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特許7526602クリーニングカセット及びサーマルプリンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】クリーニングカセット及びサーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20240725BHJP
   B41J 25/312 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
B41J25/312
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020115891
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013374
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390034223
【氏名又は名称】イーデーエム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】立石 仁
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-001810(JP,A)
【文献】特開平10-000839(JP,A)
【文献】特開平10-076738(JP,A)
【文献】特開2005-212251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
B41J 23/00 - 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対向して配置されるサーマルヘッド受け部と、を備えるサーマルプリンタに着脱可能なクリーニングカセットであって、
前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記サーマルヘッドと前記サーマルヘッド受け部との間に配置され、前記サーマルヘッドに押圧されながら前記サーマルヘッドに摺接されるクリーニングリボンと、
前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記クリーニングリボンと前記サーマルヘッド受け部との間に配置され、前記サーマルヘッドに押圧された前記クリーニングリボンを受けるゴム製のシート状のシート部材を有するゴムシート構成部と、を備え
前記ゴムシート構成部は、開口が設けられた保持板を有し、
前記シート部材は、前記開口の少なくとも一部を覆った状態で前記保持板に取り付けられると共に前記開口において前記サーマルヘッドが前記クリーニングリボンを押圧しながら摺接する範囲に配置されるクリーニングカセット。
【請求項2】
前記クリーニングカセットは、前記サーマルプリンタに装着された場合に、印刷時に用いられるインクリボンカセットと区別されることが可能なカセット判別構造を備える請求項1に記載のクリーニングカセット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記クリーニングカセットと、印刷時に用いられるインクリボンカセットと、を交換して着脱可能に構成される前記サーマルプリンタであって、
前記サーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドに対向して配置される前記サーマルヘッド受け部と、を備え、
前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記サーマルヘッドは、発熱した状態で、前記クリーニングリボンを押圧しながら前記クリーニングリボンに摺接し、
前記サーマルヘッドは、クリーニング動作を実行時に、前記クリーニングリボン側に向けて加圧される、サーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングカセット及びサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタに用いられるクリーニングカセットが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のクリーニングカセットにおいては、クリーニング液を含有させたクリーングリボンを用いることにより、サーマルヘッドのクリーニング動作を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-278339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サーマルヘッドのクリーニングにおいて、クリーニング液を含有させたクリーニングリボンを用いた場合に、サーマルヘッドに固着したインクリボンの背面層や基材のカスが除去できないことがある。