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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】監視システムを有する落下防止システム
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240725BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240725BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240725BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A62B35/00 Z
B66F9/24 S
B66F11/04
G08B21/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021556699
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020052398
(87)【国際公開番号】W WO2020194121
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】62/822,457
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/978,024
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ローレン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガム,スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】コイル,クリストファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ロペツ-ヒダルゴ,ヘイディ エー.
(72)【発明者】
【氏名】レップ,ジョナサン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シェーバー,スティーヴン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ケアシェール,ジェフェリー ティー.
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0027808(US,A1)
【文献】国際公開第2018/178780(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0096048(US,A1)
【文献】特開2012-021392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0231402(US,A1)
【文献】国際公開第2018/150299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
B66F 9/24
B66F 11/04
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の使用者によって装着されるように構成されたハーネスと、前記ハーネスに接続されるように構成されたコネクタを有する命綱を備える落下防止装置と、
ベースユニットを備え、かつ前記コネクタの状態を検知して、前記コネクタの前記状態を示す信号を前記ベースユニットに通信するように構成された少なくとも1つのセンサモジュールを備える落下防止監視システムと、
を備え、
前記ベースユニットは、前記コネクタの第1の状態を示す第1の信号が前記センサモジュールから受信された場合に第1の通知を発するように構成されており、前記コネクタの異なる第2の状態を示す異なる第2の信号が前記センサモジュールから受信された場合に異なる第2の通知を発するように構成されており
前記センサモジュールは、誘導センサである少なくとも1つの第1のセンサを備え、
前記コネクタはゲート式コネクタであり、前記センサモジュールは少なくとも1つの第2のセンサを備え、前記少なくとも1つの第2のセンサは、前記ゲート式コネクタのゲートがしっかりと閉じられた状態であるか、しっかりと閉じられていない状態であるかを検出するように構成されているゲートセンサであり、
前記少なくとも1つの第2の、ゲートセンサは、前記ゲート式コネクタの前記ゲートの一部分に設置された磁気ビーコンを検出するように構成されているホール効果センサであり、
前記コネクタは、前記ゲートを開くためにロック解除しなければならないロック機構を前記ゲートが備えるダブルアクションコネクタであり、前記磁気ビーコンは、前記ゲートの前記ロック機構に設置されており、
前記少なくとも1つの第1の、誘導センサは、前記少なくとも1つの第2の、ホール効果ゲートセンサが示す電力消費の少なくとも10倍超の電力消費を示し、前記センサモジュールは、前記ゲートのステータス変化が検出されたという信号が前記第2の、ホール効果ゲートセンサから受信されるまで、前記第1の、誘導センサを非アクティブ状態に維持するように構成されている、落下防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の落下防止システムを備える空中リフト。
【請求項3】
前記空中リフトはオーダーピッカーであり、前記落下防止装置は自己巻き取り式命綱を備え、前記ベースユニットは、前記オーダーピッカーの垂直パネルに取り付けられている、請求項に記載の空中リフト。
【請求項4】
前記落下防止システムは近接検出器を備え、前記近接検出器は、前記オーダーピッカーの水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するかどうかを検出し、前記水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するかどうかの表示を前記ベースユニットに通信する、請求項に記載の空中リフト。
【請求項5】
前記ベースユニットは、前記コネクタが前記ハーネスに取り付けられているようではない第2の、準備未完状態を示す第2の信号が前記センサモジュールから受信された場合、前記ベースユニットが、前記水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するという表示を前記近接検出器から受け取っていない限り、前記ベースユニットは第2の、準備未完通知を発しないように構成されている、請求項に記載の空中リフト。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
空中リフトは、様々な用途に広く使用されている。特に、いわゆるオーダーピッカーは、垂直スタック、様々な高さの棚などから物品をピッキングするマテリアルハンドリングに広く使用されている電動式空中リフトである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
広義には、ハーネスと、ハーネスに接続されるように構成されたコネクタを有する命綱を備える落下防止装置と、ベースユニットを備え、コネクタの状態を検知して、コネクタの状態を示す信号をベースユニットに通信するように構成された少なくとも1つのセンサモジュールを備える落下防止監視システムとを備える落下防止システムを本明細書に開示する。ベースユニットは、コネクタの第1の状態を示す第1の信号がセンサモジュールから受信された場合に第1の通知を発するように構成されてもよく、コネクタの異なる第2の状況を示す異なる第2の信号がセンサモジュールから受信された場合に異なる第2の通知を発するように構成されてもよい。これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、この広範な要約は、請求可能な主題を限定するように解釈してはならず、これは、かかる主題が出願において最初に出願された特許請求の範囲に提示されているか、又は、出願経過中に修正されたか又は他の方法で提示された請求項に提示されているかに関わらない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】例示的な一般的表現の空中リフトの側面斜視図であり、空中リフトは、同じく例示的な一般的表現で示す監視付き落下防止システムが備えられたオーダーピッカーである。
図2】垂直上昇構成で示される別の例示的なオーダーピッカーの側面斜視図である。
図3】空中リフトの落下防止システムでの使用に適した例示的な落下防止装置の正面図である。
図4】空中リフトの落下防止システムでの使用に適した落下防止ハーネスの背面図である。
【0004】
様々な図における同様の参照番号は、同様の要素を示す。いくつかの要素は、同一又は等価の複数で提示されることが可能であり、つまり1つのみ又はそれ以上の代表的要素が参照番号で示されることが可能な場合であっても、かかる参照番号は、かかる同一要素の全てに適用されると理解されたい。特に指示がない限り、本文書における全ての図及び図面は、縮尺どおりではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、単に例示的な意味合いとして示されているにすぎず、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。「第1」及び「第2」などの用語を本開示に使用することができるが、特に断らない限り、これらの用語はあくまで相対的な意味においてのみ使用される点を理解すべきである。更に、このような用語は、特に記載のない限り、いかなる時間的順序も援用するものではない。垂直、上方及び下方、上及び下などの用語は、地球の重力に対するそれらの通常の意味を有する。水平方向は同様に、垂直方向に垂直な任意の方向としてのその通常の意味を有する。
【0005】
特性又は属性の修飾子として本明細書で使用する場合、「概ね(generally)」という用語は、特に定めのない限り、当業者には、高度の近似を要することなく(例えば、定量化可能な特性の場合、+/-20%以内)性質又は属性を容易に認識可能であることを意味する。「構成される」などの用語は、少なくとも「適応される」という用語と同程度に制限的であり、明記された機能を遂行する単なる物理的な能力ではなく、その機能を遂行しようとする実際の設計意図を必要とする。数値パラメータ(寸法、比率など)に対する本明細書の全ての参照は、(特に断らない限り)パラメータの複数の測定値から導き出される平均値を用いて計算可能であると理解される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、監視付き落下防止システムが開示される。いくつかの実施形態では、このようなシステムは、例えばいわゆるオーダーピッカーにより例示されるような空中リフトと共に使用され得る。オーダーピッカー1は、図1に、例示的な一般的表現で示されている。オーダーピッカーは、垂直スタック、様々な高さの棚などから物品をピッキングするために広く使用されているマテリアルハンドリング用乗物である。図1の例示的実施形態に示すように、オーダーピッカーは電動式乗物であり、概ね水平のオペレータプラットフォーム2を有する。概ね水平のオペレータプラットフォーム2は、人間のオペレータを支持し、図2の例示的実施形態に示すように相当な高さまで上昇可能である。オペレータは、通常、オペレータプラットフォーム2上に立つが、いくつかの実施形態では、プラットフォーム2には、座席、スツールなどが備えられていてもよい。いくつかの実施形態では、オーダーピッカーは、オペレータがオーダーピッカーを場所から場所に手動で運転すること並びに/又はオペレータプラットフォームを上昇及び下降させることを可能にする制御部4を含む。いくつかの実施形態では、オーダーピッカーの水平移動(すなわち、場所から場所への運転)及び/又はオペレータプラットフォームの垂直上昇は、オペレータによる手動制御ではなく、遠隔制御もしくは自律制御されてもよい。
【0007】
