(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両を乗降するための格納可能なステップシステム及びシステムを設けた車両ドア組立品
(51)【国際特許分類】
B61D 23/02 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B61D23/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020130477
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102019000013872
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516257589
【氏名又は名称】ヒタチ レール ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ビンチェンツォ フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ウンベルト ビバレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ マンジェ
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド マルキ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-094348(JP,U)
【文献】特開2006-312392(JP,A)
【文献】実開平06-036927(JP,U)
【文献】実開昭55-041915(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0021049(US,A1)
【文献】特開2005-041384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア(3)と、車両を乗降するための格納可能なステップのシステム(1)
とを備えるドア組立品であって、前記車両のドア(3)は、出入口(5)を備え、前記格納可能なステップのシステム
(1)は、
少なくとも1つのステップ(26)と、
前記ステップ(26)を支えると共に、上昇位置と下降位置との間を移動可能とされた、支持要素(22)であって、前記下降位置において、前記ステップ(26)は、前記支持要素(22)から第1の水平軸(29)に沿って突出している、支持要素(22)
と、
第1の位置と第2の位置との間に配置されるように、手動で操作可能な、制御部材(30)と、
前記制御部材(30)が、前記第1の位置に配置されているときに、前記支持要素(22)を前記上昇位置において引き止めており、かつ、前記制御部材(30)が、前記第2の位置に配置されているときに、前記支持要素(22)が、前記下降位置へ移動するのを自由にするように、前記制御部材(30)の変位に応答して、作動及び作動停止させる、停止装置(31)と、
を備え、
前記車両のドア(3)は、前記出入口(5)を開放/閉鎖するための経路に沿って移動可能な、少なくとも1つのリーフ(12)を備え、
前記格納可能なステップのシステム(1)は、前記制御部材(30)の前記第2の位置において、前記第1の水平軸(29)に直交する第2の水平軸(37)に沿って、
前記経路を遮るような位置へ突出
し、前記車両のドア(3)を開いた状態に維持する、保持部(35)
を備えることを特徴とする、
ドア組立品。
【請求項2】
前記保持部(35)は、前記制御部材(30)の端部によって画定されることを特徴とする、請求項1に記載の
ドア組立品。
【請求項3】
前記制御部材(30)が、前記第2の位置へ変位することを防止するために、鍵によって、解放可能とされると共に、前記制御部材(30)を関連肩部(38)に拘束する、ロック部(36)を備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の
ドア組立品。
【請求項4】
前記制御部材(30)は、回転軸(34)回りの回転運動によって、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の
ドア組立品。
【請求項5】
前記停止装置(31)は、
前記制御部材(30)の一部を形成する停止体(42)と、
前記支持要素(22)の一部を形成すると共に、前記停止体(42)が、前記第1の位置に配置されると、前記停止体(42)上に垂直に静止する、少なくとも1つの肩部(56)と、
