IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレデガー サーフェイス プロテクション エルエルシーの特許一覧

特許7526665基材間のインターリーフとして使用されるフィルム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】基材間のインターリーフとして使用されるフィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20240725BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20240725BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240725BHJP
   B65D 57/00 20060101ALI20240725BHJP
   C03B 40/033 20060101ALI20240725BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240725BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B29C59/04 Z
B32B17/10
B32B27/32
B65D57/00 B
C03B40/033
C08J5/18 CES
C08L23/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020519706
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018055637
(87)【国際公開番号】W WO2019075346
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】62/571,504
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】320007631
【氏名又は名称】トレデガー サーフェイス プロテクション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】デサイ バンキム ブーペンドラ
(72)【発明者】
【氏名】レイ カール ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】サントソ リッキー
(72)【発明者】
【氏名】パテル シェイレッシュ チュニラル
(72)【発明者】
【氏名】ブラッディ ケヴィン エイ
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】廣田 健介
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C59/00-59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを含み
第1面と第2面とを有するベース部分と、
前記ベース部分の前記第1面に設けられた複数の隆起部分であって、前記複数の隆起部分は前記第1面から第1距離オフセットされ、前記複数の隆起部分は複数の実質的に平行なリブを含む、複数の隆起部分と、
前記ベース部分の前記第2面に設けられた複数の突起であって、前記複数の突起は前記第2面から第2距離オフセットされ、前記複数の突起は前記ベース部分の前記第2面のうち前記複数の隆起部分と一致する位置から外れている、複数の突起と、を備え
30gsm~70gsmの坪量と、
150ミクロン~800ミクロンのエンボス厚さと、
サーキュラー・ベンド・スティフネス試験による150グラム~750グラムの剛性とを有する、基材間のインターリーフとして使用されるフィルム。
【請求項2】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、ホモポリマー・ポリプロピレン、有核ポリプロピレン、コポリマー・ポリプロピレン、またはそれらのブレンドを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤から成る群から選択された少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記複数の実質的に平行なリブは単一方向に整列した、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記複数の実質的に平行なリブは、第1の方向に整列した第1の複数の実質的に平行なリブ、および前記第1の方向に対してある角度の第2の方向に整列した第2の複数の実質的に平行なリブを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記角度が0°より大きく90°以下の範囲である、請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
前記第1の方向が前記フィルムの機械方向に対して45°である、請求項6に記載のフィルム。
【請求項9】
前記第2の方向が前記第1の方向から90°である、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記基材が、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メチル・メタクリレート)、またはステンレス鋼で構成される、請求項1に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラスまたは厚板ガラスなどの基材間のインターリーフとして使用されるフィルムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