図2の例示的実施形態に示すように、オーダーピッカーは、多くの場合、伸縮式マストアセンブリ5を備える。伸縮式マストアセンブリ5は、プラットフォーム2を相当な垂直高さ(例えば、1、2、4、6、8又は10メートル又はこれ以上)まで上昇させることを可能にする複数の伸縮式セクション(例えば、2つ、3つ又は3つ以上)を備える。(一部のこのようなオーダーピッカーは、「高所」オーダーピッカーと呼ばれる場合がある)オーダーピッカーは、オペレータが1つ以上の物品を手で掴み、それらを高い位置から、例えば棚又はスタックから取り出すことができるようにプラットフォーム2上のオペレータが位置づけられることを可能にする。多くの実施形態では、オーダーピッカーは、より大きな物品(例えばパレット)を高い位置から取り出すことを可能にする一連のフォーク6を備える。したがって、オーダーピッカーは、オペレータ支持プラットフォーム2を備え、オペレータ支持プラットフォーム2は、オーダーピッカーが載っている地面又は床にプラットフォームが近接する(この状態において、オーダーピッカーは水平に移動、例えば運転され得る)第1の、「下降」位置と、第2の、「上昇」位置との間で垂直方向に移動可能である。任意の所与の時間における第2の、上昇位置は、例えば、特定の物品に到達するために必要に応じてオペレータによって選択される複数の上昇高さ位置のいずれであってもよい。
【0008】
多くの実施形態では、オーダーピッカーは、上述の制御部4を呈し得るコンソール7を備える。多くの場合、オーダーピッカーは、概ね垂直の壁又はパネル8を備え得る。概ね垂直の壁又はパネル8は、制御部の上方に立ち上がり、概ね水平のルーフ9を支持する。壁及びルーフという用語は、そのような実体を純粋に連続的な(例えば、途切れのない又は中断のない)構造体に限定することを意図するものではない。例えば、任意のそのような実体は、例えば1つ、2つ又は2つ以上の梁、柱などの形態をとることができ、例えばそれらの間に少なくともある程度の空きスペースを有する。
【0009】
典型的には、コンソール7、パネル8、及びルーフ9は、オペレータプラットフォーム2に対して固定された関係にあるため、これらの構成要素は、プラットフォーム2と同じ方向に同じ速度で(in lockstep with)垂直方向に移動する。多くの実施形態では、パネル8及び/又はルーフ9の少なくとも一部分は、オペレータの水平周囲及び垂直周囲の視認性を高めるために透明であってもよい。例えば、多くの実施形態では、パネル8の少なくとも一部分は、図1の例示的実施形態に示すように、広い間隔のワイヤの格子又は網目を備えてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、図1の例示的実施形態に示すように、第1及び第2の(例えば、図1の斜視図では左と右)レール又はアーム11及び12がオーダーピッカー1(例えば、マストアセンブリ又はコンソールの一部分)に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、そのようなレールの一方又は両方は、オペレータがプラットフォーム2上に乗ることを可能にする「開」位置にレールを上昇させることができ、その後、「閉」位置に下降させることができるように、例えば、オーダーピッカー1に対する接続部を中心に枢動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、レールは、(例えば図1の例示的実施形態と同様に)他方が閉位置にある間に一方が開位置にあり得るように独立して動作可能であってもよく、他の実施形態では、レールは一体となって動作してもよい。いくつかの実施形態では、一方又は両方のレールは手動で開閉可能であってもよく、他の実施形態では、一方又は両方のレールは、プラットフォーム2がその下降位置にあるときに自動的に開き、プラットフォーム2が下降位置を離れる際に自動的に閉じるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、一方又は両方のレールは、オペレータがプラットフォーム2上に立っていることが検出された場合に、閉位置に自動的に移動するように構成されてもよい。このような場合、オペレータは、プラットフォームを出るために少なくとも1つのレールを瞬時に開くために、例えば、制御入力を入れる(例えばボタンを押す)ことができる。いくつかのこのような実施形態では、オーダーピッカーは、オーダーピッカーがその下降構成にあるときにのみレールを開くことを可能にするインターロック部を備えてもよい。
【0011】
上述の構成は例示的なものであり、開位置と閉位置との間で移動できるなどの多くのレール構成が可能であることは理解されるであろう。例えば、いくつかのこのようなレールは、閉位置へと、下方ではなく上方に枢動自在に移動してもよい。いくつかのこのようなレールは、枢動自在ではなく摺動自在に移動してもよい。いくつかの実施形態では、そのようなレールは、(例えば、図2の例示的な構成と同様に)例えば、1つ以上の垂直部材、柱又はパネルと関連付けて設けられてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の垂直部材は、レールが閉位置に移動する際に、例えば、レールから下方にスイングしてもよい、又はそのような部材は、レールに対して固定された関係にあってもよい。任意のこのような構成は、プラットフォーム2の側方(オペレータの観点では左及び右)側を画定することができ、例えば、少なくとも部分的に囲むことができる。いくつかの実施形態では、側方レール(及び存在する場合、追加の部材など)の任意のこのような構成は、可動ではなく所定の位置に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アーム、レール、パネルなどは、プラットフォーム2の「後部」(例えば、コンソール7と反対の位置)に又はその近傍に設けられてもよい。しかしながら、多くの実施形態では、プラットフォーム2のこの端部は、オペレータが高い位置から取り出されることになる物品に容易に到達して掴むことができるように、比較的開放されたままであってもよい。
【0012】
空中ライフ(aerial life)、例えばオーダーピッカー1には、本明細書に開示されるような監視付き落下防止システムが備えられていてもよい。様々な図の例示的実施形態に示すように、このような落下防止システムは、空中リフトの人間のオペレータによって装着されるように構成されたハーネス40と、ハーネスに接続されるように構成されたコネクタ30が備えられた命綱52を備える落下防止装置50とを含んでもよい。(当業者には理解されるように、他の構成要素も存在してよい)。任意のこのようなコネクタは、一般的な用語である「フック」と本明細書で呼ばれる場合があるが、このようなコネクタは、多くの場合、カラビナと呼ばれ、これら2つを明確に分ける線は必ずしも存在しないことは理解されるであろう。フック又はカラビナ(図3の例示的実施形態に更に詳細に示される)は、フック本体31及び可動ゲート32を備える。少なくともいくつかの実施形態では、任意のそのようなコネクタは、ANSI規格Z359.12-2009に準拠する。いくつかの実施形態では、コネクタは、ダブルアクションコネクタ(すなわち、開くためには少なくとも2つの連続する異なる動作を必要とするゲートを有する)であってもよい。ダブルアクションコネクタの1つのカテゴリーは、KJ5108 HOOK CONNECTORの商品名で3M Fall Protectionから入手可能な製品及びSAFLOKの商品名で3M Fall Protectionから入手可能な様々なコネクタによって例示される一般的なタイプのいわゆるツイストロックフック及びカラビナである。このようなコネクタでは、ゲートをロック解除し、その後、開くことができるようにするためにコネクタのゲートのロック機構を(例えば、ゲートの長軸と位置合わせされた回転軸を中心に少なくとも4分の1回転)ひねらなければならない。様々な実施形態においては、このようなロック機構は、例えば、ゲートの一部分に取り付けられたカラーであってもよい、又はゲートの全体をひねることが可能であってもよい。いくつかのそのようなダブルアクションコネクタ(例えば、製品番号2000300及び2000301で3M Fall Protectionから入手可能な製品)は、実際には、ゲートを回転させてゲートを開けられるようにする前に、ゲートをその長軸に沿ってわずかに移動させなければならないトリプルアクションコネクタである。ダブルアクションコネクタの別のカテゴリーは、フックのゲートが開けられる前に、ロック機構を移動させなければならない(例えば、内側に押す又は押し込む)いわゆるスナップフック(又はロックスナップフック)である。このようなコネクタとしては、製品番号2007153及び9510057で3M Fall Protectionから入手可能なものが挙げられる。このような物品は全て、本明細書に定義されるコネクタであると見なされ、総称的に「フック」と呼ばれる場合がある。
【0013】
多くの実施形態では、このようなコネクタは、ハーネスに取り外し不可能に取り付けられたDリングに取り付けられることによってハーネス40に接続されるように構成されてもよい。特定の実施形態では、コネクタは、図4に示される一般的なタイプの背面Dリング41に取り付けられてもよい。
【0014】
多くの実施形態では、落下防止装置50は、図1図3の例示的実施形態に示すような、いわゆる自己巻き取り式命綱(self-retracting lifeline、「SRL」)であってもよい。当業者であれば、自己巻き取り式命綱が、(例えば、空中リフトの「ルーフ」9にある)固定具13に固定され得るハウジング51から巻き出され得る耐荷重綱(「命綱」)52を備えることは理解するであろう。命綱52の遠位端は、例えば、コネクタ(例えばダブルアクションフック)30を介してハーネス40に接続可能である。ハウジング51は、命綱52の近位端が取り付けられるリール(ドラム)53(図3に包括的に示される)を備える。命綱52は、使用者が動き回る際に使用者に追従するようにリール53から巻き出され、それゆえ、ハウジング51から延ばされ得る。リール53は、使用者がハウジング51に向かって移動する際にリールが命綱52をハウジング51内に引き戻し、命綱52をリール53上に巻き戻すように、付勢されている。このようなSRL(例えば、ハウジング51及びそのリール53)は、(例えば、命綱52の急速な巻き出しの際に)使用者が落下した場合に使用者を安全に停止させるために起動されるブレーキ(例えば、摩擦パッドなどと協働する、遠心的に作動される爪を備える)を含む。自己巻き取り式命綱などの落下防止装置並びにそれらの構成要素及び機能は、米国特許第7843349号、第8256574号、第8430206号、第8430207号及び第9488235号に様々な態様で記載されている。いくつかの実施形態では、自己巻き取り式命綱は、ANSI Z359.14-2012の要件を満たす。
【0015】
任意のこのような落下防止装置は、空中リフトのプラットフォームが上昇した状態にある間に、空中リフト(例えばオーダーピッカー)のオペレータが必要に応じて行動を実施することを可能にするように構成されてもよい。例えば、オペレータは、リフトのプラットフォームに近い高所棚上の物品に手を伸ばし、これを取るなどのために、空中リフトの制御部を操作することができる。自己巻き取り式命綱である落下防止装置は、例えば、空中リフトが「下降」位置にあるときに、オペレータが必要に応じて短い距離にわたって動き回ることができる(例えば、空中リフトのプラットフォームから瞬間的に降りることができる)ということを更に提供することができる。
【0016】
