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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】通信装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240725BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240725BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04Q9/00 311J
H04Q3/58 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020150073
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044448
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾上 愼介
(72)【発明者】
【氏名】伊達 哲
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】會田 信一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紳也
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-000713(JP,A)
【文献】特開2010-244175(JP,A)
【文献】特開2002-77403(JP,A)
【文献】特開2006-237751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
H04Q 9/00
H04Q 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話制御装置によって通話が制御される通話端末と所定の情報を取得するセンサとが配置された拠点において、前記通話端末と前記センサとに接続される通信装置であって、
周期的に前記センサから情報を取得するとともに当該情報を記録するセンサ情報解析部と、
前記通話端末と前記通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る通話端末に関連する最新のセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録する通信監視部と、を備え、
前記センサは、
前記通話端末が接続する無線アクセスポイント、前記通話端末の利用者が使用するコンピュータ、および、前記通話端末の設置場所付近に設置された測距センサの少なくとも1つに係り、
前記センサが取得する前記所定の情報は、
前記センサが前記無線アクセスポイントである場合は、当該無線アクセスポイントの識別情報、および当該無線アクセスポイントの位置情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記コンピュータである場合は、当該コンピュータ上で開かれたファイルの識別情報、および当該コンピュータ上で開かれたファイルのコンテンツの情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記測距センサである場合は、当該測距センサが取得した距離情報、および当該測距センサが取得した距離情報から取得された人物の骨格情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データは、
前記通話端末からの発信、前記通話端末への着信、前記通話端末での通話終了、前記通話端末の設定変更、および前記通話端末の状態変化のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データに基づく情報は、
前記通話端末の識別情報、前記通話端末の通話状態、通話に係る付加情報の少なくとも1つに係る
とを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記センサ情報解析部は、前記センサが取得した情報を加工して記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通話制御装置は、前記拠点の外部に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記拠点の外部に設置されたサーバに、記録されたセンサ情報および通話制御データに基づく情報を送信するセンサ情報送信部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通話端末と、前記拠点の外部にあり通話機能を有する通話端末である外線通話端末との通話については、前記通話制御装置を介して当該外線通話端末と通話制御データを送受信して制御し、前記通話端末間の通話については、前記通話制御装置を介して通話制御データを送受信することなく制御する通話制御部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通話制御装置との通信状態を監視する監視部をさらに備え、
前記通話制御部は、前記通話端末間の通話の状態を記録し、
前記監視部は、前記通話制御装置との通信状態が、通信不可から通信可に変化したときに、前記通信状態が通信不可である期間における前記通話端末間の通話の状態を前記通話制御装置に送信する
ことを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項7】
通話制御装置によって通話が制御される通話端末と所定の情報を取得するセンサとが配置された拠点において、前記通話端末と周期的に前記センサが取得したセンサ情報が記録されるセンサ情報データベースとに接続される通信装置であって、
前記通話端末と前記通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る通話端末に関連する最新の前記センサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を前記センサ情報データベースに記録する通信監視部を備え、
前記センサは、
前記通話端末が接続する無線アクセスポイント、前記通話端末の利用者が使用するコンピュータ、および、前記通話端末の設置場所付近に設置された測距センサの少なくとも1つに係り、
前記センサが取得する前記所定の情報は、
前記センサが前記無線アクセスポイントである場合は、当該無線アクセスポイントの識別情報、および当該無線アクセスポイントの位置情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記コンピュータである場合は、当該コンピュータ上で開かれたファイルの識別情報、および当該コンピュータ上で開かれたファイルのコンテンツの情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記測距センサである場合は、当該測距センサが取得した距離情報、および当該測距センサが取得した距離情報から取得された人物の骨格情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データは、
前記通話端末からの発信、前記通話端末への着信、前記通話端末での通話終了、前記通話端末の設定変更、および前記通話端末の状態変化のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データに基づく情報は、
前記通話端末の識別情報、前記通話端末の通話状態、通話に係る付加情報の少なくとも1つに係る
とを特徴とする通信装置。
【請求項8】
通話制御装置によって通話が制御される通話端末と所定の情報を取得するセンサとが配置された拠点において、前記通話端末と前記センサとに接続される通信装置の通信制御方法であって、
