(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】漏水防止具、漏水防止方法、漏水防止具の施工方法及び弁
(51)【国際特許分類】
F16J 15/18 20060101AFI20240725BHJP
F16J 15/3252 20160101ALI20240725BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20240725BHJP
F16K 41/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16J15/18 C
F16J15/3252
F16J15/16 E
F16K41/04
(21)【出願番号】P 2021071491
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博明
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-195483(JP,A)
【文献】特開2004-286162(JP,A)
【文献】特開2015-197162(JP,A)
【文献】特開平7-260007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16-15/18
F16J 15/3252-15/3256
F16K 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、を備える弁において、
前記弁は、前記パッキン箱と前記パッキン押えとを締結する複数の締結部材を備え、
前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材
が、前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、
前記分割シール片は、
前記締結部材が挿通可能な孔部を有し、
前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間に配置
されるととともに、前記孔部に挿通される前記締結部材によって、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で固定されることで、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で防止すること
を特徴とする漏水防止具。
【請求項2】
前記分割シール片は、前記孔部に挿通される前記締結部材によって前記パッキン箱とパッキン押えとを締め付けることで、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で締め込まれること
を特徴とする請求項1に記載の漏水防止具。
【請求項3】
前記シール部材は、芯金と、前記芯金にライニングされた弾性材と、を有し、
前記弾性材は、前記パッキン箱の上面及び前記パッキン押えの下面に当接すること
を特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の漏水防止具。
【請求項4】
弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、を備え、複数の締結部材によって前記パッキン箱と前記パッキン押えとが締結される弁において、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を防止する漏水防止方法であって、
前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材を備え、前記シール部材が前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、前記分割シール片が前記締結部材が挿通可能な孔部を有する漏水防止具を用い、
前記分割シール片の前記孔部に挿通される前記締結部材によって締め付けられた前記パッキン箱と前記パッキン押えとの間に前記分割シール片を締め込んだ状態で配置することで、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で防止すること
を特徴とする
漏水防止方法。
【請求項5】
弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、前記パッキン箱と前記パッキン押えとを締結する複数の締結部材と、を備える弁に、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を防止する漏水防止具を施工する施工方法であって、
前記漏水防止具は、
前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材を備え、
前記シール部材が、前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、
前記分割シール片が、前記締結部材が挿通可能な孔部を有するものであり、
前記複数の締結部材のうちの1つの締結部材を前記パッキン箱及び前記パッキン押えから取り外す第1工程と、
前記第1工程において前記締結部材が取り外された前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面と間に前記分割シール片を配置する第2工程と、
