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特許7526600光ファイバユニット製造方法及び光ファイバユニット製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光ファイバユニット製造方法及び光ファイバユニット製造装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G02B6/44 391
G02B6/44 366
G02B6/44 371
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020114329
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012476
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 正敏
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 彰
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-080749(JP,A)
【文献】特開2017-187691(JP,A)
【文献】特開2020-008612(JP,A)
【文献】特開2011-169939(JP,A)
【文献】特開平09-178989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させること、及び、
集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成すること、
を行う光ファイバユニット製造方法であって、
少なくとも1つの前記光ファイバテープの断面形状を他の光ファイバテープの断面形状と異ならせた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることを特徴とする光ファイバユニット製造方法
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバユニット製造方法であって、
少なくとも1つの前記光ファイバテープのテープ面を他の光ファイバテープのテープ面に対して傾けた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることを特徴とする光ファイバユニット製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光ファイバユニット製造方法であって、
少なくとも1つの前記光ファイバテープを搬送する搬送ローラーの回転軸を、他の光ファイバテープを搬送する搬送ローラーの回転軸に対して傾けることを特徴とする光ファイバユニット製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の光ファイバユニット製造方法であって、
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、
少なくとも1つの前記挿通穴が他の前記挿通穴に対して傾いて形成されていることを特徴とする光ファイバユニット製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の光ファイバユニット製造方法であって、
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、
少なくとも1つの前記挿通穴は、他の前記挿通穴に対して、異なる形状であることを特徴とする光ファイバユニット製造方法。
【請求項6】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させること、及び、
集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成すること、
を行う光ファイバユニット製造方法であって、
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、
前記挿通穴における前記光ファイバテープの断面形状が経時的に変化することを特徴とする光ファイバユニット製造方法。
【請求項7】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させる集合部と、
集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成するユニット形成部と
を備え
前記集合部は、少なくとも1つの前記光ファイバテープの断面形状を他の光ファイバテープの断面形状と異ならせた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることを特徴とする光ファイバユニット製造装置
【請求項8】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させる集合部と、
集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成するユニット形成部と
を備え、
前記集合部は、
複数の挿通穴を有する目板を有しており、
前記目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、