周期的に前記センサから情報を取得するとともに当該情報を記録するステップと、
前記通話端末と前記通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る通話端末に関連する最新のセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録するステップと、を実行し、
前記センサは、
前記通話端末が接続する無線アクセスポイント、前記通話端末の利用者が使用するコンピュータ、および、前記通話端末の設置場所付近に設置された測距センサの少なくとも1つに係り、
前記センサが取得する前記所定の情報は、
前記センサが前記無線アクセスポイントである場合は、当該無線アクセスポイントの識別情報、および当該無線アクセスポイントの位置情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記コンピュータである場合は、当該コンピュータ上で開かれたファイルの識別情報、および当該コンピュータ上で開かれたファイルのコンテンツの情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記センサが前記測距センサである場合は、当該測距センサが取得した距離情報、および当該測距センサが取得した距離情報から取得された人物の骨格情報のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データは、
前記通話端末からの発信、前記通話端末への着信、前記通話端末での通話終了、前記通話端末の設定変更、および前記通話端末の状態変化のなかの少なくとも1つに係り、
前記通話制御データに基づく情報は、
前記通話端末の識別情報、前記通話端末の通話状態、通話に係る付加情報の少なくとも1つに係る
とを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話に関連付けてデータを収集する通信装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構内(支店や事業所なでの拠点内)に設置されたPBX(Private Branch eXchange)をクラウド化して、内線電話を始めとする通話サービスを提供するクラウドPBXが利用されている。クラウドPBXには、PBXの設置が不要であり場所を選ばずに内線電話環境を構築できる、工事不要であり導入コストが低い、電話増設や番号変更などの設定変更がWebブラウザで可能であるなどのメリットがある。
一方、PBXの用途拡大として、電話機インタフェースパッケージとセンサ受信機とを介して電話機用インターフェイスにセンサを接続して、PBXでセンサデータを処理する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-182649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術を用いることで、汎用のセンサをPBXに接続してセンサ情報を収集することができる。しかしながら、センサ情報の収集や処理は、通話の処理とは独立しており、通話と関連したセンサ情報の収集が望まれていた。
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、通話に関連付けてセンサ情報を収集する通信装置および通信制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、通話制御装置によって通話が制御される通話端末と所定の情報を取得するセンサとが配置された拠点において、前記通話端末と前記センサとに接続される通信装置であって、周期的に前記センサから情報を取得するとともに当該情報を記録するセンサ情報解析部と、前記通話端末と前記通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る通話端末に関連する最新のセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録する通信監視部と、を備え、前記センサは、前記通話端末が接続する無線アクセスポイント、前記通話端末の利用者が使用するコンピュータ、および、前記通話端末の設置場所付近に設置された測距センサの少なくとも1つに係り、前記センサが取得する前記所定の情報は、前記センサが前記無線アクセスポイントである場合は、当該無線アクセスポイントの識別情報、および当該無線アクセスポイントの位置情報のなかの少なくとも1つに係り、前記センサが前記コンピュータである場合は、当該コンピュータ上で開かれたファイルの識別情報、および当該コンピュータ上で開かれたファイルのコンテンツの情報のなかの少なくとも1つに係り、前記センサが前記測距センサである場合は、当該測距センサが取得した距離情報、および当該測距センサが取得した距離情報から取得された人物の骨格情報のなかの少なくとも1つに係り、前記通話制御データは、前記通話端末からの発信、前記通話端末への着信、前記通話端末での通話終了、前記通話端末の設定変更、および前記通話端末の状態変化のなかの少なくとも1つに係り、前記通話制御データに基づく情報は、前記通話端末の識別情報、前記通話端末の通話状態、通話に係る付加情報の少なくとも1つに係る
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通話に関連付けてセンサ情報を収集する通信装置および通信制御方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る通信制御システムの全体構成図である。
図2】第1の実施形態に係るクラウドPBXの機能構成図である。
図3】第1の実施形態に係るゲートウェイの機能構成図である。
図4】第1の実施形態に係るセンサ情報データベースのデータ構成図である。
図5】第1の実施形態に係るセンサ情報取得処理のフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る端末から端末に発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。
図7】第2の実施形態に係る通信制御システムの全体構成図である。
図8】第2の実施形態に係るローカルPBXの機能構成図である。
図9】第2の実施形態に係る端末から端末に発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。
図10】第2の実施形態に係る外線端末から端末に着信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。
図11】第2の実施形態に係る端末から外線端末へ発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。
図12】第2の実施形態に係る死活切替処理のフローチャートである。
図13】第2の実施形態の変形例に係る通話制御情報記録処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪第1の実施形態:通信制御システムの概要≫
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)における通信制御システムを説明する。通信制御システムは、クラウドPBXと、拠点に設置されるゲートウェイとを含んで構成される。ゲートウェイは、拠点内の端末(電話機、通話端末)とクラウドPBXとの間でやり取りされる通話制御データ(例えば、発信に係る制御データ(メッセージ))を中継する。また、ゲートウェイには、センサが接続されており、センサが取得したデータ(センサデータ、センサ情報)をセンサ情報データベースに蓄積している。ゲートウェイは、通話制御データに応じて関連するセンサ情報に、端末の識別情報や通話状態(例えば着信)、付加情報(例えば発信元)などの通話制御情報(通話制御データに基づく情報)を付与してセンサ情報データベースに蓄積する。
【0009】
