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特許7526680レーザ加工機及びレーザ加工機の結露防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】レーザ加工機及びレーザ加工機の結露防止方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20240725BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240725BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20240725BHJP
【FI】
B23K26/00 Z
B23K26/38 A
B23K26/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021004727
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109427
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】古清水 洋
(72)【発明者】
【氏名】大竹 出
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121615(JP,A)
【文献】特許第7436661(JP,B2)
【文献】特開2016-023938(JP,A)
【文献】実開平06-076796(JP,U)
【文献】特開昭61-084490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/38
B23K 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを射出するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から射出されたレーザビームをコリメートしてレーザビームを、板金を加工する加工ヘッドに導光するビーム光学装置と、
前記レーザ発振器と前記ビーム光学装置との少なくとも一方を冷却水を循環させて冷却するチラー装置と、
前記チラー装置の前記冷却水を供給する第1配管と前記第1配管と同心上に配置され前記第1配管の径より大径の第2配管とを有する二重配管と、
乾燥空気が供給される中継器とを備え、
前記二重配管は、前記チラー装置から前記少なくとも一方へ向かう往路二重配管と前記少なくとも一方から前記チラー装置へ戻る復路二重配管とを含み、
前記中継器は、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の中間に配置され、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の前記第1配管が挿通され、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の前記第2配管が接続され、前記乾燥空気を前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第1配管と前記第2配管との隙間に供給する、レーザ加工機。
【請求項2】
少なくとも一方側の前記往路二重配管及び前記復路二重配管の端部の前記第2配管が開放され、前記中継器は、開放された前記第2配管と前記第1配管との隙間から前記乾燥空気を前記ビーム光学装置に放出する、請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項3】
チラー装置側の前記往路二重配管及び前記復路二重配管の端部の前記第2配管が開放され、前記中継器は、開放された前記第2配管と前記第1配管との隙間から前記乾燥空気を外部に放出する、請求項1又は請求項2記載のレーザ加工機。
【請求項4】
レーザ発振器とレーザ発振器から射出されたレーザビームを加工ヘッドに導光するビーム光学装置との少なくとも一方に冷却水を供給する第1配管と前記第1配管と同心上に配置され前記第1配管の径より大径の第2配管とで構成した往路二重配管及び復路二重配管の中間に中継器を配置し、
前記往路二重配管の前記第1配管により前記冷却水をチラー装置から前記中継器を通って前記少なくとも一方に供給し、
前記復路二重配管の前記第1配管により前記冷却水を前記少なくとも一方から前記中継器を通って前記チラー装置に戻し、
前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第2配管が接続された前記中継器に供給された乾燥空気を前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第1配管と前記第2配管との隙間に供給し、
