(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】現実又は仮想飛行物体を制御するための制御装置
(51)【国際特許分類】
A63H 30/04 20060101AFI20240725BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240725BHJP
B64C 13/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A63H30/04 A
B64C27/08
B64C13/04
(21)【出願番号】P 2021539153
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 EP2020050107
(87)【国際公開番号】W WO2020141227
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】102019100056.4
(32)【優先日】2019-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521293383
【氏名又は名称】マニュエル-ルネ ゲーナート
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル-ルネ ゲーナート
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0356907(US,A1)
【文献】国際公開第2016/195503(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0079084(KR,A)
【文献】特開平02-254097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000896(US,A1)
【文献】米国特許第04134560(US,A)
【文献】特開2012-161604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-A63F 13/98
A63F 9/24
G09B 9/00-G09B 9/56
A63H 17/00-A63H 17/44
A63H 30/00-A63H 30/06
B64C 27/00-B64C 27/82
B64C 13/00-B64C 13/50
B64U 10/00-B64U 80/86
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無
人若しくは有
人又は仮想の飛行物体(10)、特に、現
実又は仮想マルチコプターを制御するための制御装置(100)であって、前記飛行物体(10)の垂直軸(11)、縦軸(12)及び横軸(13)を中心とする運動が第1の制御要素(15)によって制御され、またさらに、前記飛行物体(10)の飛行高度(14)、速度及び/又は推力の変化は第2の制御要素(16)によって制御され、
前記第1の制御要素(15)のその垂直軸(11a)、その縦軸(12a)及びその横軸(13a)を中心とする回転運動及び/又は旋回運動が前記飛行物体のその垂直軸(11)、その縦軸(12)及びその横軸(13)を中心とする運動を引き起こ
し、
前記制御装置(100)は、前記第1の制御要素(15)に堅固に接続され又は前記制御装置(100)の静止ベース(19)に堅固に接続された2つのハンドル(20、21)を有し、
前記2つのハンドル(20、21)は、両手で把持するものとされ、
前記ハンドル(20、21)は、前記第1の制御要素(15)の前記横軸(13a)に対する平行線上に配置されることを特徴とする制御装置(100)。
【請求項2】
前記第1の制御要素(15)の前記垂直軸(11a)、前記縦軸(12a)及び前記横軸(13a)が、共通点を通ることを特徴とする請求項1に記載の制御装置(100)。
【請求項3】
前記第1の制御要素(15)は、スプリング要素によってその垂直軸(11a)、その縦軸(12a)及び/又はその横軸(13a)に関連して静止状態とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置(100)。
【請求項4】
前記第1の制御要素(15)は、前記第1の制御要素(15)のそれぞれの前記軸(11a、12a、13a)を中心にともに回転又は旋回される2つの平行な離間した平面(17、18)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項5】
