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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】グリル用バーナ及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/04 20060101AFI20240725BHJP
   F23D 14/10 20060101ALI20240725BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20240725BHJP
【FI】
F23D14/04 Z
F23D14/10 Z
F24C3/02 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020137328
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033441
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直行
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-038228(JP,A)
【文献】特開2017-189281(JP,A)
【文献】特開平08-327029(JP,A)
【文献】実開昭57-150323(JP,U)
【文献】特開2003-004209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J37/06
F23D14/02-14/10
F24C3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼ガスと空気との混合気が流れるガス通路を有し、グリル庫の前後方向に長手の扁平なバーナ本体を有するグリル用バーナであって、
バーナ本体は、グリル庫の内方側に位置する側壁である内方側壁部と、グリル庫の外方側に位置する側壁であって、内方側壁部と所定箇所で空隙を介して対向する外方側壁部とを有し、内方側壁部及び外方側壁部によって、混合気が供給される混合管部と、混合管部よりも上方または下方の一方に位置し、前後方向に長手で内方側に突出する凸条部を有する炎孔部と、混合管部から炎孔部に混合気を導く整流部とが形成されており、
内方側壁部は、整流部を構成し、上下方向で炎孔部に向かって延びる内方側第1対向面部と、炎孔部の凸条部を構成し、内方側第1対向面部から内方側に傾斜する第1傾斜面部及び第1傾斜面部から外方側に傾斜する第2傾斜面部とを有し、
炎孔部は、第1傾斜面部に上下方向に長いスリット状に開設された複数の第1炎孔と、第2傾斜面部に上下方向に長いスリット状に開設された複数の第2炎孔とを有し、
外方側壁部は、内方側第1対向面部と対向する外方側第1対向面部と、凸条部と対向し、外方側第1対向面部よりも内方側に位置する外方側第2対向面部と、前後方向に延び、外方側第1対向面部と外方側第2対向面部とを連結する段差部とを有し、
外方側第2対向面部と段差部との連結箇所は、対向する第1傾斜面部に開設された各第1炎孔の上流側開口端部よりもガス通路の下流側に位置するように設けられているグリル用バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のグリル用バーナにおいて、
整流部の前後方向に延びる閉塞側端部は、混合管部から離れるに従って炎孔部に近づくように傾斜しているグリル用バーナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のグリル用バーナにおいて、
第1傾斜面部と第2傾斜面部とは、繋ぎ部を介して連結されており、
第1炎孔は、第1炎孔の下流側開口端部が第2傾斜面部に位置するように、第1傾斜面部から繋ぎ部を越えて第2傾斜面部に亘って開設され、
第2炎孔は、第2炎孔の上流側開口端部が第1傾斜面部に位置するように、第2傾斜面部から繋ぎ部を越えて第1傾斜面部に亘って開設されており、
第1炎孔の上流側開口端部は第2炎孔の上流側開口端部よりもガス通路の上流側に位置するように設けられており、第1炎孔の下流側開口端部は第2炎孔の下流側開口端部よりもガス通路の上流側に位置するように設けられているグリル用バーナ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のグリル用バーナにおいて、
第1傾斜面部と第2傾斜面部とは、繋ぎ部を介して連結されており、
繋ぎ部は、前後方向に延びる略平面を形成するように第1傾斜面部及び第2傾斜面部の傾斜角度とは異なる傾斜角度を有し、
第1炎孔は、第1炎孔の下流側開口端部が繋ぎ部に位置するように、第1傾斜面部から繋ぎ部に亘って開設されており、
第2炎孔は、第2炎孔の上流側開口端部が繋ぎ部の第1炎孔の下流側開口端部よりも第2傾斜面部側に位置するように、第2傾斜面部から繋ぎ部に亘って開設されているグリル用バーナ。
【請求項5】
請求項3または4に記載のグリル用バーナにおいて、
