(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】乗降地出力装置、ユーザ移送システム及び乗降地出力方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/47 20240101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q50/47
(21)【出願番号】P 2021017481
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128635(JP,A)
【文献】国際公開第2020/002960(WO,A1)
【文献】特許第7180754(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0306258(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザをサービス車両で移送するユーザ移送システムの前記ユーザに提案する乗降地を出力する乗降地出力装置であって、
前記ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出し、
検出された前記複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出し、
前記ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、前記運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外し、
前記ユーザコスト最小乗降地と前記運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定し、
前記他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出して前記ユーザに提案する乗降地として出力することを特徴とする乗降地出力装置。
【請求項2】
前記ユーザコストは、前記ユーザの目的地または現在地から前記乗降候補地までの徒歩コストであることを特徴とする請求項1に記載の乗降地出力装置。
【請求項3】
前記運用コストは、前記サービス車両が前記乗降候補地に到着してから前記ユーザが乗車するまでの待ち時間であることを特徴とする請求項1または2に記載の乗降地出力装置。
【請求項4】
複数のユーザをサービス車両で移送するユーザ移送システムであって、
前記ユーザ移送システムは、前記サービス車両に搭載された車載装置と、前記ユーザが所持する端末装置と、前記ユーザ移送システムを管理するサーバに備えられた乗降地出力装置とを備え、
前記乗降地出力装置は、
前記ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出し、
検出された前記複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出し、
前記ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、前記運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外し、
前記ユーザコスト最小乗降地と前記運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりも前記ユーザコストと前記運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定し、
前記他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出して前記ユーザに提案する乗降地として出力することを特徴とするユーザ移送システム。
【請求項5】
複数のユーザをサービス車両で移送するユーザ移送システムのサーバが前記ユーザに提案する乗降地を出力する乗降地出力方法であって、
前記サーバは、
前記ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出し、
検出された前記複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出し、
前記ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、前記運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外し、
前記ユーザコスト最小乗降地と前記運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりも前記ユーザコストと前記運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定し、
前記他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出して前記ユーザに提案する乗降地として出力することを特徴とする乗降地出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザをサービス車両で移送するユーザ移送システム、ユーザ移送システムのユーザに提案する乗降地を出力する乗降地出力装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、サービス車両で複数のユーザを移送するサービスを提供するシステムとして、特許文献1が開示されている。特許文献1に開示されたユーザを移送するシステムでは、ユーザに乗降地を提案する場合に、ユーザの徒歩コストなどを含むユーザコストと、サービス車両の待ち時間などを含む運用コストの一方のみを考慮して乗降地を提案していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザコストと運用コストの一方のみを考慮して乗降地を提案すると、一方のコストは低減できたとしても他方のコストは極端に増加してしまう場合がある。そのため、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地をユーザに提案することができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地を提案することのできるユーザ移送システム、乗降地出力装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る乗降地出力装置及びその方法は、ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出し、検出された複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出する。