IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘル テクノロジーズ,エルエルシーの特許一覧

特許7526675エッジ照明を有するホログラフィック光学要素
<>
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図1
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図2
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図3
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図4A
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図4B
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図4C
  • 特許-エッジ照明を有するホログラフィック光学要素 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】エッジ照明を有するホログラフィック光学要素
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/30 20060101AFI20240725BHJP
   F41G 1/34 20060101ALI20240725BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240725BHJP
   G02B 23/10 20060101ALI20240725BHJP
   G03H 1/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F41G1/30
F41G1/34
G02B5/32
G02B23/10
G03H1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570129
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019037705
(87)【国際公開番号】W WO2019246078
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】16/012,161
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520489776
【氏名又は名称】ヘル テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロービッグ,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】フィネガン,デニス
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0327365(US,A1)
【文献】米国特許第09835412(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0051989(US,A1)
【文献】特開平04-353032(JP,A)
【文献】特開2014-224977(JP,A)
【文献】特開昭57-074708(JP,A)
【文献】特開2004-219435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 1/30
F41G 1/34
G02B 5/32
G02B 23/10
G03H 1/00
G03H 3/00
G03H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系であって、
視線軸に沿って光学的観察窓を画定し、武器に搭載するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、光ビームを放出するように動作可能なレーザダイオードと、
前記ハウジング内に配置されたビーム変更レンズであって、前記レーザダイオードから前記光ビームを受け取り、前記光ビームを集束された光の線に変換するように動作する、ビーム変更レンズと、
前記光学的観察窓内に配設され、単一の透明材料から構成されたキャリアであって、前記光学的観察窓と整列させる第1のおよび第2の対向平面を画定するキャリアと、
前記キャリアの前記第1の対向平面に隣接して配設された入力ホログラフィック光学要素であって、そこに入射した光を前記第2の対向平面に対して垂直な方向にコリメートするように動作可能である、入力ホログラフィック光学要素と、
前記キャリアの前記第2の対向平面に隣接して配設された出力ホログラフィック光学要素であって、前記出力ホログラフィック光学要素が前記光学的観察窓内の前記入力ホログラフィック光学要素の逆側にあり、それと対向しているため、そこに入射したコリメート光に応答して、前記光学的観察窓内にレチクル画像を投射するように動作する、出力ホログラフィック光学要素と、
前記ハウジング内に配置された1つ以上の導光部であって、前記ビーム変更レンズから光を受け取り、前記入力ホログラフィック光学要素に向かって前記光を導くように構成される1つ以上の導光部と、を備え、前記入力ホログラフィック光学要素は、前記キャリアと前記1つ以上の導光部との間に取り囲まれ、前記出力ホログラフィック光学要素は、前記キャリアと前記キャリアの逆側のカバー要素との間に取り囲まれる、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項2】