本明細書に開示される落下防止システムは、落下防止システムの1つのコネクタ(又は複数のコネクタ)の状態の通知を提供するように構成された監視システムを備える。多くの実施形態では、この通知は主に、落下防止システムを使用する空中リフトのオペレータ向けであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、通知は、(例えば、点滅光などの可視信号又はビープ音などの可聴信号の形態で拡散される場合)オペレータに加えて、他の近くの人にはっきりと分からせることができる。落下防止システムは、少なくとも1つのベースユニットと少なくとも1つのセンサモジュールとを備え、センサモジュールは、コネクタの状態を検知して、コネクタの状態を示す信号をベースユニットに通信するように構成されている。したがって、このようなセンサモジュールは、コネクタの状態を検知するための少なくとも1つのセンサ(本明細書で更に詳細に後述する)と、この情報をベースユニットに送信する(無線によるか有線もしくは光ファイバケーブルによるかは問わない)通信モジュールとを備えてもよい。ベースユニットは、1つ以上のセンサモジュールから情報を受信することができる受信モジュールと、センサモジュールから受信された情報に基づいて、少なくとも空中リフトのオペレータに通知を発する又は他の手法で拡散するための通知モジュールとを備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、センサモジュールから未加工(又は一部加工された)データを受信してもよく、コネクタの状態を確認するために必要な一部又は全部の実際の処理を実行し、この状態を示す通知を発行してもよい。他の実施形態では、未加工データは、センサモジュール自体の内部にあるプロセッサによって少なくとも一部加工されてもよい。少なくともいくつかのそのような場合においては、ベースユニットは、コネクタの状態を示す信号をプロセッサから受信し、この信号を使用して、通知モジュールに適切な通知を発行させることのみを必要とする。
【0018】
センサモジュールからベースユニットに伝送される信号及び結果として得られるベースユニットにより発行される通知は、空中ユニットのオペレータがコネクタの状態を認識するのを支援することができる。例えば、通知は、コネクタがオペレータのハーネスにまだ取り付けられていないようであることをオペレータに思い出させることができる。様々な実施形態において、このような通知は、任意の適切な手法で、例えば、コネクタがハーネスにまだ取り付けられていない場合に空中リフトを上昇させないようにオペレータに警告を与える手法で示されてもよい。既に言及した可視信号又は可聴信号に加えて(又はその代わりに)、他の可能な通知としては、例えば、機械的通知又は触覚的通知が挙げられる。例えば、空中リフトの昇降制御ハンドル、ステアリングホイールなどには、振動する又は認識可能な触覚信号を他の手法で提供するデバイスが備えられ得る。
【0019】
したがって、ベースユニットは、コネクタの第1の状態を示す第1の信号がセンサモジュールから受信された場合に第1の通知を発する(例えば、可視信号及び/又は可聴信号の形態で例えば拡散する)ように構成されてもよい、及び/又はコネクタの第2の状態を示す第2の信号がセンサモジュールから受信された場合に第2の通知を発するように構成されてもよい。この文脈において、第1の及び第2のという用語は、時間的順序の違いを示すものではなく、第2の信号が第1の信号と異なり、コネクタの第1の状態がコネクタの第2の状態と異なるなどを示す。
【0020】
例えば、センサモジュールからベースユニットに伝送される第1の信号は、コネクタがハーネス40に接続されたようである、例えばハーネスのDリング41に取り付けられたようである第1の状態(「準備完了」)にコネクタがあることを示し得る。第2の信号は、コネクタがハーネス40に接続されていない可能性があるようである第2の状態(「準備未完」)にコネクタがあることを示し得る。したがって、第1の通知は、例えば「準備完了」通知であり得、第2の通知は、例えば「準備未完」通知であり得る。この文脈において、「準備未完」の通知とは、落下防止システムが落下防止状態にない可能性がある(すなわち、コネクタがハーネスに取り付けられていない可能性がある)ことが理由でプラットフォームを上昇させる準備が完了していない可能性があることを意味し、プラットフォームを上昇させる前にコネクタをハーネスに取り付けることをオペレータに思い出させる役割を果たす。同等の第2の通知は、例えば、「固定されていません」、「繋ぎましたか?」又は同様の表現で表現され得る。「準備完了」(及び同様の用語、例えば「固定されました」)という第1の通知は、落下防止装置が空中リフトの上昇に適した落下防止状態にあるようであることを示す。(しかしながら、本明細書で後述するように、このことは、落下防止システムのステータスを確保するための、必要に応じた更なる点検又は手順を実施する任意の責務からオペレータを解放するものではない)。いくつかの実施形態では、第1の通知は、例えば緑に点灯する可能性があり、第2の通知は、赤に点灯する可能性がある(いずれの通知も文字を含むか否かは関係ない)。このような通知の意味は、例えばオペレータが落下防止システムの使用に習熟している場合、オペレータには明らかである。
【0021】
いくつかの実施形態では、ベースユニットによって能動的に発せられる唯一の通知は、第2の、「準備未完」通知であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニットは、上述のようにセンサモジュールから第2の信号を受信すると、可視信号及び/又は可聴信号の形態の第2の通知を発してもよい。ベースユニットが上述のようにセンサモジュールから第1の信号を受信すると、この第2の通知は、第1の通知によって能動的に置き換えられることなく停止してもよい。(換言すると、以前に点灯されていた「準備未完」光は、その後に任意の他の光が点灯されることなく消灯されてもよい)。このタイプの実施形態では、「準備未完」通知がないことは、能動的な「準備完了」通知と同等の受動通知であると見なされ、逆もまた同様である。換言すると、本明細書で定義及び記載される通知は、能動的通知(例えば、点灯光又は可聴音)及び能動的通知がない形態の受動的通知の両方を包含する。可能な多くのそのような通知及びその表現が存在し、上記は単なる例示的な可能性であることは理解されるであろう。
【0022】
いくつかの実施形態では、落下防止監視システムのセンサモジュール34は、コネクタ(例えばダブルアクションフック)30に設置されてもよい。このような用語は、センサモジュールが、コネクタの状態を順調に監視すること、例えば、コネクタがDリングに取り付けられているようであるかどうかを評価することを可能にするほどコネクタに十分に接近している限りは、センサモジュールがコネクタ上に位置する又はコネクタに近接して位置する(例えば、命綱52上又は命綱52上に位置する保護用被覆部上に取り付けられる)構成(全般的に図3に示される)を包含する。いくつかの実施形態では、センサモジュール34は、コネクタ30の少なくとも一部分を覆って取り付けられたハウジング(例えば成形プラスチックハウジング)内に設置されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、落下防止監視システムのセンサモジュール44は、コネクタ30が取り付けられるハーネス40上に設置されてもよい。例えば、センサモジュールは、ハーネス40に取り外し不可能に取り付けられたDリング(例えば背面Dリング41)に設置されてもよい。このような用語は、センサモジュールのセンサが、コネクタがDリングに取り付けられているようであるかどうかを評価することを可能にするほどセンサモジュールがDリングに十分に接近している限りは、センサモジュールがDリング上に位置する又はDリングに近接して(例えば、ハーネス40のストラップ又は背面プレート上に)位置する構成(全般的に図4に示される)を包含する。
【0024】
したがって、本明細書に開示される構成は、例えば、コネクタがDリングに取り付けられているようであるかどうかに関する表示についてコネクタを監視する構成、並びにコネクタがDリングに取り付けられているようであるかどうかに関する表示についてDリングを監視する構成を包含する。本明細書で後述するように、他の構成も可能である。
【0025】
コネクタの状態を示す信号を受信する監視システムのベースユニットは、任意の適切な場所に配置することができる。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、命綱のコネクタに設置されてもよい(例えば、ベースユニットは、フック上の又はフックに近接するセンサモジュールと同じ場所にあってもよい)。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、ハーネス上に設置されてもよい。例えば、ベースユニットは、ハーネスのDリングに設置されてもよい。このような実施形態では、ベースユニットは、Dリングに設置されたセンサモジュールと同じ場所にあってもよく、センサモジュールから信号を受信してもよい、又はベースユニットは、ハーネス上に設置されてもよいが、Dリングではなくコネクタに設置されたセンサモジュールから信号を受信してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、自己巻き取り式命綱のハウジングに、自己巻き取り式命綱のハウジング上に、又は自己巻き取り式命綱のハウジング内に設置されてもよい。様々な実施形態では、ベースユニットは、例えば、コネクタに、ハーネス上に、又はSRLのハウジング上に設置されてもよい。様々な実施形態では、ベースユニットは、SRLの(又は本明細書で後述するようにランヤードの)命綱上に、例えば、SRLの(又は本明細書で後述するようにランヤードの)命綱に沿った任意の地点に設置されてもよい。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、命綱と関連付けられた任意の構成要素上に設置されてもよい。例えば、ベースユニットは、米国仮特許出願第62/480807号及びPCT国際特許出願である国際公開第2018/185614号(これらの両方は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている一般的なタイプの保護用被覆部上に取り付けられる可能性がある。あるいは、ベースユニットは、SRLもしくはランヤードの命綱のエネルギー吸収体上に取り付けられる可能性がある又はそうでなければSRLもしくはランヤードの命綱のエネルギー吸収体と関連付けられる可能性がある。
【0027】
多くの便利な実施形態では、ベースユニットは、空中リフト上に設置されてもよい。例えば、ベースユニット60は、オーダーピッカー上の、オーダーピッカーのオペレータがベースユニットにより発せられた可視通知を容易に視認できることを確実にする場所に設置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、図1の例示的実施形態に示すように、ベースユニット60は、オーダーピッカーの垂直パネル8上に(例えば、プラットフォーム2上に立っているオペレータの目の高さに又はその近辺に)取り付けられてもよい。図2は、ベースユニットの描写を含まず、図2の例示的なオーダーピッカーは、図1のオーダーピッカーに示されるものと厳密に同じタイプの垂直パネルを含まないことに留意されたい。図2は、オーダーピッカーがどのようにして上昇構成に変更され得るかを全般的に示すために含まれる。しかしながら、当業者であれば、ベースユニットを図2のオーダーピッカーの見える位置に設置すること、例えば、オーダーピッカーのルーフを支持する(かつ、この設計においてオーダーピッカーの垂直「パネル」を集合的に構成する)垂直柱のうちの1つから延びる桁上に配置することが簡単であることを理解するであろう。例えばオーダーピッカーのコンソール7上などの他の取り付け位置も可能である。
【0028】
