(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20240725BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240725BHJP
F24H 1/54 20220101ALI20240725BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F24D17/00 N
F24H1/14 C
F24H1/54 303B
F24H9/02 301Z
(21)【出願番号】P 2021034308
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】川島 剛
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128073(JP,A)
【文献】特開2007-187325(JP,A)
【文献】特開2020-106225(JP,A)
【文献】特開2018-185093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00 - 19/10
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に、
給湯側加熱手段と、
暖房側加熱手段と、
給湯側加熱手段に接続された給水路と、
給湯側加熱手段に接続された給湯路と、
給湯路に接続され、給湯停止中に湯水が循環する即湯循環路と、
即湯循環路に湯水を循環させる即湯循環ポンプと、
暖房側加熱手段に接続され、熱媒が循環する暖房循環路と、
暖房循環路に熱媒を循環させる暖房循環ポンプと、
即湯循環路を循環する湯水を、暖房循環路を循環する熱媒により加熱する即湯液々熱交換器と、を有する給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
給湯側加熱手段をバイパスして、給水路と給湯路とを接続する給湯バイパス路と、
給水路に介設され、給水路から給湯バイパス路への水の流量を制御するバイパスサーボと、
給水路に介設され、給水路を流れる水量を検知する水量センサと、を有し、
即湯循環ポンプは、ケーシングの底板上に固定接続され、
給湯側加熱手段は、ケーシング内の即湯循環ポンプよりも上方に配設され、
バイパスサーボ及び水量センサは、給湯側加熱手段と即湯循環ポンプとの間に配設されている給湯装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
浴槽の風呂水が循環する風呂循環路と、
風呂循環路に風呂水を循環させる風呂循環ポンプと、
風呂循環路を循環する風呂水を、暖房循環路を循環する熱媒により加熱する風呂液々熱交換器と、を有し、
即湯液々熱交換器及び風呂液々熱交換器はいずれも、平面状の流路が積層されたプレート式熱交換器を有する給湯装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
給湯運転、暖房運転、風呂追焚き運転、及び即湯運転を制御する回路基板を有する給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即湯機能を有する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湯水を所定温度に加熱する給湯器と、給湯配管の下流部分と給湯器との間に構築される循環経路に湯水を循環させる循環装置と、循環経路における湯水の体積膨張を吸収する膨張タンクと、給水配管から給湯器へ水を導入する給水用主配管と、給湯器から給湯配管へ湯水を導出する給湯用主配管と、給湯配管の下流部分から循環装置へ湯水を導く戻り主配管とを備える即湯機能を有する給湯システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1における給湯システムでは、給湯器に循環装置等を後付けするため、通水配管、循環ポンプ、圧力逃がし弁などの要素部材を筐体内に組み込んだユニットから構成される循環装置を給湯器の外部に配設し、給湯器や膨張タンクと配管接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような給湯システムでは、複数の装置を設置現場で給湯器に接続しなければならず、接続方向の誤りや接続不良などの施工不良が生じやすい。