このようにして収集された通話制御情報付きセンサ情報を分析することで、例えば端末利用環境を改善することができるようになる。例えば、センサがToFセンサ(Time of Flightセンサ、距離センサ、測距センサ)であり、ToFデータから人物の骨格情報を収集するとする。着信時や通話開始時の骨格情報を分析することで、端末(電話機)を取った人が着信時にどこにいたのかを分析することができ、効率的な端末ないしは人の配置を決めるための基礎データとなる。または、センサ情報として、端末が接続するアクセスポイントの情報を収集することで、発信時や着信時の端末利用者の位置を収集できる。これを分析することにより、どの人たちがどの時間帯にどこでコミュニケーションしているかがわかり、例えば、人の動線を考慮した効率的なオフィスを検討するための材料になる。
このように、通話に関連付けてセンサ情報を収集する効果の一例として、業務効率改善などが挙げられる。
【0010】
≪通信制御システムの全体構成≫
図1は、第1の実施形態に係る通信制御システム10の全体構成図である。通信制御システム10は、クラウドPBX200(通話制御装置)、ゲートウェイ100(通信装置)、端末820(通話端末)、センサ830、センサ情報データベース300、およびセンサ情報解析サーバ500を含む。クラウドPBX200、ゲートウェイ100、およびセンサ情報解析サーバ500は、ネットワーク800(例えば、インターネット)で接続されている。また、端末820、センサ830、およびセンサ情報データベース300は、ゲートウェイ100に接続される。端末820は、例えば、固定型/携帯型の通話端末(電話機)である。
【0011】
クラウドPBX200は、拠点810内にある端末820の通話を制御するPBXであって、端末820間の内線電話としての通話や外線端末との通話を制御するための通話制御データを端末820との間で送受信する。クラウドPBX200は、さらに、通話制御データを送受信して、端末820の設定情報(例えば、離席中の留守番電話設定など)や端末820そのものの状態(例えば、オフフック、通話状態)を管理している。
【0012】
ゲートウェイ100は、端末820とクラウドPBX200との間で送受信される通話制御データを中継している。通話制御データを監視することで、ゲートウェイ100は、端末820の状態(例えば、着信あり、通話中など)を把握することができる。通話制御データとは、言い換えれば、端末820の通話を実現するための電話交換機能を実現するための制御情報である。本実施例においては、電話交換機能を実現するのがクラウドPBX200であるため、通話制御データは端末820とクラウドPBX200との間で送受信されるデータである。
【0013】
センサ830は、拠点810に設置されるセンサである。第1の実施形態では、センサ830は、ToF(Time of Flight)センサであり、例えば、端末820の設置場所付近の天井に設置される。センサ830が取得したデータを解析することで、端末820周辺にいる人物の骨格情報を取得することができる。
センサ情報データベース300には、センサ830が取得したデータ、ないしはデータを加工・分析したデータが蓄積される。また、センサ情報データベース300には、通話制御に係る情報(通話制御情報)が、センサ830が取得したデータ、ないしは加工・分析されたデータに関連付けられて蓄積される。なお、センサ830が取得したデータ、および加工・分析されたデータをセンサ情報とも記す。
【0014】
ゲートウェイ100は、センサ情報データベース300に蓄積されたセンサ情報や通話制御情報を、例えば定期的にセンサ情報解析サーバ500に送信する。センサ情報解析サーバ500は、通話制御と関連付けられたセンサ情報を解析する。
【0015】
≪クラウドPBXの機能構成≫
図2は、第1の実施形態に係るクラウドPBX200の機能構成図である。クラウドPBX200は、制御部210、記憶部220、および通信部280を備える。通信部280は、ゲートウェイ100を介して端末820との間で通話制御データを送受信する。
記憶部220は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどから構成される。記憶部220には、端末820の状態に係る通話情報(例えば、着信あり、留守番電話設定など)を格納する通話情報データベース230(図2では通話情報DB(Database)と記載)が記憶される。
【0016】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、通話制御部211を備える。通話制御部211は、端末820間の内線電話の通話制御や、端末820と外線端末との通話制御を行う(後記する図6参照)。
【0017】
≪ゲートウェイの機能構成≫
図3は、第1の実施形態に係るゲートウェイ100の機能構成図である。ゲートウェイ100は、制御部110、記憶部120、および通信部180を備える。通信部180は、クラウドPBX200と端末820との間で通話制御データを送受信する。また、通信部180は、センサ情報データベース300との間でセンサ情報(センサデータやセンサデータを加工/分析したデータであり、第1の実施形態では骨格情報)やセンサ情報と関連付けられる通話制御情報を送受信する。
【0018】
記憶部120は、ROMやRAM、フラッシュメモリなどから構成される。記憶部120には、端末820の状態に係る通話制御情報をセンサ情報に関連付ける記録ルール130が記憶される。記録ルール130の例として、端末820に着信があった場合には、端末820付近に設置されたセンサ830のセンサ情報に、着信の通話制御情報(端末820の識別情報や発信元の識別情報など)を関連付ける、というルールがある。他に、発信時の通話制御情報や、通話開始時/通話終了時の通話制御情報、留守番電話設定時の通話制御情報などを関連付けるルールが設定可能である。
【0019】
制御部110は、CPUを含んで構成され、通信監視部111やセンサ情報解析部112、センサ情報送信部113を備える。センサ情報解析部112は、センサ830から取得したデータを解析し、解析した結果であるセンサ情報を後記するセンサ情報データベース300に格納する。センサ情報解析部112は、解析なしにセンサ830から取得したデータ、ないしはその一部をセンサ情報データベース300に格納してもよい。
【0020】
図4は、第1の実施形態に係るセンサ情報データベース300のデータ構成図である。センサ情報データベース300は、例えば表形式のデータであって、1つの行(レコード)は、1つのセンサ情報を示す。レコードは、日時301、センサ識別情報302(図4ではセンサID(Identifier)と記載)、種別303、データ304、端末識別情報305(図4では端末IDと記載)、通話状態306、および付加情報307の列(属性)を含む。
【0021】
日時301は、センサ830からデータが取得された日時、ないしはセンサデータを加工/解析した日時である。センサ識別情報302は、センサデータを取得したセンサ830の識別情報である。種別303は、センサ情報の種別である。第1の実施形態では、ToFセンサが取得したデータが解析されて骨格情報を得るので、種別303は「骨格」となる。データ304は、センサ情報を示すデータである。
【0022】
端末識別情報305は、センサ情報に関連付けられた通話制御情報としての端末820の識別情報である。通話状態306は、通話制御情報の種別である。付加情報307は、通話制御情報の付加情報である。なお、関連付けられる通話制御情報がないセンサ情報の端末識別情報305、通話状態306、および付加情報307は、「-」となる。
レコード321は、識別情報が「TOF1374」であるセンサ830が、2020年7月20日14時34分35秒に測定したToFデータから取得された「骨格」情報である。さらにレコード321には、電話番号が「032」で始まる外線端末から識別情報が「T3023」である端末820に着信があったという通話制御情報が関連付けられている。なお、「TOF1374」で識別されるセンサ830は、「T3023」で識別される端末820付近のセンサであって、当該端末820付近にいる人物を含めたToFデータを取得している。