前記第2の制御要素(16)は、レバー、回転つまみ、ロッカー、ガントリガ又はペダルとして設計されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項6】
前記第2の制御要素(16)は前記第1の制御要素(15)に配置され、及び/又は前記第2の制御要素(16)は前記制御装置(100)の静止ベース(19)に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項7】
前記第1の制御要素(15)のその垂直軸(11a)、その縦軸(12a)及び/又はその横軸(13a)に関連したゼロ設定は、設定及び変更可能であることを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項8】
前記第1の制御要素(15)はその垂直軸(11a)を中心に第1の最大角度(22)で回転可能であり、前記第1の最大角度(22)は調整可能及び変更可能であることを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項9】
前記第1の制御要素(15)はその縦軸(12a)を中心に第2の最大角度(23)で回転可能であり、前記第2の最大角度(23)は調整可能及び変更可能であることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項10】
前記第1の制御要素(15)はその横軸(13a)を中心に第3の最大角度(24)で回転可能であり、前記第3の最大角度(24)は調整可能及び変更可能であることを特徴とする請求項1から
9のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項11】
前記第2の制御要素(16)のゼロ設定は、設定及び変更可能であることを特徴とする請求項1から
10のいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項12】
前記第2の制御要素(16)は、前記第2の制御要素(16)が作動された後にそのゼロ設定にそれによってリセットされるスプリング手段を有することを特徴とする請求項
11に記載の制御装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人及び/若しくは有人並びに/又は仮想の飛行物体、特に、現実及び/又は仮想マルチコプターを制御するための制御装置に関し、飛行物体の垂直軸、縦軸及び横軸を中心とする運動が、第1の制御要素によって制御される。さらに、飛行物体の高度、速度及び/又は推力の変化が、第2の制御要素によって制御される。
【0002】
ドローン又はマルチコプターなどの無人飛行物体を制御するために、相互に隣り合い相互に距離を空けて配置された2つのレバーを一般に有する従来的な遠隔制御手段が使用される。これらのレバーは、その3軸及び飛行高度の変化に対してドローンの運動を制御するのに使用可能である。これは通常、従来的な4チャネル遠隔制御手段であり、3つのチャネルはその垂直軸、横軸及び縦軸を中心とする飛行物体の運動を制御するのに使用され、第4のチャネルは上方及び下方の運動を変更するのに使用される。そのような従来的な遠隔制御手段では、4つのチャネルすべてが2つのコントロールレバーを介して(2つのチャネルが各々1つのコントロールレバーにより)制御される。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、2つの別々のコントロールレバーを有する従来的な遠隔制御手段を示している。2つのコントロールレバーの各々は、2つの軸を制御する。
【0004】
特許文献2は、ドローンを制御するための2つのレバーを有する従来的な4チャネル遠隔制御手段を記載し、その遠隔制御手段は、ドローンにおけるカメラによって記録された画像又は映像を表示するためのスクリーンも有している。
【0005】
ドローンを制御するための他の遠隔制御手段が、特許文献3に記載されている。この遠隔制御手段は、タッチ式ディスプレイを有し、それを介してドローン又はそれぞれの軸を中心とするその運動が制御され得る。さらに、それらの軸を中心とする遠隔制御手段自体の運動は、対応する軸を中心とするドローンの運動の制御を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国意匠登録第402009005121号公報