いくつかのこのような実施形態では、ベースユニットと別個のものであり、例えば空中リフトの垂直壁上に(又はそれ以外の容易に見える位置に)位置し、可視通知及び/又は及び可聴通知を拡散するようにベースユニットによって命令され得る通知ユニットが設けられ得る。即ち、いくつかの実施形態では、通知ユニットは、ベースユニットから分離されてもよく、任意の他の機能を備えるのではなく単に通知を拡散するためのものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニットは、使用者の邪魔にならないオーダーピッカーのルーフ9上に配置されてもよく(例えば、ルーフの下面に取り付けられる)、オーダーピッカーのコンソール7又は前面パネル8上に配置された通知ユニットを操作してもよい。任意のこのような通知ユニットは、容易に見えるものの、オーダーピッカーのオペレータの視界を妨げないことを確実にするように構成され得る(例えば、成形され、配置され得る)。任意のこのような通知ユニット(例えばLED光の列を備える)は、ベースユニットに直接有線接続されてもよい、又はベースユニットは通知ユニットを無線で操作してもよい。可聴信号が可視信号と同じ位置から拡散される必要は厳密にはないため、必要であれば、監視システムは、例えば、1つが可聴信号用で、1つが可視信号用の、2つの物理的に別個の通知システムを備えてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、落下防止システムは、任意選択的に、非使用時にコネクタ30をドッキングさせる(すなわち、固定する)ことができるドッキングステーションを含み得る。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、ベースユニット60とは別個の実体であり得る。他の実施形態では、図1に全般的に示されるドッキングステーション68に関しては、ドッキングステーションは、ベースユニット60と一体化させることができる。いくつかの実施形態では、ドッキングステーションは、能動的又は受動的のいずれにおいても落下防止監視システムに関与しない純粋に機械的な装置であってもよい。他の実施形態では、ドッキングステーションは、落下防止監視システムに関与するように構成されてもよい(例えばセンサモジュール64が備えられる)。即ち、コネクタ30がドッキングされるドッキングステーションの存在(ベースユニット60と一体化されるか空中リフト上の別々の位置に別個の物品として設けられるかは問わない)は、コネクタの状態を監視することができる別の手法を提供する。例えば、コネクタ30及びドッキングステーション68は、コネクタがドッキングステーション68上にドッキングされた(固定された)ようであることをコネクタに取り付けられたセンサモジュールが確認できるように、(例えば、センサモジュール64がコネクタに設置された状態で)配置されてもよい。代替的に、ドッキングステーションは、コネクタ30がドッキングステーション上にドッキングされたようであるかどうかを確認することができる適切に構成されたセンサモジュール64(全般的に図1に示される)を備えてもよい。任意のこのようなセンサモジュールが、コネクタがドッキングされた状態又は未ドッキング状態にあるようであることを示す通知を、ベースユニットが提供することを可能にする信号をベースユニットに送信してもよい。いくつかの実施形態では、このような通知は、提供される可能性のある他の通知(例えば、コネクタがDリングに取り付けられているようであるという通知)に加えて及び/又は独立して利用可能であり得る。
【0030】
更に別の構成も可能である。例えば、落下防止装置が自己巻き取り式命綱(SRL)50である実施形態では、SRLは、SRLのハウジング51に対するコネクタ30の位置を監視するように構成されているセンサモジュール54(全般的に図3に示される)を備えてもよい。このようなセンサモジュールは、例えば、コネクタ30がセンサに近接しているかどうかを確認するように構成されているセンサを備えてもよい(このようなセンサは、例えば、本明細書で後述する一般的なタイプの誘導センサであってもよい)。あるいは、このようなセンサモジュールは、命綱52がハウジング51から繰り出された距離を決定するように構成されているセンサを備えてもよい(このようなセンサは、例えば、命綱52の近位端が取り付けられているリール53の回転を追跡するロータリエンコーダであってもよい)。したがって、このようなセンサモジュールは、例えば、コネクタ30がSRLのハウジングにきつく密着しているかハウジングに近接している(0.2メートル以内を意味する)かどうか、又はコネクタ30がハウジングから相当の距離(例えば0.2メートル超)繰り出されているかどうかの表示を提供するように構成されてもよい。このような情報は、必要であれば、コネクタの状態の表示として使用され得る。例えば、コネクタがSRLのハウジングにきつく密着している又はSRLのハウジングに近接していると報告された場合、これは、コネクタがオペレータのハーネスに取り付けられていないことの表示であると推測され得る。使用される特定のSRL、空中リフトのオペレータプラットフォームのどれほど上方にSRLが位置するなどの観点から、様々な条件に相当する特定の距離が設定されてもよい。
【0031】
上記の説明は、センサモジュールが、例えば、コネクタ自体に、コネクタが取り付けられるハーネスのDリングに、又は非使用時にコネクタをドッキングさせることができるドッキングステーション(存在する場合)に設置され得ることを明らかにする。あるいは、センサモジュールは、SRLのハウジングに設置されてもよく、コネクタを有する命綱はSRLのハウジングから延びることができる。任意のこのような構成及びこのような構成の任意の所望の組み合わせは、本明細書の開示内に包含される。本明細書のいくつかの図は複数のセンサモジュールを示す(例えば、図3は、フックにあるセンサモジュール34及びSRLにあるセンサモジュール54を示す)が、これらの図は例示であり、複数のセンサモジュールが必ずしも存在しなくてもよいことは理解されるであろう。
【0032】
センサモジュールという用語は、一般に、必要とされる任意の実際の検知を実施する少なくとも1つのセンサと、センサによって収集された情報をベースユニットに送信するための通信モジュールを含むプロセッサと、センサ、通信モジュールなどを動作させるための、必要な全てのハードウェア、ソフトウェア、電源(例えばバッテリー)などを備えるデバイスを記述するために使用される。センサモジュールは、例えば、ハウジング、例えば成形プラスチックハウジング内に部分的に又は完全に包含されてもよく、ハウジングは、例えば、コネクタもしくはDリングに取り付けられてもよい又はそうでなければコネクタもしくはDリング上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、センサモジュールは、センサモジュールのセンサがその所望の機能を実施することを可能にする場所に配置されている限りは、例えば、命綱もしくは命綱上の被覆部に又はハーネスの構成要素(例えば、ストラップ又は背面プレート)に取り付けられてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、センサモジュールのセンサは、金属を検出するように構成されてもよい。多くのコネクタ(例えばフック/カラビナ)及びDリングは、例えば鋼などの金属製であるため、これは有用であり得る。したがって、Dリング又はドッキングステーションに位置するセンサが金属コネクタの存在を検出可能であり得、これとは逆に、コネクタに位置するセンサが金属Dリングなどの存在を検出可能であり得る。特定の実施形態では、任意のこのようなセンサは、センサが設置された実体によって画定される開口部内に又はその近くに位置する金属物品又はその一部分を特に検出するように構成されてもよい。例えば、コネクタ(例えばフック)にはセンサモジュールが備えられてもよく、センサモジュールの1つ又は複数のセンサは、フックによって画定される開口部内にある又はその近くにある金属物品(例えばDリング)の一部分を検出するように構成されている。任意のこのようなセンサは、自身も金属製である実体上に又はその近くに設置される場合、このような金属を補うように構成されてもよい(すなわち、センサは、既にそこにある金属の他に、追加の金属物品の存在を検出するように構成されてもよい)。
【0034】
いくつかの実施形態では、このようなセンサは、磁気検知に依存し得る。いくつかの実施形態では、このようなセンサは、誘導検知に依存し得る。このタイプのいくつかの実施形態では、このようなセンサは、例えば、金属物品が誘導界に入ったときに発生する渦電流現象を考慮し得る。一般に、誘導検知及び特に渦電流現象の利用については、米国仮特許出願第62/628720号及びPCT出願である米国特許出願公開第2019/016768号に詳述されている。これらは両方とも、参照により全体が本明細書に組み込まれる。これらの文書に開示されている原理、構成、及び方法の多くは、本願の目的に有用であり得ることは理解されるであろう。誘導検知を伴ういくつかの特定の実施形態では、任意のこのような誘導センサは、コネクタの細長い構成要素(例えば、フック又はカラビナの本体、ループ部もしくはゲート)の周囲に配置されるコイルを含まない。このようなコイルを含まない様々なセンサについては、例えば、上で引用した‘720出願及び‘768出願に記述されている。
【0035】
上記の説明は主に、例えば誘導検知による金属物品の検知に関するものであるが、例えば、フックによって画定される開口部内に物品が存在するかどうかを検知するために、任意の検知メカニズムに依存する任意のセンサを使用してもよいことは理解されるであろう。様々な実施形態においては、このようなセンサは、任意の種類の電気機械センサ、例えば、フックに荷重がかかっているかどうかを検出することができるロードセルであってもよい。いくつかの実施形態では、このようなセンサは、フックが接続される物品(例えば、Dリング、ドッキングステーションなど)上又は物品内に存在するRFIDタグを検出するように構成されているRFIDリーダであってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、任意の検知メカニズムによって動作し、任意の特定の場所に設けられる、及び/又は一般に、コネクタ30もしくは落下防止システムの使用における任意の特定の工程もしくは操作に適用される他の何らかのセンサが使用されてもよい。このようなセンサは、フックによって画定される開口部内に物品が存在するかどうかを検出する以外のメカニズムによって動作してもよい。いくつかの実施形態では、このようなセンサは、上記構成の代わりに使用され得るが、多くの有利な実施形態では、このようなセンサは、上述の構成と組み合わせて使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、フックには、コネクタのゲートのステータスを監視することができるゲートセンサが備えられてもよい。このようなセンサは、例えば、本明細書に記載される他のセンサのいずれかと組み合わせて使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、金属物品(例えば金属Dリング)がコネクタの開口部内に存在するかどうかを決定するように構成された誘導センサである1つ以上の第1のセンサが使用されてもよく、コネクタのゲートのステータスを監視するために1つ以上の第2の、ゲートセンサが使用されてもよい。
【0037】
ゲートセンサによって提供される任意のこのような表示は、ゲートが「しっかりと閉じられている」か「しっかりと閉じられていない」かを報告するという一般カテゴリーに分類される。例えば、「しっかりと閉じられていない」として報告されるためには、フックのゲートが実際に開位置になければならないという必要はない。むしろ、ゲートは、例えばロック解除されるだけでよい。例えば、コネクタは、前述の一般的なタイプのダブルアクションコネクタ、例えば、ゲートをロック解除し、その後、開くことができるようにするためにフックのゲートのロック機構をわずかに回転させなければならない「ツイストロック」フックであってもよい。ゲートセンサは、ゲートが実際には開いていない場合であっても、ロック機構がロック解除位置に回転されたことが検出された場合、ゲートがしっかりと閉じられていないことを監視するように構成されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、例えばゲートセンサなどの第2のセンサは、第1のセンサと異なるメカニズムによって動作してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ゲートセンサは、いわゆるホール効果センサであってもよい。いくつかの実施形態では、このようなセンサは、ゲート内に意図的に設置された磁気ビーコンの存在又は非存在(所定の距離内の)を検出するように構成されてもよい。例えば、このような磁気ビーコン(例えば、任意の適切な磁性材料片)は、例えば、ゲートのひねることが可能な部分(例えばロック機構)に設けられた空洞内に設置されてもよい。ゲートセンサは、磁気ビーコンを検出し、ビーコンが近接している場合に(例えば、ゲートがしっかりと閉じられている場合に)、その存在を報告することができる。その後、センサは、ゲートのひねることが可能な部分がひねられてゲートがロック解除された(したがって、ビーコンがセンサから離れた)ときに磁気ビーコンの非存在を報告することができる。いくつかの実施形態では、代替的に、任意のこのようなゲートセンサは、ゲートがしっかりと閉じられていないときにビーコンを検出するように構成されてもよく(例えば、センサ及び磁気ビーコンが配置されてもよい)、ゲートがしっかりと閉じられているときにビーコンの非存在を検出するように構成されてもよい。
