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特許7526638鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C23G 1/08 20060101AFI20240725BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20240725BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20240725BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20240725BHJP
   C23G 1/10 20060101ALI20240725BHJP
   C23G 1/20 20060101ALI20240725BHJP
   C23G 1/19 20060101ALI20240725BHJP
   C23G 1/24 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C23G1/08
C11D3/36
C11D1/62
C11D3/34
C23G1/10
C23G1/20
C23G1/19
C23G1/24
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020182048
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072546
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 純
(72)【発明者】
【氏名】司馬 寛也
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-13808(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109136945(CN,A)
【文献】特開2012-000644(JP,A)
【文献】特開2017-193738(JP,A)
【文献】特開2015-105411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 1/00-5/06
C25F 1/00-7/02
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元性含硫黄化合物(成分A)、ホスホン酸系キレート剤(成分B)、アルキル4級アンモニウム塩(成分C)、及び水(成分D)を含有する、鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分Cが、少なくとも炭素数が6以上22以下のアルキル基を1つ有する、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分Bの含有量が、3質量%以上20質量%以下である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分Aの含有量が、1質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記成分Cの含有量が、0.03質量%以上2質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
pHが4以上10以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
鉄系部材と銅系部材を有する部材の洗浄に用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記部材が、鉄系部材と銅系部材を加熱接合したものである、請求項7に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
鉄系部材と銅系部材を含む部材を請求項1~8のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物に接触させて洗浄する洗浄工程を有する、部材の洗浄方法。
【請求項10】
前記部材が、鉄系部材と銅系部材を加熱接合したものである、請求項9に記載の部材の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄系部材と銅系部材を含む部材の製造において、鉄系部材と銅系部材をロウ付けによって加熱接合すると熱によって銅系部材の表面に酸化銅が生じる。銅系部材の表面に酸化銅が生じると外観不良となるため、酸化銅の除去が必要になる。
【0003】
例えば、特許文献1には、メルカプト基を有する還元性化合物を有効成分とする水溶液からなる銅系材料の酸化皮膜除去剤が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、金属表面のスケール除去・防錆剤として、有機ホスホン酸、カルボン酸及びメルカプトカルボン酸を含有し、pH5~8の範囲内に調整されていることを特徴とするスケール除去・防錆剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-111887号公報
【文献】特開2010-70805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄系部材と銅系部材とが加熱接合された接合部材を、特許文献1に記載の酸化皮膜除去剤で洗浄し、当該酸化皮膜除去剤から取り出した後に搬送等によって長時間空気に晒すと鉄系部材の表面に鉄錆が発生してしまい、接合部材が製品不良となることがある。特許文献2に記載の防錆剤では、鉄系部材に対するエッチング量が高く、洗浄槽の洗浄液を繰り返し用いた際には洗浄液に鉄イオンが蓄積されやすく、その際には部材に鉄イオンが付着しやすくなり、短時間の搬送では問題なくてもより長時間経過後で部材の表面に鉄錆が発生する場合があるため、同様の問題がある。
【0007】
また、鉄系部材に対するエッチング量が多すぎると長期使用時に洗浄槽に鉄イオンが蓄積される。洗浄後搬送時に蓄積された鉄イオンが接合部材に多く付着している場合、鉄イオンの再析出が発生しやすく洗浄後搬送時に鉄錆が発生してしまう。そのため洗浄中でのエッチング量を抑制する事が必要である。特許文献2に記載の防錆剤は洗浄中での除錆効果を有するがエッチング量が多いため付着した鉄イオンが洗浄後搬送時に容易に再析出し鉄錆が発生してしまう。
【0008】