第1炎孔及び第2炎孔はそれぞれ、少なくとも繋ぎ部における前後方向の開口幅が他の部分におけるそれよりも狭くなるように形成されているグリル用バーナ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のグリル用バーナが配設されたグリル庫を備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫内を加熱するグリル用バーナ及びグリル用バーナが配設されたグリル庫を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル庫の左右側壁の内側下方に前後方向に延びる左右一対の下火バーナが設けられ、これらの下火バーナの炎孔からグリル庫の左右中央部に向かって噴出される燃焼排気によって、焼網上に載置された肉や魚などの被調理物を加熱調理する加熱調理器が知られている。上記加熱調理器では、グリル庫の左右側壁の内面に二次空気整流板を設け、グリル庫の外部から各下火バーナの炎孔周辺に二次空気を導き、二次空気流により炎孔から噴出する燃焼排気をグリル庫の左右中央部における焼網の下方の空間まで飛ばすようにしている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、調理メニューの多様化やグリル庫内の清掃性向上のために、焼網に代えて、グリルプレートを利用する加熱調理器も提案されている(例えば、特許文献2)。この種の加熱調理器では、グリル庫内の下方に配設された下火バーナを覆うようにグリルプレートが収容されている。そのため、グリルプレート上に載置された被調理物の下面は、主として下火バーナで加熱されるグリルプレートの伝熱により加熱される。
【0004】
しかしながら、上記のようなグリルプレートを用いると、グリル庫内の空間がグリルプレートによって上下に分離されるため、下火バーナから噴出される燃焼排気がグリルプレートの下方の空間に滞留し、グリルプレートよりも上方の空間まで燃焼排気が回り難くなる。その結果、グリル庫内の被調理物の上下両面がバランスよく加熱され難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-57842号公報
【文献】特開2015-164494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、グリル庫内の被調理物の上下両面をバランスよく加熱調理可能なグリル用バーナ及び加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
内部に燃焼ガスと空気との混合気が流れるガス通路を有し、グリル庫の前後方向に長手の扁平なバーナ本体を有するグリル用バーナであって、
バーナ本体は、グリル庫の内方側に位置する側壁である内方側壁部と、グリル庫の外方側に位置する側壁であって、内方側壁部と所定箇所で空隙を介して対向する外方側壁部とを有し、内方側壁部及び外方側壁部によって、混合気が供給される混合管部と、混合管部よりも上方または下方の一方に位置し、前後方向に長手で内方側に突出する凸条部を有する炎孔部と、混合管部から炎孔部に混合気を導く整流部とが形成されており、
内方側壁部は、整流部を構成し、上下方向で炎孔部に向かって延びる内方側第1対向面部と、炎孔部の凸条部を構成し、内方側第1対向面部から内方側に傾斜する第1傾斜面部及び第1傾斜面部から外方側に傾斜する第2傾斜面部とを有し、
炎孔部は、第1傾斜面部に上下方向に長いスリット状に開設された複数の第1炎孔と、第2傾斜面部に上下方向に長いスリット状に開設された複数の第2炎孔とを有し、
外方側壁部は、内方側第1対向面部と対向する外方側第1対向面部と、凸条部と対向し、外方側第1対向面部よりも内方側に位置する外方側第2対向面部と、前後方向に延び、外方側第1対向面部と外方側第2対向面部とを連結する段差部とを有し、
外方側第2対向面部と段差部との連結箇所は、対向する第1傾斜面部に開設された各第1炎孔の上流側開口端部よりもガス通路の下流側に位置するように設けられているグリル用バーナが提供される。
【0008】
上記グリル用バーナによれば、炎孔部は前後方向に長手で内方側に突出する凸条部を有し、凸条部を構成する第1傾斜面部及び第2傾斜面部はそれぞれ、複数の第1炎孔及び複数の第2炎孔を有するから、第1炎孔及び第2炎孔から上下に分流する燃焼排気が噴出される。一方、混合管部の上方または下方の一方に炎孔部を形成し、整流部を介して炎孔部からグリル庫の内方側に向かって燃焼排気を噴出させる場合、整流部から炎孔部に向かって上下方向に流れる混合気の流路方向を内方側に偏向させる必要がある。そのため、整流部から炎孔部に供給される混合気は、ガス通路の下流側の第2炎孔に向かっては流れやすいが、ガス通路の上流側の第1炎孔に向かっては流れ難い。その結果、第1炎孔と第2炎孔への混合気の分配が不均一となり、上下方向における炎孔部の燃焼分布が不均一となって、炎孔部から噴出される燃焼排気が均一に上下に分流され難い。
【0009】