そして、ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外する。さらに、ユーザコスト最小乗降地と運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。その結果、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出してユーザに提案する乗降地として出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るユーザ移送システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るユーザ移送システムによるユーザの移送方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る乗降地出力装置による乗降地提案処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る乗降地出力装置による乗降地の選出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0010】
[ユーザ移送システムの構成]
図1は、本実施形態に係るユーザ移送システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るユーザ移送システム1は、複数のユーザをサービス車両で移送するサービスを提供するシステムである。ユーザ移送システム1は、サービス車両Vに搭載された車載装置100と、ユーザが所持する端末装置200と、ユーザ移送システム1を管理するサーバ300とから構成されている。
【0011】
ユーザ移送システム1では、
図2に示すように、複数のユーザU1、U2をサービス車両Vで移送するサービスを提供している。
図2では、ユーザU1は、サービス車両Vに乗車しており、乗降地Pで降車して目的地PU1まで徒歩で移動する。一方、ユーザU2は、現在地PU2から徒歩で乗降地Pに移動してサービス車両Vに乗車する。
【0012】
この場合に、サービス車両VとユーザU2が同時に乗降地Pに到着するように乗降地Pを設定すると、サービス車両Vの待ち時間を短くできるので、サービスを提供するシステムの運用コストを低減することができる。しかし、ユーザU2は、乗降地Pまで歩く距離が長くなって徒歩コストが増大するので、ユーザU2のユーザコストは増大する。
【0013】
一方、乗降地Pを、ユーザU1の目的地PU1とユーザU2の現在地PU2の中間に設定すると、ユーザU1とユーザU2の徒歩コストの差を小さくできるので、ユーザU1とユーザU2の公平性が最適化されてユーザコストを小さくすることができる。しかし、サービス車両Vは、路上での待ち時間が長くなって運用コストが増大する場合がある。
【0014】
このように、ユーザコストと運用コストは互いにトレードオフの関係になる場合があるので、ユーザコストと運用コストのどちら一方のコストのみを考慮して乗降地Pを設定すると、他方のコストが極端に増加してしまう場合がある。そこで、本実施形態に係るユーザ移送システム1では、ユーザコストと運用コストの両方を考慮して、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地Pを提案できるようにしている。
【0015】
次に、車載装置100について説明する。車載装置100は、サービス車両Vに搭載され、通信装置110と、車載コントローラ120と、入出力装置130と、データベース140とを備えている。
【0016】
通信装置110は、電話回線網などを介して、サーバ300が備える通信装置310と通信可能な装置である。通信装置110は、受信した情報を車載コントローラ120に出力するとともに、車載コントローラ120から入力される情報をサーバ300に送信する。
【0017】
車載コントローラ120は、サービス車両Vの走行を制御するための装置である。車載コントローラ120は、車両の走行を制御するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。
【0018】
車載コントローラ120は、ROMに格納されたプログラムをCPUで実行することにより、サーバ300から送信される走行経路に沿って、サービス車両Vを走行させる。例えば、サービス車両Vがタクシーの場合、車載コントローラ120が入出力装置130を介して走行経路の情報を運転者に提示して運転支援を実行することによって、運転者は走行経路に沿った運転をすることができる。また、サービス車両Vが自動運転可能な車両の場合、車載コントローラ120は、サービス車両Vに搭載された各種駆動装置を制御して、サービス車両Vを走行経路に沿って走行させる。
【0019】
入出力装置130は、ユーザや運転者がサービス車両の利用に関する情報を入出力することが可能な装置である。入出力装置130としては、例えば、タッチパネルやジョイスティック、ユーザの音声による入力が可能なマイク、液晶ディスプレイ、スピーカなどの装置が挙げられる。
【0020】
データベース140は、道路情報や地図情報等のユーザを移送するサービスを提供するために必要な情報を格納している。データベース140は、車載コントローラ120からアクセス可能であり、車載コントローラ120からのアクセスに応じて情報を出力する。
【0021】
サービス車両Vは、複数のユーザに共用される車両であり、いわゆる共用車両と呼ばれる車両である。サービス車両Vは、タクシー等の移送サービスを行うための車両でもよいし、ユーザが希望する条件に応じて自動的に運転をすることができ、ユーザを移送することが可能な車両であってもよい。
【0022】
次に、端末装置200について説明する。端末装置200は、通信装置210と、コントローラ220とを備えている。端末装置200は、ユーザが持ち運び可能で無線通信可能な携帯端末であり、例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどが挙げられる。
【0023】
通信装置210は、電話回線網などを介して、サーバ300が備える通信装置310と通信可能な装置である。通信装置210は、受信した情報をコントローラ220に出力するとともに、コントローラ220から入力される情報をサーバ300に送信する。
【0024】
コントローラ220は、ユーザがサービス車両を利用する際に、所定のプログラム等を実行してサービス車両の利用を可能にする制御装置であり、CPU、ROM、RAMで構成されている。例えば、コントローラ220は、サービス車両を利用するための専用のアプリケーションを予めROMに格納している。ユーザがタッチパネル等からアプリケーションを開始する操作を実行すると、コントローラ220は専用のアプリケーションを実行する。これにより、ディスプレイに専用のアプリケーションの画面が表示され、ユーザはサービス車両を利用することができる。