前記挿通穴における前記光ファイバテープの断面形状を経時的に変化させることを特徴とする光ファイバユニット製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバユニット製造方法及び光ファイバユニット製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数本の光ファイバを束ねた光ファイバの集合体を光ファイバユニットとして、光ファイバケーブルを構成する技術が知られている。その際、光ファイバの束に粗巻き糸(バンドル材)を巻き付けることにより、光ファイバの束がバラバラになることを抑制しつつ、バンドル材の色によって光ファイバユニットを識別する方法が一般的である。例えば、特許文献1には、複数枚の光ファイバテープを束ねてバンドル化して光ファイバユニットを形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-233252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数枚の光ファイバテープを束ねて光ファイバユニットを構成する場合、特許文献1に記載のように、複数枚の光ファイバテープは、積層させた状態(複数枚の光ファイバテープを重ね合わせた状態)で束ねられていることがある。但し、特許文献1に記載のように、複数枚の光ファイバテープを積層させた状態で束ねた光ファイバユニットを用いて光ケーブルを構成した場合、光ケーブルに負荷(例えば曲げや温度変化など)が加わったときに、特定の光ファイバに負荷が集中してしまい、伝送損失が増大するおそれがある。
【0005】
本発明は、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させること、及び、集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成すること、を行う光ファイバユニット製造方法である。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、光ケーブル1の説明図である。図1Bは、光ファイバユニット2の説明図である。
図2図2は、間欠連結型の光ファイバテープ7の説明図である。
図3図3は、光ファイバユニット2を製造するユニット製造装置20の説明図である。
図4図4Aは、比較例の複数の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。図4Bは、本実施形態の積層状態が崩れた状態における複数の間欠連結型の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。図4Cは、本実施形態の積層状態が崩れた状態における複数の一括被覆型の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。
図5図5は、第1実施形態の集合部40における光ファイバテープ7の搬送の様子の説明図である。
図6図6は、回転軸の傾きθと、集合部40において集合させた複数の光ファイバテープ7の断面形状との関係を示す表である。
図7図7は、第1実施形態の変形例の説明図である。
図8図8は、第2実施形態の集合部40における光ファイバテープ7の搬送の様子の説明図である。
図9図9は、第2実施形態の第1変形例の説明図である。
図10図10は、第2実施形態の第2変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させること、及び、集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成すること、を行う光ファイバユニット製造方法が明らかとなる。このような光ファイバユニット製造方法によれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制できる。
【0012】
少なくとも1つの前記光ファイバテープのテープ面を他の光ファイバテープのテープ面に対して傾けた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることが望ましい。これにより、少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させることができる。
【0013】
少なくとも1つの前記光ファイバテープを搬送する搬送ローラーの回転軸を、他の光ファイバテープを搬送する搬送ローラーの回転軸に対して傾けることが望ましい。これにより、少なくとも1つの前記光ファイバテープのテープ面を他の光ファイバテープのテープ面に対して傾けた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることができる。
【0014】
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、少なくとも1つの前記挿通穴が他の前記挿通穴に対して傾いて形成されていることが望ましい。これにより、少なくとも1つの前記光ファイバテープのテープ面を他の光ファイバテープのテープ面に対して傾けた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることができる。
【0015】
少なくとも1つの前記光ファイバテープの断面形状を他の光ファイバテープの断面形状と異ならせた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることが望ましい。これにより、少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させることができる。
【0016】