前記第2工程において配置された前記分割シール片の孔部に前記締結部材を挿通する第3工程と、
前記第3工程において挿通された前記締結部材によって前記パッキン箱とパッキン押えとを締め付けることで、前記分割シール片を前記パッキン押えによって押圧する第4工程と、
を備え、
前記締結部材と同数の全ての分割シール片が、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間に配置されるまで、前記第1工程から前記第4工程までの一連の工程を繰り返すこと
を特徴とする
漏水防止具の施工方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の漏水防止具を取り付けたこと
を特徴とする
弁。
【請求項7】
前記パッキン押えの上部において前記弁棒周りに配置され、前記弁棒の外周面と前記グランドパッキンの内周面との間からの漏水を防止する運動部漏水防止具を取り付けたこと
を特徴とする
請求項6に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁の軸封固定部からの漏水を防止する漏水防止具、その漏水防止具を用いた弁の漏水防止方法、その漏水防止具の弁への施工方法及びその漏水防止具を備えた弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の漏水防止具が用いられる弁としては、例えば、特許文献1に示すような仕切弁がある。特許文献1の仕切弁は、水道管の戸口毎に設けられる仕切弁であり、弁筐の内部で水道管と連結されるものである。当該仕切弁は、弁箱と、パッキン箱と、パッキン押えと、から主に構成されている。当該仕切弁では、弁箱内の弁体と連結される弁棒が、外部の操作手段(例えば、回転ハンドル)と連結されて操作されるように弁箱から突出した状態で設けられている。
【0003】
上記仕切弁では、上記パッキン箱内にグランドパッキンを収容し、パッキン箱とパッキン押えとを締結する締結部材(例えば、ボルト及びナット)を締め付けてパッキン押えによってグランドパッキンを上方から押圧することで、弁棒とパッキン押えとの間の漏水を防止している。また、上記仕切弁では、グランドパッキンの経年劣化等によって、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間(弁の軸封固定部)からの漏水が発生した場合には、上記締結部材をさらに締めてパッキン押えによる押圧を調整することによって当該漏水を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の仕切弁において、グランドパッキンの経年劣化等による弁の軸封固定部からの漏水を、上記締結部材を締めることによって防止できない場合には、劣化したグランドパッキンを取り替えて当該漏水を防止することとなるが、劣化したグランドパッキンを取り替える作業を行うためには、管路の断水を行う必要がある。そのため、弁の軸封固定部からの漏水による弁の修繕を行っている間は、管路を使用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、管路を断水させることなく、弁の軸封固定部からの漏水による弁の修繕を行うことが可能な漏水防止具、漏水防止方法、漏水防止具の施工方法及び弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の漏水防止具は、弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、を備える弁において、前記弁は、前記パッキン箱と前記パッキン押えとを締結する複数の締結部材を備え、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材が、前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、前記分割シール片は、前記締結部材が挿通可能な孔部を有し、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間に配置されるととともに、前記孔部に挿通される前記締結部材によって、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で固定されることで、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で防止するものである。
【0008】
これによると、シール部材をパッキン箱の上面とパッキン押えの下面との間に配置することで、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間からの漏水を防止するため、グランドパッキンを取り外すことなく当該漏水を簡易的に防止できる。そのため、管路を断水状態とすることなく当該漏水を防止できる。
【0010】
これによると、前記シール部材が、締結部材と同数の分割シール片によって構成され、分割シール片が、孔部に挿通される締結部材によってパッキン箱の上面とパッキン押えの下面との間で固定されることから、パッキン箱とパッキン押えとを締結する締結部材毎に分割シール片をパッキン箱とパッキン押えとの間に固定し、又は取り外すことができる。そのため、パッキン押えを取り付けたままで、パッキン押えによるグランドパッキンへの押圧を解除することなく、シール部材を着脱することができる。
