テレイン交差がないかチェックする。
【0091】
現在のZレイヤーに起こりうるテレイン交差がある場合、プロセスは、現在のX列値を最小Y範囲に交差している列に設定して、現在の列に起こりうるテレイン交差があるかどうかを判定する(ステップ1410)。交差が無い場合、現在のX列値を次の列に設定し(ステップ1412)、起こりうるテレイン交差が無いか、再びチェックする。
【0092】
現在のX列に起こりうるテレイン交差が見つかった場合、当該プロセスは、次に、現在のセル値Cを、そのZレイヤー内の最小X範囲に交差している列-セル(row-cell)に設定し、そのセルとの起こりうるテレイン交差があるかどうかを判定する(ステップ1414)。交差が見つからない場合、X列内の次のセルにCを設定し(ステップ1416)、テレイン交差が無いか、この値をチェックする。
【0093】
現在のセルCに起こりうるテレイン交差が検出されると、プロセスは、次に、Cの現在のX-Y寸法と交差するVPRベクトル範囲(範囲R及び角度θで画定される)を求める(ステップ1418)。
【0094】
現在のVPR-メタレイヤー値を、現在のセルCに交差するVPRレイヤーに設定する(ステップ1420)。Cに交差する各VPRセル(R,θ)について、最大テレインレベル(プラス、バッファゾーン)が最小VPRレイヤー以上であれば、そのVPRセルはブロック対象としてマークされる(ステップ1422)。
【0095】
当該プロセスは、次に、交差するものの上に別の分割Zレイヤーがあるかどうかを判定する(ステップ1424)。別のZレイヤーがある場合、現在のものの真上のセルにCを設定し(ステップ1426)、VPRレイヤーを再び上方に調節する(ステップ1420)。本質的に、セル内にテレイン交差が見つかると、プロセス1400は、空域がクリアになるまでのテレイン特徴の高さを求める。
【0096】
空間分割レイヤーがそれ以上無い場合、プロセス1400は、同じX列に別のセルがあるかを判定する(ステップ1428)。別のセルがある場合、値CをX列内の次のセルに設定し(ステップ1430)、そのセルと交差するVPR範囲を再び求める(ステップ1418)。
【0097】
X列にそれ以上セルが無い場合、プロセス1400は、そのZレイヤー内に別の列があるかを判定する(ステップ1432)。それ以上列が無い場合、プロセスは終了する。
【0098】
別の列がある場合、現在の列値を次の列に設定し(ステップ1434)、当該次の列を、起こりうるテレイン交差が無いかチェックする(ステップ1436)。この列にテレイン交差が無い場合、プロセスは終了する。
【0099】
当該次の列に起こりうるテレイン交差がある場合、プロセス1400は、ステップ1414に戻り、最小X範囲に交差するセルに現在のセルCを設定し、そのセルとのテレイン交差があるか判定する。プロセス1400は、所定の前方監視領域にテレイン交差が見つからなくなるまで、継続される。
【0100】
次に図15を参照すると、同図には例示的な実施形態によるデータ処理システムが図示されている。図15のデータ処理システム1500は、図1のコンピュータ104又は本明細書に開示の任意の他のモジュール又はシステム又はプロセスなどの例示的な実施形態を実施するために用いられる、データ処理システムの一例である。この例示的な実施例において、データ処理システム1500は、通信ファブリック1502を含み、これは、プロセッサユニット、メモリ1506、永続ストレージ1508、通信ユニット1510、入出力(I/O)ユニット1512、及び、ディスプレイ1514の間の通信を実現するものである。
【0101】
プロセッサユニット1504は、メモリ1506にロード可能なソフトウェアの命令を実行する。プロセッサユニット1504は、個々の実施形態によって、所定数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、又は他のタイプのプロセッサであってよい。本明細書において、アイテムに言及する際の所定数とは、1つ以上のアイテムを意味する。また、プロセッサユニット1504は、所定数の異種プロセッサシステムを用いて実現することができ、このような異種プロセッサシステムにおいては、主プロセッサが二次プロセッサと共に単一のチップ上に設けられている。別の例として、プロセッサユニット1504は、同種のプロセッサを複数個含む対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。
【0102】
メモリ1506及び永続ストレージ1508は、記憶装置1516の例である。記憶装置は、情報を一時的及び/又は永続的に記憶することができる任意のハードウェアであり、ここでいう情報は、例えば、限定するものではないが、データ、関数形態のプログラムコード、及び/又は他の適当な情報である。記憶装置1516は、これらの例において、コンピュータ可読記憶装置とも称される。メモリ1506は、これらの例において、例えば、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適当な揮発性又は不揮発性の記憶装置である。永続ストレージ1508は、個々の実施態様によって、様々な形態をとることができる。
【0103】
例えば、永続ストレージ1508は、1つ又は複数のコンポーネント又はデバイスを含みうる。例えば、永続ストレージ1508は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え可能な光ディスク、書換え可能な磁気テープ、またはこれらの組み合わせであってもよい。永続ストレージ1508に用いられる媒体は、取り外し可能なものであってもよい。例えば、取り外し可能なハードドライブを永続ストレージ1508に利用してもよい。
【0104】