しかしながら、上記グリル用バーナによれば、バーナ本体は、内方側壁部と外方側壁部とを有し、凸条部と対向する外方側壁部の外方側第2対向面部は、上流側に位置する外方側第1対向面部よりも内方側にずれて位置しており、外方側第1対向面部と外方側第2対向面部との間には外方側第1対向面部の下流端部から内方側の外方側第2対向面部の上流端部に向かって延びる段差部が形成されるから、上流側の混合管部から整流部を介して炎孔部に混合気が流れるとき、混合気は段差部に衝突して、内方側に向かって流れる。そして、上記グリル用バーナによれば、外方側第2対向面部と段差部との連結箇所は、対向する第1傾斜面部に開設された各第1炎孔の上流側開口端部よりも下流側に位置するように設けられているから、段差部に衝突して流路方向が内方側に偏向された混合気は第1炎孔と第2炎孔とに幅広く分散されて供給される。これにより、第1炎孔と第2炎孔への不均一な混合気の分配が改善され、上下方向において炎孔部に均一な燃焼分布が形成されて、炎孔部からグリル庫の内方側に向かって燃焼排気を上下に均一に分流させることができ、グリル庫内の被調理物の上下両面をバランスよく加熱調理可能になる。
【0010】
好ましくは、上記グリル用バーナにおいて、
整流部の前後方向に延びる閉塞側端部は、混合管部から離れるに従って炎孔部に近づくように傾斜する。
【0011】
混合管部の上方または下方の一方に炎孔部が設けられており、混合管部から整流部を介して炎孔部に混合気が供給される場合、混合管部から整流部に供給される混合気の流路方向を上下方向に偏向させて炎孔部に供給する必要がある。そのため、整流部から炎孔部への混合気は、前後方向において、混合管部側で少なく、混合管部と前後方向に離れた側で多くなる。その結果、前後方向における炎孔部への混合気の分配が不均一となり、前後方向における炎孔部の燃焼分布が不均一となりやすい。しかしながら、上記グリル用バーナによれば、整流部の前後方向に延びる閉塞側端部が混合管部から離れるに従って炎孔部に近づくように傾斜しているから、整流部におけるガス通路の通路面積は混合管部から離れるに従って小さくなる。これにより、整流部から炎孔部へ前後方向で均一に混合気を供給することができ、炎孔部の前後においてグリル庫の内方側に向かって燃焼排気を均一に噴出させることができる。
【0012】
好ましくは、上記グリル用バーナにおいて、
第1傾斜面部と第2傾斜面部とは、繋ぎ部を介して連結されており、
第1炎孔は、第1炎孔の下流側開口端部が第2傾斜面部に位置するように、第1傾斜面部から繋ぎ部を越えて第2傾斜面部に亘って開設され、
第2炎孔は、第2炎孔の上流側開口端部が第1傾斜面部に位置するように、第2傾斜面部から繋ぎ部を越えて第1傾斜面部に亘って開設されており、
第1炎孔の上流側開口端部は第2炎孔の上流側開口端部よりもガス通路の上流側に位置するように設けられ、第1炎孔の下流側開口端部は第2炎孔の下流側開口端部よりもガス通路の上流側に位置するように設けられる。
【0013】
第1炎孔及び第2炎孔がそれぞれ、第1傾斜面部及び第2傾斜面部のみに形成されていると、点火初期において炎孔部から火炎が浮き上がり、不安定燃焼となって保炎性が低下する場合がある。しかしながら、上記グリル用バーナによれば、第1炎孔及び第2炎孔はそれぞれ、繋ぎ部を越えて第2傾斜面部及び第1傾斜面部に亘って形成されているから、繋ぎ部から廻り込んで形成される火炎によって第1炎孔及び第2炎孔の根元部分が温められ、該当部の混合気の燃焼速度が増大し、着炎性を向上させることができる。そして、グリル用バーナが温められて、排気通路の温度上昇によりドラフト現象が生じると炎孔部に二次空気が供給されるため、良好な着炎状態が維持され、保炎性を向上させることができる。
【0014】
好ましくは、上記グリル用バーナにおいて、
第1傾斜面部と第2傾斜面部とは、繋ぎ部を介して連結されており、
繋ぎ部は、前後方向に延びる略平面を形成するように第1傾斜面部及び第2傾斜面部の傾斜角度とは異なる傾斜角度を有し、
第1炎孔は、第1炎孔の下流側開口端部が繋ぎ部に位置するように、第1傾斜面部から繋ぎ部に亘って開設されており、
第2炎孔は、第2炎孔の上流側開口端部が繋ぎ部の第1炎孔の下流側開口端部よりも第2傾斜面部側に位置するように、第2傾斜面部から繋ぎ部に亘って開設される。
【0015】
上記グリル用バーナによれば、第1炎孔及び第2炎孔はそれぞれ、第1傾斜面部及び第2傾斜面部から繋ぎ部に亘って形成されているから、繋ぎ部から廻り込んで形成される火炎によって第1炎孔及び第2炎孔の根元部分が温められ、該当部の混合気の燃焼速度が増大し、着炎性を向上させることができる。そして、グリル用バーナが温められて、排気通路の温度上昇によりドラフト現象が生じると炎孔部に二次空気が供給されるため、良好な着炎状態が維持され、保炎性を向上させることができる。一方、第1傾斜面部と第2傾斜面部とが繋ぎ部で連結され、略平面の繋ぎ部に炎孔が形成されている場合、炎孔から略直線的に燃焼排気が噴出される。そのため、グリル庫内にグリルプレートが配設されている場合、繋ぎ部の炎孔から噴出する燃焼排気はグリルプレートの側壁を主として加熱し、グリルプレートの上下面に燃焼排気が分流され難い。しかしながら、上記グリル用バーナによれば、第1炎孔の下流側開口端部及び第2炎孔の上流側開口端部はそれぞれ、略平面の繋ぎ部に位置しているが、第1炎孔の下流側開口端部と第2炎孔の上流側開口端部とは上下方向で離間しているから、繋ぎ部からグリル庫の内方側に向かって略直線的に噴出される燃焼排気を低減することができる。これにより、第1炎孔及び第2炎孔から噴出される燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。
【0016】
好ましくは、上記グリル用バーナにおいて、
第1炎孔及び第2炎孔はそれぞれ、少なくとも繋ぎ部における前後方向の開口幅が他の部分におけるそれよりも狭くなるように形成される。