【0023】
図3に戻って、通信監視部111は、端末820とクラウドPBX200との間でやり取りされる通話制御データを中継する。また、通信監視部111は、記録ルール130に対応する通話制御データを中継したならば、当該通話制御データから、端末識別情報や通話状態を含む通話制御情報を取得し、関連するセンサ情報に関連付けてセンサ情報データベース300に格納する。
【0024】
記憶部120には、端末820とセンサ830とを関連付ける端末センサ関係データベースが記憶されてもよい。端末センサ関係データベースには、例えば、端末820付近に設置されたセンサ830の情報が格納される。通信監視部111が通話制御情報を記録する際には、端末センサ関係データベースを参照して通話制御データにある端末の情報からセンサを特定して、当該センサに係るセンサ情報に通話制御情報を関連付ける。
センサ情報送信部113は、センサ情報データベース300に蓄積されたセンサ情報や通話制御情報をセンサ情報解析サーバ500に、所定のタイミングで(例えば定期的に)に送信する。
【0025】
≪センサ情報取得処理≫
図5は、第1の実施形態に係るセンサ情報取得処理のフローチャートである。図5を参照しながら、センサ情報解析部112が、センサ830からデータを取得し、解析して、センサ情報データベース300に格納する処理を説明する。
ステップS101においてセンサ情報解析部112は、周期的にステップS102~S106の処理を繰り返す。
【0026】
ステップS102においてセンサ情報解析部112は、センサ830ごとにステップS103~S105の処理を繰り返す。
ステップS103においてセンサ情報解析部112は、センサ830からセンサデータを取得する。第1の実施形態では、センサ830は、ToFセンサであり、ToFデータを取得する。
ステップS104においてセンサ情報解析部112は、センサデータであるToFデータから、骨格情報を取得する。
【0027】
ステップS105においてセンサ情報解析部112は、ステップS104で取得した骨格情報をセンサ情報データベース300に格納する。詳しくは、センサ情報解析部112は、センサ情報データベース300に新しいレコードを追加し、日時301にセンサデータを取得した日時を、センサ識別情報302にセンサ830の識別情報を、種別303に「骨格」を、データ304に取得した骨格情報を格納する。センサ情報解析部112は、端末識別情報305、通話状態306、および付加情報307に「-」を格納する。
【0028】
≪通話制御処理≫
図6は、第1の実施形態に係る端末820Aから端末820Bに発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。以下では、記録ルール130に、通話指示で着信の通話制御情報(着信時の通話制御情報)を記録するルールがあるとして説明する。
ステップS201において端末820Aは、端末820Bへ発信する通話制御データをゲートウェイ100に送信する。
【0029】
ステップS202においてゲートウェイ100の通信監視部111は、記録ルール130に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部111は、記録ルール130に発信の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Aに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、発信に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
ステップS203において通信監視部111は、ステップS201で受信した端末820Bへ発信する通話制御データをクラウドPBX200に送信(転送、中継)する。
【0030】
ステップS204においてクラウドPBX200の通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820Aが端末820Bに発信した旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS205において通話制御部211は、端末820Bの端末状態を問い合わせる通話制御データをゲートウェイ100に送信する。
ステップS206において通信監視部111は、ステップS205で受信した通話制御データを端末820Bに送信(転送、中継)する。
【0031】
ステップS207において端末820Bは、自身の状態を示す通話制御データをゲートウェイ100に送信する。
ステップS208においてゲートウェイ100の通信監視部111は、記録ルール130に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部111は、記録ルール130に端末状態の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Bに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、端末状態に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
【0032】
ステップS209において通信監視部111は、ステップS207で受信した端末820Bの状態を示す通話制御データをクラウドPBX200に送信(転送、中継)する。
ステップS210においてクラウドPBX200の通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820Bが受信可能状態/受信不可状態である旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS211において通話制御部211は、ステップS209で受信した通話制御データが受信可能状態であれば(ステップS211→YES)ステップS212に進み、受信可能状態でなければ(ステップS211→NO)ステップS216に進む。
【0033】
ステップS212において通話制御部211は、端末820A,820Bに通話を指示する通話制御データをゲートウェイ100に送信する。なお、端末820Bは着信側の端末であるので、通話を指示する通話制御データは、着信を示す通話制御データとなる。
ステップS213においてゲートウェイ100の通信監視部111は、記録ルール130に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部111は、記録ルール130に通話指示の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820A,820Bに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、端末820Bについては、通話指示で着信のルールがあるので、通話制御情報を記録する。詳しくは、センサ情報データベース300(図4参照)に記憶される端末820Bに係る最新のセンサ情報に関連付けて、端末識別情報305に端末820Bの識別情報を、通話状態306に「着信」を、付加情報307に発信元としての端末820Aの識別情報を記録する。
【0034】
ステップS214において通信監視部111は、ステップS212で受信した通話制御データを端末820A,820Bに送信(転送、中継)する。
ステップS215において端末820A,820Bは、通話する。
【0035】
ステップS216において通話制御部211は、端末820Aに着信不可を通知する通話制御データをゲートウェイ100に送信する。
