(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】水路内堆積物の除去方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/147 20190101AFI20240725BHJP
B03B 5/00 20060101ALI20240725BHJP
B07B 1/22 20060101ALI20240725BHJP
E02F 5/28 20060101ALI20240725BHJP
E02F 7/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C02F11/147 ZAB
B03B5/00 Z
B07B1/22 Z
E02F5/28
E02F7/00 C
(21)【出願番号】P 2022165733
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2021191736
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、出願人が令和3年4月20日に発行した営業用パンフレット「浚渫・洗浄事業」にて公開
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000156581
【氏名又は名称】日鉄環境株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠汰
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和也
(72)【発明者】
【氏名】渕上 佳之
(72)【発明者】
【氏名】盛一 慎吾
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-181557(JP,A)
【文献】特開2007-098188(JP,A)
【文献】特開2009-050754(JP,A)
【文献】特開昭48-055452(JP,A)
【文献】特開2008-229487(JP,A)
【文献】特開2016-140822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
C02F1/52-1/56
B01D21/00-21/34
B07B1/00-15/00
B03B1/00-13/06
B09C1/00-1/10
B09B1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送する水中の夾雑物に由来して水路内に堆積した
水路内堆積物
の除去を
、水路内の
水抜き作業を
行った後に行うのではなく、用水がある状態
で前記水路内堆積物
の除去
を行う水路内堆積物の除去方法であって、
前記水路内堆積物は、貝殻を含む粗大夾雑物と、該粗大夾雑物以外の、貝殻の破片、砂、シルト、ヘドロを含む粗粒と微粒とを含むその他の夾雑物とを有しており、
前記水路内か
ら前記水路内堆積物を含む水を
ポンプで吸い上げて、該水路内堆積物中に含まれている前記粗大夾雑物を、網の目開きを利用して分級して分離する粗大夾雑物の分別工程と、
前記分別工程で粗大夾雑物を分離した後の、前記その他の夾雑物である残留堆積物を含む水を沈殿物処理用の設備内に導入して、前記残留堆積物を前記沈殿物処理用の設備内に沈降させ、前記残留堆積物と水とを分離する固液分離工程とを有し
(但し、分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整ステップと、分離された砂と上記濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合ステップを有さない)、
前記粗大夾雑物の分別工程で、網の目開きを利用して前記水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級して分離するよりも前に、前記水路内堆積物を含む水に高分子凝集・沈降剤を添加して、該高分子凝集・沈降剤の添加により、前記ポンプで吸引された水路内に堆積していた前記
粗大夾雑物及び前記その他の夾雑物を含む水と一緒に前記高分子凝集・沈降剤が
、流速が0.5m/秒以上で、乱流状態の水中にこれらが共存する状態なるようにして激しく撹拌混合されながら移送されるように構成することを特徴とする水路内堆積物の除去方法。
【請求項2】
前記高分子凝集・沈降剤の添加を、前記粗大夾雑物の分別工程において、前記水路内からポンプで吸い上げられた前記水路内堆積物を含む水が前記網に到達する前までである、前記水路内堆積物を含む水がポンプで吸い上げられる時点から前記網に到達する前の移送されているいずれかの時点で行う請求項1に記載の水路内堆積物の除去方法。
【請求項3】
前記高分子凝集・沈降剤の添加を、前記粗大夾雑物の分別工程における、前記水路内からポンプで前記水路内堆積物を含む水を吸い上げる際の、前記ポンプの吸い込み口で行う請求項1に記載の水路内堆積物の除去方法。
【請求項4】
前記高分子凝集・沈降剤の添加を、さらに、前記分別工程で粗大夾雑物を分離した後の前記残留堆積物を含む水が、前記沈殿物処理用の設備内に導入される前でも行う請求項1~3のいずれか1項に記載の水路内堆積物の除去方法。
【請求項5】
前記粗大夾雑物の分別工程で、網の目開きが2mm~15mmであるトロンメルを用いる請求項1~3のいずれか1項に記載の水路内堆積物の除去方法。
【請求項6】
前記粗粒の長径が、150μm以上であり、前記微粒の長径が、50μm以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の水路内堆積物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路内堆積物の除去方法に関し、詳しくは、水路に堆積した底質(堆積物)を、水路内の水を抜いたり、大規模な設備を用意したりすることなく、水路から堆積物を含む水を吸い上げて、簡便な手段で堆積物中の粗大夾雑物を分級して分別し、粗大夾雑物を除去した後の、その他の夾雑物である残留堆積物を含む水を小規模な沈殿槽や沈殿池等の沈殿物処理用の設備で、迅速且つ効果的に固液分離することを実現し、これにより、水路に堆積した底質(堆積物)を効率よく経済的に除去することを実現可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄鋼製造や発電所等においては大量の冷却水を必要とする。これに対し、海水を冷却水として用いることが一般的に行われており、大量の海水が、用水路を介して工場や発電所内に運ばれて冷却水に利用されている。海水には、貝殻や砂利や砂や泥やヘドロ等の様々な夾雑物が含まれており、海水と一緒にこれらの夾雑物も用水路を介して工場内などに運ばれてくることになる。このため、大量の海水が流れる海水の取水路の底には、これらの夾雑物に由来した堆積物(底質)が溜まるので、定期的に、水路内の堆積物を除去することが行われている。なお、上記した海水に限らず、河川や、湖沼や、ため池等の水を取り込むための各種の用水路でも、取水路の底に溜まる堆積物(底質)を除去する必要がある。