【文献】米国特許出願公開第2016/0297522号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0108857号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、制御手段が、使用しやすく、訓練を受けていない個人であっても直感的かつより迅速に学習可能な態様において、無人及び/若しくは有人並びに/又は仮想の飛行物体を制御するための制御装置をさらに向上させる課題に基づく。
【0008】
この目的のため、本発明により、無人及び/若しくは有人並びに/又は仮想の飛行物体を制御するための制御装置が提供され、飛行物体の垂直軸、縦軸及び横軸を中心とする運動は第1の制御要素によって制御され、さらに、飛行物体の飛行高度、速度及び/又は推力の変化は第2の制御要素によって制御される。本発明によると、制御装置は、第1の要素のその垂直軸、その縦軸及びその横軸を中心とする回転運動及び/又は旋回運動によって飛行物体がその垂直軸、縦軸及び横軸を中心に移動するように設計される。
【0009】
本発明による制御装置は、例えば、水中ドローン、無人及び有人ドローン、宇宙船、誘導ミサイル、ヘリコプター、リモートヘッド(例えば、リモートカメラヘッド)、模型飛行機又はジンバルを制御するために使用可能である。さらに、本発明による制御装置は、例えば、映像、コンピュータゲーム又はフライトシミュレータのための仮想飛行物体を制御するのに使用可能である。
【0010】
本発明による制御装置の操作をより容易に学習するとともにより直感的に使用させるために、制御装置は、第1の制御要素及び第2の制御要素の2つの別々の制御要素を有する。従来的な4チャネル遠隔制御手段とは対照的に、第1の制御要素は、3つのチャネルを制御するのに、すなわち、飛行物体の垂直軸、縦軸及び横軸を中心とする運動又は偏位を制御するのに使用される。第2の制御要素は、第4のチャネルを制御するのに、すなわち、飛行物体の高度、速度及び/又は推力を変化させるのに使用される。ドローン又はマルチコプターの場合には、例えば、これはスロットルに相当する。他の飛行物体の場合には、第2の制御要素を介する第4のチャネルの制御は、例えば、速度、加速度又は推力、特に前方への推力の変化をもたらし得る。
【0011】
3つのチャネルを制御するために、第1の制御要素は、第1の制御要素の垂直軸を中心とする回転運動が飛行物体をその垂直軸を中心に制御及び移動させるように、回転可能及び旋回可能に据え付けられる。第1の制御要素のその縦軸を中心とする旋回運動又は回転運動によって、飛行物体はその縦軸を中心に移動する。さらに、第1の制御要素のその横軸を中心とする回転運動又は旋回運動によって、飛行物体はその横軸を中心に移動する。したがって、第1の制御要素は、その3軸を中心に移動又は回転可能であり、運動又は偏位の各々は飛行物体のそれぞれの対応する軸を中心に対応する運動又は偏位を引き起こす。
【0012】
この目的のため、制御装置は静止ベースを有し、それに対して第1の制御要素がその3軸を中心に移動、旋回又は回転され得る。これは、第1の制御要素が静止ベースに回転可能及び/又は旋回可能に据え付けられることを意味すると理解される。したがって静止ベースは、第1の制御要素とともに移動することはない。静止ベースは、例えば、支持プレート又は対応して設計されたフレーム、三脚その他として設計され得る。静止ベースはまた、物体中に構築されてもよい。対応する重量又は圧力比によって、ベースは、第1の制御要素が作動又は移動した場合に静止状態で保持され得る。したがって、静止ベースは、ベース、例えばテーブルにおいて制御装置を支持するのにも使用可能である。あるいは、制御装置は、首周囲で装着されるようにも設計され得る。この場合には、静止ベースは、本体に支持され、又は本体の前部に位置決めするものである支持要素であり得る。したがって、本発明の背景では、静止ベースは、第1の制御要素に対して静止状態である要素として理解されるはずである。静止ベースは、その必要はないが、適所で恒久的に固定されてもよい。
【0013】
第1の制御要素は、好適には、単数又は複数のベアリング要素を介して静止ベースに接続される。特に、第1の制御要素は、第1の制御要素の垂直軸を中心に回転可能なように、静止ベースに回転可能に据え付けられ、又はベアリング要素によって静止ベースに回転可能に接続される。したがって、第1の制御要素又はその垂直軸は、静止ベースを介して適所に少なくとも一時的に保持又は固定される。それでも、制御装置は全体として、携帯可能となるように設計可能である。