ステップS217においてゲートウェイ100の通信監視部111は、記録ルール130に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部111は、記録ルール130に着信不可の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Aに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、着信不可に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
【0036】
ステップS218において通信監視部111は、ステップS216で受信した通話制御データを端末820Aに送信(転送、中継)する。
ステップS219において端末820Aは、端末820Bは着信不可であることを知らせるビジー音を鳴らす(通知する)。
【0037】
≪通話制御処理の特徴≫
ゲートウェイ100は、端末820とクラウドPBX200との間でやり取りされる通話制御データを監視し、記録ルール130に合致する場合には、センサ情報データベース300に記録されるセンサ情報に関連付けて通話制御情報を記録する。このようにすることで、通話状態および端末820に関連したセンサ情報を収集することができるようになる。図6に示した例は、端末820間(内線電話間)の発着信時の通話制御であったが、端末820と外線端末との間の発着信、通話終了、端末820の設定変更・状態変化などの場合でも同様であって、端末820とクラウドPBX200との間でやり取りされる通話制御データを監視することで、センサ情報に関連付けて通話制御情報を蓄積することができるようになる。
【0038】
蓄積されたセンサ情報と通話制御情報は、センサ情報解析サーバ500に送信され、解析することができる。例えば、端末820(電話機)を取った人が着信時にどこにいたのかを分析することができ、効率的な端末ないしは人の配置を決めるための基礎データとすることができる。
第1の実施形態では、センサデータ(ToFデータ)そのものではなく、センサデータを解析した骨格情報が蓄積される。センサデータそのものを蓄積するのに比べてデータ量が小さくなり、センサ情報解析サーバ500に送信する際の通信負荷を削減することができる。
【0039】
図6の説明では、端末820からクラウドPBX200へ送信される通話制御データは、端末820がゲートウェイ100に送信し、続いてゲートウェイ100がクラウドPBX200へ送信(転送、中継)するように説明した。クラウドPBX200から端末820へ送信される通話制御データについても同様である。ゲートウェイ100を端末820とクラウドPBX200とでやり取りされる通信データが通るポイント(例えば、ゲートウェイ100を端末820とクラウドPBX200とでやり取りされる通信データが通る通信装置(例えばスイッチ)のミラーポート)に設置される場合には、端末820とクラウドPBX200とがゲートウェイ100を経由することなく、直接に通話制御データをやり取りするようにしてもよい。ゲートウェイ100は、通話制御データを中継することなく、監視して通話制御情報を記録してもよい。
【0040】
本実施例における効果は、第1に、通話に関連付けてセンサ情報を収集することができる点である。これにより業務効率改善などが実現できる。
また第2に、通話に関連付けてセンサ情報を収集する機能を実現するにあたり、クラウドPBX200と拠点810との間の通信量が変化しないことが挙げられる。すなわち、本発明を用いない場合、通話に関連付けてセンサ情報を収集するには、通話制御情報を格納しているのがクラウドPBXであるので、クラウドPBXが予め設定された通話制御データを検知し、当該通話制御データに係る端末に関連するセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録することになる。このとき、センサ情報は拠点内に存在するため、クラウドと拠点間で通信を行う必要がある。例えば、クラウドPBXが予め設定された通話制御データを検知した場合には、拠点内の装置に指示を行い、当該装置が当該通話制御データに係る端末に関連するセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録する。
【0041】
これに対し本実施例ではゲートウェイ100を配置し、クラウドPBX200と端末820との間でやり取りされる通話情報を監視する構成としているため、予め設定された通話制御データの検知と、当該通話制御データに係る端末820に関連するセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報の記録の両方を、拠点810内にて完結できる。そのため、通話に関連付けてセンサ情報を収集する機能を実現するにあたり、クラウドPBX200と拠点810との間の通信量が変化しない効果がある。これにより、クラウドPBX200と拠点810間のネットワーク負荷を上げずに新規の効果を実現できる。
【0042】
また、クラウドPBX200と拠点810間に通信が発生すれば通信時間もかかるため、実際に保存されるセンサデータにその分だけ時刻のずれが生じてしまう。本実施例のように、クラウドPBX200と拠点810間に通信が発生しない形態とすることで、保存されるセンサデータにおける時刻のずれを少なくできるという効果もある。
【0043】
≪第2の実施形態:通信制御システムの概要≫
第1の実施形態におけるゲートウェイ100は、端末820とクラウドPBX200との間でやり取りされる通話制御データを監視しているが、通話制御には関与していない。ゲートウェイ100に替えて、内線通話に関しては、通話制御を行うローカルPBX400が、センサ情報と通話制御情報を蓄積するようにしてもよい。詳しくは、内線電話に係る通話制御データについては、ローカルPBX400は、通話制御データをクラウドPBX200に中継することなく、自身が処理する。また、ローカルPBX400は、クラウドPBX200と協働して端末820と外線端末(外線通話端末)との通話制御を行う。
【0044】
≪通信制御システムの全体構成≫
図7は、第2の実施形態に係る通信制御システム10Aの全体構成図である。通信制御システム10Aは、通信制御システム10(図1参照)においてゲートウェイ100がローカルPBX400に置き換わった構成をしている。
【0045】
≪ローカルPBXの機能構成≫
図8は、第2の実施形態に係るローカルPBX400の機能構成図である。ローカルPBX400は、制御部410、記憶部420、および通信部480を備える。通信部480は、通信部180と同様である。
【0046】
記憶部420には、生死状態421、通話情報データベース430(図8では通話制御DBと記載)、および記録ルール440が記憶される。生死状態421は、クラウドPBX200と通信可能な状態(「生」)か否(「死」)かを示す。通話情報データベース430には、端末820の状態に係る通話情報(例えば、着信あり、留守番電話設定など)が記憶される。記録ルール440は、記録ルール130(図3参照)と同様である。
制御部410は、通話制御部411、通信監視部412、クラウドPBX監視部413、センサ情報解析部414、およびセンサ情報送信部415を備える。センサ情報解析部414およびセンサ情報送信部415は、センサ情報解析部112(図3参照)およびセンサ情報送信部113とそれぞれ同様である。
【0047】
通話制御部411は、内線電話に係る通話制御(後記する図9図11参照)を行う。外線端末に係る通話制御については、クラウドPBX200と協働で通話制御を行う。
通信監視部412は、記録ルール130に対応する通話制御データから、端末識別情報や通話状態を含む通話制御情報を取得し、関連するセンサ情報に関連付けてセンサ情報データベース300に格納する。
【0048】
クラウドPBX監視部413は、例えば、定期的にクラウドPBX200とローカルPBX400との間でやり取りされる死活監視データ(パケット)を受信できるか否かでクラウドPBX200と通信可能か否かの監視(死活監視)を行い、結果を生死状態421に格納する。
【0049】
≪内線電話の通話制御処理≫