前記入力ホログラフィック光学要素は、エマルジョンとしてさらに定義されている、請求項1に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項3】
前記エマルジョンは、露光後に一貫性を維持する、請求項2に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項4】
前記エマルジョンは、8nm未満の粒径を有するハロゲン化銀を含む、請求項2に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項5】
前記出力ホログラフィック光学要素は、エマルジョンとしてさらに定義されている、請求項1に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項6】
前記エマルジョンは、露光後に一貫性を維持する、請求項5に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項7】
前記エマルジョンは、8nm未満の粒径を有するハロゲン化銀を含む、請求項5に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項8】
前記ビーム変更レンズは前記視線軸に平行な第1の方向に光を投射し、前記1つ以上の導光部は、前記入力ホログラフィック光学要素に入射した前記光を、前記第1の方向と逆側の第2の方向に方向変換する、請求項1に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項9】
スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系であって、
視線軸に沿って光学的観察窓を画定するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、光ビームを放出するように動作可能な光源と、
前記ハウジング内に配置されたビーム変更レンズであって、前記光源から前記光ビームを受け取り、前記光ビームを集束された光の線に変換するよう動作するように構成されている、ビーム変更レンズと、
前記ハウジング内に配置され、前記光学的観察窓に向かって前記集束された光の線を方向付ける1つ以上の導光部と、
前記光学的観察窓内に配設され、単一の透明材料から構成されるキャリアであって、前記光学的観察窓と整列し、互いに実質的に平行である第1のおよび第2の対向平面を画定する、キャリアと、
エマルジョンから構成され、前記キャリアの前記第1の対向平面上に配設された入力ホログラフィック光学要素であって、前記ビーム変更レンズから光を受け取り、前記第2の対向平面に垂直な方向に前記光をコリメートする、入力ホログラフィック光学要素と、
エマルジョンから構成され、前記キャリアの前記第2の対向平面上に配設された出力ホログラフィック光学要素であって、前記出力ホログラフィック光学要素が前記光学的観察窓内の前記入力ホログラフィック光学要素の逆側にあり、それと対向するため、そこに入射した光に応答して、前記光学的観察窓内にレチクル画像を投射する出力ホログラフィック光学要素と、を備え、前記入力ホログラフィック光学要素は前記キャリアと前記1つ以上の導光部との間に取り囲まれ、前記出力ホログラフィック光学要素は前記キャリアと前記キャリアの逆側のカバー要素との間に取り囲まれている、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項10】
前記光源は、レーザダイオードである、請求項9に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項11】
前記エマルジョンは、露光後に一貫性を維持する、請求項9に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項12】
前記エマルジョンは、8nm未満の粒径の粒子を有する、請求項9に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項13】
前記1つ以上の導光部は、前記ビーム変更レンズから前記集束された光の線を受け取り、前記視線軸に平行な軸に沿った第1の方向に前記光を導くように構成された第1の導光部を備え、第1の導光部から光を受け取り、前記入力ホログラフィック光学要素に向かって第2の方向に前記光を方向付けるように構成された第2の導光部を備え、前記第2の方向は前記第1の方向とは逆側である、請求項9に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項14】
前記第1の対向平面上の前記エマルジョンは、前記キャリアと前記第2の導光部との間に取り囲まれる、請求項13に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系。
【請求項15】
請求項9に記載のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系を搭載した武器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッジ照明(Edge lighting)を有するホログラフィック光学要素に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系(optic、光学系、レンズ)は、光学的観察窓を通して見ているユーザが、視野内の特定の距離に重ね合わせたレチクルを確認できる非拡大武器照準器である。レチクルは、ホログラフィック記録媒体に記録された3次元ホログラフィック画像である。レチクルは、ホログラフィック記録媒体を通して光ビームが投射されるときに形成される。
