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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】配線基板および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240725BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H05K3/46 Z
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H01L23/12 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021061222
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157149
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-11-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴章
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248891(JP,A)
【文献】特開2012-138632(JP,A)
【文献】特開2019-212692(JP,A)
【文献】特開2005-108939(JP,A)
【文献】特開2006-108211(JP,A)
【文献】特開昭57-060889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板主面側に設けられ、半導体素子が接続される素子接続端子と、
基板裏面側に設けられた、外部接続用の外部接続端子と、
前記素子接続端子と前記外部接続端子とを接続する配線が設けられた基板絶縁層と、を備え、
前記外部接続端子は、前記基板絶縁層の裏面側に露出する接続面を有し、単層からなる第1導電層と、前記第1導電層に積層され、前記基板絶縁層内に設けられて前記配線と接続される第2導電層とを有し、
前記第1導電層は、外装めっき用金属で形成され、かつ、前記接続面が前記基板絶縁層の裏面と面一であり、
前記第1導電層の層側面は、該第1導電層に積層された前記第2導電層の層側面に対して窪んだ凹面形状であり、前記凹面形状の窪み領域には前記基板絶縁層の一部が充填されている、配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記外装めっき用金属は、金属種としてAg、Ni、Sn、Pd、Au、Tiを含み、
前記第1導電層は、複数の前記金属種のいずれかから成る導電層である、配線基板。
【請求項3】
基板絶縁層の裏面側に露出する接続面を有し、外装めっき用金属で形成される第1導電層と、前記基板絶縁層内に設けられ、前記第1導電層に積層される第2導電層と、を備える外部接続端子が設けられ、前記接続面が前記基板絶縁層の裏面と面一である配線基板の製造方法であって、
前記第1導電層を支持基板上に形成することと、
前記第1導電層の上に前記第2導電層を積層形成することと、
前記支持基板上に積層形成された前記第1導電層および前記第2導電層を、絶縁部材で封止して前記基板絶縁層を形成することと、
前記第1導電層および前記基板絶縁層から前記支持基板を除去して、前記第1導電層および前記基板絶縁層が前記支持基板と接する面を同一面状態で露出させ、前記接続面および前記基板絶縁層の裏面を形成することと、を含み、
前記外装めっき用金属の膜を前記支持基板上に形成し、
前記外装めっき用金属の膜の上に前記第2導電層を形成し、
前記第2導電層をマスクとして前記外装めっき用金属の膜をエッチングすることにより、前記第2導電層の層側面に対して窪んだ凹面形状の層側面を有する単層からなる前記第1導電層を形成する、配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の配線基板の製造方法において、
前記支持基板は銅の金属板であって、
前記支持基板をエッチングにより除去する、配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の配線基板の製造方法において、
前記外装めっき用金属は、金属種としてAg、Ni、Sn、Pd、Au、Tiを含み、
