(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240725BHJP
B65H 31/36 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B65H31/00 B
B65H31/36
(21)【出願番号】P 2020198605
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】中西 功
(72)【発明者】
【氏名】奥村 英之
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-286556(JP,A)
【文献】米国特許第8430399(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する排出ローラと、
前記排出ローラによって排出された媒体を載置する第1トレイと、
前記第1トレイから引き出し可能に設けられた第2トレイと、
伏せられた状態で前記第2トレイとともに前記第1トレイ内に収納され、前記第2トレイの媒体排出方向の下流側の端部に回転可能に支持され、且つ、被摺動部が設けられたストッパと、を有し、
前記第1トレイには、前記第2トレイが前記第1トレイから引き出される動作に応じて、前記被摺動部と摺動して、前記ストッパを起立させる摺動部が設けられる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記被摺動部は、突起形状を有し、
前記摺動部は、カム形状を有する、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記第2トレイには、係止部が設けられ、
前記ストッパには、起立した状態で前記係止部により係止される被係止部が設けられる、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記第2トレイの媒体排出方向の下流側の端部を露出するための切り欠き部を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置に関し、特に、排出された媒体を載置するトレイを有する媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、媒体を搬送させて撮像し、排出するスキャナ等の媒体排出装置では、処理の高速化が要求されている。また、このような媒体排出装置では、用紙等に加えて、パスポート又は冊子等を撮像することも要求されている。媒体排出装置において、パスポート又は冊子等を良好に搬送させるために、媒体搬送路は、屈曲しないように平面状に形成させる必要がある。一般に、媒体排出装置では、排出された媒体を載置するトレイにストッパが設けられているが、利用者がストッパをセットし忘れると、平面状に形成された媒体搬送路から排出される媒体がトレイから飛び出して散らばってしまう可能性がある。
【0003】
排出されるシートが積載される排出トレイと、排出トレイに対してシート排出方向へ伸縮可能な排出延長トレイとを有するシート排出装置が開示されている(特許文献1を参照)。このシート排出装置は、排出延長トレイのシート排出方向の下流側に排出延長トレイと連結して設けられ、排出延長トレイとの連結部近傍を回動中心として回動可能な先端規制部を有する。
【0004】
筐体に対して開閉することが可能であり、開けた状態においてシートを支持する蓋部と、蓋部の中に収納されシートを支持するための延長部と、蓋部の開閉と連動して延長部を回動させる連動機構とを有するイメージング装置が開示されている(特許文献2を参照)。このイメージング装置では、連動機構により、蓋部を開けると延長部が回動して蓋部の中から飛び出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-137559号公報
【文献】特開2014-51361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体排出装置では、トレイにおいてストッパがより確実にセットされることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、トレイにおいてストッパをより確実にセットすることが可能な媒体排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラによって排出された媒体を載置する第1トレイと、第1トレイから引き出し可能に設けられた第2トレイと、伏せられた状態で第2トレイとともに第1トレイ内に収納され、第2トレイの媒体排出方向の下流側の端部に回転可能に支持され、且つ、被摺動部が設けられたストッパと、を有し、第1トレイには、第2トレイが第1トレイから引き出される動作に応じて、被摺動部と摺動して、ストッパを起立させる摺動部が設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体排出装置は、トレイにおいてストッパをより確実にセットすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る媒体排出装置100を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る媒体排出装置100を示す斜視図である。
【
図3】媒体排出装置100を側方から見た側面図である。
【
図4】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図5】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図6】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図7】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図8】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図9】ストッパ108について説明するための模式図である。