間紙は、一般に、複数の板ガラスが一般的に傾斜面上で横並びまたは上下に積み重ねられる、取扱い中または搬送中の保護シートとして、板ガラスのメーカーによって使用される。間紙は、積み重ねられた板ガラス間の衝撃および摩耗を低減する物理的障壁として作用することによって、保護を提供する。しかしながら、間紙は、板ガラスの表面上に微粒子を残す場合が多く、それが板ガラスの表面の着色、汚染、および/または擦り傷を生じさせる恐れがある。
【0003】
取扱い中に変形するのに十分な堅さであり、紙に類似したシート状インターリーフの配置を容易にし、微粒子を最小限に抑えるかまたは排除し、隣接する板ガラス間の緩衝効果をもたらす、現在の板ガラス用の間紙に代わるインターリーフを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、板ガラス間のインターリーフとして使用されるフィルムが提供される。
【0005】
一実施形態によれば、基材間のインターリーフとして使用されるフィルムは、ポリオレフィンを含み、約30gsm~約70gsmの坪量と、約150ミクロン~800ミクロンのエンボス厚さと、サーキュラー・ベンド・スティフネス試験による約150グラム~約750グラムの剛性とを有する。
【0006】
別の実施形態では、ポリオレフィンは、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、ホモポリマー・ポリプロピレン、有核ポリプロピレン、コポリマー・ポリプロピレン、および/またはそれらのブレンドを包含する。
【0007】
ポリオレフィンはポリプロピレンであってもよい。
【0008】
フィルムは、スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤を含むがそれらに限定されない、少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。
【0009】
一実施形態では、フィルムは、その一方の面に複数の隆起部分と、その対向面に複数の突起とを含んでもよい。
【0010】
更にまた、複数の隆起部分は、単一方向で整列した複数の実質的に平行なリブであってもよい。
【0011】
複数の隆起部分は、第1の方向に整列した第1の複数の実質的に平行なリブ、および第1の方向に対してある角度の第2の方向に整列した第2の複数の実質的に平行なリブであってもよい。
【0012】
角度は0°~90°の範囲であってもよい。
【0013】
第1の方向はフィルムの機械方向に対して約45°であってもよい。
【0014】
第2の方向は第1の方向から約90°であってもよい。
【0015】
基材は、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メチル・メタクリレート)、またはステンレス鋼で作られてもよい。
【0016】
本発明はまた、複数の微小空隙を有するポリオレフィン・マトリックスで作られた発泡コア層を備えた、基材間のインターリーフとして使用されるフィルムを包含する。発泡コア層は、第1の面および第1の面に対向する第2の面を規定することが企図される。第1のスキン層は第1の面に配設される。第2のスキン層は第2の面に配設される。フィルムは、約60gsm~約80gsmの坪量と、約90ミクロン~約200ミクロンの厚さと、サーキュラー・ベンド・スティフネス試験による約250グラム~約550グラムの剛性とを有する。
【0017】
発泡コア層を備えたフィルムの場合、剛性は、サーキュラー・ベンド・スティフネス試験に従って、約300グラム~約350グラムであってもよい。
【0018】
発泡コア層を備えたフィルムはまた、約5%~約20%の圧縮率を有してもよい。
【0019】
発泡コア層を備えたフィルムは、約80%~約99%の弾性を有するように構築されることが企図される。
【0020】
発泡コア層を備えたフィルムの場合、第1のスキン層および/または第2のスキン層も発泡させてもよい。
【0021】
更にまた、発泡コア層を備えたフィルムの場合、第1のスキン層は、発泡マクロ構造の規則的配列または不規則パターンが一体的に形成された、エンボス外表面を有してもよい。
【0022】
ここで、第2のスキン層は接着面であってもよく、ならびに/または接着面を含んでもよい。
【0023】
発泡コア層を備えたフィルムは、フィルムの一方の外表面が約0.1μm~約10μmの平均表面粗さRaを有するように構築されてもよい。
【0024】
それに加えて、フィルムの一方の外表面は、約1μm~約35μmの表面粗さRzを有してもよい。
【0025】
更にまた、フィルムの一方の外表面は、約100μm~約350μmの表面ピーク間の平均間隔Smを有してもよい。
【0026】
発泡コア層を備えたフィルムの場合、ポリオレフィン・マトリックスは、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、ホモポリマー・ポリプロピレン、有核ポリプロピレン、コポリマー・ポリプロピレン、またはそれらのブレンドを包含することが企図される。
【0027】
ポリオレフィン・マトリックスはまた、スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤を含むがそれらに限定されない、少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。
【0028】
この実施形態の場合、第1のスキン層および/または第2のスキン層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらのブレンドを含んでもよい。
【0029】
更にまた、発泡コア層を備えたフィルムの場合、第1のスキン層および/または第2のスキン層は、スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤など、少なくとも1つの添加剤を組み込んでもよい。