【0003】
従来のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系()は、キャビティ内の多数の部品全体に光路を拡散する。偏流および仰角調整を考慮するために、光路内の光学部品が調整される。光路を修正することにより、レチクル出力に誤差がもたらされる。意図した出力(すなわち、ノブを回転することにより調整する)または意図しない出力(すなわち、低温であり、基板材料が屈曲して光路をシフトさせる)により、誤差が生じる場合がある。
【0004】
代替的に、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系は、キャビティ内に固定した部品に依存する場合がある。キャビティは次に、全体として光路をそのまま維持するキャビティすべてを移動させることにより、偏流および仰角を考慮する機構に基づいている。誤差は生じにくいが、この方式は高コストのハウジング材料(すなわち、温度/高圧力下で屈曲しない剛性材料)を必要とする。いずれの方式でも、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系のキャビティ内に光路を組み立てているため、製造プロセスは厳密な制御を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、物理的サイズを低減し、精度を向上させながら、製造プロセスを簡略化する、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系を提供することが望ましい。
【0006】
この節は、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0007】
この節は、本開示の概要を提供し、その完全な範囲またはその特徴のすべてについての包括的開示ではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、武器での使用のためのスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系が提示される。ハウジングは、視線軸に沿って光学的観察窓を画定し、武器に搭載するように構成されている。レーザダイオードは、ハウジング内に配置され、光ビームを放出するように動作する。ビーム変更レンズは、ハウジング内に配置されている。ビーム変更レンズ(シリンダなど)は、レーザダイオードから光ビームを受け取り、光ビームを光の線に集束するように動作する。また、キャリアは、光学的観察窓内に配設され、その結果、キャリアの2つの対向平面は光学的観察窓と整列する。入力ホログラフィック光学要素は、キャリアの対向平面のうちの一方に隣接して配設され、そこに入射した光をコリメートするように動作する。出力ホログラフィック光学要素は、キャリアの他方の対向平面に隣接して配設され、そこに入射した光に応答して、出力ホログラフィック光学要素は、光学的観察窓内にレチクル画像を投射するように動作する。1つ以上の導光部をハウジング内に配置してもよく、その結果、導光部はビーム変更レンズから光を受け取り、入力ホログラフィック光学要素に向かって光を導くように構成されている。
【0009】
一実施形態では、入力ホログラフィック光学要素および/または出力ホログラフィック光学要素は、エマルジョンとしてさらに定義されている。エマルジョンは好ましくは、露光後に一貫性を維持する。一例では、エマルジョンは8nm未満の粒径を有し、ハロゲン化銀を含む。
【0010】
適用可能なさらなるエリアは、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。この概要における説明および具体例は、例示の目的だけが意図され、本開示の範囲を限定することは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書において説明される図面は、選択された実施形態の例示的な目的用にすぎず、すべての可能な実装ではなく、本開示の範囲を限定することは意図されない。
図1】武器に搭載されたスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系の図である。
図2】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系を備えるコア部品を示すブロック図である。
図3】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系の例示的な実施形態の図である。
図4A】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系により生成されるレチクル画像の例示的な実施形態を示す図である。
図4B】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系により生成されるレチクル画像の例示的な実施形態を示す図である。
図4C】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系により生成されるレチクル画像の例示的な実施形態を示す図である。
図5】スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系により異なるレチクルを選択的に生成する技術を示すブロック図である。 対応する参照番号は、図面のいくつかの図にわたって対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、例示的な実施形態が、添付の図面を参照しながらより完全に説明される。
