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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】多層インフレーションフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240725BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20240725BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20240725BHJP
   B29C 48/32 20190101ALI20240725BHJP
   B29C 48/885 20190101ALI20240725BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B29C48/10
B29C48/21
B29C48/32
B29C48/885
B65D65/40 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021570152
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020036053
(87)【国際公開番号】W WO2020247581
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】62/858,108
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ランヒ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョンヨン
(72)【発明者】
【氏名】カルドス、ローリ エル.
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ラジャン エム.
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ムンジ、フリシケーシュ アール.
(72)【発明者】
【氏名】カルヤラ、テレサ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、ホセ エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】デューク、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ニエト、ヘスス
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0252745(US,A1)
【文献】特表2020-534177(JP,A)
【文献】特表2015-536847(JP,A)
【文献】特表2022-527262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/002
B29C 48/10
B29C 48/21
B29C 48/32
B29C 48/885
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層インフレーションフィルムであって、
第1のスキン層および第2のスキン層であって、前記第1のスキン層および前記第2のスキン層のうちの少なくとも1つが、80~100重量パーセント(重量%)の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含み、前記LLDPEが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I,2.16kg,190℃)、2.5~5.5の分子量分布(MWD)、0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値、次式I 10 /I ≧7.0-1.2×log(I を満たすメルトインデックス比(I10/I、I10、10kg、190℃)、および1.0~3.0のゼロせん断粘度比(ZSVR)値を有する、第1のスキン層および第2のスキン層と、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間のコア層であって、前記コア層が、70~100重量%の第2のLLDPEを含み、前記重量%が前記コア層の総重量に基づき、前記第2のLLDPEが、0.910~0.935g/cm密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I 10 /I ≧7.0-1.2×log(I を満たすメルトインデックス比、および1.0~3.0のZSVR値を有する、コア層と、
第1の内層および第2の内層であって、前記第1の内層および前記第2の内層のうちの少なくとも1つが、80~100重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、前記HDPEが、0.940~0.970g/cmの密度を有する、第1の内層および第2の内層と、を含み、
前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度、および15~150μmの総厚を有する、多層インフレーションフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定された場合、10~40%のクリープひずみを有する、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項3】
前記フィルムが、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドで試験されたときに、100μmのフィルム厚において、540~570gのダート落下を有する、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項4】
前記第1の内層および前記第2の内層の各々が、前記多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項5】
前記コア層が、前記多層インフレーションフィルムの10~40体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項6】
前記第1のスキン層および前記第2のスキン層の各々が、前記多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項7】
前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されている前記フィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.935g/cmの密度を有する、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項8】
前記LLDPEと前記第2のLLDPEとの組み合わせが、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づいて、10~80体積パーセント(体積%)の量で存在する、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項9】
前記多層インフレーションフィルムが、50~120μmの総厚を有する、請求項1に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項10】
前記多層インフレーションフィルムが、5つの層を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項11】
前記第1の内層および前記第2の内層が、前記HDPEを含み、同じ組成を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層インフレーションフィルム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の前記多層インフレーションフィルムを含む、重包装輸送袋。
【請求項13】
多層インフレーションフィルムを形成する方法であって、
第1のスキン層および第2のスキン層を調製するステップであって、前記第1のスキン層および前記第2のスキン層のうちの少なくとも1つが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5の分子量分布(MWD)、0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値、次式I 10 /I ≧7.0-1.2×log(I を満たすメルトインデックス比(I10/I、I10、10kg、190℃)、および1.0~3.0のゼロせん断粘度比(ZSVR)値を有する、80~100重量パーセント(重量%)の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、第1のスキン層および第2のスキン層を調製するステップと、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間にコア層を調製するステップであって、前記コア層が、70~100重量%の第2のLLDPEを含み、前記重量%が前記コア層の総重量に基づき、前記第2のLLDPEが、0.910~0.935g/cm密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、3.0~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I 10 /I ≧7.0-1.2×log(I を満たすメルトインデックス比(I10/I)、および1.0~3.0のZSVR値を有する、コア層を調製するステップと、
第1の内層および第2の内層を調製するステップであって、前記第1の内層および前記第2の内層のうちの少なくとも1つが、80~100重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、前記HDPEが、0.940~0.970g/cmの密度を有する、第1の内層および第2の内層を調製するステップと、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層、前記コア層、および前記第1の内層と前記第2の内層から前記多層インフレーションフィルムを形成するステップであって、100μmのフィルム厚を有する前記多層インフレーションフィルムが、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドで試験した場合、540~750gのダート落下、本明細書の試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定された場合、10~40%のクリープひずみを有し、前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度、および15~150μmの総厚を有する、多層インフレーションフィルムを形成するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記多層インフレーションフィルムを形成することが、インフレーション押出または共押出によって行われる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、多層フィルム、より具体的には、重包装輸送袋の用途で使用するための多層インフレーションフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
