(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】超音波潅流撮像のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/06 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B8/06
(21)【出願番号】P 2022503852
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 CA2020051002
(87)【国際公開番号】W WO2021012041
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519341795
【氏名又は名称】エグザクト イメージング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウドリンガー,ブライアン シー.
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-503654(JP,A)
【文献】特開平08-322836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0013530(US,A1)
【文献】特開2001-258887(JP,A)
【文献】米国特許第06535835(US,B1)
【文献】特開2009-101165(JP,A)
【文献】特表2019-500149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像処理方法であって、
シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理すること、
自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定すること、
前記脱相関傾向を使用して、前記Bモード超音波反射率データ内のノイズ成分を低減すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記脱相関傾向を使用して前記Bモード超音波反射率データ中のノイズ成分を低減することが、
相関傾向の勾配である脱相関の率を用い、
下記式:
に基づいて、前記脱相関の率が閾値以下の場合に、前記デジタル画像の画素の輝度をパラメータAとの積で減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱相関傾向に基づいて、前記潅流レベルの視覚的表現を形成すること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脱相関傾向を使用して、前記自己相関データ内のノイズ成分を低減することと、
前記脱相関傾向に基づいて、前記潅流レベルの視覚的表現を形成することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、20フレーム/秒以上の画像捕捉速度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像データが、自己相関の前に標準化される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記自己相関データが、正規化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自己相関データの前記脱相関傾向が、線形回帰、平均差、または全体的な大きさの変化によって決定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
非線形傾向を有する前記自己相関データが、処理されて、期間、指数関数的減衰率、極小値までの時間、または脱相関の別の尺度のうちの1つ以上が決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記自己相関が、スピアマン相関、ピアソン相関、またはフーリエ変換を使用して計算される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
信号の視覚的表現の前に、平滑化ステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
視覚的表現の前に、閾値の適用、および前記脱相関傾向の倍率変更をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記脱相関傾向の対数変換をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記脱相関傾向が、画像内の表現のために、異なる色またはグレースケール値にマッピングされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
