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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】傷検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240725BHJP
   G01P 15/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G01L5/00 F
G01P15/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020134911
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030722
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】不藤 平四郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 功洋
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 真哉
(72)【発明者】
【氏名】村田 倖夏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喜文
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-193569(JP,A)
【文献】特開2001-296309(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0228424(US,A1)
【文献】特開2014-137733(JP,A)
【文献】特開2019-091247(JP,A)
【文献】特開2020-075565(JP,A)
【文献】特開2016-030455(JP,A)
【文献】特開2015-182584(JP,A)
【文献】特開2015-101329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047500(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0258956(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0249687(US,A1)
【文献】独国実用新案第000029822611(DE,U1)
【文献】国際公開第2018/097041(WO,A1)
【文献】特表2015-520696(JP,A)
【文献】特表2005-521584(JP,A)
【文献】特開2004-196239(JP,A)
【文献】特表2003-518243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16,5/00-5/28
G01P 15/00
B60R 21/00-21/13,21/34-21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の外装に傷がついたか否か検知する傷検知装置において、
加速度センサと、
前記加速度センサからの加速度出力および前記外装へ加えられた力を検出する検出部と、
前記検出部からの検出結果に基づいて前記外装に傷がついたか否かを判定する判定部と、を備えており、
前記検出部は、前記外装に沿って配置され、短冊状かつフィルム状である圧電センサからの出力に基づいて、前記外装へ加えられた力を検出し
前記判定部は、前記圧電センサからの出力および前記加速度出力が、それぞれ所定の閾値を超えたときに、前記外装に傷がついたと判定し、
前記圧電センサが複数であり、
複数の前記圧電センサはそれぞれ、前記外装の異なる箇所に配置された複数の部品に配置されており、
前記加速度センサは、平面視した場合に、複数の前記部品で囲まれた内側に一つ配置されている、
傷検知装置。
【請求項2】
複数の前記圧電センサそれぞれの前記加速度センサに対する方向を記録した位置記録部をさらに備えており、
前記判定部は、前記加速度センサが検知した加速度の方向と、出力のあった前記圧電センサの前記位置記録部に記録された前記加速度センサに対する方向とを比較し、前記加速度の方向と出力のあった前記圧電センサの前記加速度センサに対する方向とが一致した場合に、出力のあった前記圧電センサが配置された前記部品に傷がついたと判定する、請求項1に記載の傷検知装置。
【請求項3】
前記判定部が前記外装に傷がついたと判定した時刻を記録する、時刻記録部をさらに備えている、請求項1に記載の傷検知装置。
【請求項4】