【0030】
基材は、材料の中でも特に、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メチル・メタクリレート)、およびステンレス鋼を包含する。
【0031】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴、および特性、ならびに関連する構造的要素および部分の組合せの製造方法および機能、ならびに製造の経済は、全て本明細書の一部を成す添付図面を参照して、以下の説明および添付の特許請求の範囲を考察することによって更に明白となるであろう。しかしながら、図面は単に例証および説明のためのものであり、本発明の限定を定義しようとするものではないことが、明確に理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0032】
以下の図面の構成要素は、本開示の一般原理を強調するために例証されるものであり、必ずしも縮尺通りではない。一貫性および明瞭性のため、対応する構成要素を指定する参照符号は、図面全体を通して必要に応じて繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1a】本発明の一実施形態によるフィルムを示す概略上面図である。
図1b図1aのフィルムを示す概略側面図である。
図2a】本発明の一実施形態によるフィルムを示す概略上面図である。
図2b図2aのフィルムを示す概略側面図である。
図2c図2aのフィルムの一実施形態の上面を示すマイクロ写真である。
図2d図2aのフィルムの下面を示すマイクロ写真である。
図2e図2cのフィルムの上面の斜視図を示すマイクロ写真である。
図2f図2dのフィルムの下面の斜視図を示すマイクロ写真である。
図3図1a~2fに示されるエンボス加工フィルムを製造する装置の一実施形態を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるフィルムを示す概略斜視図である。
図5図4に示されるフィルムを製造する装置の一実施形態を示す概略図である。
図6図5に示される装置で使用されてもよいニップ・ローラを示す概略断面図である。
図7a】本発明の一実施形態によるフィルムの上面を示すマイクロ写真である。
図7b図7aのフィルムの下面を示すマイクロ写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1aおよび1bは、本発明の一実施形態によるフィルム100を示している。フィルム100は、x寸法、y寸法、およびz寸法を有する。x寸法は、図3に示され更に詳細に後述される装置で製造される際の、フィルム100の機械方向と一致する。y寸法は、図3に示される装置で製造される際の、x寸法および機械方向に垂直なフィルム100の横断方向と一致し、z寸法は、x寸法およびy寸法の両方に垂直である。フィルム100は、フィルム100の第1の面110からフィルムの第2の面130までz寸法で延びる、エンボス高さまたは厚さ120を有する。エンボス高さ120は、約30ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、エンボス高さ120は、約150ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、エンボス高さ120は、約100ミクロン(μm)~約300ミクロン(μm)の範囲であってもよい。
【0035】
図1aおよび1bに示される実施形態では、フィルム100は、フィルム100のベース部分160からオフセットされた、複数の「リブ」または隆起部分140を含む。隆起部分140は、互いに実質的に平行であり、やはり実質的に互いに平行であるベース部分160の区画によって離隔されている。ベース部分160の各区画は、隆起部分140とは反対の方向にz寸法で延在する複数の陥凹部180を含む。複数の陥凹部180は、図示されるように、フィルムの第2の面130と一致するベース部分160の対向面では、複数の突起190のように見える。フィルム100の第2の面130が板ガラスなどの平らな表面上に置かれたとき、突起190の先端のみが平らな表面に接触する。反対に、フィルム100の第1の面110が平らな表面上に置かれたとき、隆起部分140の頂部のみが平らな表面に接触する。
【0036】
次に、別の板ガラスがフィルム100の露出面上に、またはそれに隣接して置かれた場合、フィルム100の向きに応じて、隆起部分140の頂部または突起190の先端のどちらかが第2の板ガラスに接触する。隆起部分140は、同じ坪量を有するがエンボス構造を有さず、実質的に平行で連続した第1および第2の面を有するフィルム(即ち、「平らな」フィルム)と比較して、板ガラスの緩衝効果をもたらすとともに、曲げ剛性を増加させる。板ガラス間のインターリーフとしての用途には、フィルム100が紙のような剛性を有することが望ましい。
【0037】
図2a~2fは、本発明の一実施形態によるフィルム200を示している。フィルム200は、x寸法、y寸法、およびz寸法を有する。x寸法は、図3に示され更に詳細に後述される装置で製造される際の、フィルム200の機械方向(MD)と一致する。y寸法は、図3に示される装置で製造される際の、x寸法および機械方向に垂直なフィルム200の横断方向(TD)と一致し、z寸法は、x寸法およびy寸法の両方に垂直である。フィルム200は、フィルム200の第1の面210からフィルム200の第2の面230までz方向で延在する、エンボス高さまたは厚さ220を有する。エンボス高さ220は、約30ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、エンボス高さ220は、約150ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、エンボス高さ220は、約100ミクロン(μm)~約300ミクロン(μm)の範囲であってもよい。
