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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】運転代行方法および自動追従システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/165 20200101AFI20240725BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240725BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240725BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240725BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240725BHJP
   B60D 1/00 20060101ALI20240725BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240725BHJP
【FI】
B60W30/165
B60W50/14
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G05D1/43
B60D1/00 Z
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020142222
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022037972
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-011512(JP,A)
【文献】特開2004-034773(JP,A)
【文献】特開2019-001227(JP,A)
【文献】特表2019-510670(JP,A)
【文献】特開2009-018609(JP,A)
【文献】特開平11-013507(JP,A)
【文献】特開2020-119084(JP,A)
【文献】特開2004-062844(JP,A)
【文献】特開2020-149238(JP,A)
【文献】特開2021-026378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 50/16
G08G 1/00 ~ 1/16
G05D 1/40 ~ 1/43
B60D 1/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの車両の運転を代行者が行う運転代行方法であって、
前記代行者の車両を先導車両、前記ユーザの車両を追従車両とし、
前記追従車両に、前記先導車両に追従して走行するよう制御する自動追従装置を設置する設置工程と、
前記代行者が前記先導車両を運転し、前記ユーザが指定する目的地点に向かう走行工程と、を含み、
前記走行工程では、前記追従車両は前記自動追従装置の制御により、前記先導車両に追従して走行し前記目的地点に向かう、
ことを特徴とする運転代行方法。
【請求項2】
前記走行工程において、前記ユーザは前記代行者と同一の車両に乗車する、
ことを特徴とする請求項1記載の運転代行方法。
【請求項3】
前記走行工程において、前記ユーザは前記代行者と異なる車両に乗車する、
ことを特徴とする請求項1記載の運転代行方法。
【請求項4】
前記走行工程では、前記先導車両は自車両の走行状態情報を前記自動追従装置に送信し、前記自動追従装置は、前記走行状態情報に基づいて前記追従車両の走行を制御する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の運転代行方法。
【請求項5】
ユーザの車両の運転を代行者が行う運転代行に用いる自動追従システムであって、
前記代行者の車両を先導車両、前記ユーザの車両を追従車両とし、
前記追従車両が前記先導車両に追従して走行するように前記追従車両の進路を決定する進路決定部と、
前記進路決定部で決定された前記進路に沿って前記追従車両が走行するよう制御する車両制御部と、を備え、
前記追従車両に設置される自動追従装置を備える、
ことを特徴とする自動追従システム。
【請求項6】
前記先導車両の走行状態情報を前記自動追従装置に送信する先導車両側通信部を更に備え、
