(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】収納ユニット及び収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20240725BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20240725BHJP
A47B 96/16 20060101ALI20240725BHJP
A47B 63/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B46/00 501E
A47B96/16
A47B63/04 501E
(21)【出願番号】P 2021060978
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 忠司
(72)【発明者】
【氏名】中川 勇作
(72)【発明者】
【氏名】濱田 修
(72)【発明者】
【氏名】信貴 弘成
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-131105(JP,U)
【文献】実開昭56-158840(JP,U)
【文献】実開昭50-116703(JP,U)
【文献】特開2007-130114(JP,A)
【文献】実開平04-016935(JP,U)
【文献】実開昭61-043429(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00
A47B 46/00
A47B 96/16
A47B 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、
一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、
上記収納本体の上記左右の側板のそれぞれの前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記各側板の前端部から他方の上記側板の前端部に向かって延びる閉位置と、上記各側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な左右の扉板とを備える収納ユニットであって、
上記棚板は、
上記収納本体内に固定された固定部と、
上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、
上記開位置にある上記左右の扉板の内面間に架け渡され、上記水平位置にある上記可動部を下方から支持する支持部材と、
上記左右の扉板の内面のそれぞれに設けられ、上記支持部材の端部を着脱自在に保持する2つの保持部材とを備えている
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ユニットにおいて、
上記収納本体の左右の内壁面のそれぞれに、該左右の内壁面間に架け渡される上記支持部材の端部をそれぞれ着脱自在に保持する2つの内部保持部材が設けられている
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の収納ユニットにおいて、
上記保持部材と上記内部保持部材とは、同一形状に形成されている
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の収納ユニットにおいて、
上記支持部材は、上記水平位置にある上記可動部の下面に当接して該可動部を支持する支持面を有し、該支持面の高さを変更可能に構成されている
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の収納ユニットにおいて、
上記支持部材は、上記開位置にある上記左右の扉板の内面間に架け渡される横架材と、該横架材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、
上記支持面は、上記ボルトの頭部の上面である
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の収納ユニットにおいて、
上記水平位置にある上記可動部の下面には、上記ボルトの頭部が嵌まる溝が形成されている
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の収納ユニットにおいて、
上記左右の扉板の下端部には、それぞれキャスターが取り付けられ、
上記各扉板は、上記キャスターを介して床面に接地している
ことを特徴とする収納ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つの収納ユニットが組み込まれて施工された収納装置であって、
上記収納ユニットの左右の側板は、上記収納装置の間仕切り板を構成している
ことを特徴とする収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ユニット及びその収納ユニットが組み込まれた収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面に設けられる収納ユニットとして、特許文献1に示されるようにヒナ壇構造体と名付けられたものが知られている。このヒナ壇構造体は、壁体に支持され且つ上下に2段の棚を有する側部構造体と、その前側に設けられ、側部構造体の前側開口を開閉する正面扉とを備えている。2段の棚の前端部には、板状の可動部(内部扉)の基端部が垂直位置(起立位置)と水平位置との間で回動可能に取り付けられている。特許文献1では、可動部は、垂直位置では正面扉の内部で棚の前側を覆う覆いとして用いられ、水平位置では棚の前側に面一状に延びて机として用いられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の収納ユニットでは、可動部(内部扉)が基端部(水平位置では後端部、垂直位置では下端部)のみで棚に連結される片持ち構造が採用されている。そのため、水平位置で机として用いられる可動部の上に重量物を載置すると、可動部が撓んだり、ヒンジが外れたりする虞があり、耐荷重性に欠けるという問題があった。特に、可動部の奥行き(前後長さ)が大きくなればなる程、可動部が大きく撓み、問題が顕著になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、垂直位置と水平位置とで回動する可動部を有する棚板を備えた収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、上記収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部が、両開き扉の左右の扉板の内面間に架け渡される支持部材によって下方から支持されるように構成した。
【0007】