【0038】
フィルム200は、フィルム200のベース部分260からオフセットされた、複数の「リブ」または隆起部分240を含む。隆起部分240は、ベース部分260の各区画が正方形の全体形状であって隆起部分240によって取り囲まれるような格子を形成するように、90°の角度で交差する2つの平行な組で配置される。図示される実施形態では、隆起部分240はx寸法に対して約45°の角度で整列する。他の実施形態では、隆起部分240は一般に、x寸法に対して0°~90°の角度で整列してもよい。一実施形態では、ベース部分260の各区画を取り囲む各隆起部分240の長さは、約2000ミクロン(μm)~約2500ミクロン(μm)の範囲であってもよく、各隆起部分240の幅は、約150ミクロン(μm)約200ミクロン(μm)の範囲であってもよい。
【0039】
ベース部分260の各区画は、隆起部分240とは反対の方向にz寸法で延びる複数の陥凹部280を含む。複数の陥凹部280は、図示されるように、フィルムの第2の面230と一致するベース部分260の対向面では、複数の突起290のように見える。フィルム200の第2の面230が板ガラスなどの平らな表面上に置かれたとき、突起290の先端のみが平らな表面に接触する。反対に、フィルム200の第1の面210が平らな表面上に置かれたとき、隆起部分240の頂部のみが平らな表面に接触する。
【0040】
次に、別の板ガラスが別の露出面上に、またはそれに隣接して置かれた場合、フィルム200の向きに応じて、隆起部分240の頂部または突起290の先端のどちらかが第2の板ガラスに接触する。隆起部分240は、同じ坪量を有するがエンボス構造を有さず、実質的に平行で連続した第1および第2の面を有するフィルム(即ち、「平らな」フィルム)と比較して、板ガラスの緩衝効果をもたらすとともに、曲げ剛性を増加させる。更に詳細に後述するように、板ガラス間のインターリーフとしての用途には、フィルム200が紙のような剛性を有することが望ましい。
【0041】
図3は、上述のフィルム100、200を含む、本発明の実施形態によるフィルムを製造するのに使用されてもよい、装置300を示している。図示されるように、装置300は、少なくとも1つの押出機(図示せず)の端部に配置され、押出物または溶融カーテンとしても知られるポリマー・ウェブ304を形成するように構成される、押出しダイ302を含む。ポリマー・ウェブ304は、単層または複層のポリマー・ウェブであってもよい。ポリマー・ウェブ304を形成するのに使用される材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)および/またはポリプロピレン(PP)が主成分である、ポリエチレン(PE)、HDPE、PP、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のブレンドであってもよい。ポリプロピレンは、高結晶性PP、ホモポリマーPP、有核PP、およびコポリマーPPのいずれか1つ、および/または組合せであってもよい。更にまた、添加剤がポリオレフィンに含まれてもよい。添加剤としては、スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
図3に示される実施形態では、ポリマー・ウェブ304は、押出しダイ302を出て、真空が引かれる固定の真空スロット308の周りを回転する成形構造306上に堆積する。成形構造306および固定の真空スロット308は、成形ステーション307の一部である。成形構造306は、1つまたは複数のパターンで配置された、複数の開口部306aおよび複数の隆起部分(図示せず)を含む。成形構造306上のポリマー・ウェブ304が真空スロット308の上を通過すると、成形構造306の開口部306aの直上にあるポリマー・ウェブ304の部分が開口部306aに引き込まれて、ポリマー・ウェブ304の成形構造306に面する表面上に突起を形成する一方、成形構造306上の隆起部分の直上にあるポリマー・ウェブ304の部分は、隆起部分の形に適合してエンボス・フィルム310を形成する。引かれる真空が十分に大きい(より負である)場合、突起の端部にアパーチャが形成されて、有孔ウェブを形成してもよい。
【0043】
成形構造306はまた、エンボス・フィルム310へと変換される際にポリマー・ウェブ304を冷却し、それによって、エンボス・フィルム310はローラ312によって成形構造306から引き離され、更なるローラ316、318を介して巻取機314に搬送され、巻取機314によってロール320に巻かれてもよい。図示される実施形態はいかなる形でも限定的であることを意図しない。例えば、別の実施形態では、成形構造306上に直接ポリマー・ウェブ304を押し出す代わりに、既にチルド・ロール上に押し出され急冷されて固体ポリマー・ウェブになっているポリマー・ウェブが、再加熱され、成形ステーション307に搬送されてもよい。
【0044】