前記自動追従装置は、前記先導車両側通信部から送信された前記走行状態情報に基づいて前記追従車両の走行を制御する、
ことを特徴とする請求項記載の自動追従システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの車両の運転を代行者が行う運転代行方法およびこれに用いる自動追従システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両での外出先で飲酒した場合など、ユーザが自身の車両の運転をできなくなった場合に代行者に自身の車両の運転を依頼する運転代行が知られている。
例えば下記特許文献1において、車両遠隔操作支援システムは、自動運転を実行する自動運転システムを有する車両と、オペレータを有する管制センタと、を備える。車両は、自動運転が困難な場合にオペレータを呼び出す呼び出し部を備える。管制センタは、オペレータが車両を遠隔操縦する遠隔操縦部と、車両から呼び出された時にオペレータを割り当てる割り当て制御部と、自動運転が困難な場合であって、かつ、オペレータが遠隔操縦できないことを含む予め定められた代行依頼条件を満たす場合に、運転代行者へ車両の運転を依頼する運転代行依頼部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、運転代行を依頼した際には、運転代行の依頼先(便宜的に「代行事業者」という)から2名の係員が派遣される。2名の係員は、代行事業者の所有する車両(以下「事業者車両」という)でユーザの車両が停車する箇所に到着し、係員のうち一方(運転の代行者)はユーザの車両を運転してユーザの指定する目的地点に向かい、他方は事業者車両を運転しユーザの車両を追尾して目的地点に向かう。目的地点に到着すると、2名の係員は事業者車両に乗り代行事業者の事業所等に戻る。
【0005】
このように、従来の運転代行は車両1台につき少なくとも2名の係員を派遣しなければならず、人件費がかさむ。人件費はそのまま代行料金(サービス料金)に反映されるため、ユーザによっては運転代行の利用をためらい、運転代行の利用の普及が進まない一因となっているという課題がある。
【0006】
また、代行事業者側も、少なくとも2人の係員を同時に確保できなければ代行依頼を受けることができないが、人手を確保するのが困難な場合もあり、運転代行の受任機会を逃す可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、運転代行に必要な人数を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、ユーザの車両の運転を代行者が行う運転代行方法であって、前記ユーザの車両または前記代行者の車両の一方を先導車両、他方を追従車両とし、前記追従車両に、前記先導車両に追従して走行するよう制御する自動追従装置を設置する設置工程と、前記代行者が前記先導車両を運転し、前記ユーザが指定する目的地点に向かう走行工程と、を含み、前記走行工程では、前記追従車両は前記自動追従装置の制御により、前記先導車両に追従して走行し前記目的地点に向かう、ことを特徴とする。
本発明は、前記追従車両は、前記ユーザの車両である、ことを特徴とする。
本発明は、前記追従車両は、前記代行者の車両である、ことを特徴とする。
本発明は、前記走行工程において、前記ユーザは前記代行者と同一の車両に乗車する、ことを特徴とする。
本発明は、前記走行工程において、前記ユーザは前記代行者と異なる車両に乗車する、ことを特徴とする。
本発明は、前記走行工程では、前記先導車両は自車両の走行状態情報を前記自動追従装置に送信し、前記自動追従装置は、前記走行状態情報に基づいて前記追従車両の走行を制御する、ことを特徴とする。
本発明は、ユーザの車両の運転を代行者が行う運転代行に用いる自動追従システムであって、前記ユーザの車両または前記代行者の車両の一方を先導車両、他方を追従車両とし、前記追従車両が前記先導車両に追従して走行するように前記追従車両の進路を決定する進路決定部と、前記進路決定部で決定された前記進路に沿って前記追従車両が走行するよう制御する車両制御部と、を備え、前記追従車両に設置される自動追従装置を備える、ことを特徴とする。