を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の
ドア組立品。
【請求項6】
前記制御部材(30)は、さらに、前記第1の位置と前記第2の位置との間に設けられた経路とは異なる経路に沿って、前記第1の位置と第3の位置との間を移動可能とされていること、及び、前記第1の位置から前記第3の位置へ、前記制御部材(30)を自動的に連行するために予め負荷された、少なくとも1つの弾性要素(39)を備えていること、を特徴とする、請求項5に記載の
ドア組立品。
【請求項7】
前記肩部(56)は、前記停止体(42)が、前記第3の位置に配置されると、前記停止体(42)上に垂直に静止することを特徴とする、請求項6に記載の
ドア組立品。
【請求項8】
前記制御部材(30)は、前記第1の水平軸(29)に平行な並進運動によって、前記第1の位置と前記第3の位置との間を移動することを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の
ドア組立品。
【請求項9】
前記停止体(42)は、軸(34)に沿って延在すると共に、前記支持要素(22)に設けられた開口部(52)に係合するピン(42)によって画定されることを特徴とする、請求項5から請求項8の何れか1項に記載の
ドア組立品。
【請求項10】
前記肩部(56)は、前記開口部(52)の幅を狭くすることによって画定されることを特徴とする、請求項9に記載の
ドア組立品。
【請求項11】
前記ピン(42)は、
前記制御部材(30)が、前記支持要素(22)の下降を停止するために、前記第1の位置に配置されると、前記肩部(56)と垂直に並ぶことができるような、形状、及び/又は、大きさを有する第1の領域(50a)と、
前記制御部材(30)が、前記支持要素(22)が下降することを許容するために、前記第2の位置に配置されると、前記肩部(56)と垂直に並ばないような、形状、及び/又は、大きさを有する第2の領域(50b)と、
を有する成形部分(49)を備えることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の
ドア組立品。
【請求項12】
前記支持要素(22)は、垂直方向に移動する棒によって画定されることを特徴とする、請求項1から請求項11の何れか1項に記載の
ドア組立品。
【請求項13】
前記ステップ(26)は、垂直位置と水平位置との間を移動するように、前記支持要素(22)と連結されていること、及び、前記支持要素(22)が、前記上昇位置へ変位したときに、前記ステップ(26)を自動的に前記垂直位置へ変位させるためのカム及びタペット装置(62、64)を備えること、を特徴とする、請求項1から請求項12の何れか1項に記載の
ドア組立品。
【請求項14】
前記制御部材(30)の前記第2の位置において、前記保持部(35)は、前記出入口(5)と係合することを特徴とする、
請求項1に記載のドア組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月2日に出願されたイタリア国特許出願第102019000013872号の優先権を主張する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、車両を乗降するための格納可能なステップシステムに関しており、特に、運転士が鉄道車両に乗降するための格納可能なステップシステムに関しており、以下の説明では、このことにより一般性を失うことなく参照される。
【背景技術】
【0003】
列車の先頭車両において、適切なプラットホームが設けられている駅以外の地域において、列車が停車しなければならないときに、運転士/運転手が、車両を乗降することを許容するために、追加のステップが必要とされている。このような地域において、実際には、通常、列車に設けられているステップは、運転手が安全に車両を乗降することを許容するのに十分ではないくらい、車両の走行面と線路用のバラストとの間の高さ距離が、比較的高くなることがある。
【0004】