具体的には、第1の発明は、左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、上記収納本体の上記左右の側板のそれぞれの前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記各側板の前端部から他方の上記側板の前端部に向かって延びる閉位置と、上記各側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な左右の扉板とを備える収納ユニットであって、上記棚板は、上記収納本体内に固定された固定部と、上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、上記開位置にある上記左右の扉板の内面間に架け渡され、上記水平位置にある上記可動部を下方から支持する支持部材と、上記左右の扉板の内面のそれぞれに設けられ、上記支持部材の端部を着脱自在に保持する2つの保持部材とを備えているものである。
【0008】
第1の発明では、棚板の可動部が、固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部に支持されるだけでなく、支持部材及び2つの保持部材を介して左右の扉板によっても荷重が支持される。つまり、第1の発明では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった棚板の可動部が、基端部だけでなく支持部材と当接する部分においても支持されることとなる。よって、可動部を水平位置で机として用いる場合に可動部の上に重量物を載置しても、可動部が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具が外れたりする虞がない。つまり、第1の発明によれば、垂直位置と水平位置とで回動する可動部を有する棚板を備えた収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることができる。
【0009】
なお、上記支持部材は、両端部が左右の扉板の内面に設けられる2つの保持部材に着脱自在に保持されるように構成されている。そのため、可動部を机として用いない場合には、支持部材を左右の扉板から取り外すことができるため、可動部を支持部材に支持させる構成としても、左右の扉板の本来の機能を阻害しない。
【0010】
また、第1の発明によれば、2つの保持部材に支持部材の両端部を保持させると、支持部材が左右の扉板の内面間に架け渡される。このように配される支持部材により、開位置にある左右の扉板の閉位置への回動が規制される。これにより、可動部を机として用いる際に、可動部を、支持部材及び保持部材を介して開位置にある左右の扉板に安定的に支持させることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記収納本体の左右の内壁面のそれぞれに、該左右の内壁面間に架け渡される上記支持部材の端部をそれぞれ着脱自在に保持する2つの内部保持部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明では、左右の扉板の内面に設けられた2つの保持部材から取り外した支持部材の両端部を、収納本体の内部に設けられる2つの内部保持部材に保持させることができる。つまり、支持部材を収納本体の内部に保管することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記保持部材と上記内部保持部材とは、同一形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明では、支持部材を左右の扉板の内面間に架け渡すために設けられる保持部材と、支持部材を収納本体の内部に収納するために設けられる内部保持部材とに共通の部材を用いることにより、収納ユニットを容易に且つ安価に構成することができる。
【0015】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、上記支持部材は、上記水平位置にある上記可動部の下面に当接して該可動部を支持する支持面を有し、該支持面の高さを変更可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、支持部材が、水平位置にある可動部の下面に当接して該可動部を支持する支持面を有し、該支持面の高さを変更可能なように構成されている。このような構成によれば、支持面の高さを適宜変更することにより、水平位置にある可動部の下面に支持部材の支持面を確実に当接させることができる。よって、可動部を机として用いる際に、支持部材によって可動部が安定的に支持されるため、ガタつきを抑制することができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、上記支持部材は、上記開位置にある上記左右の扉板の内面間に架け渡される横架材と、該横架材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、上記支持面は、上記ボルトの頭部の上面であることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、支持部材を、横架材とボルトとで構成することにより、支持面の高さを変更可能な支持部材を容易に構成することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、上記水平位置にある上記可動部の下面には、上記ボルトの頭部が嵌まる溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
第6の発明では、可動部が水平位置にある際に、支持部材のボルトの頭部が、可動部の下面に形成された溝に嵌まり、溝の周壁に当接することにより、可動部の左右へのガタつきを抑制することができる。
【0021】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、上記左右の扉板の下端部には、それぞれキャスターが取り付けられ、上記各扉板は、上記キャスターを介して床面に接地していることを特徴とするものである。
【0022】
第7の発明では、左右の扉板は、下端部に取り付けられたキャスターを介して床面に接地している。そのため、左右の扉板は、側板の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスターが取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、可動部が支持部材及び保持部材を介して左右の扉板によって支持される際に、左右の扉板が床面によって支持されるため、可動部の荷重によって左右の扉板が沈み込むようなことがなく、可動部を安定的に支持することができる。
【0023】
第8の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明に係る収納ユニットが組み込まれて施工された収納装置であって、上記収納ユニットの左右の側板は、上記収納装置の間仕切り板を構成していることを特徴とするものである。
【0024】