【0003】
取水路内の堆積物を除去する一般的な方法としては、下記のような方法がある。まず、水路を塞き止めて水を抜いた後、作業者が機材を用いて、水路の底に溜まった堆積物を掻き出している。掻き出した堆積物は、別の場所に運搬して移動して貯溜し、その後に堆積物を脱水するなどした後、処分している。しかし、この方法は、人手による多大な労力を要することに加えて、機材や、作業者や、作業スペースの確保などが必要であるという問題がある。また、従来の方法は、水路を塞き止めるための止水に要する期間、さらに水路の水抜きに要する作業時間も含め工期が長くなる。このため、操業への影響が大きく、このことが原因して、水路内の状況に応じて、最適な時期に、或いは、頻繁に、堆積物の除去を行うことができないという問題もある。
【0004】
これに対し、特許文献1では、取水路内を走行させて、取水路の壁面に厚層に付着した海生物を、周囲への散乱を最小限に抑えつつ確実に除去でき、取水路の清掃作業を効率よく行えるとした取水路清掃装置が提案されている。この装置によれば、監視装置を設けることで、取水路内での清掃作業を地上部で監視し、清掃作業の進捗状況を把握することができるとされている。また、海水中を自在に走行し、上下面及び側面の壁に走行車が貼り付き走行しながら清掃を行う遠隔操作式異物除去清掃装置等についての提案もある(特許文献2等参照)。これらの装置を用いれば、止水することなく、取水路の清掃をすることが可能になる。しかし、これらの技術はいずれも、取水路に適した特殊な清掃装置と、その運転技術や監視技術などを必要とし、簡便に汎用できる実用技術とは言い難い。また、これらの技術は、基本的には、重量物である清掃装置が取水路の底面を走行するため、底面の堆積物が踏み固められてしまうといったような別の問題もある。
【0005】
これに対し、水路を塞き止めた後(すなわち、止水して)水路内の水を抜く作業をすることなく、取水路内の堆積物を除去する方法として、下記のような方法が行われている。例えば、取水した海水から、トロンメル等の、特定の目開きの篩(フルイ)を用いて貝殻や砂利等の粗大な夾雑物を選別して取り除き、粗大な夾雑物を取り除いた海水を沈殿槽等に導入し、泥や砂やヘドロ等の夾雑物と海水とを固液分離し、分離した海水を冷却水等に使用することが行われている。しかし、この方法は、先述した従来の方法のように、水路を塞き止め、操業を停止させる必要はないものの、固液分離に時間がかかるという問題がある。また、冷却水に利用する場合などの、大量の海水を必要とする場合には、大きな沈殿槽が必要になるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-230819号公報
【文献】特開昭63-302985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来技術は、いずれも、水路に堆積した底質(堆積物)を効率よく、経済的に除去することを実現できるものではなかった。すなわち、水路内の水を抜くためには止水する必要があることから操業に支障をきたし、加えて、多大な労力と、広い作業スペースと、機材を必要とするものであった。また、水路内の水を抜くことなく清掃することが可能な方法であっても、特殊な清掃装置を必要とし、加えて装置の運転技術や監視技術などを必要として、汎用性に劣る技術であった。また、冷却水等に使用するための大量の海水を確保するためには、大容量の沈殿槽を必要とし、しかも固液分離に長時間を要するなどの問題があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、水路を塞き止めて止水する必要が生じる水路内の水を抜くことなく、また、大規模な設備や特殊な装置を必要とすることもなく、水路に堆積した底質(堆積物)の除去を、水が流れている状態の水路内から堆積物を含む水を吸い上げて簡便に処理でき、しかも、小規模な設備で、迅速且つ効果的に行うことが実現可能な、水路内堆積物の除去方法についての実用価値の高い技術を開発することにある。本発明の目的は、特に、大量に必要になる冷却水等として広く用いられている海水の取水路に堆積した、海水中の、貝殻や砂利や砂や泥やヘドロ等の、大小様々なサイズの夾雑物に由来する底質(堆積物)を、大規模な沈殿槽等の沈殿物処理用の設備を必要とせず、小規模な設備で、簡便に効率よく、安定して経済的に除去することを実現できる汎用技術を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記の水路内堆積物の除去方法を提供する。
[1]移送する水中の夾雑物に由来して水路内に堆積した堆積物を、水路内の水を抜くことなく除去するための水路内堆積物の除去方法であって、前記水路内堆積物は、貝殻等の粗大夾雑物と、該粗大夾雑物以外の、貝殻の破片や砂やシルトやヘドロ等の粗粒と微粒とを含むその他の夾雑物とを有しており、前記水路内からポンプで前記水路内堆積物を含む水を吸い上げて、該水路内堆積物中に含まれている前記粗大夾雑物を、網の目開きを利用して分級して分離する粗大夾雑物の分別工程と、前記分別工程で粗大夾雑物を分離した後の、前記その他の夾雑物である残留堆積物を含む水を沈殿物処理用の設備内に導入して、前記残留堆積物を前記沈殿物処理用の設備内に沈降させ、前記残留堆積物と水とを分離する固液分離工程とを有し、前記粗大夾雑物の分別工程で、網の目開きを利用して前記水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級して分離するよりも前に、前記水路内堆積物を含む水に高分子凝集・沈降剤を添加することを特徴とする水路内堆積物の除去方法。
【0010】
上記した本発明の水路内堆積物の除去方法の好ましい形態としては、下記が挙げられる。
[2]前記高分子凝集・沈降剤の添加を、前記粗大夾雑物の分別工程において、前記水路内からポンプで吸い上げられた前記水路内堆積物を含む水が、前記網に到達する前の時点で行う上記[1]に記載の水路内堆積物の除去方法。
[3]前記高分子凝集・沈降剤の添加を、前記粗大夾雑物の分別工程における、前記水路内からポンプで前記水路内堆積物を含む水を吸い上げる際の、ポンプの吸い込み口又は吸い込み口の周辺に前記高分子凝集・沈降剤を添加することで行う上記[1]に記載の水路内堆積物の除去方法。
[4]前記高分子凝集・沈降剤の添加を、さらに、前記分別工程で粗大夾雑物を分離した後の前記残留堆積物を含む水が、前記沈殿物処理用の設備内に導入される前でも行う[1]~[3]のいずれかに記載の水路内堆積物の除去方法。
【0011】
[5]前記粗大夾雑物の分別工程で、網の目開きが2mm~15mmであるトロンメルを用いる上記[1]~[4]のいずれかに記載の水路内堆積物の除去方法。