【0013】
図1および図2を参照すると、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、武器11に搭載されて示されている。スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、ユーザが光学的観察窓8を通して見ることを可能にし、光学的観察窓を通して確認されるように、視野内にレチクル画像(reticle image、焦点板画像)を投射する。スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10のハウジング12は、内部に光学部品を収容する内側チャンバを画定する。搭載ベース部14は、ハウジング12の底部に設けられ、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10を武器11に取り付けるように機能する。武器の種類に応じて、さまざまな種類の取り付け方法を採用することができる。武器は拳銃として示されているが、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、ライフル、弓などを含む、他の種類の武器での使用に好適であり得ることが容易に理解される。
【0014】
ハウジング12内に、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、光源(例えば、レーザダイオード22)、ビーム変更レンズ23、およびキャリア24を含む。光源22は、バッテリなどの電源21により給電され、光ビームを放出するように動作する。ビーム変更レンズ23はレーザダイオード22から光ビームを受け取り、光ビームを光の線に変換する。キャリア24は、光学的観察窓内に配設され、かつビーム変更レンズ23から光の線を受け取るように構成されている。一実施形態において、キャリア24は単一の透明材料(例えば、ガラス)から構成されている。キャリア24は、光が通過する2つの対向平面をさらに画定する。入力ホログラフィック光学要素25は、キャリアの対向平面のうちの一方に隣接して配設され、そこに入射した光をコリメートするように動作する。出力ホログラフィック光学要素26は、キャリア24の他方の対向平面に隣接して配設されている。そこに入射した光に応答して、出力ホログラフィック光学要素26は、光学的観察窓内にレチクル画像を投射するように動作する。この実施形態において、入射光は、入力ホログラフィック光学要素25によりコリメートされ、キャリア24を通過し、その後、出力ホログラフィック光学要素26に到達した。いくつかの実施形態では、1つ以上の導光部が、ハウジング内に配置されている。1つ以上の導光部は、ビーム変更レンズ23から光を受け取り、以降でさらに説明されるように、入力ホログラフィック光学要素に向かって光を導くように構成されている。いくつかの実施形態では、2つ以上のホログラフィック光学要素を使用することができる。
【0015】
調整機構13は、ハウジング12と搭載ベース部14との間にインターフェース連結されている。調整機構13は、ユーザが搭載ベース部14に対してハウジング12を移動することを可能にする。より具体的には、調整機構13は、ハウジングの仰角を調整するためのサブアセンブリと、ハウジングの方位角を調整するための別のサブアセンブリとを含む。異なる種類の機械的または電気機械的機構が当技術分野では知られており、ホログラフィック照準器10に実装することができる。
【0016】
図3はさらに、レチクルを観察するための視線軸31を画定するスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10の例示的な実施形態を示す。レチクルを生成するために、レーザダイオード32は、視線軸に平行な軸に沿って、かつビーム変更レンズ33に向かって、第1の方向に光ビームを放出する。ビーム変更レンズ33(例えば、シリンダレンズ)は光ビームを受け取り、光ビームを光の線に変換する。
【0017】
1つ以上の導光部を使用して、ホログラフィック光学要素上に光の線を方向付ける。この実施形態において、第1の導光部34は、ビーム変更レンズ33から光の線を受け取り、同じ軸に沿って光を導く。第1の導光部34は、ビーム変更レンズ33から離れた端部に傾斜面41を含み、これは、実質的に90°上向きの第2の方向に光を方向変換する。第1の導光部の傾斜面41は、銀などの反射コーティングで被覆してもよい。第2の導光部35は、第1の導光部34の傾斜面から反射光を受け取る。第2の導光部は次に、第1の方向とは逆側であり、かつホログラフィック光学要素に向う第3の方向に光を方向付ける。この第3の方向は、視線軸31と平行であることに留意されたい。第1のおよび第2の導光部34、35は、ガラスまたは別の透明材料から構成されてもよい。ダイオードからホログラフィック光学要素に光を方向付けるための異なる配置が想定されるが、この特定の配置は、小型のパッケージをもたらす。
【0018】
キャリア36は、視線軸に沿って光学的観察窓内に配設されている。この実施形態では、キャリア36は、光学的観察窓と整列する2つの対向平面を画定する直方体である。キャリア36は好ましくは、ガラスなどの単一の透明材料から構成されている。単一のキャリア36を使用することにより、実験台上で光路が露出され、制御される。これにより、密閉された光路が生成され、その精度が環境により脅かされることはない。
【0019】