本発明は、前記先導車両の走行状態情報を前記自動追従装置に送信する先導車両側通信部を更に備え、前記自動追従装置は、前記先導車両側通信部から送信された前記走行状態情報に基づいて前記追従車両の走行を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動追従装置により先導車両を追従させることにより運転代行を行う。これにより、従来はユーザ車両のドライバ+代行者車両のドライバの2人1組で行っていた運転代行をドライバ1人で行うことができ、人的コストを削減することができる。このコスト減を運転代行の利用代金に反映すれば、運転代行の利用率が増加し飲酒運転を抑制する上で有利となる。また、代行者1人でも運転代行事業を行うことができるので、運転代行事業者が増えてユーザの利用のハードルを低くする上で有利となる。
本発明によれば、追従車両をユーザの車両とするので、代行者は運転に慣れた代行者の車両を運転すればよく、よりスムーズに運転代行を行うことができる。
本発明によれば、追従車両を代行者の車両とするので、例えば交通トラブルに巻きまれた場合などに代行者が対応することができ、ユーザの車両を確実に目的地点に到達させる上で有利となる。
本発明によれば、ユーザは代行者と同一の車両に乗車するので、目的地点までの経路が複雑な場合や車両の取り扱いが煩雑な場合でも、ユーザの助言を得ながら確実に目的地点に到達することができる。
本発明によれば、ユーザは代行者と異なる車両に乗車するので、一般に初対面と考えられるユーザと代行者が密室空間にいる緊張感を感じずに済み、運転代行の利便性を向上させるとともに、運転代行の利用促進を図る上で有利となる。
本発明によれば、先導車両が自車両の走行状態情報を自動追従装置に送信し、自動追従装置は送信を受けた走行状態情報に基づいて追従車両の走行を制御するので、例えば先導車両と追従車両との間に他車両が割り込んだ場合(追従対象を見失った場合)などにも、走行を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる運転代行方法を模式的に示す説明図である。
図2】実施の形態にかかる運転代行方法の手順を示すフローチャートである。
図3】自動追従装置の構成を示すブロック図である。
図4】追従車両の設定例とユーザの乗車車両の組み合わせを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる運転代行方向および自動追従システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、ユーザから運転代行を受任する者を便宜的に「運転代行事業者」というが、運転代行の受任者は必ずしも事業者でなくてよく、例えば代行者がボランティアで受任するものであってもよいし、他の何らかのサービスに付随して運転代行を行うものであってもよい。
【0012】
図1は、実施の形態にかかる運転代行方法を模式的に示す説明図である。また、図2は、実施の形態にかかる運転代行方法の手順を示すフローチャートである。
実施の形態にかかる運転代行方法は、ユーザUの求めに応じ、ユーザUの車両(ユーザ車両)の運転を代行者Aが行うものである。
【0013】
ユーザ(運転代行依頼者)Uは、運転代行事業者に運転代行の依頼を行う。なお、運転代行の依頼は、予め日時を決めて予約しておいてもよい。また、図1では便宜的にユーザUを1名のみ示しているが、ユーザ車両の定員を上限とする複数名であってもよい。
運転代行事業者は、ユーザ車両C1が停車する代行開始地点S付近に1名の代行者Aを向かわせる。この時、代行者Aは自身の車両(代行者車両)C2を運転して代行開始地点Sに向かう。
【0014】
図1Aに示すように、代行開始地点Sに到着すると、代行者Aは、ユーザ車両C1に自動追従装置10を取り付ける。
自動追従装置10は、自装置が取り付けられた車両(「追従車両」という)が先導車両を追従して走行するよう制御するための装置である。
【0015】
すなわち、ユーザUの車両(ユーザ車両C1)または代行者の車両(代行者車両C2)の一方を先導車両、他方を追従車両とし、追従車両に、先導車両に追従して走行するよう制御する自動追従装置10を設置する設置工程を行う(図2のステップS200)。
本実施の形態の例では、代行者車両C2が上記先導車両、ユーザ車両C1が上記追従車両となる。後述するように、自動追従装置10を取り付ける車両は、ユーザ車両C1のみならず代行者車両C2であってもよい。
【0016】