【0017】
上記グリルバーナによれば、第1炎孔及び第2炎孔の少なくとも繋ぎ部における前後方向の開口幅はそれぞれ、各炎孔の他の部分よりも狭くなっているから、繋ぎ部からグリル庫の内方側に向かって噴出する燃焼排気は、他の部分からグリル庫の内方側に向かって噴出する燃焼排気よりも少なくなる。これにより、高い保炎性を確保しながら、さらに第1炎孔及び第2炎孔から噴出される燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。
【0018】
本発明の他の局面によれば、
上記グリル用バーナが配設されたグリル庫を備える加熱調理器が提供される。
【0019】
上記グリル用バーナによれば、炎孔部からグリル庫の内方側に向かって噴出される燃焼排気を上下に均一に分流させることができるから、グリル庫内を上下均一に加熱することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、グリル庫内の被調理物の上下両面をバランスよく加熱調理可能なグリル用バーナ及び加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の一例を示すグリル庫周辺の概略縦断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の一例を示すグリル庫周辺の概略横断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器に用いられる下火バーナの一例を示す内方側の概略平面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器に用いられる下火バーナの一例を示す外方側の概略平面図である。
図6図6は、図4のA-A線断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器に用いられる下火バーナの一例を示す炎孔部周辺の要部概略斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器に用いられる下火バーナの他の一例を示す炎孔部周辺の要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、加熱調理器の一例であるビルトイン式のガスコンロに組み込まれたグリルの下火バーナに適用した本実施の形態に係るグリル用バーナについて具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係るガスコンロを示す概略斜視図である。図1に示すように、加熱調理器は、天板9の上面に設けられた複数のコンロバーナ1と、グリルプレート80を用いた調理を行うためのグリル2とを備える。
【0023】
図1及び図2に示すように、グリル2は、コンロ本体10の内部に搭載され、前方に開口する矩形箱状のグリル庫20と、グリル庫20の前面開口部100を前方から被閉するグリル扉5を備える。グリル扉5の後面下方には、グリル庫20内へ向かって連結板210が延設されており、連結板210にグリルプレート80を下方から支持する支持枠220が連結されている。これにより、グリル扉5を手前に引くことで、支持枠220とともにグリルプレート80がグリル庫20の前方に引き出され、グリル扉5を後方に押すことで、支持枠220とともにグリルプレート80がグリル庫20内に収容されるように構成されている。なお、本明細書では、グリル扉5が設けられている面を正面とし、グリル扉5側から見たときのグリル扉5とグリル庫20の奥側とが対向する方向を前後方向、グリル庫20の幅方向を左右方向、グリル庫20の高さ方向を上下方向という。
【0024】
グリル扉5の左側に形成された操作部には、後述する上下バーナ56,55の点・消火と火力調節機能を兼備したグリル用スイッチ41と、その下方のカンガルー式の操作ユニット40とが設けられている。操作ユニット40は、使用者が操作部の下方の前面パネル401を押し操作することにより、手前に傾斜して使用者が操作可能に構成されている。また、使用者が前面パネル401を閉じると、操作ユニット40がコンロ本体10内に格納される。
【0025】
図2及び図3に示すように、グリル庫20の上壁24には、被調理物を上方から加熱するための上火バーナ56が設けられている。上火バーナ56は、例えば、下面がセラミック製の板体で構成された表面燃焼式のセラミックバーナであり、上記板体の下面に炎孔560が開設されている。従って、混合管(図示せず)から燃料ガスと一次空気とが供給されて、上火バーナ56が点火されると、板体の下面に燃料ガスの火炎が形成され、その輻射熱や燃焼排気がグリル庫20内の下方に向けて放射される。図示しないが、上火バーナ56の炎孔560には、燃料ガスを点火させるための点火電極の電極部と、火炎を検知するための熱電対とが臨んでいる。
【0026】
グリル庫20の左右側壁21,22の下方領域には、後述する下火バーナ55の炎孔部550が外方から臨む前後方向に長い導入口201,202が開口されている。グリル庫20の左右側壁21,22の外側には、左右側壁21,22に沿って前後方向に延びる左右一対の下火バーナ55が配設されている。各下火バーナ55は、前後方向に長手の扁平略矩形状のバーナ本体500を有し、短辺が略垂直に立設する姿勢でグリル庫20の左右側壁21,22からそれぞれ左右方向外方に延びる排気溢れ防止カバー600に固定されている。なお、左右の下火バーナ55は、左右対称である以外は同一の構成を有するため、下火バーナ55及びその周辺の構成については、右の下火バーナ55を例に挙げて説明する。