前記判定部により判定された前記傷の大きさを推定する傷推定部をさらに備えている、請求項1に記載の傷検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人で利用される自動車の傷を検知するために有用な傷検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェアリングの自動車は、各利用者がスマートホンなどのアプリケーション・プログラムで予約して利用され、利用の開始、終了時に事業者による自動車の外観チェックはなされない。また、自動車を傷つけたことを申告しない利用者も存在するから、事業者の定期的な確認により自動車の傷や凹みが発見されることが多かった。カーシェアリングでは比較的短い時間で自動車が利用されることが多く、自動車を傷つけた可能性のある利用者が複数存在し、傷などが生じた責任の所在が曖昧になるという問題があった。このため、カーシェアリング用の自動車に傷がついた場合、その傷がいつ生じたのかを明らかにできる傷検知装置が望まれている。
【0003】
特許文献1には、物体に対する衝突を検知可能であり、衝突の位置を少ないセンサ数で検知するための圧電センサとして、被測定体近傍に少なくとも1本の線状圧電素子を配置し、各線状圧電素子で発生した電気信号に基づいて、被測定体に応力が印加されたことを検知する圧電センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2018/116857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、応力が印加されたことを効果的に検知するための、線状圧電素子の形状や配置については記載されていない。また、自動車に実際に傷が生じたことの検知に適した構成についても記載されていない。
本発明は、自動車に傷がついたことを効率よく検知できる傷検知装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動車の外装に傷がついたか否か検知する傷検知装置において、前記外装へ加えられた力を検出する検出部と、前記検出部からの検出結果に基づいて前記外装に傷がついたか否かを判定する判定部と、を備えており、前記検出部は、前記外装に沿って配置され、短冊状かつフィルム状である圧電センサからの出力に基づいて、前記外装へ加えられた力を検出し、前記判定部は、前記検出部により検出された前記圧電センサからの前記出力が所定の閾値を超えたときに、前記外装に傷がついたと判定する、傷検知装置を提供する。
傷検知装置は、短冊状かつフィルム状の圧電センサを用いることにより、自動車に傷づいた際に生じる外装の変形を効率よく検知できる。
【0007】
前記圧電センサは、前記短冊状の長手方向が、前記外装の検出容易方向に沿って配置されていることが好ましい。
上記構成により、傷によって生じる振動や変形に対する圧電センサの感度がよくなるから、少ない圧電センサを用いて外装の傷を検知することができる。
【0008】
傷検知装置は、加速度センサをさらに備えており、前記検出部は、前記圧電センサの前記出力および前記加速度センサからの加速度出力を検出し、前記判定部は、前記出力および前記加速度出力が、それぞれ所定の閾値を超えたときに、前記外装に傷がついたと判定してもよい。
判定部が、圧電センサからの出力に加えて加速度出力を判定に用いることにより、自動車の外装の傷を検知する際の正確性が向上する。
【0009】
前記圧電センサが複数であり、複数の前記圧電センサはそれぞれ、前記外装の異なる箇所に配置された複数の部品に配置されており、前記加速度センサは、平面視した場合に、複数の前記部品で囲まれた内側に一つ配置されていてもよい。
また、複数の前記圧電センサそれぞれの前記加速度センサに対する方向を記録した位置記録部をさらに備えており、前記判定部は、前記加速度センサが検知した加速度の方向と、出力のあった前記圧電センサの前記位置記録部に記録された前記加速度センサに対する方向とを比較し、前記加速度の方向と出力のあった前記圧電センサの前記加速度センサに対する方法とが一致した場合に、出力のあった前記圧電センサが配置された前記部品に傷がついたと判定してもよい。
上記の構成により、加速度センサの出力と圧電センサの出力から、外装を構成する複数の部品のうちの、どの部品に傷がついたかを判定することができる。
【0010】
傷検知装置は、前記判定部が前記外装に傷がついたと判定した時刻を記録する時刻記録部をさらに備えていてもよい。
上記の構成により、時刻記録部に記録された時刻に基づいて、シェアカーやレンタカーなどにおいて、どの利用者が使用しているときに外装に傷がついたのかを特定することができる。
【0011】
傷検知装置は、前記判定部により判定された前記傷の大きさを推定する傷推定部をさらに備えていていもよい。
上記の構成により、傷推定部より推定された傷の大きさと、実際に外装に生じた傷の大きさを比較して、判定部により判定された傷と実際に生じた傷との対応関係をより明確にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、短冊状かつフィルム状の圧電センサを用いることにより、自動車の外装に傷がついたことを効率よく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る傷検知装置を備えた自動車の斜視図
