(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光導波路デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G02F1/035
(21)【出願番号】P 2020136733
(22)【出願日】2020-08-13
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】牧野 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 嘉伸
(72)【発明者】
【氏名】大森 康弘
(72)【発明者】
【氏名】土居 正治
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 輝雄
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-018121(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114367(WO,A1)
【文献】特開平05-257105(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111522154(CN,A)
【文献】HONARDOOST et al.,Towards subterahertz bandwidth ultracompact lithium niobate electrooptic modulators,Optics Express,米国,OSA,2019年02月20日,Vol.27, No.5,p.6495-p.6501
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00- 1/125
G02F 1/21- 7/00
G02B 6/12- 6/14
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
下から順に中間層、Xcutニオブ酸リチウム
またはZcutニオブ酸リチウムの薄膜LN層、バッファ層が積層され、
前記薄膜LN層に光導波路が形成され、駆動用の電極を有する光導波路デバイスにおいて、
前記中間層は、上層の第1中間層と、下層の第2中間層からなり、前記第2中間層の誘電率が前記第1中間層の誘電率よりも小さいことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
基板上に、下から順に中間層、Xcutニオブ酸リチウムまたはZcutニオブ酸リチウムの薄膜LN層、バッファ層が積層され、
前記薄膜LN層に光導波路が形成され、駆動用の電極を有する光導波路デバイスにおいて、
前記中間層は、上層の第1中間層と、下層の第2中間層からなり、前記第2中間層の誘電率を前記第1中間層の誘電率よりも小さくすることで、前記中間層の全体の層厚を製造可能な範囲の所定厚としたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素からなる材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項4】
前記第1中間層は、酸化シリコンとインジウムの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項5】
前記第1中間層は、酸化シリコンとチタンの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項6】
前記第1中間層は、酸化シリコンと錫の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項7】
前記第1中間層は、酸化シリコンとゲルマニウムの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項8】
前記第1中間層は、酸化シリコンと亜鉛の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項9】
前記第1中間層は、請求項3~7のいずれかの材料に加えて、さらに他の金属または半導体元素の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする請求項4~8のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項10】
前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項11】
前記第1中間層は、シリコンを除く半導体元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項12】
前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素と、シリコンを除く半導体元素のそれぞれ1種以上で構成される酸化物と酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路デバイス。
【請求項13】
前記薄膜LN層は、Xcutニオブ酸リチウムからなり、
前記光導波路の側部に前記電極が配置され、前記光導波路の横方向から電界を印加することを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項14】
前記薄膜LN層は、Zcutニオブ酸リチウムからなり、
前記光導波路の上部に前記電極が配置され、前記光導波路の縦方向から電界を印加することを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項15】