入力ホログラフィック光学要素37は、第2の導光部35に対向している平面に隣接して配設され、かつ/またはその平面上に配設されている。入力ホログラフィック光学要素37は第2の導光部からの光を受け取り、そこに入射した光をコリメートする。同様に、出力ホログラフィック光学要素38は、キャリアの他方の対向平面に隣接して配設され、かつ/またはその平面上に配設されている。そこに入射した光に応答して、出力ホログラフィック光学要素38は、光学的観察窓内にレチクル画像を投射するように動作する。
【0020】
例示的な実施形態では、入力ホログラフィック光学要素および/または出力ホログラフィック光学要素はエマルジョンを使用して実装されている。エマルジョンは好ましくは8nm未満の粒径を有し、露光後に一貫性を維持する。入力ホログラフィック光学要素(HOE)は、出力HOEがユーザに適切に表示され得る角度で、光(ビーム)をコリメートすることを可能にするように記録されている。出力HOEは画像レチクル(複数可)を含んでいる。適切に露光可能な材料が、出力HOE上で退色または劣化しない複数の画像を可能にするような粒径が求められる。入力HOEでは、ビーム角度を適切に設定することが求められる。露光後にエマルジョンが収縮すると、角度が変化し、したがって、画像が正しく表示されないため、一貫性が求められる。いくつかの場合、エマルジョンはハロゲン化銀から構成してもよいが、他の種類の材料をエマルジョンに使用することができることも容易に理解される。
【0021】
ホログラフィック光学要素を形成するエマルジョンは典型的には、キャリア36の表面に対して密閉されている。例えば、入力ホログラフィック光学要素37は、キャリア36と第2の導光部35の対向表面との間に取り囲まれているが、出力ホログラフィック光学要素38は、ガラスカバー39により取り囲まれている。ガラスカバー39と出力ホログラフィック光学要素38との間に、透明接着剤40(例えば、Norland Productsから市販されている接着剤)を使用し、挿置してもよい。関連する光学部品のみが図3について考察されているが、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10に他の部品を組み込むことができることを理解されたい。
【0022】
図4A図4Cを参照すると、複合レチクル画像40は、透過または反射ホログラム方式のいずれかで、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10の出力ホログラフィック光学要素38により投射してもよい。例示的な実施形態では、複合レチクル画像は、2つ以上のレチクル要素から構成されている。例えば、複合レチクル画像40は、第1のレチクル要素41、第2のレチクル要素42、第3のレチクル要素43、および第4のレチクル要素44を含む。各レチクル要素は好ましくは、複数のマーキングを含む。例えば、第1のレチクル要素41は、円で囲まれた中央ドットであってもよいが、第2のレチクル要素42、第3のレチクル要素43、および第4のレチクル要素44は、中央ドットの上または下に異なる間隔で位置付けられる2つのダッシュ(またはドット、山形、矢印、もしくは他の幾何学的形状)であってもよい。より重要なことに、これらの4つのレチクル要素の各々は、ホログラフィック記録要素の異なる露出中に武器から異なる距離で捕捉される。レチクル要素は、ホログラフィック画像多重化を使用して、出力ホログラフィック光学要素38により記録することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のレチクル要素が中央ドットの上に位置付けられ得るが、他のレチクル要素は、中央ドットの下に位置付けられる。他の実施形態では、中央ドットの上のレチクル要素は、ある種類の武器用の基準点であるが、中央ドットの下のレチクル要素は、別の種類の武器用の基準点である。複合レチクル画像40は、4つを超えるまたは4つ未満のレチクル要素を含むことができると理解される。
【0023】
より具体的には、各レチクル要素(すなわち、層)は、その層を弾道基準点と整列させるのに必要な任意の距離で捕捉される。例えば、中央基準ドットの有効距離が100メートルであれば、そのドットの層は、その距離で捕捉されるであろう。第2の基準ダッシュが正確に400メートルであれば、それらのダッシュはその距離で捕捉される(など)。図4Cでわかるように、第1のレチクル要素41、第2のレチクル要素42、第3のレチクル要素43、および第4のレチクル要素44は、それぞれ100m、400m、600m、および800mで捕捉される。これらの距離は単なる例示であり、異なる実施形態で異なり得る。
【0024】
ユーザは、光学系の視線を通して直接複合レチクル画像を観察するとき、それらの個々に捕捉された距離に存在するさまざまな弾道基準点を有する1つのレチクル画像40を見て、それにより、それらの距離で標的を狙うときに視差を最小化または除去する。言い換えると、単一の複合レチクル画像40の異なる部分が異なる時間にエマルジョン内で捕捉され、その都度、(選択された武器プラットフォームおよび銃弾の種類の選択された弾道特性に対して)それ自体の特定の距離で弾道データのその特定のセットを記録する。空間内で捕捉された各基準点は、実際の物体がその距離で提示するように視差を呈するであろう。続いて、ユーザが同じまたは同様の距離で標的と弾道基準点を整列させるとき、標的面における基準点の位置は、標的を撃つユーザの精度および能力に対する視差の全体的な影響を著しく低減または除去するであろう。
【0025】