【
図10】ストッパ108の動作について説明するための模式図である。
【
図11A】ストッパ108の動作について説明するための模式図である。
【
図11B】ストッパ108の動作について説明するための模式図である。
【
図12A】ストッパ108の動作について説明するための模式図である。
【
図12B】ストッパ108の動作について説明するための模式図である。
【
図13A】起立した状態のストッパ108について説明するための模式図である。
【
図13B】起立した状態のストッパ108について説明するための模式図である。
【
図14】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1、
図2は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。
図1は、排出台104が格納された状態の媒体排出装置100を示し、
図2は、排出台104がセットされた状態の媒体排出装置100を示す。
【0013】
媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像し、排出する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。用紙又は厚紙には、媒体排出装置100がサポートする最大サイズ(A4サイズ又はA3サイズ等)を有する大型媒体、名刺又はレシート等の小型媒体、大型媒体より小さく且つ小型媒体より大きい中型媒体(A5サイズ、A6サイズ等)が含まれる。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体排出装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103及び排出台104等を備える。
図1、
図2において矢印A1は媒体排出方向を示す。以下では、上流とは媒体排出方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体排出方向A1の下流のことをいう。また、矢印A2は媒体排出方向A1と直交する幅方向を示す。また、矢印A3は排出台104の上面と直交する高さ方向を示す。
【0015】
下側筐体101及び上側筐体102は、筐体の一例である。上側筐体102は、媒体排出装置100の上面を覆う位置に配置され、ヒンジにより下側筐体101に係合している。上側筐体102は、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に矢印A4の方向に開閉可能に設けられている。下側筐体101及び上側筐体102は、媒体を排出する排出口101aを有する。下側筐体101は、排出台104を収納するための収納部101bを有する。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。
【0017】
排出台104は、排出口101aの下方に設けられ、排出口101aから排出された媒体を積載するように、下側筐体101に取り付けられている。排出台104は、媒体排出装置100が使用されないときには下側筐体101の収納部101bに収納され、媒体排出装置100が使用されるときに下側筐体101から媒体排出方向A1に引き出され、排出口101aから排出された媒体を積載する。排出台104は、第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107、ストッパ108及びカバー109を有する。
【0018】
第1排出トレイ105は、下側筐体101から媒体排出方向A1に引き出し可能に設けられる。第1排出トレイ105は、使用されないときには下側筐体101内部に収納され、使用されるときに下側筐体101から引き出され、排出された媒体を積載する。第2排出トレイ106は、第1トレイの一例であり、第1排出トレイ105から媒体排出方向A1に引き出し可能に設けられる。第2排出トレイ106は、使用されないときには第1排出トレイ105内部に収納され、使用されるときに第1排出トレイ105から引き出され、排出された媒体、特にサイズが大きい媒体を載置する。第3排出トレイ107は、第2トレイの一例であり、第2排出トレイ106から媒体排出方向A1に引き出し可能に設けられる。第3排出トレイ107は、使用されないときには第2排出トレイ106内部に収納され、使用されるときに第2排出トレイ106から引き出され、排出された媒体、特にサイズがさらに大きい媒体を載置する。
【0019】
ストッパ108は、第3排出トレイ107に対して折り畳み可能に設けられ、起立した状態で、排出された媒体の先端を停止させ、各媒体の先端を規制する。
【0020】
カバー109は、下側筐体101内に収納された第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108を覆うためのカバーである。カバー109は、下側筐体101内に埃等が進入することを防止する。カバー109において、媒体排出方向A1の下流側の端部であり、且つ、幅方向A2のストッパ108と対向する位置には、上方に向けて開口された凹部109aが設けられている。凹部109aにより、利用者がストッパ108を起立させたまま、第1排出トレイ105、第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107を下側筐体101内に収納した場合でも、ストッパ108がカバー109と衝突して損傷することが抑制される。
【0021】
なお、第1排出トレイ105は、引き出し及び収納可能でなく、下側筐体101に折り畳み可能に、着脱可能に、又は、固定されて取り付けられてもよい。また、第2排出トレイ106は、引き出し及び収納可能でなく、第1排出トレイ105に折り畳み可能に、着脱可能に、又は、固定されて取り付けられてもよい。また、第1排出トレイ105は省略され、第2排出トレイ106が、直接下側筐体101に、引き出し可能に、折り畳み可能に、着脱可能に、又は、固定されて取り付けられてもよい。
【0022】
図3は、媒体排出装置100を側方から見た側面図である。
【0023】