前記電極の底面は、前記バッファ層の表面の位置よりも低い位置に設けられたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項16】
前記電極の底面は、前記バッファ層の内部の所定深さ位置の段差部上に設けられたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項17】
前記電極の底面は、前記薄膜LN層の段差部上に設けられたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項18】
前記電極の底面は、前記第1中間層の段差部上に設けられたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【請求項19】
前記電極の底面は、前記第2中間層の段差部上に設けられたことを特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器等の光導波路デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の高速化のためには、高性能な光デバイスが必要不可欠である。光デバイスのうち、従来のLN光変調器は、ニオブ酸リチウムLiNbO3(以下LNと称す)基板を用いることで、挿入損失や伝送特性の面で優れた特性を得ることができる。LN基板上にはチタン(Ti)拡散による光導波路が形成されている。このようなLN基板を用いる従来のLN光変調器(以下、Bulk LN変調器と称す)は、光フィールドが大きくこれに応じて電極間隔も広いため、インピーダンスを周辺回路の基準インピーダンス(50Ω)に設計することが容易である。
【0003】
近年、光デバイスの小型化の需要が高まっており、光送受信器に用いるLN光変調器についても小型化が検討されている。LN光変調器を小型化するものとして、薄膜LNを用いた薄膜LN光変調器がある。薄膜LN光変調器は、マッハツェンダー干渉計構造からなり、基板上に、中間層、薄膜LN、バッファ層、電極の各層を設けた構造からなる。
【0004】
薄膜LN光変調器に関連する技術としては、例えば、保持基板上に液晶ポリマ基板が設けられ、液晶ポリマ基板の上に接着剤層を介して光導波路のLN基板を接着し、光導波路基板と保持基板の熱膨張係数の2軸の異方性の方向を揃えて接着部にかかる応力を低減した構造が開示されている。また、電気光学結晶基板と低誘電率基板との間に、低屈折率層とアモルファス層を設けることで、接着層を不要にした複合基板が開示されている。また、支持体上に電気光学材料からなる光導波路本体を接合層で接合した構造が開示されている(例えば、下記特許文献1~3参照。)。
【0005】
また、例えば、中間層を、元素の周期表の第3~第18族に相当する金属元素からなる材料を含むことで、DCドリフト特性の安定化を図る技術が開示されている(例えば、下記特許文献4,5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2012/147914号
【文献】国際公開第2019/180922号
【文献】米国特許出願公開第2004/0264832号明細書
【文献】特開平05-257105号公報
【文献】米国特許第5404412号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薄膜LN光変調器は、LN光変調器に比べて光フィールドが小さく、これに応じて電極間隔も狭いため、インピーダンスが周辺回路のインピーダンスより低くなってしまう。インピーダンスのミスマッチは、薄膜LN光変調器と周辺回路との高効率な接続を妨げる。周辺回路は、例えば、電極が接続される中継基板や終端基板、ドライバIC等である。
【0008】
ここで、電極間隔を広げることでインピーダンスを高めることができるが、電界効率は低下する。また、中間層を厚くすることでインピーダンスを高めることができるが、LN特有の問題であるDCドリフトを抑制するための中間層材料は製造プロセス上、厚膜化が困難である。従来技術では、薄膜LN光変調器は20Ω程度までしか上げることができず、周辺回路との接続に特別な整合回路が必要であった。
【0009】
一つの側面では、本発明は、狭い電極間隔と高いインピーダンスを同時に得ることができる光導波路デバイスが提供できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの実施態様によれば、基板上に、下から順に中間層、Xcutニオブ酸リチウムまたはZcutニオブ酸リチウムの薄膜LN層、バッファ層が積層され、前記薄膜LN層に光導波路が形成され、駆動用の電極を有する光導波路デバイスにおいて、前記中間層は、上層の第1中間層と、下層の第2中間層からなり、前記第2中間層の誘電率が前記第1中間層の誘電率よりも小さい光導波路デバイスが提案される。
【発明の効果】
【0011】
一態様によれば、狭い電極間隔と高いインピーダンスを同時に得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる2層化した中間層による層厚低減を示す図表である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の中間層の層厚を変えた構成例の断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。(その1)
【
図6】
図6は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。(その2)
【