前記第1導電層は、複数の前記金属種のいずれかから成る導電層である、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLED素子のような半導体素子を実装基板に実装する場合には、配線基板に半導体素子を実装し、その配線基板のバンプ等の接続端子を実装基板に実装する方法が用いられている。例えば、特許文献1に記載の発明では、半導体素子である電子部品は、配線基板にバンプを介して実装される。配線基板の、電子部品が実装される面とは反対側、すなわち、裏面側には、導電層が絶縁層から突出するように設けられている。導電層は外部接続端子として機能するものであり、半田ボールを介して外部回路(例えば、実装基板)に電気的に接続される。
【0003】
また、特許文献2に記載の発明では、ICチップが実装される多層配線基板には、裏面側に開口部が形成されたソルダーレジスト層が設けられている。開口部には、銅層を主体として構成される接続端子が露出しており、接続端子の露出面はめっき層で覆われている。めっき層は、例えば、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより形成される、ニッケル-金めっき層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-114121号公報
【文献】特開2013-118301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の配線基板では、実装基板に半田接続される接続端子としての導電層が配線基板の裏面から突出した構造であるため、実装基板に実装した際に、スタンドオフと呼ばれる配線基板と実装基板との間の隙間が生じる。スタンドオフが生じると、配線基板から実装基板への放熱性能が低下し、また、実装傾きが生じるおそれもある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の配線基板の場合には、実装基板に接続するための接続端子が多層配線基板の面よりも窪んだ位置にあるので、実装基板に実装する際に半田ボールを必要とする。そのため、半田ボール分の高さが生じて、実装傾きが生じるおそれがある。半田ボールのサイズは窪みのサイズに応じて制約があり、また、半田ボールのサイズが大きくなると、実装基板側の配線にも制約が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による配線基板は、基板主面側に設けられ、半導体素子が接続される素子接続端子と、基板裏面側に設けられた、外部接続用の外部接続端子と、前記素子接続端子と前記外部接続端子とを接続する配線が設けられた基板絶縁層と、を備え、前記外部接続端子は、前記基板絶縁層の裏面側に露出する接続面を有する第1導電層と、前記第1導電層に積層され、前記基板絶縁層内に設けられて前記配線と接続される第2導電層とを有し、前記第1導電層は、外装めっき用金属で形成され、かつ、前記接続面が前記基板絶縁層の裏面と面一である。
本発明の第2の態様による配線基板の製造方法は、基板絶縁層の裏面側に露出する接続面を有し、外装めっき用金属で形成される第1導電層と、前記基板絶縁層内に設けられ、前記第1導電層に積層される第2導電層と、を備える外部接続端子が設けられ、前記接続面が前記基板絶縁層の裏面と面一である配線基板の製造方法であって、前記第1導電層を支持基板上に形成することと、前記第1導電層の上に前記第2導電層を積層形成することと、前記支持基板上に積層形成された前記第1導電層および前記第2導電層を、絶縁部材で封止して前記基板絶縁層を形成することと、前記第1導電層および前記基板絶縁層から前記支持基板を除去して、前記第1導電層および前記基板絶縁層が前記支持基板と接する面を同一面状態で露出させ、前記接続面および前記基板絶縁層の裏面を形成することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板に実装したときのスタンドオフ低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施の形態の配線基板を用いた半導体装置の断面構造を、模式的に示す図である。
図2図2は、スタンドオフを説明する図である。
図3図3は、配線基板および半導体装置の製造方法の一例を説明する図である。
図4図4は、図3に続く工程を示す図である。
図5図5は、図4に続く工程を示す図である。