図3に示すように、排出台104は、水平面H(媒体排出装置100が設置される設置面)に対して、略平行となるように設けられる。第1排出トレイ105と水平面がなす角度は10°以下であり、好ましくは0°である。第2排出トレイ106と水平面がなす角度θ1は0°より大きく且つ15°以下であり、好ましくは10°である。第3排出トレイ107と水平面がなす角度θ2は15°より大きく且つ25°以下であり、好ましくは18°である。第2排出トレイ106と水平面がなす角度θ1は第1排出トレイ105と水平面がなす角度より大きく、第3排出トレイ107と水平面がなす角度θ2は第2排出トレイ106と水平面がなす角度θ1より大きい。
【0024】
後述するように、媒体排出装置100の媒体搬送路は、屈曲しないように略平面状に形成されており、媒体は排出口101aから高速度で排出される。媒体排出装置100では、排出台104が、特に排出口101aの近傍において、略水平になるように設けられていることにより、媒体搬送路から排出された媒体の先端が排出台104に垂直に近い角度で衝突して損傷してしまうことが抑制される。
【0025】
図4~
図9は、ストッパ108について説明するための模式図である。
図4~
図9は、下側筐体101から取り外した状態の第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108を示す。
【0026】
図4は、第1排出トレイ105から第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107が引き出され、ストッパ108がセットされた状態を示す。
図4に示すように、第3排出トレイ107には、ストッパ108を収納するために、高さ方向A3において貫通された開口部107aが設けられている。また、第2排出トレイ106には、第3排出トレイ107及びストッパ108を収納するために、上方に向けて開口された凹部106aが設けられている。また、第1排出トレイ105には、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108を収納するための収納部(不図示)が設けられている。また、第1排出トレイ105において、媒体排出方向にA1の下流側の端部であり、且つ、幅方向A2のストッパ108と対向する位置には、上方に向けて開口された凹部105aが設けられている。
【0027】
ストッパ108の一端には、アーム108aが設けられ、アーム108aは、第3排出トレイ107の媒体排出方向A1の下流側の端部107bに設けられた凹部(不図示)に係合されている。これにより、ストッパ108は、アーム108aを回転軸として、第3排出トレイ107の媒体排出方向A1の下流側の端部107bに回転可能に支持されている。また、ストッパ108は、媒体の先端を規制して揃えるための規制面108bを有する。ストッパ108が、第3排出トレイ107に対して起立することにより、規制面108bが、排出台104に排出される媒体の先端と対向する位置に配置される。これにより、規制面108bは、排出台104に排出された媒体の先端を停止させ、各媒体の先端を規制して揃える。
図4に示すように、第1排出トレイ105から第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107が引き出されている場合、規制面108bは、排出された大型媒体の先端を停止させ、大型媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。
【0028】
また、ストッパ108は、第3排出トレイ107の媒体排出方向A1の下流側の端部107bを露出するための切り欠き部108cを有する。利用者は、切り欠き部108cを介して、第3排出トレイ107の端部107bを直接掴むことが可能となり、第3排出トレイ107を第2排出トレイ106から容易に引き出すことが可能となる。
【0029】
図5は、
図4に示す状態から、ストッパ108が伏せられた状態を示す。
図5に示すように、ストッパ108は、第3排出トレイ107に対して倒される(伏せた状態となる)ことにより、折り畳まれ、第3排出トレイ107の開口部107aに収納される。
【0030】
図6は、
図5に示す状態から、第3排出トレイ107及びストッパ108が第2排出トレイ106に収納された状態を示す。
図6に示すように、ストッパ108は、伏せられて第3排出トレイ107に収納された状態で、第3排出トレイ107とともに、第2排出トレイ106の凹部106a内に収納される。
【0031】
図7は、
図6に示す状態から、さらに、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108が第1排出トレイ105に収納された状態を示す。
図7に示すように、ストッパ108は、伏せられて第3排出トレイ107に収納された状態で、第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107とともに、第1排出トレイ105の収納部に収納される。
【0032】
さらに、
図1に示したように、第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108は、下側筐体101内に収納される。上記したように、第2排出トレイ106、第1排出トレイ105及びカバー109のそれぞれに、上方に向けて開口された凹部106a、凹部105a及び凹部109aが設けられ、ストッパ108には切り欠き部108cが設けられている。これにより、第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108が下側筐体101内に収納された状態で、第3排出トレイ107の端部107bが露出する。したがって、利用者は、第1排出トレイ105、第2排出トレイ106、第3排出トレイ107及びストッパ108が下側筐体101内に収納され状態で、第3排出トレイ107の端部107bを直接掴んで、第3排出トレイ107を容易に引き出すことが可能となる。
【0033】
図8は、