【0027】
下火バーナ55のバーナ本体500は、例えば、所定形状に打ち抜かれた2枚の平板状の金属板にそれぞれ絞り加工またはプレス加工を施すとともに、一方の金属板に炎孔を形成するための打ち抜き加工を施し、所定箇所で2枚の金属板が空隙を介して対向するように重ね合わせて、周縁部を溶接またはカシメ加工して接合することにより製作される。従って、本実施の形態では、図3に示すように、下火バーナ55を右側壁22の外側に設置したとき、内方側に位置する一方の金属板が、バーナ本体500の内方側壁部501を構成し、外方側に位置する他方の金属板が、バーナ本体500の外方側壁部502を構成する。なお、バーナ本体500は、所定形状に加工した一枚の金属板をバーナ本体500の上縁または下縁となる折り曲げ線で合掌状態に折り曲げることにより製作してもよい。
【0028】
図4及び図6に示すように、内方側壁部501は、上下中央部の後端から前後中央部まで延び、略半円筒状に内方側に膨出する内方側混合管部対向面部511と、内方側混合管部対向面部511から前方に連続し、上下中央部の前端近傍まで延び、側方視略三角形状に内方側に膨出する内方側第1対向面部521と、内方側第1対向面部521の上端から斜め上内方に向かって傾斜する下傾斜面部531(第1傾斜面部)と、下傾斜面部531の上端から斜め上外方に向かって傾斜する上傾斜面部532(第2傾斜面部)と、これらの周縁から前後または上下方向に延びる内方側フランジ部541とを有する。下傾斜面部531及び上傾斜面部532にはそれぞれ、後述する斜め下向き炎孔551(第1炎孔)及び斜め上向き炎孔552(第2炎孔)が上下方向に長手のスリット状に開設されている。
【0029】
図5及び図6に示すように、外方側壁部502は、上下中央部の後端から前後中央部まで延び、略半円筒状に外方側に膨出する外方側混合管部対向面部512と、外方側混合管部対向面部512から前方に連続し、上下中央部の前端近傍まで延び、側方視略三角形状に外方側に膨出する外方側第1対向面部522と、これらの周縁から前後または上下方向に延びる外方側フランジ部542とを有する。
【0030】
従って、内方側壁部501と外方側壁部502とを対向させて接合させると、膨出する部分で内方側壁部501と外方側壁部502とが空隙を介して対向する。そして、膨出する部分以外では、内方側及び外方側フランジ部541,542が面接触し、その周縁は閉塞端となっている。これにより、内方側及び外方側混合管部対向面部511,512によって、後方に開口するガス導入口509と、ガス導入口509から前方に向かって延び、ガス導入口509から流入する燃料ガスと外部の空気との混合気が供給される混合管部510とが形成される。また、内方側第1対向面部521と外方側第1対向面部522とによって、混合管部510と連通し、前方且つ上方に向かって延びる整流部520が形成される。さらに、下傾斜面部531及び上傾斜面部532によって混合管部510よりも上方に位置するとともに、整流部520と連通する炎孔部550が形成される。このため、本実施の形態では、下傾斜面部531及び上傾斜面部532と対向する外方側壁部502における外方側フランジ部542の上方部分が外方側第2対向面部534に相当する。
【0031】
ガス導入口509には、燃料ガスを供給するノズル(図示せず)が差し込まれる。ガス導入口509の開口面積はノズルの先端開口のそれよりも十分に大きく、ノズルからの燃料ガスとともに、外部の空気が一次空気として混合管部510に供給される。従って、ガス導入口509から燃料ガスが導入されると、バーナ本体500内には、後方のガス導入口509から混合管部510に供給される混合気を、整流部520を介して上方の炎孔部550に導く略L字状のガス通路が画成される。本実施の形態では、バーナ本体500内のガス通路に形成される混合気の流路方向に従って、ガス導入口509側が上流側に、炎孔部550側が下流側に対応する。また、本実施の形態における炎孔部550では、下方側が上流側に、上方側が下流側に対応する。
【0032】
混合管部510から前方に連続する整流部520を構成する内方側第1対向面部521及び外方側第1対向面部522の下端閉塞部525(閉塞側端部)は、混合管部510の前端部における下端閉塞部から前方に離れるに従って上方に傾斜するように設けられている。また、整流部520の前方側で下端閉塞部525は上方に折り曲げられて前方側の終端である整流部520の前端閉塞部に繋がっている。また、整流部520の前端閉塞部は、炎孔部550の前端閉塞部と連続している。
【0033】
図6及び図7に示すように、炎孔部550には、内方側壁部501の下傾斜面部531及び上傾斜面部532と、これらを連結する頂面部である繋ぎ部535とによって前方視断面略横V字状の内方側に突出する凸条部530が形成されている。斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552はそれぞれ、所定数(ここでは、4孔)ごとに前後方向に所定間隔で下傾斜面部531及び上傾斜面部532に開口しており、斜め下向き炎孔551群と斜め上向き炎孔552群との間には保炎孔553が形成されている。なお、前後方向で隣接する斜め下向き炎孔551群と斜め上向き炎孔552群との間隔が近ければ、保炎孔553は必ずしも設ける必要はない。炎孔部550には、高輻射耐熱塗料がコーティングされる。