重包装輸送袋(HDSS)は、食品、化学、および製薬業界の幅広い用途に使用することができる。これらは時間およびコストを節約する包装ソリューションであり、高度な製品保護を可能にする。HDSSは通常、パレットに載せられて積み重ねられる。HDSSの耐クリープ性が不十分な場合、パレット底部において袋の変形が生じ得る。その後、パレットが不安定になり、転倒して製品が損失する可能性を増加させる。従来のHDSSは通常、3層のフィルム構造を有する。ただし、HDSSの強度および完全性を損なうことなく、それを継続的にダウンゲージしたいというのが1つの問題である。HDSSのダウンゲージ化に伴い、HDSSで使用される従来の3層フィルム構造では、靭性クリープひずみにおいてバランスの取れた特性を提供することができなくなってきている。そのため、当技術分野では、HDSSおよび他の用途に要求される過酷さに耐えることができる多層フィルムが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、重包装輸送袋(HDSS)に好適な多層インフレーションフィルムを提供する。本開示の多層インフレーションフィルムは、とりわけ、第1のスキン層、第2のスキン層、コア層、第1の内層、および第2の内層を含み、これらは一体となって、HDSSに必要な完全性および強度を損なわないダウンゲージ化されたHDSSを生成するのに役立つ。
【0004】
本開示の多層インフレーションフィルムは、第1のスキン層および第2のスキン層を含み、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、80~100重量パーセント(重量%)の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。第1のスキン層および第2のスキン層の少なくとも1つのLLDPEは、0.910~0.935g/cmの密度、および0.2~2g/10分のメルトインデックス(I2、2.16kg、190℃)を有する。第1のスキン層および第2のスキン層の少なくとも1つのLLDPEはまた、次式I10/I≧7.0-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I2、10、10kg、190℃)を有する。LLDPEはまた、1.0~3.0の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)値を有する。さらに、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEは、2.5~5.5の範囲の分子量分布(MWD)および0.9~10の範囲の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値を有する。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層は、LLDPEを含み、同じ組成を有する。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層の各々は、多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。
【0005】
多層インフレーションフィルムは、第1のスキン層と第2のスキン層との間にコア層を含む。コア層は、0.910~0.935g/cmの範囲の密度、コア層の総重量に基づく重量%、および0.2~2g/10分の範囲のメルトインデックスを有する70~100重量%(代替的に、80~100重量%)の第2のLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムのコア層の第2のLLDPEは、0.915~0.925g/cmの密度を有する。コア層の第2のLLDPEは、2.5~5.5の範囲のMWD、0.9~10のMWCDI値、および次式I10/I≧7-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I2)を有する。コア層の第2のLLDPEのZSVR値は、1.0~3.0の範囲である。いくつかの実施形態では、コア層は、多層インフレーションフィルムの10~40体積%を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。
【0006】
多層インフレーションフィルムは、第1の内層および第2の内層を含む。さらに、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、80~100重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。HDPEは、0.941~0.970g/cmの密度を有する。いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層は、HDPEを含み、同じ組成を有する。いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層の各々は、多層インフレーションフィルムの10~30体積%を構成することができ、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。
【0007】
いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、10~80体積%のLLDPEと第2のLLDPEとの組み合わせを有し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。フィルム厚が15~150μmの多層インフレーションフィルムは、ASTM D1709アルミニウムダートヘッドの方法Aで試験した場合、ダート落下は、540~750gになる。例えば、フィルム厚が100μmの多層インフレーションフィルムは、ASTM D1709アルミニウムダートヘッドの方法Aで試験した場合、ダート落下は、540~750gになる。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925g/cm~0.940g/cmの密度を有する。代替の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925g/cm~0.935g/cmの密度を有する。多層インフレーションフィルムは、本開示の試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定した場合、10~40%のクリープひずみを有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、5つの層を有する。追加の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、第1のスキン層、第2のスキン層、コア層、第1の内層、および第2の内層から形成された5つの層のみを有し、これらが一体となって、多層インフレーションフィルムの5つの層を提供する。多層インフレーションフィルムの総厚は、15~150μmである。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、50~120μmの総厚を有する。多層インフレーションフィルムを形成する方法は、第1のスキン層および第2のスキン層を準備するステップであって、第1のスキン層および第2のスキン層の少なくとも1つが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I10/I≧7.0-1.2 Xlog(I2、2.16kg、190℃)を満たすメルトインデックス比、および1.0~3.0のZSVR値を有するLLDPEを含む、第1のスキン層および第2のスキン層を調製するステップと、第1のスキン層と第2のスキン層との間にコア層を準備するステップであって、コア層が第2のLLDPEを含み、第2のLLDPEが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I2、2.16kg、190℃)、2.5~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I10/I≧7-1.2xlog(I、2.16kg、190℃)を満たすメルトインデックス比、および1.0~3.0のZSVR値を有する、コア層を調製するステップと、第1の内層および第2の内層を調製するステップであって、第1の内層および第2の内層の少なくとも1つがHDPEを含み、HDPEが0.940~0.970g/cmの密度を有する、第1の内層および第2の内層を調製するステップと、第1のスキン層と第2のスキン層、コア層、および第1の内層と第2の内層から多層インフレーションフィルムを形成するステップであって、100μmのフィルム厚を有する多層インフレーションフィルムが、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドで試験した場合、540~750gのダート落下、および本開示の試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定された場合、10~40%のクリープひずみを有し、多層インフレーションフィルムが、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度を有する、多層インフレーションフィルムを形成するステップと、を含む。多層インフレーションフィルムは、15~150μmの総厚を有することができる。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムを形成することは、インフレーション押出または共押出によって行われる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、重包装輸送袋(HDSS)のための多層インフレーションフィルムを提供する。様々な実施形態において、本開示の多層インフレーションフィルムは、5つ以上の層を有することができる。例えば、本開示の多層インフレーションフィルムは、とりわけ、第1のスキン層、第2のスキン層、コア層、第1の内層、および第2の内層を含み、これらは、一体となって、HDSSの必要な完全性および強度を損なわないダウンゲージ化されたHDSSを生成するのに役立つ。本開示の多層インフレーションフィルムはまた、6つの(6)層、7つの(7)層、またはそれ以上を有することができる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「コア」層、「スキン」層、および「内」層は、便宜上使用される単なる識別子であり、本明細書で特に指定されない限り、個々の層、それらの相対位置、または積層構造に対する制限として解釈されるべきではない。
【0011】
相反する記載がないか、文脈から暗黙的でないか、または当技術分野で慣例的でない限り、本明細書のすべての部およびパーセンテージは、考察されている材料(例えば、本明細書で考察されているコア層)の総重量に基づいており、すべての温度は、摂氏(℃)であり、すべての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものである。