第8の発明では、壁面に施工される収納装置の一部に収納ユニットが組み込まれるように施工され、そのときに収納ユニットの左右の側板は収納装置の間仕切り板を構成している。このように構成することにより、収納装置の一部に収納ユニットを容易に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した如く、本発明によると、垂直位置と水平位置とで回動する可動部を有する棚板を備えた収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部が、両開き扉の左右の扉板の内面間に架け渡される支持部材によって下方から支持されるように構成したため、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る収納ユニットが組み込まれて施工された収納装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、収納ユニットの正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す
図1相当図である。
【
図3】
図3は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す収納ユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す収納ユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、正面扉を閉じ且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す収納ユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す収納ユニットの断面図である。
【
図7】
図7は、正面扉を閉じ且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す収納ユニットの平面図である。
【
図8】
図8は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す収納ユニットの平面図である。
【
図9】
図9は、第1及び第2棚板の可動部の固定部に対する連結支持構造を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、支持構造及び収納構造を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、支持構造の構造を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、その他の実施形態に係る収納ユニットの支持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は本発明の実施形態に係る収納装置Aを示し、この収納装置Aは、建物の室内等の壁Wにおいて天井Cと床Fとの間の全体に亘って施工されている。なお、収納装置Aは、壁Wの一部として施工されていてもよい。本発明及び本実施形態では、壁Wに向かって手前側を「前」、また奥側を「後」、さらに左側を「左」、また右側を「右」とそれぞれ定義して説明する。
【0029】
上記収納装置Aは公知の構造であり、図示しないが、壁W面上において垂直上下方向に延びる複数の間仕切り板と、水平左右方向に延びる上下複数段の棚板、天板及び底板とが交差して連結され、それらで仕切られた空間が収納空間とされている。
【0030】
上記収納装置Aには、本発明の実施形態1に係る収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されている。収納ユニットUは、例えば、幅が740mm、高さが1975~2025mm、奥行きが150mmの縦長形状の薄型のユニットに形成され、その下端部が例えば床Fに接した状態で組み込まれている(
図3~
図6参照)。このことで、収納ユニットUが組み込まれる収納装置Aも薄型に形成されている。
【0031】
図1~
図7に示すように、収納ユニットUは前側に開口する矩形箱状の収納本体1を備えている。詳しくは、この収納本体1は、後側(壁W側)に位置する例えば矩形状の背板2と、その背板2前面の左右両側部に互いに対向するように配置されて連結された上下方向に延びる左右の側板3,3と、両側板3,3の上端部間に連結された天板4と、両側板3,3の下端部間に連結された底板5とを有し、これらが矩形箱状に組み立てられている。そして、収納ユニットUが上記収納装置Aに組み込まれた構造では、収納本体1の左右の側板3,3は収納装置Aの間仕切り板を、天板4は収納装置Aの棚板を、また底板5は収納装置Aの底板をそれぞれ構成している。背板2は収納装置Aの背板と共用されていてもよい。
【0032】
収納ユニットUの収納本体1には、左右水平方向に延びる例えば上下6枚の棚板7,7,8,8,11,12が配置されている。収納本体1内で底板5近くの下端部寄りの位置に2枚の下段棚板7,7が、また天板4近くの上端部寄りの位置に2枚の上段棚板8,8がそれぞれ配置され、これらの棚板7,7,8,8は左右の側板3,3に固定されるか、ダボ等により高さ変更可能に取り付けられている。
【0033】
収納本体1には、その上下高さの中央よりもやや下側の位置に第1棚板11が、またこの第1棚板11よりも高い上側の位置に第2棚板12がそれぞれ配置されている。
図6に示すように、床F上面からの第1棚板11の上面の高さh1は例えばh1=720.5mmに、また第2棚板12の上面の同高さh2は例えばh2=1098.5mmにそれぞれ設定されている。
【0034】
第1及び第2棚板11,12は、各々の一部(後部)を収納本体1の内部に配置した状態で該収納本体1に固定されている。棚板11,12はいずれも折り曲げタイプの棚板であり、収納本体1内に固定された固定部15と、該固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に取り付けられた可動部16とを有する。なお、固定部15及び可動部16については、棚板11,12で同じ符号を付して説明する。
【0035】
第1及び第2棚板11,12の各固定部15は、収納本体1内に配置され、左右の端部が左右の側板3,3に固定されている。各固定部15は、収納本体1の側板3,3間に嵌まるように、左右幅(例えば709.5mm)が側板3,3の内面の間隔(例えば710mm)より僅かに小さい矩形状の板状体によって構成されている。各固定部15の奥行きは、収納本体1の側板3,3の奥行きよりも少し小さい。各固定部15の前端面は、側板3,3の前端面よりも後側に引っ込み、その前端面の前側にスペースが生じている(
図5,6参照)。
【0036】
また、図示を省略しているが、第1及び第2棚板11,12の各固定部15の前端面には、硬質の樹脂やゴム等からなるストッパ部材が取り付けられている。ストッパ部材は、第1及び第2棚板11,12の各可動部16が水平位置にあるときに、その後端面(木口面)に当接して固定部15の前端面(木口面)との間に挟み込まれることで、可動部16が水平位置に回動したときに該可動部16を水平位置に保持する。
【0037】