また、サーマルプリンタを包装機に搭載した場合、サーマルヘッドとプラテン板(またはプラテンロール)との間に被印刷物があるため、容易にサーマルヘッドのクリーニングが出来なかった。これを簡易な構成で、サーマルヘッドのクリーニングを効果的に行うことができるクリーニングカセットが望まれている。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、サーマルヘッドのクリーニングを効果的に行うことができるクリーニングカセット及びこれを備えるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対向して配置されるサーマルヘッド受け部と、を備えるサーマルプリンタに着脱可能なクリーニングカセットであって、前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記サーマルヘッドと前記サーマルヘッド受け部との間に配置され、前記サーマルヘッドに押圧されながら前記サーマルヘッドに摺接されるクリーニングリボンと、前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記クリーニングリボンと前記サーマルヘッド受け部との間に配置され、前記サーマルヘッドに押圧された前記クリーニングリボンを受けるゴム製のシート部材と、を備えるクリーニングカセットに関する。
【0007】
また、前記クリーニングカセットは、前記サーマルプリンタに装着された場合に、印刷時に用いられるインクリボンカセットと区別されることが可能なカセット判別構造を備えることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、前記クリーニングカセットと、印刷時に用いられるインクリボンカセットと、を交換して着脱可能に構成されるサーマルプリンタであって、前記サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対向して配置される前記サーマルヘッド受け部と、を備え、前記クリーニングカセットが前記サーマルプリンタに装着された場合に、前記サーマルヘッドは、発熱した状態で、前記クリーニングリボンを押圧しながら前記クリーニングリボンに摺接し、前記サーマルヘッドは、クリーニング動作を実行時に、通常の印刷動作時よりも圧力設定を120~150%とした状態で前記クリーニングリボン側に向けて加圧されるサーマルプリンタに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成でサーマルヘッドのクリーニングを効果的に行うことができるクリーニングカセット及びこれを備えるサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)はプリンタ本体を示す図であり、(b)はプリンタ本体に対して着脱可能なインクリボンカセットを示す図であり、(c)はプリンタ本体に対して着脱可能なクリーニングカセットを示す図である。
図2】プリンタ本体にインクリボンカセットを装着した場合を示す図である。
図3】インクリボンカセットの構成を示す図である。
図4】インクリボンカセットの判別構造を示す図である。
図5】プリンタ本体にクリーニングカセットを装着した場合を示す図である。
図6】クリーニングカセットの構成を示す図である。
図7】クリーニングカセットの判別構造を示す図である。
図8】クリーニングカセットのクリーニング機構部の構成を示す図であって、(a)は平面図であって、(b)は、図7(b)のA-A線断面図である。
図9】クリーニングカセットの動作を示すフローチャートである。
図10】クリーニング動作時におけるサーマルヘッドの発光素子の発光制御の制御パターンを示す図である。
図11】クリーニングカセットの動作を示す図であって、(a)はサーマルヘッドが待機位置に位置する状態を示す図であり、(b)はサーマルヘッドを(a)に示す状態から押圧位置に移動した状態を示す図であり、(c)はサーマルヘッドを(b)に示す状態からY方向の一方に移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面において、本実施形態においては、サーマルプリンタ1の主走査方向をX方向ともいう。また、サーマルプリンタ1の副走査方向をY方向ともいう。上下方向を上下方向Zともいう。
【0012】
本実施形態のサーマルプリンタ1は、図1に示すように、プリンタ本体20(図1(a)参照)に対して、インクリボンカセット30(図1(b)参照)又はクリーニングカセット40(図1(c)参照)を着脱可能な、いわゆるカセット式の構造を備える。プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合には、インクリボンカセット30により、印刷時に印刷動作を行うことができる。プリンタ本体20に、インクリボンカセット30に代えて、クリーニングカセット40が装着された場合には、クリーニングカセット40により、サーマルヘッド21(後述)のクリーニングを行うことができる。