これらの例において、通信ユニット1510は、他のデータ処理システム又は装置との通信を行う。これらの例では、通信ユニット1510はネットワークインターフェースカードである。通信ユニット1510は、物理的な通信リンク及び無線通信リンクのいずれか一方又は両方を用いて、通信を行うことができる。
【0105】
入出力(I/O)ユニット1512は、データ処理システム1500に接続される他の装置と協働して、データの入出力を可能にする。例えば、入出力(I/O)ユニット1512は、キーボード、マウス、及び/又はその他の適当な入力装置を介したユーザ入力のための接続を実現する。また、入出力(I/O)ユニット1512は、プリンタに出力を送信することができる。ディスプレイ1514は、ユーザに情報を表示する機構を提供する。
【0106】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又は、プログラムに対する命令は、記憶装置1516に保存でき、当該記憶装置は、通信ファブリック1502を介して、プロセッサユニット1504と通信を行う。これらの例においては、上記命令は、永続ストレージ1508に関数形式で保存されている。これらの命令は、メモリ1506にロードして、プロセッサユニット1504によって実行することができる。様々な実施形態のプロセスは、コンピュータにより実行可能な命令を用いてプロセッサユニット1504によって実行することが可能であり、これらの命令は、メモリ1506などのメモリに格納可能である。
【0107】
これらの命令は、プログラムコード、コンピュータ利用可能なプログラムコード、またはコンピュータ可読のプログラムコードと呼ばれ、プロセッサユニット1504内のプロセッサにより読み取りおよび実行が可能である。様々な実施形態におけるプログラムコードは、メモリ1506や永続ストレージ1508などの各種の物理的媒体またはコンピュータ可読記憶媒体において、具現化することができる。
【0108】
プログラムコード1518は、選択的に取り外し可能なコンピュータ可読媒体1520に関数形式で格納されており、データ処理システム1500にロードまたは転送して、プロセッサユニット1504によって実行することができる。これらの実施例では、プログラムコード1518およびコンピュータ可読媒体1520は、コンピュータプログラム製品1522を構成する。一例では、コンピュータ可読媒体1520は、コンピュータ可読の記憶媒体1524又はコンピュータ可読の信号媒体1526であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体1524は、例えば、光ディスク又は磁気ディスクを含み、このようなディスクは、永続ストレージ1508の一部であるドライブ又は他の装置に挿入又は配置されて、永続ストレージ1508の一部である、ハードドライブなどの記憶装置にデータ転送が行われる。コンピュータ可読記憶媒体1524は、データ処理システム1500に接続されたハードドライブ、サムドライブ、又は、フラッシュメモリなどの永続ストレージの形態をとりうる。場合によっては、コンピュータ可読記憶媒体1524は、データ処理システム1500から取り外し可能でなくてもよい。
【0109】
これに代えて、プログラムコード1518は、コンピュータ可読信号媒体1526を用いてデータ処理システム1500に伝送することもできる。コンピュータ可読信号媒体1526は、例えば、プログラムコード1518を含む伝播データ信号であってもよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体1526は、電磁信号、光信号、及び/又は、任意の他の適切な種類の信号であってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、ワイヤなどの通信リンク、及び/又は、任意の他の適切な種類の通信リンクを介して、送信することができる。換言すれば、通信リンク及び/又は接続は、例示的な実施例において、物理的なものであってもよいし、無線であってもよい。
【0110】
いくつかの例示的な実施形態において、プログラムコード1518を、ネットワーク経由で、コンピュータ可読信号媒体1526を介して別の装置又はデータ処理システムから永続ストレージ1508にダウンロードし、データ処理システム1500内で使用してもよい。例えば、サーバのデータ処理システム内のコンピュータ可読記憶媒体に格納されているコンピュータ使用可能プログラムコードを、ネットワーク経由でサーバからデータ処理システム1500にダウンロードしてもよい。プログラムコード1518を提供するデータ処理システムは、プログラムコード1518の格納及び送信を行うことができるサーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、又は、他のデバイスであってもよい。
【0111】
データ処理システム1500について例示した様々なコンポーネントは、様々な実施形態が実施される態様を構成的に限定することを意図したものではない。様々な例示的な実施形態は、データ処理システム1500について例示したコンポーネントに対する追加のコンポーネント又は代替のコンポーネントを含むデータ処理システムにおいても、実施することができる。図15に示した他のコンポーネントは、図示の例示的な実施例から変更してもよい。様々な実施形態は、プログラムコードを実行可能な任意のハードウェア装置又はシステムを用いて、実現することができる。一例として、データ処理システムは、無機コンポーネントと組み合わされた有機コンポーネントを含んでいてもよいし、人間を除く有機コンポーネントによって全体が構成されていてもよい。例えば、記憶装置は、有機半導体を含んで構成されていてもよい。
【0112】
別の例示的な実施例において、プロセッサユニット1504は、特定の用途のために製造又は構成された回路を有するハードウェアユニットの形態を有していてもよい。このタイプのハードウェアは、操作を実行する構成とするために記憶装置からメモリにプログラムコードを読み込む必要なく、操作を実行することができる。