【0014】
制御要素の3軸の各々に対して、制御装置は、それぞれの軸を中心とする運動の偏位を検出するためにアングルピックアップを有する。これらのアングルピックアップは、任意の適切なポイントにおけるそれぞれの軸上に配置可能である。例えば、アングルピックアップは、軸の中間に、軸の端部に又は軸の間に取り付けられ得る。それぞれの軸を中心とする制御要素の偏位は、アングルピックアップによって記録される。アングルピックアップによって検出される角度は、それぞれ又は対応する軸を中心とする飛行物体の偏位又は運動を制御する基礎として作用する。
【0015】
第1の制御要素の縦軸及び横軸は、相互に離間し、又は交点を有するので、1つの平面上に配置可能である。縦軸と横軸の間の距離は、好適には10cm未満、特に好適には5cm未満、非常に好適には2.5cm未満である。ただし特に、第1の制御要素の垂直軸、縦軸及び横軸は、3軸が交差する中心点である共通点を通る。特に、共通点は静止ベースの上にある。
【0016】
またさらに、好適には、第1の制御要素は、スプリング要素によってその垂直軸、その縦軸及び/又はその横軸に関連して静止状態とされることが規定される。これは、そのそれぞれの軸に関連して第1の制御要素のゼロ位置又はゼロ設定への自動復帰を提供する。スプリング要素は、柔軟性を有する要素、特に、スプリング、ゴム又は液圧式要素であり、引張り接続及び/又は圧力接続によって適所にそれぞれの軸をロックする。スプリング要素のスプリング動作又はスプリング力は、好適には、各軸に対して個々に又はすべての軸に対して共同的に設定又は変更され得る。別のスプリング要素はまた、各軸にも設けられ得る。スプリング動作又はスプリング力はまた、必要に応じて無力化されてもよい。そのため、第1の制御要素は、その垂直軸、その縦軸及び/又はその横軸に関連して、スプリング要素によってニュートラルな状態又はそのゼロ設定において固定される。
【0017】
好適には、第1の制御要素は、第1の制御要素の垂直軸、縦軸及び横軸のそれぞれの軸を中心にともに回転又は旋回する2つの平行な離間した平面を有することも規定される。2つの平面は、板形状とされ得る。双方の平面は、それらが同じ運動に従うような態様で相互に接続される。これは、2つの平面の位置が、相互に及び相互からのそれらの距離に対して、第1の制御要素の運動中に一定に維持されることを意味する。またさらに、好適には、制御要素の3軸が交差する中心点は、2つの平面の間に、特に非常に好適には2つの平面の間の中央に配置されることが規定される。
【0018】
第1の制御要素はまた、相互に対してある角度で配置された2つの平面も有し得る。例えば、2つの平面は、相互に5度~30度の角度で配置され得る。特定の用途に対しては、2つの平面が相互に0度より大きい角度で配置されると、使用しやすさが向上する。こうして、例えば、2つの平面の一方のユーザに向いたわずかな傾斜が実現され得る。最も好適には、第1の制御要素の2つの平面の間の角度は、0度(相互に平行)~30度に設定され得る。したがって、ユーザは、用途又は所望の設定に応じて角度自体を特に非常に好適に特定することができる。
【0019】
あるいは、第1の制御要素は、それが3軸すべてを中心に移動可能となるように静止ベースに直接据え付けられる。この目的のため、第1の制御要素は、例えば、静止ベースから始まり増加する断面を有し得る。例えば、第1の制御要素は、少なくとも部分的に円錐状に形成され、又は円錐断面形状を少なくとも部分的に有する。
【0020】
第2の制御要素は、好適には、レバー、回転つまみ、ロッカー、ピストルトリガ又はペダルとして設計される。第2の制御要素が、足又は1本の指若しくは数本の指のいずれで操作され得るように設けられているかによって、第2の制御要素はそれに従って設計され得る。したがって第2の制御要素は、脚による作動に対して、特に、ペダルとして、ペダル形状で又はロッカーとして設計される。第2の制御要素は、手動操作又は1本以上の指による操作に対して、好適には、レバー、回転つまみ、ロッカー又はピストルトリガとして設計される。
【0021】
第2の制御要素は、好適には、制御装置の第1の制御要素及び/又は静止ベースに配置される。
【0022】