第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、左右幅(例えば670mm)が固定部15の左右幅よりもさらに小さい矩形状の板状体によって構成されている。各可動部16は、基端部(水平位置で後端部、垂直位置で下端部)が、固定部15の前端部に回動可能に取り付けられ、上面が固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から上方に垂直に延びる垂直位置(起立位置)との間の90°の角度範囲で回動するように構成されている。
【0038】
具体的には、
図9及び
図10に示すように、各可動部16は、基端部と固定部15の前端部上面との間に取り付けた例えば左右複数の丁番18,18,…(
図9では右側のみ示す)により、左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に連結されている。また、可動部16の左右縁部の基端(水平位置で後端、垂直位置で下端)寄りの位置と、左右側板3,3の内面で固定部15よりも高い位置(後述する取付プレート6)との間には、折れ曲がり可能なダウンステー19,19(
図9では右側のみ示し、
図10では図示省略)が連結されている。ダウンステー19,19は、可動部16が垂直位置から水平位置に回動するのに伴ってV字状に折れ曲がった状態からI字状に展開し、その展開状態(I字の状態)が保持されることにより可動部16が水平位置に固定される。可動部16が水平位置にあるとき、可動部16と固定部15とは、各々の上面を面一にして1枚の板状に連続する。一方、可動部16が水平位置から垂直位置に回動すると、ダウンステー19,19は、折れ曲がり、元のV字状に戻る。
【0039】
ところで、
図8に示すように、第1及び第2棚板11,12の可動部16の左右幅(例えば670mm)は、第1及び第2棚板11,12の固定部15の左右幅よりもさらに小さい。そのため、ダウンステー19,19は、側板3の内面に固定された所定厚さの取付プレート6の内面に取り付けられている。
【0040】
また、
図5,11に示すように、第1棚板11の可動部16の下面の先端寄り(水平位置で前端寄り)の位置には、後述する支持部材30のボルト32,32の頭部が嵌まる2つの溝14,14が形成されている。溝14,14は、第1棚板11の可動部16を垂直位置から水平位置に回動させたときに、断面円形状のボルト32,32の頭部が嵌まり込むように、ボルト32,32の頭部に対応する位置に形成され、ボルト32,32の頭部よりも僅かに大径(例えばΦ=27.8mm、深さ8mm)の断面円形状に形成されている。詳細については後述するが、溝14,14の周壁は、該溝14,14内にボルト32,32の頭部が嵌まり込むと、ボルト32,32の頭部が当接することによって支持部材30の左右方向への移動を規制し、これにより、左右の扉板27,27の回動が規制される。溝14,14には、図示しない同形状(有底円筒形状)の受け部材が埋め込まれていてもよい。
【0041】
図6に示すように、第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、例えばd1=350mmで、第2棚板12の可動部16の同奥行きd2(例えば190mm)よりも大きい。そして、
図6に示すように、第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さい(d1<h3)。第2棚板12の可動部16の前後方向の奥行きd2は、第2棚板12とその上の上段棚板8との間の高さh4よりも小さい(d2<h4)。
【0042】
以上のような寸法関係により、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、
図1,3,5,7に示すように、垂直位置にあるときには、収納本体1内の固定部15前側のスペースにおいて、その後ろ向きになる面(水平位置にあるときの上面)が固定部15前端面に当接ないし近接した状態で、上方の棚板(第1棚板11の可動部16にとっては第2棚板12、第2棚板12にとっては上段棚板8)との間の空間に収まる。また、
図3に示すように、各可動部16は、垂直位置にあって正面扉26が開いている(左右の扉板27,27が開位置にある)際には、収納本体1の開口部を上下中間部で閉鎖する内扉となる。
【0043】
一方、第1及び第2棚板11,12の可動部16は、
図2,4,6,8に示すように、水平位置にあるときには、基端部以外の部分が収納本体1の外部に位置し、机板(机の甲板)となる。
図2に示すように、奥行きd1の大きい第1棚板11は、例えば使用者が床F上の椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用することができる。一方、奥行きd2が小さく第1棚板11よりも高い位置に設けられた第2棚板12は、例えば物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0044】
図4~
図6等に示すように、第1棚板11の固定部15上面の後端部には断面L字状のコンセント取付材23が左右の側板3,3間に亘り連結されて一体的に固定されている。このコンセント取付材23は、第1棚板11の固定部15上面から上下方向に延びる前側部23aと、その前側部23aの上端部後面から水平後方向に延び、後端部が背板2に固定された上側部23bとを有し、このコンセント取付材23により背板2の前側に空間が区画されている。コンセント取付材23の前側部23aの例えば右端部には、商用電源、USB端子、その他の接続端子を接続するためのコンセントユニット24が貫通して取り付けられている。このように第1棚板11の固定部15の上面にコンセント取付材23が取り付けられ、そのコンセント取付材23が左右の側板3,3に固定されている構造であると、第1棚板11の固定部15は、側板3,3に対しコンセント取付材23によっても強固に固定されることになる。その結果、第1棚板11を机とするために可動部16を回動(机の開閉動作)させたときに、その力を受けて固定部15が撓んだり、固定部15の前端部が跳ね上がったりすることを防ぐことができる。
【0045】
上記コンセントユニット24に接続される配線(図示せず)は、コンセント取付材23内の空間に収容され、収納ユニットUの外部に引き出されている。具体的に、配線の引出し構造としては、例えば、第1棚板11の固定部15に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、さらに、側板3の固定部15より下側の位置に引き出し孔を形成して、この引出し孔から配線を引き出す構造、第1棚板11の固定部15、下段棚板7及び底板5における後端部の左右一方の隅角部をそれぞれ切り欠いて隙間を形成し、その隙間から配線を引き出す構造、背板2に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、この引出し孔から配線を背板2後側(裏側)の壁Wとの間に引き出す構造があり、これらの構造を必要に応じて選択し或いは組み合わせればよい。
【0046】
収納本体1の前面には、収納本体1の前側開口の一部(本実施形態1では、中段部及び下段部)を開閉する両開きの正面扉26が配置されている。本実施形態1では、正面扉26は、左右の扉板27,27によって構成されている。
【0047】
