(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/04 20210101AFI20240725BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240725BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240725BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240725BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240725BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240725BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240725BHJP
H04N 23/58 20230101ALI20240725BHJP
【FI】
G03B5/04
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G03B5/00 C
G03B17/17
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/55
H04N23/58
(21)【出願番号】P 2020163466
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-015846(JP,A)
【文献】特開2007-010747(JP,A)
【文献】国際公開第2019/221038(WO,A1)
【文献】特開2006-242304(JP,A)
【文献】特開平07-039092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0024329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
G02B 7/02
H04N 23/55
H04N 23/50
H04N 23/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、
前記反射部を支持する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向及び前記反射方向とともに交差する軸方向を回転軸として回転させる回転支持機構と、を備え、
前記回転支持機構は、前記軸方向において前記固定体と前記可動体との間に配置され、前記軸方向において前記固定体と前記可動体との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材を有し、
前記バネ部材は、前記回転軸を構成する回転軸第1形成部材を有し、
前記可動体は、前記回転軸第1形成部材とともに前記回転軸を構成する回転軸第2形成部材を有し、
前記回転軸第1形成部材及び前記回転軸第2形成部材は、前記回転軸が前記可動体の重心位置を通る位置に配置され
、
前記可動体は、前記回転軸の回転中心を回転中心とする円弧状の溝を有し、
前記バネ部材は、前記溝に挿入される凸部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記回転軸第1形成部材及び前記回転軸第2形成部材は、一方に凸球面を有し、他方に前記凸球面が摺動する凹球面を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸球面は、孔の開いた台座に前記孔よりも径の大きい球体を固定して形成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記バネ部材は、前記間において前記軸方向と交差する挿入方向に挿入することで前記固定体の固定位置に固定され、前記挿入方向と逆向きに突出するとともに前記挿入方向と交差する変位方向に変位可能な突出部を有し、
前記固定体は、前記バネ部材が前記固定位置に挿入されることに伴って前記突出部が前記変位方向に変位して前記突出部が引っ掛かる引っ掛け部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項
1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記溝は、前記固定体に対して前記可動体が回転することに伴って最大に回転した場合でも、前記溝と前記凸部とが円弧方向において接触しない長さに構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記バネ部材は、前記間において挿入方向に挿入することで前記固定体の固定位置に固定され、
前記固定体による前記バネ部材に対する力の作用点は、前記広げる方向において前記回転軸と揃う位置に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記可動体の回転に伴う移動方向の延長線上に窪みまたは開口が形成さ
れていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、外部からの入射光束を撮像素子に向けて反射させる反射部を備える可動体を、固定体に対して可動させる、光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、反射部を備える回転ホルダとハウジングとの間の領域に設けられた球体を用い、該球体を回転中心とし、該間の領域における回転ホルダの面とハウジングの面との対向角度が変化するように、回転ホルダをハウジングに対して回転させるカメラモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成の光学ユニットでは、対向する回転ホルダの面とハウジングの面との対向角度が変化するように回転ホルダをハウジングに対して回転させるので、対向する回転ホルダの面とハウジングの面との隙間が狭いと、回転ホルダのハウジングに対する回転に伴い回転ホルダとハウジングとがすぐに干渉するので可動範囲が狭くなる。一方、対向する可動体の面と固定体の面との隙間を広げると装置の小型化が困難になるため、対向する可動体の面と固定体の面との隙間を広げることは難しい。そこで、本発明は、固定体に対して反射部を支持する可動体を回転させる回転機構を有する光学ユニットにおいて可動範囲を大きくすることを目的とする。なお、特許文献1の構成の光学ユニットでは、回転ホルダの重心の位置が回転軸としての球体の位置と離れた位置にあるので、回転ホルダが自重垂れしやすくこれを防ぐために消費電力が大きくなるというデメリットも有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、外部から入射する入射光束を、反射面において、入射方向から撮像素子に向かう反射方向に反射させる反射部と、前記反射部を支持する可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記入射方向及び前記反射方向とともに交差する軸方向を回転軸として回転させる回転支持機構と、を備え、前記回転支持機構は、前記軸方向において前記固定体と前記可動体との間に配置され、前記軸方向において前記固定体と前記可動体との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材を有し、前記バネ部材は、前記回転軸を構成する回転軸第1形成部材を有し、前記可動体は、前記回転軸第1形成部材とともに前記回転軸を構成する回転軸第2形成部材を有し、前記回転軸第1形成部材及び前記回転軸第2形成部材は、前記回転軸が前記可動体の重心位置を通る位置に配置されることを特徴とする。
【0006】
ここで、「可動体の重心位置」とは、厳格な意味での重心位置そのものを意味するのではなく、およそ可動体の重心位置、すなわち、可動体の重心位置の周辺、を含む意味である。本態様によれば、軸方向において固定体と可動体との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材を有し、該バネ部材に設けられる回転軸第1形成部材と可動体に設けられる回転軸第2形成部材とで、可動体のおよそ重心位置を通る位置に配置される回転軸を形成する。可動体の重心位置を通る位置にこのような回転軸を形成することで、回転軸第1形成部材及び回転軸第2形成部材が形成される可動体の面と固定体の面との隙間を狭くしても固定体に対する可動体の可動範囲を大きくすることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記回転軸第1形成部材及び前記回転軸第2形成部材は、一方に凸球面を有し、他方に前記凸球面が摺動する凹球面を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、回転軸第1形成部材と回転軸第2形成部材とを点接触させることができ、摺動負荷を軽減できるとともに小さい軸受け構造とすることができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記凸球面は、孔の開いた台座に前記孔よりも径の大きい球体を固定して形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、軸受け構造を簡単に構成することができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記バネ部材は、前記間において前記軸方向と交差する挿入方向に挿入することで前記固定体の固定位置に固定され、前記挿入方向と逆向きに突出するとともに前記挿入方向と交差する変位方向に変位可能な突出部を有し、前記固定体は、前記バネ部材が前記固定位置に挿入されることに伴って前記突出部が前記変位方向に変位して前記突出部が引っ掛かる引っ掛け部を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、固定位置に固定されたバネ部材が挿入方向と逆向きに抜け出ることを抑制することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記回転軸の回転中心を回転中心とする円弧状の溝を有し、前記バネ部材は、前記溝に挿入される凸部を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体がバネ部材から外れて可動体が固定体から抜け出ることを抑制することができるとともに、溝と凸部とが干渉して可動体の固定体に対する回転が妨げられることを抑制することができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記溝は、前記固定体に対して前記可動体が回転することに伴って最大に回転した場合でも、前記溝と前記凸部とが円弧方向において接触しない長さに構成されていることができる。このような構成とすることで、固定体に対して可動体が最大に回転した場合でも、溝と凸部とが干渉して可動体の固定体に対する回転が妨げられることを抑制することができる。