[6]前記粗粒の長径が、150μm以上であり、前記微粒の長径が、50μm以下である上記[1]~[5]のいずれかに記載の水路内堆積物の除去方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水路を塞き止めて止水する必要が生じ、操業に影響を及ぼすことがないように、水路内の水を抜くことなく、大規模な設備や特殊な装置を必要とすることもなく、水路に堆積した底質(堆積物)の除去を、海水等の用水がある状態の水路内から堆積物を含む水を吸い上げて簡便に処理でき、しかも、小規模な沈殿物処理用の設備で、迅速且つ効果的に行うことが実現できる、水路内堆積物の除去方法に関する実用価値の高い技術が提供される。また、本発明によれば、大量に必要になる冷却水等として広く用いられている海水の取水路に堆積した、海水中の、貝殻や砂利や砂や泥やヘドロ等の大小様々なサイズの夾雑物に由来する底質(堆積物)を、簡便な手段で効率よく、安定して経済的に除去することが実現できる有用な汎用技術の提供が可能になる。
【0013】
本発明の水路内堆積物の除去方法によれば、貝殻等の粗大夾雑物と、該粗大夾雑物以外の、貝殻の破片、砂、シルト、ヘドロ等の粗粒と微粒とを含むその他の夾雑物とを有する水路に堆積した底質(堆積物)を含む海水等から、粗大夾雑物の分別工程で、前記粗大夾雑物を、網の目開きを利用して分級して分離する際に、前記底質中の粗粒及び微粒の一部を凝集させた状態にして粗大夾雑物と一緒に分離することができる。本発明の水路内堆積物の除去方法によれば、さらに、粗大夾雑物を分離した後の、その他の夾雑物である残留堆積物を含む海水等を、小規模な沈殿物処理用の設備内に導入することで、残留堆積物中の粗粒と微粒とが速やかに凝集した状態になり、自重で速やかに沈降させることができる。この結果、本発明の水路内堆積物の除去方法によれば、海水等の水路内の水と、底質(堆積物)を構成している夾雑物との固液分離を速やかに行うことができ、しかも、分離された海水等は、夾雑物が極めて少ない冷却水等に好適な性状のものになるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の水路内堆積物の除去方法の構成を説明するための一例の模式図である。
【
図2】本発明の水路内堆積物の除去方法を構成する粗大夾雑物の分別工程で分離された粗大夾雑物の貝殻に、その他の夾雑物が付着している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態を挙げて、本発明の水路内堆積物の除去方法について説明する。本発明は、移送する水中の夾雑物に由来して水路内に堆積した底質を除去するための水路内堆積物の除去方法である。本発明でいう「水」は、例えば、冷却水等として用いるために、用水路を介して使用する場所に大量に運ばれる、海や川や湖や貯水池等から取水される海水等の各種の水を意味する。また、本発明で除去する対象の水路内堆積物は、例えば、貝殻、貝殻の破片、小石(礫)、砂、シルト、粘土、ヘドロ等の様々な種類の、大小様々なサイズの夾雑物が含まれている。詳細については、後述する。
【0016】
本発明の水路内堆積物の除去方法は、水路内堆積物中の粗大夾雑物を、網の目開きを利用して分級して分離する粗大夾雑物の分別工程と、該分別工程で粗大夾雑物を分離した後の、その他の夾雑物である残留堆積物を含む水を沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に導入し、該沈殿槽等の設備で、前記残留堆積物と水とを固液分離する固液分離工程とを有するものである。そして、その特徴は、本発明を構成する粗大夾雑物の分別工程において、網の目開きを利用して粗大夾雑物を分級して分離するよりも前の時点で、分離する処理対象の水路内堆積物を含む水に、高分子凝集・沈降剤を添加することである。本発明者らは、検討過程で、網の目開きを利用して粗大夾雑物を分級して分離するよりも前に、分離する処理対象の水路内堆積物を含む水に高分子凝集・沈降剤を添加する構成としたことで、添加した高分子凝集・沈降剤が、水路内から吸い上げられた水路内堆積物を含む水に激しく混ざる状態になり、且つ、水路内堆積物中に大小様々なサイズの夾雑物が含まれていることから、下記の効果が得られることを見出して、本発明に至った。
【0017】
すなわち、本発明者らの検討によれば、添加した高分子凝集・沈降剤が、水路内から吸い上げられた水路内堆積物を含む水に激しく混ざる状態になると、様々なサイズからなる水路内堆積物中の粗粒と微粒が速やかに凝集して沈降するため、粗大夾雑物の分別工程で、この沈降物の一部が、網の目開きを利用して分級して分離された粗大夾雑物に付着した状態になり、一緒に分離される。このため、粗大夾雑物の分別工程で、通常であれば、網の目開きを通過するサイズの粗粒及び微粒も含んだ状態で粗大夾雑物が分離されるので、水路内堆積物中からより多くの夾雑物を分離して除去することが可能になる。さらに、粗大夾雑物を分離した後の残留堆積物を含む水が、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に導入される際に、水は沈殿物処理用の設備内に勢いよく導入されるので、先に添加した高分子凝集・沈降剤と、残留堆積物を含む水とが乱流状態になって激しく混合された状態となる。その結果、導入された沈殿槽等内において、残留堆積物を構成する粗粒と微粒が速やかに凝集して沈降して、残留していた夾雑物と水が速やかに固液分離される。このため、固液分離に大規模な沈殿槽等を必要とし、固液分離に長時間を要していた従来技術の課題が解決され、小規模な沈殿槽等の設備で、良好な固液分離が行えるという、工業上、極めて有用な効果が得られる。
【0018】
上記効果は、高分子凝集・沈降剤を、網の目開きを利用して行う水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級して分離するよりも前の時点で、粗大夾雑物の分離を行う処理対象の水路内堆積物を含む水に添加するとした極めて簡便な手段によって得ることができる。本発明者らは、網の目開きを利用して粗大夾雑物を分級して分離する時点で、処理対象の水路内堆積物を含む水と、添加した高分子凝集・沈降剤とが、激しく混ざり合う状態となるようにすることで、粗大夾雑物の分別工程で、より多くの夾雑物を分離して除去することができるようになることを見出した。さらに、粗大夾雑物を分級して分離するよりも前に高分子凝集・沈降剤を添加したことで、粗大夾雑物の分級・分離後に、残留堆積物を含む水を沈殿槽等の「沈殿物処理用の設備」で固液分離を行う際に、沈殿槽等に、残留堆積物を含む水と、高分子凝集・沈降剤が激しく混ざり合う状態で導入されることになるため、残留堆積物中の粗粒と微粒が速やかに凝集して沈降し、その結果、速やかに固液分離することができることを見出した。
【0019】
上記効果を得るため、本発明では、高分子凝集・沈降剤(以下、薬剤とも呼ぶ)の添加を、粗大夾雑物の分別工程における、水路内からポンプで吸い上げた水路内堆積物を含む水が、分級・分離するための網に到達する前の時点で行うことを要する。例えば、トロンメル等の、網の目開きを利用して水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級・分離するための設備へ、堆積物を含む水を導入する途中に配備されるホース内へと薬剤を添加する方法や、水路内から、ポンプで水路内堆積物を含む水を吸い上げる際の、ポンプの吸い込み口又は吸い込み口の周辺に薬剤を添加する方法などが挙げられる。特に、ポンプの吸い込み口又は吸い込み口の周辺に薬剤を添加することが好ましい。