【0012】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0013】
「ポリマー」は、同じ種類かまたは異なる種類にかかわらず、モノマーを重合させることによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造内に組み込まれ得るという理解の下に、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、コポリマーという用語、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれている場合がある。ポリマーは、単一ポリマー、ポリマーブレンド、またはポリマー混合物であり得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマー(2種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3種類以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0015】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。疑義が生じないようにするために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して主張されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらずに、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列記されていないいずれの構成要素、ステップ、または手順も除外する。
【0016】
「ポリエチレン」という用語は、エチレンモノマーに由来する、50重量%を超える単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、当技術分野において一般に既知であるが、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する上で役立ち得る。
【0017】
「LDPE」という用語は、「高圧エチレンポリマー」または「高度分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用することによって、14,500psi(100MPa)を超える圧力で、オートクレーブまたは管状反応器において、部分的または完全に単独重合または共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,916,667号、米国特許第8,871,887号、米国特許第8,822,601号、米国特許第9,228,036号、米国特許第9,765,160号を参照されたい)。
【0018】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラー・ナッタ触媒システム、ならびにビスメタロセン触媒(「m-LLDPE」またはメタロセン-LLDPEと称されることもある)および束縛構造触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂の両方を含み、直鎖状、実質的に直鎖状、または異種ポリエチレンコポリマーもしくはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも長鎖分岐が少なく、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,773,155号においてさらに定義されている実質的に直鎖状エチレンポリマー、米国特許第3,645,992号に記載されているような均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されたような不均質に分岐したエチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342号に開示されているようなもの)を含む。LLDPEは、当技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製することができる。
【0019】
「HDPE」という用語は、約0.940g/cmを超える密度を有するポリエチレンを指し、一般的にはチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはビスメタロセン触媒および束縛構造触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される。
【0020】
「多層インフレーションィルム」という用語は、本明細書で提供されているようにポリマー組成物から形成された5つ(5)以上の層を有するフィルムを指す。多層インフレーションフィルムに加えて、本開示は、これらに限定されないが、多層シート、積層フィルム、多層剛性容器、多層パイプ、および多層コーティングされた基板を可能にすることができる。
【0021】
本明細書で提供されるすべての密度は、特に明記しない限り、ASTM D-792に従って測定される。本明細書に提供されているすべてのメルトインデックス(I)値は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、2.16kgで測定されている。本明細書に提供されているすべてのメルトインデックス(I10)値は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、10kgで測定されている。本明細書に提供されているすべてのメルトインデックス(I21)値は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、21.6kgで測定されている。値をg/10分で報告し、これは10分当たりに溶出したグラムに対応する。重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)を測定するための技術は、当技術分野で既知であり、本明細書の試験方法セクションに提供されている手順に従って測定されている。本明細書で提供される分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値は、本明細書の試験方法セクションで提供されている手順に従って測定されている。本明細書で提供されているゼロせん断粘度比(ZSVR)値は、本明細書の試験方法セクションで提供されている手順に従って測定されている。追加の特性および試験方法は、本明細書でさらに説明される。
【0022】
第1のスキン層および第2のスキン層
本開示の多層インフレーションフィルムは、本明細書で提供されるように、それぞれが直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)またはLLDPEと低密度ポリエチレン(LDPE)とのブレンドを含む、第1のスキン層および第2のスキン層を含む。様々な実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層の各々は、多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層の各々は、10~25体積%、代替の実施形態では10から20体積%を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、80~100重量%のLLDPEを含むことができ、LLDPEは、本明細書に記載されるように、0.910~0.935g/cmの密度および0.2~2g/10分の範囲のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有し、かつ本明細書に記載されているように、20~0重量%のLDPEを含むことができ、重量%は、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されているように、90~95重量%のLLDPEおよび10~5重量%のLDPEを含み、重量%は、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく。代替の実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されているように、95~100重量%のLLDPEおよび5~0重量%のLDPEを含み、重量%は、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されているように、0.910~0.935g/cmの密度および0.2~2g/10分の範囲のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有する80~100重量%のLLDPEから本質的になり、かつ本明細書に記載されているように、任意選択的に20~0重量%のLDPEからなり、重量%は、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく。様々な実施形態において、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるように、添加剤を含むことができる。
【0024】
第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEはまた、2.5~5.5の範囲の分子量分布(MWD)および0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値を有する。第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEはまた、次式I10/I≧7-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I)を有する。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEは、本明細書に記載されているように、7.0~9.2のメルトインデックス比(I10/I)を有し、7~9.2のすべての個々の値および副次的範囲は、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、LLDPEは、7、7.1、7.2、7.3、7.5、7.9、または8.5の下限~8.6、8.7、8.8、8.9、9、または9.2の上限のメルトインデックス比(I10/I)を有することができる。いくつかの実施形態では、LLDPEは、本明細書に記載されるように、25~40のメルトインデックス比(I21/I)を有することができ、25~40のすべての個々の値および副次的範囲は、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、LLDPEは、25、27、30、32、または34の下限~33、35、37、39、または40の上限のメルトインデックス比(I21/I)を有することができる。
【0025】