また、給湯機能だけでなく、暖房機能を有する給湯器も使用されており、このような複数機能を有する給湯器は、給湯用のバーナや熱交換器だけでなく、暖房用のバーナや熱交換器も必要となり、給湯機能のみを有する給湯器に比べてサイズが大きくなる。そのため、集合住宅のパイプシャフトのような限られた収容スペースでは、循環装置を設置できなかったり、給湯器と循環装置との接続が困難になったりする場合がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、小スペースに即湯機能を有する給湯装置を設置する場合の施工不良を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
ケーシング内に、
給湯側加熱手段と、
暖房側加熱手段と、
給湯側加熱手段に接続された給水路と、
給湯側加熱手段に接続された給湯路と、
給湯路に接続され、給湯停止中に湯水が循環する即湯循環路と、
即湯循環路に湯水を循環させる即湯循環ポンプと、
暖房側加熱手段に接続され、熱媒が循環する暖房循環路と、
暖房循環路に熱媒を循環させる暖房循環ポンプと、
即湯循環路を循環する湯水を、暖房循環路を循環する熱媒により加熱する即湯液々熱交換器と、を有する給湯装置が提供される。
【0008】
上記給湯装置によれば、即湯運転を行うための即湯循環ポンプや即湯液々熱交換器などはケーシング内に収容されているから、設置現場における接続工程を低減することができる。これにより、施工不良を確実に低減することができる。
【0009】
また、上記給湯装置によれば、即湯循環ポンプや即湯液々熱交換器などはケーシング内に収容されているから、給湯装置の外部に配設する装置を低減することができる。これにより、給湯機能及び暖房機能を有する給湯装置に即湯機能を付与する場合でも、給湯装置を小さな収容スペースに設置できるとともに、施工の困難性を低減することができる。
【0010】
好ましくは、上記給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
給湯側加熱手段をバイパスして、給水路と給湯路とを接続する給湯バイパス路と、
給水路に介設され、給水路から給湯バイパス路への水の流量を制御するバイパスサーボと、
給水路に介設され、給水路を流れる水量を検知する水量センサと、を有し、
即湯循環ポンプは、ケーシングの底板上に固定接続され、
給湯側加熱手段は、ケーシング内の即湯循環ポンプよりも上方に配設され、
バイパスサーボ及び水量センサは、給湯側加熱手段と即湯循環ポンプとの間に配設される。
【0011】
上記給湯装置によれば、即湯機能のない給湯装置とする場合でも、接続配管部材を変更するだけで、給湯装置に応じてバイパスサーボ、水量センサや、底板を変更する必要がないから、即湯機能の有無に関わらず、複数種の給湯装置の部品を共通化することができる。
【0012】
好ましくは、上記給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
浴槽の風呂水が循環する風呂循環路と、
風呂循環路に風呂水を循環させる風呂循環ポンプと、
風呂循環路を循環する風呂水を、暖房循環路を循環する熱媒により加熱する風呂液々熱交換器と、を有し、
即湯液々熱交換器及び風呂液々熱交換器はいずれも、平面状の流路が積層されたプレート式熱交換器を有する。
【0013】
上記給湯装置によれば、給湯機能及び暖房機能だけでなく、風呂追焚き機能も有する給湯装置でも、ケーシング内に即湯循環ポンプや即湯液々熱交換器を収容でき、施工の困難性を低減することができる。
【0014】
好ましくは、上記給湯装置は、ケーシング内に、さらに、
給湯運転、暖房運転、風呂追焚き運転、及び即湯運転を制御する回路基板を有する。
【0015】