【0020】
また、本発明の効果をさらに高めるため、或いは、効果をより確実なものにするため、分別工程で粗大夾雑物を分離した後の残留堆積物を含む水が、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に導入される前においても薬剤の添加を行うことが好ましい。沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に導入される前としては、下記の地点などが例示できる。前記した、水路内堆積物を含む水を吸引するポンプの吸い込み口や、その周辺に薬剤を添加することに加えて、ポンプで吸い上げた後、例えば、トロンメル等の、水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級・分離するための設備へ水路内堆積物を含む水を導入するためのホースなどの移送設備の、トロンメル近傍のホース内へ、薬剤をさらに添加する方法や、分級・分離を行うトロンメルの排水口から直下に配置された、沈殿物処理用の水槽(沈殿槽)に、粗大夾雑物を分離した後の粗大夾雑物以外の雑多な残留堆積物を有する水を落下する状態で導入する際に、さらに薬剤を添加する方法などが挙げられる。
【0021】
本発明者らの検討によれば、上記のように構成することで、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に、残留堆積物を含む水が落とし込まれる状態で、或いは、沈殿槽等への導入路内を勢いよく混合されながら流れて槽内に導入されるので、より確実に、残留堆積物を含む水と、薬剤とが激しく混ざり合う状態にすることができる。この結果、残留堆積物中の粗粒と微粒が速やかに凝集して、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に速やかに沈降することで、残留堆積物を含む水を迅速に夾雑物と海水等の水に固液分離することができる。この結果、先に説明した粗大夾雑物の分別工程で得られる、粗粒や微粒のその他の夾雑物を粗大夾雑物と一緒に除去できるようになる効果に加えて、粗大夾雑物の分別工程で除去されなかった残留堆積物を、その後の固液分離工程で、迅速に、効果的に固液分離できる効果が得られる。
【0022】
本発明の技術は、出願人が既に開発し、特許を得ている極めて簡便な懸濁物質の除去技術を巧みに利用したものである。この技術によれば、例えば、特許第6068112号にあるように、水中に、金属粉等の、50μm以上の粗粒と、50μmに満たない微粒が懸濁物質として共存している廃水等から、これらの異なる粒径の懸濁物質を同一の処理で、速やかに凝集させて固液分離することで一緒に除去することができる。具体的には、粗粒と微粒が共存して流動している状態の水の中に、懸濁物質の凝集・沈降剤を添加して、該薬剤と、粗粒と微粒を含む懸濁物質とを、激しく流動した混合状態にするという極めて簡便な条件だけで、粗粒と微粒とを速やかに凝集・凝結・沈降させることができ、沈降した粗粒と微粒とを含む凝集(凝結)物を速やかに固液分離して除去している。
【0023】
これに対し、本発明では、例えば、その長径が、2mm以上、或いは、10mm以上、或いは、15mm以上の小石や貝殻類等の粗大夾雑物に加え、長径が、5μm以下の粘土やヘドロ等、長径が、5μm~75μmのシルト、75μm~2mmの砂、2mm以上の貝殻片や小石等の、多種でサイズが様々な夾雑物を含む水路内堆積物を、水路内の水を抜くことなく簡便な方法で固液分離して堆積物を除去し、分離した水を、そのまま放流できるようにすることや、そのまま冷却水等に利用することを目的とする。すなわち、本発明においては、5μm程度の極めて微細な粒子類から5mm以上の貝殻類等の、広範囲にわたる大小様々なサイズの夾雑物を簡便に除去することが必要になる。また、夾雑物は、貝殻や小石などの硬い固体と、粘土やヘドロといった粘性のある物質等が混在した状態のものであり、この点でも、先述した出願人が開発した技術をそのまま適用することの難しさが予想される。
【0024】
本発明者らは、従来のように、水路内から水路内堆積物をさらう浚渫の発想に替えて、水路内の水を抜くことなく、また、大規模な施設や機器を必要とすることなく、簡便に水とともに処理して、その中の雑多な夾雑物を含んでなる堆積物を容易に除去することができれば、従来の浚渫処理に比べて、操業へ与える影響を格段に小さくすることができ、極めて有用であるとの認識をもった。そして、そのような認識の下に鋭意検討した結果、本発明に至った。従来技術では、浚渫処理で水路内から手作業などで掻き出した堆積物を別の場所に移動し、その後に堆積物を脱水等した後、処分しており、多大な労力を要することに加えて、水路が使えない止水期間が長く、操業に影響を与えている。本発明者らは、浚渫処理で掻き出した堆積物は、脱水して含水率を下げることは容易でないという点に着目した。そして、堆積物の脱水・乾燥が容易にできない理由の一つとして、水路内堆積物中に、ヘドロや粘土等の微細な粒子(微粒子)が含まれており、これらが堆積物に粘性を与え乾燥を難しくしており、分離した堆積物の含水率の低減に影響していると考えた。
【0025】
そこで、これらの微粒子を、水路内の水と一緒に処理して、水路内堆積物中から簡便に除去する手段について鋭意検討を行った。まず、水路内堆積物は、水路内の水と一緒であれば、吸引ポンプで容易に移送できることを確認した。そして、水路内堆積物と水路内の水との混合物は、懸濁物(SS)の濃度が極めて高い。このような処理する対象物に対して、先に挙げた本願出願人が開発した技術の適用の可能性について検討した。その結果、驚くべきことに、夾雑物の大きさの違いが極めて広範囲であり、しかも、SSの含有量が極めて高い状態で、一部が粘土やヘドロのような粘性をもつ夾雑物からなる水路内堆積物を含む水に、本願出願人が提案した技術で用いているような高分子凝集・沈降剤(薬剤)等を添加し、薬剤と、水路内堆積物を高濃度で含む水とを激しく撹拌・混合することで、水路内堆積物を構成している夾雑物を効果的に凝集させ、速やかに沈降させて、従来技術では、大規模な沈殿槽を用い、処理に長時間かかっていた固液分離が、格段に容易になることを見出した。なお、上記検討は、網の目開きが10mmであるトロンメルを用い、予め、水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級・分離した後の、SSが高い含有率を示す残留堆積物を有する水について行った。
【0026】
