(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光コネクタおよび光コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2020176124
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺本 勝則
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴治
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0139344(US,A1)
【文献】特表2020-519961(JP,A)
【文献】特開2017-142362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0271870(US,A1)
【文献】特開2011-112751(JP,A)
【文献】特開2001-215361(JP,A)
【文献】特開2000-338369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255
G02B 6/36- 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバ孔および前記ファイバ孔が開口する接続端面が形成されたフェルール本体を含み、前記ファイバ孔の軸方向における前記接続端面側を前方とし、その反対側を後方とするとき、前記ファイバ孔に挿入されるとともに前記フェルール本体から後方に延出した第1光ファイバを他の光ファイバと接続可能に保持するフェルールユニットと、
前記フェルールユニットを前方から挿入可能な第1挿入口と、前記他の光ファイバを後方から挿入可能な第2挿入口と、を有し、前記フェルールユニットの少なくとも一部を内部に収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容され、前記フェルールユニットを前記ハウジング内で前方に向けて付勢するスプリングと、を備え、
前記軸方向から見て、前記ファイバ孔の中心軸に交差する方向を径方向とするとき、
前記フェルールユニットは、前記フェルールユニットにおいて最も前記径方向における外側に位置する部位であるフランジ部を有し、
前記ハウジングは、前記径方向に弾性変形可能な係止片を有し、前記係止片には前記フランジ部に対して前方から当接する当接部が形成され
、
前記ハウジングは、前記径方向における外側から前記スプリングを前記ハウジング内に挿入可能な第3挿入口を有し、
前記第1挿入口、前記第2挿入口、前記第3挿入口、および前記係止片は、前記ハウジングとしての単一の部材に形成されている、光コネクタ。
【請求項2】
前記フランジ部が前記スプリングおよび前記当接部に接する、請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記フランジ部には切り欠きが形成され、
前記切り欠きの内側に前記当接部が進入している、請求項1
または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の光コネクタの製造方法であって、
前記ハウジングの内部に、前記径方向における外側から前記スプリングを収容した後、前記第1挿入口を通して前記フェルールユニットを前記ハウジングの内部に収容する工程を含む、光コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタおよび光コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フェルールと、フェルールを付勢するスプリングと、フェルールを収容するハウジングと、を備えた光コネクタが開示されている。このような光コネクタを組み立てる際には、一般的に、フェルールを保持する部材を後方からハウジング内に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組み立ての際に、フェルールを保持する部材をハウジングの後方から挿入する光コネクタにおいては、組み立て作業を行いにくい場合があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、組み立ての作業性を改善することができる光コネクタまたは光コネクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る光コネクタは、ファイバ孔および前記ファイバ孔が開口する接続端面が形成されたフェルール本体を含み、前記ファイバ孔の軸方向における前記接続端面側を前方とし、その反対側を後方とするとき、前記ファイバ孔に挿入されるとともに前記フェルール本体から後方に延出した第1光ファイバを他の光ファイバと接続可能に保持するフェルールユニットと、前記フェルールユニットを前方から挿入可能な第1挿入口と、前記他の光ファイバを後方から挿入可能な第2挿入口と、を有し、前記フェルールユニットの少なくとも一部を内部に収容するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、前記フェルールユニットを前記ハウジング内で前方に向けて付勢するスプリングと、を備え、前記軸方向から見て、前記ファイバ孔の中心軸に交差する方向を径方向とするとき、前記フェルールユニットは、前記フェルールユニットにおいて最も前記径方向における外側に位置する部位であるフランジ部を有し、前記ハウジングは、前記径方向に弾性変形可能な係止片を有し、前記係止片には前記フランジ部に対して前方から当接する当接部が形成されている。
【0007】
上記態様によれば、ハウジングの当接部がフランジ部に対して前方から当接することで、スプリングによって付勢されたフェルールユニットがハウジングから前方に脱落することが規制される。そして、光コネクタを製造する際には、フェルールユニットをハウジングに前方から挿入することで、係止片を弾性変形させて、当接部をフランジ部に前方から当接させることができる。これにより、フェルールユニットがスプリングによって前方付勢され、かつハウジング内で後方に移動可能な状態とすることができる。したがって、光コネクタを組み立てる際の作業性を改善することができる。
【0008】
ここで、前記フランジ部が前記スプリングおよび前記当接部に接してもよい。
【0009】
また、前記ハウジングは、前記径方向における外側から前記スプリングを前記ハウジング内に挿入可能な第3挿入口を有してもよい。
【0010】
また、前記フランジ部には切り欠きが形成され、前記切り欠きの内側に前記当接部が進入していてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る光コネクタの製造方法は、前記ハウジングの内部に、前記径方向における外側から前記スプリングを収容した後、前記第1挿入口を通して前記フェルールユニットを前記ハウジングの内部に収容する工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、組み立ての作業性を改善することができる光コネクタまたは光コネクタの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る光コネクタの斜視図である。
【
図4】
図3のIV方向から見た図であって、カップリングを省略した図である。
【
図5A】本実施形態の光コネクタの製造方法を説明する図である。
【
図6】本実施形態の第1変形例に係る光コネクタのうち、フェルールユニットの斜視図である。
【
図7】本実施形態の第1変形例に係る光コネクタの断面図である。
【
図8】本実施形態の第2変形例に係る光コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の光コネクタについて図面に基づいて説明する。
図1および
図2Aに示すように、光コネクタ1Aは、フェルールユニット2と、ハウジング50と、スプリングSと、カップリング60と、ブーツ70と、を備える。
図2Bに示すように、フェルールユニット2は、フェルール本体10と、保持部材20と、付勢部材30と、押圧部材40A、40Bと、第1光ファイバF1(
図3参照)と、を含む。フェルール本体10にはファイバ孔11が形成されており、ファイバ孔11の内側に第1光ファイバF1が挿通されている。フェルール本体10は、ファイバ孔11が開口する接続端面12を有する。第1光ファイバF1は接続端面12に露出している。なお、第1光ファイバF1は、通常、フェルール本体10に内挿及び固定されているため、内挿光ファイバともいわれる。
【0015】
(方向定義)
本明細書では、ファイバ孔11が延びる方向を軸方向Xという。軸方向Xにおいて、フェルール本体10から見て接続端面12側(+X側)を前方または先端側といい、その反対側(-X側)を後方または基端側という。軸方向Xから見て、ファイバ孔11の中心軸に交差する方向を径方向といい、前記中心軸回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