図7】
図7は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。(その3)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明にかかる光導波路デバイスの実施の形態を詳細に説明する。実施の形態では、光導波路デバイスとして薄膜LN光変調器を例に説明する。薄膜LN光変調器は、光伝送の光送信部に設けられ、入力される電気信号を光信号に変換して光送信する。
【0014】
(薄膜LN光変調器の構成例)
図1は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器を示す平面図、
図2は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の断面図である。
図2は、
図1のA-A’線断面図を示す。実施の形態では、光導波路デバイスとして薄膜LN光変調器100を例に説明する。
【0015】
以下に説明する薄膜LN光変調器100は、マッハツェンダー形の光変調器であり、電気光学効果を有する光導波路で形成されたマッハツェンダー干渉計に電圧を印加することで、光導波路内を伝搬する光を変調する。
【0016】
光導波路101は、2本の光導波路102,103に分岐された後、光導波路104に結合される。分岐された光導波路102,103側部には、それぞれ電極111(111a~111c)が設けられる。
【0017】
電極111の電圧Vが0のとき、光導波路101への入力光は2分岐されて各光導波路102,103を進み、光導波路104に結合され出力される。また、電極111に電圧Vπの印加時には光導波路102,103には逆向きの電界が発生し、光導波路102,103の屈折率変化により進行する光に位相差が生じる。位相差がπとなる電圧の場合、二つの光は干渉して打ち消し合うが、印加電圧を0-Vπで変化させることで、強度変調を行った光出力を得ることができる。
【0018】
図2に示すように、薄膜LN光変調器100は、基板120上に、中間層121、薄膜LN層122、バッファ層123が積層された構造である。基板120には、例えばLN、Si、SiO
2等を用いることができる。薄膜LN層122には、結晶方位がXcutのニオブ酸リチウム(LiNbO
3)を用い、エッチングすることで、リッジ型光導波路を形成する。凸状のリッジ部分は、光が進行する光導波路122aとして機能する。
図2に示す光導波路122aは、
図1に示した光導波路102に相当する。
【0019】
薄膜LN層122には、Xcutのニオブ酸リチウムを用いる。これにより、光導波路122aの上下方向に電界を印加する必要がなく、光導波路122aの側部に電極111を配置して、横方向からの電解印加により微小領域(光導波路122a)への光閉じ込めができる。また、光導波路122aと電極111との間隔を狭めることで電界効率を改善できる。
【0020】
中間層121と、バッファ層123は、薄膜LN層122に形成される光導波路122aへの光の閉じ込めを強めるために設けられる。これら中間層121とバッファ層123は、薄膜LN層122より屈折率が小さい材質、例えばSiO2などが用いられる。
【0021】
積層構造を製作する手法としては、ウェハの直接接合を用いてもよい。この場合、張り合わせるための接着剤層が必要であれば、どの層間に接着剤層を有してもよい。
【0022】
図2に示す構成例では、薄膜LN層122上に所定の厚さのバッファ層123を積層する。この際、バッファ層123は、光導波路122aのリッジ部分の凸形状に沿う形で、光導波路122aの上部および側部に一定な厚さで形成される。この際、バッファ層123のうち、光導波路122aから所定距離離れた両側部には、光導波路122aの凸形状に応じた凹部123aが形成される。電極111は、この凹部123a上に配置される。電極111は、例えば金(Au)等の蒸着により形成できる。
【0023】
ここで、薄膜LN光変調器100は、進行波電極型光変調器であり、広帯域動作を実現するために光と電気それぞれの群屈折率(進行速度相当)Nmを合わせる必要がある。ここで、光の群屈折率は電気に比べて調整が困難である。
【0024】
また、薄膜LN光変調器100と周辺回路(中継基板、終端基板、ドライバIC等)を高効率に接続するためには特性インピーダンスZ0を合わせる必要がある。ここで、周辺回路の特性インピーダンスは光変調器に比べて調整が困難である。
【0025】
このため、発明者らは、上記課題に対して下記の施策を試みた。
(1)薄膜LN光変調器100特有の課題であるDCドリフトを抑制するために中間層121に元素の周期表の第3~第18族の金属元素からなる材料を用いることで中間層121の誘電率が上がる。
【0026】
薄膜LN光変調器100では、電極111に印加した電圧が、印加した瞬間と、十分時間が経過した後で変化するDCドリフトと呼ばれる現象が起こる。電圧の変化は、薄膜LN光変調器100が出力する出射光の変化として現れるため、DCドリフトの抑制は薄膜LN光変調器100の動作安定化に必要不可欠である。DCドリフト量は、印加電圧に比例するため、一般的に印加電圧に対するパーセントで表現されている。
【0027】
(2)中間層121の誘電率が上がることで電気の群屈折率Nmが上がる。しかし、電気の群屈折率Nmと光のNmとずれが生じる。
【0028】
(3)電気の群屈折率Nmを下げるために電極111の厚さを厚くすると、特性インピーダンスZ0が下がる。しかし、薄膜LN光変調器100周辺回路のZ0とずれが生じる。
【0029】