本発明者らは、次に薬剤を添加するタイミングについて種々の検討をした。その結果、さらに驚くべきことに、トロンメルのような、網の目開きを利用して粗大夾雑物を分級して分離するよりも前に、分離する処理対象の水路内堆積物を含む水に薬剤を添加する構成とすることで、粗大夾雑物の分別工程で、水路内堆積物中の小さいサイズの夾雑物が速やかに凝集して沈降し、この沈降物の一部が粗大夾雑物に付着した状態になり、この結果、網の目開きを利用して分級して分離された粗大夾雑物と一緒に、小さいサイズの夾雑物を含んで粗大夾雑物が分離されることを見出した。そして、先に述べたように、その効果は、薬剤の添加を、例えば、トロンメル等の、網の目開きを利用して水路内堆積物中の粗大夾雑物を分級・分離するための設備へ、堆積物を含む水を導入する前の、水路内からポンプで水路内堆積物を含む水を吸い上げる際の、ポンプの吸い込み口又は吸い込み口の周辺に行うことや、堆積物を含む水を導入する途中に配備されるホース内やホースの出口等へと添加することによって、容易に得ることができる。
【0027】
本発明で使用する高分子凝集・沈降剤(薬剤)としては、特に限定されず、例えば、アクリル系、ポリアミン系、およびジアリルアンモニウム系の化合物から選ばれる有機凝集剤等を用いることができる。アクリル系の有機凝集剤の代表的なものとしては、例えば、アクリロイルオキシアルキルアンモニウムハライド、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリロイルオキシアルキルアンモニウムハライド、メタクリルアミド、メタクリル酸及びメタクリル酸塩のうちの1又は数種を原料モノマーとして含有する組成物から合成される有機凝集剤などが挙げられ、いずれも本発明に使用可能である。また、ポリアミン系の有機凝集剤の代表的なものとしては、例えば、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンを含有する組成物から得られる重縮合物、ジアルキルアミンとアンモニアとエピクロロヒドリンを含有する組成物から得られる重縮合物、ポリアルキレンポリアミンとジアルキルアミンとエピクロロヒドリンを含有する組成物から得られる重縮合物及びポリアルキレンポリアミンとジアルキルアミンとアンモニアとエピクロロヒドリンを含有する組成物から得られる重縮合物などが挙げられる。これらの重縮合物は、いずれも本発明に使用可能である。また、ジアリルアンモニウム系の有機凝集剤の代表的なものとしては、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド、ジアリルアミン、ジアリルアミンの無機酸塩、ジアリルアミンの有機酸塩、ジアリルアルキルアミン無機酸塩及びジアリルアルキルアミン有機酸塩のうち1又は数種を原料モノマーとして含有する組成物から合成される有機凝集剤などが挙げられる。また、ポリアミン系の有機凝集剤の代表的なものとしては、N-ビニルホルムアミドとアクリロニトリルを原料として含有する組成物から、アミジン構造形成反応を経て合成される有機凝集剤などを挙げることができる。また、天然高分子化合物系の有機凝集剤の代表的なものとしては、例えば、アルギン酸、キトサン、カチオン化でんぷん、酸化でんぷん、ポリグルタル酸、カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムなどを挙げることができる。また、例えば、特許第6068112号公報や、特許第6374157号公報や、特許第6374351号公報や、特許第6374352号公報に記載されているカチオン性又は両性の共重合体を主成分とする有機凝集剤や、特許第6387337号公報に記載されている架橋構造を有するカチオン性又は両性の架橋型水溶性高分子なども好ましく用いることができる。
【0028】
本発明において重要なことは、多様なサイズの夾雑物からなる水路内堆積物を、海水等の水路内の水と上記したような薬剤とともに、激しく混合される状態にすることにある。例えば、流速が0.5m/秒以上で、乱流状態の水中にこれらが共存する状態なるように構成することが好ましい。添加する薬剤の添加量も特に限定されないが、水路内堆積物を含む海水等の水路内の水中に、10mg/L~100mg/L程度の濃度となるように含有させることが好ましい。後述するが、より安定した処理を行うためには、水路内の水中への薬剤の添加量は10mg/L超とすることが望まれる。すなわち、本発明者らの検討によれば、少なくとも薬剤を、残留堆積物(SS)の重量1g当たりに薬剤が0.07mg/g以上となるように添加すれば、本発明の効果を安定に得ることができる。また、水中における残留堆積物(SS)の重量にもよるが、薬剤を、SSの重量1g当たり1mg/g程度の量になるようにして添加すれば、より十分に、安定した状態で本発明の効果を得ることができる。一方、過剰な薬剤の添加はランニングコストの点で好ましくない。したがって、上記した範囲内で水中に薬剤の添加を行えば十分である。以下、本発明の水路内堆積物の除去方法を構成する各工程について説明する。
【0029】
(粗大夾雑物の分別工程)
本発明で除去の対象とする水路内堆積物は、水路を介して工場や発電所等に取り込む、海水、河川の水、湖沼やため池の水等に含まれる夾雑物に由来するものである。夾雑物としては、例えば、生きた貝や貝殻、貝殻の破片、小石、砂、シルト、植物由来の破片及びヘドロ等が挙げられ、大小様々なサイズのものを含んでいる。例えば、貝殻は、5mm~15mm以上の、生きている貝や、二枚貝や巻貝等の殻、大小様々な貝殻の破片を含み、破片のサイズは5ミリ未満の微細なものも多い。先述したように、海水は冷却水として大量に利用されている。これに対して、海から取水する海辺近くの海水中には、上記のような様々なサイズの夾雑物が大量に含まれており、取水路の底にはこれらの夾雑物が堆積し易い。このため、水路内堆積物の除去処理作業は、操業を安定して円滑に維持することを実現するための極めて重要な処理となっている。下記では、海水の取水路における底質(堆積物)の除去を例にとって説明する。
【0030】
本発明の水路内堆積物の除去方法では、粗大夾雑物の分別工程で、水路を塞き止めることなく、水路内に水が溜まっている状態で除去処理を行う。例えば、堆積物が多い海水の取水路の底から、堆積物を含む水をポンプで吸引して、該堆積物を構成する夾雑物中の、少なくとも粗大夾雑物を網の目開きを利用して分級して分離する。粗大夾雑物の分別工程で行う網の目開きを利用して分級する方法としては、例えば、トロンメルと呼ばれている回転フルイ(ロータリースクリーン)を利用することが挙げられる。トロンメルは、特定の目開きの金網又は孔開きの鉄板を枠に張った、篩面が円錐形や円筒形である回転フルイであり、これに、取水した夾雑物を含む海水を投入して低速回転させて、篩面を通過するものと通過しないものに分級して分離する、篩の目開きに応じて大きさの異なる物を分別する選別装置である。本発明においては、夾雑物の大きさや種類にもよるが、例えば、目開きが2mm~15mm程度のものを用いるとよい。後述する実施例では10mmの目開きの網のトロンメルを用いた。以下、粗大夾雑物を分級・分離する装置の代表例としてトロンメルを例に説明する。しかし、本発明はトロンメルに限定されるものでなく、粗大夾雑物を、網の目開きを利用して分級して分離できるものであればいずれでもよい。本発明に使用する「網」も特に限定されず、下記に挙げるようなものが利用できる。例えば、適宜な目開きの網目を有する、ザル、パンチメタル、エキスパンドメタル、メッシュベルト、金網等を好適に使用することができる。