上記給湯装置によれば、別ユニットの循環装置を施工する場合と比べて、設置現場で回路基板同士の接続が不要となるから、さらに施工性を改善することができる。また、複数種の運転を制御する回路基板を共通化することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、小スペースに即湯機能を有する給湯装置を設置する場合の施工不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯装置の一例を概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯装置を前方から見た外観図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る給湯装置を前方から見た要部斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る給湯装置を後方から見た要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る給湯装置を、浴室や台所等に設けられたカラン等の給湯端末に湯水を供給する給湯運転と、温水暖房端末(床暖房機、温風暖房機等)に湯水を循環供給する暖房運転と、浴槽内の風呂水を加熱する追焚き運転と、給湯運転の停止中に湯水を循環して加熱する即湯運転とを実行する給湯装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯装置の一例を示す概略構成図である。給湯装置1は、例えば、集合住宅のパイプシャフト内に設置され、図示しない給気口及び排気口7を介して外部に連通したケーシング10内に、2つの加熱手段を備える缶体20が配設された給湯装置である。ケーシング10は、前面開口部を有するケーシング本体10a(
図2参照)と、ケーシング本体10aの前面開口部を閉塞するカバー(図示せず)とを備える。本実施の形態では、前面開口部側を正面側、前面開口部側と反対側を背面側とし、給湯装置1を正面側から見たときの奥行方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。缶体20の内部は、仕切り部21で区画され、給湯側加熱手段30と、暖房・追焚き側加熱手段40とにより構成されている。
【0020】
給湯側加熱手段30には、下から順に、給湯側バーナユニット33、給湯側第1熱交換器31、及び給湯側第2熱交換器32が配置されている。給湯側第1熱交換器31は、給湯側バーナユニット33から放出される燃焼排気から顕熱を回収し、給湯側第2熱交換器32は、給湯側バーナユニット33から放出される燃焼排気から潜熱を回収する。
【0021】
給湯側加熱手段30は、流体流路として、上水道に連通し、給湯側第2熱交換器32の上流端に接続された給水路90と、給湯側第2熱交換器32の下流端及び給湯側第1熱交換器31の上流端とを接続する連結路95と、カラン等の給湯端末P1に連通し、給湯側第1熱交換器31の下流端に接続された給湯路100と、給水路90と給湯路100とをバイパスする給湯バイパス路105とを備える。この構成により、上水道から給水路90に供給される水が、給湯側バーナユニット33から放出される燃焼排気によって給湯側第2熱交換器32及び給湯側第1熱交換器31で熱交換加熱され、加熱された湯水が給湯路100を介して給湯端末P1に供給される。
【0022】
給水路90には、上流側から順に、給水路90を流れる水の流量を検知する水量センサ91と、給水路90を流れる水の温度を検知する給水温センサ92と、給水路90の開度を変更する水量サーボ93と、給水路90と給湯路100とを連通する給湯バイパス路105の開度を変更するバイパスサーボ94とが設けられている。これらの水要素部材は、後述するように給湯側加熱手段30と即湯循環ポンプ311との間に配設される。水量センサ91で検知された水の流量及び給水温センサ92で検知された水の温度は、後述する制御回路C1に出力される。給水路90には、水量センサ91よりも上流側で、上水道からの水を給湯端末P1に導く出水路96が分岐接続されている。
【0023】
給湯路100には、給湯バイパス路105よりも下流側で、即湯循環路300が分岐接続されており、即湯循環路300の一部は、ケーシング10外に延びている。ケーシング10内に配設された即湯循環路300には、即湯水量センサ310と、即湯循環ポンプ311と、即湯温センサ312と、即湯液々熱交換器313とが介設されている。また、ケーシング10外に配設される即湯循環路300には、気水分離器314と、膨張タンク315と、過圧逃し弁316と、逆止弁317とが介設されている。ケーシング10外に配設される即湯循環路300は、ケーシング本体10aの底板11(
図2参照)に開設された戻り接続口に接続されている。即湯水量センサ310で検知された湯水の流量及び即湯温センサ312で検知された湯水の温度は、後述する制御回路C1に出力される。また、給湯運転の停止中に、即湯循環ポンプ311を作動させることにより、即湯循環路300に湯水が循環する。