【0011】
本発明の漏水防止具では、前記分割シール片は、前記孔部に挿通される前記締結部材によって前記パッキン箱とパッキン押えとを締め付けることで、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で締め込まれるものであるとよい。
【0012】
これによると、締結部材による締め付けによって、パッキン押えによるグランドパッキンへの押圧を調整することができるとともに、パッキン押えによるシール部材への押圧を調整することができる。
【0013】
本発明の漏水防止具では、前記シール部材が、芯金と、前記芯金にライニングされた弾性材と、を有し、前記弾性材が、前記パッキン箱の上面及び前記パッキン押えの下面に当接するものであるとよい。
【0014】
これによると、芯金にライニングされた弾性材がパッキン箱の上面及びパッキン押えの下面に当接することから、パッキン箱の上面及びパッキン押えの下面の表面粗度を問わず、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間からの漏水を確実に防止できる。
【0015】
本発明の漏水防止方法は、弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、を備え、複数の締結部材によって前記パッキン箱と前記パッキン押えとが締結される弁において、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を防止する漏水防止方法であって、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材を備え、前記シール部材が前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、前記分割シール片が前記締結部材が挿通可能な孔部を有する漏水防止具を用い、前記分割シール片の前記孔部に挿通される前記締結部材によって締め付けられた前記パッキン箱と前記パッキン押えとの間に前記分割シール片を締め込んだ状態で配置することで、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間で防止する方法である。
【0016】
これによると、パッキン箱とパッキン押えとを締結する締結部材毎に分割シール片をパッキン箱とパッキン押えとの間に固定し、又は取り外すことができるため、パッキン押えによるグランドパッキンへの押圧を解除することなく、シール部材を部分的に交換することができる。そのため、管路を断水状態とすることなく当該漏水を防止できる。
【0017】
本発明の漏水防止具の施工方法は、弁棒と、前記弁棒周りに配置され前記弁棒の外周面をシールするグランドパッキンと、前記グランドパッキンを収容するパッキン箱と、前記グランドパッキンを上方から押圧するためのパッキン押えと、前記パッキン箱と前記パッキン押えとを締結する複数の締結部材と、を備える弁に、前記グランドパッキンの外周面と前記パッキン箱の内周面との間からの漏水を防止する漏水防止具を施工する施工方法であり、前記漏水防止具は、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材を備え、前記シール部材が、前記締結部材と同数の分割シール片によって分割可能に構成され、前記分割シール片が、前記締結部材が挿通可能な孔部を有するものであり、前記複数の締結部材のうちの1つの締結部材を前記パッキン箱及び前記パッキン押えから取り外す第1工程と、前記第1工程において前記締結部材が取り外された前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面と間に前記分割シール片を配置する第2工程と、前記第2工程において配置された前記分割シール片の孔部に前記締結部材を挿通する第3工程と、前記第3工程において挿通された前記締結部材によって前記パッキン箱とパッキン押えとを締め付けることで、前記分割シール片を前記パッキン押えによって押圧する第4工程と、を備え、前記締結部材と同数の全ての分割シール片が、前記パッキン箱の上面と前記パッキン押えの下面との間に配置されるまで、前記第1工程から前記第4工程までの一連の工程を繰り返す。
【0018】
これによると、パッキン箱とパッキン押えとを締結する締結部材毎に分割シール片をパッキン箱とパッキン押えとの間に固定することができるため、パッキン押えによるグランドパッキンへの押圧を解除することなく、漏水防止具をパッキン箱の上面とパッキン押えの下面との間に設けることができる。そのため、管路を断水状態とすることなく、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間からの漏水を防止できる。
【0019】
本発明の弁は、上記漏水防止具が取り付けられるものである。
【0020】
これによると、管路を断水状態とすることなく、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間からの漏水を防止できる。
【0021】
本発明の弁では、前記パッキン押えの上部において前記弁棒周りに配置され、前記弁棒の外周面と前記グランドパッキンの内周面との間からの漏水を防止する運動部漏水防止具を取り付けるとよい。