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、少なくとも1つの前記挿通穴は、他の前記挿通穴に対して、異なる形状であることが望ましい。これにより、少なくとも1つの前記光ファイバテープの断面形状を他の光ファイバテープの断面形状と異ならせた状態で複数の前記光ファイバテープを集合させることができる。
【0017】
複数の挿通穴を有する目板のそれぞれの前記挿通穴に前記光ファイバテープが挿通され、それぞれの前記挿通穴を通過した複数の前記光ファイバテープを集合させており、前記挿通穴における前記光ファイバテープの断面形状が経時的に変化することが望ましい。これにより、集合させた複数の光ファイバテープの断面形状を長手方向に異ならせることができ、光ファイバに付加される応力を長手方向に分散させることができる。
【0018】
少なくとも1つの光ファイバテープの姿勢を他の光ファイバテープの姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープを集合させる集合部と、集合させた複数の前記光ファイバテープをバンドル材で束ねて光ファイバユニットを形成するユニット形成部とを備えることを特徴とする光ファイバユニット製造装置が明らかとなる。このような光ファイバユニット製造装置によれば、特定の光ファイバに負荷が集中することを抑制できる。
【0019】
===第1実施形態===
<光ケーブル1の構成>
図1Aは、光ケーブル1の説明図である。
【0020】
光ケーブル1は、光ファイバ8を収容したケーブルである。本実施形態の光ケーブル1は、光ファイバ8を収容する溝(スロット)が形成されたスロットロッドを有さない光ケーブルであり、いわゆるスロットレス型の光ケーブルである。本実施形態の光ケーブル1は、複数の光ファイバユニット2と、外被3とを有する。なお、光ケーブル1は、ここではスロットレス型の光ケーブルであるが、スロットロッドを有するスロット型の光ケーブルでも良い。但し、後述する光ファイバユニット2は、スロットレス型の光ケーブル1に用いられた場合に特に有効である。
【0021】
光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8をバンドル材10で束ねた構造である。本実施形態の光ケーブル1は、複数の光ファイバユニット2を備えている。光ファイバユニット2の詳しい構造については後述する。複数の光ファイバユニット2は、押え巻きテープ5によって覆われた状態で外被3の内側に収容されている。複数の光ファイバユニット2は、一方向又はSZ状に撚られた状態で外被3の内側に収容されていても良い。押え巻きテープ5の内側には、複数の光ファイバユニット2の他に、介在物が収容されていても良い。例えば、押え巻きテープ5の内側、外側、或いは両方に、介在物として吸収材が収容されても良い。また、押え巻きテープ5が吸水テープで構成されていても良い。
【0022】
外被3は、複数の光ファイバユニット2(及び押え巻きテープ5)を被覆する部材である。外被3の外形は、断面が略円形状である。本実施形態では、外被3の内側に、複数の光ファイバユニット2を包んだ押え巻きテープ5が収容されている。また、外被3には、テンションメンバ4が埋設されている。外被3には、テンションメンバ4の他に他の部材(例えばリップコードなど)が埋設されていても良い。
【0023】
図1Bは、光ファイバユニット2の説明図である。
光ファイバユニット2は、複数の光ファイバ8の束をバンドル材10で束ねた構造である。バンドル材10は、光ファイバ8の外周上に巻き付けられており、これにより複数の光ファイバ8が束ねられてバラバラにならないようになっている。本実施形態の光ファイバユニット2は、複数枚の間欠連結型の光ファイバテープ7を束ねて構成されている。
【0024】
図2は、間欠連結型の光ファイバテープ7の説明図である。
間欠連結型の光ファイバテープ7は、複数(ここでは12本)の光ファイバ8を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ7である。隣接する2心の光ファイバ8は、連結部9Aによって連結されている。隣接する2心の光ファイバ8間には、複数の連結部9Aが長手方向に間欠的に配置されている。また、複数の連結部9Aは、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。隣接する2心の光ファイバ8間の連結部9A以外の領域は、非連結部9Bになっている。非連結部9Bでは、隣接する2心の光ファイバ8同士は拘束されていない。光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して柔軟に変形可能であり、多数の光ファイバ8を高密度に束ねることが可能である。
【0025】
なお、間欠連結型の光ファイバテープ7は、図に示したものに限られるものではない。例えば、連結部9Aの配置を変更しても良い。また、間欠連結型の光ファイバテープ7を構成する光ファイバ8の数を変更しても良い。また、光ファイバテープ7は、間欠連結型の光ファイバテープに限られるものではなく、例えば、後述するように一括被覆型の光ファイバテープでも良い。
【0026】
バンドル材10は、複数の光ファイバ8を束ねる部材である。バンドル材10は、複数の光ファイバ8を結束可能な糸状、紐状又はテープ状の部材である。バンドル材10は、光ファイバ8の束の外周上に巻き付けられている。図中の光ファイバユニット2は、2本のバンドル材10によって光ファイバ8を束ねているが、光ファイバユニット2のバンドル材10は、1本でも良いし、2本以上でも良い。
【0027】