【0113】
例えば、プロセッサユニット1504がハードウェアユニットの形態をとる場合、プロセッサユニット1504は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラマブルロジックデバイス、又は、所定数の操作を行うように構成された他の適切なタイプのハードウェアであってもよい。プログラマブルロジックデバイスの場合、当該デバイスは、所定数の操作を行うように構成される。当該装置は、所定数の操作を行うように、後ほど再構成してもよいし、永久的に構成してもよい。プログラマブルロジックデバイスの例としては、例えば、プログラマブルロジックアレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、他の適当なハードウェア装置がある。このタイプの実施においては、様々な実施形態のプロセスをハードウェアユニットで実施することができるので、プログラムコード1518を省いてもよい。
【0114】
さらに別の例示的な実施例において、プロセッサユニット1504は、コンピュータ及びハードウェアユニット内のプロセッサの組み合わせを用いて実施してもよい。プロセッサユニット1504は、プログラムコード1518を実行するように構成された所定数のハードウェアユニット及び所定数のプロセッサを含みうる。この図示の例では、プロセスのいくつかは、所定数のハードウェアユニットにおいて実行され、他のプロセスは所定数のプロセッサにおいて実行される。
【0115】
別の例として、データ処理システム1500における記憶装置は、データを格納することができる任意のハードウェア装置である。メモリ1505、永続ストレージ1508、及び、コンピュータ可読媒体1520は、有形の記憶装置の例である。
【0116】
別の例において、通信ファブリック1502を実現するために、システムバス又は入出力バスなどの1つ又は複数のバスを含むバスシステムを用いてもよい。当然ながら、バスシステムは、バスシステムに連結された様々なコンポーネント又は装置間のデータ転送を実現する任意の適切なタイプのアーキテクチャを用いて実施することができる。さらに、通信ユニットは、例えば、モデムやネットワークアダプタなどの、データの送受信に用いられる1つ又は複数の装置を含みうる。また、メモリは、例えば、メモリ1505であってもよいし、通信ファブリック1502に存在するインターフェース及びメモリコントローラハブに含まれるようなキャッシュであってもよい。
【0117】
データ処理システム1500は、連想メモリ1528も含みうる。連想メモリ1528は、通信ファブリック1502との通信を行う。連想メモリ1528は、記憶装置1516とも通信してもよいし、いくつかの例示的な実施形態においては、当該記憶装置の一部とみなすこともできる。1つの連想メモリ1528を示しているが、追加の連想メモリが存在していてもよい。
【0118】
様々な例示的な実施形態は、全体がハードウェアの実施形態、全体がソフトウェアの実施形態、又は、ハードウェアの要素とソフトウェアの要素の両方を含む実施形態の形をとることができる。いくつかの実施形態は、例えば、限定するものではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、及び、マイクロコードの形態を含むソフトウェアで実施される。
【0119】
さらに、様々な実施形態は、プログラムコードを供給するコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体からアクセス可能な、コンピュータプログラム製品の形態をとることができ、当該プログラムコードは、コンピュータ、又は、命令を実行する任意の装置若しくはシステムにより使用されるか、或いはこれらに関連して使用される。本開示のために、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、一般に、命令を実行するシステム、装置、又は素子により使用されるか、或いはこれらに関連して使用されるプログラムを内蔵、格納、通信、伝搬、又は伝送することができる任意の有形の装置であってもよい。
【0120】
コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、例えば、限定するものではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、若しくは半導体のシステム、又は、伝搬媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体の非限定的な例には、半導体メモリ又は固体メモリ、磁気テープ、着脱可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、硬質磁気ディスク、及び、光ディスクが含まれる。光ディスクは、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、読み出し/書き込み用コンパクトディスク(CD-R/W)、DVDなどを含みうる。
【0121】
さらに、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードを内蔵又は格納することができ、コンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードがコンピュータ上で実行されると、このコンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードの実行により、コンピュータが、通信リンクを介して、他のコンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードを送信することができる。この通信リンクは、例えば、限定するものではないが、物理的な媒体を用いてもよいし、無線の媒体を用いてもよい。