図9は、第2の実施形態に係る端末820Aから端末820Bに発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。以下では、記録ルール440に、通話指示で着信の通話制御情報を記録するルールがあるとして説明する。
ステップS401において端末820Aは、端末820Bへ発信する通話制御データをローカルPBX400に送信する。
【0050】
ステップS402においてローカルPBX400の通話制御部411は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部411は、端末820Aが端末820Bに発信した旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース430に記録する。
ステップS403においてローカルPBX400の通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に発信の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Aに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、発信に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
【0051】
ステップS404において通話制御部411は、端末820Bの端末状態を問い合わせる通話制御データを端末820Bに送信する。
ステップS405において端末820Bは、自身の状態を示す通話制御データをローカルPBX400に送信する。
ステップS406においてローカルPBX400の通話制御部411は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部411は、端末820Bが受信可能状態/受信不可状態である旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース430に記録する。
【0052】
ステップS407においてローカルPBX400の通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に端末状態の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Bに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、端末状態に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
ステップS408において通話制御部411は、ステップS405で受信した通話制御データが受信可能状態であれば(ステップS408→YES)ステップS409に進み、受信可能状態でなければ(ステップS408→NO)ステップS412に進む。
【0053】
ステップS409においてローカルPBX400の通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に通話指示の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820A,820Bに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、端末820Bについては、通話指示で着信のルールがあるので、通話制御情報を記録する。詳しくは、センサ情報データベース300(図4参照)に記憶される端末820Bに係る最新のセンサ情報に関連付けて、端末識別情報305に端末820Bの識別情報を、通話状態306に「着信」を、付加情報307に発信元としての端末820Aの識別情報を記録する。
【0054】
ステップS410において通話制御部411は、端末820A,820Bに通話を指示する通話制御データを端末820A,820Bに送信する。
ステップS411において端末820A,820Bは、通話する。
【0055】
ステップS412においてローカルPBX400の通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に着信不可の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820Aに係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、着信不可に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
【0056】
ステップS413において通話制御部411は、端末820Aに着信不可を通知する通話制御データを送信する。
ステップS414において端末820Aは、端末820Bは着信不可を知らせるビジー音を鳴らす(通知する)。
【0057】
≪外線着信時の通話制御処理≫
図10は、第2の実施形態に係る外線端末から端末820に着信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。以下では、記録ルール440に、通話指示で着信の通話制御情報を記録するルールがあるとして説明する。
ステップS501においてクラウドPBX200の通話制御部211は、外線端末から端末820への発信の通話制御データを受信する。
【0058】
ステップS502において通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820が外線端末から着信した旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS503において通話制御部211は、外線端末から端末820への発信の通話制御データをローカルPBX400に送信する。
ステップS504~S507は、ステップS404~S407と同様である。但し、状態問い合わせ先は、端末820である。
【0059】
ステップS508において通話制御部411は、ステップS505で受信した通話制御データが受信可能状態であれば(ステップS508→YES)ステップS509に進み、受信可能状態でなければ(ステップS508→NO)ステップS515に進む。
ステップS509はステップS409と同様である。但し、通話制御情報を関連付けられるのは端末820に係る最新のセンサ情報であり、発信元は外線端末である。
ステップS510において通話制御部411は、外線端末に通話を指示する通話制御データをクラウドPBX200に送信する。
【0060】
ステップS511においてクラウドPBX200の通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820が外線端末に通話指示する旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS512において通話制御部211は、外線端末に通話を指示する通話制御データを送信する。
ステップS513において通話制御部411は、端末820に通話を指示する通話制御データを送信する。
ステップS514において端末820と外線端末は、通話する。
【0061】
ステップS515において通話制御部411は、外線端末に着信不可を通知する通話制御データをクラウドPBX200に送信する。
ステップS516においてクラウドPBX200の通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820が外線端末に着信不可を通知する旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS517において通話制御部211は、外線端末に着信不可を通知する通話制御データを送信する。
【0062】
≪外線発信時の通話制御処理≫
図11は、第2の実施形態に係る端末820から外線端末へ発信するときの通話制御処理を示すシーケンス図である。以下では、記録ルール440に、通話指示で着信の通話制御情報を記録するルールがあるとして説明する。