【0024】
即湯液々熱交換器313は、即湯循環路300内の湯水が流れる平面状の流路と、後述する暖房循環路の連絡戻り路206から分岐する暖房分岐循環路270内の湯水が流れる平面状の流路とが積層されたプレート式熱交換器からなる。即湯液々熱交換器313において、即湯循環路300内を流通する湯水と、暖房分岐循環路270内を流通する湯水との間で熱交換(液-液熱交換)が行われ、即湯循環路300内を流通する湯水が加熱される。
【0025】
給湯路100には、上流側から順に、給湯側第1熱交換器31から出湯される湯水の温度を検知する熱交温度センサ101と、給湯バイパス路105との合流箇所より下流側に供給される湯水の温度を検知する出湯温度センサ103とが設けられている。これらの温度センサ101,103で検知された湯水の温度は、後述する制御回路C1に出力される。
【0026】
給湯側バーナユニット33の下方には、送風ファン70が設けられており、送風ファン70の作動によって、ケーシング10内に吸入された空気が、給湯側バーナユニット33及び後述する暖房側バーナユニット43に燃焼用空気として供給されるとともに、給湯側バーナユニット33及び暖房側バーナユニット43から放出される燃焼排気が排気口7から排出される。なお、暖房側バーナユニット43の下方にも送風ファンを設け、給湯側バーナユニット33及び暖房側バーナユニット43に個別に燃焼用空気を供給してもよい。
【0027】
給湯側バーナユニット33は、それぞれ複数本のバーナを有する3個の給湯側バーナブロック33a,33b,33cから構成されており、各給湯側バーナブロック33a,33b,33cは、図示しないガス供給路から分岐した給湯側ガス分岐路52に接続されている。ガス供給路には、ガス供給路を開閉する元電磁弁51が設けられている。給湯側ガス分岐路52には、給湯側ガス分岐路52の開度を変更する給湯側ガス比例弁53と、給湯側バーナブロック33a,33b,33cへの燃料ガスの供給と遮断を個別に切り替える給湯側切換弁54a,54b,54cとが設けられている。
【0028】
また、給湯路100からは湯張り路250が分岐しており、湯張り路250は浴槽P2に接続された風呂戻り路251に連通している。風呂戻り路251は、風呂往き路252とともに浴槽P2と風呂液々熱交換器221との間で風呂循環路を構成している。ケーシング本体10aの底板11には、これらの風呂戻り路251及び風呂往き路252を接続するための風呂接続口が開設されている。
【0029】
湯張り路250には、上流側から順に、湯張り路250を開閉する湯張り電磁弁261と、湯張り路250から給湯路100への湯水の逆流を阻止するための逆止弁263と、給湯路100から湯張り路250に供給される湯水の流量を検知する湯張り水量センサ262とが介設されている。湯張り水量センサ262で検知された湯水の流量は、後述する制御回路C1に出力される。
【0030】
風呂戻り路251には、浴槽P2から風呂戻り路251に流入する湯水の温度を検知する風呂戻り温度センサ225と、浴槽P2内の湯水を風呂往き路252及び風呂戻り路251を介して循環させるための風呂循環ポンプ224と、浴槽P2内の湯水の水位を検知する水位センサ223と、風呂戻り路251に所定流量以上の湯水が流れていることを検知する風呂水流スイッチ222とが介設されている。また、風呂往き路252には、風呂液々熱交換器221から浴槽P2に流出する湯水の温度を検知する風呂往き温度センサ226が介設されている。これらのセンサで検知された風呂水の流量及び温度は、後述する制御回路C1に出力される。風呂循環ポンプ224を作動させることにより、浴槽P2と風呂液々熱交換器221とを接続する風呂循環路に風呂水が循環する。
【0031】
暖房・追焚き側加熱手段40には、下から順に、暖房側バーナユニット43、暖房側第1熱交換器41、及び暖房側第2熱交換器42が配置されている。暖房側第1熱交換器41は、暖房側バーナユニット43から放出される燃焼排気から顕熱を回収し、暖房側第2熱交換器42は、暖房側バーナユニット43から放出される燃焼排気から潜熱を回収する。
【0032】