図1に示すように、カップリング60は、軸方向Xに延びる矩形の筒状に形成されている。光コネクタ1Aが組み立てられた状態においては、カップリング60からフェルール本体10が前方に突出する。フェルール本体10の前方の端部には、接続端面12を保護するキャップが取り付けられてもよい。この場合、接続端面12に露出する第1光ファイバF1に汚れなどが付着することを抑制できる。
図3に示すように、カップリング60には、クサビ部材(不図示)を挿通させるための挿通孔61、62が形成されている。
【0017】
フェルール本体10は、軸方向Xに沿って延びる円柱状である。ただし、フェルール本体10の形状は適宜変更可能であり、例えば角柱状であってもよい。
図3に示すように、第1光ファイバF1は、フェルール本体10から後方に延出している。
保持部材20は、フェルール本体10を保持している。
図3に示すように、保持部材20は、フランジ部21と、ファイバ保持部22と、を有する。フランジ部21は軸方向Xに延びる円形の筒状である。フランジ部21の内側にフェルール本体10の後方の端部が嵌入されている。フランジ部21は、後方を向く第1座面23を有する。第1座面23には、スプリングSが接している(
図4参照)。
【0018】
フランジ部21の外周面には、径方向における内側に向けて窪む一対の規制溝21aが形成されている(
図2B参照)。各規制溝21aは、軸方向Xに沿って延びている。各規制溝21aに、ハウジング50に形成されている一対の規制突起26(
図5A参照)が嵌合することで、保持部材20のハウジング50に対する回転が規制される。ただし、フランジ部21の形状は適宜変更してもよい。
【0019】
図3に示すように、ファイバ保持部22は、フランジ部21から後方に向けて延びている。ファイバ保持部22には、第1光ファイバF1および他の光ファイバである第2光ファイバF2を保持するためのファイバ溝22aが形成されている。ファイバ溝22aによって位置決めされた状態で、第1光ファイバF1の後端面と第2光ファイバF2の前端面とが当接される。これにより、第1光ファイバF1と第2光ファイバF2とが光学的に接続される。
【0020】
ファイバ保持部22の外径は、フランジ部21の外径よりも小さい。言い換えると、フランジ部21はファイバ保持部22から径方向外側に突出している。フランジ部21は、フェルールユニット2のうち、最も径方向における外側に位置する部位である。より具体的には、フランジ部21の外周面の径が、フェルールユニット2の最大外径である。ファイバ保持部22には、押圧部材40A、40Bが当接している。押圧部材40Aは、押圧部材40Bよりも前方に位置している。
【0021】
付勢部材30は、例えばU字形状のクリップであり、金属等の弾性材によって半筒状に形成されており、弾性変形可能である。付勢部材30は、ファイバ保持部22に向けて押圧部材40A、40Bを付勢しており、光ファイバF1、F2はファイバ保持部22と押圧部材40A、40Bとの間で挟まれている。これにより、フェルール本体10に内挿されている第1光ファイバF1と、接続対象となる他の光ファイバである第2光ファイバF2がフェルールユニット2に固定されるとともに、光学的に接続された状態が維持される。なお、カップリング60の挿通孔61、62を通して、クサビ部材(不図示)をファイバ保持部22と押圧部材40A、40Bとの間に進入させると、押圧部材40A、40Bとファイバ保持部22との間の隙間が広がる。したがって、光ファイバF1、F2の固定を解除することができる。
このように、ファイバ保持部22と付勢部材30とにより、光ファイバF1(内挿光ファイバ)、F2(他の光ファイバ)がフェルールユニット2に固定される部材を、一般的にメカニカルスプライス素子と呼ぶ(単に素子と呼ぶこともある)。
【0022】
図2Aに示すように、ブーツ70は軸方向Xに延びる筒状である。ブーツ70の前方の端部の内側には、筒状のネジ部材71が固定されている。ネジ部材71の内周面には、雌ネジ部が形成されている。ブーツ70から、後方に向けて、外皮72が延出している。外皮72は、第2光ファイバF2を内部に収容している。第2光ファイバF2は、被覆層Cによって覆われている。ただし、第2光ファイバF2の前方の端部は被覆層Cによって覆われておらず、第2光ファイバF2が剥き出しになっている。この剥き出しになった部分が、フェルールユニット2のファイバ溝22a内に挿入される。
【0023】
図2Aに示すように、ハウジング50は、軸方向Xに延びる筒状であり、フェルールユニット2の少なくとも一部を内部に収容する。本実施形態では、フェルール本体10の前方の端部がハウジング50から前方に突出しているが、フェルールユニット2の全体がハウジング50内に収容されていてもよい。
図2Aおよび