また、構造的に頑強にすることが難しい凸部や円弧状の溝を円弧方向における可動体の回転の規制部としないことで、凸部や溝が損傷することを抑制することができる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記バネ部材は、前記間において挿入方向に挿入することで前記固定体の固定位置に固定され、前記広げる方向における前記固定体との接触位置が前記回転軸と揃う位置である構成とすることができる。このような構成とすることで、固定体によるバネ部材に対する力の作用点を回転軸と揃う位置にすることができ、回転軸の位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記可動体の回転に伴う移動方向の延長線上に窪みまたは開口が形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体の固定体に対する可動範囲を特に効果的に広げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の、固定体に対して反射部を支持する可動体を回転させる回転機構を有する光学ユニットは、可動範囲を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットを備えるスマートフォンの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの概略側面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットの底面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットの内部構成の一部を表す側面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットの内部構成の一部を表す正面図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットの内部構成の一部を表す背面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る光学ユニットのバネ部材を表す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る光学ユニットのバネ部材の固定位置を表す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る光学ユニットの可動体を表す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施例に係る光学ユニットのバネ部材との係合部である回転支持機構を表す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る光学ユニットの概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、+Y方向に見た図を平面図、-Y方向に見た図を底面図、+Z方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を正面図とする。そして、+Y方向は、外部からの光束の入射方向D1に対応する。
【0017】
<光学ユニットを備える装置の概略>
図1は、本実施例の光学ユニット1を備える装置の一例としてのスマートフォン100の概略斜視図である。本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100において好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、薄型に構成でき、スマートフォン100におけるY軸方向における厚さを薄く構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100に限定されず、カメラやビデオなど、特に限定なく様々な装置に使用可能である。
【0018】
図1で表されるように、スマートフォン100は、光束を入射するレンズ101を備えている。スマートフォン100におけるレンズ101の内部に、光学ユニット1を備えている。スマートフォン100は、レンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束に基づいて被写体像を撮像することが可能な構成となっている。
【0019】
<光学ユニットの全体構成>
図2は、本実施例の光学ユニット1を概略的に表す側面図である。
図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、反射部としてのプリズム10を有する可動体としての反射ユニット200と、撮像素子103aが設けられた基板103とレンズ102とを有するカメラ104と、を有している。反射ユニット200は、入射面10bにおいてレンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束をプリズム10の反射面10aで反射させ、出射面10cから撮像素子103aに向かう反射方向D2に入射光束を出射する。なお、本実施例の反射ユニット200は、反射部としてプリズム10を備えているが、反射部の構成はプリズム10に限定されず、反射部としてミラーを備える構成などとしてもよい。なお、入射方向D1はY軸方向に沿う方向であるが、反射方向D2は概ねZ軸方向に沿うもののプリズム10の変位により変化する。
【0020】
<可動体である反射ユニットの構成>