したがって、第2の制御要素の配置に対して、好適には少なくとも2つの変形例が提供される。第1の変形例では、第2の制御要素は第1の制御要素に取り付けられ、第2の制御要素は、第1の制御要素が両手で操作される場合には第2の制御要素は常時指によって到達又は操作され得る第1の制御要素とともに移動される。したがって、第2の制御要素を操作するために、第1の制御要素を解放する必要はない。
【0023】
第2の変形例では、第2の制御要素は、制御装置の第1の制御要素には接続されないが、静止ベースには接続される。第2の制御要素は、第1の制御要素の運動に従わない。
【0024】
第1の変形例に対して、第2の制御要素は、第1の制御要素、特に第1の制御要素の上平面にレバー、回転ホイール、ロッカー又はピストルトリガとして配置され得る。第2の変形例では、第2の制御要素は、例えば、脚による作動に対してペダル又はロッカーとして別々に設けられ得るので、第1の制御要素には接続されなくてもよい。
【0025】
好適には、制御装置は、制御装置の第1の制御要素又は静止ベースに堅固に接続された2つのハンドルを有することが規定される。2つのハンドルは、両手で把持されることになる。ハンドルの配置及びハンドル間の距離は、好適には、調整可能又は変化可能である。ハンドルは、完全に別のハンドルとして設計可能であり、又は例えば、バーによって相互に連続して接続されてもよい。またさらに、ハンドルは、第1の制御要素の上平面の一部であってもよいし、第1の制御要素との一片体を形成してもよい。
【0026】
第1の変形例では、ハンドルは、第1の制御要素に堅固に接続される。この変形例は、特に、制御装置の着席使用又は着席操作のために使用される。第1の制御要素は、ハンドルを介して直接移動される。ハンドルは、特に好適には、第1の制御要素の上平面に配置される。この変形例はまた、制御装置が、首の周囲に装着され、直立しつつ胴体の前で操作される場合にも適している。
【0027】
第2の変形例では、ハンドルは、制御装置の静止ベースに堅固に接続され、第1の制御要素には接続されない。この変形例は、特に、制御装置の座位、横臥又は直立操作のために使用される。これらの操作モードでは、第1の制御要素は、人物が着座、横臥又は直立可能な座位面、横臥面又は直立面を有し、その人物の体重移動によって第1の制御要素をその3つの軸を中心に移動させることができる。これらのタイプの操作に対して、ハンドルは、好適には、静止ベースにより堅固に配置されるが、第1の制御要素には配置されない。したがって、ハンドルは、どちらかというと保持又は支持機能を有し、第1の制御要素は、胴体運動又は体重移動によって移動され、ハンドルを介して直接は移動されない。
【0028】
ハンドルは、好適には、第1の制御要素の横軸に平行な線上に配置され、特に好適には、第1の制御要素の横軸に対して高さにおいてオフセットされる。ハンドルは、第1の制御要素の中間に配置され得るが、中間に配置される必要はない。
【0029】
またさらに、第1の制御要素のその垂直軸、その縦軸及びその横軸に関連したゼロ設定又はゼロ位置は、設定及び変更され得る。第1の制御要素のゼロ設定は、飛行物体が偏位されない設定又は位置として理解されるはずである。したがって、それは第1の制御要素のニュートラル設定である。しかし、ゼロ設定は、軸の1つを中心とする最大偏位又は最大角度の中心に対応する必要はない。ゼロ設定は、第1の制御要素がゼロ設定において静止ベースに対して水平かつ平行に配置されるように設けられ得る。あるいは、ゼロ設定はまた、軸の1以上を中心とする傾斜位置又は所定の偏位も示し得る。
【0030】
またさらに、好適には、第1の制御要素は、その垂直軸を中心に第1の最大角度で回転又は旋回可能であり、第1の最大角度は調整可能及び変更可能であることが規定される。本発明の背景では、最大角度は、制御要素がそれぞれの軸を中心に回転又は旋回され得る最大全体偏位又は最大範囲として理解されるはずである。第1の最大角度は、第1の制御要素の垂直軸を中心とする最大偏位に関係する。第1の最大角度は、第1の制御要素の垂直軸に関連して、ゼロ設定について対称又は非対称に設定され得る。例えば、第1の制御要素のその垂直軸に関連するゼロ設定を変更又は変化させることによって、非対称配置が実現可能である。第1の最大角度に対する好適な開始値は50度に相当し、対称配置では、これに基づいて第1の制御要素のその垂直軸を中心に2方向の各々において25度までの最大偏位が可能である。
【0031】