バンドル材10は、高融点材料と低融点材料との複合材で構成されており、交点で熱融着されている。但し、バンドル材10は、複合材ではなく、単一材料によって構成されてもよい。例えば、高融点材料もしくは低融点材料のいずれかによって構成されていてもよいし、2本のバンドル材10の材質が異なってもよい。また、バンドル材10同士を熱融着する代わりに、接着剤により接合しても良い。また、バンドル材10の交点を接合していなくても良い。
【0028】
2本のバンドル材10は、図1Bに示すように、光ファイバ8の束に対してそれぞれSZ状に巻き付けられている。つまり、それぞれのバンドル材10は、接合部15において巻き付け方向を反転させつつ、光ファイバ8の束の外周の半周分ずつ巻き付けられている。但し、バンドル材10の巻き付け方法は、これに限られるものではない。例えば、1本のバンドル材10が光ファイバ8の束の外周に螺旋状に巻き付けられても良い。また、2本のバンドル材10が光ファイバ8の束の外周にそれぞれ逆方向に螺旋状に巻き付けられても良い。本実施形態では、2本の紐状のバンドル材10により複数の光ファイバテープ7を束ねて光ファイバユニット2が構成されているが、光ファイバユニット2の構成は、これに限られるものではない。例えば、複数の光ファイバ8の束の外周上にテープ状のバンドル材10を包むように巻き付けることによって、光ファイバユニット2が構成されても良い。バンドル材10は、光ファイバ8の束の外形に追従するように巻き付けられるため、光ファイバ8の束の外形を保持することができる(この結果、積層状態を崩した状態(後述)で複数の光ファイバテープ7を保持することができる)。
【0029】
図3は、光ファイバユニット2を製造するユニット製造装置20の説明図である。
ユニット製造装置20は、複数のテープ供給部30と、集合部40と、ユニット形成部100とを有する。
【0030】
テープ供給部30は、間欠連結型の光ファイバテープ7を供給する装置(供給源)である。例えば、テープ供給部30は、予め間欠連結型の光ファイバテープ7が巻き回されたドラム(又はボビン)で構成されている。なお、テープ供給部30は、間欠連結型の光ファイバテープ7の製造装置で構成されてもよい。本実施形態では、複数のテープ供給部30から集合部40へ間欠連結型の光ファイバテープ7がそれぞれ供給されることになる。
【0031】
集合部40は、複数の光ファイバテープ7を集合する装置である。後述するように、本実施形態の集合部40は、積層状態を崩した状態で複数の光ファイバテープ7を集合させる。本実施形態では、積層状態の崩れた状態の複数の間欠連結型の光ファイバテープ7が集合部40からバンドル巻付部50へ供給されることになる。集合部40の詳しい構成については後述する。
【0032】
ユニット形成部100は、複数の光ファイバテープ7にバンドル材10を巻き付けた光ファイバユニット2を形成する装置である。本実施形態では、ユニット形成部100において、積層状態の崩れた状態の複数の光ファイバテープ7にバンドル材10が巻き付けられることによって、積層状態の崩れた状態の複数の光ファイバテープ7で構成された光ファイバユニット2が形成されることになる。なお、積層状態の崩れた状態の複数の光ファイバテープ7については後述する。ユニット形成部100は、バンドル巻付部50と、バンドル接合部60とを有する。但し、バンドル材10の接合を行わない場合、ユニット形成部100は、バンドル接合部60を備えず、バンドル巻付部50を備えるだけでも良い。
【0033】
バンドル巻付部50は、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7の束の外周にバンドル材10を巻き付ける装置である。本実施形態では、バンドル巻付部50は、2本のバンドル材10をSZ状に巻き付けることになる。但し、バンドル巻付部50は、バンドル材10をSZ状に巻き付けるものに限られず、例えばバンドル材10を一方向に螺旋状に巻き付けても良い。また、バンドル材がテープ状の場合には、バンドル巻付部50は、複数の光ファイバテープ7の束を包むようにバンドル材を巻き付けても良い。ここでは、バンドル巻付部50は、複数の光ファイバテープ7の束の外周にバンドル材10をSZ状に巻き付けることによって、複数の光ファイバテープ7の束の外周に2本のバンドル材10の交点を形成しつつ、複数の間欠連結型の光ファイバテープ7及びバンドル材10をバンドル接合部60へ供給する。なお、図3において、バンドル巻付部50とバンドル接合部60との間にバンドル材10の交点が複数形成されているが、バンドル巻付部50とバンドル接合部60との間隔は、バンドル材10の交点の長手方向の間隔よりも短くてもよい。
【0034】
バンドル接合部60は、バンドル材10を接合する装置である。本実施形態のバンドル接合部60は、筒状のヒーターで構成されている。筒状のヒーターの内壁面が加熱面になっている。複数の間欠連結型の光ファイバテープ7及びバンドル材10が、筒状のヒーターの内側を通過するときに、2本のバンドル材10の交点が融着接合され、接合部15が形成される。これにより、図1Bに示す光ファイバユニット2が製造されることになる。なお、バンドル接合部60は、熱融着によりバンドル材10を接合する代わりに、接着剤によりバンドル材10を接合しても良い。また、ユニット形成部100がバンドル接合部60を備えず、バンドル材10が接合されなくても良い。
【0035】
なお、このように製造された複数の光ファイバユニット2が束ねられるとともに、押え巻きテープ5に巻き回され、押出成型装置において押え巻きテープ5の外側に外被3となる溶融樹脂が押出成型されることによって、光ケーブル1が製造されることになる。