図3に示すように、ハウジング50は、第1挿入口51と、第2挿入口52と、第3挿入口53と、一対の係止片54と、第2座面55と、を有する。第1挿入口51はハウジング50の前方の開口部であり、第2挿入口52はハウジング50の後方の開口部である。第1挿入口51の内径は、フェルールユニット2の最大外径(フランジ部21の外周面の外径)より大きい。このため、フェルールユニット2は第1挿入口51を通してハウジング50内に挿入されることができる。
【0024】
第2挿入口52の内径は、第2光ファイバF2を覆う被覆層Cの外径より大きい。このため、第2光ファイバF2は第2挿入口52を通してハウジング50内に挿入されることができる。第2挿入口52は軸方向Xに延びる円筒状であり、外周面に雄ネジ部が形成されている。第2挿入口52の雄ネジ部にネジ部材71の雌ネジ部が螺着されることで、ハウジング50とブーツ70とが結合される。
【0025】
図2Aに示すように、第3挿入口53は、ハウジング50の側面(径方向外側を向く面)に開口している。第3挿入口53は、径方向における外側からスプリングSがハウジング50内に挿入可能となるように形成されている。
【0026】
一対の係止片54は、軸方向Xに延びる板状である。各係止片54は、各係止片54の前方の端部を基点として、径方向における外側に向けて弾性変形可能となっている。係止片54は第3挿入口53よりも前方に位置している。
図3に示すように、一対の係止片54は、径方向においてフェルール本体10を間に挟むように配置されている。各係止片54の後方の端部には、径方向における内側に突出した当接部54aが形成されている。当接部54a同士の間の寸法は、フランジ部21の外径よりも小さい。各当接部54aは、傾斜面54bと、後方を向く当接面54cと、を有する。傾斜面54bは、後方に向かうに従って径方向における内側に向かうように傾斜している。
【0027】
第2座面55は、ハウジング50の内部に形成されており、前方を向いている。
図4に示すように、第1座面23と第2座面55との間に、軸方向Xにおいて圧縮された状態のスプリングSが配置されている。この構成により、保持部材20はスプリングSから前方に向けた付勢力を受ける。
ハウジング50の当接面54cは、前方からフランジ部21に当接している。このため、スプリングSによって前方付勢されている保持部材20が、ハウジング50から前方に脱落することが規制されている。
【0028】
次に、以上のように構成された光コネクタ1Aの組立方法(製造方法)の一例について説明する。
【0029】
まず、スプリングSをハウジング50に対して径方向における外側から第3挿入口53を通して収容する。
次に、
図5Aに示すように、フェルールユニット2をハウジング50に対して前方から第1挿入口51を通して挿入する。このとき、フェルールユニット2内には第1光ファイバF1が設けられているが、第2光ファイバF2は設けられていない状態である。フェルールユニット2を後方に向けて所定量移動させると、フランジ部21が一対の当接部54aの各傾斜面54bに当接する。さらにフェルールユニット2を後方に移動させると、傾斜面54bを押されることで係止片54が径方向における外側に弾性変形し、当接部54a同士の間の間隔が広がる。
【0030】
図5Bに示すように、さらにフェルールユニット2を後方に移動させると、第1座面23にスプリングSが当接するとともに、フランジ部21が当接部54aを後方に乗り越え、係止片54が径方向における内側に向けて復元変形する。これにより、保持部材20がスプリングSにより前方に付勢され、かつ、当接面54cにフランジ部21が当接することで保持部材20の前方移動が規制された状態となる。
【0031】
その後、第2光ファイバF2をフェルールユニット2のファイバ溝22a内に後方から挿入する工程や、カップリング60等を取り付ける工程等を行うことで、光コネクタ1Aが完成する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の光コネクタ1Aは、ファイバ孔11およびファイバ孔11が開口する接続端面12が形成されたフェルール本体10を含むフェルールユニット2と、ハウジング50と、スプリングSと、を備える。フェルールユニット2は、ファイバ孔11の軸方向Xにおける接続端面12側を前方とし、その反対側を後方とするとき、ファイバ孔11に挿入されるとともにフェルール本体10から後方に延出した第1光ファイバF1を他の光ファイバ(第2光ファイバF2)と接続可能に保持する。ハウジング50は、フェルールユニット2を前方から挿入可能な第1挿入口51と、第2光ファイバF2を後方から挿入可能な第2挿入口52と、を有し、フェルールユニット2の少なくとも一部を内部に収容する。スプリングSは、ハウジング50の内部に収容され、フェルールユニット2をハウジング50内で前方に向けて付勢する。軸方向Xから見て、ファイバ孔11の中心軸に交差する方向を径方向とするとき、フェルールユニット2は、フェルールユニット2において最も径方向における外側に位置する部位であるフランジ部21を有し、ハウジング50は、径方向に弾性変形可能な係止片54を有し、係止片54にはフランジ部21に対して前方から当接する当接部54aが形成されている。