前記往路二重配管及び前記復路二重配管の結露を防止する、レーザ加工機の結露防止方法。
【請求項5】
少なくとも一方側の前記往路二重配管及び前記復路二重配管の端部の前記第2配管が開放され、開放された前記第2配管と前記第1配管との隙間から前記乾燥空気を前記ビーム光学装置に放出する、請求項4記載のレーザ加工機の結露防止方法。
【請求項6】
チラー装置側の前記往路二重配管及び前記復路二重配管の端部の前記第2配管が開放され、開放された前記第2配管と前記第1配管との隙間から前記乾燥空気を外部に放出する、請求項4又は請求項5記載のレーザ加工機の結露防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機及びレーザ加工機の結露防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機は稼働時に高温となるため、チラー装置によって冷却する必要がある。チラー装置には、2つの温度の異なる冷却水の供給先が存在する。冷却水の供給先の一つはレーザ発振器であり、もう一つは、レーザ発振器の外部のビーム光学装置である。
【0003】
チラー装置のチラー第1回路は、レーザ発振器に例えば約24℃の冷却水を供給してレーザ発振器を冷却する。チラー装置のチラー第2回路は再熱回路を備え、チラー第2回路は例えば約27℃の冷却水をビーム光学装置に供給して冷却する。レーザ発振器を冷却する冷却水の温度よりもビーム光学装置を冷却する冷却水の温度が高いのは、ビーム光学系に設けられている光学部品の結露をできるだけ防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-169404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チラー装置のコストを削減するために、チラー第2回路を削除し、チラー第1回路でビーム光学系を冷却することが考えられる。ところが、ビーム光学装置にレーザ発振器を冷却する冷却水の温度と同じ約24℃の温度の冷却水を循環させると、冷却水の配管が結露しやすくなり、光学部品が結露するおそれが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、レーザビームを射出するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から射出されたレーザビームをコリメートしてベンドミラーで反射されたレーザビームを板金を加工する加工ヘッドに導光するビーム光学装置と、前記レーザ発振器と前記ビーム光学装置との少なくとも一方を冷却水を循環させて冷却するチラー装置と、前記チラー装置の前記冷却水を供給する第1配管と前記第1配管と同心上に配置され前記第1配管の径より大径の第2配管とを有する二重配管と、乾燥空気が供給される中継器とを備える。前記二重配管は、前記チラー装置から前記少なくとも一方へ往く往路二重配管と前記少なくとも一方から前記チラー装置へ戻る復路二重配管とを含む。前記中継器は、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の中間に配置され、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の前記第1配管が挿通され、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の前記第2配管が接続され、前記乾燥空気を前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第1配管と前記第2配管との隙間に供給する、レーザ加工機を提供する。
【0007】
中継器が、往路二重配管及び復路二重配管の中間に配置され、中継器に往路二重配管及び復路二重配管の第1配管が挿通され、往路二重配管及び復路二重配管の第2配管が接続されている。このため、燥空気が往路二重配管及び復路二重配管の各々の第1配管と第2配管との隙間に供給される。
【0008】
高温多湿環境下において、レーザ発振器の水温の冷却水でビーム光学装置を冷却し、ビーム光学装置の配管の結露を防止することができる。
【0009】