【0036】
<光ファイバユニット2の断面形状について>
まず比較例の光ファイバユニットの断面形状について説明した後、本実施形態の光ファイバユニット2の断面形状について説明する。
【0037】
図4Aは、比較例の光ファイバユニット2の複数の光ファイバテープ7の断面形状の説明図である。比較例では、6枚の間欠連結型の光ファイバテープ7が積層された状態でバンドル材10(図4Aでは不図示)によって束ねられている。比較例では、光ファイバテープ7は、テープ幅方向に対して曲げられておらず、テープ面が平坦である。また、それぞれの光ファイバテープ7の平坦なテープ面は、互いに平行になっており、それぞれの光ファイバテープ7のテープ面が揃っている。つまり、比較例では、6枚の光ファイバテープ7が規則的に積層されている。以下の説明では、図4Aに示すように、平らな状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向をX方向と呼び、複数の光ファイバテープ7の積層方向をY方向と呼び、光ファイバテープ7の長手方向(紙面に垂直な方向)をZ方向と呼ぶことがある。積層状態の光ファイバテープ7のテープ面は、XZ平面に平行である。
【0038】
図4Aに示す比較例の場合、光ケーブルが曲がったときに、特定の光ファイバ8に負荷が集中するおそれがある。例えば、図中のN1-N1面を中立面として光ファイバユニット2が曲げられた場合、図中の1番目の光ファイバテープ7又は6番目の光ファイバテープ7(積層状態の端の光ファイバテープ7)を構成する光ファイバ8に引張応力又は圧縮応力が集中し、他の光ファイバ8に応力が分散し難くなる。また、図中の各光ファイバテープ7のN2-N2面を中立面として光ファイバユニット2が曲げられた場合、図中の1番ファイバ又は12番ファイバ(光ファイバテープ7の両端の光ファイバ8)に引張応力又は圧縮応力が集中し、他の光ファイバ8に応力が分散し難くなる。このように特定の光ファイバ8に負荷が集中して他の光ファイバ8に負荷を分散させ難い状況下では、負荷の集中する光ファイバ8の伝送損失が増大し、この結果、最大伝送損失(複数の光ファイバ8の伝送損失のうちの最大の伝送損失)が増大する。このため、特定の光ファイバ8に負荷が集中しないことが望ましい。
【0039】
そこで、本実施形態では、図4B及び図4Cに示すように、複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩した状態で、光ファイバユニット2を構成している。図4Bには、積層状態が崩れた状態の複数の間欠連結型の光ファイバテープ7が示されている。図4Cには、積層状態が崩れた状態の複数の一括被覆型の光ファイバテープ7が示されている。本実施形態では、図4B及び図4Cに示すように複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩した状態で光ファイバユニット2を構成することによって、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制し、光ケーブル1(又は光ファイバユニット2)の最大伝送損失を抑制している。なお、積層状態を崩した状態とは、図4Aに示す積層状態と比べて、少なくとも1つの光ファイバテープ7の相対的な位置関係が異なっている状態を意味する。このため、本実施形態では、全ての光ファイバテープ7が図4Aに示す積層状態と比べて異なる位置でなくても良く、例えば図4Bに示すように、或る光ファイバテープ7が図4Aに示す積層状態と比べて同じ位置であっても許容される(別の光ファイバテープ7が図4Aに示す積層状態と比べて異なる位置にあれば良い)。図4Aに示す積層状態と比べて少なくとも1つの光ファイバテープ7の相対的な位置関係が異なっていれば、図4Aに示す場合と比べて、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制でき、光ケーブル1(又は光ファイバユニット2)の最大伝送損失を抑制できる。
【0040】
図4Bに示すように、間欠連結型の光ファイバテープ7の場合、光ファイバテープ7のテープ面をテープ幅方向に対して曲げることができるため、図4Cに示す場合と比べて、光ファイバテープ7同士の隙間を小さくすることができる。但し、一括被覆型の光ファイバテープ7であっても、図4Cに示すように複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩すことによって、特定の光ファイバ8に負荷が集中することを抑制でき、光ケーブル1(又は光ファイバユニット2)の最大伝送損失を抑制できる。
【0041】
<集合部40について>
図5は、第1実施形態の集合部40における光ファイバテープ7の搬送の様子の説明図である。
【0042】
本実施形態では、集合部40は、少なくとも1つの光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させている。これにより、積層状態を崩した状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。第1実施形態では、第1実施形態では、少なくとも1つの光ファイバテープ7のテープ面を他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾けた状態にすることによって、少なくとも1つの光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせている。
【0043】