【0022】
これによると、管路を断水状態とすることなく、弁棒の外周面とグランドパッキンの内周面との間(弁の軸封運動部)からの漏水を防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の漏水防止具、漏水防止方法、漏水防止具の施工方法及び弁によれば、パッキン箱の上面とパッキン押えの下面とに全周にわたり当接するシール部材を、パッキン箱の上面とパッキン押えの下面との間に配置することによって、グランドパッキンの外周面とパッキン箱の内周面との間からの漏水を、パッキン箱の上面とパッキン押えの下面との間で防止することから、グランドパッキンを取り替えることなく、弁の軸封固定部からの漏水を防止することができる。そのため、弁の軸封固定部からの漏水による弁の修繕を行っている間に、管路を断水させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の漏水防止具を備える弁の要部を示す断面図である。
【
図2】(a)は、本発明の漏水防止具の平面図であり、(b)は、(a)のA-A断面図であり、(c)は、(a)のB-B断面図であり、(d)は、本発明の漏水防止具のシール部材を構成する分割シール片の斜視図である。
【
図3】(a)は、運動部漏水防止具の平面図であり、(b)は、運動部漏水防止具の底面図である。
【
図4】本発明の漏水防止具の弁への施工方法を示す断面図であり、(a)は、漏水防止具を取り付ける前の弁棒上部近傍の断面図であり、(b)は、固定部漏水防止具を取り付けるためにパッキン箱及びパッキン押えからスタッドボルトを取り外した弁の弁棒上部近傍の断面図であり、(c)は、固定部漏水防止具を取り付けた弁の弁棒上部近傍の断面図であり、(d)は、固定部漏水防止具及び運動部漏水防止具を取り付けた弁の弁棒上部近傍の断面図である。
【
図5】本発明の漏水防止具を備える別実施の弁の要部を示す断面図である。
【
図6】(a)は、本発明の別実施の漏水防止具の平面図であり、(b)は、(a)のC-C断面図であり、(c)は、(a)のD-D断面図である。
【
図7】本発明の別実施の漏水防止具を備える弁の要部を示す断面図である。
【
図8】(a)は、本発明の別実施の漏水防止具の平面図であり、(b)は、(a)のE-E断面図であり、(c)は、(a)のF-F断面図である。
【
図9】本発明の別実施の漏水防止具を備える弁の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の漏水防止具及び本発明の漏水防止具を備えた弁について説明する。
【0026】
まず、本発明の漏水防止具を備えた弁について説明する。本発明の漏水防止具を備えた弁である歯車付仕切弁10は、例えば、上水道用の管路(図示せず)に設けられ、口径の大きい管に用いられる口径の大きい仕切弁である。
図1に示すように、歯車付仕切弁10は、内ねじ式の仕切弁であり、弁箱11と、弁箱11の流路(図示せず)内に当該流路を開閉動作可能に配置される円盤状の弁体12と、弁箱11の上部に設けられるパッキン箱13と、パッキン箱13に回動可能に支持されて上方に延設され弁体12を開閉動作する弁棒14と、弁棒14に対して補助的に設けられる補助弁棒15と、から主に構成されている。
【0027】
弁棒14の上端部には、ギヤ16が設けられている。ギヤ16の所定箇所には、後述するスタッドボルト24及び第1六角ナット25が通過可能な貫通孔16aが形成されている。ギヤ16には、パッキン箱13及び後述するパッキン押え23に取り付けられる締結部材の数(3セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)と同数以上の貫通孔16aが形成されている。貫通孔16aがギヤ16に形成されることで、スタッドボルト24及び第1六角ナット25を、貫通孔16aから通して、パッキン箱13及びパッキン押え23に取り付けることができる。
【0028】
補助弁棒15の下端側には、ピニオン17が設けられている。ピニオン17は、ギヤ16に噛み合わせ可能な位置に配置される。補助弁棒15の上端部には、弁棒14を外部から可動操作するための操作手段(例えば、回転ハンドル)を連結するためのキャップ18が設けられている。補助弁棒15の上端部であって、キャップ18の下端には、開度計19が設けられている。
【0029】
歯車付仕切弁10では、キャップ18に操作手段を連結し、操作手段を操作して補助弁棒15を回動させることでピニオン17が回動する。さらに、ピニオン17が回動することで、ピニオン17と噛み合うギヤ16が回動して弁棒14が回動する。すなわち、歯車付仕切弁10では、ギヤ16とピニオン17で減速してトルクを上げている。
【0030】
歯車付仕切弁10には、弁棒14の軸回り(外周面)であって、弁棒14がパッキン箱13によって支持される部分にグランドパッキン20が設けられている。グランドパッキン20は、弁棒14がパッキン箱13によって支持される部分からの漏水を防止するものである。グランドパッキン20は、弁棒14の外周面を覆うように所定幅のリング状の部材によって構成されている。
【0031】