フレーム間の局所的信号パターンを一致させることによる、動きを補正するための、前記複数のデジタル画像の位置合わせをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、少なくとも5フレームのシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記画像視野のサブセットが、各画像から処理されて、処理時間を短縮する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記画像が、より低い解像度にダウンサンプリングされて、処理時間を短縮する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波データが、15メガヘルツを超える周波数範囲を有する高周波超音波である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
潅流撮像システムであって、
シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を捕捉、収集するための高周波超音波トランスデューサ、
前記トランスデューサに動作可能に接続された信号処理ユニットであって、前記信号処理ユニットが、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定するように構成されている、信号処理ユニット、を備え、
前記信号処理ユニットが、前記脱相関傾向を使用して、前記Bモード超音波反射率データ内のノイズ成分を低減するように構成されている、潅流撮像システム。
【請求項21】
前記信号処理ユニットは、前記脱相関傾向を使用して
前記Bモード超音波反射率データ内のノイズ成分を低減する
ために、
相関傾向の勾配である脱相関の率を用い、
下記式:
に基づいて、前記脱相関の率が閾値以下の場合に、前記デジタル画像の画素の輝度をパラメータAとの積で減少させることを含む、請求項
20に記載のシステム。
【請求項22】
前記信号処理ユニットが、前記脱相関傾向に基づいて、前記潅流レベルの視覚的表現を形成するようにさらに構成されている、請求項
20に記載のシステム。
【請求項23】
前記信号処理ユニットが、前記脱相関傾向を使用して前記超音波データ内のノイズ成分を低減し、前記脱相関傾向に基づいて前記潅流レベルの視覚的表現を形成するようにさらに構成されている、請求項
20に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、20フレーム/秒以上の画像捕捉速度を有する、請求項
20~
23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記信号処理ユニットが、自己相関の前に前記画像データを標準化するように構成されている、請求項
20~
24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
コンピュータ可読記憶媒体であって、実行可能命令を含み、前記実行可能命令は、プロセスによって実行されると、プロセッサに、
マイクロ超音波を使用して取得されたシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理すること、
自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定すること、
前記脱相関傾向を使用して、前記Bモード超音波反射率データ内のノイズ成分を低減すること、
を行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記脱相関傾向を使用して、
前記Bモード超音波反射率データ内のノイズ成分を低減するための命令
が、
相関傾向の勾配である脱相関の率を用い、
下記式:
に基づいて、前記脱相関の率が閾値以下の場合に、前記デジタル画像の画素の輝度をパラメータAとの積で減少させる命令を含む、請求項
26に記載の記憶媒体。
【請求項28】
前記脱相関傾向に基づいて、前記潅流レベルの視覚的表現を形成するための命令をさらに含む、請求項
26に記載の記憶媒体。
【請求項29】
前記脱相関傾向を使用して、前記超音波データ内のノイズ成分を低減することと、
前記脱相関傾向に基づいて、前記潅流レベルの視覚的表現を形成することと、を行うための命令をさらに含む、請求項