【0025】
次に、サーバ300について説明する。サーバ300は、複数のユーザをサービス車両で移送するサービスを管理しており、サービス車両の利用の受け付けや乗降地の設定などユーザ移送サービスを提供するために必要な処理を実行する。サーバ300は、通信装置310と、乗降地出力装置320と、データベース330を備えている。サーバ300では、収集された情報やデータベース330に格納されている情報に基づいて、サービス車両の手配や乗車位置及び降車位置の算出、走行経路の算出等の各種処理がシリアル又はパラレルに行われている。
【0026】
通信装置310は、電話回線網などを介して、サービス車両Vが備えている通信装置110、及び端末装置200が備えている通信装置210と通信可能な装置である。通信装置310は、受信した情報を乗降地出力装置320に出力するとともに、乗降地出力装置320から入力される情報を車載装置100や端末装置200に送信する。
【0027】
乗降地出力装置320は、ユーザ移送システム1のユーザに提案する乗降地を出力する装置である。具体的に、乗降地出力装置320は、ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出し、検出された複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出する。そして、ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を乗降候補地から除外する。これにより、ユーザコストと運用コストのどちら一方のコストのみを考慮して、他方のコストが極端に増加してしまうことを防止できる。
【0028】
さらに、乗降地出力装置320は、ユーザコスト最小乗降地と運用コスト最小乗降地とを除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。この判定の結果、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出して、ユーザに提案する乗降地として出力する。
【0029】
したがって、選出された乗降候補地では、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在しないので、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地が選出されてユーザに提案される。
【0030】
尚、乗降地出力装置320は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路とメモリ等の周辺機器から構成されたコントローラであり、乗降地を提案する機能を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。乗降地出力装置320の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含み、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置も含んでいる。
【0031】
データベース330は、ユーザ移送サービスを提供するために必要な情報を格納している。例えば、サービス車両の利用の受け付けやユーザの希望条件(乗車位置や目的地等)、サービス車両Vの経路などの情報の他に、地図情報や道路交通情報なども格納している。さらに、ユーザの属性やユーザの過去の選択履歴なども格納している。
【0032】
[乗降地提案処理]
次に、本実施形態に係る乗降地出力装置320によって実行される乗降地提案処理を説明する。
図3は、本実施形態に係る乗降地出力装置320による乗降地提案処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
図3に示すように、乗降地出力装置320は、ステップS10においてユーザからの乗車依頼を受信すると、ステップS20においてユーザが希望する乗車位置の近隣を走行するサービス車両Vを検索し、ユーザを乗車させるサービス車両Vを決定する。
【0034】
ステップS30において、乗降地出力装置320は、ユーザが希望する希望乗降地に基づいて複数の乗降候補地を検出する。ユーザ移送システム1が提供するユーザ移送サービスでは、サービス車両Vが停車できる地点は予め決められている。例えば、駐停車が禁止されていない場所やタクシー乗り場などが停車できる地点として決められている。そこで、乗降地出力装置320は、予め決められているサービス車両Vが停車できる地点の中から、ユーザが希望する希望乗降地までの距離に基づいて複数の乗降候補地を検出する。
【0035】
例えば、
図2に示すように、ユーザU1がサービス車両Vに乗車しており、ユーザU2が乗車依頼を行った場合では、ユーザU1の降車希望位置とユーザU2の乗車希望位置から所定の範囲内にある地点を乗降候補地として検出する。
【0036】
ステップS40において、乗降地出力装置320は、ステップS30で検出された複数の乗降候補地のユーザコストと運用コストをそれぞれ算出する。例えば、ユーザコストは、ユーザの目的地または現在地から乗降候補地までの歩く距離や時間を示す徒歩コストである。また、
図2で示すように、ユーザU1が乗降地Pから目的地PU1まで歩き、ユーザU2が現在地PU2から乗降地Pまで歩く場合には、ユーザU1の徒歩コストとユーザU2の徒歩コストとの差を、ユーザコストとしてもよい。この他にも、ユーザが乗降候補地でサービス車両を待つ待ち時間をユーザコストとしてもよい。一方、運用コストは、サービス車両が乗降候補地に到着してからユーザが乗車するまでの待ち時間である。また、乗降地出力装置320は、ユーザの属性を検出し、検出した属性に応じてユーザコストと運用コストのいずれかに重みづけをした上で、ユーザコストと運用コストを算出してもよい。例えば、ユーザの属性が障害者で車椅子を使用している場合には、乗降地までの距離が大きい乗降候補地についてはユーザコストに所定値を加算するようにしてもよい。
【0037】
ステップS50において、乗降地出力装置320は、ステップS30で検出された複数の乗降候補地の中から、ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外する。ユーザコストと運用コストは互いにトレードオフの関係になる場合があるので、ユーザコストと運用コストのどちらか一方のコストのみを考慮して乗降地を設定すると、他方のコストが極端に増加してしまう場合がある。そこで、乗降地出力装置320は、ユーザコストまたは運用コストが最小となる乗降候補地を除外して、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地を提案できるようにしている。
【0038】
図4は、各乗降候補地をユーザコストと運用コストに応じてプロットした図である。図中の○、△、×で示した各点が、乗降候補地を示している。