図6図6は、図5に続く工程を示す図である。
図7図7は、図6に続く工程を示す図である。
図8図8は、アンカー構造を説明する図である。
図9図9は、製造方法の変形例1を説明する図である。
図10図10は、図9に続く工程を示す図である。
図11図11は、製造方法の変形例2を説明する図である。
図12図12は、図11に続く工程を示す図である。
図13図13は、製造方法の変形例3を説明する図である。
図14図14は、製造方法の変形例4を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。なお、以下に示す図面において、各部材の形状や、長さ、幅、厚さなどのサイズ、および長さ、幅、厚さの比率は、発明の構成を明確にするため、適宜、実際とは異なる形状、サイズおよび比率で示されている。従って、図示された各部材の形状、サイズおよび長さ、幅、厚さの比率は、同一部材の同一要素や他の部材の同一要素と対比して斟酌されるべきではない。
【0011】
図1は、半導体装置1の断面構造を模式的に示す図である。半導体装置1は、半導体素子10a,10bと、半導体素子10a,10bが搭載される配線基板20とを備えている。半導体素子10a,10bは電気的絶縁性の封止樹脂30によって封止されている。配線基板20は、層間絶縁層200に導体配線を設けた基板であり、半導体素子10a,10bの搭載面となる基板主面21と、基板主面21とは反対側の基板裏面22とを有する。
【0012】
図1に示す例では、導体配線は、基板主面側に設けられた素子接続端子201と、基板裏面側に設けられた外部接続端子202と、素子接続端子201と外部接続端子202とを接続する層間配線203とを含む。半導体素子10a,10bの端子100を、対応する素子接続端子201に半田接続することにより、半導体素子10a,10bが配線基板20に搭載される。
【0013】
基板裏面側に設けられた外部接続端子202は、半導体装置1を実装基板(不図示)に実装するための端子である。外部接続端子202は、第2導電層202aと、基板裏面側に露出する第1導電層202bとを有する二層構造となっており、第1導電層202bが実装基板の配線に半田接合される。層間絶縁層200の裏面200Sと、第1導電層202bの露出している半田接続面202Sとは同一平面上にあり、基板裏面22は凹凸の無い面一の面となっている。
【0014】
本実施の形態では、実装基板に半田接続される外部接続端子202を、Cuの第2導電層202aと、半田接続面202Sが形成された第1導電層202bとの2層構造とし、第1導電層202bを、半田接合に適した外装めっき用金属で形成するようにした。外装めっき用金属は、半田の濡れ性に優れており、実装基板との適切な半田接合を行うことができる。外装めっき用金属としては、Ag、Ni、Sn、Pd、Au、Ti等が用いられる。第1導電層202bは、これらの金属のいずれかによる導電層としても良いし、複数種類の金属を層状に形成しても良い。例えば、Ag、NiおよびPdの3種類を選択し、実装面側からAu層-Pd層-Ni層のように第1導電層202bを構成する。
【0015】
また、特許文献1に記載の配線基板では、例えば、図2(a)に示すように外部接続端子202の半田接続面202Sが層間絶縁層200の裏面から突出するように設けられている。そのため、半導体装置1を実装基板50に実装した場合(図2(b)参照)に、外部接続端子202が突出している分だけ、半導体素子1の裏面と実装基板50との間の隙間高さであるスタンドオフhが大きくなってしまう。スタンドオフhが大きな場合、外部接続端子202の数が多い半導体装置1においては、実装基板50に実装した際に傾きが生じやすい。例えば、半導体素子10がLED素子の場合には、実装基板50に実装する際に半導体装置1に傾きが生じると、LED素子の光軸が傾いてしまうという問題が生じる。
【0016】
また、特許文献2に記載の配線基板の場合には、例えば、図2(c)に示すように、接続端子45が層間絶縁層200の裏面よりも窪んだ位置にあるので、実装基板50に実装する際に半田ボール52を必要とする。窪みのサイズに応じて半田ボール52のサイズを大きくする必要があり、それによって生じるスタンドオフにより実装傾きが生じるおそれがある。また、半田ボール52のサイズが大きくなると、実装基板50側の配線51a,51bの配置にも制約が生じる。
【0017】