集合部40は、中間部材41と、集合部材42とを有する。中間部材41は、集合部材42よりも上流側に設けられており、少なくとも1つの光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせる部材である。集合部材42は、少なくとも1つの光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させる部材である。第1実施形態の中間部材41は複数の搬送ローラー41Aにより構成されている。また、第1実施形態の集合部材42は、集合ローラー42Aにより構成されている。但し、中間部材41及び集合部材42の構成は、これに限られるものではない。
【0044】
搬送ローラー41Aは、光ファイバテープ7を搬送するローラー(プーリーやコロなどを含む回転体)である。それぞれの搬送ローラー41Aは、1枚の光ファイバテープ7を搬送する。搬送ローラー41Aは、回転軸を中心に回転可能な円筒状の部材である。搬送ローラー41Aは、回転軸に対して平行な円筒状の外周面を有する。搬送ローラー41Aに搬送される光ファイバテープ7のテープ面は、その搬送ローラー41Aの回転軸に平行になる。図中の搬送ローラー41Aは、円筒状の外周面に溝が形成されており、溝の底面に光ファイバテープ7が載せられることによって、光ファイバテープ7が搬送ローラー41Aから外れ難く構成されている。但し、搬送ローラー41Aの外周面に溝が形成されていなくても良い。それぞれの搬送ローラー41Aが搬送した光ファイバテープ7は、共通の集合ローラー42Aに向かって搬送される。
【0045】
集合ローラー42Aは、集合させた複数の光ファイバテープ7を搬送するローラーである。集合ローラー42Aは、複数の光ファイバテープ7を集合させた状態で搬送する。集合ローラー42Aは、複数の搬送ローラー41Aの下流側に配置されている。集合ローラー42Aは、複数の搬送ローラー41Aから搬送されてくる光ファイバテープ7を集合させる機能も有する。集合ローラー42Aは、回転軸を中心に回転可能な円筒状の部材である。集合ローラー42Aは、回転軸に対して平行な円筒状の外周面を有する。集合ローラー42Aは、円筒状の外周面に溝が形成されており、溝の底面に光ファイバテープ7が乗せられることによって、集合させた複数の光ファイバテープ7が集合ローラー42Aから外れ難く構成されている。ここでは、図5に示すように、集合ローラー42Aの回転軸に平行な方向をX方向とする。また、X方向と光ファイバテープ7の長手方向とに対して垂直な方向をY方向とする(光ファイバテープ7の長手方向をZ方向とする)。
【0046】
本実施形態では、図5に示すように、少なくとも1つの搬送ローラー41Aの回転軸は、他の搬送ローラー41Aの回転軸に対して傾いて配置されている。具体的には、5つの搬送ローラー41Aの回転軸がX方向に平行であるのに対し、1つの搬送ローラー41Aの回転軸はX方向に対して角度θだけ傾いている。これにより、搬送ローラー41Aによって搬送される複数の光ファイバテープ7のうち、少なくとも1つの光ファイバテープ7は、そのテープ面が他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾いた状態で、搬送される。このため、搬送ローラー41Aによって搬送される複数の光ファイバテープ7のテープ面は、全て揃った状態ではなく、他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾いたテープ面を有する光ファイバテープ7が存在する。そして、本実施形態では、或る光ファイバテープ7のテープ面を他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾けた状態で、複数の光ファイバテープ7を集合させている。これにより、積層状態が崩れた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、光ファイバテープ7が間欠連結型の光ファイバテープであるため、テープ面の傾いた光ファイバテープ7と、テープ面の傾いていない光ファイバテープ7とが接触すると、両者のテープ面が変形する。テープ面が変形した状態で複数の光ファイバテープ7が集合すると、集合させた複数の光ファイバテープ7の全体の断面形状が崩れた状態になり、前述の図4Bに示すように、一括被覆型の光ファイバテープを集合させた場合(図4C参照)と比べて、光ファイバテープ7同士の隙間を小さくすることができる。
【0048】
ここでは、或る1つの搬送ローラー41Aの回転軸がX方向に対して傾いており、残りの他の搬送ローラー41Aの回転軸はX方向に平行である。但し、少なくとも1つの搬送ローラー41Aの回転軸を他の搬送ローラー41Aの回転軸に対して傾けるための配置は、これに限られるものではない。例えば、2以上の搬送ローラー41Aの回転軸をX方向に対して傾けても良い。また、全ての搬送ローラー41Aの回転軸をX方向に対してそれぞれ異なる方向に傾けても良い。
【0049】
また、本実施形態では、複数の光ファイバテープ7を集合させたときにY方向の中央部に位置する光ファイバテープ7を搬送する搬送ローラー41Aの回転軸が、他の搬送ローラー41Aの回転軸に対して傾いて配置されている。これにより、他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾いたテープ面を有する光ファイバテープ7がY方向の中央部に位置する状態で複数の光ファイバテープ7が集合するため、集合させた複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩し易くなる。
【0050】