図2】本発明の実施形態に係る傷検知装置の構成を示す機能ブロック図
図3】本発明の実施形態に係る傷検知装置を備えた自動車の平面図
図4】自動車の外装が傷ついたことを傷検知装置が検知する態様を説明する平面図
図5】(a)圧電センサの形状および配置を模式的に示す側面図、(b)図5(a)のA-A断面図、(c)図5(a)のB-B断面図
図6】傷検知装置の傷検知方法を示すフローチャート
図7】傷検知装置の傷検知方法の変形例を示すフローチャート
図8】傷検知装置の傷検知方法の他の変形例を示すフローチャート
図9】実施例における圧電センサの形状および配置の概略を示す側面図(a)縦・短冊状、(b)円形状、(c)横・短冊状
図10】金槌を用いて叩いた実施例における、形状および配置による圧電センサからの出力を示すグラフ(a)縦・短冊状、(b)円形状、(c)横・短冊状
図11】金槌を用いて叩いた実施例における、加速度センサからの出力を示すグラフ(a)X方向、(b)Y方向、(c)Z方向
図12】ドア中央を水平方向に傷つけた実施例における、加速度センサおよび圧電センサからの出力を示すグラフ
図13】ドア中央を水平方向に傷つけた実施例における、圧電センサからの出力を示すグラフ(a)縦・短冊状、(b)円形状(φ15mm)、(c)横・短冊状
図14】ドア中央を水平方向に傷つけた実施例における、加速度センサからの出力を示すグラフ(a)X方向、(b)Y方向、(c)Z方向
図15】ドア中央を垂直方向に傷つけた実施例における、加速度センサおよび圧電センサからの出力を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施する態様について説明する。各図面において、同じ部材・工程には同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る傷検知装置10を備えた自動車100の斜視図である。同図に示すように、傷検知装置10は、圧電センサ11を備えており、圧電センサ11からの出力を用いて、自動車100の外装101に傷がついたか否かを判定する。
【0015】
図2は、傷検知装置10の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、傷検知装置10は、圧電センサ11、加速度センサ12、速度センサ13、演算部14および記録部15を備えている。圧電センサ11は、外装101に力が加えられたこと、および加えられた力の大きさを検知する。加速度センサ12は、外装101に加わった衝撃の方向・加速度の大きさを検知する。なお、加速度センサ12は三軸方向の加速度を計測できるものが好ましいが、一軸方向の加速度を計測できるものを、その感度軸方向がそれぞれ直交するように3つ配置してもよい。演算部14は、検出部16、判定部17、タイマー18および傷推定部19を備えている。検出部16は、外装101に衝撃が加わり、変形したことを検出し、判定部17は、検出部16の検出結果に基づいて外装101に傷がついたか否か判定する。
【0016】
圧電センサ11は、短冊状かつフィルム状であり、図1に示すように、自動車100の外装101に沿って配置される。なお、短冊状とは、例えば、4つの内角がほぼ直角である矩形(長方形)、楕円形、細長い帯状等をいう。図1に示す圧電センサ11のように、短辺(短手方向)の長さと長辺(長手方向)の長さとの比率を比較したときに、短辺の長さに対する長辺の長さの比率、すなわち長手方向の長さ/短手方向の長さが非常に大きい細長い長方形状のフィルムが好ましい。ただし、短辺の長さと長辺の長さとが同程度の矩形や、短軸と長軸とが同程度の楕円形のフィルムであっても圧電センサ11として使用可能である。
【0017】
圧電センサ11は、形状が変化すると電圧を発生するため、外装101に沿って配置することにより、外装101が傷ついたときに生じる振動や衝撃を検出して、電圧として出力する。より具体的には、圧電センサ11は、圧電センサ11の一方の面と外装101の裏面とが接触した状態で、外装101に沿って固着されている。なお、外装101の裏面とは、外装101が自動車の車体に取り着けられた際に車室内に向いた面を言う。また、外装101の裏面に薄膜状のシート部材が張り付けられている場合には、シート部材の面に圧電センサ11を接触させて固着してもよい。判定部17は、圧電センサ11により検出された出力が所定の閾値を超えたときに、外装101に傷がついたと判定する。なお、圧電センサ11は、一般に、外装101の内側面に配置される。
【0018】
検出部16は、圧電センサ11の出力および加速度センサ12からの出力(加速度出力)を検出する。判定部17は、検出部16により検出された圧電センサ11からの出力が所定の閾値を超えたときに、外装101に傷がついたと判定する。判定部17は、圧電センサ11からの出力に加えて加速度センサ12からの出力を判定に用いることが好ましい。加速度センサ12からの出力を用いる場合、判定部17は、検出部16により検出された圧電センサ11からの出力および加速度センサ12からの出力がそれぞれ所定の閾値を超えたときに外装101が傷づいたと判定する。圧電センサ11からの出力および加速度センサ12からの出力の整合性をとることで、外装101に傷がついたことの検出精度が向上する。すなわち、圧電センサ11からの出力に加えて、加速度センサ12からの出力を用いることにより、加速度が大きな衝撃が最初に生じるという、外装101が傷つくときに特有の現象を捉えることができる。したがって、例えば外装101が手で押されたときのように、傷がつかない場合に誤って傷ついたと検知することを防ぎ、傷の検知精度が向上する。