本発明の一態様は、レーザ発振器とレーザ発振器から射出されたレーザビームを加工ヘッドに導光するビーム光学装置との少なくとも一方に冷却水を供給する第1配管と前記第1配管と同心上に配置され前記第1配管の径より大径の第2配管とで構成した往路二重配管及び復路二重配管の中間に中継器を配置する。前記往路二重配管の前記第1配管により前記冷却水を冷却装置から前記中継器を通って前記少なくとも一方に供給し、前記復路二重配管の前記第1配管により前記冷却水を前記少なくとも一方から前記中継器を通って前記冷却装置に戻す。前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第2配管が接続された前記中継器に供給された乾燥空気を前記往路二重配管及び前記復路二重配管の各々の前記第1配管と前記第2配管との隙間に供給し、前記往路二重配管及び前記復路二重配管の結露を防止する、レーザ加工機の結露防止方法を提供する。
【0010】
中継器が、往路二重配管及び復路二重配管の中間に配置され、中継器に往路二重配管及び復路二重配管の第1配管が挿通され、往路二重配管及び復路二重配管の第2配管が接続されている。このため、燥空気が往路二重配管及び復路二重配管の各々の第1配管と第2配管との隙間に供給される。
【0011】
レーザ発振器を冷却する冷却水の温度と同一の温度の冷却水でビーム光学装置を冷却し、ビーム光学装置の配管の結露を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、レーザ発振器を冷却する冷却水の温度と同一の温度の冷却水でビーム光学装置を冷却しながら、ビーム光学装置を冷却する配管の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るレーザ加工機の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るチラー装置によりレーザ発振器とビーム光学装置とを同一の温度の冷却水で冷却する構成図である。
図3】本発明の実施形態に係るチラー装置によりレーザ発振器とビーム光学装置とを同一の温度の冷却水で冷却する冷媒回路の構成図である。
図4】本発明の実施形態に係るレーザ加工機の冷却水と乾燥空気用の二重配管と中継ボックスを示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るレーザ加工機の冷却水と乾燥空気用の二重配管の断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るレーザ加工機のビーム光学装置への往路二重配管及び復路二重配管の経路を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るレーザ加工機のビーム光学装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のレーザ加工機及びレーザ加工機の結露防止方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
(レーザ加工機の基本構成)
図1は本発明の実施形態に係るレーザ加工機の概略構成図である。図1を参照して本実施形態について説明する。図1に示すように、レーザ加工機は、チラー装置1、レーザビームを射出するレーザ発振器2、ビーム光学装置3、加工ヘッド4、加工テーブル5、X軸キャリア6、Y軸キャリア7を備える。また、レーザ加工機は、中継ボックス10、往路二重配管11a1,11b1、復路二重配管11a2,11b2、Xケーブルベア13、Yケーブルベア14、往路冷却水配管15、復路冷却水配管16、連結管からなる水マニホールド18を備える。
【0016】
ビーム光学装置3には、レーザ発振器2から射出されてプロセスファイバ70(図7参照)で伝送されるレーザビームが入射される。ビーム光学装置3は、入射したレーザビームをコリメートレンズでコリメートした後にベンドミラーで反射させて加工ヘッド4に導光する。ビーム光学系3の詳細な構成については、後述する。
【0017】
加工ヘッド4は、ビーム光学装置3からのレーザビームを加工テーブル5に載置された加工対象の板金K1に照射して板金K1を加工(切断)する。
【0018】
X軸キャリア6は、平板状の板金K1を跨ぐようにコの字状に形成され、加工テーブル5に対してX軸方向に移動する。Y軸キャリア7は、X軸キャリア6の長手部6aに嵌合し、長手部6aを摺動して加工テーブル5に対してY軸方向に移動する。
【0019】
Y軸キャリア7には、ビーム光学装置3と加工ヘッド4とが取り付けられている。これにより、X軸キャリア6とY軸キャリア7とを移動させることで、加工ヘッド4が板金K1に対してX軸方向およびY軸方向に移動するので、板金K1を所望の形状に加工することができる。
【0020】
Xケーブルベア13は、X軸キャリア6に取り付けられ、X軸キャリア6とともにX軸方向に移動する。Yケーブルベア14は、Y軸キャリア7に取り付けられ、Y軸キャリア7とともにY軸方向に移動する。
【0021】