(4)基板120の誘電率は中間層121より高いため、電極111から見て全体的な誘電率が下がるように中間層121を厚くする。しかし、DCドリフトを抑制するための中間層121の材料は厚膜化が困難である。
【0030】
このため、実施の形態では、中間層121を複数の層で形成した。
図2の構成例では、上部の第1中間層121aを厚さT1で形成し、下部の第2中間層121bを厚さT2で形成している(T1<T2)。第1中間層121aは、DCドリフト抑制のために設けられ、第2中間層121bは、中間層121全体の厚膜化のために設けられる。
【0031】
ここで、第1中間層121aは、DCドリフト抑制のために以下の実施例a~実施例jの材料で構成できる。
【0032】
実施例aでは、第1中間層121aに元素の周期表の第3~第18族の金属元素からなる材料を用いる。実施例bでは、第1中間層121aに酸化シリコンとインジウムの酸化物を含む材料を用いる。実施例cでは、第1中間層121aに酸化シリコンとチタンの酸化物を含む材料を用いる。実施例dでは、第1中間層121aに酸化シリコンと錫の酸化物を含む材料を用いる。実施例eでは、第1中間層121aに酸化シリコンとゲルマニウムの酸化物を含む材料を用いる。実施例fでは、第1中間層121aに酸化シリコンと亜鉛の酸化物を含む材料を用いる。実施例gでは、第1中間層121aとして、上記実施例b~fの材料に加えて、さらに他の金属または半導体元素の酸化物を含む材料を用いる。実施例hでは、第1中間層121aに元素の周期表の第3~第18族の金属元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物を用いる。実施例iでは、第1中間層121aにシリコンを除く半導体元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物を用いる。実施例jでは、第1中間層121aに元素の周期表の第3~第18族の金属元素と、シリコンを除く半導体元素のそれぞれ1種以上で構成される酸化物と酸化シリコンとの混合物または化合物を用いる。
【0033】
このように、第1中間層121aを実施例a~jのいずれかの材料で構成することで、薄膜LN光変調器100のDCドリフトを抑制できる。
【0034】
そして、実施の形態では、第1中間層121aの誘電率ε1よりも、第2中間層121bの誘電率ε2を小さく設定する(ε1>ε2)。
【0035】
中間層121(第1中間層121a)と、基板120との間に、中間層121(第1中間層121a)よりも誘電率の低い誘電体層(第2中間層121b)を設けることで、電極111から見た全体的な誘電率を下げることができる。
【0036】
これにより、実施の形態の薄膜LN光変調器100は、光フィールドが小さいことに対応した狭い電極間隔と、高いインピーダンスを同時に得ることができ、周辺回路と高効率な接続を行うことができるようになる。また、DCドリフトを抑制するための中間層を厚膜化することなく、実際に製造可能な厚さにすることができる。
【0037】
図3は、実施の形態にかかる2層化した中間層による層厚低減を示す図表である。縦軸は総中間層厚を示す。薄膜LN光変調器100の基準インピーダンスZ0、群屈折率Nm、電極111の間隔を固定する。
【0038】
従来の単一層(誘電率ε1=ε2に相当)の中間層では、総中間層として14μmを超える層厚が必要である。この厚さは製造困難である。また中間層に必要な層厚を形成できず、薄膜LN光変調器100の特性インピーダンスZ0が20Ω程度しか得られなかった。そして、周辺回路の基準の特性インピーダンスZ0(50Ω)に対しずれが生じ、特別な外部の整合回路等が必要となる。
【0039】
これに対し、実施の形態では、第1中間層121aの誘電率ε1と第2中間層121bの誘電率ε2をε1>ε2に設定することで、第1中間層121aの厚さT1は2μm、第2中間層121bの厚さT2は6μm(総中間層厚は8μm)で形成できた。
【0040】
図表のΔεは、実施の形態の構成(ε1-ε2=2)により得られる総中間層厚の低減量であり、実施の形態によれば、中間層121を実際に製造可能な厚さにできる。
【0041】
(中間層の層厚を変更した他の構成例)
図4は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の中間層の層厚を変えた構成例の断面図である。上述したように、第1中間層121aの誘電率よりも第2中間層121bの誘電率を小さくした条件において、第1中間層121aと第2中間層121bの層厚は変更できる。
【0042】
図4(a)に示す構成例では、第1中間層121aの厚さT1と、第2中間層121bの厚さT2をほぼ同じ厚さ(T1=T2)にしたものである。
図4(b)に示す構成例では、第1中間層121aの厚さT1の方が、第2中間層121bの厚さT2よりも厚く(T1>T2)形成したものである。第1中間層121aの誘電率よりも第2中間層121bの誘電率を小さくした条件下において、第1中間層121aと第2中間層121bは、それぞれが実際に製造可能な厚さの範囲の所定厚さとすることができる。
【0043】
図5は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。上述した構成例では、薄膜LN層122には、Xcutのニオブ酸リチウムを用いることで、光導波路122aを側部の電極111で挟み、横方向に電界を印加するXcutLNの構成例を示した。
図5には、薄膜LN層122として、Zcutのニオブ酸リチウムを用いた場合の薄膜LN光変調器100を示す。この場合、電極111は、光導波路122aの上に形成して縦方向に電界を印加するZcutLNを構成できる。
【0044】