図3は、自動追従装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、自動追従装置10と、後述する先導車両側通信部30と、追従車両と、先導車両とによって自動追尾システムを構成するものとするが、先導車両側通信部30は必ずしも設けられていなくてもよく、その場合は、自動追従装置10と、追従車両と、先導車両とによって自動追尾システムを構成する。
【0017】
自動追従装置10は、カメラ102、レーダ104、追従装置側通信部106、GPSユニット108、地図データ記憶部110、進路決定部112および車両制御部114を備える。
自動追従装置10は、図3に示す構成の他、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成され、進路決定部112および車両制御部114は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより実現する。
【0018】
カメラ102は、追従車両周辺の画像を撮影する。カメラ102は、例えば追従車両の周辺を360度に渡って撮影可能な数および位置に設置されているのが好ましい。カメラ102の画像は、追従車両周辺に位置する他車両や歩行者、障害物の位置の検知等に利用される。
【0019】
レーダ104は、追従車両とその周辺に位置する物体との距離を計測する。レーダ104は、例えば追従車両の周辺を360度に渡って計測可能な数および位置に設置されているのが好ましい。
【0020】
追従装置側通信部106は、無線通信により他の通信装置との間で通信を行う。本実施の形態では、追従装置側通信部106は、主に先導車両に設けられた先導車両側通信部30との間で通信を行う。
【0021】
先導車両側通信部30は、例えば先導車両の現在位置や走行速度、目的地点などを追従装置側通信部106に対して送信する。
これは、後述する走行時(走行工程)において、先導車両(先導車両側通信部30)が自車両の走行状態情報を自動追従装置10(追従装置側通信部106)に送信し、自動追従装置10は、送信された走行状態情報に基づいて追従車両の走行を制御するためである。
先導車両側通信部30は、例えば先導車両本体に内蔵された通信ユニットであってもよいし、自動追従装置10のように必要に応じて取り外しができる装置であってもよい。
【0022】
GPSユニット108は、地球の軌道上を飛行するGPS衛星からの信号に基づいて、追従車両の現在位置を算出する。
地図データ記憶部110は、少なくとも追従車両が走行する可能性がある範囲(例えば日本国内など)の地図データを記憶する。地図データには、道路のつながりを示す道路ネットワークデータの他、各道路における車線数や信号の有無、道路周辺の施設の情報等を含んでいる。
【0023】
進路決定部112は、追従車両の進行方向および走行速度(以下「進路」という)を決定する。具体的には、進路決定部112は、追従車両が先導車両に追従して走行するように追従車両の進路を決定する。
進路決定部112は、例えば追従車両が先導車両のすぐ後方を走行できる場合には、例えばカメラ102の撮影画像を用いて、車両のナンバープレート、車体色、車体形状などに基づいて先導車両を抽出し、先導車両から一定の距離を保って同経路を走行するように進路を決定する。
また、進路決定部112は、例えば追従車両と先導車両との間に他車両が存在する場合や、信号待ち等により追従車両と先導車両とが離れてしまった場合などは、先導車両側通信部30から送信された情報(先導車両の現在位置や走行速度)に基づいて進路を決定する。追従車両が先導車両のすぐ後方を走行できる場合でも、先導車両側通信部30から送信された情報に基づいて進路を決定してもよい。
いずれの場合にも、進路決定部112は、カメラ102の撮影画像やレーダ104の測定結果に基づいて、先導車両に追従しつつ、他車両や歩行者、障害物等との接触を避けるように進路を決定する。
また、例えば自動追従装置10にユーザUが指定する目的地点を設定し、先導車両とは独立して移動するようにしてもよいが、追従車両がトラブルなく目的地点まで到達できるようにするために、先導車両と追従車両はなるべく近接した状態を保ちながら走行するのが好ましい。
【0024】
車両制御部114は、進路決定部112で決定された進路に沿って追従車両が走行するよう制御する。車両制御部114は、例えば追従車両の車両全体の制御を行う車両ECU20に対して制御信号を出力することにより、追従車両の走行状態を制御する。車両ECU20は、車両制御部114からの制御信号に基づいて、追従車両の駆動系統(エンジンやモータなど)や制動系統(ブレーキやモータの回生など)、操舵系統(ステアリングなど)を制御する。