26に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を使用した生体内の組織の潅流撮像に関する。特に、本発明は、超音波、および超音波画像のノイズ低減を使用した、生体組織の非侵襲的な潅流撮像のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生理学的体積データの動的撮像は、医療において、組織潅流の異常を検出するために、例えば、急性脳卒中、脳腫瘍を診断するために、または腫瘍の検出および分類において、使用される。超音波撮像または超音波検査法は、動物およびヒトの生きている組織を撮像するために使用される。診断用超音波検査法はまた、超音波診断法とも称され、病理または病変の可能性のある腱、筋肉、関節、血管、および内蔵などの患者の皮下身体構造を視覚化するために使用される超音波ベースの診断用撮像技術である。超音波画像または超音波検査図は、超音波トランスデューサまたはプローブを使用することによる超音波のパルスを組織に送ることによって行われる。この音響は、組織の一部を反射および反響し、その反響または反射した音響は、記録され、医療撮像システムの操作者に画像として表示され、通常、超音波検査図の画像では、より密度の高い組織が、明るい領域として表示され、より密度の低い組織が、より暗い領域として表示される。超音波画像の最も一般的な形式は、Bモード画像(輝度モード)であり、これは、組織の二次元または三次元断面の音響インピーダンスの変化を表示する。
【0003】
ドプラー超音波診断法は、血流を検査するために使用され、その血流には、流れの方向および速度、ならびに筋肉運動が含まれる。ドプラー画像で検出される様々な流速および動きは、判読を容易にするために、色で表現されることが多い。例えば、心弁膜閉鎖不全症の弁では、その漏れは、一意の色の点滅として表示される。封入されたガス状微小気泡を含む超音波造影剤を使用して、組織でのエコー反射性を増大させ、または音響波を反響する能力を向上させることができる。この造影剤は、静脈内に投与されて、ガス充填された微小気泡造影剤を体循環に導入し、エコー反射性を増大させることにより、臓器内の血液潅流を撮像するために使用される画質強調画像を提供する。潅流撮像により、血管化組織における血液量、血流、平均通過時間(MTT)、およびピークまでの時間(TTP)などの組織の生理学的挙動に関する情報を提供する。造影剤がない場合、血管が特定の最小サイズを超えていない限り、例えば、心臓において、血管が画像平面に都合よく配向し、かつパワードプラーの場合のこの最小流量および血管サイズがカラードプラーよりもわずかに低いものの、合理的に高い流量を有していない限り、組織内の血流を検出することは、困難または不可能である。流れを測定するカラーフロー撮像モードとは異なり、生物組織内の潅流レベルを測定することが望ましい。
【0004】
潅流撮像では、通常、大量の造影剤が注入され、その分布は、対象とする体積をカバーする後続の画像を繰り返し取得することによって左右される。造影剤は、血液のトレーサーとして機能し、血流を示すための信号変化を提供する。実際の生理的プロセスに応じて、血流(潅流)の短期分布(<1分)か、または微小血管の膜を通るトレーサー粒子の長期(>1分)拡散プロセス(組織動態)のいずれかが、画像ボクセルの様々な信号にコード化される。各ボクセルについて抽出された時間強度曲線は、通常、相対濃度-時間曲線に変換される。従来の超音波解像度は、ボクセルの最小の側面長を>150μmに制限する。
【0005】
高周波超音波はまた、マイクロ超音波としても知られており、高周波超音波アレイトランスデューサの開発のおかげで、有用な診断技術となりつつある。マイクロ超音波システムでは、15~80MHzの範囲の音響波が、トランスデューサから生成され,次いで、生きている組織を通って伝播し、その組織は、これらの音響波を反射し、次いで、それらの音響波は、トランスデューサに戻って来る。次いで、それらの音響波は、二次元および三次元画像に変換される。高周波超音波の利点は、小さいボクセルサイズを撮像するための能力であり、この能力により、画像の解像度を向上させる。
【0006】
超音波撮像の一例としては、Rafterらの米国特許US9,955,941が、造影剤によって潅流された組織を含む体積領域内で、複数の平面スライスを走査する超音波診断撮像システムについて記載している。画像データの検出に続いて、スライスデータは、そのデータを高度の次元に投影することによって組み合わされて、高度に組み合わされたスライス画像を生成し、その画像データは、平均化もしくは最大強度検出もしくは重み付けプロセスの手段によって、または体積レンダリングプロセス内においてその高度の次元にレイキャストすることによって、組み合わせられる。組み合わせられたスライス画像は、潅流の測定を提供する。
【0007】
造影剤を必要とせずに潅流データを提供する超音波撮像システムおよび方法が、依然として必要である。
【0008】