特に、鉄道車両のサイズは、断面で見ると、固定された社会基盤との干渉がないことを保証する、いわゆる構造ゲージを超えることができないため、格納可能なシステムが必要とされおり、すなわち、拡張された操作構成(必然的に構造ゲージの外側)と格納された静止位置との間で移動可能な1つ又は複数のステップを有するシステムであって、完全に機械的な方法であって、手で操作することによって到達し、それゆえ、電源供給システム及び列車のセンサへの電気的接続はないが、それにもかかわらず、高度な安全性と限定されたサイズを確保することが可能である。より詳細には、車両が走行を再開する前に、構造ゲージを確実に回復させるために、ステップを格納された静止位置へ戻すことができるようにする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述の必要性を簡便かつ経済的に充足することを許容する、車両を乗降するための格納可能なステップシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、請求項1に係る車両への乗降のための格納可能なステップシステムが提供される。さらに、本発明は、請求項14に係る車両ドア組立品に関する。
【0007】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる説明的、非限定的な例として提供される、好ましい実施形態の以下の説明を熟読することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係る車両を乗降するための格納可能なステップシステムの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、より大きなスケールで、かつ、より明確にするために部品を取り除いた、格納された静止構成における
図1のシステムを示す。
【
図3】
図3は、
図2と同様であり、かつ、拡張された作動構成へ向けて移動中の本発明に係るシステムを示す。
【
図4】
図4は、
図1と同様であり、かつ、拡張された作動構成において配置されたシステムを、より明確にするために部品を取り除いて示す。
【
図5】
図5は、垂直断面(
図2の線V-Vによって識別される)に沿った断面における、本発明に係るシステムの詳細であり、かつ、異なる視点からの斜視図を示す。
【
図6】
図6は、斜視図及び分解図であって、
図5の詳細に表示されるいくつかの構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、参照番号1は、(部分的に示されている)車両2に乗降するための格納可能なステップシステムを示しており、好ましくは、ドア3を通じた、鉄道車両(図示せず)の一部である。ドア3は、車両2の側壁6の領域に配置されると共に、出入口5と、出入口5の反対側に配置された2つの垂直材と、を備える。
図1において、垂直材の1つだけが示されており、参照番号8で示されている。例えば、垂直材8は、支持構造9と、その外面11の少なくとも一部を覆うように、構造9に固定されている、仕上げライニング10と、を有する。ドア3は、さらに、少なくとも1つの可動部12を備えており、可動部12は、ここでは示されていない、アクチュエータ装置の作用によって、出入口5を閉鎖/開放するために、閉鎖位置(
図1)と開放位置(
図4)との間で移動可能である。
【0010】
図4によれば、開放位置において、可動部12は、好ましくは、垂直材8の後方側に配置されており、かつ、側壁6に平行である。開放位置と閉鎖位置との間の可動部12の移動は、側壁6に平行な、水平方向14に沿った並進成分を備える。
【0011】
特に、ドア3は、既知の種類であり、詳しく説明されていないステップ15を備えており、運転者が、車両2の走行面と駅に通常設けられている通常のプラットホームとの間を乗り降りすることを許容するために、出入口5の敷居と同じレベル、又は、それより下方側に配置されている。本明細書に示されていない代わりの実施形態によれば、ステップ15は、ドア3に組み込むことはできないが、別個の構成要素とされ得る。
【0012】
図1を参照すると、システム1は、垂直材8によって支持されており、好ましくは、ライニング10によって覆われていない下部区画の領域の外面11に配置されている。システム1は、格納された静止構成と拡張された作動構成との間に、手動で構成されてもよい。以下に詳細に説明することに基づいて、システム1は、単に機械的なシステムであって、すなわち、電気/電子部品が設けられていない。格納された構成において、システム1は、ライニング10の外形と面一になるように、又は、ライニング10からわずかに突出するように配置される。
【0013】
図2を参照すると、システム1は、構造9に固定されると共に、固定された位置において、ガイド21を支える、取付構造20を備える。システム1は、さらに、本明細書に示される実施形態では、格納位置に相当する、上昇された静止位置(
図2)と、拡張された構成に相当する、下降された作動位置(
図4)との間で垂直方向にスライドするように、ガイド21に連結されている垂直棒22によって画定される、支持要素を含む。棒22は、その自重によって、基本的にガイド21に沿って下方側へ移動する。