並進因子は、飛行物体の軸に関して、記録された角度と実際の偏位又は実際の角度との間の関係を決定するのに使用される。それぞれの軸を中心とする第1の制御要素の偏位は、上記のように、アングルピックアップによって検出される。並進因子は、特に好適には調整可能である。並進因子は、最大総偏位若しくは対応する最大角度を変更することによって、及び/又はある他の態様では、例えば、計算値の形態で電子的に設定され得る。
【0032】
別の並進因子は、各軸に対して提供され得る。本発明の背景では、第1の並進因子は、第1の制御要素のその垂直軸を中心とする偏位についての検出角度と、飛行物体の垂直軸を中心とする実際の偏位との間の比率に関係する。第2の並進因子は、第1の制御要素の縦軸を中心とする偏位及び飛行物体のその縦軸を中心とする実際の偏位の比率に関係する。第3の並進因子は、第1の制御要素の横軸を中心とする偏位及び飛行物体のその横軸を中心とする実際の偏位の比率に関係する。以下の簡単な式が、この原理を説明するのに使用される。
角度A/X(並進因子)=角度B
角度Aは、第1の制御要素のそれぞれの軸を中心に検出された角度偏位に相当し、
Xは、対応する軸に対する並進因子に相当し、
角度Bは、飛行物体に対する対応する軸を中心とする角度偏位の実際の制御に相当する。
【0033】
第1の制御要素はまた、好適には、第2の最大角度でその縦軸を中心に回転可能であり、第2の最大角度は調整可能及び変更可能である。またさらに、第1の制御要素は、好適には、第3の最大角度でその横軸を中心に回転可能であり、第3の最大角度は調整可能及び変更可能である。第1の最大角度に関する上記の同じ構成が、第2及び第3の最大角度に当てはまる。
【0034】
したがって、第1の最大角度は第1の制御要素のその垂直軸を中心とする最大総偏位に関係し、第2の最大角度は第1の制御要素のその縦軸を中心とする最大総偏位に関係し、第3の最大角度は第1の制御要素のその横軸を中心とする最大総偏位に関係する。
【0035】
またさらに、好適には、第2の制御要素のゼロ設定は、設定及び変更され得ることが規定される。したがって、最大全体偏位又は最大範囲はまた、第2の制御要素に対して変更及び設定され得る。ゼロ設定は、第2の制御要素のゼロ位置、中央位置、又はゼロ位置と中央位置の間の任意の領域にあればよい。この位置又はこのゼロ設定は、特に好適には変化され得る。
【0036】
第1の制御要素に関して、並進因子、すなわち第4の並進因子が、第2の制御要素に設けられ得る。そして、第4の並進因子は、第2の制御要素の検出される偏位と飛行物体の実際の制御との間の比率を反映する。マルチコプターの場合には、これは、第2の制御要素の検出される偏位とマルチコプターの高さが変化されるスロットルとの間の比率となる。以下の簡単な式が、この原理を説明するのに使用される。
偏位A/X(並進因子)=制御B
偏位Aは、第2の制御要素の検出される偏位に相当し、
Xは、第2の制御要素に対する並進因子に相当し、
制御Bは、飛行物体のその高度、速度又は推力を変化させる実際の制御に相当する。
【0037】
第2の制御要素は、好適には、第2の制御要素が作動された後にそのゼロ設定にそれによってリセットされるスプリング手段を有する。したがって、第2の制御要素は、解放された後にスプリング手段によって自動的にリセットされる。第1の制御要素のスプリング要素と同様に、第2の制御要素のスプリング手段は、好適には、そのスプリング動作又はスプリング力に関して調整可能及び変更可能である。したがって、第2の制御要素のゼロ設定への自動復帰が提供される。
【0038】
本発明を、好適な実施形態に基づいて例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a】制御装置の第1の制御要素の例示的な回転及び旋回運動を示す。
【
図1b】制御装置の第1の制御要素の例示的な回転及び旋回運動を示す。
【
図1c】制御装置の第1の制御要素の例示的な回転及び旋回運動を示す。
【
図1d】制御装置の第1の制御要素の例示的な回転及び旋回運動を示す。
【
図2】本発明の横臥状態における用途又は操作についての制御装置の斜視図である。
【
図3】本発明の人物の首に掛けられる制御装置の斜視図である。
【
図4】本発明の人間工学的形状の第1の制御要素を有する他の制御装置の図である。
【
図5】本発明の人間工学的形状の第1の制御要素を有する他の制御装置の図である。
【
図6a】従来技術による4チャネル遠隔制御手段の概略表示である。
【