【0013】
まず、サーマルプリンタ1にインクリボンカセット30を装着した場合について説明する。図2に示すように、サーマルプリンタ1は、プリンタ本体20と、プラテンプレート23(サーマルヘッド受け部)と、インクリボンカセット30と、制御部50と、を備える。インクリボンカセット30は、プリンタ本体20に対して着脱可能に構成されている。
【0014】
インクリボンカセット30は、図1及び図3に示すように、ベース板31と、把持部32と、リボン搬送機構33、2つの着脱ガイドシャフト34,35と、を備える。
【0015】
ベース板31は、Y方向及び上下方向Zに延びる板状に形成される。把持部32は、図1に示すように、ベース板31の外面(X方向左側)に設けられる。把持部32は、プリンタ本体20に対してインクリボンカセット30を着脱する際に人の手に把持される。リボン搬送機構33は、ベース板31の内面(X方向右側)に配置される。
【0016】
2つの着脱ガイドシャフト34,35は、ベース板31の内面(X方向右側)から右方に配置される。2つの着脱ガイドシャフト34,35は、上下方向Zに離間して配置される。着脱ガイドシャフト34は、ベース板31の上端側に配置され、着脱ガイドシャフト35は、着脱ガイドシャフト34よりも下方側においてベース板31の上下方向の中央寄りに配置される。2つの着脱ガイドシャフト34,35は、プリンタ本体20にインクリボンカセット30を装着する場合に、インクリボンカセット30の装着をガイドする。
【0017】
図1に示すように、上端側に配置される着脱ガイドシャフト34は、図4に示すように、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合に、プリンタ本体20の判別スイッチ24(後述)を押圧する。これにより、制御部50は、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着されたことを判別できる。着脱ガイドシャフト34は、図1に示すように、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合に、判別スイッチ24を押圧できる長さL1に形成される。
【0018】
リボン搬送機構33は、図3に示すように、インクリボンRと、巻回された未使用のインクリボンRを保持する原反側リボンホルダ331と、インクリボンRを巻き取る巻取側リボンホルダ332と、複数のガイドローラ333と、を備える。本実施形態においては、インクリボンRとして、厚さが、例えば、8μmのものを用いている。
【0019】
リボン搬送機構33は、図2に示すように、インクリボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合に、原反側リボンホルダ331に巻回された未使用のインクリボンRをサーマルヘッド21へ向けて搬送すると共に、サーマルヘッド21に向けて搬送されたインクリボンRを巻取側リボンホルダ332へ向けて搬送する。複数のガイドローラ333は、原反側リボンホルダ331から巻取側リボンホルダ332に向かって搬送されるインクリボンRをガイドするローラである。
【0020】
インクリボンカセット30は、プリンタ本体20に対して着脱可能である。プリンタ本体20は、図1に示すように、サーマルヘッド21と、保持体22と、判別スイッチ24と、を備える。保持体22には、図1及び図2に示すように、サーマルヘッド21が保持されている。
【0021】
プラテンプレート23は、図2に示すように、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合に、インクリボンR及び長尺フィルムFを挟んでサーマルヘッド21に対向して配置される。本実施形態においては、プラテンプレート23は、プリンタ本体20の下方に配置される。プラテンプレート23は、金属製板材の表面にシリコーンゴム等の弾性層を有して構成される。
【0022】
サーマルヘッド21は、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合に、上流側から下流側に向けて移動される長尺フィルムF(被印刷物)に、印刷パターン(不図示)を印刷する。サーマルヘッド21は、図2に示すように、リボン搬送機構33のインクリボンR及び長尺フィルムFを挟んで、プラテンプレート23に対向して配置される。
【0023】
サーマルヘッド21は、先端21a側が下方側に突出するように配置される。サーマルヘッド21は、その先端21aに複数の発熱素子(不図示)を備える。複数の発熱素子は、サーマルヘッド21の主走査方向(長尺フィルムFの移動方向に直交する方向)(X方向)に並んで配置される。
【0024】