この背景技術情報は、当出願人が本発明に関連する可能性があると考える情報を知らせる目的で提供されている。前述の情報のいずれもが本発明に対して先行技術を構成することは、必ずしも意図されておらず、また解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、造影剤を必要とせずに潅流データを提供する超音波撮像システムおよび方法を提供することである。
【0010】
一態様では、シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理することと、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定することと、を含む撮像処理方法が提供される。
【0011】
一実施形態では、本方法は、脱相関傾向を使用して、超音波データ内のノイズ成分を低減する。別の実施形態では、本方法は、脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成する別の実施形態では、本方法は、脱相関傾向を使用して、自己相関データ内のノイズ成分を低減し、脱相関傾向に基づいて潅流レベルの視覚的表現を形成する。別の実施形態では、本方法は、20フレーム/秒以上の画像捕捉速度を有する。本方法の別の実施形態では、画像データは、自己相関の前に標準化される。本方法の別の実施形態では、自己相関データは、正規化される。本方法の別の実施形態では、自己相関データの脱相関傾向は、線形回帰、平均差、または全体的な大きさの変化によって決定される。本方法の別の実施形態では、非線形傾向を有する自己相関データは、処理されて、期間、指数関数的減衰率、極小値までの時間、または脱相関の別の尺度のうちの1つ以上が決定される。本方法の別の実施形態では、自己相関は、スピアマン相関、ピアソン相関、またはフーリエ変換を使用して計算される。別の実施形態では、本方法は、信号の視覚的表現の前に、平滑化ステップをさらに含む。別の実施形態では、本方法は、視覚的表現の前に、閾値の適用、および脱相関傾向の倍率変更をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、脱相関傾向の対数変換をさらに含む。本方法の別の実施形態では、脱相関傾向は、画像内の表現のために、異なる色またはグレースケール値にマッピングされる。別の実施形態では、本方法は、フレーム間の局所的信号パターンを一致させることによる、動きを補正するための、複数のデジタル画像の位置合わせをさらに含む。別の実施形態では、本方法は、少なくとも5フレームのシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む。本方法の別の実施形態では、画像視野のサブセットは、各画像から処理されて、処理時間を短縮する。本方法の別の実施形態では、画像は、より低い解像度にダウンサンプリングされて、処理時間を短縮する。本方法の別の実施形態では、超音波データは、15メガヘルツを超える周波数範囲を有する高周波超音波である。
【0012】
別の態様は、シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を捕捉および/または収集するための高周波超音波トランスデューサと、トランスデューサに動作可能に接続された信号処理ユニットであって、その信号処理ユニットは、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定するように構成されている、信号処理ユニットと、を備える、潅流撮像システムを提供することである。
【0013】
別の態様は、コンピュータ可読記憶媒体であって、プロセスによって実行されると、プロセッサに、マイクロ超音波を使用して取得されたシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理することと、自己相関データの脱相関傾向を計算して、血流および潅流レベルを決定することと、を行わせる実行可能命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体、を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明、ならびに本発明の他の態様およびさらなる特徴をよりよく理解するために、添付図面と併せて使用され得る以下の説明を参照する。
【0015】
【0016】
【
図2A-2B】低相関画素を排除することによる、脱ノイズ前後の例示的な超音波画像である。
【0017】
【
図3】画像内のノイズ領域と比較したときの、血管からの潅流信号の例を示す。
【0018】
【
図4】位置合わせされていない画像、および位置合わせされた画像からの信号の一例を示す。
【0019】
【0020】
【