第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEはまた、1.0~3.0の範囲のZSVR値を有する。いくつかの実施形態では、第1のスキン層および第2のスキン層のうちの少なくとも1つのLLDPEのZSVR値は、1.2~3.0であり、他の実施形態では、1.5~3.0である。いくつかの実施形態では、LLDPEのZSVR値は、1.2~2.5であり、代替の実施形態では、1.5~2.5であり、さらに別の代替の実施形態では、1.2~2.0であり、他の実施形態では、1.2~3.0である。
【0026】
コア層
様々な実施形態において、多層インフレーションフィルムは、第1のスキン層と第2のスキン層との間にコア層を含む。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、第1の内層と第2の内層との間にコア層を含む。様々な実施形態では、コア層は、コアポリマーの単一の隣接(例えば、離散)層から形成され、コアポリマーの2つ以上の隣接層を使用して形成されない。代替の実施形態では、コア層は、コアポリマーの2つ以上の層から形成することができる。
【0027】
様々な実施形態において、コア層は、多層インフレーションフィルムの10~40体積パーセント(体積%)を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。いくつかの実施形態では、コア層は、多層インフレーションフィルムの15~35体積%、代替の実施形態では17~30体積%、さらに別の代替の実施形態では、20~30体積%を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。
【0028】
コア層は、ASTM D-1238に従って測定され、本開示の試験方法セクションに記載されているように、0.910~0.935g/cmの密度および0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有する第2の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。コア層の第2のLLDPEは、第1または第2のスキン層のLLDPEと同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第2のLLDPEは、0.910~0.930g/cm、および代替の実施形態では、0.915~0.925g/cmの密度を有する。いくつかの実施形態では、コア層は、70~100重量パーセント(重量%)の第2のLLDPEと、30~0重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、添加剤、および/またはそれらの組み合わせと、を含むことができ、重量%は、コア層の総重量に基づく。いくつかの実施形態では、コア層は、80~100重量%の第2のLLDPEと、20~0重量%のLDPE、HDPE、添加剤、および/またはそれらの組み合わせと、を含むことができ、重量%は、コア層の総重量に基づく。代替の実施形態では、コア層は、90~100重量%の第2のLLDPEと、10~0重量%のLDPE、HDPE、添加剤、および/またはそれらの組み合わせと、を含むことができ、重量%は、コア層の総重量に基づく。
【0029】
第2のLLDPEはまた、0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)の値を有する。例えば、第2のLLDPEは、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、または3の下限~4、5、6、7、8、9、または10の上限のMWCDIの値を有することができる。
【0030】
第2のLLDPEは、次式I10/I2≧7-1.2×log(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I)を有する。いくつかの実施形態では、第2のLLDPEは、7~9.2のメルトインデックス比(I10/I)を有し、7~9.2のすべての個々の値および副次的範囲は、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、第2のLLDPEは、7、7.1、7.2、7.3、7.5、7.9、または8.5の下限~8.6、8.7、8.8、8.9、9、または9.2の上限のメルトインデックス比(I10/I)を有することができる。いくつかの実施形態では、第2のLLDPEは、25~40のメルトインデックス比(I21/I)を有し、25~40のすべての個々の値および副次的範囲は、本明細書に含まれ、開示されている。例えば、第2のLLDPEは、25、27、30、32、または34の下限~33、35、37、39、または40の上限のメルトインデックス比(I21/I)を有することができる。I、I10、およびI21のメルトインデックス値は、本開示の試験方法セクションに記載されているように、ASTM D-1238に従って測定されている。
【0031】
第2のLLDPEは、分子量分布(MWD)を有し、2.5~5.5、代替の実施形態では3.0~4.5、さらに別の代替の実施形態では3.0~4.0の数平均分子量(Mw/Mn)で重量平均分子量を除算したものとして定義される。
【0032】
第2のLLDPEのゼロせん断粘度比(ZSVR)値は、1.0~3.0の範囲である。いくつかの実施形態では、第2のLLDPEのZSVR値は、1.2~3.0、および他の実施形態では、1.5~3.0の範囲である。いくつかの実施形態では、第2のLLDPEのZSVR値は、1.2~2.5、代替の実施形態では、1.5~2.5、さらに別の代替の実施形態では、1.2~2.0、他の実施形態では、1.2~3.0の範囲である。
【0033】
コア層に使用できる市販の第2のLLDPEの例は、Dow,Inc.から「INNATE(商標)」エチレン/1-オクテン強化ポリエチレンおよび「ELITE(商標)」エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの商品名で入手可能なエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。第2のLLDPEの別の例には、ExxonMobil Chemicalから入手可能な「EXCEED(商標)XP」が含まれる。
【0034】
LDPE
いくつかの実施形態では、第1のスキン層、第2のスキン層、および/またはコア層のうちのいずれか1つに使用されるLDPEは、0.1~9g/10分、代替の実施形態では0.2~6g/10分、さらに別の代替の実施形態では0.2~4g/10分、他の実施形態では0.25~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有することができる。メルトインデックスは、ポリマーの重量平均分子量に反比例する。したがって、重量平均分子量が大きいほどメルトインデックスは低くなるが、その関係は線形ではない。LDPEは、0.917~0.935g/cmの密度を有することができる。いくつかの実施形態では、LDPEは、0.917~0.925g/cmの密度を有する。
【0035】
本開示のLDPEは、当業者に既知の高圧フリーラジカル製造プロセスを使用して作製することができる。LDPEは、通常ホモポリマーであるが、少量のコモノマー(コモノマーに由来する重量単位での1パーセント(1%)未満)を含有し得る。第1のスキン層、第2のスキン層および/またはコア層のうちのいずれか1つで使用できるLDPEの市販の例には、例えば、Dow,Inc.からDOW(商標)LDPE150E、303E、320E、310E、450Eとして、または商品名「AGILITY(商標)」、および他の多くのグレードで入手可能なもの、ならびにLyondellBasell Industriesから「LUPOLEN」および「PETROTHENE」の商品名で入手可能なものが含まれる。
【0036】
第1の内層および第2の内層
多層インフレーションフィルムは、第1のスキン層と第2のスキン層との間に位置決めされた第1の内層および第2の内層を含む。様々な実施形態において、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。様々な実施形態では、第1の内層および第2の内層の各々は、多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、体積%は、多層インフレーションフィルムの総体積に基づく。いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層の各々は、10~25体積%、代替の実施形態では、15~20体積%を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、重量%が、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく、80~100重量%のHDPE、および代替の実施形態では、95~99重量%のHDPEを含むことができる。80~99.5重量%のすべての個々の値および副次的範囲が本明細書に含まれ、開示されており、例えば、第1の内層および第2の層のうちの少なくとも1つは、94~99.5重量%または97~99重量%のHDPEを含むことができる。第1の内層および第2の内層の各々の残りの重量%は、本明細書に記載されているように、LLDPE、LDPE、添加剤、および/またはそれらの組み合わせで構成される。いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されているように、本質的に80~100重量%のHDPEと、任意選択的に20~0重量%のLLDPE、LDPE、添加剤、および/またはそれらの組み合わせと、からなり得、重量%は、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つの総重量に基づく。
【0038】
HDPEは、0.940~0.970g/cmの密度、いくつかの実施形態では0.942~0.965g/cmの密度、代替の実施形態では0.944~0.965g/cm、さらに別の代替の実施形態では0.950~0.965g/cmを有する。いくつかの実施形態では、HDPEは、0.945~0.965g/cmの密度を有するエチレンのコポリマーである。
【0039】
実施形態では、HDPEは、0.01~10g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有する。いくつかの実施形態では、HDPEは、0.2~10g/10分、代替の実施形態では0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)を有する。
【0040】
本開示で使用されるHDPEポリマーは、当技術分野で周知であり、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはビスメタロセン触媒および束縛構造触媒を含むが、これらに限定されない、シングルサイト触媒を用いた気相、溶液、またはスラリー重合などの既知の技術によって調製することができる。
【0041】
HDPEは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるように、ユニモーダルまたはマルチモーダル(例えば、バイモーダル)であり得る。「ユニモーダルHDPE」は、多成分ポリマーを呈さない、すなわち、ハンプ、肩部または尾部が存在しないか、またはGPC曲線で実質的に識別できるMWD(GPCによって測定)を有するHDPEポリマーであり、分離の程度はゼロまたは実質的にゼロに近い。「マルチモーダルHDPE」は、GPC曲線に多成分(例えば、ハンプ、肩部、尾部、識別可能なピーク)を呈する。