本実施形態においては、サーマルヘッド21は、主走査方向に発熱素子が直線状に並んだライン型のサーマルヘッドである。本実施形態においては、サーマルヘッド21の主走査方向は、X方向と一致する。サーマルヘッド21に通電されることにより、所望の発熱素子が発熱する。サーマルヘッド21は、上流側から下流側に向けて移動する長尺フィルムFに対して、副走査方向に沿って印刷を行う。サーマルヘッド21の副走査方向(長尺フィルムFの移動方向と同じ方向)は、サーマルヘッド21の主走査方向に直交する方向であり、Y方向と一致する。
【0025】
サーマルヘッド21は、上下方向Zに移動可能に構成され、プラテンプレート23に対して、プラテンプレート23から離間する待機位置又はプラテンプレート23を押圧する押圧位置に移動可能に構成される。サーマルヘッド21は、押圧位置において、停止した長尺フィルムFに対して、長尺フィルムFが延びるY方向に移動可能に構成される。
【0026】
具体的には、サーマルヘッド21を、上下方向Zにおいて、待機位置から、押圧位置(図2参照)に向かうように移動させることで、インクリボンRを、長尺フィルムF及びプラテンプレート23側に押圧する。そして、サーマルヘッド21をY方向に移動させることにより、プラテンプレート23の表面において、発熱した所望の発熱素子と接触したインクリボンRが長尺フィルムFに接触した状態で移動される。これにより、サーマルプリンタ1は、インクリボンRに塗布されたインクを長尺フィルムFに接着させて、印刷パターン(不図示)を印刷する。
【0027】
判別スイッチ24は、図1に示すように、保持体22の上方側に配置される。判別スイッチ24は、プリンタ本体20に対して、インクリボンカセット30が装着されたか、又は、クリーニングカセット40が装着されたかを判別可能な機構である。インクリボンカセット30が装着されて着脱ガイドシャフト34により判別スイッチ24が押圧されリボン検知センサー25がインクリボンRを検知した場合には、押圧信号が制御部50に送信される。クリーニングカセット40が装着されても判別スイッチ24が押圧されず且つリボン検知センサー25がインクリボンRを検知した場合には、押圧信号は制御部50に送信されない。
【0028】
制御部50は、サーマルプリンタ1の動作を制御する。制御部50は、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着されたか、又は、クリーニングカセット40が装着されたかを判別する。制御部50は、例えば、操作部(図示せず)においてクリーニング開始のボタンが押されたときに、判別スイッチ24が押圧されていない場合に、クリーニングカセット40が装着されていることを判別する。
【0029】
制御部50は、プリンタ本体20に装着されたカセットに応じて、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合には、長尺フィルムF(被印刷物)に印刷する印刷動作を制御し、プリンタ本体20にクリーニングカセット40が装着された場合には、サーマルヘッド21のクリーニング動作を制御する。
【0030】
制御部50は、サーマルヘッド21における複数の発熱素子それぞれのON時間を制御する。これにより、制御部50は、クリーニング動作時において、サーマルヘッド21の負荷を低減させつつクリーニング動作を実行するために、例えば、複数の発熱素子を間引いて通電する制御を実行できる。
【0031】
次に、サーマルプリンタ1にクリーニングカセット40を装着した場合について説明する。クリーニングカセット40の構成は、インクリボンカセット30の構成の大部分を利用している。そのため、クリーニングカセット40の説明においては、インクリボンカセット30との違いについて主に説明する。クリーニングカセット40とインクリボンカセット30とは、インクリボンカセット30に用いられるインクリボンRに代えてクリーニングカセット40ではクリーニングリボンCが用いられる点と、クリーニングカセット40がゴムシート構成部46を備える点と、において主に異なる。
【0032】
サーマルプリンタ1は、図5に示すように、プリンタ本体20と、プラテンプレート23と、クリーニングカセット40と、制御部50と、を備える。クリーニングカセット40は、図1に示すように、インクリボンカセット30に代えて、プリンタ本体20に装着される。クリーニングカセット40がプリンタ本体20に装着された場合に、プリンタ本体20、プラテンプレート23及び制御部50の構成は、インクリボンカセット30がプリンタ本体20に装着された場合と同様の構成である。
【0033】
クリーニングカセット40は、図1及び図6に示すように、ベース板41と、把持部42と、クリーニングリボン搬送機構43、2つの着脱ガイドシャフト44,45と、ゴムシート構成部46と、を備える。クリーニングカセット40のベース板41及び把持部42は、インクリボンカセット30のベース板31及び把持部32と同様の構成である。
【0034】