【0122】
コンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードを格納及び/又は実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスなどの通信ファブリックを介してメモリ要素に直接又は間接的に接続された、1つ又は複数のプロセッサを含みうる。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリと、バルクストレージと、少なくとも一部のコンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ使用可能プログラムコードを一時的に格納して、コードの実行中にこれらのコードをバルクストレージから取り出す回数を低減するキャッシュメモリと、を含みうる。
【0123】
上記システムに対して、入出力装置すなわちI/O装置を、直接、又は、中間のI/Oコントローラを介して接続することができる。これらの装置は、例えば、限定するものではないが、キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、及びポインティングデバイスを含みうる。さらに、様々な通信アダプタを上記システムに接続することにより、上記データ処理システムを、中間のプライベートネットワーク又はパブリックネットワークを介して、他のデータ処理システム又はリモートプリンタ又は記憶装置に接続してもよい。モデム及びネットワークアダプタの非限定的な例は、現在利用可能な種類の通信アダプタのうちのほんの数例にすぎない。
【0124】
本明細書において、「所定数の」という語句は、1つ又は複数を意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という語句がアイテムのリストについて用いられる場合、リストアップされたアイテムのうちの1つまたはそれ以上を様々な組み合わせで用いてもよいことを意味し、また、リストの各アイテムの1つだけが必要な場合もあることを意味する。換言すれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、リストから任意の数のアイテムを任意の組み合わせで使用することが可能であり、必ずしもリストアップされたアイテムのすべてを必要としないことを意味する。アイテムは、ある特定の対象、物、又はカテゴリーであってよい。
【0125】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、又はアイテムCのうち少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムAとアイテムB、又はアイテムCを含みうる。また、この例には、アイテムAとアイテムBとアイテムCである場合、アイテムBとアイテムCである場合も含まれる。勿論、これらのアイテムのあらゆる組み合わせが存在する。いくつかの例において、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC;4個のアイテムBと7個のアイテムC;又は、他の適当な組み合わせであってもよい。
【0126】
様々な図示の実施形態におけるフローチャートやブロック図は、例示的な実施形態における装置及び方法について可能ないくつかの実施態様のアーキテクチャ、機能、及び、動作を示すものである。この点に関し、フローチャートやブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、または処理や工程の一部のうちの少なくとも1つを表しうる。例えば、これらのブロックのうち1つ又は複数は、プログラムコードとして実現される場合もある。
【0127】
例示的な実施形態のいくつかの代替の態様において、ブロックに記載の機能は、図に記載のものとは異なる順序で実行してもよい。例えば、場合によっては、関連する機能に応じて、連続して示されている2つのブロックを実質的に同時に実行してもよいし、あるいは、これらのブロックを、逆の順序で実行してもよい。また、フローチャート又はブロック図に示したブロックに、他のブロックを追加してもよい。
【0128】
さらに、本開示は、以下の付記による実施例を含む。
【0129】
付記1. コンピュータにより実施される物体回避方法は、以下を含む。: 特定の時空間ゾーンにおける、制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを、所定数のプロセッサによって受信する。前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にある。; 所定数のプロセッサによって、対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信する。前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっている。; 所定数のプロセッサによって、前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを算出する。; 所定数のプロセッサによって、テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に空間的バッファゾーンを算出する。; 所定数のプロセッサによって、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路を算出する。前記経路は、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを、少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持するものである。; 所定数のプロセッサによって、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを経路制御する。