図6は、回転軸の傾きθと、集合部40において集合させた複数の光ファイバテープ7の断面形状との関係を示す表である。ここでは、図5に示すように、他の搬送ローラー41Aの回転軸に対する搬送ローラー41Aの傾きをθとしている。図6に示すように、θを大きくすると、集合部40における複数の光ファイバテープ7の積層状態が崩れた状態になる。具体的には、θを15度以上にすると、積層状態が崩れた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。このため、θは15度以上であることが望ましい。
【0051】
<変形例>
図7は、第1実施形態の変形例の説明図である。変形例では、前述の搬送ローラー41Aの回転軸を傾ける代わりに、或る光ファイバテープ7の集合ローラー42Aへの入線角度θ1を、他の光ファイバテープ7の入線角度に対して、大きく異ならせている。なお、入線角度θ1は、集合させた複数の光ファイバテープ7の送出方向に対する、或る光ファイバテープ7の集合ローラー42Aへの入線角度である。或る光ファイバテープ7の入線角度θ1が大きくなると、その光ファイバテープ7が他の光ファイバテープ7と集合するときに、光ファイバテープ7のテープ面がうねるように変形し、この結果、積層状態が崩れた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。変形例の場合には、複数の光ファイバテープ7を集合させたときにY方向の中央部に位置する光ファイバテープ7の入線角度を大きくすることが望ましい。
【0052】
===第2実施形態===
上記の第1実施形態では、中間部材41が複数の搬送ローラー41Aによって構成されており、搬送ローラー41Aによって、或る光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせていた。但し、光ファイバテープ7の姿勢を異ならせる方法は、これに限られるものではない。
【0053】
図8は、第2実施形態の集合部40における光ファイバテープ7の搬送の様子の説明図である。第2実施形態の集合部40は、目板41Bと、集合ローラー42Aとを有する。第2実施形態では、中間部材41(少なくとも1つの光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせる部材)は、目板41Bにより構成されている。
【0054】
目板41Bは、複数の挿通穴411を有する板状の部材である。挿通穴411は、目板41Bを貫通した貫通穴であり、光ファイバテープ7を挿通させるための穴である。図中には、それぞれの挿通穴411に光ファイバテープ7を挿通させた様子が示されている。光ファイバテープ7を挿通穴411に挿通させることによって、光ファイバテープ7を特定の姿勢にさせることができる。
【0055】
本実施形態では、挿通穴411は、直線状(細長い長方形状:スリット状)に構成されている。直線状の挿通穴411に光ファイバテープ7を挿通させることによって、光ファイバテープ7のテープ面が所定の角度(直線状の挿通穴411に沿った角度)になるように、光ファイバテープ7の姿勢を規定することができる。なお、直線状の挿通穴411の長さは、平らな状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向の長さ(テープ幅)と同程度の長さである(詳しくはテープ幅より若干長い)。なお、後述するように、挿通穴411は、直線状に限られるものではなく、例えば、挿通穴411は、円形状、楕円形状、多角形状などの他の形状であっても良い。
【0056】
複数の挿通穴411のうちの少なくとも1つの挿通穴411は、他の挿通穴411に対して傾いて形成されている。これにより、挿通穴411を通過した複数の光ファイバテープ7のうち、少なくとも1つの光ファイバテープ7は、そのテープ面が他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾いた状態で、搬送される。このため、挿通穴411を通過した複数の光ファイバテープ7のテープ面は、全て揃った状態ではなく、他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾いたテープ面を有する光ファイバテープ7が存在する。そして、本実施形態では、或る光ファイバテープ7のテープ面を他の光ファイバテープ7のテープ面に対して傾けた状態で、複数の光ファイバテープ7を集合させている。これにより、積層状態が崩れた状態で複数の光ファイバテープ7を集合させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、全ての直線状の挿通穴411がそれぞれ異なる角度に傾いて形成されているが、同じ方向の直線状の挿通穴411が2つ以上含まれていても良い。但し、本実施形態のように、全ての直線状の挿通穴411がそれぞれ異なる角度に傾いて形成されていれば、集合させた複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩し易くなる。また、本実施形態では、全ての直線状の挿通穴411は、X方向(集合ローラー42Aの回転軸に平行な方向)に対して傾いて形成されているが、X方向に平行な挿通穴411が含まれていても良い。但し、本実施形態のように、全ての直線状の挿通穴411がX方向に対して傾いて形成されていれば、集合ローラー42Aで集合させた複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩し易くなる。
【0058】
<変形例>