図2は本発明の実施形態に係るチラー装置1によりレーザ発振器とビーム光学装置とを同一の温度の冷却水で冷却する構成図である。図2に示すように、チラー装置1は、チラー装置1から往路A1を介して温度24℃の冷却水をレーザ発振器2に供給し、復路A2を介してレーザ発振器2から冷却水をチラー装置1に戻す。
【0022】
また、チラー装置1は、チラー装置1から往路B1を介してビーム光学装置3に温度24℃の冷却水を供給し、ビーム光学装置3から復路B2を介して冷却水をチラー装置1に戻す。
【0023】
図3は本発明の実施形態に係るチラー装置によりレーザ発振器とビーム光学装置とを同一の温度の冷却水で冷却する冷媒回路の構成図である。図3に示すように、チラー装置1は、冷媒回路100と冷却器102を備える。冷媒回路100と冷却器102はチラー第1回路を構成する。冷却器102は、水槽101とレーザ発振器2とビーム光学装置3との間で冷却水を循環させ、循環経路中に冷媒と熱交換することで冷却水を冷却する。レーザ発振器2とビーム光学装置3とは、レーザ加工機における冷却対象物の例である。
【0024】
冷媒回路100は、圧縮機105、凝縮器106、膨張弁107、冷却器102内の蒸発器103と、アキュムレータ104とを順番に配管接続している。凝縮器106は圧縮機105から吐出された冷媒を凝縮し、膨張弁107は冷媒を減圧する。その後、蒸発器103は、冷媒を蒸発させ、アキュムレータ104は蒸発した冷媒を圧縮機105に戻す。
【0025】
冷却器102は、往路A1を介してレーザ発振器2に温度24℃の冷却水を供給し、復路A2を介してレーザ発振器2から冷却水は水槽101に戻される。水槽101からの温度24℃の冷却水は、冷却器102に送られるとともに、往路B1を介してビーム光学系3に供給される。ビーム光学装置3からの冷却水は復路B2を介して水槽101に戻される。
【0026】
この構成によれば、チラー内部に再熱回路を設けたチラー第2回路を削除でき、チラー第1回路(レーザ発振器系)でのビーム光学装置3の冷却が可能となる。
【0027】
(ビーム光学系3の配管結露防止の構成)
次に、レーザ発振器を冷却する冷却水の温度と同一の温度の冷却水でビーム光学装置3を冷却し、ビーム光学装置3の配管の結露を防止する構成を説明する。
【0028】
図1に示すように、二重配管は、チラー装置1からビーム光学装置3に向かう往路二重配管とビーム光学装置3からチラー装置1に戻る復路二重配管とからなる。往路二重配管は、往路二重配管11a1と往路二重配管11b1とからなる。復路二重配管は、復路二重配管11a2と復路二重配管11b2とからなる。
【0029】
往路二重配管11a1及び復路二重配管11a2は、チラー装置1側に配置されている。往路二重配管11b1及び復路二重配管11b2は、ビーム光学装置3側に配置されている。
【0030】
往路二重配管11a1と復路二重配管11a2とは、Xケーブルベア13に取り付けられ、Xケーブルベア13とともにX軸方向に移動する。往路二重配管11b1と復路二重配管11b2は、Yケーブルベア14に取り付けられ、Yケーブルベア14とともにY軸方向に移動する。このため、往路二重配管11a1,11b1と復路二重配管11a2,11b2が絡まることがない。
【0031】
図1に示すように、中継ボックス10は、往路二重配管11a1,11b1の合計長の中間及び復路二重配管11a2,11b2の合計長の中間に配置されている。なお、中継ボックス10は複数個設けられていてもよい。
【0032】
図4は本発明の実施形態に係るレーザ加工機の冷却水と乾燥空気用の二重配管と中継ボックスを示す斜視図である。中継ボックス10は中継器であり、図4に示すように、直方体の筐体22Aを有し、筐体22Aに、ゴムシートを筐体22Aと接触する部分に備えた平板からなる蓋体22を4つのネジ23でねじ締めすることにより内部が密閉されている。
【0033】
中継ボックス10の略中央部には、乾燥空気が供給される空気供給口25と、空気供給口25に連結され、乾燥空気の流速をコントロールして乾燥空気を中継ボックス10内に供給するスピードコントローラ24が設けられている。スピードコントローラ24は、弁を回して弁の開閉量を調整することで、一定の流量の乾燥空気を中継ボックス10内部に供給する。乾燥空気としては、大気圧露点25℃以下の圧縮エアが用いられる。
【0034】
中継ボックス10には、チラー装置1からXケーブルベア13とYケーブルベア14を介してビーム光学装置3に向かう往路二重配管11a1,11b1と、ビーム光学装置3からYケーブルベア14とXケーブルベア13を介してチラー装置1に戻る復路二重配管11a2,11b2が接続されている。
【0035】