図6】超音波潅流撮像の例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって共通に理解されているのと同じ意味を有する。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「a」、「an」、および「the」という単数形は、その文脈が明示的にその他の場合を定めない限り、複数の参照を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、後続のリストが網羅的でなく、任意の他の追加の好適な品目、例えば、1つ以上のさらなる特徴、構成要素、および/または要素を適宜含んでも含まなくてもよいことを意味することが理解されるであろう。
【0024】
本明細書には、組織の潅流撮像のための超音波モードが提供される。特に、本システムおよび方法は、注入される造影剤の使用を必要とせずに、潅流データを提供する超音波撮像システムおよび方法を提供する。収集された超音波画像における自己相関シーケンスの特定の関数を活用することによって、血液の潅流が検出され得、それ以外では、超音波信号内でノイズとなり得るものと区別され得る。このように、生物学的組織内の潅流が、造影剤を必要とせずに測定することができる。
【0025】
組織を通る血液の潅流の検出および撮像は、非常に高いフレーム速度に構成されたマイクロ超音波画像の画素レベルで時間脱相関信号を調べることによって行うことができる。例えば、平面波撮像などの技術で使用する。マイクロ超音波によって与えられる高いフレーム速度および小さいボクセルサイズでは、高感度の検出可能な領域を出入りする個々の反射器の動きにより、変化を経時的にゆっくりさせる。組織を通る血液潅流の結果としての経時的なこれらの変化の検出は、経時的に全く相関性がないノイズと、経時的に相関性がある固体組織との両方とは対照的である。このようにしてなされる潅流の測定は、従来の超音波では、より困難であり得、その理由は、組織内の高感度領域(ボクセル)があまりにも大きすぎて、多くの反射器が一度に出入りし、平均化に起因して強度変化が小さくなるためである。さらに、従来の超音波は、血液内の個々の反射器に対して感度が低く、これに対して、マイクロ超音波は、周波数が高いほど感度が高い。別の実施形態では、従来の超音波を使用した潅流の測定は、別の反射器の使用によって可能であり得ることが予測される。例えば、巨大なたんぱく質またはマクロファージは、規則的な超音波の反射器として機能し得る。
【0026】
理論に拘束されるわけではないが、血流内の細胞が内因性造影剤として機能し、現在説明されているように、適切な信号処理で検出することができるという仮説が立てられる。特に、赤い血液細胞(赤血球)は、血液の体積の約40~45パーセントを占める、血液内で最も豊富な細胞である。赤い血液細胞の直径は、おおよそ6~8μmであり、これは、超音波マイクロ気泡造影剤と同じサイズの範囲にあり、マイクロ超音波によって検出することができる十分なエコー反射性を有することができる。毛細血管の血流速度は、1ミリメートル/秒未満のオーダー、または0.03cm/秒程度であり、これらの速度での潅流は、現在説明されている撮像モードを伴う高周波マイクロ超音波を使用して検出することができる。これは、心臓超音波検査法などの従来の低周波超音波を使用して撮像することができる、毎秒数十mmのより速い動脈流と比較される。毛細血管の直径は、約5~10ミクロン(μm)であり、赤血球細胞が通常単一の縦列でしかそれらの毛細血管を通って移動することができないほど小さい。ヒト組織内の毛細血管の平均密度は、約600/mm3であり、これは、隣接する毛細血管の間の平均間隙が約40μmであることを意味する。造影剤を使用することについてのいくつかの制限が存在し、例えば、注入を必要とすることには、すべての管轄区域での使用が許可されない場合があり、すべての用途が許可されない場合があり、造影剤は、経時的に破裂または散逸する可能性がある。造影剤は、超音波内で効果を現すことができ、その理由は、それらがガスで満たされ、またそれらが振動して非線形応答を生じさせるためである。
【0027】
画像収集のためのフレーム速度が十分に速くない場合、フレーム間の時間が長くなりすぎるため、ボクセル内外に同時に移動する反射器が多くなりすぎる結果となる。この場合、信号の相関関係を不明瞭にする平均化が引き起こされる。したがって、フレーム速度は、組織を通る血液潅流が捕捉されることを確実にするために、少なくとも反射器の動きと同じくらいの速さにしなければならない。一実施形態では、フレーム速度は、おおよそ少なくとも毎秒30個s-1以上(≧)のフレーム速度である。別の実施形態では、フレーム速度は、おおよそ少なくとも20個s-1を超える(>)フレーム速度であり、運動補償もまた、必要とされる。
【0028】