一実施形態では、エンボス・フィルム310の坪量は、約20グラム毎平方メートル(gsm)~約200gsmであってもよい。一実施形態では、エンボス・フィルム310の坪量は、約35グラム毎平方メートル(gsm)~約70gsmであってもよい。一実施形態では、エンボス・フィルム310の坪量は、約40グラム毎平方メートル(gsm)~約65gsmであってもよい。一実施形態では、エンボス・フィルム310は、約30ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)のエンボス厚さを有してもよい。一実施形態では、エンボス・フィルム310は、約120ミクロン(μm)~約300ミクロン(μm)のエンボス厚さを有してもよい。一実施形態では、エンボス・フィルム310は、約200ミクロン(μm)~約250ミクロン(μm)のエンボス厚さを有してもよい。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態によるフィルム400を示している。図示されるように、フィルム400は、その対向する両面にある2つのスキン層412、414の間に挟まれた発泡コア層410を含む。発泡コア層410は、更に詳細に後述するように、図5に示される装置を使用して形成されてもよい、ポリマー・マトリックス416と複数の微小空隙418とを含む。微小空隙418のサイズおよび分布は、フィルム400が板ガラス間のインターリーフとして使用されてもよいように、フィルム400の所望の曲げ剛性を達成するように調節されてもよい。図示される実施形態では、一方のスキン層412は、フィルム400によって保護されている基材(ガラスなど)の隣接面に接着しない離型面として機能してもよい、エンボス外表面420を有する。
【0046】
発泡コア層410のポリマー・マトリックス416は、様々なLDPE、LLDPE、およびスリップ剤または粘着防止剤から選択された少量の成分とブレンドされた、主にHDPEまたはPPのブレンドであってもよい。発泡コア層410の両面のスキン層412、414は、PE、HDPE、PP、LDPE、およびLLDPEと、主成分としてのHDPEおよび/またはPPとのブレンドであってもよい。PPは、高結晶性PP、ホモポリマーPP、有核PP、およびコポリマーPPのいずれか1つ、および/または組合せであってもよい。更にまた、添加剤がポリオレフィンに含まれてもよい。添加剤としては、スリップ剤、造核剤、および抗酸化物質安定剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
図5は、フィルム400を製造するのに使用されてもよい装置500を概略的に示している。図示されるように、装置500は、主押出機502と、フィード・ブロック508に供給する2つの衛星押出機504、506とを含む。主押出機502は、例えば、米国特許第6,051,174号および第6,284,810号、ならびに米国特許出願公開第2013/0303645号に記載されているような、いわゆるミューセル法に従って発泡剤を注入する注入システム510を含むように適合される。一実施形態では、衛星押出機504、506の一方または両方もまた、ミューセル法に従って発泡剤を注入する注入システムを含むように適合されてもよい。発泡剤は、二酸化炭素、窒素、またはそれらの混合物であってもよい。上記で参照した特許文献に記載されているように、発泡剤は、超臨界流体として押出機502に導入されてもよい。注入システム510を備えた主押出機502は、発泡コア層410を作成するように構成され、衛星押出機504、506は、上述のスキン層412、414を作成するように構成される。フィード・ブロック508は、溶融カーテンまたは押出物514を、平滑なまたは凹凸がある(0.01ミクロン(μm)~約20ミクロン(μm)の表面粗さRa)クローム・メッキを施した金属鋳造ローラ516上に出力する、押出しダイ512を供給する。押出物514が鋳造ローラ516上で急冷される際に、押出物514は、20ミクロン(μm)以下の表面粗さ(Ra)を有する平滑な、研磨された、ならびに/または凹凸仕上げされたゴムのエンボス加工ローラ518を用いてエンボス加工されて、図4に示されるフィルム400などのフィルム520を作成してもよい。フィルム520は、ローラ524、526によって巻取機522に搬送され、ロール528に巻かれてもよい。
【0048】
エンボス加工ローラ518の外表面530は、図6に更に詳細に示されるように、月形をした凹状の窪みまたはディンプル(ゴルフ・ボールの外表面に類似)の固定の配列もしくは不規則な配列を用いて、凹凸加工、研磨、および/または彫刻されてもよい。固定の配列または不規則な窪みをエンボス加工する目的は、等方性の「繰り返される欠陥部」の配列(即ち、ディンプル、窪み、もしくは刻み目)を、フィルムに意図的に作成することであり、図4に示されるように、フィルム厚さの一部分がエンボス表面420上に引き伸ばされるかまたは突出する。フィルム400のエンボス表面420上に作成された規則的で周期的な突起によって、フィルム400によって保護されている基材の隣接する表面に接着しない離型面が作成される。当業者には理解されるように、エンボス表面420上の「繰り返される欠陥部」(即ち、ディンプル、窪み、もしくは刻み目)は、所望に応じて、任意のパターン、密度、形状、高さなどを有してもよい。
【0049】
一実施形態では、装置500は、図5に示されるような鋳造フィルムの代わりに、吹込みフィルムを製造するように構成されてもよい。かかる実施形態では、押出しダイ512は、従来の吹込みフィルム製造ラインで使用される円形ダイとして構成されてもよく、当業者には理解されるように、空気を使用して押出物を気泡へと膨張させてもよい。
【0050】
フィルム400の総坪量は約20gsm~約200gsmの範囲であってもよい。一実施形態では、フィルム400の坪量は約50gsm~約100gsmであってもよい。一実施形態では、フィルム400の坪量は約50gsm~約80gsmであってもよい。一実施形態では、フィルム400の坪量は約60gsmであってもよい。フィルム400の合計厚さ422は、最終的な所望の曲げ剛性に応じて、約30ミクロン(μm)~約800ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、合計厚さは約50ミクロン(μm)~約200ミクロン(μm)であってもよい。一実施形態では、フィルム400の合計厚さ422は約90ミクロン(μm)~約200ミクロン(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、フィルム400の合計厚さ422は約80ミクロン(μm)~約120ミクロン(μm)の範囲であってもよい。
【0051】