2つの着脱ガイドシャフト44,45は、ベース板41の内面(X方向右側)から右方に配置される。2つの着脱ガイドシャフト44,45は、上下方向Zに離間して配置される。着脱ガイドシャフト44は、ベース板41の上端側に配置され、着脱ガイドシャフト45は、着脱ガイドシャフト44よりも下方側においてベース板41の上下方向の中央寄りに配置される。2つの着脱ガイドシャフト44,45は、プリンタ本体20にクリーニングカセット40を装着する場合に、クリーニングカセット40の装着をガイドする。
【0035】
図1に示すように、上端側に配置される着脱ガイドシャフト44は、ベース板41の上下方向Zの一端部側(図1における上端部側)に配置される。着脱ガイドシャフト44のベース板41からの長さL2は、インクリボンカセット30の着脱ガイドシャフト34のベース板31からの長さL1よりも短く形成される(L2<L1)。中央寄りに配置される着脱ガイドシャフト45の構成は、インクリボンカセット30の着脱ガイドシャフト35と同様の構成である。
【0036】
着脱ガイドシャフト44は、図7に示すように、プリンタ本体20にクリーニングカセット40が装着された場合に、プリンタ本体20の判別スイッチ24を押圧しない。これにより、制御部50は、例えば、操作部(図示せず)においてクリーニング開始ボタンが押されたときに、判別スイッチ24が押圧されていない場合に、クリーニングカセット40が装着されていることを判別できる。着脱ガイドシャフト44は、プリンタ本体20にクリーニングカセット40が装着された場合に、判別スイッチ24を押圧できない長さL2に形成される。
【0037】
これに対して、前述したように、インクリボンカセット30の着脱ガイドシャフト34は、図1及び図4に示すように、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合に、判別スイッチ24を押圧できる長さL1に形成される。よって、図4及び図8に示すように、インクリボンカセット30又はクリーニングカセット40をプリンタ本体20に装着した場合に、インクリボンカセット30及びクリーニングカセット40の違いを判別できる。このように、クリーニングカセット40は、インクリボンカセット30と区別できるカセット判別構造を有しており、インクリボンカセット30は、クリーニングカセット40と区別できるカセット判別構造を有している。
【0038】
クリーニングリボン搬送機構43は、図6に示すように、クリーニングリボンCと、巻回された未使用のクリーニングリボンCを保持する原反側クリーニングリボンホルダ431と、クリーニングリボンCを巻き取る巻取側クリーニングリボンホルダ432と、複数のガイドローラ433と、を備える。
【0039】
クリーニングリボン搬送機構43は、インクリボンカセット30のリボン搬送機構33がインクリボンRを搬送するのに対して、クリーニングカセット40のクリーニングリボン搬送機構43がクリーニングリボンCを搬送する点において異なる。クリーニングリボン搬送機構43のその他の構成(クリーニングリボン搬送機構43の原反側クリーニングリボンホルダ431、巻取側クリーニングリボンホルダ432及び複数のガイドローラ433)の構成は、インクリボンカセット30のリボン搬送機構33の構成(原反側リボンホルダ331、巻取側リボンホルダ332及び複数のガイドローラ333)と同様である。
【0040】
クリーニングリボンCは、クリーニングカセット40がサーマルプリンタ1に装着された場合に、サーマルヘッド21とプラテンプレート23との間に配置される。クリーニングリボンCは、サーマルヘッド21に押圧されながらサーマルヘッド21に摺接される。
【0041】
本実施形態においては、「クリーニングリボンCがサーマルヘッド21に摺接される」とは、クリーニングリボンCがサーマルヘッド21にこすれながら接触することを意味する。なお、「クリーニングリボンCがサーマルヘッド21に摺接される」場合に、停止したクリーニングリボンCに対してサーマルヘッド21が移動してもよいし、停止したサーマルヘッド21に対してクリーニングリボンCが移動してもよい。本実施形態においては、後述するように、停止したクリーニングリボンCに対してサーマルヘッド21が移動することで、クリーニングリボンCがサーマルヘッド21に押圧されながら摺接されている。
【0042】
クリーニングリボンCは、図5に示すように、サーマルヘッド21の先端21aを研磨する研磨面Caを有するフィルム状に形成される。本実施形態においては、クリーニングリボンCとして、厚さが、例えば、25μmのものを用いている。研磨面Caは、サーマルプリンタ1にクリーニングカセット40を装着した場合に、クリーニングリボンCにおけるサーマルヘッド21の先端21aに対向して配置される面である。研磨面Caの表面には、砥粒が配置されている。クリーニングリボンCは、研磨面Caにおいてサーマルヘッド21の先端21aを研磨することで、サーマルヘッド21の先端21aに付着した付着物を除去する。