左右の扉板27,27は、上下2段の上段棚板8,8の下側の上段棚板8の少し上側から底板5に亘る長さに形成され、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部を開閉する。これら各扉板27は、矩形の板状体(パネル)によって構成され、それぞれ基端部が対応する側板3の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられている。具体的には、各扉板27は、対応する側板3の前端部内面と、扉板27の基端部内面との間に取り付けた例えば上下複数の丁番(図示せず)により、垂直軸回りに回動可能に連結されている。このようにして、左右の扉板27,27は、側板3,3の前端部から他方側へ延びて収納本体1の前側開口の中段部及び下段部の左右半分ずつを覆う閉位置と、側板3,3の前端部から前方に延びる開位置とに回動可能に構成されている。
【0048】
また、正面扉26の扉板27の下端部には、キャスター29が1つずつ取り付けられている。キャスター29は、各扉板27を閉位置から開位置に回動させる際に、車輪が床F上面に接地して床F上面上を走行するように取り付けられている。このようなキャスター29を取り付けることにより、扉板27は、閉位置においても開位置においても常時床F上面に接地することとなる。
【0049】
[支持構造]
本実施形態1では、第2棚板12の可動部16の奥行きd2(例えば190mm)が、左右幅(例えば670mm)の3分の1未満の長さであるところ、第1棚板11の可動部16の奥行きd1(例えば350mm)は、左右幅の3分の1以上の長さ(本実施形態1では、2分の1以上の長さ)を有し、第2棚板12の可動部16の奥行きd2に比べて長い。このように左右幅に対する奥行きd1が長い第1棚板11の可動部16は、基端部のみで固定部15に連結されて支持される片持ち構造では、パーソナルコンピュータPC等の重量物を載置すると、撓んだり、丁番18及びダウンステー19が外れたりする虞がある。そこで、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、丁番18及びダウンステー19だけでなく支持構造Sを介して正面扉26の左右の扉板27,27によっても荷重が支持されるように構成されている。
【0050】
図2,4,6,8,10,11に示すように、支持構造Sは、開位置にある左右の扉板27,27に架け渡されて可動部16を支持する支持部材30と、支持部材30の両端部を保持する保持部材40,40とを備えている。
【0051】
図10及び
図11に示すように、支持部材30は、横架材31と、2つのボルト32,32とを有している。横架材31は、左右の扉板27,27に架け渡され、2つのボルト32,32は、横架材31の上面にねじ込まれている。
【0052】
横架材31は、コ字状の金属製の棒状部材によって形成されている。横架材31は、長尺部33と、該長尺部33の両端から同一方向に延びる2つの脚部34,34とを有している。
【0053】
長尺部33は、開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27a間の距離L1よりも短く、可動部16の左右幅と同程度又は僅かに短い長さに形成されている。長尺部33は、他の部分よりも太く形成された台座部35,35を有している。2つの台座部35,35は、長尺部33の両端部から等しい距離だけ離れた位置(左右対称位置)に形成されている。2つの台座部35,35は、平面視において略円形状に形成され、中央にボルト32がねじ込まれるネジ孔35a,35aが形成されている。
【0054】
2つの脚部34,34は、長尺部33に比べて長さが短く、50mm程度の長さに形成されている。2つの脚部34,34は、長尺部33の端部から同一の直交方向に延びている。2つの脚部34,34は、後述する保持部材40,40の湾曲部41,41と左右の扉板27,27の内面27a,27aとの間に挿し通される。
【0055】
ボルト32は、第1棚板11の可動部16の下面に形成された溝14に嵌まる大きさ(例えばΦ=25mm、高さ13mm)の略円柱形状の頭部を有する。ボルト32は、横架材31の長尺部33(台座部35)に形成されたネジ孔35aにねじ込まれている。ボルト32の頭部の上面には、図示しない硬質の樹脂やゴム等からなるクッション部材が取り付けられている。
【0056】
保持部材40は、湾曲部41と、該湾曲部41の両側に形成された平板部42,42とを有している。保持部材40は、矩形状の金属板の長手方向の中程の部分を湾曲させることにより、2つの平板部42,42の間に湾曲部41を形成している。湾曲部41は、内部に脚部34を挿通可能な大きさのU字形状に形成されている。2つの平板部42,42には、ビス43,43の挿通孔が形成されている。
【0057】
保持部材40は、左右の扉板27,27の内面27a,27aに1つずつ取り付けられている。保持部材40は、2つの平板部42,42を左右の扉板27,27の内面27a,27aに当接した状態で、挿通孔に挿通されたビス43,43で内面27a,27aに取り付けられている。
【0058】
2つの保持部材40,40は、左右の扉板27,27の内面27a,27aにおいて、高さ及び前後の位置が等しい位置に設けられている。保持部材40,40は、左右の扉板27,27が開位置にあるときに、左右の扉板27,27の内面27a,27aと湾曲部41,41との各間に、支持部材30の脚部34,34が上方から下方へ挿し通されることにより、支持部材30の端部を着脱自在に保持する。これにより、支持部材30(横架材31)が、開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡される。
【0059】
このように構成された保持部材40,40により、左右の扉板27,27を開位置に回動させ、支持部材30の両端部(横架材31の脚部34,34)を保持部材40,40に保持させた後、第1棚板11の可動部16を水平位置に回動させると、支持部材30のボルト32,32の頭部が可動部16の下面の溝14,14に嵌まり込むことにより、可動部16が支持部材30によって支持される。なお、本実施形態1では、ボルト32,32の頭部の上面が、水平位置にある第1棚板11の可動部16の下面に当接して可動部16を支持する支持面となる。そのため、ボルト32,32のねじ込み量を変えることにより、容易に支持面の高さを変更することができる。
【0060】
[支持部材の収納構造]
収納ユニットUには、支持部材30を用いない際(第1棚板11の可動部16を机として用いない際)に、収納本体1の内部に格納するための格納構造Hが設けられている。
図10に示すように、格納構造Hは、収納本体1の内部で支持部材30の両端部を保持する内部保持部材50,50を備えている。
【0061】
内部保持部材50は、保持部材40と同一形状に形成されている。内部保持部材50は、保持部材40と同様に、湾曲部51と、該湾曲部51の両側に形成された平板部52,52とを有している。内部保持部材50は、矩形状の金属板の長手方向の中程の部分を湾曲させることにより、2つの平板部52,52の間に湾曲部51を形成している。湾曲部51は、内部に脚部34を挿通可能な大きさのU字形状に形成されている。2つの平板部52,52には、ビス53,53の挿通孔が形成されている。