図5に示すZcutLN型の薄膜LN光変調器100においても、狭い電極間隔と、高いインピーダンスを同時に得ることができるようになる。
【0045】
図6は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。
図6に示す構成例では、電界効率を改善するために、電極111の底面をバッファ層123の表面の位置よりも低い位置に設けたものである。
図6に示す構成例では、光導波路122aの周辺は、バッファ層123として所定の厚さを残したまま、電極111を形成する部分の位置を下げる。
【0046】
図6(a)の構成例では、バッファ層123のうち電極111を設ける部分(凹部123a)をエッチングする。電極111は、光導波路122aを中心として所定距離離れた両側部に設けられる。バッファ層123のエッチングにより、電極111を設ける部分のバッファ層123には、段差部123bが形成される。
【0047】
そして、バッファ層123の段差部123b上に電極111を形成する。これにより、段差部123bに設けられる電極111の底部111bの高さ方向の位置は、エッチング前のバッファ層123の凹部123aの位置より高さh1分だけ低い位置となる。
【0048】
そして、バッファ層123の段差部123b部分に電極111を設けることで、光導波路122aに対して電極111を距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。幅w1は、薄膜LN層122上にバッファ層123を積層した際の所定の厚さに対応しており、光導波路122aへの光の閉じ込めの作用を有する。
【0049】
このように、電極111を形成する部分のバッファ層123に段差部123bを形成することで、光導波路122aを中心としたバッファ層123の厚さ自体を確保しつつ、光導波路122aに対して電極111を近づけて配置できるようになる。これにより、散乱損失が小さく、電界効率が高い薄膜LN光変調器100を実現できるようになる。
【0050】
図6(b)~
図6(d)に示す構成例では、
図6(a)よりもそれぞれエッチング量を増やしている。
図6(b)の構成例では、電極111を設ける部分(凹部123a)のバッファ層123全体をエッチングする。そして、薄膜LN層122(段差部122b)上に電極111を蒸着等により形成する。
【0051】
これにより、段差部122bに設けられる電極111の底部111bの高さ方向の位置は、エッチング前のバッファ層123の凹部123aの位置より高さh2分だけ低い位置となる。そして、薄膜LN層122の段差部122b部分に電極111の底面111bを位置して設けることにより、光導波路122aに対し、電極111は距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。
【0052】
図6(c)の構成例では、電極111を設ける部分(凹部123a)のバッファ層123全体をエッチングする。加えて、薄膜LN層122の全体、さらには第1中間層121aも所定量エッチングし、第1中間層121a部分に段差部121abを形成している。そして、第1中間層121aの段差部121ab上に電極111を形成する。
【0053】
これにより、段差部121abに設けられる電極111の底部111bの高さ方向の位置は、エッチング前のバッファ層123の凹部123aの位置より高さh3分だけ低い位置となる。そして、第1中間層121aの段差部121ab部分に底面111bが位置する電極111を設けることで、光導波路122aに対し、電極111は距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。
【0054】
図6(d)の構成例では、電極111を設ける部分(凹部123a)のバッファ層123全体をエッチングする。加えて、薄膜LN層122と第1中間層121aの全体、さらには第2中間層121bも所定量エッチングし、第2中間層121b部分に段差部121bbを形成している。そして、第2中間層121bの段差部121bb上に電極111を形成する。
【0055】
これにより、段差部121bbに設けられる電極111の底部111bの高さ方向の位置は、エッチング前のバッファ層123の凹部123aの位置より高さh4分だけ低い位置となる。そして、第2中間層121bの段差部121bb部分に底面111bが位置する電極111を設けることで、光導波路122aに対し、電極111を距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。
【0056】
図6(a)の構成例よりも
図6(b)の構成例の方がエッチング量が多く、
図6(b)の構成例よりも
図6(c)の構成例の方がエッチング量が多く、
図6(c)の構成例よりも
図6(d)の構成例の方がエッチング量が多くなる。エッチング量が多いほど電界効率は向上するが、プロセス難度も上がるため、必要な電界効率等の特性と、製造の容易性を考慮して最適な構造を選択すればよい。
【0057】
図6(a)~(d)に示した各構成例の各薄膜LN光変調器100によれば、光導波路122aの散乱損失が小さく、電界効率が高い薄膜LN光変調器100を実現できるようになる。
【0058】
ここで、
図6に示した高さh1~h4を有して、電極111の底面111bの位置をバッファ層123の表面(段差部123a)の位置よりも低い位置とすることで、インピーダンスが低下する。これに対応して、電極111の底面111bの位置をバッファ層123の表面(段差部123a)に位置させた場合よりも、中間層121(第2中間層121b)の厚さを厚く形成すればよい。これにより、薄膜LN光変調器100は、狭い電極間隔と、高いインピーダンスを同時に得ることができるようになる。