【0043】
ゴムシート構成部46は、図1及び図6に示すように、クリーニングカセット40の下端部に配置される。ゴムシート構成部46は、サーマルヘッド21のクリーニング時において、サーマルヘッド21が押圧するクリーニングリボンCの研磨面Caと反対の面側に配置される。ゴムシート構成部46は、図8(a)及び(b)に示すように、保持枠47と、ゴム製のゴムシート48と、を備える。
【0044】
保持枠47は、図8(a)及び(b)に示すように、保持板471と、一対の端部立ち上がり壁472と、を有する。保持板471は、上方側から見た外形が長方形状に形成される。保持板471には、方形状に貫通する方形開口471aが設けられている。一対の端部立ち上がり壁472は、Y方向の両端部から立ち上がる。
【0045】
ゴムシート48は、保持枠47に取り付けられている。ゴムシート48は、方形開口471aの全有効印字範囲を覆うように、保持板471の上面に配置される。ゴムシート48のY方向の両端部は、一対の端部立ち上がり壁472に取り付けられている。ゴムシート48は、例えば、弾性を有するゴム材料で形成される。
【0046】
ゴムシート48は、図5に示すように、クリーニングカセット40がサーマルプリンタ1に装着された場合に、クリーニングリボンCとサーマルヘッド受け部23との間に配置される。ゴムシート48は、サーマルヘッド21が押圧するクリーニングリボンCの研磨面Caと反対の面側に配置される。ゴムシート48は、サーマルヘッド21に押圧されたクリーニングリボンCを受ける。なお、ゴムシート48は、方形開口471aにおいて、サーマルヘッド21がクリーニングリボンCを押圧しながら摺接する範囲に配置されていればよく、方形開口471aの全部を覆うように配置されていてもよいし、本実施形態よりも少ない一部を覆うように配置されていてもよい。
【0047】
サーマルヘッド21は、プリンタ本体20にクリーニングカセット40が装着された場合に、サーマルヘッド21を動作させることで、サーマルヘッド21のクリーニングを行うことができる。サーマルヘッド21は、図5に示すように、クリーニングリボン搬送機構43のクリーニングリボンC及びゴムシート構成部46のゴムシート48を挟んで、プラテンプレート23に対向して配置される。サーマルヘッド21の構成は、上述した構成と同様である。
【0048】
次に、サーマルプリンタ1の動作について説明する。
まず、サーマルプリンタ1の印刷動作について説明する。サーマルプリンタ1の印刷動作を実行させる場合には、使用者は、プリンタ本体20にインクリボンカセット30を装着する。プリンタ本体20にインクリボンカセット30を装着した状態で、電源をONとする。ここで、プリンタ本体20にインクリボンカセット30が装着された場合には、図4に示すように、着脱ガイドシャフト34が判別スイッチ24に押圧されるため、サーマルプリンタ1は、インクリボンカセット30が装着されていることを認識している。
【0049】
その後、サーマルプリンタ1は、印刷動作の開始信号を受信することで、上流側から下流側に搬送される長尺フィルムに対して、印刷パターンを印刷する。サーマルプリンタ1は、印刷動作の開始信号を受信することで、サーマルヘッド21を、待機位置から、押圧位置(図5参照)に向かうように移動させて、インクリボンRを、長尺フィルムF及びプラテンプレート23側に押圧する。そして、サーマルヘッド21を長尺フィルムFが延びる方向に移動させることにより、プラテンプレート23の表面において、発熱した所望の発熱素子と接触したインクリボンRが長尺フィルムFに接触した状態で移動される。これにより、サーマルプリンタ1は、インクリボンRに塗布されたインクを長尺フィルムFに接着させて、印刷パターン(不図示)を印刷する。
【0050】
次に、サーマルプリンタ1のクリーニング動作について説明する。
サーマルヘッド21の先端21aに付着物が付着した場合には、サーマルプリンタ1からインクリボンカセット30を取り外して、サーマルプリンタ1にクリーニングカセット40を装着することで、クリーニング動作を実行する。
【0051】
ここで、サーマルヘッド21の先端21aに付着物が付着する理由について説明する。サーマルプリンタ1の印刷時において、インクリボンRのインク層側のインクを長尺フィルムF(被印刷物)に転写する際に、サーマルヘッド21のヒータ部による熱と圧力とをインクリボンRの背面層側から掛けた場合に、サーマルヘッド21の先端21aが接触しながら移動する。これにより、サーマルヘッド21の先端21aのヒータ部には、インクリボンRの背面層及び基材が溶融することと削られることとで生じたインクリボンRの背面層及び基材のカスが付着物として付着する。サーマルヘッド21の先端21aのヒータ部に付着した付着物は、そのまま除去せずに印刷動作を継続すると、インクリボンRの背面層及び背面層の基材が削られたカスが堆積して固着する。