暖房・追焚き側加熱手段40は、流体流路として、暖房側第2熱交換器42の上流端に接続された暖房戻り路200と、暖房側第1熱交換器41の下流端に接続された暖房往き路210と、暖房側第2熱交換器42の下流端と暖房側第1熱交換器41の上流端とをシスターン201を挟んで接続する連絡往き路205及び連絡戻り路206と、暖房往き路210から分岐して、暖房戻り路200に接続された風呂分岐路240と、連絡戻り路206から分岐して、風呂分岐路240に接続された暖房分岐循環路270とを備える。従って、本実施の形態では、これらの流体流路によって、暖房循環路が構成されている。
【0033】
図示しないが、シスターン201には、給水路90から分岐し、シスターン201に水を補充するための補水路が接続されている。シスターン201と補水路との接続部には、補水電磁弁203が設けられており、補水電磁弁203を開くことで、上水道から給水路90に導入された水がシスターン201に供給される。
【0034】
暖房往き路210は、高温暖房端末(温風暖房機等)P3に接続されている。連絡戻り路206には、高温暖房端末P3と暖房・追焚き側加熱手段40との間で湯水を循環させるための暖房循環ポンプ211が設けられている。また、連絡戻り路206には、暖房循環ポンプ211より下流側の中間部から低温分岐路216が分岐し、低温暖房端末(床暖房機等)P4を接続するための熱動弁ヘッダ212に繋がっている。また、連絡戻り路206には、低温分岐路216よりも下流側から、既述した暖房分岐循環路270が分岐し、暖房分岐循環路270には、暖房分岐循環路270の開度を変更する即湯流量制御弁271と、既述した即湯液々熱交換器313が介設されている。
【0035】
暖房戻り路200には、低温暖房端末P4からの湯水を戻す暖房戻り路217が接続されている。この構成により、暖房循環ポンプ211を作動させることで、暖房戻り路200を流れる湯水が、暖房側バーナユニット43から放出される燃焼排気によって暖房側第2熱交換器42及び暖房側第1熱交換器41で熱交換加熱され、加熱された湯水(熱媒)が暖房往き路210から各暖房端末P3,P4や、風呂液々熱交換器221及び即湯液々熱交換器313に循環供給される。ケーシング本体10aの底板11には、これらの暖房戻り路200と、暖房往き路210、低温分岐路216、及び暖房戻り路217を接続するための暖房接続口が開設されている。
【0036】
暖房往き路210には、暖房側第1熱交換器41から出湯される湯水の温度を検知する暖房高温温度センサ213が設けられており、連絡往き路206には、シスターン201から低温分岐路216に供給される湯水の温度を検知する暖房低温温度センサ215が設けられている。これらの温度センサ213,215で検知された湯水の温度は、後述する制御回路C1に出力される。
【0037】
暖房側バーナユニット43は、それぞれ複数本のバーナを有する2個のバーナブロック43a,43bから構成されており、各バーナブロック43a,43bは、ガス供給路から分岐した暖房側ガス分岐路60に接続されている。暖房側ガス分岐路60には、暖房側ガス分岐路60の開度を変更する暖房側ガス比例弁61と、バーナブロック43a,43bへの燃料ガスの供給と遮断を個別に切り替える暖房側切換弁62a,62bとが設けられている。従って、暖房側切換弁62a,62bを選択的に開閉することにより、暖房側バーナユニット43は燃焼量範囲の異なる能力段数のいずれかに切り替えられる。
【0038】
暖房往き路210から分岐して、暖房戻り路200に接続される風呂分岐路240の途中には、既述した風呂液々熱交換器221が設けられている。風呂液々熱交換器221は、風呂戻り路251からの風呂水が流れる平面状の流路と、暖房往き路210からの湯水が流れる平面状の流路とが積層されたプレート式熱交換器からなる。風呂液々熱交換器221において、風呂往き路252内を流通する湯水と風呂分岐路240内を流通する湯水との間で熱交換(液-液熱交換)が行われ、風呂往き路252内を流通する湯水が加熱される。風呂分岐路240には、風呂分岐路240の開度を変更する追焚き流量制御弁220が設けられている。なお、即湯液々熱交換器313と風呂液々熱交換器221とを積層するプレートの枚数が異なる以外は同一の構成のプレートから製作すれば、低コスト化を図ることができる。
【0039】
缶体20の内部には、給湯側第2熱交換器32及び暖房側第2熱交換器42の表面で発生する強酸性のドレンを受けるためのドレン受け16が設けられている。図示しないが、ドレン受け16の底部には、上記ドレンをドレン中和器17に導くためのドレン導出管が接続されている。また、ドレン中和器17の内部には、ドレン中和剤が装填されており、ドレン導出管を通じてドレン中和器17に回収されたドレンは、ドレン中和剤によって中和される。ドレン中和器17には、ドレン中和器17内に回収されたドレンの中和水を強制的に外部に排出させるためのドレンポンプ37が接続されている。