図3は、本実施例の光学ユニット1の平面図である。また、
図4は、本実施例の光学ユニット1の底面図である。また、
図5は、本実施例の光学ユニット1における反射ユニット200の周辺部分の内部構成を表す側面図である。また、
図6は、本実施例の光学ユニット1における反射ユニット200の周辺部分の内部構成を表す正面図である。そして、
図7は、本実施例の光学ユニット1における反射ユニット200の周辺部分の内部構成を表す背面図である。本実施例の光学ユニット1は、固定体300に対して反射ユニット200がX軸方向を回転軸として回転可能な構成となっている。
図3から
図7で表されるように、反射ユニット200は、プリズム10と、プリズム10を支持するホルダ20と、を備えている。
【0021】
ホルダ20は、プリズム10とは別体で構成され、プリズム10を支持する枠体である。したがって、反射ユニット200は反射部を支持する可動体である。ホルダ20は、-X方向側端部及び+X方向側端部に球体41を有する。球体41は、固定体300に固定されたバネ部材30の凹部34と係合するとともに、凹部34とともにX軸方向の回転軸を構成している。ホルダ20がこのような構成をしていることで、反射ユニット200はプリズム10を支持した状態で固定体300に対してX軸方向を回転軸として回転可能である。バネ部材30及び球体41などを有する回転支持機構50についての詳細は後述する。
【0022】
<固定体>
固定体300は、
図3で表されるように、2つのバネ部材30であるバネ部材30A及びバネ部材30Bを固定部301に固定するとともに、バネ部材30Aとバネ部材30Bとの間において、バネ部材30Aとバネ部材30BとによりX軸方向を回転軸として反射ユニット200を回転可能に保持している。そして、反射ユニット200の-Z方向側において、カメラ104を内部に保持している。
【0023】
図3で表されるように、固定体300における-Y方向側には、反射ユニット200の全体が見える配置で開口310が設けられ、開放されている。また、
図4で表されるように、固定体300における+Y方向側には、反射ユニット200の一部であって反射ユニット200の+Y方向側に突出した部分が見える配置で開口311が設けられている。このような構成となっていることで、固定体300に対して反射ユニット200が回転した場合に、+Y方向側及び-Y方向側において固定体300に対して反射ユニット200が衝突しないようになっている。なお、固定体300の+Z方向側には、固定体300に対して反射ユニット200の回転可能範囲が狭くならないように窪み320(
図12参照)が形成されている。
【0024】
別の表現をすると、本実施例の光学ユニット1においては、固定体300は、反射ユニット200の回転に伴う移動方向の延長線上に窪み320及び開口310及び311が形成されている。このように、反射ユニット200の回転に伴う移動方向の延長線上に窪み320または開口310及び311が形成されている構成とすることで、反射ユニット200の固定体300に対する可動範囲を特に効果的に広げることができる。
【0025】
ただし、反射ユニット200は、固定体300に対して反射ユニット200を大きく回転させることで、固定体300の窪み320とは接触可能である。別の表現をすると、窪み320は反射ユニット200の固定体300に対する回転量を規制する規制部の役割をしている。窪み320及び反射ユニット200の該窪み320と接触する部分は共に衝突に強い部分となっており、窪み320と該部分とが衝突しても反射ユニット200及び固定体300が損傷することはない。
【0026】
<回転支持機構>
次に、本実施例の光学ユニット1における要部である回転支持機構50について説明する。
図8は、回転支持機構50を構成するバネ部材30の斜視図である。また、
図9は、バネ部材30の固定部301の周辺部分を表す固定体300の一部斜視図である。また、
図10は、回転支持機構50を構成する球体41が設けられた球体保持部40の取り付け部21bなどを表すホルダ20の斜視図である。そして、
図11は、バネ部材30との係合部である球体保持部40の取り付け部21bの斜視図である。回転支持機構50は、ホルダ20に固定される球体保持部40と、固定体300に固定されるバネ部材30と、を有している。
【0027】
バネ部材30は、
図8で表されるように、球面状に凹んだ凹球面である凹部34が設けられた内側平板部32と、バネ部材30が根元部36を基準にU字状に曲げられることで内側平板部32と対向するように向けられた外側平板部31とを有している。内側平板部32と外側平板部31とは、根元部36とは反対側において互いに離れる方向に力がかかる板バネ構造になっている。また、バネ部材30は、根元部36の内側平板部32及び外側平板部31とは異なる方向から延びる2つの突出部33が設けられている。2つの突出部33は互いに対向する位置に設けられるが、根元部36とは反対側において互いに離れる方向に力がかかる構造になっている。
【0028】
バネ部材30は、根元部36側を先頭方向にして
図9で表される固定部301に+Y方向に挿入されることで、該固定部301に固定される。固定部301に挿入される際のバネ部材30の配置は、固定部301の外面302と外側平板部31とが接触する配置である。すなわち、バネ部材30が固定部301に挿入される際、外側平板部31が外面302と接触し、内側平板部32が