発泡コア層410を作成するのに他の技術が使用されてもよいことが企図される。例えば、化学的発泡剤および/または充填剤を使用して、発泡コア層410のポリマー・マトリックス416内に微小空隙418が作成されてもよい。
【0052】
図7aおよび7bは、吹込みフィルム製造装置(図示せず)でミューセル法を使用して作られたフィルム700の顕微鏡写真である。フィルム700は、HDPEおよび複数の微小空隙720を含むポリマー・マトリックス710を有する。様々な微小空隙の測定値が図7bに示されており、約100ミクロン(μm)~約1000ミクロン(μm)の範囲である。5ミクロン(μm)程度の小さい直径を有する、より小さい微小空隙が達成されてもよいことが企図される。
【0053】
フィルムが保護する基材に対するフィルムの接着を向上させることが望ましい用途では、特にフィルムのエンボス加工されていない面に、更なる接着層が追加されてもよい。
【0054】
上述の方法に従って作られたフィルム・サンプルを製造し、2つのタイプの剛性、圧縮率、および弾性に関して試験した。例1は、図2a~2fに示される構造と約49グラム毎平方メートル(gsm)の坪量で作った。例2は、図2a~2fに示される構造と約70gsmの坪量で作った。例3は、図7a~7bに示される構造と約60gsmの坪量で作った。比較例Aは、約49gsmの坪量を有し、厚板ガラスのインターリーフとして使用される紙であった。比較例Bは、約76gsmの坪量を有し、コピー機およびデスクトップ・プリンタで使用される標準的な印刷用紙であった。後述するように、例1~3ならびに比較例AおよびBのサンプル全てをガーレー剛性に関して試験し、例1~3および比較例Bをサーキュラー・ベンド・スティフネスに関して試験し、例1~3を圧縮率および弾性に関して試験した。
【0055】
ガーレー剛性試験方法は、制御された反復可能な条件下で多種多様な平らな材料および寸法を有する製品を曲げるのに要する力を測定する、試験機器(Teledyne Gurley、モデル#4171、デジタル・モデル、Genuine Gurley剛性試験機)を利用した。測定された力は、試験された材料の剛性、可撓性、または柔軟性と同等とみなすことができる。各サンプルについて、3つの試料(n=3)を機械方向(MD)で切り取って試験し、3つの試料(n=3)を機械方向に垂直な横断方向(TD)で切り取って試験した。MD試料およびTD試料の剛性値を平均し、下記の表1に列挙した。
【0056】
サーキュラー・ベンド・スティフネス試験方法は、直径25.4mm(1インチ)の平らな表面を有するプランジャを利用して、材料のサンプルをプラットフォームのオリフィスに押し込んだ。プラットフォームの頂部の3mm(1/8インチ)上方で始まる、57mm(2.25インチ)の下降行程中にサンプルを38.1mm(1.5インチ)のオリフィスに押し込むのに要する最大の力を、力測定ゲージを用いて測定した。測定された最大の力は、1つを超える面における同時の曲げに対する抵抗を測定することによって、材料剛性を示す。
【0057】
圧縮率および弾性試験方法を使用して、862.60g(30.4オンス)の重量がサンプルに適用され、サンプルから除去された後の厚さの変化を測定することによって、圧縮および圧縮後の回復に耐えるフィルムの能力を評価した。6.76kPa(0.98psi)の圧力を12.90cm2(2平方インチ)にわたって働かせた。重量の適用前後の厚さの変化はフィルムの圧縮抵抗を測定し、圧力下における厚さの低減からはフィルムの圧縮率が得られる。重量適用前および重量除去後の合計厚さは、フィルムの弾性(回復能力)を示す。以下で使用されるとき、圧縮率は、フィルムが圧縮圧力に耐える能力の基準であり、圧縮厚さを元の厚さで割ったもの(100を掛ける)として定義される。以下で使用されるとき、弾性は、フィルムが圧縮後に回復する能力を測定し、フィルムのリバウンド厚さ(圧力の除去後)を元の厚さで割ったもの(100を掛ける)として定義される。
【0058】
【表1】
【0059】
圧縮率および弾性データは、例1~3によってもたらされる緩衝効果の基準を提供する。弾性値がより高く100%に近付くのに関連して、圧縮率値が高くなるほど緩衝効果は良好になる。上述した本発明の実施形態に従ってフィルムの坪量および構造を最適化することによって、結果として得られるフィルムが、板ガラスまたは厚板ガラスなどの硬質基材間のインターリーフとして使用するのに、所望の剛性および緩衝効果を提供することが予期される。
【0060】
更なる紙の比較例を、坪量、サーキュラー・ベンド・スティフネス、圧縮率、および弾性(上述)、ならびに低負荷厚さおよび高負荷厚さ(上述)に関して試験した。更なる比較例の試験結果を以下の表2に列挙する。
【0061】
上述したようにフィルムのエンボス厚さを測定する低負荷厚さ試験方法は、直径50.8mm(2インチ)のアンビルと612.9g/cm(95g/平方インチ)の死荷重を有し、2~5秒の滞在時間を使用する電動マイクロメータを利用した。5つの測定値を単一のフィルム・サンプルから取り、4つの異なるフィルム・サンプルを測定した。全ての測定値を各例に対して平均し、ミクロン(μm)単位の「低負荷厚さ」として報告した。
【0062】
一般的に、平らな(即ち、エンボス加工されていない)フィルムの厚さを測定するのに使用される、高負荷厚さ試験方法は、0.48cm(3/16インチ)のアンビル・サイズおよび113gの死荷重を有するマイクロメータを利用した。5つの測定値を単一のフィルム・サンプルから取り、4つの異なるフィルム・サンプルを測定した。全ての測定値を各例に対して平均し、ミクロン(μm)単位の「高負荷厚さ」として報告した。
【0063】
比較例Cは、Staplesが販売するステノ・パッドから得た紙片であった。比較例Dは、OfficeMax/Office Depotが販売するステノ・パッド(品番1379800)から得た紙片であった。