【0014】
棒22は、上昇位置において、ライニング10と外面11との間に配置された区画24(
図1)に収容される上部23を備える。上部23は、好ましくは、ガイド21に沿って棒22を持ち上げるために、利用者が、手動で操作できるように、ライニング10を通って、すなわち、区画24の外側に突出する付属品25を支える。
【0015】
システム1は、さらに、これは、格納された構成に相当する垂直静止位置(
図2)と拡張された構成に相当する水平支持位置(
図4)との間で、可動可能なように、棒22の下方側端部27と連結された、ステップ26を備える。ステップ26は、その上に足を置くことを許容するように、水平位置において、水平方向14に平行な水平軸29(
図4)に沿って棒22から突出する踏板又は支持部分28を備えている。ステップ26は、好ましくは、軸29に直交するヒンジ軸を中心に端部27にヒンジ結合されている。
【0016】
図2によれば、垂直位置において、踏板28は、上方側に面すると共に、水平方向に棒22と対面する。
【0017】
システム1は、さらに、利用者の手動動作に応答して移動可能な制御部材30と、制御部材30が、第1の位置に配置されているときに(
図2において破線で示されているが、明確にするために、棒22からの水平距離は、縮尺外で示されている)、アクティブとされ、かつ、棒22を、上昇位置において垂直に保持する停止装置31と、を備える。停止装置31は、非作動状態にあり、部材30が第1の位置とは異なる第2の位置(
図3及び
図4に破線で示されている)に配置されているときに、棒22が上昇位置と下降位置との間で垂直方向に自由に移動することを許容する。
【0018】
図1によれば、特に、区画24の外側にあり、かつ、容易にアクセスできるように、部材30は、格納された構成において、ライニング10の凹部又はスロット33内に配置されている、プレート32を備える。より具体的には、ステップ26は、格納された構成においてプレート32と共に凹部33内に配置されている。
【0019】
図3によれば、第1の位置から第2の位置へ、及び、その逆向きに、移動するために、部材30は、軸29に平行な回転軸34回りに、例えば、90°の回転を通じて、手動で回転される。
【0020】
本発明の1つの態様によれば、部材30は、好ましくは、プレート32の一部であり、第2の位置において、軸29、34に直交する水平軸37に沿って(棒22、かつ、第1の位置において、部材30によって占有されていた場所に対して)、車両2の内側に向けて突出する端部35を備える。このようにして、端部35は、可動部12の経路を遮るように、垂直材8(
図4)を越えて突出すると共に、ドア3を開いた状態に維持する保持機能を充足する。特に、車両は、障害物が存在した状態でドア3が閉まることを防ぐために、いわゆる、「ドア敏感エッジ」機能を有する公知の安全システムを設けている。これらのシステムは、障害物の存在(この場合、端部35の存在)を認識するように構成されており、例えば、可動部12の移動に対するより大きな抵抗を検出すると共に、それゆえ、障害物が押しつぶされるのを防止するために、可動部12の閉鎖動作を自動的に停止するように構成されている。
【0021】
それゆえ、ドア3は、部材30が、第2の位置から取り外された場合にのみ、すなわち、システム1が格納された構成に戻された場合にのみ、ドア3を閉じることができ、列車が(ドアの閉鎖に関連する、公知の他の安全システムのおかげで)出発することが許容される。
【0022】
特に、
図4によれば、部材30が、第2の位置にあるとき、端部35は、出入口5と係合し、したがって、水平方向14に沿って可動部12の端部と対面する。同時に、ドア3が閉鎖されているときには、可動部12は、プレート32が第2の位置に移動するのを物理的に阻止するため、棒22を下降させることができず、システム1は、格納された構成に維持される。
【0023】
本明細書では示されていない実施形態によれば、作動位置において、可動部12は、垂直材8の正面であり、車両2の外側に配置されている。この場合、端部35は、第2の位置において、軸37に沿って車両2の外側へ向けて突出している。
【0024】
本明細書には示されていない、さらなる実施形態によれば、部材30が、
図3の第2の位置にあるとき、端部35は、可動部12の端部の正面に位置するのではなく、ドア3を開放状態に保つために、特に、可動部12に、作られた保持座に係合する。
【0025】