一方、本実施の形態では、層間絶縁層200の裏面200Sと、第1導電層202bの露出している半田接続面202Sとは同一平面上にあり、基板裏面22は凹凸の無い面一の面となっているので、スタンドオフをほぼゼロとすることができる。そのため、上述したような基板実装時の半導体装置1の傾きの発生を、防止することができる。また、スタンドオフがほぼゼロであるため、配線基板20から実装基板50への放熱性能の向上を図ることができる。また、スタンドオフが小さくなることで、上述したようなLED素子の光軸の傾きという不都合が生じるのを防止することができる。
【0018】
次に、図1に示した半導体装置1の製造方法について説明する。図3から図7は、製造方法の一例を示す断面図である。なお、図3から図7では半導体装置1の1個分についての製造工程を示しているが、半導体装置1を形成するための支持基板40は半導体装置1の1個分よりも大きな基板であり、支持基板40上には多数の半導体装置1が形成されることになる。また、第1導電層202bに用いられる金属としては、以下ではNiを用いる場合を例に説明する。
【0019】
図3(a)に示す工程では、支持基板40の上面に、上述した第1導電層202bとなるNiめっき層を電解めっきにより形成する。以下では、Niめっき層も第1導電層202bと同一の符号202bで表すことにする。Niめっき層202bの厚さは、例えば、1~3μm程度とされる。半導体装置1はこの支持基板40上に形成され、支持基板40は半導体装置1の裏面側を支持する。最終的には、支持基板40は半導体装置1から除去される。本実施の形態では、厚さ100μm程度のCu板を支持基板40に用いているが、支持基板40の材質および厚さについては、後述するように、除去処理の内容に応じて適宜設定される。
【0020】
図3(b)に示す工程では、Niめっき層202b上の全面にフォトレジスト211を形成する。フォトレジスト211は、ドライフィルムタイプの感光性レジストフィルムをラミネータでラミネート形成することにより形成される。フォトレジスト211の厚さは、第2導電層202aの厚さと同一に設定される。例えば、10μm程度とする。
【0021】
図3(c)に示す工程では、フォトマスク212を用いてフォトレジスト211を露光する。フォトマスク212には、外部接続端子202の形状に対応するパターン形状の非透過部212aと、非透過部212aの周囲の透過部212bとが形成されている。フォトマスク212を用いた露光により、フォトレジスト211は、透過部212bに対応する部分211bが感光する。
【0022】
図3(d)に示す工程では、フォトマスク212を除去し、次いで、フォトレジスト211の現像処理を行って、フォトレジスト211の非感光部分211aを除去する。その結果、フォトレジスト211には、外部接続端子202の形状に対応するパターン形状の開口部211cが形成される。
【0023】
図4(a)に示す工程では、フォトレジスト211の開口部211cに電解めっきによりCuをめっきして、第2導電層202aを形成する。その後、図4(b)の工程において、フォトレジスト211の感光部分211bを除去する。
【0024】
図4(c)に示す工程では、Niめっき層202bを、Niに反応するエッチング液によりエッチングする。エッチング液としては、NiとCuとのエッチング選択性に優れたエッチング液、例えば、硫酸水素カリウムを含有するエッチング液等が用いられる。このエッチング処理では、Niめっき層202bの上に形成されたCuの第2導電層202aがマスクとして機能する。そのため、第2導電層202aと重ならない部分のNiめっき層のみがエッチングされ、Niめっき層による第1導電層202bが形成される。
【0025】
図4(d)に示す工程では、絶縁フィルムをラミネータでラミネート形成することで、層間絶縁層200を形成する。その結果、第2導電層202aおよび第1導電層202bは、層間絶縁層200で封止される。
【0026】
図5(a)に示す工程では、各第2導電層202a上の層間絶縁層200に、レーザー装置を用いてビア孔(via hole)200aをそれぞれ形成する。図5(b)に示す工程では、図5(a)に示した基板の上面側露出面の全体に、すなわち、層間絶縁層200の上面、ビア孔200aの側面およびビア孔200aの底部に露出する第2導電層202aの上面に、無電解めっきにより膜厚1μm以下程度のCu膜212を形成する。
【0027】