本発明は、鉄系部材と銅系部材を加熱接合する等で銅系部材の表面に生じる酸化銅等の金属酸化物の洗浄性に優れながら、鉄系部材の洗浄中のエッチング量を抑制でき、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制できる鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物、及び鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、還元性含硫黄化合物(成分A)、ホスホン酸系キレート剤(成分B)、アルキル4級アンモニウム塩(成分C)、及び水(成分D)を含有する、鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物である。
【0010】
また、本発明は、鉄系部材と銅系部材を含む部材を前記部材用洗浄剤組成物に接触させて洗浄する洗浄工程を有する、鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鉄系部材と銅系部材を加熱接合する等で銅系部材の表面に生じる酸化銅等の金属酸化物の洗浄性に優れながら、鉄系部材の洗浄中のエッチング量を抑制でき、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制できる鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物、及び鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物>
本実施形態の鉄系部材と銅系部材を含む部材用洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤組成物」ともいう)は、還元性含硫黄化合物(成分A)、ホスホン酸系キレート剤(成分B)、アルキル4級アンモニウム塩(成分C)、及び水(成分D)を含有する。本実施形態の洗浄剤組成物によれば、鉄系部材と銅系部材を加熱接合する等で銅系部材の表面に生じる酸化銅等の金属酸化物の洗浄性に優れながら、鉄系部材の洗浄中のエッチング量を抑制でき、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制できる。本実施形態の洗浄剤組成物がこのような効果を奏する理由は定かではないが以下のように考えられる。
【0013】
本実施形態の洗浄剤組成物は、還元性含硫黄化合物(成分A)の作用により銅系部材表面の酸化銅や鉄系部材表面の酸化鉄等の金属酸化物が還元されて除去され、ホスホン酸系キレート剤(成分B)が還元された金属を補足し、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する。一方、部材を従来の洗浄剤組成物から取り出した際に部材表面に鉄錆の原因となる金属イオンが多く付着するため、部材が長時間空気に晒されると再酸化されて鉄錆が発生してしまう。本実施形態の洗浄剤組成物が含有するアルキル4級アンモニウム塩(成分C)は、金属酸化物の洗浄性には影響を与えず、金属イオンに選択的に吸着する事で金属部材を長時間空気に晒しても鉄錆が発生することなく、また、鉄などの表面の過剰な溶解を抑制できると考えられる。
【0014】
〔還元性含硫黄化合物(成分A)〕
前記洗浄剤組成物は、金属酸化物の除去性の観点から、前記成分Aを含有する。前記成分Aは分子内に硫黄を含有する還元性の化合物である。前記成分Aの例としては、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトブタン酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセロール、チオ酢酸、チオ尿素等が挙げられる。前記成分Aは、金属酸化物の除去性の観点から、メルカプト基を有するもの及びチオ尿素が好ましく、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセロール及びチオ尿素からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
【0015】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Aの含有量は、金属酸化物の除去性の観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、含有量に対して得られる効果の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0016】
〔ホスホン酸系キレート剤(成分B)〕
前記洗浄剤組成物は、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、前記成分Bを含有する。前記成分Bの例としては、ホスホン酸類から選ばれる1種以上の酸又はその塩が挙げられる。前記ホスホン酸類としては、アルキルホスホン酸、アルキルアミノホスホン酸、ヒドロキシアルキルホスホン酸及びその塩等が挙げられ、具体的にはメチレンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸等が例示できる。前記成分Bは、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、メチレンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸又はその塩が好ましい。
【0017】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Bの含有量は、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、含有量に対して得られる効果の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0018】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Aに対する前記成分Bの質量比(B/A)は、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、金属酸化物の除去性の観点から、14以下が好ましく、9以下がより好ましく、5以下がより好ましい。
【0019】
〔アルキル4級アンモニウム塩(成分C)〕
前記洗浄剤組成物は、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制する観点から、前記成分Cを含有する。アルキル4級アンモニウムとしては、アルキルトリメチルアンモニウム又はアルキルトリエチルアンモニウムが好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムがより好ましい。前記成分Cは、少なくとも炭素数が6以上のアルキル基を1つ有することが好ましく、炭素数が6以上のアルキル基を1つ有することが好ましく、アルキル基の炭素数は、6以上が好ましく、12以上がより好ましく、洗浄液安定性の観点から、22以下が好ましく、18以下がより好ましい。また、アルキル4級アンモニウム塩の塩としては、塩化物の塩及び臭化物の塩が好ましい。
【0020】