本明細書には示されていない、さらなる実施形態によれば、部材30及び/又は端部35は、軸34回りの回転運動とは異なる運動、例えば、軸37に沿った並進運動又は垂直軸回りの回転運動を有する、第1の位置と第2の位置との間を移動する構成要素に置き換えられてもよい。
【0026】
システム1は、好ましくは、さらに、格納された構成において、システム1を保持するために、部材30を関連肩部38にロックするように構成されたロック部36を備える。ロック部36は、部材30を解放するために、専用キー又は標準キーによって解放されてもよい。特に、ロック部36は、第1の位置とは区別され、かつ、
図2に実線で示されている、格納された静止構成に対応する第3の位置において部材30をロックする。第1の位置から第3の位置へ、及び、その逆の向きで移動するために、部材30は、第1の位置と第2の位置との間に延在する経路とは異なる経路をたどっており、特に、部材30は、軸34に沿って並進する。
【0027】
図5を参照して、ばね39(又は、他の同等の弾性要素)が、取付構造20と部材30との間に介在されており、部材30を第1の位置から第3の位置まで自動的に後方側へ移動させるように、予圧されている。より詳細には、ロック部36は、ばね39の作用によって、部材30が第3の位置まで後退したときに、部材30をロックするために、自動的に肩部38をスナップさせると共に、係合させるように構成されている。
【0028】
特に、肩部38は、棒22の一部であって、例えば、肩部38は、軸34に平行な貫通孔の端部によって画定されている。
【0029】
第3の位置は、偶発的な作動を回避するために追加の安全機能を果たすが、これがない場合もあり得る(これらの場合、ロック部36は、第1の位置において、部材30をロックしてもよい。)。
【0030】
図6を参照すると、システム1は、好ましくは、さらに、第1の位置、第2の位置、及び、第3の位置への部材30の移動を案内する装置40を備える。部材30は、プレート32に固定されると共に、軸34に沿ってプレート32から突出するピン42を備えており、一方、装置40は、ピン42と同軸であり、かつ、ピン42によって摺動可能に係合する座部44を備える。座部44は、取付構造20の一部又は取付構造20に固定されているスリーブ又は入れ子45によって画定される。さらに、装置40は、入れ子45の内面から座部44内部に放射状に突出するガイドダボ(guide dowel)46と、ピン42の外面に沿って得られ、ダボ46によって摺動可能に係合される溝47と、を備える。
【0031】
特に、溝47は、直線状であり、かつ、第3の位置と第1の位置との間における部材30の軸方向の並進を案内する(軸34回りの回転も禁止する)、部分47aと、部分47aに接合されると共に、円弧状の形状を有する、部分47bと、を備える。部分47bは、ばね39の作用によって(第1の位置と第2の位置との間の部材30の回転を案内する以外に)、ピン42が第3の位置へ向かって後方に並進することを防止する。
【0032】
さらに、溝47は、好ましくは、部材30の移動のための限界停止部を画定する。
【0033】
本明細書に示されていない変形例によれば、ダボ46及び溝47は存在しない、又は、ダボ46は、ピン42の外面から放射状に突出し、一方、溝47は、入れ子45の内面に得られる。
【0034】
ばね39は、好ましくは、ピン42の軸方向空洞内に収容されると共に、ピン42を軸方向に引っ張るように、詳細には説明しない方法(
図5)で取り付けられている。
【0035】
さらに、
図5及び
図6を参照すると、ピン42は、停止装置31の一部である成形部分49を備えている。特に、成形部分49は、円筒状領域50aと、縮径領域50b、すなわち、領域50aよりも小さい直径を有する領域50bと、を有する。例えば、領域50bは、成形部分49上に形成された2つの径方向に対向する平坦化された領域によって画定されている。同時に、停止装置31は、棒22に形成された開口部52を備えると共に、棒22が上昇位置に配置されたときに、ピン42に係合される下端部53を有する。
【0036】
端部53は、部材30に、軸34に沿った第1の位置への移動が引き起こされたときに、(本明細書には示されていない方法で)成形部分49に係合される。
【0037】
下端部53は、領域50a、50bよりも大きな直径を有しているため、成形部分49は、下端部53の内部で自由に回転することができる。言い換えると、このような状態では、第2の位置(
図3)へ到達するために、部材30を軸34回りに回転させることができる。
【0038】