図5(c)に示す工程では、図3(d)に示すフォトレジスト211の場合と同様の工程で、素子接続端子の形状と同様の開口パターン形状を有するフォトレジスト221を形成する。なお、フォトレジスト221の厚さは、厚み公差を許容できる程度に素子接続端子より厚く形成することが望ましい。例えば、素子接続端子を10μmに設定したときには、19μm程度に設定される。図5(b)に示す基板の上面側の全面にフォトレジスト221をラミネート形成し、素子接続端子201(図1参照)の形状と同形状の非透過部を有するフォトマスクを用いてフォトレジスト221を露光し、現像処理して、素子接続端子201の形状と同形状の非感光部分を除去する。その結果、フォトレジスト221には、感光部分221bと、素子接続端子201と同形状の開口部221cとが形成される。
【0028】
図5(d)に示す工程では、Cu膜212を電流路の下地金属として電解めっきを行い、開口部221cにCu層213を形成する。これにより、開口部221cおよびビア孔200aがCuめっきによって埋められることになる。
【0029】
図6(a)に示す工程では、フォトレジスト221を除去する。その結果、Cu膜212とCu層213とが露出する。図6(b)に示す工程では、露出しているCu膜212およびCu層213をエッチングし、Cu層213に覆われていないCu膜212を除去する。その結果、層間絶縁層200上に形成されたCuから成る素子接続端子201と、ビア孔200a内のCuから成る層間配線203とが形成される。図6(c)に示す工程では、素子接続端子201上に半導体素子10a,10bの端子を接続する。
【0030】
図7(a)に示す工程では、半導体素子10a,10bおよび素子接続端子201を封止樹脂30により封止する。図7(b)に示す工程では、Cuに反応するエッチング液により支持基板40をエッチング除去する。エッチング液としては、NiとCuとのエッチング選択性に優れたエッチング液、例えば、硫酸水素カリウムを含有するエッチング液等が用いられる。または、機械研削により支持基板40を除去しても良い。あるいは、支持基板40としてガラス基板を使用する場合には、支持基板40を剥離することにより除去しても良い。
【0031】
図7(c)は、半導体装置1を実装基板50に実装する工程を示す図である。半導体装置1の半導体素子10aは実装基板50の配線51aに接続され、半導体素子10bは実装基板50の配線51bに接続される。配線51a,51b上には半田ボール52が設けられ、配線51a,51bと外部接続端子202の第2金属層202bとが、半田接続される。
【0032】
ところで、図4(c)において、Cuの第2導電層202aをマスクに用いてNiめっき層202bをエッチングした際に、図8(a)に示すように、サイドエッチングによって、第2導電層202aと支持基板40との間のNiめっき層202bの側面2020が、内側に(すなわち、第2導電層202aの周側面上よりも第2導電層202a下部の領域に)窪んだ凹形状(図8(a)の符号Aで示す領域の形状)となる。そのため、次の工程で、第2導電層202aおよび第1導電層202bを覆うように層間絶縁層200を形成すると、図8(b)に示すように、層間絶縁層200が側面2020の窪み領域にまで充填されることになる。このように側面2020の窪み領域に層間絶縁層200が充填される構造とすることで、層間絶縁層200が、外部接続端子202を層間絶縁層200内に止めようとするアンカーとして機能し、外部接続端子202がめっき形成による薄膜であったとしても層間絶縁層200からの脱落等が防止される。
【0033】
(変形例1)
図9および図10は、製造方法に関する変形例1を説明する図である。変形例1では、上述した図3(a)の工程と同様の処理で、支持基板40の上面にNiめっき層202bを形成した後、図9(a)に示す工程を行う。図9(a)に示す工程では、Niめっき層202bの上面全体に、上述した第1導電層202bを形成するためのCuめっき層を電解めっきにより形成する。以下では、Cuめっき層も第2導電層202aと同一の符号202aで表すことにする。Cuめっき層202aの厚さは、例えば、10μm程度とする。
【0034】
図9(b)に示す工程では、Cuめっき層202aの上面全体にフォトレジスト231を形成する。フォトレジスト231は、ドライフィルムタイプの感光性レジストフィルムをラミネータでラミネート形成することにより形成される。
【0035】