加えて、組織内で撮像されるボクセルまたは高感度領域サイズは、個々のまたはいくつかの数の反射器がボクセルを通って潅流するときに、それらを観察および検出するのに(すなわち、反射器のいくつかがフレームにわたって同じボクセル内に存在するように)十分小さくなければならない。一実施形態では、ボクセルサイズは、70μmのオーダーである。約70μmのボクセルサイズは、15MHz以上(≧)の高周波超音波に対応する。当業者であれば、ボクセルサイズが超音波の周波数とともに変化することを理解する。
【0029】
組織内の血流の増加が実行中に生じる場合があり、血管新生によってもたらされる血管形成の増加は、多くの癌および腫瘍の特徴を示している。従来の超音波の下では、血液は暗く見え、信号脱相関のない高周波超音波の場合には、血液は、ノイズのように見える。毛細血管の血管新生の増加が、マイクロ超音波撮像の設定値を変化させることによって視覚化されることが可能であり、その結果、十分な速さで画像を収集して、走査線および焦点ゾーンの数を限定すること、ならびに毛細血管の血流の脱相関信号特性を分離することによって、超音波信号の変化を監視することが見出されている。特に、高周波超音波のノイズが特定の場所で経時的にどのように変化するかを観察することによって、以前にノイズとして観察された血管化組織から生じた信号がエコー反射血液として識別され得ることが見出されている。したがって、本技術は、組織内の潅流領域を特定および撮像することができる。
【0030】
血管または毛細血管が血流の動きを見るために撮像面を横切って直接流れる必要があるドプラー超音波法とは異なり、現在説明されている高周波超音波法を使用して撮像された組織内の各測定されたボクセルにおけるエコー反射性の検出では、毛細血管の配向に関しては知ることができない。各ボクセル内の大きさ情報のみを使用し、かつ位相または空間情報を使用しないことによって、現在の撮像モードは、流れの方向に関して全く知ることができない。そのことは、同じボクセル内に毛細血管の束が存在し、各毛細血管が異なる方向および/または反対方向に流れている場合、現在の撮像モードが、依然としてそれらの毛細血管のすべてにわたる総流量を決定することができることを意味する。従来のドプラー超音波法では、撮像面に位置合わせされた同じボクセル内に2つの血管を有する場合であっても、それらの血管が反対方向に流れていれば、それらはキャンセルすることになるため、いかなる信号も見えない。
【0031】
2Dモードとも称されるBモード(輝度モード)超音波では、線形アレイのトランスデューサが、画面上に二次元画像として閲覧することができる、身体を通る平面を同時に走査する。Bモードは、周囲の静止した組織からの信号を除去しながら、主に赤血球細胞である可能性が高い移動する反射器をデジタルで強調表示する超音波撮像モードである。したがって、Bモードは、流れる血液、および周囲の静止した組織を同時に視覚化することができる。Bモード画像内の各画素は、幅70μmの組織体積を表す。典型的な毛細血管の直径は、70μm未満であり、したがって、収集された画像は、組織体積内の毛細血管にわたって総計され、その画像は、潅流領域への毛細血管流量の増加と相関する輝度を提供する。
【0032】
Bモードのマイクロ超音波によって提供される解像度のデータは、おおよそ5メガ画素/画像である潅流画像を生成し、血液潅流が増加した領域は、画像内の輝度領域として示される。Bモードを使用すると、画像は、比較およびデータ自己相関のために十分な量のフレーム、例えば、少なくとも5フレームについて、高フレーム速度(少なくとも、毎秒20フレーム)で収集される。
【0033】
マイクロ超音波データの画像処理は、各画素内の輝度変動の時定数を使用し、時点間および経時的な統計的変化の速度を調べる。任意選択的に、画像は、例えば、画素のサブセットを選択することによって、またはその画像の、より低い解像度にダウンサンプリングされたバージョンの作成を通じて、処理時間を短縮するように処理してもよい。画像はまた、任意選択的に、空間的または一時的に処理されて、ノイズを拒絶し、画像を平滑化し、また忠実度を向上させることもできる。例えば、一実施形態では、ローパスまたはフィルタが、画像に対して最初に適用され得る。
【0034】
信号は、相関傾向の勾配であり、それは、脱相関率である。脱相関の勾配は、潅流領域内の流体がどのくらい速く流れているかについての情報を提供する。
【0035】
画像から信号を導出するために、各画素内のデータは、まず、次式を使用して、すべてのフレームにわたって統計的に標準化される。
【0036】
次いで、自己相関が計算されて、相関の基礎としてxnormを使用して、各画素において標準化された信号の繰り返しを調べる。自己相関は、画素での信号と、例えば、1~4フレーム後(毎秒30フレームで0.03~0.13秒)である時間帯の後の、同じ画素での信号との間の類似性を調べる。