【0031】
例えば、ポンプで吸い上げた水路内堆積物を含む海水をトロンメル内に投入すると、トロンメルを構成する篩面の網の目開きよりも大きい貝殻等の粗大夾雑物は篩を通過せずに、トロンメル内に残留する。
図1に示した例では、トロンメルで分級して分離されたトロンメル内に残留した粗大夾雑物を、順次、トロンメル内からトラックの荷台に移し、分離した粗大夾雑物を除去処理する。
【0032】
図2は、海水の取水路内から、吸引ポンプで取水路内の堆積物を含む海水を吸い上げている際の、ポンプの吸い込み口周辺に高分子凝集・沈降剤(薬剤)を添加し、トロンメルで分級・分離した粗大夾雑物の状態を示す図である。
図2に示したように、分級・分離した粗大夾雑物は、大きいサイズの二枚貝の貝殻が積層し、さらに大きな塊になっていた。さらに、積層した二枚貝の貝殻には、粗大夾雑物以外のサイズの夾雑物である貝殻の細片や砂やヘドロ等の一部が付着・固着した状態となった。このため、通常はトロンメル内に残らない、小さいサイズの夾雑物である貝殻の細片や砂やヘドロ等の一部が粗大夾雑物と一緒に分別される。この結果、次の、粗大夾雑物以外の、その他の夾雑物である残留堆積物を含む海水を固液分離する工程において、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備で処理する必要のある夾雑物の量を低減することができ、処理にかかる負荷を低減できる。
【0033】
(残量堆積物と水とを分離する固液分離工程)
本発明の除去方法では、まず、粗大夾雑物の分別工程で、例えば、上記したようにして薬剤を添加することで、粗大夾雑物に、粗大夾雑物以外の夾雑物が付着・固着した状態とし、これによって、分級して分離して除去する粗大夾雑物の量を増大させる。すなわち、本発明の方法では、上記構成としたことで、粗大夾雑物の分別工程で除去処理される、取水路内の堆積物の量を大幅に増大させ、これにより、処理効率を高めることができる。
【0034】
そして、次の残留堆積物と水とを分離する固液分離工程で、粗大夾雑物の分離後の、分別工程で分離した以外の堆積物を含む海水を、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に導入することで、速やかな固液分離を達成する。分別工程で分離した以外の堆積物を含む海水中には、使用するトロンメルの網の目開きにもよるが、例えば、5mm以下の様々なサイズの、貝殻の破片や砂やシルトやヘドロ等の夾雑物を含む。本発明者らの検討によれば、本発明では、トロンメルで粗大夾雑物を分級・分離する前に、取水路内の堆積物を含む海水中に高分子凝集・沈降剤(薬剤)を添加することを要するので、トロンメルで粗大夾雑物を分級・分離した後の、分別工程で分離した以外の残留堆積物を含む海水中に薬剤が含まれている。そして、薬剤と残留堆積物とを含む海水を沈殿槽等に導入する際に、残留堆積物を含む海水は、槽内に落下する状態で沈殿槽内に導入される、或いは、勢いよく流れる導入路を介して沈殿槽内に導入されるので、薬剤と大小様々なサイズの夾雑物を含む海水は、激しく混合される状態になる。この結果、海水中の粗粒と微粒の夾雑物が、速やかに凝集して速やかに沈降し、極めて迅速に安定して残留堆積物と海水とを固液分離することができる。また、本発明を構成する固液分離工程で得られる、沈降物(沈殿物)は、水離れがよく、取り扱い易いという利点もあり、これにより二次処理が容易であるという利点もある。
【0035】
本発明の除去方法では、先述したように粗大夾雑物の分別工程で、大きさの異なる様々な夾雑物が混在している取水路内の海水中から、粗大夾雑物を、粗大夾雑物以外のサイズの小さい夾雑物を付着・固着させた状態で分級・分離することを実現しており、水路内堆積物の多くを効果的に除去している。この際の除去処理の対象となる粗大夾雑物の大きさは、分級・分離するために使用する網の目開きのサイズによって決定される。そして、分級・分離して除去する対象の粗大夾雑物の大きさは、現場の水路内堆積物の状況に合わせて適宜に決定すればよく、通常、2mm~15mm程度の目開きの網が用いられている。
【0036】
本発明の除去方法を構成する、粗大夾雑物の分別工程に続いて行う固液分離工程で処理の対象になる残留堆積物の大きさは、粗大夾雑物の分別工程で、粗大夾雑物を分級・分離するために用いた網の目開きよりも小さいものになる。具体的には、残留堆積物を構成する夾雑物の最大粒径は、用いる網の目開きによって異なるものの、例えば、2mm未満、5mm未満、10mm未満、15mm未満の大きさの、大小様々な夾雑物を含むものである。本発明者らの検討によれば、このような大小様々なサイズの堆積物を含む海水には、先述した本願出願人が開発した技術を好適に適用することができ、その結果、残留堆積物と海水との簡便で速やかな固液分離を実現できる。
【0037】
すなわち、本発明を構成する固液分離工程において、固液分離の対象になる残留堆積物は、粗大夾雑物以外の大小様々なサイズの夾雑物を含むものであるので、まず、残留堆積物を含む水中に、長径が150μm以上の粗粒と、長径が50μm以下の微粒が確実に存在し、且つ、残留堆積物を含む水は、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に勢いよく導入されるので、本願出願人が開発した技術を好適に適用することができ、これによって顕著な効果を得ることができる。残留堆積物を含む水は、先述したように、トロンメルから落下させて導入する、或いは、勢いよく流れる導入路を介して沈殿槽内に導入されるので、残留堆積物を含む水と、その中に存在している添加された薬剤が激しく混合される状態になり、その結果、本発明の顕著な効果が得られる。このため、残留堆積物を含む水を沈殿槽等に導入させる際に、沈殿槽内へ残留堆積物を含む水を、より確実に勢いよく導入できるようにする目的で、例えば、沈殿槽内への水の導入路を急傾斜させたり、或いは、導入路の幅を狭くしたりするなどの手段を採用することも、本発明の好ましい形態である。
【0038】
本発明を構成する固液分離工程では、上記のようにして、高分子凝集・沈降剤(薬剤)が添加され、且つ、残留堆積物を含む水は、沈殿槽等の沈殿物処理用の設備内に勢いよく導入されるため、水中に、雑多な夾雑物からなる粗粒と微粒とが併存し、例えば、流速が0.5m/秒以上で、乱流状態の水中に薬剤が共存する状態が生じる。本発明者らの検討によれば、この結果、水中に、残留堆積物に由来する、例えば、貝殻の破片や小石や砂等を含む粗粒と、泥やヘドロ等の微粒が併存し、薬剤を含んで激しく混合される状態になるので、これらの夾雑物が、迅速に凝集・沈降し、その結果、極めて効率よく固液分離がされる。凝集沈降した沈殿物は、水離れのよい取り扱い易いものであり、また、その上澄み水は、速やかに濁りの少ない清澄なものになる。このため、本発明を構成する固液分離工程で使用する沈殿槽等は、従来の方法で用いていた沈殿槽に比べて格段に小さい、小規模で小型のもので済むという、実用上の極めて大きな利点がある。また、凝集・沈降した沈殿物は、水離れのよい取り扱い易いものであり、沈殿槽から溢流する上澄み水は、濁りの少ない清澄なものである。このため、例えば、