本開示の別の態様では、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、図5に見られるものと同じホログラフィック光学要素を使用して異なるレチクル画像を生成するように構成してもよい。この技術は、異なる波長で動作している2つ以上の光源51、53に依存する。例えば、第1の光源51は第1の波長で光ビームを放出するが、第2の光源53は第2の波長で光ビームを放出する。2つの光ビームは、次に組み合わされ、ホログラフィック光学要素26に向かって方向付けられる。
【0026】
ハウジング内には、1つ以上の光導波路が配置されている。光導波路は、第1の光源51および第2の光源53からの光を受け取り、第1の光源51および第2の光源53からの光をホログラフィック光学要素26上に方向付けるように構成されている。一例では、第1の二色性ミラー52は第1の光源51から光を受け取り、第2の二色性ミラー54を通してホログラフィック光学要素26に向かって第1の光源51からの光を方向付けるように配置されているが、第2の二色性ミラー54は第1の二色性ミラー52および第2の光源53から光を受け取り、ホログラフィック光学要素26に向かってその光を方向付けるように配置されている。他の種類の光導波路およびその光導波路の配置も想定され、本開示のより広い態様内にある。
【0027】
ホログラフィック光学要素は、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10のハウジング内に配設され、光学的観察窓内に複合レチクル画像を投射するように動作する。例示的な実施形態では、上で説明したように、ホログラフィック光学要素を両側に搭載した単一のキャリアが本実施形態で使用される。しかしながら、異なるレチクル画像を生成するためのこの技術は、この種類のホログラフィック光学要素に限定されない。
【0028】
簡略化された例では、ホログラフィック光学要素26に記録された複合レチクル画像は、少なくとも第1のレチクル要素および第2のレチクル要素から構成されている。第1のレチクル要素は、第1の波長を有する光に応答して光学的観察窓内に投射し、第2のレチクル要素は、第2の波長を有する光に応答して光学的観察窓内に投射する。このようにして、異なる波長で光を放出する光源をオンまたはオフにすることにより、異なるレチクル要素を複合レチクル画像に選択的に含めることも、またはそこから除外することもできる。
【0029】
レチクルは好ましくは、特定の武器の既知の弾道基準点に対応するように設計されている。例示的な実施形態では、複合レチクル画像内の各レチクル要素は、同じ武器プラットフォームの弾道基準点に対応する。所与の武器プラットフォームおよび銃弾の種類に対する、弾道基準点は、(視線軸に沿った)武器からの距離、および対応する距離における視線軸から武器によって発射された発射体による予想偏差(例えば、落下距離)として定義され得る。レチクル要素の配置が対応する落下距離を補償することも容易に理解される。
【0030】
上記の技術を使用して、単一のスポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、2つ以上の武器用のレチクルを投射するように設計することができる。例えば、第1の種類の武器用のレチクルは、第2の種類の武器用のレチクルと同様に、ホログラフィック光学要素に記録してもよい。第1の種類の武器用のレチクルは、第1の波長を有する光に応答して光学的観察窓内に投射され、第2の種類の武器用のレチクルは、異なる波長を有する光に応答して光学的観察窓内に投射される。それぞれの光源をオンおよびオフにすることにより、関心対象のレチクルを選択することができる。この例は、例示にすぎない。この技術を使用して、他の種類のデータを表わすレチクル要素を選択的に導入できることも想定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、2つの光源からの光は、異なるが、長さが近い波長を有し、その結果、2つのレチクルの色は同じであるように見える(例えば、赤みを帯びている)。他の実施形態では、2つの光源からの光は、互いにさらに離れた波長を有し、その結果、2つのレチクルの色は異なる色を有する(例えば、一方は赤色であり、他方は青色である)。
【0032】
引き続き図5を参照すると、スポーツ/戦闘用ホログラフィック光学系10は、コントローラ55とインターフェース連結してもよい。コントローラ55は、光源を選択的にオンおよびオフにして、複合レチクル画像内に投射されるレチクル要素を制御する。例示的な実施形態では、コントローラ55は、マイクロコントローラとして実装される。コントローラ55用のロジックは、ハードウェアロジック、ソフトウェアロジック、またはハードウェアおよびソフトウェアロジックの組み合わせで実装することができると理解されるべきである。この点において、コントローラ55は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のプログラマブルデバイスのいずれかであってもよく、それを含んでもよく、それらは、上で説明した方法を実装するソフトウェアでプログラムされている。代替的に、コントローラは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、または特定用途向け集積回路(ASIC)などの他のロジックデバイスであるか、またはそれらを含むと理解されるべきである。コントローラ55が機能を実行するか、または機能を実行するように構成されていると記述されているとき、コントローラ55は、(ソフトウェア、ロジックデバイス、またはそれらの組み合わせなどにおいて)適切なロジックでそうするように構成されていると理解されるべきである。
【0033】