【0039】
前述したように、多くの実施形態では、本明細書に開示される監視システムの出力は、少なくとも1つのセンサから受信された信号に基づいた(任意の適切な表現の)準備完了又は準備未完状態の通知である。第1のセンサ及び第2のセンサが使用されるいくつかの実施形態では、第1のセンサからの信号だけ又は第2のセンサからの信号だけでは準備完了状態の通知を許可するのに十分でない場合がある。すなわち、いくつかの実施形態では、適切な信号が第1のセンサ及び第2のセンサの両方から受信されなければならない。したがって、例えば、準備完了通知が知らされるためには、ダブルアクションフックの監視システムは、金属物品(例えば金属Dリング)がフックの開口部内にある又は検出されたことを示す信号が第1のセンサから受信されなければならないように、かつ、フックのゲートがしっかりと閉じられていることを示す信号が第2のセンサから受信されなければならないように構成され得る。
【0040】
第1の、誘導センサが、コネクタの開口部内の金属物品の存在を継続的に検出する必要は必ずしもなくてよい。すなわち、場合によっては、金属物品(例えばDリング)は、例えば、装着者が動き回る、前かがみになる、起立するなどの際にフックに対して位置がずれる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、センサモジュールは、金属物品が例えば所定時間内に少なくとも1度(又は任意の適切な回数)検出された場合、このことは、物品がその後検出されない場合であっても物品が存在するという結論を可能にするのに十分であるように構成されてもよい。特定の実施形態では、このような構成は、ゲートセンサと組み合わせて使用され得る。例えば、ゲートが開いている(又は一般に、しっかりと閉じられていない)ことをゲートセンサが検出しない限り、第1の物品が第1の、誘導センサによって現在は検出されない場合であっても、センサモジュールは、コネクタが「準備完了」状態にあると知らせ続ける場合がある。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のセンサ(例えば、磁気誘導に頼ってDリングなどの金属物品がコネクタの開口部内に存在するかどうかを検出する)及び第2のセンサ(例えば、コネクタのゲートがしっかりと閉じられているかどうかを検出するホール効果センサ)が、例えば、必要に応じてセンサモジュールを動作させるためのプロセッサ及び任意の補助構成要素と共に、共通のプリント回路基板又はフレックス回路上に共に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサの両方から受信されたデータを組み合わせて処理し、コネクタステータス(例えば、準備完了又は準備未完)の表示に至ることができ、その後、表示を含む信号を(例えばBluetooth通信モジュールを介して)ベースユニットに無線で送ることができる。
【0042】
ドッキングステーションが使用される実施形態では、ドッキングステーションは、コネクタがドッキングステーション内の所定の位置にドッキングされたようであるか否かを記録するセンサ(誘導センサであってもよいが、機械的ゲート又は回転ドアほど単純なものを備え得る)を備えてもよい。したがって、要約すると、例えば、上述のセンサに加えて又はその代わりに、任意の検知メカニズム、例えば、その物理的位置が監視され得る1つ以上の機械的ゲートもしくはスイッチ、圧力もしくは力に対して感度のある1つ以上の部材もしくはプラテン、RFIDリーダ(又はより一般的には近距離通信リーダ)と1つ以上の適切に配置されたRFIDタグもしくはNFCタグとの組み合わせなどによって動作する任意の適切なセンサが使用されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセンサモジュールは、画像取得デバイス、例えばカメラであるセンサを備えてもよい。画像取得デバイスは、コネクタが、例えば、SRLのハウジングから吊り下げられているようであるか、ドッキングステーション内に停められているようであるか、ハーネスのDリングに取り付けられているようであるかなどを評価するように配置され、構成されている。このような実施形態では、センサモジュール(又はベースユニット)は、必要に応じて、そのような性能を達成するための任意の適切なソフトウェア(例えば、画像認識及び処理ソフトウェア)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、このようなカメラは、存在する唯一の種類のセンサであってもよい、又はカメラは、前述のセンサのいずれかと共に機能してもよい。
【0044】
本明細書に開示されるシステム、方法、及び装置は、落下防止装置又はシステムで使用される任意のタイプのコネクタ、例えば、フック、カラビナ、及びDリング(フックと呼ばれるコネクタとカラビナと呼ばれるものとの間に明確な区別が常に存在するとは限らない場合があることに再度留意されたい)と共に使用されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、このようなコネクタは、対で(例えば、1つが命綱に対して、1つがハーネスに対して、又は第1及び第2のストラップ、線などの両端に対して)使用されるように特別に構成され、互いに嵌合可能なもしくはそうでなければ係合可能であるが、他のタイプのコネクタに嵌合することはできないように特別に構成されたコネクタを含む。いくつかの実施形態では、このようなコネクタとしては、例えばEZ-STOP MODULAR LANYARDなどのモジュール式ランヤードの構成要素として供給される、3M DBI-Sala Fall Protection Full-Line Catalog 2017に記載されている一般的なタイプのモジュール式コネクタが挙げられる。このようなコネクタは、例えば、雌コネクタが、もう一方の雄コネクタの略T字形のバーを受け入れるように構成された略T字形のスロットを備える設計を備えてもよい。多くの実施形態では、このようなコネクタは、係合されると、これらを互いに係脱することができるロック解除状態にする以前の意図的な操作なしにはこれらが互いに係脱することができないようにロック可能であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、このようなコネクタとしては、例えば3M DBI-SALA NANO-LOK自己巻き取り式命綱の構成要素として供給される一般的なタイプのいわゆるクイックコネクタ、例えば3M DBI-SALA EXOFIT STRATAハーネスの構成要素として供給される一般的なタイプのクイックコネクトバックルなどが挙げられる。しかしながら、多くの便利な実施形態では、命綱のコネクタ(例えば、センサモジュールを有するコネクタ)はフックであってもよく、フックが接続される実体は、ハーネスのDリングである。
【0047】
上述したように、いくつかの実施形態では、自己巻き取り式命綱のハウジングは、命綱がハウジングから繰り出された程度を追跡するための1つ以上のセンサ(例えばロータリエンコーダ)を備え得る。いくつかの実施形態では、このような性能は、起こった可能性のある落下イベントに関する情報の提供を可能にできることは理解されるであろう。すなわち、命綱の急速な繰り出し、命綱繰り出しの加速、命綱繰り出しの急な拘束の検出などのような任意の兆候の検出は、落下イベントが発生した可能性があるという表示を提供し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される構成は、起こった可能性のある落下イベントを報告することができるという追加の機能を備え得る。例えば、起こった可能性のある落下イベントの検出及び/又は記録に適し得るセンサ、システム、及びそれらの様々な構成は、例えば、米国特許第第10,496,045号及び同第9,998,804号並びに米国仮特許出願第62/543564号及びPCT国際公開第2019/030708号に様々な態様で記述されており、これらは全て、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
上記の説明では、本明細書に開示される落下防止監視システムが、様々な信号及び生じる様々な通知を使用することができ、複数の異なる手法で使用することができることを明らかにした。いくつかの構成(例えば、ハーネスのDリングに、コネクタを検出するように構成されたセンサが備えられている)は、コネクタがDリングに取り付けられているようであるという「直接」表示を提供することができ、それゆえ、空中リフトのオペレータのハーネスが落下防止装置の命綱に接続されたようであるという直接表示を提供し得る。他の構成は、コネクタの他の何らかのステータスの直接表示を提供することができ(例えば、センサが備えられたドッキングステーションは、コネクタがドッキングされたようであるという直接表示を提供することができる)、それゆえ、コネクタがオペレータのハーネスに接続されていないという「間接」表示を提供することができる。したがって、本明細書に開示される構成及び方法は、様々な手法及び実装形態で使用することができることは理解されるであろう。
【0049】
いくつかの実装形態では、このような構成は、コネクタとハーネスの取り付けの直接表示を必ずしも提供しなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される落下防止システムは、コネクタがドッキングされたようであるという直接表示(例えば、コネクタがドッキングされたときに点灯する「ドッキング済み」光)を提供するように構成されてもよい。このような通知(コネクタがドックから取り外されると消灯し得る又は「未ドッキング」通知に置換され得る)は、例えば、コネクタがまだドッキングされていないというオペレータへのリマインダとして機能してもよく、その後、オペレータは、コネクタをハーネスに取り付け、コネクタとハーネスの取り付けが適切に完了されたことを確認する仕事を課され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、このような構成は、コネクタがハーネスに取り付けられているようであるかどうかの表示(直接か間接かは問わず、かつ本明細書に前述したように能動的通知によって与えられるか受動的通知によって与えられるかは問わない)を提供し得る。しかしながら、直接通知を提供し得る構成(例えば、コネクタに、コネクタがハーネスのDリングに取り付けられているようであるという表示を提供するセンサが備えられている)においても、オペレータは、結果として生じる通知を表示と見なすであろうことは理解されよう。オペレータは、コネクタがDリングにしっかりと取り付けられていることを確認するための任意の適切な工程(例えば、適用される法律、規則、規範、基準、及び/又は指示によって求められる)を実施する仕事を課されることを強調されたい。
【0051】
いずれにしても、いかなる状況下においても、本明細書に開示される任意の構成の存在により、空中リフトのオペレータが全ての適切な法律;規則;規範;適切な機関(例えばANSI)によって公布された基準;空中リフトの製造業者によって提供される指示;落下防止システムの製造業者によって提供される指示;空中リフトが使用される施設を監督する主体によって提供される指示などに従う義務を免除するものではない。