【0037】
自己相関yは、次式を使用して、標準化された画像データから計算することができる。
式中、
iおよびjは、画素の2D座標を表し、
tは、処理されている1つの画像フレームの時間添字であり、
lagは、フレームと、いくつかのフレームで測定された別のフレームとの間の時間の量である。
【0038】
自己相関の結果は、次式を使用して正規化することができる。
式中、
nは、分析のために収集された時間点(すなわち、フレーム)の数である。
【0039】
データの自己相関を計算するために使用することができるいくつかの他の方法としては、スピアマン相関、ピアソン相関、またはフーリエ変換が挙げられる。任意選択的に、その計算された自己相関は、例えば、ガウス核関数を使用して、平滑化することができる。
【0040】
脱相関率は、標準化されたBモード信号の正規化された自己相関における経時的な傾向である。この脱相関率を使用して、流速を含む組織潅流を測定し、各組織タイプを区別することができる。通常、時間スケールは、信号が経時的に直線的に変化する場所で選択することができ、したがって、脱相関率は、線形回帰を適用して、真っ直ぐな線、平均差(tおよびt+1での各点の間の平均差を取ることによって)、または全体的な大きさの変化(max(y)-min(y))にフィッティングさせることによって、定量的に決定することができる。他の計算を適用して、より複雑なデータをフィッティングさせ、流量に関する他の情報を与えることができ、それらの他の計算は、期間、指数関数的減衰率、または極小値までの時間の決定を含むことができる。
【0041】
非常に低いまたは無視できる脱相関率を有するボクセルは、ノイズが相関性を持たないプロセスであるため、ノイズを表す。したがって、一実施形態では、特定の閾値(ノイズレベルに基づいて、経験的に選択される)を下回る脱相関率を有するボクセルは、表示前のBモード画像内で0に設定され、画像のノイズ成分を低減し、信号対ノイズ比、およびコントラストを改善する。別の実施形態では、Bモード画像内の画素の輝度は、この率が以下の式で示されるような特定の閾値未満であるときに、脱相関率に基づいて低減される。当業者であれば、パラメータが経験的に設定されて、特定の状況の場合に画像品質を最適化し、他の同様の関数が同じ効果に使用され得ることを理解するであろう。
【0042】
脱相関率の視覚的表現を作成することは有用であり、この表現は、潅流の態様を表す。1つの単純なマッピングでは、脱相関値には、画像として画面上に表示することができる輝度(0~255)が割り当てられる。値が使用されない閾値(例えば、勾配<10=輝度値0)を下回る閾値は、有用であり得る。対数マッピングはまた、輝度=log(勾配+1)の位置にある超音波Bモード撮像データに対して実行される圧縮と同様の信号を「圧縮」して、より高い値の間の差をより小さく示し、かつ低い値の間の差を強調するために、使用することもできる。他のデータ変換はまた、対象となる態様を強調するのに有用であると判定されたときに適用されてもよく、その態様には、流量が含まれてもよい。いくつかの表現では、異なる色を使用して、対象となる各態様をさらに区別することができる。
【0043】
一実施形態では、潅流撮像およびノイズ低減は、ボクセルの脱相関率に基づいている。この潅流撮像およびノイズ低減は、互いに独立して適用することができる。または、この潅流撮像およびノイズ低減は、一緒に使用することができる。
【0044】
本撮像方法のためのデータを収集するために使用することができる超音波システムは、少なくとも毎秒20フレーム(fps)のフレーム速度で、少なくとも15メガヘルツ(MHz)の周波数を有する超音波信号を受信するように適合されたものである必要がある。通常2~15MHzの周波数を使用する従来の超音波撮像と比較すると、高周波(HF)撮像(15MHzより高い)は、改善された空間解像度をもたらす。現在説明されているような信号処理は、取得された超音波信号から超音波画像を生成するために、より高いフレーム速度を必要とする。別の実施形態では、信号処理は、微小気泡造影剤および/またはナノ粒子造影剤などの強力な反射器を伴う従来の超音波周波数で動作することができる。
【0045】
画像収集のために使用されるトランスデューサは、線形アレイトランスデューサ、フェーズドアレイトランスデューサ、二次元(2D)アレイトランスデューサ、または湾曲アレイトランスデューサとすることができる。使用されるトランスデューサの中心伝送周波数は、15MHz以上であることが好ましい。例えば、その中心伝送周波数は、おおよそ15MHz、20MHz、30MHz、40MHz、50MHz、55MHz以上とすることができる。いくつかの例示的な態様では、超音波トランスデューサは、約15MHz~約80MHzの範囲内の中心周波数で、その対象に超音波を送信することができる。このトランスデューサは、20~50MHz範囲の撮像システムを有する高周波線形アレイを備えることが好ましい。