【0062】
内部保持部材50は、収納本体1の左右の内壁面1a,1aに1つずつ取り付けられている。内部保持部材50は、2つの平板部52,52を左右の内壁面1a,1aに当接した状態で、挿通孔に挿通されたビス53,53で内壁面1a,1aに取り付けられている。内部保持部材50,50は、左右の内壁面1a,1aと湾曲部51,51との各間に、支持部材30の脚部34,34が上方から下方へ挿し通されることにより、支持部材30の端部を着脱自在に保持する。これにより、支持部材30(横架材31)が、収納本体1の左右の内壁面1a,1a間に架け渡され、収納本体1の内部に収納される。
【0063】
なお、
図10では図示を省略しているが、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16が格納される収納本体1の内部には、側板3の内面に取付プレート6が取り付けられている。そして、
図6及び
図7に示すように、本実施形態1では、2つの内部保持部材50,50は、左右の取付プレート6,6の内面(内壁面1a,1a)に取り付けられている。
【0064】
ここで、左右の取付プレート6,6の内面間の距離L2は、開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27a間の距離L1よりも短い。そのため、保持部材40,40と同形状の内部保持部材50,50を、保持部材40,40のように、内壁面1a,1a(取付プレート6,6の内面)において前後方向の同位置に対向するように設けると、内壁面1a,1a間の距離L2が支持部材30の長さ(横架材31の長さ)に対して短すぎるため、支持部材30の脚部34,34を2つの内部保持部材50,50に保持させることができない。
【0065】
そこで、本実施形態1では、
図6及び
図7に示すように、2つの内部保持部材50,50は、左右の内壁面1a,1a(左右の取付プレート6,6の内面)において、高さは等しいが前後の位置が異なるずれた位置に設けられている。本実施形態1では、このように2つの内部保持部材50,50を前後の位置をずらして設けることにより、収納本体1の内部において、支持部材30を左右方向に斜めに架け渡すことができる。つまり、支持部材30を収納本体1の内部に収納することができる。
【0066】
-使用例-
以上の構成の実施形態1においては、収納ユニットUの収納本体1に、下側から順に2枚の下段棚板7,7、第1棚板11、第2棚板12、2枚の上段棚板8,8の6枚が間隔をあけて設けられ、そのうち、第1及び第2棚板11,12は、収納本体1内に固定された固定部15と、その固定部15の前端部に回動可能に支持された可動部16とを有する折り曲げタイプである。これらの棚板11,12の可動部16を水平位置と垂直位置とに個別に切り換えることで、収納ユニットUを種々の使用形態で使用し、その多機能の使い方を選択することができる。
【0067】
例えば、
図1及び
図5に示す使用状態では、第1及び第2棚板11,12の各可動部16がいずれも垂直位置にあり、正面扉26の左右の扉板27,27が閉じている。第1及び第2棚板11,12の各可動部16の左側の略半部には左側の扉板27が前側から重なり、右側の略半部には右側の扉板27が前側から重なっている。左右の扉板27,27は、収納本体1の開口の中段部及び下段部を閉じ、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、左右の扉板27,27の内側で収納本体1の開口の中段部の一部を覆う内扉となる。このとき、第1棚板11の可動部16を支持する支持構造Sの支持部材30は、両端部(脚部34,34)が収納本体1の左右の内壁面1a,1aに取り付けられた2つの内部保持部材50,50に保持され、収納本体1の内部に収納されている。また、
図5に示すように、このように収納された支持部材30を押さえ部材として利用することにより、PCや本等を支持部材30の奥側に立てかけて格納することができる。
【0068】
また、
図2、
図4、
図6及び
図7に示す使用状態では、正面扉26の左右の扉板27,27が開けられて開位置にあり、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、垂直位置から下方に回動されて水平位置にある。下側の第1棚板11は、重量物の載置が可能で使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用することができ、上側の第2棚板12は、物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。なお、このような使用状態では、前後の長さが長く着座位置用の机として使用される第1棚板11の可動部16は、基端部だけでなく、支持構造Sの支持部材30と当接する部分においても支持される。
【0069】
支持構造Sの支持部材30によって可動部16を支持させるために、まず、支持部材30を、収納構造Hの内部保持部材50,50によって収納本体1の内部に収納された状態から、
図10に示す矢印の逆方向(上方)に移動させて内部保持部材50,50から取り外す。次に、内部保持部材50,50から取り外した支持部材30の両端部(脚部34,34)を、2つの保持部材40,40の湾曲部41,41と開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27aとの間に挿し通す。これにより、支持部材30が、左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡される。その後、第1棚板11の可動部16を垂直位置から水平位置に回動させる。これにより、可動部16の下面に形成された溝14,14内に、支持部材30のボルト32,32の頭部が嵌まり込み、頭部の上面が溝14の底面に当接して可動部16が支持部材30に支持される。このとき、可動部16の荷重は、支持部材30及び保持部材40,40を介して扉板27,27に支持される。これにより、下側の第1棚板11は、重量物の載置が可能で使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用することができる。
【0070】
なお、支持部材30を収納本体1の内部に収納する際には、上記と逆の作業を行う。つまり、第1棚板11の可動部16を水平位置から垂直位置に回動させ、支持部材30を上方に移動させて保持部材40,40から取り外す。そして、保持部材40,40から取り外した支持部材30の両端部(脚部34,34)を、収納本体1の内部に取り付けられた2つの内部保持部材50,50の湾曲部41,41と左右の内壁面1a,1aとの間に挿し通す。これにより、支持部材30が、収納本体1の内部において左右の内壁面1a,1a間に架け渡されることにより、収納本体1の内部に収納される。
【0071】
その他、図示しないが、左右の扉板27,27が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にあり、第2棚板12の可動部16は垂直位置にある状態での使用も可能である。第2棚板12の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第1棚板11のみを机として使用することができる。