【0052】
いくつかの実施形態では、センサモジュールは、内部源、例えばバッテリーによって駆動されてもよい。センサモジュールが、例えば、コネクタ上に設けられたハウジング内にある場合、(ハウジング及びコネクタのサイズによっては)バッテリーのために利用可能なスペースが限られる場合がある。このようないくつかの場合においては、バッテリーは、利用可能なスペース内に収めるために、従来の12ボルトバッテリーではなく1つ以上の「コイン」又は「ボタン」バッテリーの形態をとる必要がある場合がある。このような実施形態では、センサモジュールの第1のセンサ及び第2のセンサを、センサモジュールの性能を損なうことなくバッテリー寿命を最大化するように構成すると有利であり得る。
【0053】
例えば、第1のセンサが、Dリングなどの金属物品がフックの開口部内に存在するかどうかを検出する磁気誘導センサであり、第2のセンサが、コネクタのゲートがしっかりと閉じられているかどうかを検出するホール効果センサというゲートセンサである実施形態では、第1の、誘導センサは、第2の、ホール効果センサの電力消費の10倍、100倍、又は更には1000倍超の電力消費(アクティブ化されている場合)を示し得る。(多くのこのようなセンサは例えばパルス式であり得るため、このような電力消費は適切な期間、例えば数秒にわたって平均化され得る。)
【0054】
したがって、いくつかの実施形態では、センサを動作させるプロセッサは、第2(ゲート)センサがゲートのステータスの変化を検出するまで、例えば、ゲートがしっかりと閉じられなくなったことを検出するまで第1のセンサをアクティブ化しないように構成されてもよい。その後、第1のセンサは、ゲートが特定の状態(例えばしっかりと閉じられていない)のままである限りは、例えば所定時間にわたって、及び任意選択的に、ゲートが別の状態(例えばしっかりと閉じられた)に戻った後の追加的な所定時間にわたってアクティブ化されてもよい。この後、第1のセンサは、ほとんど又は全く電力を消費しない非アクティブ状態に戻ることができる。いくつかの実施形態では、センサモジュールは、第1のセンサが金属物品を検出した後に、第1の、誘導センサを、所定時間にわたりアクティブ化したままにするのではなく、更に電力を節約するために、非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0055】
ゲートのステータスの変化が再度検出されると、第1のセンサは再度アクティブ化されてもよい。そうでなければ、第1のセンサは、無期限に、非アクティブ化された低電力消費状態のままであってもよい。本明細書の開示によれば、第1のセンサ及び第2のセンサは、コネクタのステータスを評価するために組み合わせて使用することができる(例えば、準備完了状態は、第2のセンサがゲートがしっかりと閉じられていることを示し、かつ、第1のセンサが金属物品、例えばDリングがコネクタ開口部内に検出されたことを示さない限りは、示されない場合がある)だけでなく、センサは、効率的な電力管理のために集合的に構成されてもよいことは理解されるであろう。すなわち、よりエネルギーを消費するセンサは、適切な信号がよりエネルギー効率的なセンサから受信されるときにだけ起動されてアクティブになる必要がある。したがって、例えば、第2の、ゲートセンサは、わずかな電力消費で常時動作していてもよく(例えば、ホール効果を用いて1秒に最大数回ゲートに問合せする)、その一方で、第1の、高エネルギー消費誘導センサは、第2の、ゲートセンサによって示されたゲートステータスの変化に応答しプロセッサにより起動されてアクティブ化されるまで、非アクティブ化されたままであってもよい。
【0056】
電力を更に節約するために、いくつかの実施形態では、プロセッサ及び/又はセンサモジュール全体は、いくつかの状況において、一部電力低下した「スリープ」モードに入るように構成されてもよい。例えば、このようなスリープモードは、しっかりと閉じられたという信号がゲートセンサから受信された後、それ以上の信号(例えば、ゲートがしっかりと閉じられなくなったことを示す)が、特定の時間にわたって受信されない場合に起動され得る。いくつかの実施形態では、センサモジュールがこのような「スリープ」モードにあるとき、例えばBluetooth送信機及び/又は受信機を備える通信モジュールは、第2の、ゲートセンサから受信された割り込み信号によってプロセッサが起動されてスリープモードから復帰するまでオフにされていてもよい。その後、プロセッサは、完全にアクティブ化されてもよい(例えば、プロセッサは、ベースユニットとのBluetooth通信などを確立してもよい)。当然のことながら、このような実施形態では、第2の、ゲートセンサは、無線通信がアクティブであるかどうかを問わず、プロセッサとの常時通信を維持するためにプロセッサに有線接続されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、上で開示した構成は、落下防止システム及び/又は空中リフトを、オペレータが実際に存在するか否かを決定するように構成することにより強化してもよい。例えば、オーダーピッカーに、例えば、オーダーピッカーのプラットフォーム2上にオペレータが存在する(例えば、立っている)かどうかを決定する近接センサ(任意の適切なメカニズムによって動作する)が備えられてもよい。
【0058】
このような実施形態では、上述の機能のいくつかは、オペレータが存在しない場合には待機状態にされてもよい又はそうでなければ実行されなくてもよい。これにより、オペレータが存在しない場合には、例えば、ベースユニットが可視信号又は特に可聴信号を拡散しないことを可能にすることができる。オペレータが存在すると決定された場合には、その機能は、例えば必要であれば適切な時間遅延を伴って、完全に有効にされてもよい。例示的な説明では、オーダーピッカーの落下防止システムのベースユニットは、オペレータが存在することが検出されるときまで休止され得る。このようなとき、ベースユニットは、センサモジュールに問い合わせてコネクタの状態の表示を取得してもよい。ベースユニットが、コネクタがオペレータのハーネスのDリングに取り付けられているようではないという表示を直接受け取る又は表示から推測する場合、ベースユニットは通知(例えば、可視「準備未完」信号及び/又は可聴ビープ音、定常可聴信号、反復される「準備未完」という音声記録など)を拡散してもよい。特定の実施形態では、例えば可聴信号にさらされることなくコネクタをハーネスに取り付けるための時間をオペレータに与えるために、適切な遅延(例えば、5、10、又は15秒)が(特に任意の可聴信号に関する)システムに組み込まれてもよい。この時間遅延の最後に、例えば、コネクタが依然として例えばSRLのハウジングにドッキングされている又は密着していることを示す信号がセンサモジュールから受信された場合、及び/又はコネクタがハーネスに取り付けられているようであることを示す信号がセンサモジュールから受信されない場合、ベースユニットは、任意の適切な可視通知又は可聴通知(例えば「準備未完」)を拡散してもよい。同様に、コネクタがハーネスから取り外されているようであるという表示をベースユニットが受け取った場合、システムは、オペレータが、例えば可聴信号にさらされることなく、例えば、コネクタをドッキングさせること、リフトを出ることなどを可能にすることができる適切な短時間の時間遅延を許可してもよい。この時間遅延の後、コネクタがドッキングされたとセンサが報告しない場合(及び/又はオペレータが依然としてリフト上にいると近接センサが示す場合)、システムは通知を発行してもよい。このような構成の多くの変形が可能であることは理解されるであろう。
【0059】
任意の適切な近接センサを使用してもよい。(近接センサという用語は、一般に、プラットフォーム2上にオペレータが存在するかどうかを検出することができる任意のセンサを示すために使用され、センサは、実際の距離の定量的表示を必ずしも提供する必要はない)。いくつかの実施形態では、1つ以上の超音波近接センサを使用してもよい。いくつかの実施形態では、オペレータがプラットフォーム2上に立っているかどうかを決定するために、1つ以上の力、圧力、又は荷重センサがプラットフォーム2内に設置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の赤外線近接センサを使用してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のレーダ近接センサ、例えば24GHz又は60GHzで動作する例えばいわゆるレーダチップを使用してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、例えばDigi-Key Electronicsから入手可能な一般的なタイプの1つ以上の飛行時間レーザー近接センサ(例えば、STMicroelectronicsのVL53L1Xセンサ)を使用してもよい。いくつかの特定の実施形態では、オーダーピッカーのプラットフォーム2の全体を監視するために、オーダーピッカーのルーフ9に取り付けられた2つのこのようなセンサが使用され得る。任意のこのような近接センサは、ベースユニットから電力を受け取るために、ベースユニットに例えば有線接続されてもよい(代替的に、このようなセンサは、電力をオーダーピッカー自体の電気システムから直接受け取り得る)。
【0060】
ベースユニット、センサモジュール、オペレータ検知センサ(例えば近接センサ)などは、任意の所望の手法で通信することができる。このような通信は、例えば、wi-fi、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、Bluetooth、Zigbee、又は任意の適切な方法もしくはプロトコルによるものであるかどうかを問わず、無線であり得ると便利である。様々な実施形態においては、通信は、必要に応じて双方向であっても一方向であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、センサモジュールは、ベースユニットに無線送信してもよいが、逆の場合は異なる。このような実施形態では、センサモジュールは、例えば、センサの読取り値を例えば所定のスケジュールで取得し、結果をベースユニットに送信してもよい。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、所定のスケジュールに基づくかイベントに応答して(例えば、オペレータがオーダーピッカーのプラットフォーム上に乗ったという表示を近接センサが提供したとき)かは問わず、センサの読取り値を取得し、結果をベースユニットに戻すようにセンサモジュールに命令を送ってもよい。センサモジュール及びベースユニットは、例えば、(特に、複数の空中リフトが相当に近接して動作する場合)ベースユニットが適切なセンサモジュールと通信し、逆の場合も同様であることを確実にするために、電子ハンドシェイクなどを実施するような通常の手法で構成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、システムは、コネクタが特定の状態(例えば準備完了状態)にある場合、センサモジュールが、例えば通信モジュールがオフになる低電力状態に入るのではなく、アクティブなままであるように構成されてもよい。これにより、例えば、例えば準備未完状態への変化が検出された場合、この変化は、最小限の遅延を伴ってベースユニットに通信され得ることになり得る。これとは逆に、システムは、コネクタが特定の時間(例えば、30、60、又は120秒)にわたって準備未完状態にある場合、センサモジュールが、例えば通信モジュールがオフにされる低電力状態に入るように構成されてもよい。センサモジュールは、本明細書で上述した手法で第2の、ゲートセンサから割り込み信号が受信されるまでこの状態に留まってもよく、この時点で、センサモジュールは、低電力状態を終了することができる。