例示的な実施形態では、ユーザ入力56は、コントローラ55に入力コマンドを提供する。例えば、ユーザ入力56は、ユーザ起動スイッチであってもよい。スイッチ位置に応じて、コントローラ55は、照明デバイスを選択的に動作させる。1つの位置では、第1の光源がオンになり、第2の光源がオフになる。第2の位置では、第1の光源はオフであるが、第2の光源はオンになる。第3の位置では、両方の光源がオフである。このようにして、光源は、ユーザからの入力に従って選択的に動作可能である。スイッチを使用して、2つ以上の照明デバイス、およびそれらの異なるオン/オフの組み合わせをサポートすることができると理解される。その上、タッチスクリーンなどの他の種類のユーザ入力をスイッチの代わりに使用され得ることが想定される。
【0034】
実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提供されている。網羅的であること、または開示を制限することは意図されない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されないが、適切な場合、交換可能であり、具体的に示されていないか、または説明されていない場合であっても、選択された実施形態において使用可能である。また、多くの方法において、これらは、さまざまであってもよい。このような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、全てのこのような修正が本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0035】
本明細書における用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的で使用されるにすぎず、制限することは意図されない。本明細書において使用される場合、単数形の「ある(a、an)」および「その(the)」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、同様に複数形を含むことが意図され得る。「備える」、「備えている」、「含んでいる」、および「有している」という用語は包括的であり、したがって、記述された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しない。本明細書において説明される方法のステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に指定されない限り、考察または例示した特定の順序でのそれらの実行を必ずしも必要とするとは解釈されるべきではない。追加のまたは代替のステップを用いることができることも理解されたい。
【0036】
ある要素または層が、別の要素または層「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、または「に結合される」と言及されている場合、それは、他の要素または層の上に直接あっても、係合されても、接続されても、もしくは結合されてもよく、または介在する要素もしくは層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層「の直接上にある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、または「に直接結合される」と言及されている場合、介在する要素または層が存在しないことがある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「の間に」対「の間に直接」、「に隣接する」対「に直接隣接する」など)。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意のおよび全ての組み合わせを含む。
【0037】
第1、第2、第3などの用語を本明細書において使用し、さまざまな要素、部品、領域、層、および/または区画を説明している場合があるが、これらの要素、部品、領域、層、および/または区画は、これらの用語により限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層、または区画を別の領域、層、または区画から区別するためだけに使用され場合がある。本明細書において使用されるとき、「第1」、「第2」、および他の数値用語などの用語は、文脈により明確に示されない限り、順序または順番を意味しない。したがって、以降で考察される第1の要素、部品、領域、層、または区画は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、部品、領域、層、または区画と呼ぶこともできる。
【0038】
「内側」、「外側」、「の下」、「より下」、「下側」、「より上」、「上側」などの空間的相対用語は、説明を容易にするために本明細書では使用され、図面に例示されるように、別の要素(複数可)または特徴(複数可)に対するある要素または特徴の関係を説明する場合がある。空間的相対用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図内のデバイスがひっくり返される場合、他の要素または特徴「より下」または「の下」として説明される要素は、他の要素または特徴「より上」に方向付けされるであろう。したがって、例示的な用語である「より下」は、上向きおよび下向きの両方を包含できる。デバイスはそれ以外に方向付されてもよく(90°または他の向きに回転させる)、本明細書において使用される空間的相対的な記述は、それに応じて解釈される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5