図10で表されるホルダ20の側面21に接触し、突出部33がZ軸方向に対向する第1対向面303に接触する。ここで、固定部301においては、第1対向面303の奥側(+Y方向側)には第1対向面303の間隔よりも広い第2対向面304が設けられている。このため、バネ部材30が固定部301の奥まで挿入されると、突出部33は第2対向面304と接触し、第1対向面303と第2対向面304との間に形成される庇部305により突出部33の-Y方向への移動が規制される。バネ部材30は、このような形状をしていることにより、固定部301の奥まで挿入されることで該固定部301に固定される。
【0029】
図10で表されるように、ホルダ20の側面21には、
図11で表される球体保持部40の取り付け部21bが設けられる。取り付け部21bに取り付けられた球体保持部40の球体41は、固定部301に固定されたバネ部材30の凹部34に嵌まる。上記のように、内側平板部32と外側平板部31とは根元部36とは反対側において互いに離れる方向に力がかかる板バネ構造になっているので、凹部34は球体41側に押し当てられる。このため、バネ部材30により、球体41を介して、反射ユニット200にはX軸方向に沿う方向の予圧がかかる。そして、凹部34と球体41との接触点が反射ユニット200の固定体300に対する回転軸となる。なお、該回転軸は、X軸方向に沿う方向に延びるものであり、反射ユニット200全体のおよそ重心を通る配置となっている。
【0030】
また、
図8で表されるように内側平板部32には外側に向けて突出する凸部35が設けられており、
図10で表されるようにホルダ20の側面21には円弧状の溝21aが形成されている。バネ部材30が固定部301に固定されることに伴い、凸部35は溝21aに嵌まる。このような構成となっていることで、バネ部材30が固定部301の奥まで挿入されて凸部35が溝21aに嵌まることで、反射ユニット200がバネ部材30に対して抜け出ることが抑制される。上記のように、バネ部材30は固定体300に対して抜け出ることが抑制される構成となっているので、反射ユニット200は固定体300に対して抜け出ることが抑制される。なお、円弧状の溝21aは、凹部34と球体41との接触点を回転中心とする円弧に沿う方向に形成されているため、溝21aに凸部35が挿入されることで反射ユニット200が固定体300に対して回転することが妨げられることはない。
【0031】
本実施例の回転支持機構50は、固定体300に対して反射ユニット200を入射方向D1(Y軸方向)及び反射方向D2(Z軸方向)とともに交差する軸方向(X軸方向)を回転軸として回転させる回転支持機構である。そして、上記のように、回転支持機構50は、X軸方向において固定体300と反射ユニット200との間に配置され、X軸方向において固定体300と反射ユニット200との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材30を有する。ここで、バネ部材30は回転軸を構成する回転軸第1形成部材としての凹部34を有し、反射ユニット200は凹部34とともに回転軸を構成する回転軸第2形成部材としての球体41を有する。そして、凹部34及び球体41は、回転軸が反射ユニット200のおよそ重心位置を通る位置に配置されている。
【0032】
このように、本実施例の光学ユニット1においては、回転支持機構50は、軸方向において固定体300と反射ユニット200との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材30を有し、該バネ部材30に設けられる凹部34と反射ユニット200に設けられる球体41とで、反射ユニット200のおよそ重心位置を通る位置に配置される回転軸を形成する。反射ユニット200のおよそ重心位置を通る位置にこのような回転軸を形成することで、凹部34及び球体41が形成される反射ユニット200の面(ホルダ20の側面21)と固定体300の面(固定部301が設けられる面)との隙間を狭くしても固定体300に対する反射ユニット200の可動範囲を大きくすることができる。また、X軸方向において固定体300と反射ユニット200との間を広げる方向に力を加えるU字状のバネ部材30を有していることで、反射ユニット200に与圧を与える構成を簡単に形成している。さらに、回転軸が反射ユニット200のおよそ重心位置を通る位置に配置されていることで、自重により反射ユニット200が固定体300に対して位置ずれすること(自重垂れ)を抑制することができる。
【0033】
本実施例の光学ユニット1においては、回転軸第1形成部材及び回転軸第2形成部材は、凹部34及び球体41であり、このうちの一方である球体41に凸球面を有し、このうちの他方である凹部34に該凸球面が摺動する凹球面を有する構成である。このような構成とすることで、回転軸第1形成部材と回転軸第2形成部材とを点接触させることができ、摺動負荷を軽減できるとともに小さい軸受け構造とすることができる。なお、本実施例の光学ユニット1においては、回転軸第1形成部材として凹部34を有し、回転軸第2形成部材として球体41を有するが、回転軸第1形成部材として球体41を有し、回転軸第2形成部材として凹部34を有する構成としてもよい。さらには、凸球面及び凹球面以外の構成で、回転軸を構成してもよい。
【0034】
ここで、
図11で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、凸球面(球体41)を有する球体保持部40は、孔42aの開いた台座42に孔42aよりも径の大きい球体41を固定して形成される。このような構成とすることで、軸受け構造を簡単に構成することができる。なお、本実施例の球体保持部40は、球体保持部40の構成部材はいずれも金属なので、孔42aに球体41を溶接して固定しているが、球体41の孔42aへの固定方法は溶接に限定されない。