当然ながら、必要であれば、いくつかの実施形態では、システムは、センサモジュールは、ステータスチェック、システムチェックなどを行うために、低電力状態から定期的に、例えば所定のスケジュールに基づいて復帰するように構成されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、ローカル通知(例えば、可視信号及び/又は可聴信号)のみを拡散するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、リモートユニット、例えば、スマートフォンに又は多くの落下防止システム及び/もしくは空中リフトの状態を監視することができる中央ハブに通知を提供するように構成されてもよい。このような構成は、上述したもののいずれかを含む任意の所望の通信方法、プロトコルなどを使用してもよい。当然ながら、様々な実施形態においては、本明細書に開示されるシステムによって監視される状態のいずれも、追跡目的などのために例えば中央ハブ又は監視ステーションに、例えば、記録され、報告されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、監視システムは、例えば周知のGPS法などによって、概ね水平方向におけるその物理的位置を追跡する能力を(例えばベースユニット内に)備えてもよい。このような能力により、空中リフト及び/又は落下防止システムの物理的位置に応じて、例えば、監視システムがアクションを取ることができる、通知を発行することができるなどの更なる動作モードを可能にし得る。例えば、空中リフト及び/又は落下防止システムが「フックを外しても安全な」領域として予め指定されていた領域内にあるようであることをシステムが検出した場合、システムは、コネクタがハーネスに接続されているようではないことをシステムが検出した場合であってもあらゆる通知の発行を控えることができる。これとは逆に、システムは、例えば「落下防止が必要」と指定された領域内ではこのような通知を発行し得る。このようなシステムはまた、例えば、使用者の挙動を追跡する、操作手順の遵守を強化するなどのために、落下防止システムの状態を空中リフトの物理的位置と併せて記録し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、監視システムは、落下防止システム(又はその任意の特定の構成要素)の物理的位置及び/又は少なくとも、垂直方向における空中リフトのオペレータプラットフォームの物理的位置を追跡することができてもよい。換言すると、いくつかの実施形態では、監視システムは、オペレータが床又は地面などの表面より上の上昇高さにいるようであるかどうかを(直接的に又は間接的に)検出及び監視するように構成された高度計である追加のセンサを備えてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、監視システムは、例えば、ライダーベースの高度計、圧力ベースの高度計などを備えてもよい。任意のこのような高度計は、高度計がベースユニットと通信することができる限りは、ベースユニット上に又は更にはその近辺に必ずしも取り付けられる必要はない。このような能力は、オペレータプラットフォームが上昇しているかどうかを空中リフト自体から直接確認するために、ベースユニットが空中ユニットと通信する能力の代わりに又はこれに加えて使用されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する落下防止監視システムは、監視システム(特に、そのベースユニット)の全てのこのような構成要素が空中リフトの制御部から独立して動作し、空中リフトの制御部と一切通信しない、空中リフトに対する独立型実体(例えば拡張機器)であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、オーダーピッカーに搭載されたベースユニットは、オーダーピッカーに有線接続されるのではなく独自の電源(例えば、1つ以上のバッテリー)を備えてもよい、及び/又はオーダーピッカーと(又はオーダーピッカーを制御する集中ハブと)一切通信しなくてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、ベースユニットは、例えば、空中リフトの動作と落下防止システムの状態とを様々な手法のいずれかにおいて連動する目的で、空中リフトと少なくともある程度まで通信してもよい。特定の例として、いくつかの実施形態では、オーダーピッカーは、落下防止監視システムのベースユニットがオーダーピッカーに、コネクタが、例えばドッキングステーションにドッキングされており、SRLに密着しているという通知を送信した場合、又は一般に、コネクタがオペレータのハーネスに取り付けられている以外の任意の状態にあるようである場合、下降位置から上昇しないように構成されてもよい。これとは逆に、落下防止システムは、ベースユニットが、オペレータプラットフォームがその第1の、下降位置にあるという表示を空中リフトから受け取った場合、通知を発行しないように(又は任意の通知を発行する前に時間遅延を適用するように)構成されてもよい。
【0067】
このような手法の多くのこのような変形形態が可能である。任意のこのような構成の実行可能性は、空中リフト及び落下防止監視システムの構成次第であり得る。そのような構成は、任意の特定の空中リフトでは必ずしも可能ではない場合があることは理解されるであろう。特定の実施形態では、ベースユニットは、空中リフトから電力を受け取るために有線接続されてもよいが、空中リフトと通信しない又は他の手法で相互作用しない(すなわち、監視システムは空中リフトと必ずしも連動しなくてもよい)。
【0068】
前述したように、いくつかの実施形態では、コネクタがハーネスに接続されているとき、ベースユニットは、コネクタがハーネスに接続されているようであることを示す能動的通知(例えば、可視及び/又は可聴)を拡散してもよい。他の実施形態では、コネクタがハーネスに接続されているとき、ハーネスへのコネクタの接続成功が達成されているようであることを示す能動的通知に必ずしも置換されることなく、以前に存在していた、コネクタがハーネスに接続されていないことを示す能動的通知が単に消失するだけでよい。上で詳述したように、発行される特定の通知は、このような通知が能動的であるか、受動的であるかを特に問わず、例えば、センサモジュールがどの物品に設置されているか、センサモジュールがどのように機能するように構成されているかなどによる場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、準備未完ステータスは、それが最初に発生したときに第1レベルの通知をトリガーしてもよい。例えば、視覚インジケータは、常時赤色に光っていてもよい。準備未完ステータスがある時間(例えば30秒)にわたって継続した場合、視覚表示は、例えば赤色の点滅にエスカレートしてもよい。準備未完ステータスが更に継続した場合、表示は、(例えば、可聴信号を伴ったより明るい点滅光に)更に一層エスカレートしてもよい。その一方で、準備完了ステータスは、それが最初に発生したときに、ある時間にわたって初期通知(例えば緑色光)をトリガーしてもよく、その後、通知は維持されてもよい又は消されてもよい。いくつかの実施形態では、ベースユニット及び通知ユニットは、様々な他の状態(例えば、起動時の初期システムチェック、Bluetooth接続の非存在、低バッテリーなど)に対応するために、様々な他の信号、例えば有色光、動きのパターン又は光の変化などを表示するように構成されてもよい。
【0070】
落下防止システムがドッキングステーションを含み、落下防止監視システムが、コネクタがドッキングステーションにドッキングされているようであるかを検知することができる特定の実施形態では、より複雑な状況が起こり得る。例えば、コネクタがドッキングされてもハーネスのDリングに取り付けられてもいないようである場合、ベースユニットは、非常に目立つ視覚通知(例えば、赤色及び/又は点滅する「未ドッキング」又は「未ドッキング/準備未完」通知)を、大音量の又は他の手法のかなり目立つ可聴通知と共に表示するように構成されてもよい。コネクタがドッキングされたようである場合、ベースユニットは、より中立的な可視通知(例えば、「ドッキング済み」又は「ドッキング済み/準備未完」通知)及び/又は異なる(例えば、より目立たない)可聴信号を表示してもよい。コネクタがハーネスのDリングに取り付けられているようである場合、ベースユニットは、緑色の「準備完了」信号を表示してもよく、あらゆる可聴信号の拡散を停止してもよい。上述の状況は単なる例示的な説明であり、多種多様な構成、信号の選択(例えば、色、任意の文章の表現、及び任意の可聴信号の音の大きさなど)などが可能であることは理解されるであろう。
【0071】
いくつかの実施形態では、落下防止監視システムのセンサモジュールは、単なる物品もしくはその一部分の存在又は非存在以上のものを検出することができる1つ以上のセンサを有して構成されてもよい。例えば、誘導検知に依存するセンサは、特定の閾値を上回るもしくは下回る信号の存在又は非存在が金属物品の存在又は非存在を単に示すという以上のものを報告するように構成されてもよい。特定の説明として、コネクタ上に存在するこのようなセンサは、コネクタが検出可能な(例えば金属)Dリングに取り付けられているようであるか否かについてのはい/いいえの表示を単に報告する以上のことを行うことができてもよい。むしろ、センサは、コネクタがDリングに取り付けられているようであるか、何らかの他の検出可能な物品(例えば、ドッキングステーションの金属構成要素など)に取り付けられているようであるかについての表示を提供することができてもよい。更に、このようなセンサは、これらの両方を、コネクタが任意の検出可能な物品に取り付けられているようではない状況と区別することができてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、このような構成は、1つ以上の指定の物品に、物品の誘導シグネチャを所定の手法で変更するように意図的に構成された拡張実体が備えられることにより強化され得る。例えば、コネクタに、複数の(すなわち3つ以上)誘導状態を検出及び区別することができるセンサが備えられている場合、Dリングに、その誘導シグネチャを変更する拡張実体が備えられてもよく、その一方で、ドッキングステーションにはこれが備えられていない(又は異なる拡張実体が備えられている)。あるいは、これら構成は逆にされ得る。あるいは、ハーネスの背面Dリングに、特定の拡張実体が備えられ得る一方で、ハーネスの任意の腰部Dリング(存在する場合)には異なる拡張実体が備えられ得る。これにより、監視システムが、コネクタが背面Dリング又は腰部Dリングに取り付けられているようであるかどうかの表示を提供することを可能にする。任意の適切な検知メカニズムによって可能とされる、このような手法の多くの変形形態が可能である。
【0073】
特に誘導検知に関しては、金属物品の誘導シグネチャを変換する目的で、特定の材料(例えばフェライト)が特に好適な場合がある。このような材料は、例えば、誘導シグネチャを変更することが望まれる金属物品上もしくはその付近に搭載され得る又は他の手法で配置され得る拡張実体を形成するために、例えば、被覆部、ラップ部、成形物品などに配置されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、センサが他の何らかの金属構成要素を検出する能力が強化されるように、誘導信号変換材料(例えば、フェライトラップ部)を使用して、ある金属構成要素を第1の、誘導センサから遮蔽してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、コネクタは金属フックの形態をとってもよく、成形プラスチックハウジングがフック上に取り付けられている。本明細書に記載されているセンサモジュール(例えば、プロセッサ、少なくとも1つの第1の、誘導センサ、少なくとも1つの第2の、ゲートセンサ、通信モジュールなどを備える)は、ハウジング内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、フェライトラップ部などの材料が金属フックの本体と第1のセンサとの間に置かれてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかのこのような第1のセンサが、フックの「ボウル部」の周りに間隔を開けて配置されてもよい。このような場合では、個々のフェライトラップ部が、金属フックの、各センサに最も近い部分に巻かれてもよい(代替的に、1つの適切にサイズ決めされたフェライトラップ部がボウル部の全長に巻かれてもよい)。いくつかの実施形態では、誘導信号変換材料は、必要に応じてハウジングに収まるように適切にサイズ決め及び成形され、かつ例えばフェライトなどの添加剤が装填される材料成形プラスチック部品の形態をとってもよい。任意のこのような構成は、フック自体の存在が、フックの開口部内の金属物品を検出する誘導センサの能力を妨げないことを確実にすることができる。当然ながら、いくつかの実施形態では、コネクタ(例えばフック)は、例えば、適切な特性を備えた炭素繊維強化(又は無機繊維強化)エンジニアリングプラスチックなどの非金属材料で構成されてもよい。このような場合、このような遮蔽は必要ない場合がある。