【0025】
図1および図2の説明に戻り、つぎに、図1Bに示すように、代行者Aが先導車両である代行者車両C2を運転し、目的地点G(図1C参照)に向かう。追従車両であるユーザ車両C1は、自動追従装置10の制御により先導車両を追従する形で目的地点Gに向かう。
【0026】
すなわち、代行者Aが先導車両を運転し、ユーザUが指定する目的地点に向かう走行工程を実施する(図2のステップ202)。走行工程では、追従車両は自動追従装置10の制御により、先導車両に追従して走行し目的地点に向かう(図2のステップ204)。
本実施の形態では、代行者Aは代行者車両C2を運転し、ユーザ車両C1は代行者車両C2を自動追従する。
【0027】
後述するように、この時、ユーザUと代行者Aとは同じ車両(代行者Aが運転する車両)に乗車してもよいし、異なる車両に乗車してもよい。すなわち、走行工程において、ユーザUは代行者Aと同一の車両に乗車してもよいし、代行者Aと異なる車両に乗車してもよい。
【0028】
先導車両および追従車両が目的地点Gに到達するまでは(図2のステップS206:No)、ステップS302に戻り、走行工程を継続する。
先導車両および追従車両が目的地点Gに到達すると(図2のステップS206:Yes)、代行者Aは自動追従装置10を追従車両から回収し(ステップS208)、サービスを終了する。
代行者Aは、代行者車両C2を運転して他の地点(代行事業者の事業所、自宅、他の代行依頼の代行開始地点など)に移動する。
【0029】
図4は、追従車両の設定例とユーザの乗車車両の組み合わせを示す表である。
上述のように、自動追従装置10を取り付ける追従車両は、ユーザ車両C1であってもよいし、代行者車両C2であってもよい。また、走行工程中、ユーザUは代行者Aと同一の車両に乗車してもよいし、代行者Aと異なる車両に乗車してもよい。
その組み合わせを図示したものが図4である。なお、代行者Aは先導車両に乗車して先導車両の運転を行うものとする。
【0030】
追従車両をユーザ車両C1とし、かつユーザUが代行者Aと異なる車両に乗車するパターンをパターン1とする。
追従車両をユーザ車両C1とし、かつユーザUが代行者Aと同一の車両に乗車するパターンをパターン2とする。
追従車両を代行者車両C2とし、かつユーザUが代行者Aと異なる車両に乗車するパターンをパターン3とする。
追従車両を代行者車両C2とし、かつユーザUが代行者Aと同一の車両に乗車するパターンをパターン4とする。
【0031】
パターン1では、代行者Aは先導車両である代行者車両C2に乗車してこれを運転し、ユーザUは追従車両であるユーザ車両C1に乗車する。
パターン1では、代行者Aは代行者車両C2を運転するので、車両の操作に慣れており、よりスムーズに運転代行を行うことができる。
また、パターン1では、ユーザUと代行者Aが異なる車両に乗車するので、初対面のユーザUと代行者Aとが密室(車両)にいる緊張感を相互に感じずに済む。
例えばユーザUが感染症に感染しており、病院で自宅療養の診断を受けたが、発熱等により自身での運転が難しいと感じる場合がある。このような場合に、代行者Aは代行者車両C2に乗車し、ユーザUはユーザ車両C1に乗車することで、代行者Aへの感染のリスクを低減することができる。
【0032】
パターン2では、代行者Aは先導車両である代行者車両C2に乗車してこれを運転し、ユーザUも代行者車両C2に乗車する。
パターン2では、代行者Aは代行者車両C2を運転するので、車両の操作に慣れており、よりスムーズに運転代行を行うことができる。
また、パターン2では、代行者AとユーザUが同一の車両に乗車するので、例えば目的地点Gに到達するまでに、カーナビゲーションの地図データには載っていない道や一方通行が入り組んだ住宅街を通過するような場合でも、ユーザUの助言を受けながら迅速に目的地点Gに到達することができる。
また、パターン2では、代行者AとユーザUが同一の車両に乗車するので、例えばユーザUに体調不良がある場合などユーザUを一人にするのが不安な状況に適している。
【0033】
パターン3では、代行者Aは先導車両であるユーザ車両C1に乗車してこれを運転し、ユーザUは追従車両である代行者車両C2に乗車する。