図4に示すように、乗降候補地Aは運用コストが他の乗降候補地と比較して最小なので運用コスト最小乗降地であり、乗降候補地Bはユーザコストが他の乗降候補地と比較して最小なのでユーザコスト最小乗降地である。したがって、
図4の場合では、乗降候補地A、Bが除外される。
【0039】
ステップS60において、乗降地出力装置320は、ユーザコスト最小乗降地よりも運用コストが大きい乗降候補地と、運用コスト最小乗降地よりもユーザコストが大きい乗降候補地を除外する。
図4では、ユーザコスト最小乗降地Bよりも運用コストが大きい乗降候補地と、運用コスト最小乗降地Aよりもユーザコストが大きい乗降候補地は×印で示されている。これらの×印の乗降候補地は、乗降候補地A、Bを選んだ場合よりもさらに条件が悪くなるので、ユーザに提案する乗降地として選出されることはない。そこで、これらの乗降候補地を予め除外しておくことで、計算負荷を軽減できるようにしている。
【0040】
ステップS70において、乗降地出力装置320は、ユーザコスト最小乗降地と運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。そして、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出する。
【0041】
例えば、
図4では、乗降候補地A、Bを除いた○印と△印の乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。そして、乗降候補地X4は、乗降候補地Bが除外されているので、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地は存在しない。したがって、乗降候補地X4が選出される。
【0042】
ステップS80において、乗降地出力装置320は、○印と△印の乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地の中に、運用コストも小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。そして、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出する。
【0043】
例えば、
図4では、○印と△印の乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地の中に、運用コストも小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。そして、乗降候補地X2は、自身よりもユーザコストが小さい他の乗降候補地(X3、X4など)の中に、運用コストも自身より小さい他の乗降候補地は存在しない。したがって、乗降候補地X2が選出される。同様に、乗降候補地X1、X3も選出される。
【0044】
このように、ステップS70、80では、ユーザコスト最小乗降地と運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。そして、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出する。その結果、
図4では、○印で示したX1~X4の乗降候補地が選出される。X1~X4の乗降候補地は、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在していない。
【0045】
また、乗降候補地X2は、
図4の四角い領域S1の中に他の乗降候補地が存在しないので、ユーザコストと運用コストの両方が乗降候補地X2よりも小さい他の乗降候補地が存在していないことが分かる。その他の乗降候補地X1、X3、X4も同様である。一方、乗降候補地Yは、
図4の四角い領域S2の中に他の乗降候補地X2、X3が存在するので、乗降候補地Yよりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在していることが分かる。この場合、乗降候補地Yを選出するよりも乗降候補地X2、X3を選出したほうが、条件が良くなるので、乗降候補地Yを選出する必要はない。同様に、
図4の△印で示した乗降候補地を選出する必要はない。
【0046】
尚、乗降地出力装置320は、ユーザの過去の選択履歴からユーザコストと運用コストの優先度合いを学習し、優先度合いに応じて乗降候補地を選出してもよい。例えば、ユーザがユーザコストの小さい乗降候補地を選択する傾向が高い場合には、ユーザコストの小さい乗降候補地を優先して選出するようにしてもよい。
【0047】
ステップS90において、乗降地出力装置320は、ステップS70、80で選出された乗降候補地をユーザに提案する乗降地として出力する。このとき、乗降地出力装置320は、ユーザの端末装置200に乗降地の位置を表示して出力する。こうして乗降地が提案されると、本実施形態に係る乗降地提案処理は終了する。
【0048】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る乗降地出力装置320では、ユーザコストが最小となるユーザコスト最小乗降地と、運用コストが最小となる運用コスト最小乗降地を除外する。そして、ユーザコスト最小乗降地と運用コスト最小乗降地を除外した乗降候補地のそれぞれについて、自身よりもユーザコストと運用コストの両方が小さい他の乗降候補地が存在するか否かを判定する。その結果、他の乗降候補地が存在しない乗降候補地を選出してユーザに提案する乗降地として出力する。これにより、ユーザコストと運用コストの一方のみを考慮して、いずれかのコストが極端に増加することがなくなり、ユーザコストと運用コストの両方をバランスよく低減させた乗降地をユーザに提案することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る乗降地出力装置320では、ユーザの目的地または現在地から乗降候補地までの徒歩コストを、ユーザコストとしている。これにより、ユーザの歩く負担を低減させた乗降地を提案できるので、ユーザの利用を促進することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る乗降地出力装置320では、サービス車両が乗降候補地に到着してからユーザが乗車するまでの待ち時間を、運用コストとしている。これにより、サービス車両の待ち時間が短い乗降地を提案できるので、サービス車両の稼働率を向上させることができる。
【0051】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 ユーザ移送システム
100 車載装置
110、210、310 通信装置
120 車載コントローラ
130 入出力装置
140、330 データベース
220 コントローラ
300 サーバ
320 乗降地出力装置
V サービス車両