【0075】
本明細書における記述は、自己巻き取り式命綱に主に関係しているが、本明細書に開示される構成及び方法は、空中リフト、例えばオーダーピッカーと共に使用するのに適した任意の落下防止装置に適用可能であり得ることは理解されるであろう。このような落下防止装置は、例えば、SRLの方式でハウジングから必ずしも伸長可能でなくかつハウジングに収納可能でないランヤードの形態の命綱の形態をとってもよい。このようなランヤードは、位置決めランヤードと呼ばれることの多い製品を含んでもよい。特定の実施形態では、このようなランヤードは、落下の場合にエネルギーを逃がすように構成された少なくとも1つのエネルギー吸収体(例えばティアストリップなど)を含んでもよく、このようなランヤードは、エネルギー吸収ランヤードと呼ばれることが多い。したがって、本明細書に開示される構成及び方法は、様々な実施形態において、一般に、任意のそのようなランヤード及び全てのそのような落下防止装置に適用可能であると理解される。
【0076】
本明細書における記述はオーダーピッカーに主に関係しているが、本明細書に開示される構成及び方法は、あらゆる空中リフトに適用可能であり得ると理解される。空中リフトは、少なくとも概ね垂直方向に移動することができるプラットフォーム(側面が開いているか側面が一部開いているか側面が閉じているかは問わない)を備える任意の駆動式(例えば電動式)装置であり得る。いくつかの実施形態では(例えば、空中リフトがチェリーピッカー又はバケットトラックである場合)、プラットフォームは、純粋に垂直方向の移動に限定されるのではなく、水平方向及び/又は角度方向に可動であってもよい。多くの実施形態では、空中リフト全体が水平に移動することができてもよく、例えば、空中リフトは、垂直方向に上昇可能なプラットフォームを支持することに加えて、電動式であり、水平方向に操縦可能な本体(例えば乗物)を備えてもよい。
【0077】
様々な実施形態においては、本明細書に開示される落下防止システム及び落下防止監視システムが使用され得る空中リフトとしては、既に挙げた特定の装置及びカテゴリーに加えて、いわゆる空中作業プラットフォーム、シザーリフト、リーチトラック(可動キャリッジであるか可動マストであるかは問わない)、電動式幅狭通路用トラック(例えば、OSHAクラスII駆動式産業用トラック)などが挙げられる。従来より利用可能な一部のそのようなリフトには頭上設置落下防止装置(例えば、自己巻き取り式命綱(SRL))が必ずしも備えられていない場合がある。しかしながら、SRLをそのような空中リフトと共に使用することが望ましい場合、これを可能にするために、改変が、全ての適用される法律、規則、規範、基準などに準拠する限りは、リフトを特別に改変することができる(例えば、SRLが取り付けられ得る任意の適切な高さの垂直マストが備えられる)。
【0078】
本明細書に開示される特定の例示的な要素、構造、特色、詳細、構成などは、多数の実施形態において修正及び/又は組み合わせ可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる全ての変形及び組み合わせは、単に例示的な例示としての役割を果たすように選択された代表的な設計ではなく、着想された発明の範囲内にあると発明者は考える。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の例示的な構造に限定してはならず、少なくとも請求項の言語によって記載された構造及びそれらの構造の均等物に拡張される。本明細書において選択肢として積極的に記載されている要素はいずれも、所望に応じた任意の組み合わせで、請求項に明示的に含めてもよい、又は請求項から除外してもよい。オープンエンド言語(例えば、「を含む」とその派生語)で本明細書に記載される、要素のいずれか又は要素の組み合わせは、クローズドエンド言語(例えば、「からなる」とその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる」とその派生語)で更に記載されると考えられる。本明細書の記載と、参照によって本明細書に組み込んだいずれかの文書の開示との間に何らかの矛盾又は不一致が存在するが、それに対する優先性が主張されていない場合、本明細書の記載が優先するものとする。以下に例示的実施形態を示す。
[項目1]
人間の使用者によって装着されるように構成されたハーネスと、前記ハーネスに接続されるように構成されたコネクタを有する命綱を備える落下防止装置と、
ベースユニットを備え、かつ前記コネクタの状態を検知して、前記コネクタの前記状態を示す信号を前記ベースユニットに通信するように構成された少なくとも1つのセンサモジュールを備える落下防止監視システムと、
を備え、
前記ベースユニットは、前記コネクタの第1の状態を示す第1の信号が前記センサモジュールから受信された場合に第1の通知を発するように構成されており、前記コネクタの異なる第2の状態を示す異なる第2の信号が前記センサモジュールから受信された場合に異なる第2の通知を発するように構成されている、
落下防止システム。
[項目2]
前記第1の信号は、前記コネクタが前記ハーネスに取り付けられているようである第1の状態を示し、前記第1の通知は準備完了通知を含む、項目1に記載の落下防止システム。
[項目3]
前記第2の信号は、前記コネクタが前記ハーネスに取り付けられていないようである第2の状態を示し、前記第2の通知は準備未完通知を含む、項目1に記載の落下防止システム。
[項目4]
前記落下防止システムは、前記落下防止装置が使用されていないときに前記コネクタをドッキング可能なドッキングステーションを備え、前記第2の信号は、前記コネクタが前記ドッキングステーションにドッキングされているようであることを示し、前記第2の通知はドッキング済み通知を含む、項目1に記載の落下防止システム。
[項目5]
前記第2の通知は、可視準備未完通知及び/又は可聴準備未完通知を含む、項目1に記載の落下防止システム。
[項目6]
前記少なくとも1つのセンサモジュールは、前記落下防止システムの前記落下防止装置の前記コネクタに設置されている、項目1に記載の落下防止システム。
[項目7]
前記センサモジュールは、誘導センサである少なくとも1つの第1のセンサを備える、項目1に記載の落下防止システム。
[項目8]
前記センサモジュールは、前記少なくとも1つの第1の、誘導センサが前記コネクタの開口部内に金属物品を検出した場合に、前記コネクタの第1の状態を示す第1の、準備完了信号を通信するように構成されている、項目7に記載の落下防止システム。
[項目9]
前記センサモジュールは、前記少なくとも1つの第1の、誘導センサが前記コネクタの前記開口部内に金属物品を検出しない場合に、前記コネクタの第2の状態を示す第2の、準備未完信号を通信するように構成されている、項目8に記載の落下防止システム。
[項目10]
前記センサモジュールは、3つ以上の誘導状態を検出及び区別することができる少なくとも1つの誘導センサを備える、項目7に記載の落下防止システム。
[項目11]
前記コネクタはゲート式コネクタであり、前記センサモジュールは少なくとも1つの第2のセンサを備え、前記少なくとも1つの第2のセンサは、前記ゲート式コネクタのゲートがしっかりと閉じられた状態であるか、しっかりと閉じられていない状態であるかを検出するように構成されているゲートセンサである、項目7に記載の落下防止システム。
[項目12]
前記少なくとも1つの第2の、ゲートセンサは、前記ゲート式コネクタの前記ゲートの一部分に設置された磁気ビーコンを検出するように構成されているホール効果センサである、項目11に記載の落下防止システム。
[項目13]
前記コネクタは、前記ゲートを開くためにロック解除しなければならないロック機構を前記ゲートが備えるダブルアクションコネクタであり、前記磁気ビーコンは、前記ゲートの前記ロック機構に設置されている、項目12に記載の落下防止システム。
[項目14]
前記少なくとも1つの第1の、誘導センサは、前記少なくとも1つの第2の、ホール効果ゲートセンサが示す電力消費の少なくとも10倍超の電力消費を示し、前記センサモジュールは、前記ゲートのステータス変化が検出されたという信号が前記第2の、ホール効果ゲートセンサから受信されるまで、前記第1の、誘導センサを非アクティブ状態に維持するように構成されている、項目13に記載の落下防止システム。
[項目15]
項目1に記載の落下防止システムを備える空中リフト。
[項目16]
前記空中リフトはオーダーピッカーであり、前記落下防止装置は自己巻き取り式命綱を備え、前記ベースユニットは、前記オーダーピッカーの垂直パネルに取り付けられている、項目15に記載の空中リフト。
[項目17]
前記落下防止システムは近接検出器を備え、前記近接検出器は、前記オーダーピッカーの水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するかどうかを検出し、前記水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するかどうかの表示を前記ベースユニットに通信する、項目16に記載の空中リフト。
[項目18]
前記ベースユニットは、前記コネクタが前記ハーネスに取り付けられているようではない第2の、準備未完状態を示す第2の信号が前記センサモジュールから受信された場合、前記ベースユニットが、前記水平プラットフォーム上に人間のオペレータが存在するという表示を前記近接検出器から受け取っていない限り、前記ベースユニットは第2の、準備未完通知を発しないように構成されている、項目17に記載の空中リフト。
[項目19]
項目1に記載の落下防止システムのコネクタの状態を監視する方法であって、
前記コネクタの状態を検知することと、前記コネクタの前記状態を示す信号をベースユニットに通信することと、
前記コネクタの前記状態を示す前記信号に基づいて前記コネクタの前記状態の通知を発することと、
を含む、方法。
[項目20]
前記ゲート式フックの状態を検知するように構成されているセンサモジュールを備えるゲート式フックであって、前記センサモジュールは、
前記ゲート式フックの開口部内に金属物品が存在するかどうかを検出するように構成された誘導センサである少なくとも1つの第1のセンサと、
前記フックの前記ゲートが、しっかりと閉じられた状態であるかしっかりと閉じられていない状態であるかを決定するように構成された少なくとも1つの第2の、ゲートセンサと、
を備え、
前記センサモジュールは、前記第1の、誘導センサを非アクティブ状態に維持し、前記ゲートの前記状態の変化が検出されたという信号が前記第2の、ゲートセンサから受信された場合、前記第1の、誘導センサを、所定時間にわたってアクティブ化するように構成されており、かつ
前記センサモジュールは、前記第2の、ゲートセンサが、前記ゲートがしっかりと閉じられていることを検出した場合、かつ、前記所定時間内に前記第1の、誘導センサが前記コネクタの前記開口部内に金属物品を検出した場合、前記センサモジュールは、前記ゲート式フックの準備完了状態を示す信号を発行するように構成されている、
ゲート式フック。
[項目21]
前記少なくとも1つの第1の、誘導センサは、前記少なくとも1つの第2の、ゲートセンサの電力消費の少なくとも10倍超の電力消費を有する、項目20に記載のゲート式フック。
図1
図2
図3
図4