【0019】
速度センサ13は、自動車100の速度を検出するものであり、通常、自動車100が備えている。このため、傷検知装置10は、自動車100の速度センサ13からの出力を用いてもよい。圧電センサ11および加速度センサ12に加えて、速度センサ13の出力を用いることにより、外装101に付いた傷の大きさを推定することができる。判定部17によって外装101に傷がついたと判定されたときに、傷推定部19は判定された傷の大きさを推定し、記録部15に記録する。
【0020】
図3は、傷検知装置10を備えた自動車100の平面図である。同図に示すように、自動車100の外装101は、個々に独立した複数の部品(パーツ)からなっている。一般に、外装101は、ボンネット、ルーフ、ピラー、フロントバンパー、フェンダー、サイドシル、リアバンパーおよびドア等の複数の部品から構成されている。
【0021】
図3では、複数の圧電センサ11A~11D(以下では、特定の圧電センサを示さない場合は圧電センサ11と記す)がそれぞれ異なる部品に配置されている。加速度センサ12は、平面視した場合に、複数の部品で囲まれた内側に位置している。このため、加速度センサ12を基準(原点)とした場合、圧電センサ11の方向(位置)が重ならない。したがって、加速度センサ12が検知した加速度の方向と、記録部(位置記録部)15に記録された各圧電センサ11A~11Dの方向とを比較して、加速度の方向に最も近い位置にある圧電センサ11を容易に特定できる。したがって、判定部17は、加速度センサ12の出力(加速度出力)の加速度の方向と記録部15に記録された各圧電センサ11A~11Dの方向を比較することにより、外装101を構成する部品のうちのどれが傷ついたかについて、容易に判断することができる。本実施形態では、自動車100を上から下方向(図3のY2からY1方向)へ見た場合を平面視という場合がある。加速度センサ12から見た圧電センサ11の方向を特定する場合、圧電センサ11の位置として短冊形(矩形)の対角線の交点の位置を用いる。楕円形の場合、長軸と短軸との交点の位置を用いる。
【0022】
同図では、圧電センサ11Aをボンネット101Aに、圧電センサ11Bを右ドア101Bに、圧電センサ11Cを左ドア101Cに、圧電センサ11Dを後部ドア101Dに、それぞれ配置している。そして、加速度センサ12から見て、圧電センサ11が配置された、ボンネット101A、右ドア101B、左ドア101Cおよび後部ドア101Dは、この順にX1方向、Z1方向、Z2方向およびX2方向に位置している。このため、判定部17は、圧電センサ11A~11Dに対して、加速度センサ12から見た部品の変形を検出し、信号を出力した圧電センサ11の方向と、加速度センサ12により検知された加速度の方向とが、一致するか否かを容易に判断できる。
【0023】
圧電センサ11の出力および加速度センサ12の加速度出力が閾値以上で、加速度センサ12から見た出力のあった圧電センサ11が配置された方向と加速度の方向とが一致した場合に、当該圧電センサ11が配置された外装101に傷がついたと判定する。加速度センサ12から見た圧電センサ11が配置された方向と加速度の方向とが一致するとは、圧電センサ11が配置された方向から印加された加速度が検知されたことをいう。また、加速度センサ12から見た出力のあった圧電センサ11が配置された方向、すなわち圧電センサ11の加速度センサに対する方向と加速度の方向とが概ね同じ方向であれば、2つの方向が一致していると判断する。例えば、判定部17は、加速度センサ12から見て、加速度の方向に最も近い位置に配置された圧電センサ11から出力があった場合に、当該圧電センサ11が配置された外装101に傷がついたと判定してもよい。
【0024】
記録部15は、判定部17が外装101に傷がついたと判定した時刻をタイマー18から取得して、記録部(時刻記録部)15に記録する。これにより、記録部15の記録に基づいて外装101に傷が生じた時刻が分かる。傷ついた時刻を記録することにより、自動車100をシェアカーやレンタカーに用いた場合、どの利用者の使用中に外装101に傷がついたかの特定が容易になる。
【0025】
傷推定部19は、判定部17により判定された外装101についた傷の大きさを推定し、記録部15に記録する。傷推定部19より推定された傷の大きさと、実際に外装101に生じた傷の大きさを比較することにより、判定された傷と実際に生じた傷との関係がより明確になる。また、外装101の同じ領域に複数の傷がついた場合に、記録された傷の大きさを用いて、どの傷がどの利用者によるものか特定することができる。