パッキン箱13は、グランドパッキン20を保持する断面視略凹状の保持部13aと、保持部13aの上部から外方に延設される第1フランジ部13bと、を有する。第1フランジ部13bには、スタッドボルト24がねじ込まれて取り付けられるねじ孔13cが形成されている。パッキン箱13は、その上部にカバー21が取り付けられている。カバー21は、弁棒14の上部、ギヤ16、ピニオン17等を覆うようにパッキン箱13に取り付けられる。カバー21は、軸受22、22を介して補助弁棒15を保持する。
【0032】
歯車付仕切弁10には、パッキン箱13に対してグランドパッキン20を押圧して保持するパッキン押え23が設けられている。パッキン押え23は、グランドパッキン20の上端面側を押圧する円筒部23aと、円筒部23aの一端から側方に延設される円板状の第2フランジ部23bと、から構成されている。第2フランジ部23bには、スタッドボルト24が挿通される第1孔部23cが形成されている。パッキン押え23は、スタッドボルト24及び第1六角ナット25からなる締結部材によってパッキン箱13の上部に固定される。パッキン押え23は、3つの締結部材(3セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)によってパッキン箱13に固定される。パッキン押え23は、第1六角ナット25をスタッドボルト24に対して締め付けて第1六角ナット25を弁棒14の軸方向に移動させることで、グランドパッキン20に対する押圧が調整される。
【0033】
歯車付仕切弁10では、グランドパッキン20の経年劣化等によって、歯車付仕切弁10の軸封固定部K(グランドパッキン20の外周面とパッキン箱13の内周面との間)から漏水する場合があり、このような場合には、第1六角ナット25をスタッドボルト24に対して締め付けてグランドパッキン20に対するパッキン押え23の押圧を調整することで、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水が防止される。しかしながら、グランドパッキン20に対するパッキン押え23の押圧の調整を行っても、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水を防止することができない場合がある。そこで、歯車付仕切弁10では、固定部漏水防止具30(「漏水防止具」の一例)を用いることで歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水を防止している。
【0034】
図1に示すように、固定部漏水防止具30は、パッキン箱13とパッキン押え23との間に配置される。固定部漏水防止具30は、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとに全周にわたり当接するように、リング状に形成されている。
【0035】
パッキン押え23の円筒部23aの外周面と第2フランジ部23bの下面23dとのコーナー部分には、円弧形状のアール部Rが全周にわたり形成されている。このアール部Rの大きさは、歯車付仕切弁10の製造元によって異なる場合がある。そこで、歯車付仕切弁10では、製造元の異なる歯車付仕切弁10に対して固定部漏水防止具30をパッキン箱13とパッキン押え23との間に配置するために、固定部漏水防止具30の内径を、パッキン押え23のアール部Rの外径より大きく設定することで、固定部漏水防止具30とパッキン押え23の円筒部23aとの間に隙間Sが形成されるように構成している。
【0036】
図2に示すように、固定部漏水防止具30は、3つの分割シール片31Aによって構成されるシール部材31と、分割シール片31A同士を連結するための連結部材(ボルト32及びナット33)と、から構成されている。
【0037】
シール部材31は、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとに全周にわたり当接する部材である。シール部材31は、3つの分割シール片31Aによって分割可能に構成され、3つの分割シール片31Aをボルト32及びナット33によって連結することで、リング状に形成される。シール部材31は、パッキン箱13とパッキン押え23と間に配置された際に、その下面がパッキン箱13の第1フランジ部13bの上面に全周にわたって当接し、その上面がパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面に全周にわたって当接する。
【0038】
シール部材31を構成する分割シール片31Aは、リング状のシール部材31を3等分して形成される円弧状の部材である。ここで、シール部材31を構成する分割シール片31Aの数は、パッキン箱13とパッキン押え23とを締結する締結部材(スタッドボルト24及び第1六角ナット25)の数と同数に設定される。すなわち、歯車付仕切弁10では、パッキン箱13とパッキン押え23とが、3つの締結部材(3セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)によって締結されるため、シール部材31は、3つの分割シール片31Aによって構成される。分割シール片31Aは、円弧状の芯金31aと、芯金31aにライニングされるゴム材31b(「弾性材」の一例)と、によって構成される。
【0039】