【0042】
第1の内層および/または第2の内層に使用できる市販のHDPEの例には、例えば、Dow,Inc.から商品名「DMDH6400」で入手可能なもの、およびLyondellBasell Industriesから入手可能な「Petrothene LR765701」が含まれる。
【0043】
上記のように、本開示の多層インフレーションフィルムは、とりわけ、第1のスキン層、第2のスキン層、コア層、第1の内層、および第2の内層を含み得る5つ以上の層を含むことができ、これらは一体となって、HDSSの必要な完全性および強度を損なわないダウンゲージ化されたHDSSを生成するのに役立つ。また、前述のように、本開示の多層インフレーションフィルムはまた、6つの(6)層、7つの(7)層またはそれ以上を有することができる。上記の層の場合、多層インフレーションフィルムは、「再利用樹脂」(または「PCR」)を含み、かつ/またはそれから完全に形成することができる。これには、PCRのうちの1つ以上を上記で特定された層(層は100重量%未満のPCRを使用して形成される)のうちの1つ以上に組み込む(例えば、ブレンドする)こと、および/または上記で特定された層のうちの1つ以上をPCRから完全に形成すること(層は100重量%のPCRから形成される)が含まれ得る。当技術分野で既知であるように、PCRは、消費者または産業用途で以前に使用された材料を含むポリマー材料である。PCRは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、またはポリ塩化ビニルのうちの1つ以上を含み得る。上記のように、PCRは、本開示の多層インフレーションフィルムのスキン層、内層および/またはコア層のいずれかに組み込まれ、かつ/またはそれらを形成することができる。言い換えれば、PCRは、多層フィルムの層のうちのいずれか1つまたは複数の層の中に存在する、かつ/またはそれを形成することができる。好ましくは、PCRは、コア層を形成するか、またはそれに組み込まれ得、これは、多層フィルムの特性をよりよく保存するのに役立ち得る。本開示の多層インフレーションフィルムで使用される場合、PCRは、多層フィルムの10~80重量パーセント(重量%)を占めることができる(多層インフレーションフィルムの総重量に基づく重量パーセント)。
【0044】
多層インフレーションフィルムの形成
多層インフレーションフィルムは、概して、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を用いて生成され得る。例えば、多層インフレーションフィルムは、共押出によって生成することができる。多層インフレーションフィルム押出の技術は、薄いプラスチックフィルムの生成で周知である。好適な多層インフレーションフィルムのプロセスは、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk-Othmer,Third Edition,John Wiley & Sons,New York,1981,Vol.16,pp.416-417 and Vol.18,pp.191-192に記載されている。
【0045】
共押出多層インフレーションフィルムの形成は当技術分野で既知であり、本開示に適用可能である。「共押出」という用語は、2つ以上の材料を、2つ以上のオリフィスが配置された単一のダイを通して押出し、それにより、押出物が互いに合流して層状構造になるプロセスを指し、いくつかの実施形態では、共押出プロセスは、冷却または急冷の前に行われる。多層インフレーションフィルムを作製するための共押出システムは、共通のダイアセンブリに供給する少なくとも2つの押出機を使用する。押出機の数は、共押出フィルムを構成する異なる材料の数に依存する。異なる材料ごとに、異なる押出機が使用される。したがって、5層の共押出には、最大で5つの押出機が必要になる場合があるが、2つ以上の層が同じ材料で作製されている場合は、使用する押出機は少なくなり得る。
【0046】
多層インフレーションフィルムの隣接する層は、任意選択的に互いに直接接着されるか、または代替的に、特にそれらの間で接着を達成する目的で、それらの間に接着剤、タイ、もしくは他の層を有し得る。層の構成要素は、所望の目的を達成するために選択される。
【0047】
多層インフレーションフィルムは、当技術分野で既知のように、消費者および工業製品のライナー、シートおよびチューブ、農業用フィルム、温室用フィルム、建設用フィルム、重包装輸送袋フィルムなど、様々な理由で使用することができる。例えば、本開示の多層インフレーションフィルムは、重包装輸送袋フィルムを形成する際に使用される。
【0048】
重包装輸送袋フィルム
重包装輸送袋フィルムの場合、本開示の多層インフレーションフィルムは、15~150μmの厚さである。他の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、15~100μmの厚さを有する。他の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、50~120μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、50~140μm、別の例では70~140μm、別の例では100~140μm、別の例では70~120μm、別の例では70~100μmの厚さを有し、代替の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、75~110μmの厚さを有し、さらに別の代替の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、80~100μmの厚さを有する。本開示の多層インフレーションフィルムは、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度を有する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925g/cm~0.935g/cmの密度を有する。代替の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925g/cm~0.931g/cmの密度を有する。このような多層インフレーションフィルムは、フィルムの完全性および強度を損なうことのない、ダウンゲージ化された重包装輸送袋の生成に役立つ。
【0049】
多層インフレーションフィルム構造に関して本明細書で考察される他の物理的特性に加えて、多層インフレーションフィルム構造は、15~150μmの範囲の厚さにおいて、典型的には少なくとも540g、しばしばはるかに高いダート落下を呈する。いくつかの実施形態では、100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムは、少なくとも540gのダート落下を有する。いくつかの実施形態では、100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムは、550g以上のダート落下を有する。いくつかの実施形態では、100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムは、570g以上のダート落下を有する。他の実施形態では、100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムは、650g以上のダート落下を有する。さらに他の実施形態では、100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムは、700g以上のダート落下を有する。例えば、本開示の100μmの厚さを有する多層インフレーションフィルムのダート落下は、ASTM D1709、アルミニウムダートヘッドの方法Aの手順に従って測定された場合、540~750gまたは550~750gの範囲である。
【0050】
本開示の試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法の測定の説明によれば、多層インフレーションフィルム構造は、典型的には、40%以下のクリープひずみを呈する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、35%以下のクリープひずみを有する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、30%以下のクリープひずみを有する。他の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、25%以下のクリープひずみを有する。さらに他の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、20%以下のクリープひずみを有する。例えば、本開示の多層インフレーションフィルムのクリープひずみは、10~45%の範囲である。
【0051】
多層インフレーションフィルムは、ASTM D882に従って測定した場合、縦方向(MD)で300~600Mpa、および横方向(CD)で350~700Mpaの2%割線係数を有する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、MDで350~550Mpa、およびCDで350~600Mpaの2%割線係数を有する。代替の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、MDで370~530Mpa、およびCDで380~600Mpaの2%割線係数を有する。
【0052】
多層インフレーションフィルムは、15~150μmの範囲の厚さにおいてASTM D1922に従って測定した場合、MDで300~1500gf、CDで600~2500gfのエルメンドルフ引裂を有する。いくつかの実施形態では、多層インフレーションフィルムは、MDで350~1500gf、およびCDで650~2400gfのエルメンドルフ引裂を有する。他の実施形態では、多層インフレーションフィルムは、MDで400~1500gf、およびCDで700~2400gfのエルメンドルフ引裂を有する。
【0053】
さらに、本開示の多層インフレーションフィルムは、他の既知のシステム(例えば、比較例のフィルムを生成したシステム)と比較して、低い押出機背圧で生成することができる。より低い背圧によるより良好な加工性を認識し、これは、より高い出力が可能を可能にする。すなわち、すべての処理パラメータが同じであれば、本明細書に開示されている多層インフレーションフィルムの選択および組成により、他の既知のシステムと比較して、より低い圧力での操作が可能になる。さらに、多層インフレーションフィルムの選択および組成は、多層インフレーションフィルムの必要な完全性および強度を損なうことのないダウンゲージ化された多層インフレーションフィルムを生成するのに役立つ。
【0054】
添加剤