図4に示す状態から、第3排出トレイ107が第2排出トレイ106に収納された状態を示す。上記したように、第2排出トレイ106には、上方に向けて開口された凹部106aが設けられている。そのため、媒体排出装置100は、ストッパ108を起立させた状態のまま、第3排出トレイ107を第2排出トレイ106に収納することができる。これにより、規制面108bは、中型媒体の先端を停止させ、中型媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。
【0034】
図9は、
図8に示す状態から、さらに、第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107が第1排出トレイ105に収納された状態を示す。上記したように、第2排出トレイ106及び第1排出トレイ105のそれぞれに、上方に向けて開口された凹部106a及び凹部105aが設けられている。そのため、媒体排出装置100は、ストッパ108を起立させた状態のまま、第2排出トレイ106及び第3排出トレイ107を第1排出トレイ105に収納することができる。これにより、規制面108bは、小型媒体の先端を停止させ、小型媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。
【0035】
なお、上記したように、上側筐体102は、下側筐体101に対して開閉可能に設けられている。上側筐体102は、各排出トレイが
図5、
図8、
図9、
図1に示す状態であるときに開閉動作がされた場合に、起立しているストッパ108に接触しないように設けられる。即ち、上側筐体102は、全ての排出トレイが展開した状態、第3排出トレイ107のみが収納された状態、第1排出トレイ105のみが展開した状態、全てのトレイが収納された状態で起立しているストッパ108に、開閉動作時に接触しないように設けられる。これにより、利用者がストッパ108を起立させたまま上側筐体102を開閉した場合でも、上側筐体102がストッパ108と当接してストッパ108が損傷することが抑制される。
【0036】
【0037】
図10は、第2排出トレイ106からわずかに引き出された状態の第3排出トレイ107を示す。
図11Aは、伏せられた状態で第3排出トレイ107とともに第2排出トレイ106内に収納されたストッパ108を示す。
図10及び
図11Aに示すように、ストッパ108のアーム108aには、被摺動部108dが設けられる。被摺動部108dは、ストッパ108が伏せられた状態で、下方に向けて、即ち第2排出トレイ106側に突出する突起形状を有する。一方、第2排出トレイ106には、伏せられた状態のストッパ108の被摺動部108dと対向する位置に、摺動部106bが設けられる。摺動部106bは、上方に向けて、即ちストッパ108側に突出する突起形状を有する。
【0038】
摺動部106b及び被摺動部108dに設けられる突起形状は、円形状、矩形状、三角形状、カム形状等、任意の形状を有してもよい。但し、被摺動部108dに設けられる突起形状は、摺動部106bに設けられる突起形状と当接する平面状の側面を有することが好ましい。また、摺動部106bに設けられる突起形状は、被摺動部108dが滑らかに摺動するように、平面状の側面と円弧状の登頂面とを含むカム形状を有することが好ましい。
【0039】
図11Bは、ストッパ108が第3排出トレイ107とともに第2排出トレイ106内に収納された状態で、利用者により、第3排出トレイ107が第2排出トレイ106から媒体排出方向A1に引き出された状態を示す。第3排出トレイ107が第2排出トレイ106から引き出されると、第3排出トレイ107とともにストッパ108が第2排出トレイ106から引き出される。これにより、ストッパ108の被摺動部108dは、第2排出トレイ106の摺動部106bのカム形状の側面106cに当接する。
【0040】
図12Aは、
図11Bの状態に対して、第2排出トレイ106から第3排出トレイ107がさらに引き出された状態を示す。第2排出トレイ106から第3排出トレイ107がさらに引き出されると、ストッパ108の被摺動部108dは、第2排出トレイ106の摺動部106bに沿って摺動していき、カム形状の登頂面106dに当接する。これにより、ストッパ108は、伏せられた状態から徐々に起立していく。
【0041】
図12Bは、
図12Aの状態に対して、第2排出トレイ106から第3排出トレイ107がさらに引き出された状態を示す。第2排出トレイ106から第3排出トレイ107がさらに引き出されると、ストッパ108の被摺動部108dは、第2排出トレイ106の摺動部106bの登頂面106dに沿って摺動していき、ストッパ108は起立する。これにより、規制面108bは、排出台104に排出される媒体の先端と対向する位置に配置され、排出台104に排出された媒体の先端を停止させ、各媒体の先端を規制して揃えることが可能となる。
【0042】
このように、摺動部106bは、第3排出トレイ107が第2排出トレイ106から引き出される動作に応じて、被摺動部108dと摺動して、ストッパ108を起立させる。これにより、媒体排出装置100は、排出台104が利用される際にストッパ108を確実に起立させることが可能となり、排出される媒体を確実に停止させて媒体の先端を揃えつつ、媒体が排出台104から飛び出して散らばることを防止できる。また、ストッパ108は、第3排出トレイ107が引き出される動作と連動して起立するため、利用者は、ストッパ108を起立させる必要がなくなり、媒体排出装置100は利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0043】
図13A及び
図13Bは、起立した状態のストッパ108について説明するための模式図である。
図13Aは、第3排出トレイ107を下側から見た斜視図である。
図13Bは、
図4におけるB-B’断面図である。
【0044】
図13A及び