【0034】
斜め下向き炎孔551は、下傾斜面部531の略上下中央部に開口下端部551a(上流側開口端部)が位置し、上傾斜面部532の下端近傍に開口上端部551b(下流側開口端部)が位置するように、下傾斜面部531から繋ぎ部535を越えて上傾斜面部532まで開設されている。一方、斜め上向き炎孔552は、上傾斜面部532の略上下中央部に開口上端部552b(下流側開口端部)が位置し、下傾斜面部531の上端近傍に開口下端部552a(上流側開口端部)が位置するように、上傾斜面部532から繋ぎ部535を越えて下傾斜面部531まで開設されている。従って、斜め下向き炎孔551と斜め上向き炎孔552とは上下方向にずれて配置されており、斜め下向き炎孔551の開口上端部551b及び開口下端部551aはそれぞれ、斜め上向き炎孔552のそれらよりも下方に位置するように設けられている。また、斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552はそれぞれ、前後方向の繋ぎ部535周辺における開口幅が、繋ぎ部535周辺以外の下傾斜面部531及び上傾斜面部532におけるそれよりも狭くなるように設けられている(例えば、1/4~3/4程度)。保炎孔553は、繋ぎ部535を跨いで上下方向で斜め下向き炎孔551と斜め上向き炎孔552との中間部に位置するように凸条部530に開設されている。
【0035】
図6に示すように、凸条部530を構成する下傾斜面部531及び上傾斜面部532と対向する外方側壁部502の外方側第2対向面部534は、下方の外方側第1対向面部522よりも内方側にずれて位置している。このため、外方に膨出する外方側第1対向面部522の上端部と外方側第2対向面部534の下端部との間には、外方側第1対向面部522の上端部から外方側第2対向面部534の下端部に向かって斜め上内方に延び、これらを連結する段差部544が形成されている。また、外方側第1対向面部522の上端部は、対向する内方側第1対向面部521よりも高く形成されており、外方側第2対向面部534の下端部と段差部544の上端部とを連結する変曲点となる連結箇所Cは、既述した斜め下向き炎孔551の開口下端部551aよりも上方の下流側に位置している。従って、斜め下向き炎孔551の開口下端部551aは、前方視断面で段差部544と対向している。
【0036】
図1図3に戻って、グリル庫20の右側壁22の外面には、下火バーナ55を上方及び右外方から覆うように前方視断面略L字状の排気溢れ防止カバー600が接続されている。図示しないが、下火バーナ55の炎孔部550には、燃料ガスを点火させるための点火電極の電極部と、炎孔部550に形成される火炎を検知するための熱電対が臨んでいる。下火バーナ55、点火電極、及び熱電対は、固定具(図示せず)により排気溢れ防止カバー600に固定されている。
【0037】
グリル庫20の後方上部には、排気通路300と連通する排気用開口11が開設されている。グリル庫20の後壁25には、排気ダクト30が連設されており、排気ダクト30が排気通路300を構成している。
【0038】
グリルプレート80は、伝熱性に優れるアルミニウム製の成形体または鋳造体からなり、上面にはフッ素樹脂などにより表面処理加工が施されている。グリルプレート80は、平面視略矩形状を有する。グリルプレート80の上面には、凹凸を有する食材載置部85が設けられている。グリルプレート80の左右両端部には、食材載置部85の左右方向外方端部から斜め上外方に向けて上り勾配の側壁83が設けられている。左右の側壁83は、グリルプレート80の前後端部で繋がっている。グリルプレート80は、グリルプレート80がグリル庫20内に収容されたとき、左右の側壁83が導入口201,202と対向するように支持枠220により下方から支持されている。
【0039】
上記したように、炎孔部550は前後方向に長手で内方側に突出する凸条部530を有し、凸条部530を構成する下傾斜面部531及び上傾斜面部532はそれぞれ、前後方向に所定間隔で開設された複数の斜め下向き炎孔551及び複数の斜め上向き炎孔552を有するから、斜め下向き炎孔551からは水平よりも稍下向きに混合気が噴出され、斜め上向き炎孔552からは水平よりも稍上向きに混合気が噴出される。従って、図示しない点火電極からの火花放電で下火バーナ55を点火させると、炎孔部550からの燃焼排気は、グリル庫20の右側壁22に開口された導入口202を介してグリル庫20の左右方向内方に向かって上下に拡散するように噴出される。一方、混合管部510の上方に炎孔部550を形成し、炎孔部550からグリル庫20の内方側に向かって燃焼排気を噴出させる場合、整流部520から炎孔部550に向かって上方に流れる混合気の流路方向を内方側に偏向させる必要がある。そのため、整流部520から炎孔部550に供給される混合気は、ガス通路の下流側の斜め上向き炎孔552に向かっては流れやすいが、ガス通路の上流側の斜め下向き炎孔551に向かっては流れ難い。その結果、斜め下向き炎孔551と斜め上向き炎孔552への混合気の分配が不均一となり、上下方向における炎孔部550の燃焼分布が不均一となるため、炎孔部550から噴出される燃焼排気が均一に上下に分流され難い。