図1に示したように、固液分離後の水をそのまま放流することも可能であるし、冷却水等として再利用することも可能である。
【0039】
本発明を構成する固液分離工程で使用する沈殿槽等の沈殿物処理用の設備としては、一般的に使用されている沈殿槽を用いることができる。上記したように、本発明では、迅速に固液分離することができるので、設置に広大な場所と費用を要する大規模な沈殿槽を必要とすることなく、小規模な小型の沈殿槽を用いることができるので、この点でも、経済性に優れる水路内堆積物の除去方法を実現できる。沈殿槽の構成は特に限定されず、1槽構造のものでもよいが、例えば、1槽の固液分離槽と隣接して連結させた、処理水を貯溜するための処理水槽との2槽構造のものでもよい。さらには、固液分離槽を2槽以上とし、これに処理水槽を連結させた3槽以上の水槽からなる構造のものであってもよい。本発明によれば、1槽構造の固液分離槽でも効果的な固液分離ができるものの、より確実に固液分離を行うためには、固液分離を行う水槽を2槽以上に区切って、段階的に固液分離をするように構成することが好ましい。例えば、
図1に示したように、固液分離槽を2つに区切って2槽構造とし、これに処理水槽を連結してなる3槽構造の沈殿槽の設備を用いた場合は、下記の効果的な固液分離が行われる。まず、最初に残留堆積物を含む水が導入された水槽内で、速やかな凝集・沈降が行われて、殆どの残留堆積物が沈降物となる。この最初の水槽に連結された次の水槽では、最初の水槽から溢流した、残留堆積物が格段に減少した水について、同様に効果的な固液分離が行われて、その溢流水は清澄なものになる。この2番目の固液分離を行う水槽に隣接させた処理水槽には、固液分離後の清澄な処理水が導入され、その後に処理水槽から処理水の放流等がされる。上記は沈殿槽で説明したが、本発明で用いる沈殿物処理用の設備としては、沈殿槽に限らず、その現場に合わせて、例えば、傾斜板沈殿池等の沈殿池を利用することもできる。
【実施例】
【0040】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実際の水路内堆積物を除去する試験を行って、本発明の効果を確認した。
図1に示した模式図のようにして、海水の取水路内の堆積物を除去処理する試験を行った。
【0041】
具体的には、海水の取水路に堆積していた取水路内の堆積物、約170トンについて、本発明の除去方法を適用して20日間の除去作業を行って本発明の効果を確認した。確認試験に使用した海水の取水路のサイズは、2.3m×2.6m×280mである。そして、従来から行われている浚渫処理のように、海水の取水路を塞き止めて止水することなく、当然のことながら作業中に海水の取水路の水抜きを行うこともなく、水路内堆積物の除去処理を、取水路内の海水が併存している状態で行った。取水路の先のポンプを停止した状態で除去処理作業を行ったため、取水路の流速は0~0.1m3/分で、ほぼ流れがない状態だった。取水路内の堆積物を採取して、堆積物中に含まれている夾雑物について確認したところ、中身のある生きた貝や、貝殻、貝殻の破片、小石(礫)、砂、シルト、粘土及びヘドロ等、様々な種類の、様々な大きさの夾雑物が含まれていた。
【0042】
上記したような様々な夾雑物を含む取水路内の堆積物を、取水路内の海水とともに下記のようにして除去処理した。
図1に示したように、取水路内の堆積物を、吸引ポンプを用いて周囲の海水と一緒に吸い上げて、トロンメルに導入して、トロンメルで、網の目を通る小さいサイズの貝殻の破片や砂やシルトやヘドロ等の夾雑物と、網の目を通らない大きいサイズの貝殻等の粗大夾雑物とに分級した。分級して分離した粗大夾雑物はトラックで運搬して処理した。次に、網の目を通る小さいサイズの貝殻の破片や砂やシルトやヘドロ等の夾雑物を含む海水を、沈殿物処理用の水槽(沈殿槽)に導入して固液分離した。
【0043】
粗大夾雑物の分級・分離には、網の目開きが10mmのトロンメルを装備したユニック車を用いた。そして、トロンメルで分級・分離した粗大夾雑物を回収し、運搬するため、4トンのトラックを用いた。粗大夾雑物の分級・分離後の、粗大夾雑物以外の様々な大きさの雑多な残留夾雑物を有する海水を導入するための沈殿物処理用の設備として、
図1に示したような、内部が42m
3×3槽に区切られた水槽を使用した。3槽の水槽は、水槽の下の方に連結孔が設けられて連通しており、3連で連結されている。2槽が固液分離用の水槽であり、3槽目が処理水を貯溜するための処理水槽である。槽内から溢流した海水は、順次、隣接する水槽に導入され、最終的には、処理水槽中の処理水を放流する構造とした。その他の装備として、海水の取水路から取水路内の堆積物を海水と一緒に吸引するポンプ、該ポンプで吸引した吸引物をトロンメルの高さまで昇圧するポンプ、薬品を添加するポンプ(不図示)、処理水を水槽から排水路(海へ放流)へと放流するポンプを用いた。
【0044】
また、取水路内の堆積物と海水を移送するため、φ150mmの口径のカナラインホースを約600m用いた。具体的には、堆積物の吸引口から吸引ポンプまでの間で、カナラインホースを約20m~200m用い、吸引ポンプからトロンメルまでの間で、カナラインホースを約250m~300m用いた。そして、
図1に示したように、トロンメルの排水口の直下に沈殿物処理用の水槽(固液分離用の水槽)が配置されるようにした。
【0045】
上記確認試験では、
図1に示したように、海水の取水路内から吸引ポンプで、取水路内の堆積物を含む海水を吸い上げる際の、ポンプの吸い込み口の近傍に、高分子凝集・沈降剤(薬剤)を添加した。この結果、取水路内の堆積物を含む海水は、添加された薬剤と、激しく混合されながらトロンメルに向かって移送される。今般の確認試験では、さらに薬剤の添加を、トロンメルの排水口から直下にある固液分離用の水槽へと、粗大夾雑物を分級・分離した後の雑多な夾雑物を含む残留堆積物を有する海水を落下する状態で導入される際にも行った。このようにしたことで、吸引ポンプの吸い込み口の近傍のみに薬剤を添加した場合と比較して、雑多な夾雑物を含む残留堆積物を有する海水と薬剤とを、より確実に激しい状態で混合させることができる。
【0046】
今般の確認試験では、薬剤として、カチオン系高分子のNCS-2382(商品名、日鉄環境社製)を使用した。その使用量は、各種夾雑物を含む取水路内の堆積物を有する海水中に、約50mg/L程度で添加されるようにした。上記のように構成にした結果、ポンプの吸い込み口の近傍に添加された薬剤は、ポンプで取水路内に堆積していた各種夾雑物を含む海水と一緒に吸引され、吸引ポンプ(1.5m3/分)によって撹拌され、トロンメルへと移送されていくカナラインホース内で、85m/分程度の乱流によって激しく混合撹拌される。さらに、今般の確認試験では、トロンメルの排水口から直下にある固液分離用の水槽へと、雑多な夾雑物を含む残留堆積物を有する海水を落下する状態で導入する際に薬剤を添加した。直下にある固液分離用の水槽に向けて落下する際に、残留堆積物を有する海水と、添加した薬剤とが激しく混合される。