【0026】
図4は自動車100の外装101が傷ついたことを傷検知装置10が検知する態様を説明する平面図である。同図に示すように、自動車100のボンネット101A、右ドア101B、左ドア101Cおよび後部ドア101Dに、それぞれ圧電センサ11A~11Dを配置し、平面視した場合に自動車100の略中央となる位置に加速度センサ12を配置する。左ドア101Cを障害物200で擦って傷つけた場合、検出部16は、左ドア101Cに配置した圧電センサ11Cからの出力のみを検出する。
【0027】
外装101が傷ついた際、加速度センサ12は加速度Aを検知して出力する。加速度センサ12から出力された加速度Aにより、Z2方向からZ1方向への衝撃が加えられたことが分かる。加速度センサ12から見た、圧電センサ11Cの方向(Z2方向)と、加速度Aから分かる衝撃が加えられた方向Z2とが一致する場合、判定部17は、圧電センサ11Cが配置された左ドア101Cに傷がついたと判定する。
【0028】
検出部16は、加速度センサ12から閾値以上の出力を検出した場合、検出された加速度Aの方向を求め、加速度Aの方向に最も近い位置にある圧電センサ11の出力を確認する。なお、加速度Aの方向に最も近い位置ある圧電センサ11とは、圧電センサ11と加速度センサ12と結んだ直線に沿った方向と加速度Aの方向とのズレを各圧電センサ11毎に求め、そのズレが最も小さい圧電センサ11である。圧電センサ11の位置に代えて、または圧電センサ11の位置に加えて、検出された加速度Aの方向に相対している面を備えた外装101を構成する部品(パーツ)に配置された圧電センサ11の出力を確認してもよい。そして、圧電センサ11からの出力が閾値を超えていれば、圧電センサ11が配置された外装101が傷ついたと判定する。なお、加速度Aの方向に相対している面とは、圧電センサ11が配置された外装101を構成する部品(パーツ)の面のうち当該面の法線方向が加速度Aの方向に最も近いもの、すなわちXZ平面に投影した法線方向と加速度Aの方向により形成される角が最も小さいものをいう。各外装101において最も割合の大きな面の法線方向は、記録部15に記録されている。検出部16は、加速度Aの方向を、加速度Aのベクトル方向として求めてもよい。
【0029】
また、上述した説明においては、検出部16は、加速度センサ12から閾値以上の出力を検出した場合、加速度Aの方向に最も近い位置にある圧電センサ11の出力を確認する、としたが、閾値以上の出力を検出する対象は、圧電センサ11の出力であってもよい。例えば、検出部16は、圧電センサ11から閾値以上の出力を検出した場合に、加速度センサ12の出力および加速度Aの方向を確認して外装101に傷がついたかを判断してもよい。あるいは、閾値以上の出力を検出する対象を圧電センサ11および加速度センサ12の両方とし、いずれか一方から閾値以上の出力を検出したときに他方の出力を確認してもよい。
【0030】
図5(a)は圧電センサ11の形状および配置を模式的に示す側面図であり、図5(b)は図5(a)のA-A断面図であり、図5(c)は図5(a)のB-B断面図である。図5(a)に示すように、圧電センサ11の形状は短冊状(帯状、矩形状)である。短冊状とすることで、自動車100の外装101が傷ついたときに生じる変形を、一つの圧電センサ11によって効率よく検知することができる。圧電センサ11は、図5(b)に示す圧電センサ11Cyのように、外装101の断面が凸状(円弧状)となる切断線に平行な検出容易方向に沿って、すなわち検出容易方向と平行にその長手方向を配置することが好ましい。ただし、図5(c)に示す圧電センサ11Cxのように、外装101の断面が直線状となる切断線に沿うようにすなわち凸状の同じ高さの部分を結んだ直線に沿ってその長手方向を配置してもよい。なお、図5(a)では、圧電センサ11の配置態様を示すために、圧電センサ11Cxおよび圧電センサ11Cyを示したが、外装101(左ドア101C)には、圧電センサ11を一つ配置すればよい。効率よく傷を検知する観点から、図5(b)に示す圧電センサ11Cyのように、検出容易方向に沿って圧電センサ11の長手方向を配置することが好ましい。
【0031】
圧電センサ11は、できるだけ少ない数で外装101の傷を検知できる、形状および配置とすることが好ましい。外装101が傷ついたとき、圧電センサ11は外装101全体に生じるたわみ(変形)を検知する。図5(a)に示すように、細長い短冊状のものを検出容易方向に沿って配置することで、外装101(左ドア101C)の全体に生じた変形を一つの圧電センサ11で検知することができる。検出容易方向とは、短冊状の圧電センサ11の長手方向をその線に沿って配置することにより、外装101全体としての変形を最も効率よく検出できる方向をいう。すなわち、検出容易方向は、外装101の圧電センサ11が配置されていない箇所にたわみ(第1たわみ)が発生したときに、当該第1たわみに起因する、圧電センサ11によって検知可能な第2たわみが発生しやすい方向である。
【0032】