前記成分Cの例としてはテトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム等の塩が挙げられる。前記成分Cは、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制する観点から、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、及びオクタデシルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0021】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Cの含有量は、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、洗浄液安定性の観点から、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0022】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Aに対する前記成分Cの質量比(C/A)は、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.03以上が更に好ましく、金属酸化物の除去性の観点から、0.8以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.2以下がより好ましい。
【0023】
〔水(成分D)〕
前記洗浄剤組成物は、前記成分Dを含有する。前記成分Dは、工業用水、水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、洗浄性の観点から、イオン交換水が好ましい。
【0024】
前記洗浄剤組成物中の前記成分Dの含有量は、洗浄液安定性の観点から、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、78質量%以上が更に好ましく、洗浄中の鉄錆の発生を抑制する観点から、95質量%以下が好ましく、93質量%以下がより好ましい。
【0025】
〔その他の成分〕
前記洗浄剤組成物は、前記成分A~D以外の成分を本発明の効果に影響がない範囲で含有してもよい。前記成分A~D以外の成分としては、例えば、酸やアルカリ等のpH調整剤、可溶化剤、分散剤、増粘剤等の濃縮化剤、消泡剤、防腐剤、着色剤等が挙げられる。
【0026】
前記洗浄剤組成物のpHは、鉄錆発生抑制の観点から、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、洗浄液安定性・安全性の観点から、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。
【0027】
前記洗浄剤組成物は、上記の各成分を公知の方法で配合することにより製造できる。前記「配合する」とは、上記の各成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。
【0028】
前記洗浄剤組成物は、前記成分A~Cを含有し、前記成分Dである水の含有量が少ない濃縮された組成物を、使用時に水で希釈することより各成分の濃度及びpHを調製して用いることができる。
【0029】
<鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄方法>
本実施形態の鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄方法(以下、単に「部材の洗浄方法」ともいう)は、鉄系部材と銅系部材を含む部材を前記洗浄剤組成物に接触させて洗浄する洗浄工程を有する。本実施形態の部材の洗浄方法によれば、鉄系部材と銅系部材を加熱接合する等で銅系部材の表面に生じる酸化銅等の金属酸化物の洗浄性に優れながら、鉄系部材の洗浄中のエッチング量を抑制でき、洗浄後の鉄系部材の表面の鉄錆の発生を抑制できる。本実施形態の部材の洗浄方法がこのような効果を奏する理由は定かではないが前記洗浄剤組成物が効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
【0030】
本実施形態の部材の洗浄方法は、鉄系部材と銅系部材を含む部材の洗浄に前記洗浄剤組成物を用いる以外は公知の部材の洗浄方法を適用することができる。鉄系部材と銅系部材を含む部材としては、鉄系部材と銅系部材を含む接合部材が挙げられる。鉄系部材と銅系部材を含む接合部材としては、銅の配管が接合された鉄製容器、銅板と鉄板が接合された金属板等が挙げられる。例えば、接合方法としては、アーク溶接、ガス溶接、レーザ溶接のような母材を溶融させる溶融接合、ロウ付け、ハンダ付けを行う事で接合する液相接合等が挙げられる。
【0031】
前記洗浄工程において前記部材に前記洗浄剤組成物を接触させて洗浄する方法としては連続洗浄、即ち浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、電解洗浄等が挙げられる。
【実施例
【0032】
<洗浄剤組成物の調製>
実施例1~28および比較例1~7で用いた組成物を表1~3に記載のように調製し、洗浄試験を実施した。
【0033】
<酸化銅洗浄試験>
タフピッチ銅板を空気雰囲気でホットプレートにて240℃で4時間加熱し、タフピッチ銅板の表面に酸化銅を生じさせた。当該酸化銅を生じさせたタフピッチ銅板を各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物100mlに25℃にて30秒間浸漬した後、引き上げて水すすぎを行いエアブローにて乾燥して各実施例及び各比較例に係る測定サンプルを得た。各測定サンプルの外観を確認し下記の指標を元に洗浄性を確認した。評価結果を表1~3に示す。
◎.酸化銅を100%~75%除去
〇.酸化銅を75%未満~50%除去
△.酸化銅を50%未満~25%除去
×.酸化銅を25%未満~0%除去
【0034】
<鉄錆発生時間>
冷間圧延鋼板基板(SPCC基板)を各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物100mlに25℃にて30秒間浸漬した後、引き上げた。引き上げてからSPCC基板の表面に鉄錆が発生するまでの時間(秒)を評価した。評価結果を表1~3に示す。
【0035】
<鉄材エッチング試験>
SPCC基板を各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物100mlに25℃にて1時間浸漬した後、引き上げた。SPCC基板を引き上げた後の各洗浄剤組成物中の鉄イオン濃度をICPにて測定し、SPCC基板から溶出した鉄の量(鉄エッチング量)を算出した。評価結果を表1~3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】