図6c】本発明の制御装置の三次元概略表示である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、例として、無人及び/若しくは有人並びに/又は仮想の飛行物体10を制御するための制御装置100の変形例を示す。マルチコプター又はドローンの制御手段を、ここでは例として示す。飛行物体10の垂直軸11、縦軸12及び横軸13を中心とする運動が、制御装置100を介して制御される。飛行物体10のこれらの軸11、12、13を中心とする運動は、制御装置100の第1の制御要素15によって制御される。
【0041】
この目的のため、第1の制御要素15は、第1の制御要素15の垂直軸11aを中心に回転可能であり、また第1の制御要素15の縦軸12a及び横軸13aを中心に旋回可能に静止ベース19に据え付けられる。第1の制御要素は、相互に平行な2つの平面17、18を有する。
【0042】
第1の制御要素15のその垂直軸11aを中心とする回転運動は、第1の並進因子を考慮して、飛行物体10のその垂直軸11を中心とする対応の回転運動に影響を及ぼす。第1の制御要素15のその縦軸12aを中心とする旋回運動は、第2の並進因子を考慮して、飛行物体10のその縦軸12を中心とする対応の旋回運動に影響を及ぼす。第1の制御要素15のその横軸13aを中心とする旋回運動は、第3の並進因子を考慮して、飛行物体10のその横軸13を中心とする旋回運動に影響を及ぼす。
【0043】
すでに記載したように、マルチコプター又はドローンの制御手段を、例として
図1に示す。マルチコプターの場合には、第4のチャネルは、スロットル、及びそれによる飛行物体10の高度14の変化に対応する。この飛行高度14の変化は、制御装置100の第2の制御要素16を介して制御される。
図1に示す例では、第2の制御要素16は、第1の制御要素15において制御装置100のハンドル20、21を放すことなく、人差し指を用いて単純な形態で操作され得るように、第1の制御要素15に配置される。
【0044】
図1に示す例では、ハンドル20、21は、第1の制御要素15に配置されるとともにそれに接続される。ハンドル20、21の配置、特にそれらの第1の制御要素15の面に対する傾斜は、変更又は調整可能である。ハンドル20、21の間の距離もまた、調整可能であり得る。
【0045】
図1a~1dは、制御装置100の第1の制御要素15の例示的な回転及び旋回運動、並びに飛行物体10のそれぞれの対応する運動を示す。
【0046】
図2は、面設置操作のための制御装置100の例を示す。この目的のため、第1の制御要素15は、オペレータが横臥可能な横臥面を有する。
図1に示す変形例とは対照的に、ハンドル20、21及びさらには第2の制御要素16が、第1の制御要素15には配置されず、又はそれに接続される。対して、この変形例におけるハンドル20、21は、静止ベース19に接続され又は別々に固定され得る。
【0047】
図2に示す例では、
図1に示す変形例とは対照的に、第1の制御要素15は体重移動によって移動される。この目的のため、ハンドル20、21は、支持を目的として使用される。したがって、体重移動によって、第1の制御要素15は容易に、その垂直軸11aを中心に回転され、その縦軸12aを中心に及びその横軸13aを中心に傾斜又は旋回され得る。
【0048】
図2は、制御装置の可能性の1つのみ示し、第1の制御要素15が体重移動によって操作され得る。横臥面に代わって、制御装置100はまた、着席操作のための座位面又は直立操作のための直立面も有し得る。
【0049】
図3は、人物の首に掛けられるものである制御装置100の例を示す。制御装置100は、この目的のためのストラップ25を有する。原理上、
図3に示す例は、
図1に示す変形例と同様に設計される。ただし、
図1に示す変形例とは対照的に、静止ベース19は胴体に又は胴体の前で装置を支持するための支持要素を有する。
【0050】
図4及び5は、制御装置100のさらなる変形例を示す。
図1~3の例とは対照的に、ここで示す変形例は、より人間工学的な形状を有する。第1の制御要素15は、ハンドル20、21と一体設計され、第1の制御要素15の垂直軸11aを中心に回転可能であるとともに、第1の制御要素15の縦軸12a及び横軸13aを中心に旋回可能に静止ベース19に据え付けられる。
図4及び5に示す例では、静止ベース19は、第1の制御要素15の上領域と比較して相対的に小さく円断面を有する。ただし、静止ベース19は、適切な任意の形状及びサイズを有し得る。