検出容易方向は外装101の形状ごとに異なるが、外装101が自動車100のドアであるとき、鉛直方法(Y1Y2方向)が検出容易方向であることが多い。図5(b)に示すように、ドアの外装101をYZ平面で切断した断面は、上下方向の中央部付近が凸となること、すなわち中央部付近が外側(左ドア101CではZ2方向)に向かって凸出する円弧状の形状である場合が多い。対して、図5(c)に示すように、ドアの外装101をXZ平面で切断した断面は、前後方向の中央部付近が凸出せず、略直線状の形状である場合が多いからである。
【0033】
模式的に言うと、ドアの外装101の形状は、円筒を基準軸に平行な平面で切断したような形状といえる。そこで、半円筒形のもの(以下、半円筒という)を外側から押圧したときに生じる変形について、以下に説明する。半円筒を外側から押圧した時、押圧した箇所における円筒の基準軸に直交する平面で、半円筒の伸長方向に直交する方向が切断線となるように切断した円弧状の断面形状は、押圧した箇所が凹み撓んだ形状となり、撓みによって円弧状の断面の全体が変形する。同様に、押圧していない箇所を円筒の軸に直交する平面で切断した断面形状は、押圧した箇所における断面と似た形状となる。すなわち、半円筒の伸長方向に直交する方向に切断した円弧状の断面の変形は、押圧した箇所から押圧していない箇所にも伝わる。したがって、押圧されていない箇所における円弧状の形状の変化に基づいて、押圧を検知することができる。
【0034】
これに対して、押圧した箇所における円筒の軸に平行な平面で、半円筒の伸長方向と平行な方向が切断面となるように切断した断面形状は、押圧した箇所が中心に多少撓んだ形状になるかもしれないが、直線的な形状となる。このため、円弧状の形状のように、撓みによって断面の全体に変形が生じるのではなく、変形は押圧した箇所の周辺にとどまる。同様に、押圧していない箇所を円筒の軸に平行な平面で切断した断面形状は、より撓みが小さく直線的な形状となる。すなわち、半円筒の伸長方向に平行な面で切断した直線状の断面の変形は、押圧した箇所の周辺にとどまる。したがって、押圧されていない箇所における直線状の形状の変化に基づいて、押圧を検知することは困難である。実際のドアの外装101の場合は固定されているので変形の挙動は上述とは異なるが、傾向としては上述した変形に近しい変形が発生するものと考えられる。
【0035】
例えば、外装101の直線LAよりもX1方向側でかつ直線LBよりもY1方向側の受傷位置Dにおいて、受傷に起因するたわみが発生したとする。この時、圧電センサ11Cyが配置された外装101の直線LA上でも、受傷位置Dを通り直線LAに平行な直線LAD上に発生する第1たわみに起因する第2たわみが生じる。図5(b)に示す圧電センサ11Cyの様に、断面が円弧状となる縦方向(Y1Y2方向、鉛直方向)に沿って圧電センサ11Cyを配置すると、受傷位置Dから離れていても、第2のたわみによって圧電センサ11Cyには圧電センサ11Cyを折り曲げるような力がかかるため、第2のたわみを検知しやすい。したがって、その長手方向を縦方向に配置した圧電センサ11Cyによって、外装101が傷ついたことを容易に検出できる。
【0036】
これに対して、圧電センサ11Cxが配置された直線LB上でも、受傷位置Dを通りB-B線に平行な直線LBD上に発生する第1たわみに起因する第2たわみは生じている。このため、受傷位置Dが直線LBに比較的近い位置である場合には、長手方向を横方向に配置した圧電センサ11Cxによって、外装101が傷ついたことを検出できるが、受傷位置Dが直線LBから離れるにつれて、外装101の受傷を圧電センサ11Cxで検出することが困難になる。これは、以下のような理由からである。まず、受傷位置Dが直線LBに比較的近い位置である場合には、圧電センサ11Cxに検出される変形の要素では、その長手方向のたわみ(圧電センサ11Cxを折り曲げる)成分の占める割合が大きいため、圧電センサCxで第2のたわみを検出することができる。これに対して、受傷位置Dから離れている直線LB上に配置された圧電センサ11Cxに検出される変形の要素では、その長手方向のたわみ成分よりも、直線LBに平行な仮想直線を中心軸とした回動させる成分が占める割合の方が大きい。そのため、第2のたわみを検出しにくく、外装101の受傷を圧電センサ11Cxで検出することが困難になる。
【0037】
このように、圧電センサ11を外装101の中心点(前後:X1X2方向および上下:Y2Y1方向の中心点、前後:X1X2方向および左右:Z2Z1方向の中心点、または上下:Y2Y1方向および左右:Z2Z1方向の中心点)が配置された部分から離れた場所(例えば、外装101の下端部)において受傷したことにより発生したたわみの検出感度が最もよくなるように、圧電センサ11を貼り付けたときのその長手方向が検出容易方向である。
【0038】
検出容易方向に沿って配置するとは、短冊状の圧電センサ11の長手方向と検出容易方向とのなす角αが、外装101の対角線LEと検出容易方向とのなす角度β以下であることをいう。なお、外装101の対角線とは、外装101において最も遠い位置にある二つの角を結んだ直線をいう。外装101が左ドア101Cである場合、対角線は、前(X1)側・上(Y2)側の角と後ろ(X2)側・下(Y1)側の角を結んだ直線、または、前(X1)側・下(Y1)側の角と後ろ(X2)側・上(Y2)側の角を結んだ直線である。