図9(c)に示す工程では、フォトマスク232を用いてフォトレジスト231を露光する。フォトマスク232には、外部接続端子202の形状に対応するパターン形状の透過部232bと、透過部232bの周囲の非透過部232aとが形成されている。フォトマスク232を用いた露光により、フォトレジスト231は、透過部232bに対応する部分231bが感光する。
【0036】
図10(a)に示す工程では、図9(c)のフォトマスク232を除去し、次いで、フォトレジスト231の現像処理を行って、フォトレジスト231の非感光部分231aを除去する。その結果、図10(a)に示すように、外部接続端子202の形状に対応するレジストパターン231bが形成される。
【0037】
図10(b)に示す工程では、レジストパターン231bをマスクとして、Cuめっき層202a、Niめっき層202bの順にエッチング処理を行う。その結果、レジストパターン231bが乗っていない部分のCuめっき層202aおよびNiめっき層202bが除去され、外部接続端子202の第2導電層202aとしてのCuめっき層と、外部接続端子202の第1導電層202bとしてのNiめっき層とが残る。
【0038】
図10(c)に示す工程では、レジストパターン231bを除去する。その結果、図4(c)に示す構成の場合と同様に、支持基板40上に外部接続端子202が形成される。その後、図4(d)~図7(b)に示す工程と同様の処理が行われ、図7(b)に示す半導体装置1が完成する。
【0039】
(変形例2)
図11および図12は、製造方法に関する変形例2を説明する図である。図11(a)に示す工程では、支持基板40上の全面にフォトレジスト241を形成する。フォトレジスト241は、ドライフィルムタイプの感光性レジストフィルムをラミネータでラミネート形成することにより形成される。フォトレジスト241の厚さは、外部接続端子202の厚さ、すなわち、第2導電層202aの厚さと第1導電層202bの厚さとの和に相当する厚さとする。なお、支持基板40は、上述した実施の形態の場合(図3(a))と同様に厚さ100μm程度のCu板とする。
【0040】
図11(b)に示す工程では、図3(c)に示す工程の場合と同様のフォトマスク212を用いて、フォトレジスト241を露光する。フォトマスク212には、外部接続端子202の形状に対応するパターン形状の非透過部212aと、非透過部212aの周囲の透過部212bとが形成されている。フォトマスク212を用いた露光により、フォトレジスト241は、透過部212bに対応する部分241bが感光する。
【0041】
図11(c)に示す工程では、フォトマスク212を除去し、次いで、フォトレジスト241の現像処理を行って、フォトレジスト241の非感光部分241aを除去する。 その結果、フォトレジスト241に、外部接続端子202の形状に対応するパターン形状の開口部241cが形成される。
【0042】
図12(a)に示す工程では、電解めっきにより開口部241c内にNiめっき層を形成して、外部接続端子202の第1導電層202bを形成する。Niめっき層202bの厚さは、例えば、1~3μm程度とされる。図12(b)に示す工程では、電解めっきにより開口部241c内にCuめっき層を形成して、外部接続端子202の第2導電層202aを形成する。Cuめっき層202aの厚さは、例えば、10μm程度とする。
【0043】
図12(c)に示す工程では、フォトレジスト241を除去する。その結果、図4(c)に示す構成の場合と同様に、Niの第1導電層202bにCuの第2導電層202aを積層した外部接続端子202が、支持基板40上に形成される。その後、上述した図4(d)~図7(b)に示す工程と同様の処理が行われ、図7(b)に示す半導体装置1が完成する。
【0044】
(変形例3)
図13は、製造方法に関する変形例3を説明する図である。従来、エレクトロニクスデバイスの配線材料の形成方法として、粒径がナノメーターオーダーの金属粒子を有機溶媒等の分散媒中に分散させた金属インクや金属ペーストを用いて、印刷法により導電性パターンを形成する方法が知られている、変形例3では、外部接続端子202の第2導電層202aおよび第1導電層202bを、印刷法により形成する。
【0045】
図13(a)に示す工程では、Ni金属粒子を含む金属ペーストの端子パターン251を、スクリーン印刷により支持基板40上に印刷する。なお、端子パターン251の厚さは、焼成後の厚さが1~3μm程度となるように設定される。図13(b)に示す工程では、端子パターン251を焼成して第1導電層202bを形成する。