【0130】
付記2. 前記ホモトピー的に別個の経路は、前記制御対象ビークルの操縦機能及び制約に従って算出される、付記1に記載の方法。
【0131】
付記3. さらに、他のビークルの位置及び状態データの変化又はテレイン及び障害物データの変化のいずれかに応答して、所定数のプロセッサによって、所定数の新たなホモトピー的に別個の経路を算出すること、および、所定数のプロセッサによって、前記新たな経路のうちの1つに沿って、前記制御対象ビークルを経路制御すること、を含む付記1又は2に記載の方法。
【0132】
付記4. 前記テレイン及び障害物データは、三角測量の形式で与えられる、付記1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
付記5. 前記テレイン及び障害物データは、等間隔の格子点における標高データを含む、付記4に記載の方法。
【0134】
付記6. 前記ホモトピー的に別個の経路を、四次元仮想予測レーダ(4D-VPR)で表示する、付記1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
付記7. 前記4D-VPRは、ビークル、テレイン、及び、障害物の交差を、時間リング上に示す、付記6に記載の方法。
【0136】
付記8. 所定数のプロセッサによって空間分割を生成すること、および、所定数のプロセッサによって、前記制御対象ビークルの操縦マニホールドを前記空間分割にマッピングすること、をさらに含む、付記1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
付記9. 所定数のプロセッサによって、テレイン及び障害物データの分解能を、操縦マニホールドの分解能に一致するように間引き又は精緻化することをさらに含む、付記8に記載の方法。
【0138】
付記10. 前記テレイン及び障害物データは、前記制御対象ビークルのオンボードのデータベース又はオフボードのサーバのうちの少なくとも1つによって提供される、付記1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
付記11. 制御対象ビークル及び前記制御対象ビークルに接続されたコンピュータを含む物体回避システムであって、前記コンピュータは、バスシステムと、前記バスシステムに接続された、プログラム命令を格納する記憶装置と、前記バスシステムに接続された所定数のプロセッサと、を含み、前記所定数のプロセッサは、付記1~10のいずれか1つに記載の前記方法を行うための前記プログラム命令を実行する、物体回避システム。
【0140】
付記12. 制御対象ビークル及び前記制御対象ビークルに接続されたコンピュータを含む物体回避システムであって、前記コンピュータは、バスシステムと、前記バスシステムに接続された、プログラム命令を格納する記憶装置と、前記バスシステムに接続された所定数のプロセッサと、を含み、前記所定数のプロセッサは、特定の時空間ゾーンにおける、前記制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを受信し、前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にあり、対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信し、前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっており、前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを算出し、テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に空間的バッファゾーンを算出し、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路を算出し、前記経路は、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを、少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持するものであり、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを経路制御する、ための前記プログラム命令を実行する、物体回避システム。
【0141】
付記13. 前記ホモトピー的に別個の経路は、前記制御対象ビークルの操縦機能及び制約に従って算出される、付記12に記載の物体回避システム。
【0142】
付記14. 前記プロセッサは、他のビークルの位置及び状態データの変化又はテレイン及び障害物データの変化のいずれかに応答して、所定数の新たなホモトピー的に別個の経路を算出し、前記新たな経路のうちの1つに沿って、前記制御対象ビークルを経路制御するための前記プログラム命令をさらに実行する、付記12又は13に記載の物体回避システム。
【0143】
付記15. 前記テレイン及び障害物データは、三角測量の形式で与えられる、付記12又は13に記載の物体回避システム。
【0144】
付記16. 前記テレイン及び障害物データは、等間隔の格子点における標高データを含む、付記15に記載の物体回避システム。
【0145】
付記17. 前記ホモトピー的に別個の経路を、四次元仮想予測レーダ(4D-VPR)で表示する、付記12~16のいずれか1つに記載の物体回避システム。
【0146】
付記18. 前記4D-VPRは、ビークル、テレイン、及び、障害物の交差を時間リング上に示す、付記17に記載の物体回避システム。
【0147】