【0040】
しかしながら、本実施の形態によれば、内方側壁部501に設けられた凸条部530と対向する外方側壁部502の外方側第2対向面部534は、下方に位置する外方側第1対向面部522よりも内方側にずれて位置しており、外方側第1対向面部522と外方側第2対向面部534との間には外方側第1対向面部522の上端部から内方側の外方側第2対向面部534の下端部に向かって延びる段差部544が形成されている。そのため、図6に示すように、下方の混合管部510から整流部520を介して上方の炎孔部550に混合気が流れるとき、混合気は段差部544に衝突して、内方側に向かって流れる。そして、本実施の形態によれば、外方側第2対向面部534と段差部544との連結箇所Cは、対向する下傾斜面部531に開設された各斜め下向き炎孔551の開口下端部551aよりも上方に位置するように設けられているから、段差部544に衝突して流路方向が内方側に偏向された混合気は斜め下向き炎孔551と斜め上向き炎孔552とに幅広く分散されて供給される。これにより、斜め下向き炎孔551と斜め上向き炎孔552への不均一な混合気の分配が改善され、上下方向において炎孔部550に均一な燃焼分布を形成することができ、炎孔部550からグリル庫20の内方側に向かって燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。従って、分流された燃焼排気をグリルプレート80の上下両面に十分に行き渡らせることができ、被調理物の上下両面をバランスよく加熱することができる。
【0041】
また、混合管部510の上方に炎孔部550が設けられており、混合管部510から整流部520を介して炎孔部550に混合気が供給される場合、混合管部550から整流部520に前後方向で略直線的に供給される混合気の流路方向を上方に偏向させて炎孔部550に供給する必要がある。そのため、整流部520から炎孔部550への混合気は、後方の混合管部510側から炎孔部550に流れ難く、混合管部550から離れた前端閉塞部側から炎孔部550に流れやすい。その結果、前後方向における炎孔部550への混合気の分配が不均一となり、前後方向における炎孔部550の燃焼分布が不均一となりやすい。しかしながら、本実施の形態によれば、整流部520の前後方向に延びる下端閉塞部525は混合管部510から離れるに従って上方の炎孔部550に近づくように傾斜しているから、整流部520におけるガス通路は混合管部510から離れるに従って小さくなっている。従って、整流部520におけるガス通路の通路面積は前方にいくほど小さくなっているから、整流部520から上方の炎孔部550に前後方向で均一に混合気を供給することができる。これにより、炎孔部550の前後においてグリル庫20の内方側に向かって燃焼排気を均一に噴出させることができる。
【0042】
また、斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552がそれぞれ、下傾斜面部531及び上傾斜面部532のみに形成されていると、点火初期において炎孔部550から火炎が浮き上がり、不安定燃焼となって保炎性が低下する場合がある。特に、本実施の形態では、バーナ本体500自体が壁となって、外方側からの二次空気が斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552に供給され難いため、保炎性が低下しやすい。しかしながら、本実施の形態によれば、斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552はそれぞれ、繋ぎ部535を越えて上傾斜面部532及び下傾斜面部531に亘って形成されているから、他方の傾斜面部には一方の傾斜面部とは角度の異なる火炎が形成され、繋ぎ部535から廻り込んで形成される火炎によって斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552の根元部分が温められ、該当部の混合気の燃焼速度が増大し、着炎性を向上させることができる。そして、下火バーナ55が温められて、排気通路300の温度上昇によりドラフト現象が生じると炎孔部550に二次空気が供給されるため、良好な着炎状態が維持され、保炎性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552の繋ぎ部535周辺における開口幅はそれぞれ、各炎孔の他の部分よりも前後方向に狭くなっているから、繋ぎ部535周辺からグリル庫20の内方側に向かって略直線的に噴出する混合気は、他の部分からグリル庫20の内方側に向かって噴出する混合気よりも少なくなる。これにより、高い保炎性を確保しながら、さらに斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552から噴出される燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。また、本実施の形態によれば、前後方向で隣接する斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552はそれぞれ、斜め下向き炎孔551の開口上端部551b近傍に形成される火炎と斜め上向き炎孔552の開口下端部552a近傍に形成される火炎とが前方視で重なるように形成されるから、火移り性にも優れる。なお、斜め下向き炎孔551及び斜め上向き炎孔552はそれぞれ、繋ぎ部535の一部のみを狭い開口幅としてもよい。