【0040】
ケーシング10内に組み込まれた制御回路C1には、台所や浴室などに設けられた図外のリモコンが有線または無線により接続されており、使用者は、リモコンを操作して、給湯運転における給湯温度、湯張り運転における湯張り温度、暖房運転における暖房温度、追焚き運転における追焚き温度等を設定することができる。また、図示しないが、制御回路C1には、送風ファン70のファンモータ、元電磁弁51、給湯側ガス比例弁53、給湯側切換弁54a,54b,54c、暖房側ガス比例弁61、暖房側切換弁62a,62b、給湯側バーナユニット33及び暖房側バーナユニット43の各炎孔近傍にて火花放電する点火電極、給湯側バーナユニット33及び暖房側バーナユニット43の点火を検知する炎検知センサ、水量センサ91、給水温センサ92、水量サーボ93、バイパスサーボ94、補水電磁弁203、湯張り電磁弁261、湯張り水量センサ262、追焚き流量制御弁220、暖房循環ポンプ211、熱動弁212、風呂水流スイッチ222、水位センサ223、風呂循環ポンプ224、シスターン201の水位電極、熱交温度センサ101、出湯温度センサ103、暖房高温温度センサ213、暖房低温温度センサ215、風呂戻り温度センサ225、風呂往き温度センサ226、即湯循環ポンプ311、即湯水量センサ310、即湯流量制御弁271、即湯温センサ312、ドレンポンプ37が電気配線を通じて接続されている。
【0041】
制御回路C1は、図示しないCPU、メモリ、インターフェース回路等を有し、ケーシング10内の下方の1つの回路基板5により構成されている(
図2参照)。制御回路C1は、メモリに格納された給湯装置1の制御用プログラムをCPUで実行することによって、給湯装置1の全体的な作動を制御する機能を果たす。従って、給湯運転、暖房運転、湯張り運転、追焚き運転、及び即湯運転を1つの回路基板5により制御することができ、ケーシング10内を省スペース化できる。また、従来のように即湯機能を付与するために別ユニットとして製作される循環装置の回路基板と、ケーシング10内の回路基板とを接続する必要がないから、回路基板を接続するときの施工ミスも防止することができる。さらに、即湯機能の有無に関わらず、給湯運転や暖房運転は共通の構成を有するから、即湯機能の有する給湯装置でも、即湯機能のない給湯装置でも、共通の回路基板5を使用することができる。これにより、回路基板5の生産性を向上させることができる。
【0042】
図2は、本実施の形態に係る給湯装置の一例を示す外観図であり、
図3は、正面側から見た要部斜視図であり、
図4は、背面側から見た要部斜視図である。なお、煩雑化を避けるため、これらの図面では一部の要素が省略されている。
【0043】
図2~
図4に示すように、給湯装置1は、前面開口部を有する略矩形箱状のケーシング本体10aと、図示しないカバーとを有する。給湯側加熱手段30及び暖房・追焚き側加熱手段40が収容された缶体20は、ケーシング本体10a内の上方に配設されている。缶体20は、下から順に、既述した給湯側バーナユニット33及び暖房側バーナユニット43が収容された燃焼室2と、給湯側第1熱交換器31及び暖房側第1熱交換器41が収容された第1熱交換室3と、給湯側第2熱交換器32及び暖房側第2熱交換器42が収容された第2熱交換室4とが積層されて構成されている。燃焼室2の下方の開口部に送風ファン70が接続されている。また、前方から見たとき、第2熱交換室4の右方領域に、既述した給水路90の下流端と、連結路95の上流端とが接続されており、第1熱交換室3の右方領域に、既述した給湯路100の上流端と、連結路95の下流端とが接続されている。また、図示しないが、第2熱交換室4の左方領域に、既述した暖房戻り路200の下流端と、連絡往き路205の上流端とが接続されており、第1熱交換室3の左方領域に、既述した暖房往き路210の上流端と、連絡戻り路206の下流端とが接続されている。
【0044】