【0064】
【表2】
【0065】
本発明の実施形態に従って追加のサンプルを作り、本明細書に記載する様々な物理的性質に関して試験した。例4~6は、図3に概略的に示される装置300を使用して製造した。
【0066】
例4の場合、ポリプロピレン85%および低密度ポリエチレン15%のブレンドを押出機に供給し、単層溶融カーテンを成形構造307上に押し出して、図1a~1bに全体的に示される構造および44.6gsmの坪量を有する、エンボス・フィルムを形成した。
【0067】
例5の場合、三層の溶融カーテンを成形構造307上に押し出して、リブ240がフィルムの機械方向(MD)および横断方向(TD)と一致するx軸およびy軸に平行に配向されたことを除いて、図2aおよび2bに全体的に示される構造を有するエンボス・フィルムを形成した。結果として得られるフィルムの坪量は46.8gsmの坪量を有していた。三層全て、高密度ポリエチレン99%とスリップ剤を含む低密度ポリエチレン・マスターバッチ1%との同じブレンドを有していた。
【0068】
例6の場合、例5の三層フィルムに使用したのと同じ材料のブレンドを、例えば図2aに示されるように、フィルムの機械方向(MD)に対して45°の角度で全て配設された隆起リブのパターンをフィルムに提供するように設計された、成形構造307上に押し出した。結果として得られるフィルムの坪量は64.1gsmであった。
【0069】
上述の試験方法に従って、低負荷厚さ、高負荷厚さ、サーキュラー・ベンド・スティフネス、圧縮率、および弾性に関してサンプルを試験した。例4~6に対するかかる試験の結果を下記の表3に列挙している。
【0070】
【表3】
【0071】
少なくとも200グラムのサーキュラー・ベンド・スティフネスを有するサンプルは、インターリーフ材料として紙に代わる所望の剛性を有するであろうことが予期される。
【0072】
残留物測定試験方法を使用して、負荷下において高温多湿で老化させた後のフィルム・サンプルによってどの程度の残留物がきれいなガラス表面上に堆積したか、また次にガラスを洗浄したときにどの程度の堆積残留物が洗い落とされたかを判定した。具体的には、各フィルム・サンプルをきれいなガラス表面に積層し、1.2kgの重りの下で55℃相対湿度85%の環境で72時間老化させた。積層に先立って、50mm×50mmの面積内の各々1.40mm×1.05mmのサイズの25か所で、干渉分光法によってきれいなガラス表面を分析して、既にガラス上にある基底残留物量を判定した。老化後、フィルムを除去し、ガラス表面上の表面残留物の量を同じ25か所で測定して、どの程度の残留物がフィルムによってガラス上に堆積したかを判定した。ガラスは自動食器洗浄機で洗浄し、ガラス表面を同じ25か所で再び測定して、どの程度の残留物がガラス上に残っているかを判定した。例4、5、および6に関する結果を下記の表4に列挙している。
【0073】
粒子計数試験方法は、ヘルムク・ドラム方法(環境科学技術協会(IEST)RP-CC003.3)に従って完了した。125mm×125mmの正方形のサイズのフィルム・サンプルを、ヘルムク・ドラムのチャンバに導入し、10rpmで10分間ヘルムク・ドラム内で転回させた。チャンバに接続された空中粒子カウンタによって、0.3ミクロン(μm)超過および0.5ミクロン(μm)超過のサイズを有する粒子計数を提供した。例4~6に関する結果をやはり下記の表4に列挙している。
【0074】
【表4】
【0075】
図5に示される装置500を使用して例7~11を準備し、後述する。
【0076】
例7の場合、三層の溶融カーテンを、0.01μmの表面粗さRaを有する鋳造ローラ上に押し出し、1.14μmの表面粗さRaを有するエンボス加工ローラを、鋳造ローラ上で冷却させたフィルムとは反対側の面上のフィルムに接触させた。三層構造のコア層は、ポリプロピレン98%と造核剤を含むポリプロピレン・マスターバッチ2%とのブレンドであった。このサンプルのコア層は発泡させなかった。三層フィルムのスキン層は、ポリプロピレン98%と造核剤を含むポリプロピレン・マスターバッチ2%とのブレンドであった。結果として得られるフィルムは68.8gsmの坪量を有していた。
【0077】
例8の場合、三層の溶融カーテンを、4.19μmの表面粗さRaの表面パターンを有する鋳造ローラ上に押し出し、2.03μmの表面粗さRaを有するエンボス加工ローラを、鋳造ローラ上で冷却させたフィルムとは反対側の面上のフィルムに接触させた。三層構造のコア層は、高密度ポリエチレン92%とタルクを含むポリエチレン・マスターバッチ8%とのブレンドであった。コア層は、ミューセル法を使用して発泡させて、ポリマー・マトリックスと、一般に約0.5μm~約12μmの範囲内の外径を有する複数の微小空隙とを有する、発泡コア層を作成した。三層フィルムのスキン層は、高密度ポリエチレン59%、ポリプロピレン40%、および造核剤を含むポリプロピレン・マスターバッチ1%のブレンドであった。結果として得られるフィルムは71.8gsmの坪量を有していた。
【0078】
例9の場合、三層の溶融カーテンを、3.81μmの表面粗さRaを有する鋳造ローラ上に押し出し、7.62μmの表面粗さRaを有するエンボス加工ローラを、鋳造ローラ上で冷却させたフィルムとは反対側の面上のフィルムに接触させた。三層構造のコア層は、高密度ポリエチレン92%とタルクを含むポリエチレン・マスターバッチ8%とのブレンドであった。コア層は、ミューセル法を使用して発泡させて、ポリマー・マトリックスと、一般に約0.3μm~約45μmの範囲内の長軸径を有する複数の微小空隙とを有する、発泡コア層を作成した。三層フィルムのスキン層は、高密度ポリエチレン59%、ポリプロピレン40%、および造核剤を含むポリプロピレン・マスターバッチ1%のブレンドであった。結果として得られるフィルムは67.1gsmの坪量を有していた。
【0079】