【0039】
例えば、検出容易方向がY1Y2方向である場合、長手方向が直線LA方向に配置された圧電センサ11Cyは検出容易方向に沿って配置されており、長手方向が直線LB方向に配置された圧電センサ11Cxは検出容易方向に沿って配置されていない。圧電センサ11Cyのように検出容易方向とのなす角αが略0°となる配置により、長手方向の長さが短い圧電センサ11を用いたときでも外装101の受傷を精度よく検出できる。このため、角αが略0°となるように圧電センサ11を配置することが最も好ましい。ただし、圧電センサ11の長手方向が検出容易方向から多少傾いて配置されていてもよい。圧電センサ11の長手方向が検出容易方向に対して傾いて配置される場合、圧電センサ11に求められる検出精度や外装101の形状に応じて、適切な大きさの角αとすればよい。角αの一例として、30°以下や、15°以下などが挙げられる。
【0040】
図6は、傷検知装置10による傷検知方法を示すフローチャートである。同図に示すように、演算部14の検出部16は、圧電センサ11の出力および加速度センサ12の出力を検出する(S1)。圧電センサ11の出力および加速度センサ12の加速度出力が同時に検知された場合(S1のYES)、検出部16は圧電センサ11の出力および加速度センサ12の加速度出力が、それぞれ閾値以上であるか否かを検査する(S2)。圧電センサ11の出力および加速度センサ12の加速度出力が、それぞれ閾値以上である場合(S2のYES)、演算部14の判定部17は自動車100の外装101(図1図3参照)に傷がついたと判定する。
【0041】
図7は、傷検知装置10による傷検知方法の変形例を示すフローチャートである。S1からS3は、図6に示した各ステップと同様である。図7に示す傷検知方法では、判定部17による傷がついたとの判定に続いて、記録部15により傷がついた時刻を記録する。傷がついた時刻を記録することにより、外装101に傷をつけた利用者の特定が容易になる。
【0042】
図8は、傷検知装置10による傷検知方法の他の変形例を示すフローチャートである。S1およびS2は、図6および図7と同様である。圧電センサ11の出力および加速度センサ12の加速度出力が、それぞれ閾値以上である場合(S2のYES)、検出部16がどの方向からの加速度が加わったかを検査する(S5)。続いて、検出部16は、S1において、閾値以上の加速度が加わった方向と、閾値以上の出力があると検知された圧電センサ11が配置されている方向とが一致しているか否かを検査する(S6)。一致していない場合(S6のNO)、S1に戻る。一致している場合(S6のYES)、判定部17は圧電センサ11が配置されている周辺の外装101に傷がついたと判定する(S7)。続いて、記録部15は、外装101において圧電センサ11が配置された領域と、傷がついたと判定した時刻とを記録する(S8)。
【0043】
図8のように、閾値以上の加速度が加わった方向と、閾値以上の出力が検知された圧電センサ11が配置されている方向とが一致する場合に、閾値以上の出力が検知された圧電センサ11が配置されている周辺に傷がついたと判定することで、精度よく傷を検知できる。
【実施例
【0044】
図9(a)~図9(c)は、実施例における圧電センサの形状および配置の概略を示す側面図であり、図9(a)が下記(縦・短冊状、矩形)の圧電センサ11a、図9(b)が下記(円形状)の圧電センサ11b、図9(c)が下記(横・短冊状、矩形)の圧電センサ11c、それぞれを自動車100の右ドア101Bの内側に配置した態様について模式的に示している。
【0045】
(縦・短冊状)
短冊状(幅10mm、長さ200mm)の圧電センサ11aを長手方向がY1Y2方向になるように、右ドア101Bの中央に配置した。
(円形状)
円形状(φ15mm)の圧電センサ11bを右ドア101Bの中央に配置した。
(横・短冊状)
短冊状(幅10mm、長さ200mm)の圧電センサ11cを長手方向がX1X2方向になるように、右ドア101Bの中央に配置した。
【0046】
圧電センサ11の形状の違い、配置の仕方の違いにより圧電センサ11の出力に違いがあるのかを確認するため、(ア)金槌を用いて右ドア101Bの中央をZ方向に叩いた場合について、各圧電センサ11a~cからの出力を測定した。また、同時に、車体中央部に配置した加速度センサ12からの出力を測定した。
【0047】
図10(a)~図10(c)は、金槌を用いて右ドア101Bの中央をたたいた場合における、圧電センサによる出力の違いを示すグラフであり、図10(a)が縦・短冊状の圧電センサ11aの出力、図10(b)が円形状(φ15mm)の圧電センサ11bの出力、図10(c)が横・短冊状の圧電センサ11cの出力を示している。図10(a)に示すように、長手方向がY1Y2方向になるように配置した短冊状の圧電センサ11aの出力が最大であった。