【0059】
図7は、実施の形態にかかる薄膜LN光変調器の他の構成例の断面図である。
図6を用いて説明した構成例では、電極111の側壁がバッファ層123に接している例を説明した。
【0060】
しかしながら、実際には、製造上の公差等により、電極111の側壁がバッファ層123から離れて設けられることがある。例えば、エッチング時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、あるいは電極111の形成時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、の配置位置のずれや開口径の誤差等により、電極111の側壁と、バッファ層123の側壁には隙間が生じることがある。
図7は、電極111の側壁がバッファ層123から離れた場合の各構成例を示している。また、
図7の構成例では、エッチング量をh3とし、電極111の底面111bを第1中間層121aの段差部121abに位置させた構成例を示す(
図6(c)相当)。
【0061】
図7(a)に示すように、薄膜LN層122上に所定の厚さのバッファ層123を積層する。この際、バッファ層123は、光導波路122aの凸状のリッジ部分に応じて表面側に凹部123aが形成される。この後、電極111を設ける部分のバッファ層123と薄膜LN層122と、第1中間層121aの一部をエッチングする。
【0062】
このエッチング時、光導波路122a部分を中心として、段差部121abまでのバッファ層123部分(幅w2)をマスクし、段差部121ab部分のマスクに開口を設ける。そして、マスクの開口部分からバッファ層123部分を所定深さエッチングする。これにより、電極111を設ける部分には、バッファ層123~第1中間層121aの一部までがエッチングされ、第1中間層121aに段差部121abが形成される。
【0063】
そして、第1中間層121aの段差部121ab上に電極111を形成する。電極111の形成時においても、光導波路122a部分を中心として、段差部121abまでのバッファ層123部分(幅w2)をマスクし、段差部121ab部分のマスクに開口を設ける。そして、マスクの開口部分から電極111を蒸着形成する。
【0064】
ここで、エッチング時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、あるいは電極111の形成時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、の配置位置のずれや開口径の誤差により、電極111の側壁と、バッファ層123の側壁には隙間w3が生じる。この隙間w3は、例えば、バッファ層123のエッチング時のマスクの開口径よりも電極111形成時のマスクの開口径が広い場合に生じる。
【0065】
このように電極111の側壁と、バッファ層123の側壁に隙間w3が生じた場合においても、段差部121abの高さ方向の位置は、エッチング前の凹部123aの位置より高さh3分だけ低い位置となる。そして、第1中間層121aの段差部121ab部分に電極111の底部111bを設けることで、光導波路122aに対して電極111が距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。幅w1は、薄膜LN層122上にバッファ層123を積層した際の所定の厚さに対応しており、光導波路122aへの光の閉じ込めの作用を有する。
【0066】
これにより、電極111の側壁と、バッファ層123の側壁に隙間w3を有した場合であっても、光導波路122aを中心としたバッファ層123の厚さ自体を確保しつつ、光導波路122aに対して電極111を近づけて配置できるようになる。
【0067】
また、
図7(a)の構成例とは逆に、製造上の公差等により、電極111の一部(側壁)が段差部121abよりも内側に位置し、隙間w3相当がなくなることもある。例えば、エッチング時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、あるいは電極111の形成時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、の配置位置のずれや開口径の誤差等が生じたとする。これにより、電極111の一部(側壁)がバッファ層123の凹部123a部分に位置することがある。
【0068】
図7(b)は、電極111の一部(中央側の側壁)がバッファ層123の凹部123a上に乗り上がる形で形成された場合の構成例を示している。
【0069】
図7(b)に示すように、薄膜LN層122上に所定の厚さのバッファ層123を積層する。この際、バッファ層123は、光導波路122aの凸状のリッジ部分に応じて表面側に凹部123aが形成される。この後、バッファ層123のうち電極111を設ける部分(凹部123a)をエッチングする。このエッチング時、光導波路122a部分を中心として、段差部123bまでのバッファ層123部分(幅w2)をマスクし、段差部121ab部分のマスクに開口を設ける。そして、マスクの開口部分からバッファ層123部分をエッチングする。このエッチングにより、電極111を設けた部分の第1中間層121aには段差部121abが形成される。
【0070】
そして、第1中間層121aの段差部121ab上に電極111を形成する。電極111の形成時においても、光導波路122a部分を中心として、段差部121abまでのバッファ層123部分(幅w2)をマスクし、段差部121ab部分のマスクに開口を設ける。そして、マスクの開口部分から電極111を蒸着形成する。
【0071】