添加剤は、任意選択的に、多層インフレーションフィルムの各層に含まれる。添加剤は、当技術分野内では周知である。そのような添加剤には、例えば、フリーラジカル阻害剤および紫外線(UV)安定剤を含む安定剤、中和剤、核剤、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、帯電防止剤、清澄剤、ワックス、樹脂、シリカおよびカーボンブラックなどの充填剤、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ならびに組み合わせてまたは単独で使用される当技術分野内の他の添加剤が含まれる。有効量は当技術分野で既知であり、それらがさらされる組成および条件におけるポリマーのパラメータに依存する。いくつかの実施形態では、添加剤はそれぞれ、フィルム層の総重量に基づいて、約0.01~約50重量%、または約0.1~約15重量%、または1~10重量%の量で個別に存在し得る。
【0055】
多層インフレーションフィルムに有用な任意の添加剤は、事前にブレンドされたマスターバッチ内で、同じまたは異なる種類の他の添加剤とは別々に、またはそれとともに提供することができ、添加剤の目標濃度は、最終組成物を作製するために、適切な量の各ニート添加剤を組み合わせることによって、達成される。
【0056】
当業者に既知であるように、粘着防止添加剤は、ポリマーフィルムに添加されると、製造、輸送、および保管中にフィルムが別のフィルムまたはそれ自体に付着する傾向を最小限に抑える添加剤である。粘着防止剤として使用される典型的な材料には、シリカ、タルク、粘土粒子、および当業者に既知の他の物質が含まれる。
【0057】
当業者に既知であるように、スリップ添加剤は、ポリマーフィルムに添加されると、フィルムの摩擦係数を低下させる添加剤である。スリップ剤として使用される典型的な材料には、エルカミド、オレアミド、および当業者に既知の他の物質が含まれる。
【実施例
【0058】
実施例において、例えば、以下を含む、材料の様々な用語および呼称を使用した。
【表1】
【0059】
ASTM標準に従って、摂氏23度(℃)(+/-2℃)および50%相対湿度(R.H.)(+/-10%)において、実施例および比較例のすべての多層インフレーションフィルムを少なくとも40時間調整する。標準試験条件は、ASTM標準に従って、23℃(+/-2℃)および50%R.H(+/-10%)である。
【0060】
試験方法セクション
密度測定
密度測定用のエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、ASTM D4703-10に従って調製された。試料を374°F(190℃)で5分間、10,000psi(68MPa)でプレスした。温度を上記の5分間374°F(190℃)に維持し、次いで圧力を30,000psi(207MPa)まで3分間増加させた。これに続いて、70°F(21℃)および30,000psi(207MPa)で1分間保持した。測定は、ASTM D792-08、方法Bを使用して、試料圧縮の1時間以内に実施した。
【0061】
メルトインデックス
エチレン/アルファオレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I)は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、2.16kgで測定される。同様に、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I10)は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、10kgで測定される。エチレン/アルファオレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I21)は、ASTM D1238、方法Bに従って、190℃、21.6kgで測定される。値をg/10分で報告し、これは10分当たりに溶出したグラムに対応する。
ASTM D882 MDおよびCD、1%および2%割線係数
多層インフレーションフィルムのMD(縦方向)およびCD(横方向)の割線係数の値は、4インチのゲージ長および2インチ/分のクロスヘッド速度を使用して、ASTMD882に従って判定される。割線係数の値は、メガパスカル(Mpa)で5回の測定の平均として報告される。
【0062】
ASTM D1709、方法A、ダート落下
フィルムダート落下試験は、自由落下ダートによる衝撃の指定された条件下で、プラスチックフィルムを破損させるエネルギーを判定する。試験結果は、試験される試験片の50%の破損をもたらすことになる、指定された高さから落ちる飛翔体の重量として表されるエネルギーである。ダート落下衝撃強度の試験方法は、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドに従って行われた。
【0063】
ASTM D1922 MD(縦方向)およびCD(横方向)エルメンドルフ引裂タイプB
エルメンドルフ引裂試験は、エルメンドルフ型引裂試験機を使用して、引裂が開始された後に、プラスチックフィルムまたは非硬質シートの指定された長さを通して引裂を伝播させる平均力を判定する。エルメンドルフ引裂試験の試験方法は、ASTM D1922に準拠して行われた。
【0064】
クリープひずみ法-シングルポイントクリープ測定
シングルポイントクリープ試料は、ASTM D618に従って調整される。評価は以下のように行った。幅約1インチ、長さ約8インチの試料を、CD配向においてフィルムから切り出す。上部および下部のゴム面クランプを、試料のゲージ長が正確であり、かつ長さが100ミリメートル(mm)で再現可能であることを確実にする治具に配置する。クランプされた試料は、予熱されたオーブン内で、30分間50℃で、熱平衡化される。その後、クランプされた試料を試験フレームに装填する。下部クランプが水平であることを確実にするために、取り付けられたポインタを使用して、フレームの固定部分に取り付けられた目盛りの最初のゲージマークを読み取る。次に、重りのホルダを含むスチールまたは鉛のショット(100~110μm厚さのフィルムに対して、ホルダを含めて1.51kgを使用する)を、下部グリップに加える。すべての試料が装填されると、オーブンのドアを50℃で閉じ、試料は一軸張力下で所定の時間(15時間)クリープさせる。50℃で15時間後、ポインタの位置を読み取り、最終的なゲージマークを与える。クリープひずみは、伸び(例えば、最終ゲージマーク-初期ゲージマーク)を初期ゲージ長で除算することによって与えられ、通常はパーセンテージで表される。この方法は、3回実行され、その後、クリープひずみが平均化される。
【0065】
従来のゲル浸透クロマトグラフィー(従来のGPC)および分子量コモノマー分布指数(MWCDI)
従来のGPCおよびMWCDIの評価は以下のように行った。クロマトグラフシステムは、内蔵型IR5赤外線検出器(IR5)を備えたPolymerChar GPC-IR高温GPCクロマトグラフからなる。オートサンプラのオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定する。使用されるカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30センチメートル(cm)、20ミクロンの線形混合床カラムである。使用されるクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであり、100万分の200部(ppm)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。溶媒源は窒素注入される。使用される注入体積は、200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分である。
【0066】
GPCカラムセットは、580~8,400,000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも20個の狭分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて較正され、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に配置される。標準物質は、Agilent Technologiesから得られる。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/モル以上の分子量の場合は、50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、1,000,000g/モル未満の分子量の場合は、50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準物質を、80℃で30分間、穏やかに攪拌しながら溶解する。ポリスチレン標準品のピーク分子量は、次式を用いてエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー分子量に変換される(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されている)。
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(式1)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0067】
5次多項式を用いて、それぞれのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー等価較正点に適合させる。52,000g/モルの分子量で米国国立標準技術研究所(NIST)標準物質NBS 1475が得られるように、カラムの分解能およびバンド広がり効果を補正するために、Aをわずかに調整(約0.39~0.44)する。
【0068】
GPCカラムセットの合計プレート計数は、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)エイコサンを用いて実行される。プレート計数(式2)および対称性(式3)を、次式に従って200マイクロリットルの注入で測定する。
【数1】
式中、RVは、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、半分の高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数2】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも前の保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、22,000超であるべきであり、対称性は0.98~1.22であるべきである。
【0069】
試料は、PolymerCharの「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製され、試料は2mg/mlの重量を目標とし、溶媒(200ppmのBHTを含む)はPolymerCharの高温オートサンプラを介して、あらかじめ窒素が注入されたセプタキャップ付きバイアルに加えられる。試料は、160℃で3時間、「低速」で振盪させて溶解させる。
【0070】