【0048】
図11(a)~図11(c)は、金槌を用いて右ドア101Bの中央を叩いた場合における、加速度センサからの出力を示すグラフであり、図11(a)がX方向の出力、図11(b)がY方向の出力、図11(c)がZ方向の出力を示している。図11(a)~図11(c)に示すように、加速度は金槌で叩いたZ方向の出力が最も大きかった。この結果から、加速度の測定結果から、外装101が傷つく場合の最初の大きな衝撃を加速度センサにより検知し、その衝撃が加わった方向を特定できることが分かった。
【0049】
圧電センサ11の形状の違い、配置の仕方の違いにより圧電センサ11の出力に違いがあるのかを確認するため、(イ)ドライバを右ドア101Bに衝突させた後に押し当てたまま右ドア101Bの中央をX1X2方向(水平方向、前後方向)に傷つけた場合(水平方向に傷つけた実施例)、および(ウ)ドライバを右ドア101Bに衝突させた後に押し当てたまま右ドア101Bの中央をY21Y1方向(垂直方向、上下方向)に傷つけた場合(垂直方向に傷つけた実施例)、のそれぞれについて、各圧電センサ11a~cからの出力を測定した。また、同時に、車体中央部に配置した加速度センサ12からの出力を測定した。
【0050】
図12は、右ドア101Bの中央を水平方向に傷つけた実施例における、加速度センサ12および図9(a)に示すように配置した圧電センサ11a(縦・短冊状)からの出力を示すグラフである。同図に示すように、圧電センサ11aからの出力と、加速度センサ12からの出力により、右ドア101Bの傷を検出することができた。
【0051】
同図中に破線で示した、加速度の出力の閾値A1および閾値A2、ならびに圧電センサの出力の閾値B1および閾値B2を定めることにより、加速度センサ12からの出力が閾値A1またはA2を超えたこと、および、圧電センサ11aからの出力が閾値B1またはB2を超えたことが、同時に検出された時点として受傷開始時点T1が検出される。また、受傷開始時点T1に連続する圧電センサ11aからの出力において、圧電センサ11aからの出力が閾値B1またはB2となった最後の時点とし受傷終了時点T2が検出される。受傷開始時点T1から受傷終了時点T2までの時間と、そのときの自動車100の速度を用いて傷の大きさを推定することができる。
【0052】
図13(a)~図13(c)は、右ドア101Bの中央を水平方向に傷つけた実施例における、形状および配置による圧電センサからの出力の違いを示すグラフであり、図13(a)が縦・短冊状の圧電センサ11a(図9(a)参照)の出力、図13(b)が円形状の圧電センサ11b(図9(b)参照)の出力、(c)横・短冊状の圧電センサ11c(図9(c)参照)の出力を示している。ドア中央を水平方向に傷つけた場合も、ドアを叩いた場合同様、縦・短冊状の圧電センサ11aが最も検知感度がよかった。
【0053】
図14(a)~図14(c)は、右ドア101Bの中央を水平方向に傷つけた実施例における、加速度センサからの出力を示すグラフであり、図14(a)がX方向の出力、図14(b)がY方向の出力、図14(c)がZ方向の出力を示している。図14(a)~図14(c)に示すように、水平方向に傷つけた場合も加速度の出力はZ方向が最も大きかった。この結果から、水平方向に傷つけた場合も、外装101が傷つく場合の最初の大きな衝撃の方向を加速度の測定結果に基づいて特定できるといえる。
【0054】
図15は、右ドア101Bの中央を垂直方向に傷つけた実施例における、加速度センサ12および圧電センサ11a(縦・短冊状)からの出力を示すグラフである。同図に示すように、垂直方向に傷つけた場合も、図12に示す水平方向に傷つけた場合と同様に、圧電センサ11aからの出力と加速度センサ12からの出力を用いて、ドアの傷を検出することができた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の傷検知装置は、カーシェアリング、レンタカーなど、複数人が同じ自動車を使用する場合に、傷を生じさせた利用者を特定する装置として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
10 :傷検知装置
11、11A、11B、11C、11Cx、11Cy、11D、11a、11b、11c:圧電センサ
12 :加速度センサ
13 :速度センサ
14 :演算部
15 :記録部(位置記録部、時刻記録部)
16 :検出部
17 :判定部
18 :タイマー
19 :傷推定部
100 :自動車
101 :外装
101A :ボンネット
101B :右ドア
101C :左ドア
101D :後部ドア
200 :障害物
D :受傷位置
A、LB、LAD、LBD:直線
A :検出容易方向
E :外装の対角線
α :検出容易方向と圧電センサの長手方向との角度
β :検出容易方向と外装の対角線との角度
A1、A2、B1、B2:閾値
T1 :受傷開始時点
T2 :受傷終了時点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図15