【0072】
また、逆に、左右の扉板27,27が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16は垂直位置にあり、第2棚板12の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にある状態での使用も可能である。第1棚板11の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第2棚板12のみを物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0073】
-実施形態1の効果-
以上のように、本実施形態1によれば、第1棚板11の可動部16が、収納本体1内に固定された固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部15に支持されるだけでなく、支持部材30及び2つの保持部材40,40を介して左右の扉板27,27によっても荷重が支持される。つまり、本実施形態1では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった第1棚板11の可動部16が、基端部だけでなく支持部材30と当接する部分においても支持されることとなる。よって、第1棚板11の可動部16を水平位置で机として用いる場合に可動部16の上に重量物を載置しても、可動部16が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具(丁番18及びダウンステー19)が外れたりする虞がない。つまり、本実施形態1によれば、垂直位置と水平位置とで回動する可動部16を有する棚板11,12を備えた収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性を向上させることができる。
【0074】
なお、支持部材30は、両端部(脚部34,34)が左右の扉板27,27の内面27a,27aに設けられる2つの保持部材40,40に着脱自在に保持されるように構成されている。そのため、第1棚板11の可動部16を机として用いない場合には、支持部材30を左右の扉板27,27から取り外すことができるため、可動部16を支持部材30に支持させる構成としても、左右の扉板27,27の本来の機能を阻害しない。
【0075】
また、実施形態1によれば、保持部材40、40に支持部材30の両端部(横架材31の脚部34,34)を保持させると、支持部材30(横架材31)が左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡される。このように配される支持部材30により、開位置にある左右の扉板27,27の閉位置への回動が規制される。これにより、第1棚板11の可動部16を机として用いる際に、第1棚板11の可動部16を、支持部材30及び保持部材40を介して開位置にある左右の扉板27,27に安定的に支持させることができる。
【0076】
また、本実施形態1では、収納本体1の左右の内壁面1a,1aのそれぞれに、該左右の内壁面1a,1a間に架け渡される支持部材30の端部(脚部34)をそれぞれ着脱自在に保持する2つの内部保持部材50,50が設けられている。そのため、本実施形態1では、左右の扉板27,27の内面27a,27aに設けられた2つの保持部材40,40から取り外した支持部材30の両端部(脚部34,34)を、収納本体1の内部に設けられる2つの内部保持部材50,50に保持させることができる。つまり、支持部材30を収納本体1の内部に保管することができる。
【0077】
また、本実施形態1では、支持部材30を左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡すために設けられる保持部材40,40と、支持部材30を収納本体1の内部に収納するために設けられる内部保持部材50,50とを、同一形状に形成している。このように、保持部材40,40と内部保持部材50,50とに共通の部材を用いることにより、収納ユニットUを容易に且つ安価に構成することができる。
【0078】
また、本実施形態1では、支持部材30が、水平位置にある第1棚板11の可動部16の下面に当接して該可動部16を支持する支持面を有し、該支持面の高さを変更可能なように構成されている。このような構成によれば、支持面の高さを適宜変更することにより、水平位置にある可動部16の下面に支持部材30の支持面を確実に当接させることができる。よって、第1棚板11の可動部16を机として用いる際に、支持部材30によって可動部16が安定的に支持されるため、ガタつきを抑制することができる。
【0079】
さらに、本実施形態1では、支持部材30を、開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡される横架材31と、該横架材31の上面にねじ込まれたボルト32,32とで構成し、ボルトの頭部の上面を可動部16の下面に当接させて可動部16を支持する支持面とすることとしている。このような構成によれば、支持面の高さを変更可能な支持部材30を容易に構成することができる。
【0080】
また、本実施形態1では、水平位置にある第1棚板11の可動部16の下面に、ボルト32,32の頭部が嵌まる溝14,14を形成している。このような構成によれば、第1棚板11の可動部16が水平位置にある際に、支持部材30のボルト32,32の頭部が、可動部16の下面に形成された溝14,14に嵌まり、溝14,14の周壁に当接することにより、可動部16の左右へのガタつきを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態1では、左右の扉板27,27の下端部に、キャスター29,29が取り付けられ、各扉板27は、キャスター29を介して床F上面に接地するように構成されている。そのため、本実施形態1では、左右の扉板27,27は、側板3,3の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスター29,29が取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、第1棚板11の可動部16が支持部材30及び保持部材40を介して左右の扉板27,27によって支持される際に、左右の扉板27,27が床F上面によって支持されるため、可動部16の荷重によって左右の扉板27,27が沈み込むようなことがなく、可動部16を安定的に支持することができる。
【0082】
また、本実施形態1では、上記収納ユニットUの側板3,3が収納装置Aの間仕切り板を構成するように、収納ユニットUが収納装置Aに組み込まれて施工されている。本実施形態1によれば、このように構成することにより、収納装置Aの一部に収納ユニットUを容易に組み込むことができる。