図5は本発明の実施形態に係るレーザ加工機の冷却水と乾燥空気用の二重配管の断面図である。図5に示すように、往路二重配管11a1,11b1と復路二重配管11a2,11b2の各々は、冷却水を供給する円筒状の第1配管からなる耐摩耗チューブ31と、耐摩耗チューブ31と同心上に配置され耐摩耗チューブ31の径より大径の第2配管からなるナイロンチューブ32とで構成されている。
【0036】
耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との間には中継ボックス10から乾燥空気33が供給される。耐摩耗チューブ31は冷却水ホースであり、ポリウレタン、フッ素等を含む。
【0037】
耐摩耗チューブ31は、Xケーブルベア13、Yケーブルベア14内で耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32とが擦れ合い、損傷することを防止する。
【0038】
往路二重配管11a1,11b1のナイロンチューブ32は、継手部21aにより中継ボックス10に接続されている。復路二重配管11a2,11b2のナイロンチューブ32は、継手部21bにより中継ボックス10に接続されている。
【0039】
中継ボックス10には、継手部21a,21bに対応して中空状の六角ナット26が設けられている。往路二重配管11a1,11b1の耐摩耗チューブ31及び復路二重配管11a2,11b2の耐摩耗チューブ31は、中継ボックス内部の六角ナット26を挿通している。
【0040】
このため、空気供給口25から供給された乾燥空気33は、スピードコントローラ24を介して中継ボックス10内に供給される。乾燥空気33は、往路二重配管11a1,11b1、復路二重配管11a2,11b2の各々において、六角ナット26と耐摩耗チューブ31との隙間を通って、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間に供給される。
【0041】
図6は、実施形態に係るレーザ加工機のビーム光学装置3への往路二重配管及び復路二重配管の経路を示す図である。図6において、Yケーブルベア14からの往路二重配管11b1は、配管41を介してビーム光学装置3に接続される。往路二重配管11b1の端部のナイロンチューブ32がビーム光学装置3で開放されており、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がビーム光学装置3のA部、B部に吹き付けられる。
【0042】
また、Yケーブルベア14からの復路二重配管11b2は、配管47を介してビーム光学装置3に接続される。復路二重配管11b2の端部のナイロンチューブ32がビーム光学装置3で開放されており、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がビーム光学系3のA部、B部に吹き付けられる。
【0043】
また、往路二重配管及び復路二重配管とは別にエア配管48を備え乾燥空気33をビーム光学系3へ内部に供給することで、ビーム光学装置3内の除湿を図ることができる。
【0044】
また、チラー装置1側の往路二重配管11a1及び復路二重配管11a2の端部のナイロンチューブ32が水マニホールド18において開放され、開放されたナイロンチューブ32と耐摩耗チューブ31との隙間から乾燥空気33が大気に放出される。
【0045】
往路二重配管11a1の耐摩耗チューブ31は、チラー装置1に接続された往路冷却水配管15に接続されている。復路二重配管11a2の耐摩耗チューブ31は、チラー装置1に接続された復路冷却水配管16に接続されている。
【0046】
図7は本発明の実施形態に係るレーザ加工機のビーム光学装置の構成図である。ビーム光学装置3は、ホルダ52と、アパーチャ54と、ホルダ53と、コリメートレンズ55と、ベンドミラー56とを備える。
【0047】
ホルダ52は、プロセスファイバ70を保持する。アパーチャ54は、プロセスファイバ70からのレーザビームの口径を絞りにより調整する。ホルダ53は、ホルダ52に連結され且つアパーチャ54を保持する。
【0048】
コリメートレンズ55は、アパーチャ54により調整されたレーザビームをコリメートする。ベンドミラー56は、コリメートレンズ55でコリメートされたレーザビームを反射させて加工ヘッド4に導光する。ベンドミラー56の角度を調整する回転機構が接続されて、ベンドミラー56が回転可能に構成されていてもよい。加工ヘッド4は、図示しない集束レンズでレーザビームを集束させて板金K1に照射する。
【0049】
(チラー装置1の冷却水によるビーム光学装置3の冷却処理)
次に、チラー装置1の冷却水によるビーム光学装置3の冷却処理について説明する。まず、冷却水は、チラー装置1から一重配管からなる往路冷却水配管15を通り水マニホールド18に到達する。
【0050】