【0044】
図8は、本実施の形態に係る下火バーナの他の一例を示す炎孔部周辺の要部概略斜視図である。図8に示すように、この下火バーナは、炎孔部5500に形成される凸条部5530が下傾斜面部5531と上傾斜面部5532との間に、下傾斜面部5531及び上傾斜面部5532の傾斜角度と異なる傾斜角度を有する前後方向に延びる略平面の繋ぎ部5535を有すること、斜め下向き炎孔5501の開口上端部5501bが繋ぎ部5535の上下中央部よりも下方領域に位置すること、及び斜め上向き炎孔5502の開口下端部5502aが繋ぎ部5535の上下中央部よりも上方領域に位置すること以外は、上記した下火バーナと同様の構成を有する。
【0045】
下傾斜面部5531と上傾斜面部5532とが繋ぎ部5535で連結され、略平面の繋ぎ部5535に炎孔が形成されている場合、繋ぎ部5535に開口している炎孔から略直線的に燃焼排気が噴出される。そのため、グリル庫20内にグリルプレート80が配設されている場合、繋ぎ部5535の炎孔から噴出する燃焼排気はグリルプレート80の側壁83を主として加熱し、グリルプレート80の上下面に燃焼排気が分流され難い。しかしながら、上記下火バーナによれば、斜め下向き炎孔5501の開口上端部5501b及び斜め上向き炎孔5502の開口下端部5502aはそれぞれ、略平面の繋ぎ部5535に位置しているものの、斜め下向き炎孔5510の開口上端部5501bと、斜め上向き炎孔5502の開口下端部5502aとは上下方向で離間しているから、繋ぎ部5535に開口している各炎孔からグリル庫2の内方に向かって略直線的に噴出される混合気を低減することができる。これにより、炎孔部5500からグリル庫20の内方側に向かって略直線的に噴出される燃焼排気を低減して、斜め下向き炎孔5501及び斜め上向き炎孔5502から噴出される燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。また、繋ぎ部5535において斜め下向き炎孔5501の開口上端部5501bと斜め上向き炎孔5502の開口下端部5502aとは上下方向で離間しているが、この下火バーナでも、斜め下向き炎孔5501及び斜め上向き炎孔5502はそれぞれ、下傾斜面部5531及び上傾斜面部5532から繋ぎ部5535に亘って形成されているから、繋ぎ部5535には各傾斜面部とは角度の異なる火炎が形成され、繋ぎ部5535から廻り込んで形成される火炎によって斜め下向き炎孔5501及び斜め上向き炎孔5502の根元部分が温められ、該当部の混合気の燃焼速度が増大し、着炎性を向上させることができる。なお、この下火バーナでも、少なくとも繋ぎ部5535における各炎孔の前後方向の開口幅が他の部分より狭くなるように形成される。これにより、高い保炎性を確保しながら、燃焼排気を上下に均一に分流させることができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、グリル庫20内の被調理物の上下両面をバランスよく加熱調理可能なグリル用バーナ及び加熱調理器を提供することができる。
【0047】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、下火バーナはグリル庫の側壁外方に配設されている。しかしながら、下火バーナは、グリル庫の側壁に一体に配設してもよいし、グリル庫やグリルプレートの大きさに応じて、グリル庫内に配設してもよい。また、調理容器としてグリルプレート以外のものを用いてもよく、焼網を用いてもよい。
【0048】
(2)上記実施の形態では、下火バーナは、混合管部が下方に、炎孔部が上方に位置するように配設されている。しかしながら、グリル庫や下火バーナの構成に応じて、混合管部が上方に、炎孔部が下方に位置するように、上下反転させてもよい。この場合、整流部から斜め下内方に向かって傾斜する上傾斜面部が第1傾斜面部を、上傾斜面部から斜め下外方に向かって傾斜する下傾斜面部が第2傾斜面部を構成するため、外方側第2対向面部と段差部との連結箇所は、対向する第1傾斜面部に開設された各第1炎孔の上流側開口端部よりも下方(すなわち、下流側)に位置するように設けられる。なお、上記上下反転させた態様では、斜め上向き炎孔が第1炎孔を、斜め下向き炎孔が第2炎孔を構成し、各炎孔の開口上端部及び開口下端部がそれぞれ、上流側開口端部及び下流側開口端部を構成する。
【符号の説明】
【0049】
20 グリル庫
55 下火バーナ
510 混合管部
520 整流部
522 外方側第1対向面部
534 外方側第2対向面部
530 凸条部
531 下傾斜面部
532 上傾斜面部
535 繋ぎ部
544 段差部
550 炎孔部
551 斜め下向き炎孔
551a 開口下端部
552 斜め上向き炎孔
C 連結箇所




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8