ここで、エッチング時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、あるいは電極111の形成時にバッファ層123上に設けるマスクの開口、の配置位置のずれや開口径の誤差により、電極111の側壁の一部がバッファ層123の凹部123aに位置する。電極111は凹部123a上に幅w4(重なり量に相当)を有して乗り上がる形で位置する。この幅w4は、例えば、バッファ層123のエッチング時のマスクの開口径よりも電極111形成時のマスクの開口径が狭い場合に生じる。
【0072】
このように電極111の側壁がバッファ層123の凹部123a部分に位置した場合においても、段差部121abの高さ方向の位置は、エッチング前のバッファ層123の凹部123aの位置より高さh3分だけ低い位置となる。そして、第1中間層121aの段差部121ab部分に電極111を設けることで、光導波路122aに対して電極111を距離(幅)w1を有し、できるだけ近づけることができる。幅w1は、薄膜LN層122上にバッファ層123を積層した際の所定の厚さに対応しており、光導波路122aへの光の閉じ込めの作用を有する。
【0073】
このように、電極111の側壁がバッファ層123の凹部123a上に幅w4を有して重なって位置した場合であっても、光導波路122aを中心としたバッファ層123の厚さ自体を確保できる。加えて、光導波路122aに対して電極111を近づけて配置できるようになる。
【0074】
図7(a),(b)に示した各構成例の各薄膜LN光変調器100においても、光導波路122aの散乱損失が小さく、電界効率が高い薄膜LN光変調器100を実現できるようになる。また、狭い電極間隔と、高いインピーダンスを同時に得ることができるようになる。
【0075】
また、
図7(a),(b)には、いずれもエッチング量をh3(
図6(c)対応)の構成例を示した。これに限らず、エッチング量は、
図6(a)のh1~
図6(d)のh4の各構成例で設定できる。いずれのエッチング量h1~h4においても、光導波路122aに対し、電極111を距離(幅)w1を有しつつ、できるだけ近づけることができる。
【0076】
以上説明したように、薄膜LN光変調器100は、基板上に、中間層、Xcutニオブ酸リチウムの薄膜LN層、バッファ層が積層され、前記薄膜LN層に光導波路が形成され、駆動用の電極を有する。中間層を設けることで、DCドリフトを改善し、上層の第1中間層と、下層の第2中間層からなる。そして、DCドリフトを抑制するための第1中間層と基板との間に、第1中間層よりも誘電率の低い第2中間層121bを設ける。これにより、電極111からみた全体的な誘電率を下げることができ、狭い電極の間隔のままでインピーダンスを高めることができ、周辺回路と容易かつ高効率に接続できるようになる。
【0077】
また、薄膜LN光変調器100は、第1中間層の厚さよりも第2中間層の厚さが厚い場合、第1中間層の厚さと第2中間層の厚さがほぼ同じ厚さ、第1中間層の厚さよりも第2中間層の厚さが薄い場合、とすることができる。これらは第2中間層の誘電率が第1中間層の誘電率よりも小さい条件で、得られるインピーダンスに応じて厚さを適宜選択すればよい。
【0078】
また、薄膜LN光変調器100の第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素からなる材料、酸化シリコンとインジウムの酸化物を含む材料、酸化シリコンとチタンの酸化物を含む材料、酸化シリコンと錫の酸化物を含む材料、酸化シリコンとゲルマニウムの酸化物を含む材料、酸化シリコンと亜鉛の酸化物を含む材料を用いることができる。また、これらいずれかの材料に加えて、さらに他の金属または半導体元素の酸化物を含む材料を用いることもできる。さらには、第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物、シリコンを除く半導体元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物、元素の周期表の第3~第18族の金属元素と、シリコンを除く半導体元素のそれぞれ1種以上で構成される酸化物と酸化シリコンとの混合物または化合物、のいずれかによりなることとしてもよい。これらの材料を適宜選択することでDCドリフトを効果的に抑制できるようになる。
【0079】
また、薄膜LN光変調器100は、薄膜LN層がXcutニオブ酸リチウムからなり、光導波路の側部に電極が配置され、光導波路の横方向から電界を印加するXcutLN変調器として構成できる。また、薄膜LN層がZcutニオブ酸リチウムからなり、光導波路の上部に電極が配置され、光導波路の縦方向から電界を印加するZcutLN変調器として構成できる。そして、いずれにおいても、狭い電極間隔と、高いインピーダンスを同時に得ることができるようになる。
【0080】
また、薄膜LN光変調器100は、電極の底面をバッファ層の表面の位置よりも低い位置に設けることで、電極をできるだけ光導波路に近づける構成にできる。例えば、電極の底面は、バッファ層の内部の所定深さ位置の段差部上に設ける構成、薄膜LN層の段差部上に設ける構成、第1中間層の段差部上に設ける構成、第2中間層の段差部上に設ける構成、のいずれかとすることができる。これにより、光導波路の上部および側壁に対し所定厚さを有するバッファ層で光導波路への光の閉じ込めができ散乱損失を低減できるとともに、電極を光導波路にできるだけ近づけることができ、電界効率を向上できるようになる。
【0081】
これらにより、実施の形態によれば、2層化した中間層により、狭い電極間隔においてインピーダンスを高めることができ、周辺回路と容易かつ高効率に接続できるようになる。