【0051】
図4及び5に示す例では、第1の制御要素15は、対応するベアリングを介して静止ベース19に直接配置又は支持される。
図1及び3に示す例と同様に、第2の制御要素16は、1又は2つのレバーの形態で第1の制御要素15に配置される。
【0052】
図4及び5に示す制御装置100の例は、ハンドル20、21との第1の制御要素15の一体設計に起因して特に人間工学的形状を有するので、制御装置の快適な保持、把持及び操作を与える。
【0053】
図6aは、従来技術により公知の4チャネル遠隔制御手段の概略表示を示す。そのような4チャネル遠隔制御手段は、飛行物体10の2つのチャネルが制御可能な2つのコントロールレバーを有する(明瞭化のために
図6aには不図示)。通常、右コントロールレバーは、飛行物体10のその垂直軸11及びその横軸13を中心とする偏位を制御する。左コントロールレバーは、飛行物体10のその縦軸12を中心とする偏位及びスロットルも制御し、それにより飛行物体10の飛行高度の変化(第4のチャネル)も制御する。そのような遠隔制御手段では、2つのコントロールレバーは、2本の親指又は親指と人差し指に組合せのいずれかにより操作可能である。
【0054】
図6bは、本発明による制御装置100の概略表示を示す。従来技術により公知の代表的な4チャネル遠隔制御手段とは対照的に(この点に関しては
図6aを参照する)、飛行物体10の3つのチャネル(明瞭化のために
図6bにも不図示)が第1の制御要素15を介して制御される。この目的のため、第1の制御要素15は、その垂直軸11aを中心に回転され、その縦軸12aを中心に傾斜又は旋回され、その横軸13aを中心に傾斜又は旋回され得る。この目的のため、第1の制御要素15は、対応する形態で静止ベース19に回転可能及び旋回可能に据え付けられる。
【0055】
したがって、従来技術から公知の4チャネル遠隔制御手段とは対照的に、3つのチャネルは単一の制御要素(第1の制御要素15)によって制御される。第4のチャネルは、別の制御要素、すなわち第2の制御要素16によって制御される。したがって、本発明によると、3つのチャネルを制御するための第1の制御要素15、及び単一のチャネル、すなわち第4のチャネルを制御するための第2の制御要素16が設けられる。
【0056】
より容易でかつより都合の良い形態で、第1の制御要素15を把持するために、対応するハンドル20、21がそこに配置される。可能な実施形態及び変形例を、
図1~5の例として示す。
【0057】
第1の制御要素15は、その垂直軸11aを中心に第1の最大角度22で回転され得る。第1の最大角度22は、調整可能又は変更可能である。第1の並進因子は、第1の制御要素15のその垂直軸11aを中心とする回転運動を飛行物体10の実際の制御に変換するのに使用される。
【0058】
第1の制御要素15の垂直軸11aに対応して、第1の制御要素15はその縦軸12aを中心に第2の最大角度23で旋回され得る。またさらに、第1の制御要素15は、その横軸13aを中心に第3の最大角度24で対応して旋回され得る。第1の最大角度22と同様に、第2の最大角度23及び第3の最大角度24は変更又は調整され得る。第2及び第3の並進因子は、この点に関して、飛行物体10の実際の制御を実施するのに使用される。
【0059】
図6cは、制御装置100の概略表示の三次元図を示す。第1の制御要素15は、その垂直軸11aを中心に回転可能なように静止ベース19に据え付けられる。またさらに、第1の制御要素15は、その縦軸12a及びその横軸13aを中心に旋回可能に配置される。この目的のため、この例では、3つの軸11a、12a、13aのすべては、交差する共通点を通る。ただし原理上、縦軸12a及び横軸13aはまた、小さな距離で一方が他方の上に配置されてもよい。
【0060】
図6cに示すように、第1の制御要素15の垂直軸11aの回転可能なベアリングは、第1の制御要素15の縦軸12a及び横軸13aからある距離でこの垂直軸11aに沿って配置され得る。
【符号の説明】
【0061】
100 制御装置
10 飛行物体
11 飛行物体の垂直軸
11a 第1の制御要素の垂直軸
12 飛行物体の縦軸
12a 第1の制御要素の縦軸
13 飛行物体の横軸
13a 第1の制御要素の横軸
14 飛行物体の飛行高度
15 第1の制御要素
16 第2の制御要素
17、18 平行な平面
19 静止ベース
20、21 ハンドル
22 第1の最大角度
23 第2の最大角度
24 第3の最大角度
25 ストラップ