【0035】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、バネ部材30は、固定体300と反射ユニット200との間において回転軸の軸方向(X軸方向)と交差する挿入方向(
図9における+Y方向)に挿入することで固定体300の固定位置に固定され、挿入方向と逆向きに突出するとともに挿入方向と交差する変位方向(
図9におけるZ軸方向)に変位可能な突出部33を有する。そして、固定体300は、バネ部材30が固定位置に挿入されることに伴って突出部33が変位方向に変位して突出部33が引っ掛かる引っ掛け部としての庇部305を有する。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、固定位置に固定されたバネ部材30が挿入方向と逆向きに抜け出ることを抑制している。
【0036】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、反射ユニット200は回転軸の回転中心を回転中心とする円弧状の溝21aを有し、バネ部材30は溝21aに挿入される凸部35を有する。本実施例の光学ユニット1は、このような構成とすることで、反射ユニット200がバネ部材30から外れて反射ユニット200が固定体300から抜け出ることを抑制しているとともに、溝21aと凸部35とが干渉して反射ユニット200の固定体300に対する回転が妨げられることを抑制している。
【0037】
ここで、本実施例の光学ユニット1においては、溝21aは、固定体300に対して反射ユニット200が回転することに伴って最大に回転した場合でも、溝21aと凸部35とが円弧方向において接触しない長さに構成されている。このような構成とすることで、固定体300に対して反射ユニット200が最大に回転した場合でも、溝21aと凸部35とが干渉して反射ユニット200の固定体300に対する回転が妨げられることを抑制している。また、構造的に頑強にすることが難しい凸部35や円弧状の溝21aを円弧方向における反射ユニット200の回転の規制部としないことで、凸部35や溝21aが損傷することを抑制している。
【0038】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、バネ部材30は、固定体300と反射ユニット200との間において挿入方向に挿入することで固定体300の固定位置に固定される。ここで、バネ部材30は、固定体300と反射ユニット200との間を広げる方向における固定体300との接触位置が回転軸と揃う位置となるように構成されている。別の表現をすると、固定体300によるバネ部材30に対する力の作用点を回転軸と揃う位置にしている。具体的には、
図9における外面302における外側平板部31との接触点302aの位置をY軸方向において回転軸と揃う位置となるように構成している。このような構成としていることで、回転軸の位置ずれを効果的に抑制することができる。なお、本実施例においては、接触点302aの位置を回転軸と揃う位置となるように構成したが、外側平板部31の長さを調節することで該接触位置が回転軸と揃う位置となるように構成してもよい。
【0039】
<駆動機構>
次に、回転支持機構50に支持された反射ユニット200を駆動する駆動機構60について説明する。
図12は、本実施例の光学ユニット1の概略側面断面図である。
図12で表されるように、駆動機構60は、ホルダ20の背面22の載置部22aに載置された磁石24と、固定体300に形成されたコイル25とを有している。なお、磁石24は、平板状の鉄製のヨーク26に接着された状態で載置部22aに載置されて固定されている。
【0040】
なお、
図4、
図5及び
図7で表されるように、磁石24とコイル25とが対向する方向においてコイル25を基準にして磁石24とは反対側には、磁性体27が設けられている。このため、磁石24と磁性体27とで、磁石24と磁性体27とが引き合うことで固定体300に対する反射ユニット200の位置調整をする磁気バネを形成し、固定体300に対して反射ユニット200を自動で原点調整することを可能にしている。
【0041】
また、コイル25はフレキシブル配線基板51に接続されている。ここで、
図5で表されるように、フレキシブル配線基板51に弛み51aを形成することで、コイル25を固定体300に取り付ける際の作業性が向上する。
【0042】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…光学ユニット、10…プリズム(反射部)、10a…反射面、10b…入射面、10c…出射面、20…ホルダ、21…側面、21a…溝、21b…取り付け部、22…背面、22a…載置部、24…磁石、25…コイル、26…ヨーク、27…磁性体、30…バネ部材、30A…バネ部材、30B…バネ部材、31…外側平板部、32…内側平板部、33…突出部、34…凹部(回転軸第1形成部材)、35…凸部、36…根元部、40…球体保持部、41…球体(回転軸第2形成部材)、42…台座、42a…孔、50…回転支持機構、51…フレキシブル配線基板、51a…弛み、60…駆動機構、100…スマートフォン、101…レンズ、102…レンズ、103…基板、103a…撮像素子、104…カメラ、200…反射ユニット(可動体)、300…固定体、301…固定部、302…外面、302a…接触点、303…第1対向面、304…第2対向面、305…庇部(引っ掛け部)、310…開口、311…開口、320…窪み、D1…入射方向、D2…反射方向