例10の場合、三層の溶融カーテンを、0.02μmの表面粗さRaを有する鋳造ローラ上に押し出し、2.54μmの表面粗さRaを有するエンボス加工ローラを、鋳造ローラ上で冷却させたフィルムとは反対側の面上のフィルムに接触させた。三層構造のコア層は、ポリプロピレン88%、タルクを含むポリエチレン・マスターバッチ8%、酸化防止剤を含む低密度ポリエチレン・マスターバッチ2%、および造核剤を含むポリエチレン・マスターバッチ2%のブレンドであった。コア層は、ミューセル法を使用して発泡させて、ポリマー・マトリックスと、一般に約0.3μm~約50μmの範囲内の長軸径を有する複数の微小空隙とを有する、発泡コア層を作成した。三層フィルムのスキン層は、ポリプロピレン96%、酸化防止剤を含む低密度ポリエチレン・マスターバッチ2%、および造核剤を含むポリエチレン・マスターバッチ2%のブレンドであった。結果として得られるフィルムは69.9gsmの坪量を有していた。
【0080】
例11の場合、三層の溶融カーテンを、8.89μmの表面粗さRaを有する鋳造ローラ上に押し出し、7.62μmの表面粗さRaを有するエンボス加工ローラを、鋳造ローラ上で冷却させたフィルムとは反対側の面上のフィルムに接触させた。三層構造のコア層は、高密度ポリエチレン91%、タルクを含むポリエチレン・マスターバッチ8%、および酸化防止剤を含む低密度ポリエチレン・マスターバッチのブレンドであった。コア層は、ミューセル法を使用して発泡させて、ポリマー・マトリックスと、一般に約0.3μm~約50μmの範囲内の長軸径を有する複数の微小空隙とを有する、発泡コア層を作成した。三層フィルムのスキン層は、ポリプロピレン65%、高密度ポリエチレン34%、および造核剤を含むポリプロピレン・マスターバッチ1%のブレンドであった。フィルムに85℃で72時間アニーリングを施した。結果として得られるフィルムは70.2gsmの坪量を有していた。
【0081】
例7~11に関して作成されたサンプルをそれぞれ、低負荷厚さ、高負荷厚さ、サーキュラー・ベンド・スティフネス、圧縮率、および弾性に関して試験し、かかる試験の結果を下記の表5に列挙している。
【0082】
【表5】
【0083】
例7~11ならびに比較例Dに関して作成したサンプルの各面(即ち、鋳造ローラに接触した面、およびエンボス加工ロールに接触した面)の表面を、Kosaka Laboratory Ltd.製の表面粗さ測定機器を用いて、Ra(表面粗さ平均)、Rz(5つの最も高いピークおよび5つの最も低い谷の高さの平均)、ならびにSm(ピーク間の平均間隔)を含む表面粗さに関して試験した。表面粗さ試験の結果を下記の表6に列挙している。
【0084】
【表6】
【0085】
例7~10に関して作成したサンプルを更に、上述したような残留物測定試験方法および粒子計数試験方法に従って試験し、結果を表7に列挙している。
【0086】
【表7】
【0087】
本明細書に記載するフィルムおよび/または発泡体の実施形態はいずれも、高結晶性ポリプロピレンを混合物中のポリプロピレンに追加することによって改質されてもよいことに留意されたい。高結晶性ポリプロピレンは、高結晶性ポリプロピレンが組み込まれている材料全体の剛性を増加させると理解される。
【0088】
本発明の実施形態によって提供されるポリマー・フィルムは、保管中およびユーザ送付先への搬送中に複数の積み重ねられた板ガラスを保護する、インターリーフ材料としてガラス業界で現在使用されている紙に代わるものとして設計されている。一般的に、「繰り返される欠陥部」、即ちエンボス・フィルムのディンプル、窪み、刻み目、および/または隆起部分は、機能性基板に転写する軟質で傷つきやすい光学基板にとって有害であり、それによって基材が高解像度ディスプレイには使用不能になるとみなされることがある。対照的に、ガラスまたは類似の硬質表面、つまりポリカーボネート(PC)、ポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、磨かれたステンレス鋼が、保護されるべき基材であるとき、かかる基材の硬さは、ポリマー・フィルムの繰り返される欠陥部およびエンボス表面によって生じるあらゆる変形に抵抗し、規則的もしくは不規則に繰り返される欠陥部または隆起した突起は、離型面を作成して、棚に相当な期間置かれた後であっても、保管または搬送されている複数の板ガラスのパックから積み降ろす際に、一方の板ガラスを隣接する板ガラスからきれいに分離することを可能にするのを助けることができる。
【0089】
本発明の実施形態は、間紙の製造で使用される成分によって引き起こされる汚れおよび擦り傷による、保管および搬送中のガラスの歩留まり損失による影響を大幅に受ける、光学ガラスメーカーが直面する慢性的な問題に対処することを対象とする。本発明の実施形態によるフィルムの潜在的な利点としては、再利用可能性、調節可能な摩擦係数、紙よりも少ない移動種および粒子、低い静電荷、および/または緩衝が挙げられる。
【0090】
本発明の実施形態はまた、ガラスに加えて他の基材を保護するのに使用されてもよいことが想到される。例えば、鋼などの金属、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、ならびに/あるいは他の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーで作られた板または厚板などの表面など、あらゆる硬質で圧縮不能な表面が、本発明の実施形態によるポリマー・フィルムで保護されてもよい。
【0091】
本明細書に記載の実施形態は、多数の可能な実現例および実施例を提示し、必ずしも本開示を任意の特定の実施形態に限定することを意図しない。その代わりに、当業者には理解されるように、これらの実施形態を様々に変更することができる。かかる変更はいずれも、本開示の趣旨および範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b