付記19. 前記プロセッサは、空間分割を生成し、前記制御対象ビークルの操縦マニホールドを前記空間分割にマッピングするためのプログラム命令をさらに実行する、付記12~18のいずれか1つに記載の物体回避システム。
【0148】
付記20. 前記プロセッサは、テレイン及び障害物データの分解能を、操縦マニホールドの分解能に一致するように間引き又は精緻化するためのプログラム命令をさらに実行する、付記19に記載の物体回避システム。
【0149】
付記21. 前記プロセッサと通信するオンボードのテレイン及び障害物データベース又はオフボードのサーバのうちの少なくとも1つをさらに含む、付記12~20のいずれか1つに記載の物体回避システム。
【0150】
付記22. 物体回避のためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令が記録された不揮発性のコンピュータ可読の記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、付記1~10のいずれか1つに記載の前記方法の前記ステップを前記コンピュータに行わせるように、所定数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【0151】
付記23. 物体回避のためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令が記録された不揮発性のコンピュータ可読の記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、以下のステップ、すなわち、特定の時空間ゾーンにおける、前記制御対象ビークルを含むビークルの時間参照位置及び状態データを受信し、前記ビークルは、初期位置が前記特定の時空間ゾーン内にあり、対象空間ゾーンのテレイン及び障害物データを受信し、前記対象空間ゾーンの一部は、前記特定の時空間ゾーンの一部と重なっており、前記特定の時空間ゾーンにおける各ビークルの確率的予想軌道ウィンドウを算出し、テレイン及び障害物データの不確定性及び分解能に従って、前記対象空間ゾーン内のテレイン及び障害物の周囲に空間的バッファゾーンを算出し、前記制御対象ビークルの時間参照初期位置から目的地までの所定数のホモトピー的に別個の経路を算出し、前記経路は、他のビークルの前記軌道ウィンドウとテレイン及び障害物の前記バッファゾーンとから、前記制御対象ビークルを、少なくとも特定の最小距離離隔した状態に維持するものであり、前記経路のうちの1つに従って、前記制御対象ビークルを経路制御するステップを前記コンピュータに行わせるように、所定数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【0152】
付記24. 前記ホモトピー的に別個の経路は、前記制御対象ビークルの操縦機能及び制約に従って算出される、付記23に記載のコンピュータプログラム製品。
【0153】
付記25. 前記プロセッサは、さらに、他のビークルの位置及び状態データの変化又はテレイン及び障害物データの変化のいずれかに応答して、所定数の新たなホモトピー的に別個の経路を算出し前記新たな経路のうちの1つに沿って、前記制御対象ビークルを経路制御するステップを行う、付記23又は24に記載のコンピュータプログラム製品。
【0154】
付記26. 前記テレイン及び障害物データは、三角測量の形式で与えられる、付記23~25のいずれか1つに記載の記載のコンピュータプログラム製品。
【0155】
付記27. 前記テレイン及び障害物データは、等間隔の格子点における標高データを含む、付記26に記載のコンピュータプログラム製品。
【0156】
付記28. 前記プロセッサは、さらに、前記ホモトピー的に別個の経路を、四次元仮想予測レーダ(4D-VPR)で表示するステップを行う、付記23~27のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【0157】
付記29. 前記4D-VPRは、ビークル、テレイン、及び、障害物の交差を時間リング上に示す、付記28に記載のコンピュータプログラム製品。
【0158】
付記30. 前記プロセッサは、さらに、空間分割を生成し、前記制御対象ビークルの操縦マニホールドを前記空間分割にマッピングするステップを行う、付記23~29のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【0159】
付記31. 前記プロセッサは、さらに、テレイン及び障害物データの分解能を、操縦マニホールドの分解能に一致するように間引き又は精緻化するステップを行う、付記23~30のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【0160】
付記32. 前記テレイン及び障害物データは、前記制御対象ビークルのオンボードのデータベース又はオフボードのサーバのうちの少なくとも1つによって提供される、付記23~31のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【0161】
様々な例示的な実施形態の記載は、例示および説明のために提示したものであり、すべてを網羅することや、開示した形態での実施に限定することを意図するものではない。当業者には、多くの改変や変更が明らかであろう。また、例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態とは異なる特徴を含みうる。上述した実施形態は、実施形態の原理および実際の用途を最も的確に説明するとともに、当業者が、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態のための開示を理解できるようにするために、選択および記載したものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15