上記の実施形態では、或る光ファイバテープ7のテープ面を傾けた状態にすることによって、その光ファイバテープ7の姿勢を他の光ファイバテープ7の姿勢と異ならせていた。但し、光ファイバテープ7の姿勢を異ならせる方法は、これに限られるものではない。
【0059】
図9は、第2実施形態の第1変形例の説明図である。第1変形例では、目板41Bは、直線状の挿通穴411だけでなく、円形状の挿通穴411を有している。第1変形例では、少なくとも1つの挿通穴411(円形状の挿通穴411)は、他の挿通穴411(直線状の挿通穴411)と異なる形状である。間欠連結型の光ファイバテープ7が円形状の挿通穴411を通過するときに、円形状の挿通穴411の内壁面によって光ファイバテープ7がテープ幅方向に対して変形する。これにより、円形状の挿通穴411を通過した光ファイバテープ7の断面形状は、他の挿通穴411を通過した光ファイバテープ7の断面形状と異ならせることができるため、他の光ファイバテープ7と異なる姿勢にさせることができる。テープ面が変形した状態(他の光ファイバテープ7に対して断面形状を異ならせた状態)で複数の光ファイバテープ7が集合すると、集合させた複数の光ファイバテープ7の全体の断面形状が崩れた状態になる。
【0060】
円形状の挿通穴411の直径Dは、平らな状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向の長さ(テープ幅)よりも小さい。このように、挿通穴411における最大内寸(例えば円形状の場合は直径、楕円形状の場合は長径)が、平らな状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向の長さ(テープ幅)よりも小さいことによって、間欠連結型の光ファイバテープ7が挿通穴411を通過するときに、挿通穴411の内壁面によって光ファイバテープ7を確実に変形させることができる。
【0061】
また、第1変形例では、複数の光ファイバテープ7を集合させたときにY方向の中央部に位置する光ファイバテープ7を挿通する挿通穴411が、テープ幅よりも小さい直径Dの円形状の挿通穴411として形成されている。また、本実施形態では、目板41BのY方向の中央部に位置する挿通穴411が、テープ幅よりも小さい直径Dの円形状の挿通穴411として形成されている。これにより、変形したテープ面を有する光ファイバテープ7がY方向の中央部に位置する状態で複数の光ファイバテープ7が集合するため、集合させた複数の光ファイバテープ7の積層状態を崩し易くなる。
【0062】
図10は、第2実施形態の第2変形例の説明図である。第2変形例では、目板41Bの全ての複数の挿通穴411は、円形状である。このように、全ての挿通穴411を同じ形状にしても良い。第2変形例においても、第1変形例と同様に、円形状の挿通穴411の直径D(挿通穴411における最大幅に相当)は、平らな状態の光ファイバテープ7のテープ幅方向の長さ(テープ幅)よりも小さい。これにより、間欠連結型の光ファイバテープ7が円形状の挿通穴411を通過するときに、円形状の挿通穴411の内壁面によって光ファイバテープ7を確実に変形させることができる。また、テープ面が変形した状態で複数の光ファイバテープ7が集合すると、集合させた複数の光ファイバテープ7の全体の断面形状が崩れた状態になる。
【0063】
本実施形態の挿通穴411の場合、挿通穴411が直線状の場合とは異なり、挿通穴411に挿通されている光ファイバテープ7の姿勢が変化可能である。例えば、挿通穴411に挿通されている光ファイバテープ7は、断面形状が渦巻き状、S字状、逆S字状などに変化可能である。このため、目板41Bよりも下流側で複数の光ファイバテープ7を集合させるときに光ファイバテープ7が他の光ファイバテープ7に接触して力を受けることによって、光ファイバテープ7の姿勢が変化し、この結果、挿通穴411における光ファイバテープ7の断面形状が経時的に変化する。これにより、集合させた複数の光ファイバテープ7の断面形状も経時的に変化し、集合させた複数の光ファイバテープ7の断面形状が、長手方向の位置に応じて変化する。集合させた複数の光ファイバテープ7の断面形状を長手方向に異ならせることによって、光ケーブルが曲げられたときに光ファイバに付加される応力(引張応力又は圧縮応力)を別の位置で吸収させることができる(光ファイバ8に付加される応力を長手方向に分散させることができる)。このため、第2変形例のように、挿通穴411における光ファイバテープ7の断面形状が変化可能であることは望ましい。
【0064】
挿通穴411における光ファイバテープ7の断面形状を経時的に変化させ易くするためには、挿通穴411の内壁面は、曲面で構成されることが望ましい。具体的には、挿通穴411は、円形状又は楕円形状であることが望ましい。
【0065】
===その他の実施形態===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。また、上述の各実施形態が適宜組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 光ケーブル、2 光ファイバユニット、
3 外被、4 テンションメンバ、5 押え巻きテープ、
7 光ファイバテープ、8 光ファイバ、
9A 連結部、9B 非連結部、
10 バンドル材、15 接合部、
20 ユニット製造装置、30 テープ供給部、
40 集合部、41 中間部材、
41A 搬送ローラー、41B 目板、411 挿通穴、
42 集合部材、42A 集合ローラー、
50 バンドル巻付部、60 バンドル接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10