【0046】
図13(c)に示す工程では、Cu金属粒子を含む金属ペーストの端子パターン252を、スクリーン印刷により第1導電層202bの上に印刷する。なお、端子パターン25の厚さは、焼成後の厚さが10μm程度となるように設定される。図13(d)に示す工程では、端子パターン252を焼成して第2導電層202aを形成する。その結果、支持基板40上に、第2導電層202aと第1導電層202bとから成る外部接続端子202が形成される。その後、上述した図4(d)~図7(b)に示す工程と同様の処理が行われ、図7(b)に示す半導体装置1が完成する。
【0047】
(変形例4)
図14は、製造方法に関する変形例4を説明する図である。上述した変形例3では、金属ペーストを印刷法で印刷し、その後、焼成することで、外部接続端子202の第2導電層202aおよび第1導電層202bを形成した。変形例4では、図1の素子接続端子201および層間配線203を、印刷法により形成するようにした。なお、支持基板40上に外部接続端子202の第2導電層202aおよび第1導電層202bを形成する工程については、上述した実施の形態および変形例1~3のいずれを適用しても良い。
【0048】
図14(a)に示す工程では、外部接続端子202が形成された支持基板40に対して図4(d)および図5(a)に示す工程と同様の処理を行う。すなわち、外部接続端子202を層間絶縁層200で封止し、各第2導電層202a上の層間絶縁層200に、レーザー装置を用いてビア孔(via hole)200aをそれぞれ形成する。
【0049】
図14(b)に示す工程では、ビア孔200aがCu金属粒子を含む金属ペーストで埋められるように、金属ペーストの素子接続端子パターン253をスクリーン印刷により印刷する。素子接続端子パターン253の厚さ(層間絶縁層200の上面からの高さ)は、焼成後の厚さが素子接続端子201の厚さになるように設定される。
【0050】
図14(c)に示す工程では、金属ペーストの素子接続端子パターン253を焼成して、素子接続端子201および層間配線203を形成する。その後、上述した図6(c)~図7(b)に示す工程と同様の処理が行われ、図7(b)に示す半導体装置1が完成する。
【0051】
上述した実施の形態および変形例によれば、以下のような効果を奏する。
(1)図1に示すように、配線基板20は、基板主面21側に設けられ、半導体素子が接続される素子接続端子201と、基板裏面22側に設けられた、外部接続用の外部接続端子202と、素子接続端子201と外部接続端子202とを接続する配線203が設けられた基板絶縁層としての層間絶縁層200と、を備え、外部接続端子202は、基板絶縁層200の裏面側に露出する半田接続面202Sを有する第1導電層202bと、第1導電層202bに積層され、基板絶縁層200内に設けられて配線203と接続される第2導電層202aとを有し、第1導電層202bは、外装めっき用金属で形成され、かつ、半田接続面202Sが層間絶縁層200の裏面200Sと面一である。
【0052】
図1に記載の構成では、層間絶縁層200の裏面200Sと、第1導電層202bの露出している半田接続面202Sとは同一平面上にあり、基板裏面22は凹凸の無い面一の面となっているので、スタンドオフをほぼゼロとすることができる。その結果、基板実装時における半導体装置1の傾きの発生を防止すると共に、配線基板20から実装基板50への放熱性能の向上を図ることができる。なお、第2導電層202aに用いられる金属は、体積抵抗値が3.0μΩ・cm以下である事が望ましく、例えばCu、Ag等の金属が用いられる。
【0053】
また、外部接続端子202の半田接続面202Sが形成された第1導電層202bは、外装めっき用金属で形成されているので濡れ性に優れ、また、半田接合領域におけるボイド発生を低減できる。
【0054】
(2)なお、外装めっき用金属には、金属種としてAg、Ni、Sn、Pd、Au、Tiを含み、第1導電層202bは、複数の前記金属種のいずれかから成る導電層、または、複数の前記金属種の内の二以上の金属種を層状に積層した導電層である。例えば、Au、NiおよびPdの3種類を選択し、実装面側からAu層-Pd層-Ni層のように第1導電層202bを構成するようにしても良い。例えば、図3(a)おいて第1導電層202bとなる層を形成する場合に、実装面側からAu層、Pd層、Ni層を無電解多層めっきにより順に形成する。さらに、第1導電層202bにTiを用いる場合には、半田接合温度における拡散速度がCuよりも小さいので、半田喰われや、カーケンダルボイドの発生を抑制することができる。