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerCharのGPCOneソフトウェア、等間隔の各データ収集点i(IR)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からの点iの狭標準較正曲線から得られたエチレン/α-オレフィンインターポリマー等価分子量(g/モル単位のMポリエチレン、i)を使用して、式4a~cに従うPolymerCharのGPC-IRクロマトグラフの内蔵型IR5検出器(測定チャネル)を使用したGPCの結果に基づく。続いて、GPC分子量分布(GPC-MWD)プロット(wtGPC(logMW)対logMWプロット、ここで、wtGPC(lo gMW)は、分子量logMWによるインターポリマー分子の重量分率)を得ることができる。分子量はg/モル単位であり、wtGPC(logMW)は式4に従う。
∫wtGPC(logMW)dlogMW=1.00(式4)
【0071】
数平均分子量Mn(GPC)、重量平均分子量Mw(GPC)およびz平均分子量Mz(GPC)は、次式のように計算することができる。
【数3】
【数4】
【数5】
【0072】
経時的な偏差をモニタリングするために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入する。この流量マーカー(FM)を使用して、試料(RV(FM試料))内のそれぞれのデカンピークのRVを、狭い標準較正(RV(FM較正))内のデカンピークのRVと整列させることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を線形に補正する。次いで、デカンマーカーピークの時間におけるあらゆる変化は、実験全体の流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると仮定する。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合する。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭標準較正に関して)有効流量を式5のように計算する。流量マーカーピークの処理は、PolymerCharのGPCOneソフトウェアを介して行う。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の0.5%以内であるようになされる。
流量有効=流量公称×(RV(FM較正)/RV(FM試料))(式5)
【0073】
IR5検出器比の較正は、ホモポリマー(0SCB/総炭素数1000個)~約50SCB/総炭素数1000個の範囲の既知の短鎖分岐(SCB)頻度(13C NMR法で測定される)の少なくとも8つのエチレン/α-オレフィンインターポリマー標準物質(1つのポリエチレンホモポリマーおよび7つのエチレン/オクテンコポリマー)を使用して行うことができ、ここで、総炭素数=主鎖中の炭素+分岐中の炭素である。各標準物質は、GPCによって判定される場合、36,000g/モル~126,000g/モルの重量平均分子量を有する。各標準物質は、GPCによって判定される場合、2.0~2.5の分子量分布(M(GPC)/M(GPC))を有する。「IR5メチルチャネルセンサのベースラインを差し引いた領域応答」と「IR5測定チャネルセンサのベースラインを差し引いた領域応答」との「IR5領域比(または「IR5メチルチャネル領域/IR5測定チャネル領域」)」(PolymerCharによって供給される標準フィルタおよびフィルタホイール:Part Number IR5_FWM01はGPC-IR機器の一部として含まれる)を、「SCB」標準物質の各々について計算した。SCB頻度対「IR5領域比」の直線近似は、次式の形態で構築される。
SCB/総炭素数1000個=A+[A×(IR5メチルチャネル領域/IR5測定チャネル領域)](式6)
式中、Aはゼロの「IR5領域比」におけるSCB/総炭素数1000個の切片であり、AはSCB/総炭素数1000個対「IR5領域比」の傾きであり、「IR5領域比」の関数としてのSCB/総炭素数1000個における増加を表す。
【0074】
「IR5メチルチャネルセンサ」によって生成されたクロマトグラムについての一連の直線的なベースラインを差し引いたクロマトグラフィー高さを、カラム溶出体積の関数として確立して、ベースライン補正クロマトグラム(メチルチャネル)を生成する。「IR5測定チャネル」によって生成されたクロマトグラムについての一連の直線的なベースラインを差し引いたクロマトグラフィー高さを、カラム溶出体積の関数として確立して、ベースライン補正クロマトグラム(測定チャネル)を生成する。
【0075】
「ベースライン補正されたクロマトグラム(メチルチャンネル)」と「ベースライン補正されたクロマトグラム(測定チャンネル)」との「IR5高さ比」は、試料の積分境界にわたって各カラムの溶出体積指数(等間隔の各指数、1ミリメートル/分の溶出で1秒当たり1データポイントを表す)において計算される。「IR5高さ比」に係数Aを乗算し、係数Aをこの結果に加えて、試料の予測SCB頻度を生成する。以下の式7のように、結果をモルパーセントコモノマーに変換する。
モルパーセントコモノマー={SCB/[SCB+((1000-SCB*コモノマーの長さ)/2)]}*100(式7)
式中、「SCB」は、「総炭素数1000個当たりのSCB」であり、「コモノマーの長さ」は、コモノマーの炭素数、例えば、オクテンの場合8個、ヘキセンの場合6個などである。
【0076】
Williams and Wardの方法(本明細書で説明、式1)を使用して、各溶出体積指数を分子量値(Mwi)に変換する。「モルパーセントコモノマー」は、lg(Mwi)の関数としてプロットされ、傾きは、15,000のMwi~150,000g/モルのMwiの間で計算される(この計算では、鎖末端の末端基の補正は省略される)。線形回帰を用いて、15,000~150,000g/モルのMwi間、かつそれを含む傾きを計算するが、濃度クロマトグラムの高さは、クロマトグラムのピーク高さの少なくとも10%である。この傾きは、分子量コモノマー分布指数(MWCDI)として定義される。
【0077】
ゼロせん断粘度比(ZSVR)
ゼロせん断粘度比は、以下の式に従い、従来のGPC(Mw(GPC))で測定した等価重量平均分子量における分岐ポリエチレン材料(η0B)のゼロせん断粘度(ZSV)(Pa-sec単位)と直鎖ポリエチレン材料(η0L)のZSV(Pa-s単位)との比(下記参考文献参照)として定義される。
【数6】
【0078】
分岐ポリエチレン材料のZSV値(η0B)は、後述の方法で190℃でのクリープ試験から得られる。Mw(GPC)値は、本明細書で考察されるように、従来のGPC法(式4b)によって判定される。直鎖状ポリエチレンのZSVとそのMw(GPC)との間の相関は、一連の直鎖状ポリエチレン基準物質に基づいて確立される。ZSV-Mw(GPC)の関係についての説明は、Karjalaら、Detection of Low Levels of Long-Chain Branching in Polyolefins,Annual Technical Conference-Society of Plastics Engineers(2008),66th,p.887-891、およびKarjalaら、Detection of Low Levels of Long-Chain Branching in Polydisperse Polyethylene Materials,J.Appl.Polym.Sci.,119,636-646(2011)に見出すことができる。
【0079】
クリープ溶融レオロジー
分岐ポリエチレン材料のZSV値(η0B)は、TA InstrumentのDHRを使用して、窒素環境内で190℃での一定応力レオメータクリープ試験から得られる。試料は、互いに平行に位置決めされた2つの直径25mmのプレート固定具間の流れの影響下に置かれる。試料を、インターポリマーのペレットを約1.5~2.0mmの厚さの円形プラークに圧縮成形することによって調製する。プラークはさらに、直径25mmのディスクに切断され、TA Instrumentのプレート固定具の間に挟まれる。試料装填後、プレート固定具間のギャップを1.5mmに設定する前に、TA Instrumentのオーブンを5分間閉じ、オーブンを開いて試料の縁部をトリミングし、オーブンを再び閉じる。クリープ試験の前後に、190℃、300秒の浸漬時間、および10%のひずみで0.1~100ラジアン/秒の対数周波数掃引を行い、試料が劣化したかどうかを判定する。すべての試料に20パスカル(Pa)の一定の低せん断応力を印加して、定常状態のせん断速度がニュートン領域になるように十分低くなることを確実にする。定常状態は、「lg(J(t))対lg(t)」のプロットの最後の10%の時間ウィンドウにおけるデータについて線形回帰をとることによって判定され、ここで、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態に達したと見なし、次いでクリープ試験を停止する。この試験におけるすべての場合において、傾きは、1時間以内に基準を満たす。定常状態のせん断速度は、「ε対t」(εはひずみである)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウにおけるすべてのデータポイントの線形回帰の傾きから判定される。ゼロせん断粘度は、加えられた応力と定常状態のせん断速度との比から判定される。
【0080】
13C NMR法
ポリマー組成は、ASTM D5017-96に従って、13C NMR分光法を使用して判定された。評価は以下のように行った。試料は、0.025MのCr(AcAc)を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約3gを、Norell 1001-7の10mmのNMR管中にある0.25gのポリマー試料に添加することによって調製される。次に、管のヘッドスペースを窒素でパージすることにより、試料から酸素を除去する。次いで、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化する。各試料を目視検査して、均質性を確実にする。分析の直前に試料を完全に混合し、加熱したNMRプローブに挿入する前には冷却させない。これは、試料が均質であり、全体の代表とすることを確実にするために必要である。全データを、Brukerの凍結プローブを備えたBruker 400MHz分光計を用いて収集する。データは、6秒パルス繰り返し遅延、90度フリップ角、および120℃の試料温度を用いた逆ゲートデカップリングを使用して取得する。すべての測定は、ロックモードで非回転試料に対して行う。試料は、データ取得前に7分間熱平衡化させる。13C NMR化学シフトは、30ppmでのEEEトリアッドを内部参照とする。
【0081】
13C NMRコモノマー含有量:ポリマー組成を判定するためにNMR分光法を使用することは周知である。ASTM D 5017-96、J.C.Randallら、”NMR and Macromolecules”ACS Symposium series 247、J.C.Randall,Ed.,Am.Chem.Soc.,Washington,D.C.,1984,Ch.9、およびJ.C.Randall”Polymer Sequence Determination”,Academic Press,New York(1977)は、NMR分光法によるポリマー分析の一般的な方法を提供する。
【0082】
フィルム密度の計算
フィルム密度は、各個々の層の体積パーセント(体積%)とそれに対応する層密度に従って計算される。各個々の層の体積パーセントは、全体のフィルム厚に対するその層の厚さの比率をとることによって得られる。層に2つ以上の成分が含まれている場合、層密度は、各成分の重量パーセント(重量%)、およびASTM D792、方法Bによって測定されたそれに対応する密度に基づいて計算される。