開口部52は、さらに、垂直であり、下端部53に接合されると共に、水平方向において、領域50aの直径よりも小さく、領域50bの直径よりも大きい幅を有する、直線部分55を備える。端部53から直線部分55へ向けて狭くなる幅は、ピン42が第1の位置へ置かれている場合には、領域50aに対して垂直に静止するように、したがって、棒22の下方側への移動を止めるように、成形部分49と垂直に整列している2つの肩部56(
図4及び
図5)を画定する。
【0039】
図5によれば、部材30が、第3の位置において、軸方向の後方側に配置されている場合であっても、棒22の下方側への移動を防止するために、肩部56は、ピン42の外面に対して垂直に静止する。
【0040】
直線部分55は、ピン42が、第2の位置に置かれている場合にのみ、すなわち、領域50bが直線部分55に入り込むことができる場合にのみ(すなわち、前記の平坦化された領域が垂直である場合にのみ)、成形部分49に沿って垂直にスライドすることができる。実際、この位置付けでは、肩部56は、もはや、成形部分49と垂直に整列されておらず、それゆえ、もはや効果的ではないため、棒22は、自重の作用によって下降することができる。
【0041】
棒22の垂直方向へのスライドの間、直線部分の狭くなっている幅53は、成形部分49の回転を妨げ、したがって、部材30が第1の位置へ戻ることを妨げる。第1の位置に戻るために、実際には、成形部分49が、再び開口部52の下端部53と係合するまで、棒22を手動で持ち上げる必要がある。棒22を持ち上げるためには、既に上述したように、付属品25を上方へ押し上げなければならない。
【0042】
好ましくは、
図3によれば、直線部分55は、軸37に沿って互いに対向する2つの垂直縁部を有しており、かつ、入れ子45の径方向に対向する位置に形成された2つのスリット60(
図6)内でスライドすることができる。
【0043】
システム1は、さらに、肩部63が要素62(
図4)に対して静止しているおかげで、下降位置へ下向きに移動する際に、棒22を停止させるように、固定された垂直位置において取付構造20に支えられると共に、棒22の少なくとも1つの肩部63と垂直に対向する、少なくとも1つの要素62を備える。特に、要素62は、軸37に平行なピンによって画定される。
【0044】
この限界停止機能を果たすことに加えて、要素62は、棒22の上方側への移動中にステップ26の垂直位置への自動的な移動を引き起こすために、カム機能も果たす。実際、ステップ26は、ヒンジ軸に対して踏板28と径方向に対向する端部64を有しており、タペット要素65を備えている。要素65は、棒22が下降位置にあって、ステップ26が水平位置にあるとき(
図4)、要素62と垂直に整列しており、棒22が上昇経路の最終セグメント(
図3)を走行するとき、要素62と接触して協働する。棒22の持ち上げの間、要素62は、要素65を下方側へ押し下げ、従って、端部64を下方側へ回転させて、踏板28を上方側へ回転させて垂直位置へ上昇させるために、ステップ26にレバー作用を及ぼす。
【0045】
棒22が、その上昇位置に到達すると、要素62は、ステップ26を垂直位置に維持するように、要素65に係合する。さらなる程度の安全性を有するために、
図2によれば、部材30は、好ましくは、部材30が、第1の位置及び第3の位置に配置されたときに、踏板28を、より良好に垂直位置に保持するように、軸34と平行な方向において踏板28の端部と重なる、端部66を備える。特に、端部66、35は、プレート32の対向する端部にある。
【0046】
以上のことから、使用中に、システム1を格納された構成から拡張された構成へ移動させるためには、ドア3を開けた後、以下の手動操作を順番に行う必要があることは明らかである。
- 対応するキーによってロック部36を解放する、
- 部材30を第3の位置から第1の位置へ移動させ、ばね39(
図2)の作用に対抗してプレート32を引っ張る、
- 部材30を第1の位置から第2の位置へ移動させる(
図3)。
最後の移動を通じて、
- 可動部12は、開放位置における端部35によってロックされる、
- 棒22は、その自重によって、自由に下方側へ移動できる、
ことは同時に起こる。
最終的に、棒22の下方側への移動の間、ステップ26は、それ自身の自重のために、かつ/又は、下方側への移動の第1のセグメントにおける要素62、65との間の相互作用のために、自動的に水平位置へ回転する。
【0047】
棒22が下降位置(
図4)に到達すると、踏板28は、車両2への乗り入れ及び/又は車両2からの乗り降りに使用することができる。特に、ステップ26は、車両2がプラットホームの領域で停止していない場合であっても、運転手に列車の容易な乗降を許容するように、ステップ15よりも下方側の高さに到達し、ステップ15にステップ26自体を追加する。