ステップS601~S603は、ステップS401~S403と同様である。但し、発信元は端末820であり、発信先は外線端末である。
ステップS604においてローカルPBX400の通話制御部411は、外線端末へ発信する通話制御データをクラウドPBX200に送信する。
【0063】
ステップS605において通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、端末820が外線端末に発信した旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
ステップS606において通話制御部211は、外線端末へ発信する通話制御データを送信し、当該外線端末の状態を通知する通話制御データを受信する。
ステップS607において通話制御部211は、通話状態を記録する。詳しくは、通話制御部211は、外線端末が受信可能状態/受信不可状態である旨と現在時刻とを含む通話情報を通話情報データベース230に記録する。
【0064】
ステップS608において通話制御部211は、ステップS606で受信した外線端末の状態を通知する通話制御データをローカルPBX400に送信する。
ステップS609~S610は、ステップS406~S407と同様である。但し、状態は、外線端末の状態である。
ステップS611において通話制御部411は、ステップS608で受信した通話制御データが受信可能状態であれば(ステップS611→YES)ステップS612に進み、受信可能状態でなければ(ステップS611→NO)ステップS618に進む。
【0065】
ステップS612において通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に着信可の通話指示の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報データベース300にある端末820に係る最新のセンサ情報に、通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、着信可の通話指示に係るルールはないので、通話制御情報を記録しない。
ステップS613~S617は、ステップS510~S514と同様である。
ステップS618~S620は、ステップS412~S414と同様である。
【0066】
≪クラウドPBXの死活切替処理≫
図12は、第2の実施形態に係る死活切替処理のフローチャートである。図12を参照してクラウドPBX200との通信状態が切り替わったときのローカルPBX400の処理を説明する。
ステップS701において通話制御部411は、生死状態421が「生」(クラウドPBX200と通信可能)であれば(ステップS701→生)ステップS702に進み、「死」(クラウドPBX200と通信不可)であれば(ステップS701→死)ステップS705に進む。
ステップS702において通話制御部411は、通常の通話制御を行い、通話情報や通話制御情報を記録する(図9図11参照)。
【0067】
ステップS703において通話制御部411は、通話情報データベース430に記憶される通話情報をクラウドPBX200に送信する。
ステップS704においてセンサ情報送信部415は、センサ情報データベース300に記憶されるセンサ情報と通話制御情報とをセンサ情報解析サーバ500に送信する。
ステップS705において通話制御部411は、端末820(内線)間の通話制御を行い、通話情報や通話制御情報を記録する(図9参照)。クラウドPBX200との通信が不可能なので、外線端末への発信および外線端末からの着信は不可能であり、不通状態となる。
【0068】
ステップS706において通話制御部411は、生死状態421が「生」(クラウドPBX200との通信が復旧)であれば(ステップS706→生)ステップS707に進み、「死」(クラウドPBX200と通信不可のまま)であれば(ステップS706→死)ステップS705に戻る。
ステップS707においてクラウドPBX監視部413は、通話情報データベース430に記憶される通話情報をクラウドPBX200に送信する。ステップS703との違いは、通信不可の間に送信できなかったデータ(通話情報)を送信することである。
ステップS708は、ステップS704と同様である。
【0069】
≪ローカルPBXの処理の特徴≫
第1の実施形態のゲートウェイ100は、端末820とクラウドPBX200との間でやり取りされる通話制御データを中継し、ゲートウェイ100自身が通話制御することはない。一方、第2の実施形態では、端末820間(内線電話間)の通話に関しては、クラウドPBX200は関与せず、ローカルPBX400が端末820と通話制御データをやり取りして通話制御を行っている(図9参照)。
【0070】
端末820と外線端末との通話に関しては、端末820の通話状態の問い合わせ(図10記載のステップS504参照)や通話指示(図10のステップS510,S513、図11記載のステップS613,S616参照)など一部の処理を行っている。言い換えれば、ローカルPBX400は、外線端末とはクラウドPBX200を介して通話制御データをやり取りし、端末820とは直接に通話制御データをやり取りして、外線端末と端末820との通話制御を行っている。
【0071】
ローカルPBX400が、このような処理を行うことで、クラウドPBX200が故障したり、クラウドPBX200とローカルPBX400間の通信が不可能な状態(例えばネットワーク800で輻輳が発生)であったりしても、端末820間の通話は可能となる。また、通話情報や通話制御情報の記録も途切れることなく可能である。
【0072】
ローカルPBX400は、クラウドPBX200と通信可能であれば、通話情報を送信して、同期する(図12のステップS703参照)。詳しくは、端末820の状態をローカルPBX400とクラウドPBX200とで共有することになる。ローカルPBX400とクラウドPBX200との間の通信が不可となっても、復旧後にはローカルPBX400は通話情報を送信して、同期する(ステップS706→YES、ステップS707参照)。
図12では、ローカルPBX400は、クラウドPBX200との通信が不可であるときには、センサ情報と通話制御情報とをセンサ情報解析サーバ500に送信していない。ステップS705に続いて、ステップS704と同様にしてセンサ情報と通話制御情報とをセンサ情報解析サーバ500に送信してもよい。
【0073】
≪変形例:ファイル操作のセンサ情報≫
第1の実施形態および第2の実施形態では、通話に係らずセンサ情報はセンサ情報データベース300に記録されている(図5参照)。通話の状態に応じて、通話制御情報と関連付けられてセンサ情報が記録されてもよい。この変形例では、センサはパソコン、ないしは端末820の利用者でもあるパソコンの利用者が開いたファイルを取得するパソコンで稼働しているソフトウェアモジュールであるとする。以下、端末820の利用者が利用するパソコンをセンサと見なしてパソコン830Aと記す。
記録ルールは、端末820の通話中に当該端末820の利用者のパソコン830Aでファイルが開かれた場合には、センサ情報と通話制御情報を記録するというルールである。
【0074】
図13は、第2の実施形態の変形例に係る通話制御情報記録処理のシーケンス図である。ここでは、端末820が通話中であるところから処理が始まるとする。
ステップS801において端末820は、通話中である。
ステップS802においてパソコン830Aは、利用者によるファイルを開く指示を受け付け、当該ファイルを開く。
【0075】
ステップS803においてパソコン830Aは、ファイル操作(ファイルオープン)のデータをセンサデータとしてローカルPBX400に送信する。ファイル操作のデータには、ファイル名、ないしはファイルのデータそのものが含まれているとする。