このような場合に、サーマルプリンタ1からインクリボンカセット30を取り外して、サーマルプリンタ1にクリーニングカセット40を装着することで、クリーニング動作を実行する。
【0052】
図9に示すように、ステップS1において、サーマルプリンタ1のクリーニング動作を実行する場合には、使用者は、プリンタ本体20にクリーニングカセット40を装着する。
【0053】
ステップS2において、使用者は、操作部(図示せず)において、クリーニングモードを設定する。例えば、図10に示すように、主走査方向であるX方向にXaドット(例えば、10ドット)で副走査方向であるY方向にYaドット(例えば、3ドット)の範囲で構成されるONパターンPaを、X方向及びY方向に間隔を空けて格子状に配置する熱制御パターンPにより、複数の発熱素子の発熱の制御を実行するクリーリングモードを選択して設定する。
【0054】
ステップS3において、使用者は、運転スイッチをクリーニング開始に切り替える。プリンタ本体20にクリーニングカセット40を装着した状態で、使用者により、例えば、操作部(図示せず)においてクリーニング開始ボタンが押されたときに、図7に示すように、プリンタ本体20の判別スイッチ24が押圧されず且つリボン検知センサー25がクリーニングリボンCを検知した場合に、制御部50は、クリーニングカセット40が装着されていることを判別する。
【0055】
ステップS4において、使用者がクリーニング開始ボタンを操作することにより、サーマルプリンタ1は、サーマルヘッド21が印刷待機位置へ移動されて、クリーニング動作の開始信号を受信することで、ステップS5において、サーマルヘッド21を、待機位置(図11(a)参照)から、押圧位置(図11(b)参照)に向かうように移動させて、クリーニングリボンCを、プラテンプレート23側に押圧する。そして、サーマルヘッド21の先端21aにおいて複数の発熱素子をONとした状態で、図11(c)に示すように、サーマルヘッド21をY方向の一方に移動させて、クリーニング動作を実行する。
【0056】
ここで、クリーニング動作の実行時に、サーマルヘッド21は、通常の印刷動作時よりも圧力設定を120~150%とした状態でクリーニングリボンC側に向けて加圧されることが好ましい。
【0057】
通常の印刷動作時よりも圧力設定を120~150%とした状態で加圧することが好ましい理由は、サーマルヘッド21の先端21aをクリーニングリボンCにある程度の圧力で押圧すればサーマルヘッド21の先端21aのヒータ部に付着した付着物を除去することができる一方、加圧する圧力が高いとサーマルヘッド21がクリーニングリボンCに強い力で押し当てられることで、クリーニングリボンCが削られて新たな付着物としてサーマルヘッド21の先端21aに付着する可能性があるためである。
【0058】
本実施形態においては、例えば、通常の印刷動作時と同じ熱エネルギー状態で加熱し、かつ、圧力設定を130%とした状態で加圧したサーマルヘッド21をY方向に、例えば15mm移動させて待機位置(図11(a)参照)まで戻す。さらに、押圧位置(図11(b)参照)から図11(c)に示す位置までの間を複数回往復動作させてもよい。
【0059】
これにより、サーマルヘッド21は、先端21aにおいて発熱した所望の発熱素子と接触したクリーニングリボンCをゴムシート48に押圧した状態で、ゴムシート48の表面において、クリーニングリボンCの研磨面Caに押圧されながら摺接された状態で移動する。ゴムシート48は、サーマルヘッド21に押圧されたクリーニングリボンCを受けている。プラテンプレート23は、ゴムシート48におけるクリーニングリボンCと反対側の面において、サーマルヘッド21に押圧されたクリーニングリボンCを受けるゴムシート48を受けている。
【0060】
ゴムシート48は、弾性を有するゴム材料により形成されるため、サーマルヘッド21がクリーニングリボンCをゴムシート48に押圧する場合に、サーマルヘッド21の先端21aがゴムシート48側にめり込んだ状態でクリーニングリボンCに押圧される。これにより、サーマルヘッド21の先端21aがゴムシート48側にめり込んだ状態でクリーニングリボンCに押圧された状態で、サーマルヘッド21の先端21aは、クリーニングリボンCの研磨面Caに押圧されながら摺接される。
【0061】
クリーニング動作の実行時には、サーマルヘッド21の発熱素子の発熱制御において、図10に示すように、例えば、主走査方向であるX方向にXaドット(例えば、10ドット)で副走査方向であるY方向にYaドット(例えば、3ドット)の範囲で構成されるONパターンPaを、X方向及びY方向に間隔を空けて格子状に配置する熱制御パターンPにより、複数の発熱素子の発熱の制御を実行する。なお、図10において、黒で塗りつぶした部分は、発熱素子をONとした制御部分であり、白で囲んだ部分は、発熱素子をOFFとした制御部分である。これにより、複数の発熱素子の全部をONとせずに、複数の発熱素子を間引いてONとできるため、サーマルヘッド21の負荷を低減させつつクリーニングができる。