【0048】
システム1を格納された構成に戻すためには、第一に、手で付属品25に作用させることによって、棒22を、手動で持ち上げる必要がある。この持ち上げの最後に、要素62が要素65に作用することによって(
図3)、踏板28も垂直位置へ持ち上げられる。
【0049】
それから、付属品25を上昇させたまま、他方の手を使用して、部材30を第2の位置から第1の位置へ移動させる(
図2)。このとき、単に部材30から手を離すだけで、ばね39の作用によって、部材30は、自動的かつ迅速に第3の位置まで後方側へ移動し、この移動の最後には、システム1をロックし、再び鍵を使用する必要がなくなるように(
図2)、ロック部36が、自動的にスナップする。
【0050】
特に、棒22をその上昇位置にロックする以外に、ステップ26は、要素62及び/又は端部66の作用によって、その垂直位置にロックされたままである。
【0051】
最終的には、端部35が可動部12を邪魔しないので、車両2が出発することを許容するように、ドア3を閉めることができる。
【0052】
上記のおかげで、添付の図面を参照して上述したシステム1の利点は明らかである。特に、システム1は、ステップ26を下降させて、使用する必要があるときに、ドア3を開いたままにしておくため、完全に機械的であっても、高い安全性を有する。実際、端部35によって実行される保持機能のおかげで、利用者は、列車が再び走行を開始する前にシステム1を格納しなければならない。実際、システム1を拡張された構成のままにしておくことは、ドアが開いた状態で走行しようとすることを意味し、これは、鉄道車両の安全システムによって許されていない。
【0053】
同時に、ドア3が閉鎖されている場合には、可動部12は、部材30の第2位置への移動を物理的に防止しているため、システム1を拡張された構成へ移行させることができず、停止装置31が作動したままとなる。
【0054】
それから、ロック部36の存在及び/又はプレート32を回転させる前にピン42を第3の位置から第1の位置に軸方向に移動させる必要性は、システム1が自律的、かつ/又は、偶発的な方法で拡張された構成に移動することを防止するため、安全性の程度を高めることを許容する。同時に、システム1は、一人のオペレータによって実行される極めて簡単な手動操作によって、拡張及び/又は後退させることができる。
【0055】
さらに、システム1は、極めて小型化されており、そして、既に車両2に存在する機械的、電気的及び電子的システムとの特別な相互作用を必要としないため(ドア3の閉鎖を防止することを目的とした端部35の位置決めを除いて)、既に製造され、かつ、販売されている車両における、更新又は改良として設置することができる。
【0056】
上記によって、最終的に、本明細書に記載され、かつ、示されたシステム1は、明らかに、添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の保護の範囲を超えない変更及び変形をすることができる。
【0057】
特に、部材30は、プレート32及び/又はピン42を参照して、例として上述したものとは異なる形状及び/又はサイズ及び/又は構造的特徴及び/又は移動経路を有することができ、かつ/又は、棒22は、別のタイプの支持要素、例えば、上昇位置と下降位置との間で回転可能なレバーによって置き換えられ得る、かつ/又は、システム1は、垂直材8の構造9に組み込まれる、又は、側壁6若しくは車両2の床面に取り付けられる得る、かつ/又は、端部35は、部材30とは別個の保持部に置き換えることができ、部材30とは別個の保持部であっても、ドア3が閉鎖することを防ぐような突出した位置を想定するように、部材30の活性化に応答して、タフに、とにかく移動する。
【0058】
さらに、車両2の歩行面とバラストとの間の高さが特に大きい場合には、異なるステップを設けることができ、例えば、1つの単一の支持要素上に2つの異なる高さで配置された2つのステップ、又は、上述したものと同様に、ドア3の右側に1つ、左側に1つ配置された2つの異なるシステム上に配置された2つのステップを設けることができる。
態様(1)によれば、車両を乗降するための格納可能なステップのシステム(1)であって、システムは、
少なくとも1つのステップ(26)と、
前記ステップ(26)を支えると共に、上昇位置と下降位置との間を移動可能とされた、支持要素(22)であって、前記下降位置において、前記ステップ(26)は、前記支持要素(22)から第1の水平軸(29)に沿って突出している、支持要素(22)と、