【0055】
(3)図8(b)に示すように、第1導電層202bの層側面である側面2020は、該第1導電層202bに積層された第2導電層202aの層側面に対して窪んだ凹面形状であり、前記凹面形状の窪み領域には層間絶縁層200の一部が充填されている。そのため、側面2020の窪み領域に充填された層間絶縁層200が、外部接続端子202を層間絶縁層200内に係止するアンカーとして機能し、外部接続端子202の層間絶縁層200からの脱落等を防止する。
【0056】
(4)図3~7に示す配線基板の製造方法では、図4(c)のように、第1導電層202bを支持基板40上に形成し、第1導電層202bの上に第2導電層202aを積層形成し、さらに、支持基板40上に積層形成された第1導電層202bおよび第2導電層202aを、絶縁部材で封止して層間絶縁層200を形成する。そして、図7(c)に示すように、第1導電層202bおよび層間絶縁層200から支持基板40を除去することで、第1導電層202bおよび層間絶縁層200の支持基板40と接する面(すなわち、半田接続面202Sおよび裏面200S)が同一面状態で露出する。その結果、半導体装置1を実装基板50に実装した時のスタンドオフをほぼゼロとすることができる。
【0057】
(5)図3~7に示す配線基板の製造方法では、図3(a)のように外装めっき用金属の膜202bを前記支持基板40上に形成し、図4(b)のように膜202bの上に第2導電層202aを形成し、図4(c)のように第2導電層202aをマスクとして膜202bをエッチングすることにより第1導電層202bを形成する。
【0058】
(6)図9,10に示す配線基板の製造方法では、図9(a)のように外装めっき用金属の膜202bを支持基板40上に形成し、さらに、膜202bの上に導電層としてのCu膜202aを形成し、図10(a)のように、Cu膜202aの上に、外部接続端子202と同一形状のパターン形状を有するマスク231bを形成し、図10(b)のように、マスク231bを用いて膜202bおよびCu膜202aをエッチングすることにより、支持基板40上に第1導電層202bおよび第2導電層202aを積層状態で形成する。
【0059】
(7)図11,12に示す配線基板の製造方法では、図11(c)のように、支持基板40上に、外部接続端子202と同一形状の開口241cが形成されたレジスト層241を形成し、図12(a)のように、開口241c内の支持基板40上に第1導電層202bを形成し、図12(b)のように、第1導電層202bの上に第2導電層202aを形成する。
【0060】
(8)図13に示す配線基板の製造方法では、図13(a)のように、Ni金属粒子を含む金属ペーストまたは金属インクを印刷法により支持基板40上に印刷して、外部接続端子202のパターン形状を有する第1の印刷層である端子パターン251を形成し、図13(b)のように端子パターン251を焼成して第1導電層202bとし、さらに、図13(c)のように、Cu金属粒子を含む金属ペーストまたは金属インクを印刷法により第1導電層202bの上に印刷して、外部接続端子202のパターン形状を有する第2の印刷層である端子パターン252を形成し、図13(d)のように端子パターン252を焼成して第2導電層202aとする。
【0061】
(9)さらに、好ましい配線基板の製造方法では、支持基板40は銅の金属板であって、支持基板40をエッチングにより除去する。
【0062】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…半導体装置、10a,10b…半導体素子、20…配線基板、21…基板主面、22…基板裏面、30…封止樹脂、40…支持基板、50…実装基板、200…層間絶縁層、201…素子接続端子、202…外部接続端子、202a…第2導電層、202b…第1導電層、202S…半田接続面、203…層間配線、211,221,231,241…フォトレジスト、2020…側面
図1
図2
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図10
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