【0062】
よって、サーマルヘッド21は、クリーニング時において、複数の発熱素子が発熱した状態で、クリーニングリボンCをゴムシート48に押し付けてプラテンプレート23側に押圧しながら、クリーニングリボンCに摺接される。このように構成されるサーマルプリンタ1は、クリーニングリボンCをゴムシート48に押し付けた状態でプラテンプレート23の表面に押圧することで、サーマルヘッド21の先端21aがゴムシート48側にめり込んだ状態でクリーニングリボンCに押圧された状態で、サーマルヘッド21の先端21aに付着した付着物を除去することができる。従って、簡易な構成で、サーマルヘッド21の先端21aに付着した付着物を効果的に除去できる。更に、サーマルヘッド21は、クリーニング時において、複数の発熱素子が発熱した状態でクリーニングリボンCに摺接されるため、サーマルヘッド21の先端21aに付着した付着物を一層効果的に除去できる。
【0063】
ステップS6において、クリーニング動作の実行後、サーマルヘッド21は、クリーニングカセット40の取り外し位置まで移動され、ステップS7において、サーマルヘッド21を検査する動作が実行される。
【0064】
ステップS8において、使用者は、運転スイッチを通常の印刷動作に切り替える。ステップS9において、使用者は、プリンタ本体20からクリーニングカセット40を装着する。これにより、サーマルプリンタ1のクリーニング動作を終了する。
【0065】
本実施形態のクリーニングカセット40及びサーマルプリンタ1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
【0066】
本実施形態のクリーニングカセット40は、サーマルヘッド21と、サーマルヘッド21に対向して配置されるプラテンプレート23と、を備えるサーマルプリンタ1に着脱可能なクリーニングカセット40であって、クリーニングカセット40がサーマルプリンタ1に装着された場合に、サーマルヘッド21とプラテンプレート23との間に配置され、サーマルヘッド21に押圧されながらサーマルヘッド21に摺接されるクリーニングリボンCと、クリーニングカセット40がサーマルプリンタ1に装着された場合に、クリーニングリボンCとプラテンプレート23との間に配置され、サーマルヘッド21に押圧されたクリーニングリボンCを受けるゴム製のゴムシート48と、を備える。これにより、クリーニングリボンCがゴムシート48に押圧されながらサーマルヘッド21に摺接されるため、サーマルヘッド21に付着した付着物を簡易な構成で除去できる。よって、簡易な構成で、サーマルヘッド21のクリーニングを効果的に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態においては、クリーニングカセット40は、サーマルプリンタ1に装着された場合に、印刷時に用いられるインクリボンカセット30と区別されることが可能なカセット判別構造を備える。これにより、クリーニングカセット40を判別できるため、クリーニングカセット40を動作させる制御を安全に実行できる。
【0068】
また、本実施形態のサーマルプリンタ1は、サーマルヘッド21と、サーマルヘッド21に対向して配置されるプラテンプレート23と、を備え、クリーニングカセット40がサーマルプリンタ1に装着された場合に、サーマルヘッド21は、発熱した状態で、クリーニングリボンCを押圧しながらクリーニングリボンCに摺接する。これにより、クリーニングリボンCに熱を掛けながら、サーマルヘッド21をクリーニングリボンCに押圧しながら摺接できる。よって、サーマルヘッド21に付着した付着物を一層効果的に除去できる。
【0069】
また、本実施形態においては、サーマルヘッド21は、その先端21aに形成され主走査方向に並んで配置される複数の発熱素子を有し、複数の発熱素子それぞれのON時間を制御する制御部50と、を備える。これにより、サーマルヘッド21を発熱させる際に、例えば、複数の発熱素子を全部ONとせずに複数の発熱素子を間引いた形でONとすることで、消費電力を低減して、効率よくクリーニング動作を実行できる。
【0070】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、サーマルヘッド受け部をプラテンプレートにより構成したが、これに限定されない。サーマルヘッド受け部を、例えば、プラテンローラにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 サーマルプリンタ
21 サーマルヘッド
21a 先端
23 プラテンプレート(サーマルヘッド受け部)
30 インクリボンカセット
40 クリーニングカセット
48 ゴムシート(シート部材)
50 制御部
C クリーニングリボン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11