【0033】
上記構成によれば、ハウジング50の当接部54aがフランジ部21に対して前方から当接することで、スプリングSによって付勢されたフェルールユニット2がハウジング50から前方に脱落することが規制される。そして、光コネクタ1Aを製造する際には、フェルールユニット2をハウジング50に前方から挿入することで、係止片54を弾性変形させて、当接部54aをフランジ部21に前方から当接させることができる。これにより、フェルールユニット2がスプリングSによって前方付勢され、かつハウジング50内で後方に移動可能な状態とすることができる。したがって、光コネクタ1Aを組み立てる際の作業性を改善することができる。
【0034】
また、フランジ部21は、スプリングSに接する第1座面23を有するとともに、当接部54aの当接面54cに接している。このように、フランジ部21がスプリングSおよび当接部54aの両者に接することで、フェルールユニット2を前方付勢された状態で保持するための部品点数が少なくなり、コストを低減することができる。
【0035】
また、ハウジング50は、径方向における外側からスプリングSをハウジング50内に挿入可能な第3挿入口53を有している。このため、スプリングSをハウジング50内に収容する作業がより容易になっている。
【0036】
また、本実施形態の光コネクタ1Aの製造方法は、ハウジング50の内部に、径方向における外側からスプリングSを収容した後、第1挿入口51を通してフェルールユニット2をハウジング50の内部に収容する工程を含んでいる。このような製造方法を採用することで、光コネクタ1Aの組立の作業性が向上する。
【0037】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0038】
(第1変形例)
例えば
図6に示すように、フランジ部21には、一対の切り欠き21bが形成されていてもよい。切り欠き21bは、フランジ部21の外周面から径方向内側に窪むとともに、前方に向けて開口している。さらに
図7に示すように、切り欠き21bの内側に当接部54aが進入していてもよい。この場合、切り欠き21bの内面(前方を向く面)に当接部54aの当接面54cが当接することで、フェルールユニット2がハウジング50から前方に脱落することが規制される。さらに、切り欠き21b内に当接部54aが進入することで、当接部54aによって保持部材20の回転を規制することができる。
図6、
図7では、一対の切り欠き21bに一対の当接部54aがそれぞれ進入している。また、周方向において、規制溝21aおよび切り欠き21bが略等間隔に交互に配置されている。ただし、切り欠き21bおよび当接部54aの数は適宜変更可能であり、規制溝21aは無くてもよい。
【0039】
(第2変形例)
また、
図8に示すように、スプリングSはフランジ部21に接していなくてもよい。
図8の例では、ファイバ保持部22の後方の端部に第1座面23が形成されている。また、ハウジング50の内面のうち、軸方向Xにおいて第1座面23に対向する部分に、第2座面55が形成されている。このような構成でも、ハウジング50の前方からフェルールユニット2を挿入することが可能である。
【0040】
(その他の変形例)
また、前記実施形態では、光コネクタ1Aは単心コネクタであった。しかしながら、光コネクタ1Aは多心コネクタであってもよい。この場合、フェルール本体10は複数のファイバ孔11を有し、各ファイバ孔11に第1光ファイバF1が挿入される。さらに、外皮72には複数の第2光ファイバF2が収容され、フェルールユニット2は複数の第1光ファイバF1および複数の第2光ファイバF2が光学的に接続された状態で保持するように構成される。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1A…光コネクタ 2…フェルールユニット 10…フェルール本体 11…ファイバ孔 12…接続端面 21…フランジ部 50…ハウジング 51…第1挿入口 52…第2挿入口 53…第3挿入口 54…係止片 54a…当接部 F1…第1光ファイバ F2…第2光ファイバ S…スプリング X…軸方向