を備えたシステムであって、
第1の位置と第2の位置との間に配置されるように、手動で操作可能な、制御部材(30)と、
前記制御部材(30)が、前記第1の位置に配置されているときに、前記支持要素(22)を前記上昇位置において引き止めており、かつ、前記制御部材(30)が、前記第2の位置に配置されているときに、前記支持要素(22)が、前記下降位置へ移動するのを自由にするように、前記制御部材(30)の変位に応答して、作動及び作動停止させる、停止装置(31)と、
使用中に車両のドア(3)を開いた状態にするために、前記制御部材(30)の前記第2の位置において、前記第1の水平軸(29)に直交する第2の水平軸(37)に沿って突出する、保持部(35)と、
をさらに備えることを特徴とする、システムである。
態様(2)によれば、前記保持部(35)は、前記制御部材(30)の端部によって画定されることを特徴とする。
態様(3)によれば、前記制御部材(30)が、前記第2の位置へ変位することを防止するために、鍵によって、解放可能とされると共に、前記制御部材(30)を関連肩部(38)に拘束する、ロック部(36)を備えることを特徴とする。
態様(4)によれば、前記制御部材(30)は、回転軸(34)回りの回転運動によって、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動することを特徴とする。
態様(5)によれば、前記停止装置(31)は、
前記支持部材(30)の一部を形成する停止体(42)と、
前記支持要素(22)の一部を形成すると共に、前記停止体(42)が、前記第1の位置に配置されると、前記停止体(42)上に垂直に静止する、少なくとも1つの肩部(56)と、
を備えることを特徴とする。
態様(6)によれば、前記制御部材(30)は、さらに、前記第1の位置と前記第2の位置との間に設けられた経路とは異なる経路に沿って、前記第1の位置と第3の位置との間を移動可能とされていること、及び、前記第1の位置から前記第3の位置へ、前記制御部材(30)を自動的に連行するために予め負荷された、少なくとも1つの弾性要素(39)を備えていること、を特徴とする。
態様(7)によれば、前記肩部(56)は、前記停止体(42)が、前記第3の位置に配置されると、前記停止体(42)上に垂直に静止することを特徴とする。
態様(8)によれば、前記制御部材(30)は、前記第1の水平軸(29)に平行な並進運動によって、前記第1の位置と前記第3の位置との間を移動することを特徴とする。
態様(9)によれば、前記停止体(42)は、軸(34)に沿って延在すると共に、前記支持要素(22)に設けられた開口部(52)に係合するピン(42)によって画定されることを特徴とする。
態様(10)によれば、前記肩部(56)は、前記開口部(52)の幅を狭くすることによって画定されることを特徴とする。
態様(11)によれば、前記ピン(42)は、
前記制御部材(30)が、前記支持要素(22)の下降を停止するために、前記第1の位置に配置されると、前記肩部(56)と垂直に並ぶことができるような、形状、及び/又は、大きさを有する第1の領域(50a)と、
前記制御部材(30)が、前記支持要素(22)が下降することを許容するために、前記第2の位置に配置されると、前記肩部(56)と垂直に並ばないような、形状、及び/又は、大きさを有する第2の領域(50b)と、
を有する成形部分(49)を備えることを特徴とする。
態様(12)によれば、前記支持要素(22)は、垂直方向に移動する棒によって画定されることを特徴とする。
態様(13)によれば、前記ステップ(26)は、垂直位置と水平位置との間を移動するように、前記支持要素(22)と連結されていること、及び、前記支持要素(22)が、前記上昇位置へ変位したときに、前記ステップ(26)を自動的に前記垂直位置へ変位させるためのカム及びタペット装置(62、64)を備えること、を特徴とする。
態様(14)によれば、ドア(3)と、態様(1)から態様(13)の何れか1つの、格納可能なステップのシステム(1)と、を備えるドア組立品であって、前記ドア(3)は、
出入口(5)と、
前記出入口(5)を開放/閉鎖するための経路に沿って移動可能な、少なくとも1つの可動部(12)と、
を備えており、
前記制御部材(30)の前記第2の位置において、前記保持部(35)は、前記経路を遮断すると共に、前記ドアを開放したままにしておくような位置に配置されている、ドア組立品である。
態様(15)によれば、前記制御部材(30)の前記第2の位置において、前記保持部(35)は、前記出入口(5)と係合することを特徴とする。