【0082】
また、上述した実施の形態ではリッジ型の光導波路を例に説明したが、これに限らない。例えば、バッファ層内部にXcutニオブ酸リチウムからなり断面が矩形コアの光導波路が形成された構成とすることもでき、この構成においても上記同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0084】
(付記1)基板上に、中間層、Xcutニオブ酸リチウムの薄膜LN層、バッファ層が積層され、前記薄膜LN層に光導波路が形成され、駆動用の電極を有する光導波路デバイスにおいて、
前記中間層は、上層の第1中間層と、下層の第2中間層からなり、前記第2中間層の誘電率が前記第1中間層の誘電率よりも小さいことを特徴とする光導波路デバイス。
【0085】
(付記2)前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素からなる材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0086】
(付記3)前記第1中間層は、酸化シリコンとインジウムの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0087】
(付記4)前記第1中間層は、酸化シリコンとチタンの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0088】
(付記5)前記第1中間層は、酸化シリコンと錫の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0089】
(付記6)前記第1中間層は、酸化シリコンとゲルマニウムの酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0090】
(付記7)前記第1中間層は、酸化シリコンと亜鉛の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0091】
(付記8)前記第1中間層は、付記3~7のいずれかの材料に加えて、さらに他の金属または半導体元素の酸化物を含む材料によりなることを特徴とする付記3~7のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0092】
(付記9)前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0093】
(付記10)前記第1中間層は、シリコンを除く半導体元素の1種以上の酸化物と、酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0094】
(付記11)前記第1中間層は、元素の周期表の第3~第18族の金属元素と、シリコンを除く半導体元素のそれぞれ1種以上で構成される酸化物と酸化シリコンとの混合物または化合物によりなることを特徴とする付記1に記載の光導波路デバイス。
【0095】
(付記12)前記薄膜LN層は、Xcutニオブ酸リチウムからなり、
前記光導波路の側部に前記電極が配置され、前記光導波路の横方向から電界を印加することを特徴とする付記1~11のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0096】
(付記13)前記薄膜LN層は、Zcutニオブ酸リチウムからなり、
前記光導波路の上部に前記電極が配置され、前記光導波路の縦方向から電界を印加することを特徴とする付記1~11のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0097】
(付記14)前記電極の底面は、前記バッファ層の表面の位置よりも低い位置に設けられたことを特徴とする付記1~13のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0098】
(付記15)前記電極の底面は、前記バッファ層の内部の所定深さ位置の段差部上に設けられたことを特徴とする付記1~13のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0099】
(付記16)前記電極の底面は、前記薄膜LN層の段差部上に設けられたことを特徴とする付記1~13のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0100】
(付記17)前記電極の底面は、前記第1中間層の段差部上に設けられたことを特徴とする付記1~13のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0101】
(付記18)前記電極の底面は、前記第2中間層の段差部上に設けられたことを特徴とする付記1~13のいずれか一つに記載の光導波路デバイス。
【0102】
(付記19)基板上に所定の誘電率の第2中間層を積層し、
前記第2中間層上に、当該第2の中間層の誘電率よりも大きい誘電率の第1中間層を積層し、
前記第1中間層上に、ニオブ酸リチウムの薄膜LN層を積層し、
前記薄膜LN層に光導波路を形成し、
前記光導波路を含む前記薄膜LN層上にバッファ層を積層し、
前記光導波路に対する電界を印加する電極を設ける、
ことを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0103】
100 薄膜LN光変調器
101~104,122a 光導波路
111 電極
111b 底面(電極)
120 基板
121 中間層
121a 第1中間層
121b 第2中間層
121ab,121bb,122b,123b 段差部
122 薄膜LN層
123 バッファ層
123a 凹部