芯金31aの中央部には、第2孔部31c(「孔部」の一例)が形成されている。第2孔部31cには、スタッドボルト24が挿通される。第2孔部31cは、シール部材31がパッキン箱13とパッキン押え23と間に配置された際に、パッキン箱13のねじ孔13c及びパッキン押え23の第1孔部23cと平面視で重なる位置に形成される。芯金31aの両端部には、第3フランジ部31dが芯金31aの両端部から外方に突出して形成されている。第3フランジ部31dには、第3孔部31eが形成されている。第3孔部31eには、隣接する分割シール片31Aを連結するためのボルト32が挿通される。
【0040】
図2(b)に示すように、ゴム材31bは、板状の部材によって構成され、芯金31aの上面、内周側面、下面、及び両端面(隣接する分割シール片31A同士が接する面)を覆うように、縦断面視略コ字状に芯金31aにライニングされている。このようにゴム材31bを芯金31aにライニングさせることで、芯金31aの上面及び下面におけるゴム材31bの接着強度を上げることができる。また、板状(面状)のゴム材31bを芯金31aにライニングして分割シール片31A(シール部材31)を構成することで、パッキン箱13の上面13d及びパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dの表面粗度に対して厳しい寸法公差を求める必要がない。
【0041】
図1に示すように、歯車付仕切弁10では、グランドパッキン20の経年劣化等によって、歯車付仕切弁10の軸封運動部U(弁棒14の外周面とグランドパッキン20の内周面との間)から漏水する場合があり、このような場合には、第1六角ナット25をスタッドボルト24に対して締め付けてグランドパッキン20に対するパッキン押え23の押圧を調整することで、歯車付仕切弁10の軸封運動部Uからの漏水が防止される。しかしながら、グランドパッキン20に対するパッキン押え23の押圧の調整を行っても、歯車付仕切弁10の軸封運動部Uからの漏水を防止することができない場合がある。そこで、歯車付仕切弁10では、運動部漏水防止具40を用いることで歯車付仕切弁10の軸封運動部Uからの漏水を防止している。
【0042】
運動部漏水防止具40は、パッキン押え23の上面に配置される。運動部漏水防止具40は、Oリング41と、Oリング41を保持するためのOリングケース42と、Oリングケース42を押えるための押え板43と、から構成されている。
【0043】
Oリング41は、弁棒14の外周面に巻き付け可能な紐状の部材によって構成される。Oリング41は、弁棒14の外周面に巻き付けられた後、接着されて環状に形成される。
【0044】
図1及び
図3(b)に示すように、Oリングケース42は、2つの分割凹状片42aによって分割可能に構成され、2つの分割凹状片42aをリーマボルト42b及びナット42cによって連結することで、分割凹状片42aの凹状部分42dが連結され、Oリング41を保持可能な環状の三角溝42eを有する矩形部材を形成する。Oリングケース42は、弁棒14の外周面に巻き付けられたOリング41の上方から被さるように配置され、環状の三角溝42eにてOリング41を保持する。
【0045】
図1及び
図3(a)に示すように、押え板43は、2つの分割半円状片43aによって分割可能に構成され、2つの分割半円状片43aをOリングケース42によって連結することで、リング状に形成される。押え板43には、スタッドボルト24が挿通可能な長孔43bが形成されている。押え板43では、2つの分割半円状片43aを連結して形成される孔部43cが弁棒14に嵌め合わされるとともに、孔部43cの周縁部の下面がOリングケース42に当接してOリングケース42を上方から押圧する。押え板43は、第2六角ナット35をスタッドボルト24に対して締め付けて第2六角ナット35を弁棒14の軸方向に移動させることで、Oリングケース42に対する押圧が調整される。
【0046】
次に、歯車付仕切弁10への固定部漏水防止具30及び運動部漏水防止具40の施工方法について説明する。歯車付仕切弁10では、固定部漏水防止具30、運動部漏水防止具40の順で漏水防止具を施工する。
【0047】
図4(a)は、固定部漏水防止具30及び運動部漏水防止具40を取り付けていない歯車付仕切弁10の軸封部の図である。固定部漏水防止具30及び運動部漏水防止具40を取り付ける場合、先ず、
図4(b)に示すように、パッキン箱13とパッキン押え23とを締結する3セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25のうちの1セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25をパッキン箱13及びパッキン押え23から外す(「第1工程」)。この時、スタッドボルト24及び第1六角ナット25は、ギヤ16の貫通孔16aから取り出される。ここで、パッキン箱13及びパッキン押え23は、残りの2セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25によって締結されているため、グランドパッキン20がパッキン押え23によって押圧された状態で保持され、グランドパッキン20の経年劣化等による漏水以外に過剰に漏水することがない。続いて、固定部漏水防止具30のシール部材31の設置面(当接面)であるパッキン箱13の上面13d及びパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dの錆瘤等を除去する。
【0048】
次に、