次に、冷却水は、水マニホールド18から往路二重配管11a1の耐摩耗チューブ31を通って、中継ボックス10を挿通し、往路二重配管11b1の耐摩耗チューブ31を通って、ビーム光学装置3に供給される。
【0051】
往路二重配管11b1からの冷却水は、配管41、配管44を通って、一重配管45に供給される。一重配管45からの冷却水は、配管46を通って、図7に示すプロセスファイバ70、アパーチャ54に供給される。プロセスファイバ70は冷却水により冷却される。アパーチャ54は溝部に冷却水を循環させ、冷却される。
【0052】
その後、アパーチャ54からの冷却水は、配管47を通り、復路二重配管11b2の耐摩耗チューブ31を通って、中継ボックス10を挿通し、復路二重配管11a2の耐摩耗チューブ31を通って、水マニホールド18に到達する。その後、冷却水は、水マニホールド18から復路冷却水配管16を通って、チラー装置1に戻る。
【0053】
(乾燥空気33によるビーム光学装置3の二重配管の結露防止方法)
次に、乾燥空気33によるビーム光学装置3の二重配管の結露防止方法について、説明する。
【0054】
まず、中継ボックス10の空気供給口25から供給された乾燥空気33は、スピードコントローラ24を介して中継ボックス10内に供給される。
【0055】
往路二重配管11a1,11b1、復路二重配管11a2,11b2の各々において、乾燥空気33が、六角ナット26と耐摩耗チューブ31との隙間を通って、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間に供給される。
【0056】
図1に示すように、中継ボックス10は、往路二重配管11a1,11b1の合計長の中間及び復路二重配管11a2,11b2の合計長の中間に配置されている。合計長の二重配管の中間点に中継ボックス10を配置することで、二重配管内の乾燥空気33の圧力で、乾燥空気33が流れるようになり、結露を防止することができる。二重配管の中間点は、ビーム光学装置3寄りではなく、チラー装置1寄りではなくて、二重配管の真ん中あたりである。また、乾燥空気33が断熱材となり、高温多湿でもナイロンチューブ32の外面はほとんど結露しない。
【0057】
往路二重配管11b1に供給された乾燥空気33は、配管41を介してビーム光学系3に到達する。往路二重配管11b1の端部のナイロンチューブ32が開放されているので、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がビーム光学装置3のA部、B部に吹き付けられる。また、ビーム光学装置3の周囲に乾燥空気33が満たされる。このため、除湿効果が大となり、配管の結露を防止することができる。
【0058】
また、復路二重配管11b2に供給された乾燥空気は、配管47を介してビーム光学装置3に到達する。復路二重配管11b2の端部のナイロンチューブ32が開放されている。このため、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がビーム光学装置3のA部、B部に吹き付けられる。また、ビーム光学装置3の周囲に乾燥空気33が満たされる。このため、除湿効果が大となり、配管の結露を防止することができる。
【0059】
一方、往路二重配管11a1と復路二重配管11a2に供給された乾燥空気は、水マニホールド18に到達し、水マニホールド18が開放されている。このため、開放されたナイロンチューブ32と耐摩耗チューブ31との隙間から乾燥空気33が大気に放出される。
【0060】
(乾燥空気33の中継ボックス10への供給タイミング)
次に、乾燥空気33の中継ボックス10への供給タイミングについて説明する。まず、レーザ加工機をオンさせた時点でレーザ発振器2及びチラー装置1はオフである。このとき、中継ボックス10には乾燥空気33を供給しない。
【0061】
次に、レーザ発振器2及びチラー装置1をオンさせる。このとき、中継ボックス10に乾燥空気33を供給する。レーザ加工時には、中継ボックス10に乾燥空気33が供給される。
【0062】
レーザ加工機をオフさせた時、乾燥空気の供給を停止する。工場の配管に残った残圧で二重配管が環境温度に馴染むまでの時間的猶予を確保する。
【0063】
このように、実施形態のレーザ加工機及びレーザ加工機の結露防止方法によれば、チラー内部に再熱回路を設けたチラー第2回路を削除でき、チラー第1回路でのビーム光学装置3の冷却が可能となる。
【0064】
また、ビーム光学装置3への往路二重配管11a1,11b1及びチラー装置1への復路二重配管11a2,11b2の中間に中継ボックス10を配置し、往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2の各々のナイロンチューブ32が接続された中継ボックス10に乾燥空気33を供給する。