パターン3では、代行者Aはユーザ車両C1に乗車するので、経路上で交通トラブル等に巻き込まれた場合にも代行者Aが直接対応することができ、ユーザ車両C1を迅速かつ確実に目的地点Gに到達させる上で有利となる。
また、パターン3では、ユーザUと代行者Aが異なる車両に乗車するので、初対面のユーザUと代行者Aとが密室(車両)にいる緊張感を相互に感じずに済む。
【0034】
パターン4では、代行者Aは先導車両であるユーザ車両C1に乗車してこれを運転し、ユーザUもユーザ車両C1に乗車する。
パターン4では、代行者Aはユーザ車両C1に乗車するので、経路上で交通トラブル等に巻き込まれた場合にも代行者Aが直接対応することができ、ユーザ車両C1を迅速かつ確実に目的地点Gに到達させる上で有利となる。
また、パターン4では、ユーザUの監視の下、代行者Aがユーザ車両C1を運転するので、例えばユーザ車両C1が特殊な車両である場合に、その取り扱いの助言を受けることができ、よりスムーズに運転代行を行うことができる。
また、パターン4では、代行者AとユーザUが同一の車両に乗車するので、例えば目的地点Gに到達するまでに、カーナビゲーションの地図データには載っていない道や一方通行が入り組んだ住宅街を通過するような場合でも、ユーザUの助言を受けながら迅速に目的地点Gに到達することができる。
また、パターン4では、代行者AとユーザUが同一の車両に乗車するので、例えばユーザUに体調不良がある場合などユーザUを一人にするのが不安な状況に適している。
【0035】
なお、本実施の形態では、ユーザ車両C1とともにユーザUも目的地点Gに向かうものとしたが、これに限らず、代行者Aのみが目的地点Gに向かってもよい。
例えばユーザUがユーザ車両で向かった病院で緊急入院の必要があると診断されたような場合、ユーザUは代行開始地点Sである病院に留まり、ユーザ車両C1のみをユーザUの自宅などの目的地点Gに移動させる必要がある。
また、例えば車検やタイヤ交換等、ユーザ車両C1がディーラー等で作業を受ける場合、予め電話等で作業内容の確認が取れていれば、ユーザUは目的地点G(ディーラー等)に移動する必要はなく、ユーザ車両C1のみが目的地点Gに到達できればよい。
このような場合にも、本発明は有効である。
【0036】
以上説明したように、実施の形態にかかる運転代行方法は、自動追従装置10により先導車両を追従させることにより運転代行を行う。これにより、従来はユーザ車両C1のドライバ+代行者車両C2のドライバの2人1組で行っていた運転代行をドライバ1人で行うことができ、人的コストを削減することができる。このコスト減を運転代行の利用代金に反映すれば、運転代行の利用率が増加し飲酒運転を抑制する上で有利となる。また、代行者1人でも運転代行事業を行うことができるので、運転代行事業者が増えてユーザの利用のハードルを低くする上で有利となる。
また、本実施の形態において、追従車両をユーザ車両C1とすれが、代行者Aは運転に慣れた代行者車両C2を運転すればよく、よりスムーズに運転代行を行うことができる。
また、本実施の形態において、追従車両を代行者車両C2とすれば、例えば交通トラブルに巻きまれた場合などに代行者Aが直接対応することができ、ユーザ車両C1を迅速かつ確実に目的地点に到達させる上で有利となる。
また、本実施の形態において、ユーザUが代行者Aと同一の車両に乗車すれば、目的地点Gまでの経路が複雑な場合や車両の取り扱いが煩雑な場合でも、ユーザUの助言を得ながら確実に目的地点に到達することができる。
また、本実施の形態において、ユーザUが代行者Aと異なる車両に乗車すれば、一般に初対面と考えられるユーザUと代行者Aが密室空間にいる緊張感を感じずに済み、運転代行の利便性を向上させるとともに、運転代行の利用促進を図る上で有利となる。
また、本実施の形態は、先導車両が自車両の走行状態情報を自動追従装置10に送信し、自動追従装置10は送信を受けた走行状態情報に基づいて追従車両の走行を制御するので、例えば先導車両と追従車両との間に他車両が割り込んだ場合(追従対象を見失った場合)などにも、走行を継続することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 自動追従装置
102 カメラ
104 レーダ
106 追従装置側通信部
108 GPSユニット
110 地図データ記憶部
112 進路決定部
114 車両制御部
30 先導車両側通信部
C1 ユーザ車両
C2 代行者車両
G 目的地点
S 代行開始地点
U ユーザ
図1
図2
図3
図4