図4(c)に示すように、スタッドボルト24が取り外されたパッキン箱13の上面13d及びパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dの清掃後、当該箇所に、シール部材31を構成する3つの分割シール片31Aのうちの1つの分割シール片31Aを設置する(「第2工程」)。この時、パッキン箱13のねじ孔13c及びパッキン押え23の第1孔部23cと、分割シール片31Aの第2孔部31cと、が平面視で重なるように、分割シール片31Aを配置する。分割シール片31Aを設置後、パッキン箱13のねじ孔13c、パッキン押え23の第1孔部23c、分割シール片31Aの第2孔部31cに、新しいスタッドボルト24を挿通する(「第3工程」)。この時、スタッドボルト24は、ギヤ16の貫通孔16aから挿通する。そして、このスタッドボルト24をねじ孔13cにねじ込んでパッキン箱13の第1フランジ部13bに取り付け、さらに、挿通したスタッドボルト24及び第1六角ナット25によってパッキン箱13とパッキン押え23とを締め付けることで、分割シール片31Aをパッキン押え23によって押圧する(「第4工程」)。ここで、スタッドボルト24及び第1六角ナット25によるパッキン箱13とパッキン押え23との締め付けは、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kから過剰に漏水しない程度で行う。
【0049】
さらに、シール部材31を構成する残りの2つの分割シール片31Aがパッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間に配置されるまで、上記第1工程から第4工程までの一連の工程を繰り返す。そして、3つ分割シール片31Aがパッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間に配置されることで、隣接する分割シール片31A同士をボルト32及びナット33によって連結する。さらに、3つのスタッドボルト24及び第1六角ナット25によってパッキン箱13とパッキン押え23とを順番に締め付けることで、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからグランドパッキン20の経年劣化等による漏水が生じない程度に3つの分割シール片31Aを順番にパッキン押え23によって押圧する。これにより、固定部漏水防止具30がパッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間に配置され、芯金31aに加硫接着されたゴム材31bが圧縮されて水止性を発揮することで、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水が、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間で防止される。
【0050】
続いて、
図4(d)に示すように、運動部漏水防止具40をパッキン押え23の上面に配置するために、Oリング41を弁棒14の外周面に巻き付けて環状に接着する。さらに、Oリング41の内外面にグリスを塗布し、弁棒14が回転する際の弁棒14とOリング41との摩擦力を低減させる。そして、Oリングケース42をOリング41の上方から被せることで、Oリング41をOリングケース42の三角溝42eに収納する。
【0051】
続いて、押え板43をOリングケース42の上に配置する。この時、パッキン押え23から突出しているスタッドボルト24を、押え板43の長孔43bに挿通させる。さらに、3本のスタッドボルト24のそれぞれに第2六角ナット35を取り付け、取り付けた第2六角ナット35を締め付けることで、Oリングケース42を押え板43によって押圧する。これによって、Oリング41が、Oリングケース42によって圧縮され、歯車付仕切弁10の軸封運動部Uからの漏水に対して止水性を発揮するとともに、歯車付仕切弁10の開閉操作機能を保証する。なお、歯車付仕切弁10に運動部漏水防止具40を設けることで、弁棒14とOリングケース42とが垂直方向に当接する部分(Oリングケース42の垂直方向の部分)、及びパッキン押え23とOリングケース42とが水平方向に当接する部分(Oリングケース42の水平方向の部分)から漏水の可能性があるが、Oリングケース42の三角溝42eにOリング41を収納して圧縮することで、Oリング41が、Oリングケース42の垂直方向の部分及びOリングケース42の水平方向の部分からの漏水に対する止水性を発揮することができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態によると、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとに全周にわたり当接するシール部材31を、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間に配置することによって、グランドパッキン20の外周面とパッキン箱13の内周面との間からの漏水を、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間で防止することから、グランドパッキン20を取り替えることなく、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水を防止することができる。そのため、歯車付仕切弁10の軸封固定部Kからの漏水による歯車付仕切弁10の修繕を行っている間に、管路を断水させる必要がない。