ケーシング本体10aの底板11には、右側から順に、即湯循環ポンプ311、ドレンポンプ37、風呂循環ポンプ224が固定ネジによって固定接続されており、底板11の左側端部近傍には、固定部材を介して暖房循環ポンプ211が固定接続されている。給水路90及び給湯路100は缶体20から下方に向かって延設されており、給水路90及び給湯路100の下端はそれぞれ、ケーシング本体10aの底板11に開設された給水接続口及び給湯接続口に接続されている。これらの接続口周縁のケーシング本体10aの底板11の下面にはそれぞれ、ケーシング10外の配管を給水路90及び給湯路100に接続するための接続ジョイントが設けられている。
【0045】
給水路90には、既述した水量センサ91やバイパスサーボ94などの水要素部材が介設されている。これらの水要素部材は、缶体20の下方であって、即湯循環ポンプ311の上方に位置するように配設されている。また、缶体20の下方であって、後方中央部には、扁平略矩形状の即湯液々熱交換器313が、厚さ方向が前後方向に位置するように立設状態で配設されている。また、缶体20の下方であって、即湯液々熱交換器313の上方には、扁平略矩形状の風呂液々熱交換器221が、厚さ方向が上下方向に位置するように水平状態で配設されている。
【0046】
ケーシング本体10a内の缶体20の左側方には、シスターン201が配設されている。ケーシング本体10a内の前方左下方には、既述したドレン中和器17が配設されている。図示しないが、ケーシング本体10aの底板11には、既述した風呂接続口や暖房接続口が複数、開口しており、これらの接続口周縁のケーシング本体10aの底板11の下面にはそれぞれ、配管を接続するための接続ジョイントが設けられている。ケーシング本体10a内の前方右下方には、既述した制御回路C1を構成する回路基板5が配設されている。
【0047】
本実施の形態によれば、即湯運転を行うための即湯循環ポンプ311や即湯液々熱交換器313などはケーシング10内に収容されているから、従来のように設置現場で給湯装置と別ユニットの循環装置とを接続する必要がない。従って、設置現場における接続工程を低減することができ、施工不良を確実に低減することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、即湯循環ポンプ311や即湯液々熱交換器313などはケーシング10内に収容されているから、給湯装置1の外部に配設する装置を低減することができる。これにより、給湯機能や暖房機能を有する給湯装置に即湯機能を付与する場合でも、給湯装置1を狭い収容スペースに設置できるとともに、施工の困難性を低減することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、即湯循環路300を循環する湯水が暖房循環路の一部を構成する暖房分岐循環路270を循環する湯水により加熱されるから、即湯運転を実行させるために能力の大きな給湯側加熱手段30を作動させる必要がなく、効率的に即湯運転を実行することができる。なお、暖房用の熱媒として、不凍液を用いてもよい。
【0050】
また、本実施の形態によれば、重量のある即湯循環ポンプ311がケーシング本体10aの比較的、剛性の高い底板11に固定接続されるから、即湯循環ポンプ311の荷重による撓みや即湯循環ポンプ311の作動時の振動を抑えることができる。また、即湯機能のない給湯装置とする場合でも、水量センサ91、バイパスサーボ94などの水要素部材や底板11を変更する必要がないから、即湯機能の有無に関わらず、複数種の給湯装置の部品を共通化することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、即湯液々熱交換器313及び風呂液々熱交換器221はプレート式熱交換器から構成されており、給湯機能及び暖房機能だけでなく、風呂追焚き機能も有する給湯装置1でも、ケーシング10内に即湯循環ポンプ311や即湯液々熱交換器313を収容でき、施工の困難性を低減することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、従来のように別ユニットの循環装置を用いる場合と比べて、設置現場で回路基板同士の接続が不要となるから、さらに施工性を改善することができる。また、複数種の運転を制御する回路基板を共通化することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 給湯装置
10 ケーシング
11 底板
30 給湯側加熱手段
40 暖房・追焚き側加熱手段
90 給水路
100 給湯路
300 即湯循環路
311 即湯循環ポンプ
313 即湯液々熱交換器