図13Bに示すように、ストッパ108のアーム108aには、被係止部108eが設けられる。一方、第3排出トレイ107には、起立した状態のストッパ108の被係止部108eと対向する位置に、係止部107cが設けられる。係止部107cは、ストッパ108が伏せられた状態では被係止部108eから離間し、ストッパ108が起立した状態で被係止部108eと当接する。これにより、係止部107cは、ストッパ108が起立した状態で被係止部108eを係止させる。媒体排出装置100は、係止部107c及び被係止部108eにより、ストッパ108を起立した状態で停止させることが可能となり、排出される媒体を確実に停止させて媒体の先端を揃えつつ、媒体が排出台104から飛び出して散らばることを防止できる。
【0045】
被係止部108eが係止部107cにより係止されると、利用者によってストッパ108が倒されるまで、ストッパ108は起立した状態を維持する。これにより、
図8及び
図9に示したように、ストッパ108は、第3排出トレイ107、又は、第3排出トレイ107及び第2排出トレイ106が収納された状態で、起立し続けることが可能となる。したがって、媒体排出装置100は、小型媒体及び中型媒体の先端を停止させ、小型媒体及び中型媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。
【0046】
図14は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0047】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、給送ローラ111、ブレーキローラ112、第1搬送ローラ113、第2搬送ローラ114、第1撮像装置115a、第2撮像装置115b、第1排出ローラ116及び第2排出ローラ117等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド110aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド110bを形成する。
【0048】
下側ガイド110a及び上側ガイド110bは、パスポート又は冊子等の剛性を有する媒体を良好に搬送するために、略平面状に(側方から見たときに略直線状に)形成される。また、下側ガイド110a及び上側ガイド110bは、媒体の搬送速度を向上させるために、水平面に対して所定角度以上の角度をなすように配置される。所定角度は、例えば35°である。上記したように、排出台104は、水平面に対して、略平行となるように設けられるため、媒体排出装置100は、排出口101aから高速度で排出された剛性を有する媒体の先端が排出台104に垂直に近い角度で衝突して損傷することを抑制できる。また、ストッパ108が確実にセットされることにより、媒体排出装置100は、排出台104上を高速度で移動する媒体を確実に停止させて、排出台104から飛び出すことを抑制できる。
【0049】
第1撮像装置115aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置115aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置115aは、不図示の処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0050】
同様に、第2撮像装置115bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置115bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置115bは、処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0051】
なお、媒体排出装置100は、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0052】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ111が
図14の矢印A11の方向に回転することによって、下側ガイド110aと上側ガイド110bの間を媒体排出方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ112は、媒体搬送時、矢印A12の方向に回転する。給送ローラ111及びブレーキローラ112の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ111と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0053】
媒体は、下側ガイド110aと上側ガイド110bによりガイドされながら、第1搬送ローラ113と第2搬送ローラ114の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ113及び第2搬送ローラ114がそれぞれ矢印A13及び矢印A14の方向に回転することによって、第1撮像装置115aと第2撮像装置115bの間に送り込まれ、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bにより読み取られる。第1排出ローラ116及び第2排出ローラ117は、それぞれ矢印A15及び矢印A16の方向に回転することによって媒体を排出台104上に排出する。排出台104は、第1排出ローラ116及び第2排出ローラ117によって排出された媒体を載置する。
【0054】
以上詳述したように、媒体排出装置100は、第2排出トレイ106から引き出し可能に設けられた第3排出トレイ107に回転可能に設けられたストッパ108を、第3排出トレイ107が第2排出トレイ106から引き出される動作に応じて起立させる。これにより、媒体排出装置100は、第3排出トレイ107をセットする利用者の一連の動作中に、自動的にストッパ108をセットすることが可能となった。したがって、媒体排出装置100は、第3排出トレイ107においてストッパ108をより確実にセットすることが可能となった。
【符号の説明】
【0055】
100 媒体排出装置、106 第2排出トレイ、106b 摺動部、107 第3排出トレイ、107c 係止部、108 ストッパ、108c 切り欠き部、108d 被摺動部、108e 被係止部、116 第1排出ローラ、117 第2排出ローラ