【0053】
さらに、本実施の形態によると、固定部漏水防止具30(シール部材31)が、パッキン箱13とパッキン押え23とを締結する締結部材(スタッドボルト24及び第1六角ナット25)と同数の分割シール片31Aによって構成され、分割シール片31Aが、第2孔部31cに挿通されるスタッドボルト24によってパッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間で固定されることから、パッキン箱13とパッキン押え23とを締結する締結部材(スタッドボルト24及び第1六角ナット25)毎に分割シール片31Aをパッキン箱13とパッキン押え23との間に固定し、又は取り外すことができる。そのため、パッキン押え23によるグランドパッキン20への押圧を解除することなく、シール部材31を部分的に交換することができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、固定部漏水防止具30及び運動部漏水防止具40を施工する弁を歯車付仕切弁10としているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図5に示すような仕切弁10Aに固定部漏水防止具30及び運動部漏水防止具40を施工しても構わない。
図5に示すように、仕切弁10Aは、歯車付仕切弁10のような補助弁棒15、ギヤ16、及びピニオン17を有しておらず、弁棒14のみで弁体12を開閉する。そのため、弁棒14の上部にキャップ18が設けられている。仕切弁10Aでは、歯車付仕切弁10と同様に、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間に固定部漏水防止具30を配置することで、仕切弁10Aの軸封固定部K(グランドパッキン20の外周面とパッキン箱13の内周面との間)から漏水を、パッキン箱13の上面13dとパッキン押え23の第2フランジ部23bの下面23dとの間で防止する。さらに、仕切弁10Aでは、歯車付仕切弁10と同様に、パッキン押え23の上部に運動部漏水防止具40を配置することで、仕切弁10Aの軸封運動部U(弁棒14の外周面とグランドパッキン20の内周面との間)からの漏水を、パッキン押え23の上部で防止する。
【0055】
また、本実施の形態では、固定部漏水防止具30のシール部材31を3つの分割シール片31Aによって構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、締結部材の数が2セット(すなわち、2セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)の場合、
図6に示す固定部漏水防止具30Aのように、2つの分割シール片31Aによってシール部材31を構成しても構わない。或いは、締結部材の数が4セット(すなわち4セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)の場合、
図8に示す固定部漏水防止具30Bのように、4つの分割シール片31Aによってシール部材31を構成しても構わない。
【0056】
図7に示すように、固定部漏水防止具30Aを配置する仕切弁10Bは、パッキン箱13の上部に、弁棒14を支持するためのスタンド50を備えている。スタンド50の脚部51には、パッキン箱13及びパッキン押え23にスタッドボルト24、第1六角ナット25、固定部漏水防止具30A、運動部漏水防止具40を取り付けるための開口部52が形成されている。なお、固定部漏水防止具30Aが配置される仕切弁は、スタンド50を有する仕切弁10Bに限定されるものではなく、スタンド50無しの仕切弁に配置しても構わない。
【0057】
図9に示すように、固定部漏水防止具30Bを配置する歯車付仕切弁10Cは、弁棒14を回動するためのギヤ16を備えている。ギヤ16には、パッキン箱13及びパッキン押え23に取り付けられる締結部材の数(4セットのスタッドボルト24及び第1六角ナット25)と同数以上の貫通孔16aが形成されている。なお、固定部漏水防止具30Bを配置する仕切弁は、ギヤ16を有する歯車付仕切弁10Cに限定されるものではなく、ギヤ16無しの仕切弁に配置しても構わない。
【0058】
本実施の形態では、内ねじ式の仕切弁(歯車付仕切弁10)を挙げたが、これに限定されるものではなく、外ねじ式の仕切弁でも構わない。また、固定部漏水防止具30は、仕切弁以外の弁の軸封部に適用しても構わない。
【0059】
本実施の形態では、シール部材31は、芯金31aとゴム材31bとを有しているが、これに限定されるものではなく、芯金31aを設けず、ゴム材31bのみでシール部材31を構成しても構わない。この場合、芯金31aに相当する部分のゴム材31bを硬質なゴムで形成し、その周囲に軟質なゴムをライニングしても構わない。
【符号の説明】
【0060】
10 歯車付仕切弁(弁)
13 パッキン箱
14 弁棒
20 グランドパッキン
23 パッキン押え
23c 第1孔部(孔部)
24 スタッドボルト(締結部材)
25 第1六角ナット(締結部材)
30 固定部漏水防止具(漏水防止具)
31 シール部材
31A 分割シール片
40 運動部漏水防止具(漏水防止具)