【0083】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16を支持する支持部材30は、コ字状の棒状部材で構成されていたが、支持部材30の構成はこれに限られない。支持部材30は、端部が保持部材40,40に保持されるものであればいかなるものであってもよい。例えば、横架材31の端部が球状に形成され、保持部材40,40が球体を保持するように形成されていてもよく、横架材31が直線状の棒状部材(脚部34を有さず、長尺部33のみ)で構成され、保持部材40,40が、左右の扉板27,27の内面27a,27aに取り付けられるU字状部材からなり、横架材31の端部がU字状部材の上方から挿入されて底部で支持されるものであってもよい。
【0084】
また、支持部材30は、左右の扉板27,27の内面27a,27a間に架け渡されて可動部16の下面に当接して該可動部16を支持できるものであればいかなる形状であってもよく、板状部材で構成されていてもよい。
【0085】
さらに、支持部材30は、ボルト32,32を有さず、横架材31の長尺部33の上面が平坦面に形成されて可動部16の下面に当接する支持面を構成していてもよい。また、支持部材30は、横架材31にボルト32,32以外の上下動する部材が設けられたものであってもよい。その場合、上下動する部材の上面が可動部16の下面を支持する支持面となる。
【0086】
また、支持部材30は、
図12に示すように、H字状の棒状部材で構成されていてもよい。この構成では、横架材31が、長尺部33の両端部から下方へ延びる脚部34,34と、上方へ延びる押さえ部36,36とを有することとなり、水平位置にある第1棚板11の可動部16が、押さえ部36,36の間に配されることとなる。このような構成によれば、水平位置にある第1棚板11の可動部16の左右方向へのガタつきをより抑制することができる。
【0087】
また、上記実施形態1では、正面扉26を構成する左右の扉板27,27と支持部材30の端部を保持する2つの保持部材40,40とは別体に構成され、左右の扉板27,27の内面27a,27aに保持部材40,40が取り付けられていたが、左右の扉板27,27と保持部材40,40とは一体に成形されていてもよい。
【0088】
また、保持部材40及び内部保持部材50は、支持部材30の端部を保持可能であればいかなる形状に形成されていてもよい。
【0089】
さらに、上記実施形態1では、2つの内部保持部材50,50は、左右の取付プレート6,6の内面において、高さが等しく前後の位置が異なる位置に設けられ、支持部材30が2つの内部保持部材50,50によって収納本体1の内部において左右方向に斜めに架け渡されて保持されるように構成されていた。しかしながら、2つの内部保持部材50,50の取付位置はこれに限られない。例えば、開位置にある左右の扉板27,27が、左右の側板3,3と左右方向において同じ位置にあり、2つの内部保持部材50,50が左右の側板3,3の内面に取り付けられる場合、2つの内部保持部材50,50が取り付けられる収納本体1の左右の内壁面1a,1a(側板3,3の内面)間の距離が、開位置にある左右の扉板27,27の内面27a,27a間の距離L1と等しくなる。このような場合には、2つの内部保持部材50,50を、左右の内壁面1a,1aに高さと前後の位置が等しい位置に設ければよい。この場合、支持部材30は、2つの内部保持部材50,50によって収納本体1の内部において左右方向に架け渡されて保持される。
【0090】
また、上記実施形態1では、支持部材30及び保持部材40を介して第1棚板11の可動部16の荷重がかかる正面扉26の左右の扉板27,27を、キャスター29を介して床F上面に接地させることとしていた。しかしながら、キャスター29の代わりに、上下動する支持脚を各扉板27の下端部に取り付け、各扉板27が開位置において第1棚板11の可動部16の荷重を支持する際に、支持脚を床F上面に接地させることとしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態1では、固定部15と可動部16とを有する複数の棚板11,12のうち、可動部16の奥行きd1が左右幅の3分の1以上の長さの第1棚板11の可動部16のみが、水平位置において支持部材30によって支持されるように構成していた。しかしながら、本発明に係る収納ユニットは、上述の構成に限られず、第1棚板11の可動部16だけでなく第2棚板12の可動部16も水平位置において支持部材30によって支持されるものであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さくなるように形成されていた(d1<h3)。しかしながら、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3以上となるように形成されていてもよい。このような場合、第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも収納本体1内に納まるように(第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも当接しないように)、第2棚板12の固定部15の奥行きを第1棚板11の固定部15の奥行きよりも短くする。第1及び第2棚板11,12の固定部15の奥行きの差は、第1棚板11の可動部16の厚さより少し大きい長さとする。このように設計すれば、第1及び第2棚板11,12の可動部16は、垂直位置にあっても当接せず収納本体1内に納まることとなる。
【0093】
また、上記実施形態1では、収納本体1において固定部15と可動部16とを有する棚板11,12を2枚設けているが、収納本体1に設ける固定部15と可動部16とを有する棚板の枚数は、2枚に限られない。収納本体1に第1棚板11のみを設けてもよく、収納本体1に、固定部15と可動部16とを有する棚板を3枚以上設けることとしてもよい。
【0094】
さらに、上記実施形態1では、収納ユニットUには、2枚の側板3,3と6枚の棚板7,7,8,8,11,12と正面扉26とが設けられているが、本発明に係る収納ユニットは、2枚の側板3,3と第1棚板11と両開きタイプの正面扉26(左右の扉板27,27)とが設けられるものであればよい。
【0095】
さらに、上記実施形態1では、収納装置Aの下部に収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されているが、収納ユニットUは単独で壁Wに施工されていてもよい。また、収納ユニットUは、壁Wに施工されてなくてもよい。収納ユニットU及び収納装置Aは、壁Wに沿って設けられるものであってもよく、壁Wから離れた床F上に設置されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明は、収納ユニット及びその収納ユニットが組み込まれた収納装置について有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 収納本体
1a 内壁面
3 側板
11 第1棚板(棚板)
14 溝
15 固定部
16 可動部
27 扉板
27 内面
30 支持部材
31 横架材
32 ボルト
40 保持部材
50 内部保持部材