【数7】
フィルム密度=層1の体積%×層1の密度+層2の体積%×層2の密度+層3の体積%×層3の密度+層4の体積%×層4の密度+層5の体積%×層5の密度(式9b)
【0083】
樹脂およびこれらの樹脂から作製されたフィルムの特性
INNATE(商標)ST50はDow、Incから市販されている。EXCEED(商標)1018およびENABLE(商標)2005は、ExxonMobil Chemicalから市販されている。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂の特性は、次のとおりである(すべての特性は、試験方法セクションに従って測定される)。
【表2】
【0084】
UNIVAL(商標)DMDH-6400NT 7高密度ポリエチレン樹脂(DMDH 6400)
およびAGILITY(商標)1200は、Dow、Inc.から市販されている。高密度ポリエチレン(HDPE)および低密度ポリエチレンの特性は、次のとおりである。
【表3】
【0085】
フィルムは、以下の方法で共押出された。表4に示すように、多数の3層および5層フィルムが共押出されている。上記フィルムの各々は、LabTech共押出フィルムインフレーションライン(タイプLF-600と5押出機タイプLE20-30/C)で、表4に示す条件下で製造され、多層インフレーションフィルムを形成する。押出機1および押出機5は、多層インフレーションフィルムのスキン層(層1および層5)と関連付けられているため、外側押出機と見なされる。押出機1および押出機5の直径は、25mmである。押出機2、押出機3、および押出機4は、多層インフレーションフィルムの内層(層2および層4)およびコア層(層3)と関連付けられている。押出機2、押出機3、および押出機4の直径は、20mmである。押出機3および5の背圧値は、記録される。
【表4-1】
【表4-2】
【0086】
表5は、比較例Aの3層フィルム構造を説明する。表6は、実施例1~4および比較例B~Fの5層フィルム構造を列記する。*実施例4では、一方のスキン層が100重量%のINNATE(商標)ST50で構成され、他方のスキン層が95重量%のINNATE(商標)ST50および5重量%のAGILITY(商標)1200で構成されている。他の実施例では、両方のスキン層の組成は同じである。**層分布は、フィルムの総体積に基づく各層の体積パーセントを示す。実施例1~4および比較例A~Fは、0.931g/cmの密度を有する。
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表7】
【0087】
結果
表7は、実施例1~4および比較例A~Fの試験結果を列記する。実施例1~4は、増加された耐クリープ性、および増加または維持されたダート落下、ならびにより良好な加工性を有する(より低い押出機の背圧によって示されるように)。例えば、実施例1~4は、比較例A~Fと比較して、改善されたクリープひずみ、ダート落下、および加工性(例えば、より低い押出機背圧)の組み合わせを有し、これらが一体となって、多層インフレーションフィルムに必要な完全性および強度を損なわず、割線係数に悪影響を及ぼさないダウンゲージ化された多層インフレーションフィルムが生成される。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
多層インフレーションフィルムであって、
第1のスキン層および第2のスキン層であって、前記第1のスキン層および前記第2のスキン層のうちの少なくとも1つが、80~100重量パーセント(重量%)の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含み、前記LLDPEが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5の分子量分布(MWD)、0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値、次式I10/I≧7.0-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I、I10、10kg、190℃)、および1.0~3.0のゼロせん断粘度比(ZSVR)値を有する、第1のスキン層および第2のスキン層と、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間のコア層であって、前記コア層が、70~100重量%の第2のLLDPEであって、前記第2のLLDPEが、0.910~0.935g/cmの密度を有し、前記重量%が前記コア層の総重量に基づく、第2のLLDEP、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I10/I≧7.0-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比、および1.0~3.0のZSVR値を有する、コア層と、
第1の内層および第2の内層であって、前記第1の内層および前記第2の内層のうちの少なくとも1つが、80~100重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、前記HDPEが、0.940~0.970g/cmの密度を有する、第1の内層および第2の内層と、を含み、
前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度、および15~150μmの総厚を有する、多層インフレーションフィルム。
項2.
前記フィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定された場合、10~40%のクリープひずみを有する、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項3.
前記フィルムが、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドで試験されたときに、100μmのフィルム厚において、540~750gのダート落下を有する、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項4.
前記第1の内層および前記第2の内層の各々が、前記多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項5.
前記コア層が、前記多層インフレーションフィルムの10~40体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項6.
前記第1のスキン層および前記第2のスキン層の各々が、前記多層インフレーションフィルムの10~30体積パーセント(体積%)を構成し、前記体積%が、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づく、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項7.
前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されている前記フィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.935g/cmの密度を有する、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項8.
前記LLDPEと前記第2のLLDPEとの組み合わせが、前記多層インフレーションフィルムの総体積に基づいて、10~80体積パーセント(体積%)の量で存在する、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項9.
前記多層インフレーションフィルムが、50~120μmの総厚を有する、項1に記載の多層インフレーションフィルム。
項10.
前記多層インフレーションフィルムが、5つの層を有する、項1~9のいずれか一項に記載の多層インフレーションフィルム。
項11.
前記第1の内層および前記第2の内層が、前記HDPEを含み、同じ組成を有する、項1~10のいずれか一項に記載の多層インフレーションフィルム。
項12.
項1~11のいずれか一項に記載の前記多層インフレーションフィルムを含む、重包装輸送袋。
項13.
多層インフレーションフィルムを形成する方法であって、
第1のスキン層および第2のスキン層を調製するステップであって、前記第1のスキン層および前記第2のスキン層のうちの少なくとも1つが、0.910~0.935g/cmの密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、2.5~5.5の分子量分布(MWD)、0.9~10の分子量コモノマー分布指数(MWCDI)値、次式I10/I≧7.0-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I、I10、10kg、190℃)、および1.0~3.0のゼロせん断粘度比(ZSVR)値を有する、80~100重量パーセント(重量%)の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、第1のスキン層および第2のスキン層を調製するステップと、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間にコア層を調製するステップであって、前記コア層が、70~100重量%の第2のLLDPEを含み、前記第2のLLDPEが、0.910~0.935g/cmの密度であって、前記重量%が前記コア層の総重量に基づく密度、0.2~2g/10分のメルトインデックス(I、2.16kg、190℃)、3.0~5.5のMWD、0.9~10のMWCDI値、次式I10/I≧7.0-1.2xlog(I)を満たすメルトインデックス比(I10/I)、および1.0~3.0のZSVR値を有する、コア層を調製するステップと、
第1の内層および第2の内層を調製するステップであって、前記第1の内層および前記第2の内層のうちの少なくとも1つが、80~100重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、前記HDPEが、0.940~0.970g/cmの密度を有する、第1の内層および第2の内層を調製するステップと、
前記第1のスキン層と前記第2のスキン層、前記コア層、および前記第1の内層と前記第2の内層から前記多層インフレーションフィルムを形成するステップであって、100μmのフィルム厚を有する前記多層インフレーションフィルムが、ASTM D1709、方法A、アルミニウムダートヘッドで試験した場合、540~750gのダート落下、本明細書の試験方法セクションに提供されているクリープひずみ法に従って測定された場合、10~40%のクリープひずみを有し、前記多層インフレーションフィルムが、本明細書の前記試験方法セクションに提供されているフィルム密度計算に従って測定された場合、0.925~0.940g/cmの密度、および15~150μmの総厚を有する、多層インフレーションフィルムを形成するステップと、を含む、方法。
項14.
前記多層インフレーションフィルムを形成することが、インフレーション押出または共押出によって行われる、項13に記載の方法。