【0047】
上記した20日間にわたっての確認試験の結果、トロンメルで分級・分離して回収した粗大夾雑物の量は、約170トンであり、本発明の方法によって、大半の取水路内の堆積物をトロンメルで回収可能であることが確認できた。分離した回収物について観察したところ、使用したトロンメルの目開きの10mmよりも大きいサイズの、生きた貝や貝殻や小石等が含まれていた。また、
図2に示したように、大きい貝殻が複数枚積層し、互いに固着したような状態になったものが含まれていた。それ以外に、大きい貝殻に、小さい貝殻や、貝殻の破片や、小石や、砂や、ヘドロ等や、こられからなる塊が付着したものや、貝殻の破片や砂やヘドロ等が集まって形成された大きいサイズの集合体など、本来はトロンメルの目開きを通過しないサイズの、雑多な種類の物質で形成された塊や集合体が含まれていた。
【0048】
上記のことは、取水路内の堆積物を含む海水を吸い上げる際に、ポンプの吸い込み口の近傍に薬剤を添加したことで、添加した薬剤が水路内堆積物を含む海水と、激しく撹拌或いは混合されながら移送され、この状態でトロンメルに導入されたことによって、トロンメルの目開きよりも小さいサイズの夾雑物が効果的に凝集し、その結果、小さいサイズの夾雑物も、粗大夾雑物と一緒に分離して除去できたことを示している。
【0049】
<固液分離工程の検討>
さらに、トロンメルで粗大夾雑物を分級・分離後、雑多な夾雑物を含む残留堆積物を有する海水を、トロンメルの真下に配置した固液分離用の水槽へと落下させた。先述したように、残留堆積物を有する海水を沈殿槽に落下させる際に薬剤を添加して、より確実に、薬剤が最適な濃度で、且つ、海水等と厳しい状態で混合させる状態となるようにした。なお、薬剤の添加量は、残留堆積物を有する海水中に約50mg/L程度で薬剤が添加された状態になるようにした。その結果、
図1に示したように、3連の水槽のうちの海水等を落下させた1番目の固液分離用の水槽では、海水中の夾雑物がより速やかに沈降し、当該水槽の底部に速やかに堆積した状態になった。
【0050】
1番目の固液分離用の水槽から沈降物を取り出したところ、容易に塊として持ち上げることができた。また、沈降物について観察したところ、多種の夾雑物の中の粗粒と微粒が凝集し、互いに固着して塊の状態になっていた。そして、この1番目の固液分離用の水槽からの溢流水が導入される構造の隣接した2番目の固液分離用の水槽内の状態を観察したところ、1番目の水槽の沈降物と比較して格段に少ない量の沈降物が認められた。また、2番目の固液分離用の水槽の水は、1番目の水槽と比べて格段に清澄であった。このことから、粗大夾雑物を分級・分離した後の、残留堆積物を有する海水を落下させる状態で導入した1番目の固液分離用の水槽内で、残留堆積物を有する海水の固液分離が殆ど終了した状態になったことが確認できた。さらに、2番目の固液分離用の水槽からの溢流を導入した3番目の水槽内の海水は清澄であり、懸濁物は殆どなかった。
【0051】
上記試験で、処理水を溜めた3番目の処理水槽内の海水についてSS(懸濁物質)を測定したところ、SS値は海水の放流基準である50mg/L以下を満たしていた。また、全窒素の値も、T-Nが20mg/L以下であり、海水の放流基準を満たしていた。このため、固液分離後の海水は、処理水槽から溢流させて、そのまま海に放流することができることが確認できた。また、固液分離後の海水は、そのまま、工場内の各種製造装置などの冷却水として使用することも可能である。なお、20日間の処理で、上記の固液分離用の2つの水槽でされた固液分離によって回収した夾雑物の総量(wet重量)は約70トンであった。
【0052】
<薬剤の使用量の検討>
薬剤の使用量について検討するため、残留堆積物を有する海水中に薬剤が10mg/Lで添加された状態になるようにした以外は上記したと同様の処理を行ったところ、この場合も、薬剤を添加しない場合に比べて明らかに処理水質が改善されており、この条件の場合も本発明の効果が得られることが確認できた。しかし、薬剤の添加量が少ないと、本発明の処理目的を概ね満足した処理が可能であるものの、処理期間中に短時間ではあるが処理に乱れが生じることがあり、処理の安定性の点で若干劣るものになることがわかった。このため、本発明においては、薬剤の添加量を、残留堆積物を有する海水中に薬剤が10mg/L超の量が添加された状態になるようにすることが好ましい。運転条件としては、例えば、残留堆積物(SS)の重量1g当たりに薬剤が0.07mg/g以上となるように薬剤を添加することが好ましい。なお、この運転条件は、海水中にSSが15%含まれる条件で、薬剤を海水当たり10mg/L超添加する場合のSS当たりの薬剤量に該当する。本発明者らの検討によれば、水中における残留堆積物(SS)の重量にもよるが、経済性等も考慮すると、水路内の水中に10mg/L超~100mg/L程度の濃度となるように薬剤を含有させれば十分である。
【0053】
<薬剤の添加位置・添加回数の検討>
また、上記確認試験における薬剤の添加について、薬剤の添加回数を変えた条件で処理を行って、その場合に得られる効果についての検討をした。具体的には、下記の条件で海水路内の堆積物の除去処理を行った。まず、取水路内の堆積物を含む海水を吸い上げる際に、ポンプの吸い込み口の近傍に、確認試験で行ったと同様の量の薬剤を添加し、その後は薬剤の添加をすることなく処理を行った。その結果、先に述べた確認試験の場合と同様に、トロンメルによって、粗大夾雑物が互いに積層された状態で分級・分離されていた。また、確認試験の場合と同様に、粗大夾雑物以外の夾雑物の集合体や塊等が粗大夾雑物に付着等しており、粗大夾雑物と一緒に分級・分離されていた。このように薬剤の添加回数を1回とした場合も、先に説明した確認試験の場合と同様に、効果的に粗大夾雑物を除去処理することができることを確認した。
【0054】
さらに、上記確認試験における薬剤の添加について、薬剤の添加位置を変えた条件で処理を行って、その場合に得られる効果についての検討をした。具体的には、まず、先述した確認試験で行った、取水路内の堆積物を含む海水をポンプで吸い上げる際に薬剤の添加を行わずに、薬剤の添加を、トロンメルで粗大夾雑物を分級・分離する直前に薬剤を添加し、その後、残留堆積物を有する海水を固液分離用の水槽に落下させた。その結果、上記した条件で処理した場合も、トロンメルで分級・分離された粗大夾雑物において、粗大夾雑物が互いに積層した状態で分級・分離されたものや、分級・分離された粗大夾雑物に他の夾雑物の集合体や塊等が付着しているものなどが確認され、本発明の効果が得られることが確認された。
【0055】
比較のため、従来の方法である、上記した本発明の構成の水路内堆積物の除去方法において、薬剤の添加を行わないこと以外は同様にして海水の取水路内の堆積物を処理した。その結果、沈殿物処理用の水槽に24時間静置しても微粒が沈降せず、十分な固液分離をすることができなかった。このため、処理液を放流することができなかった。