ステップS804においてローカルPBX400の通信監視部412は、記録ルール440に従って通話制御情報を記録する。詳しくは、通信監視部412は、記録ルール440に現在の端末820の通話制御に係るルールがあれば、センサ情報解析部414に指示してセンサ情報としてのファイル操作のデータをセンサ情報データベース300に記録し、さらに通話制御情報を関連付けて記憶(記録)する。ここでは、通話中にファイルが開かれた場合には記録する旨のルールがあり、また、通話情報データベース430を参照することで通話中であることがわかるので、ファイル操作のデータと通話制御情報を関連付けて記録することになる。
【0076】
このように、センサ情報と通話制御情報とを関連付けて記録することで、端末820の通話先とファイルとの関連付けが可能となる。この関連付けを利用することで、例えば、通話先から電話があった場合に、利用者に指示されることなくパソコン830Aが関連するファイルを開くことが可能となる。結果として、利用者はファイルを探して開く操作をすることなく必要なファイルにアクセスすることが可能なる。例えば、コールセンタのような顧客からの問い合わせに対応する利用者にとっては有用となる。
【0077】
本変形では、センサを広義に捉えている。すなわち、パソコンは一般にはセンサに分類されないが、外部からパソコンに対して取得できる情報を、センサ情報として扱っている。これは、パソコンで稼働しているソフトウェアモジュールが主体的に外部に情報を送信してもよいし、パソコン自身が情報を送信してもよい。または、パソコンの共有フォルダのように外部から参照可能な状態でネットワーク超しに参照可能となっており、ローカルPBX400が取得(参照)することで情報を得てもよい。このように、本明細書におけるセンサとは、拠点内から情報を取得可能なもの全般を指す。
【0078】
さらには、センサが、センサの設置された拠点内から取得する情報は、異なる拠点の情報が含まれていても構わない。即ち、パソコン830Aが複数の拠点における各パソコンの利用者が開いたファイルの履歴情報を集中管理するサーバである場合を考える。この場合、パソコン830Aは拠点810内に存在しているが、パソコン830Aから得られるセンサ情報は、拠点810以外の拠点の情報も含まれる。このような場合にも、拠点内のローカルPBX400を用いて、本発明を同様に適用可能である。これにより、本発明の動作を実装するローカルPBX(第1の実施形態ではゲートウェイ100)を1つの拠点にのみ設置するだけで、複数の拠点にまたがる業務効率改善などが実現できる。
【0079】
≪変形例:その他のセンサ情報≫
他のセンサ情報として、端末が無線端末であって、端末と通信しているアクセスポイントの識別情報がある。センサ情報解析部414が、アクセスポイントの識別情報を位置情報に変換することで、発信時・着信時・通話中の利用者の位置情報を記録することができる。これを分析することにより、どの人たちがどの時間帯にどこでコミュニケーションしているかがわかり、例えば、人の動線を考慮した効率的なオフィスを検討するための材料になる。
【0080】
≪変形例:複数の拠点≫
上記した第2の実施形態では、拠点810が1つであり、ローカルPBX400は1つである。複数の拠点があり、複数のローカルPBX400があってもよい。異なる拠点間の端末820間(内線電話間)の通話制御を、それぞれの拠点のローカルPBX400が制御するようにしてもよい。例えば、拠点810AにローカルPBX400Aが設置されて端末820Aが接続されており、拠点810BにローカルPBX400Bが設置されて端末820Bが接続されているとする。端末820Aから端末820Bへ発信する場合に、発信の通話制御データが、端末820Aから、ローカルPBX400A、ローカルPBX400Bへと送信される。ローカルPBX400Bは、端末820Bの状態を問い合わせて、その状態に応じて通話指示を送信したり、ないしは着信不可を通知したりするようにしてもよい。
このようなローカルPBX400A,PBX400Bによれば、クラウドPBXと通信できない状態であっても、異なる拠点810A,810Bにある端末820A,820Bが通話可能となる。
【0081】
≪その他の変形例≫
本実施形態で例示する管理システムにおけるサーバ側と端末側の機能分散の形態は上記した形態に限られず、同様の効果や機能を奏し得る範囲において、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。例えば、ゲートウェイ100やクラウドPBX200、ローカルPBX400、センサ情報解析サーバ500は、1つの装置であるように説明したが、実施例で説明した機能を実現できる形態であればよく、例えば、コンピュータ上で動作するソフトウェアであってもよい。または、仮想化されたコンピュータ(仮想マシン)であってもよい。センサ情報データベース300は、ゲートウェイ100やローカルPBX400の記憶部に記憶されてもよい。
【0083】
ゲートウェイ100やローカルPBX400は、センサ情報および通話制御情報の双方をセンサ情報データベース300に格納しているが、センサ情報と通話制御情報とを格納する装置を別の装置としてもよい。例えば、センサがセンサ情報データベース300に接続され、センサ情報データベース300自身がセンサ情報を格納してもよい。この場合、ゲートウェイ100やローカルPBX400は、センサ情報を格納せず、通信制御情報を格納する。センサとして、無線通信のアクセスポイントやToFセンサの例を記載したが、RFIDタグを読み取るタグリーダなどであってもよい。
【0084】
またセンサ情報解析サーバ500は、クラウドPBX200と同じクラウド環境にあっても、異なるクラウド環境にあっても構わない。例えば、クラウドPBX200は内線電話機器メーカが準備したクラウド環境に設置され、センサ情報解析サーバは汎用的に用いられるクラウドサービスにその機能が実装されていてもよい。このようなマルチクラウド構成とすることで、クラウドPBX機能とセンサ情報解析機能について、それぞれに最適なクラウド環境を用いることができ、性能を向上させることができる。
【0085】
また、以上の実施例ではPBXが拠点外にある形態で説明したが、端末と通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る端末に関連するセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録する形態であれば、同様に適用可能である。即ち、クラウドPBXでなく、PBXが拠点内のみに存在する場合でも同様に適用可能である。これは、第2の実施形態のローカルPBXを考えると明らかである。即ち、図7においてクラウドPBX200がなく、ローカルPBX400がすべての内線電話の通話制御を行う場合にも、同様に適用可能である。これは、ローカルPBX400が、「端末と通話制御装置との間でやり取りされる通話制御データを監視し、予め設定された通話制御データを検知した場合には、当該通話制御データに係る端末に関連するセンサ情報に関連付けて当該通話制御データに基づく情報を記録する」動作を行っていることから、明らかである。
【0086】
本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10,10A 通信制御システム
100 ゲートウェイ(通信装置)
111 通信監視部
112 センサ情報解析部
113 センサ情報送信部
130 記録ルール
200 クラウドPBX(通話制御装置)
211 通話制御部
230 通話情報データベース
300 センサ情報データベース
400 ローカルPBX(通信装置)
411 通話制御部
412 通信監視部
413 クラウドPBX監視部(監視部)
414 センサ情報解析部
415 センサ情報送信部
430 通話情報データベース
440 記録ルール
500 センサ情報解析サーバ(サーバ)
810,810A,810B 拠点
820,820A,820B 端末(通話端末)
830 センサ
830A パソコン(センサ)
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