【0065】
乾燥空気33は、往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2の各々の耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間に供給されるので、ビーム光学装置3の往路二重配管11b1と復路二重配管11b2の結露を防止することができる。
【0066】
また、往路二重配管11b1及び復路二重配管11b2の端部のナイロンチューブ32がビーム光学装置3で開放され、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がビーム光学装置3に吹き付けられる。ビーム光学装置3の周囲に乾燥空気33が満たされる。このため、除湿効果が大となり、配管の結露を防止することができる。
【0067】
また、チラー装置1側の往路二重配管11a1及び復路二重配管11a2の端部のナイロンチューブ32が水マニホールド18において開放され、開放されたナイロンチューブ32と耐摩耗チューブ31との隙間から乾燥空気33が大気に放出される。このため、二重配管内の乾燥空気33の圧力で、乾燥空気33が大気に流れるようになり、結露を防止することができる。
【0068】
なお、実施形態では、ビーム光学系3を冷却水で冷却するために、往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2、中継ボックス10を用いている。
【0069】
また、レーザ発振器2を冷却水で冷却するために、チラー装置1とレーザ発振器2との間に、実施形態で説明した構成と同一構成の往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2を配置し、往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2の中間に中継ボックス10を配置してもよい。
【0070】
そして、乾燥空気33を中継ボックス10内に供給し、往路二重配管11a1,11b1、復路二重配管11a2,11b2の各々において、乾燥空気33が耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間に供給される。
【0071】
往路二重配管11a1,11b1及び復路二重配管11a2,11b2の中間に中継ボックス10を配置することで、二重配管内の乾燥空気33の圧力で、乾燥空気33が流れるようになり、結露を防止することができる。
【0072】
また、レーザ発振器2側の往路二重配管11b1及び復路二重配管11b2の端部のナイロンチューブ32を開放することで、耐摩耗チューブ31とナイロンチューブ32との隙間の乾燥空気33がレーザ発振器2に吹き付けられる。また、レーザ発振器2の周囲に乾燥空気33が満たされる。このため、除湿効果が大となり、配管の結露を防止することができる。
【0073】
また、チラー装置1側の往路二重配管11a1及び復路二重配管11a2の端部のナイロンチューブ32をチラー装置1寄りの位置で開放することで、開放されたナイロンチューブ32と耐摩耗チューブ31との隙間から乾燥空気33が大気に放出される。このため、二重配管内の乾燥空気33の圧力で、乾燥空気33が大気に流れるようになり、結露を防止することができる。
【0074】
また、結露防止効果を高めるために、二重配管や冷却板金であるビーム光学装置3、レーザ発振器2を断熱材で覆うようにしてもよい。
【0075】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 チラー装置
2 レーザ発振器
3 ビーム光学装置
4 加工ヘッド
5 加工テーブル
6 X軸キャリア
7 Y軸キャリア
10 中継ボックス
11a1,11b1 往路二重配管
11a2,11b2 復路二重配管
13 Xケーブルベア
14 Yケーブルベア
15 往路冷却水配管
16 復路冷却水配管
18 水マニホールド
21a,21b 継手部
22 蓋体
23 ネジ
24 スピードコントローラ
25 空気供給口
26 六角ナット
31 耐摩耗チューブ
32 ナイロンチューブ
33 乾燥空気
41,44,46,47 配管
45 一重配管
48 エア配管
52,53 ホルダ
54 アパーチャ
55 コリメートレンズ
56 ベンドミラー
70 プロセスファイバ
100 冷媒回路
101 水槽
102 冷却器
103 蒸発器
104 アキュムレータ
105 圧縮機
106 凝縮器
107 膨張弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7