【0046】
図1は、本方法と一緒に使用するための高周波医療撮像システム100を示し、このシステムは、トランスデューサ素子104を有する超音波トランスデューサ102、超音波トランスデューサインターフェース106、空間センサ108、およびサーバ110を含む。この超音波トランスデューサ102は、(A)(超音波トランスデューサ102によって)受信されたエコー音響信号を超音波情報に変換すること、および(B)超音波情報を(出力ポートを介して)送信すること、を行うように構成されている。超音波トランスデューサ102はまた、超音波プローブとも呼ばれる。超音波トランスデューサ102は、アレイ状に配列されたトランスデューサ素子104を有し、例えば、トランスデューサ素子104は、互いに対して交互に、横列に沿って整列されてもよい。トランスデューサ素子104は、活性化されるように構成されている(それらは、選択的に活性化されてもよく、または活性化されなくてもよい)。トランスデューサ素子104はまた、それらが超音波パルスを送信し、かつ超音波パルスの反射を受信するという点で、送信素子および受信素子とも呼ばれる。トランスデューサ素子104の集合はまた、トランスデューサアレイとも呼ばれる。超音波トランスデューサ102はまた、超音波トランスデューサ102が送信(出射超音波パルス)および受信(反射超音波パルス)の両方を行うように構成されている場合の超音波送受信機としても知られている。医療撮像システム100は、レーダーまたはソナーと同様の原理に基づいて超音波トランスデューサ102を使用し、この場合、医療撮像システム100は、音響波からのエコー(反射)を解釈することによって、標的の属性を評価するように構成されている。この超音波トランスデューサ102は、(A)比較的高い周波数音響波を発生させること、および(B)標的からのエコーを受信すること、を行うように構成されている。医療撮像システム100は、(A)超音波トランスデューサ102によって提供された超音波情報を評価することと、(B)(超音波トランスデューサ102から)出射信号を送信してそのエコーを受信する間の時間間隔を計算することと、(C)計算された時間間隔に基づいて、標的または対象物までの距離を決定することと、を行うように構成されている。超音波トランスデューサ102は、電気エネルギーを音響に変換することによって、概ね約18KHz(キロヘルツ)を上回る超音波範囲で音響波を発生するように構成されており、次いで、そのエコーを受信すると、超音波トランスデューサ102は、反射された音響波を電気エネルギーに変換するように構成され、その電気エネルギーは、医療撮像システム100によって測定および表示することができる。
【0047】
超音波は、ヒトの聴取範囲の上限よりも高い周波数を有する振動音響圧力波である。この制限は個人によって異なるが、健康な若年成人においては、おおよそ20KHzである。一部の超音波デバイスは、約20kHzから数ギガヘルツ(GHz)までの周波数で動作する。超音波トランスデューサ102は、超音波エネルギーの短いバーストを含む信号を送信するように構成されている。各バーストの後、超音波トランスデューサ102は、そのエネルギーが患者の組織を通過するために必要とされる時間に対応するわずかな時間のウインドウ内に、戻り(反射)信号を受信するように構成されており、次いで、この期間中に受信された信号は、医療撮像システム100によって追加の信号処理を受ける資格を得る。超音波トランスデューサ102(医療超音波トランスデューサまたはプローブ)は、身体の様々な部分の写真を作成する際に使用するための任意の様々な形状およびサイズを有するように構成することができる。超音波トランスデューサ102は、身体(患者)の表面上を通過してもよく、腹腔鏡下に挿入されてもよく、または食道、直腸、もしくは膣などの患者のオリフィス(身体開口部)に挿入されてもよい。超音波トランスデューサ102は、超音波トランスデューサ102を保持および/または移動させるように構成されたプローブ位置決めシステム(図示せず、かつ既知ではない)と一緒に使用するように構成されてもよく(超音波誘導手技を実行する臨床医または操作者によって)、超音波トランスデューサ102は、トランスデューサ素子104のアレイを含む。超音波トランスデューサ102のトランスデューサ素子104の横列は、直線配置で、または曲線配置で整列されてもよい。トランスデューサ素子104の各々は、(A)標的に向けて入射音響信号を送信すること、および(B)標的からトランスデューサ素子104に反射して戻される音響を表すエコー音響信号を受信すること、を行うように構成されている。
【0048】
超音波トランスデューサインターフェース106は、超音波トランスデューサ102の動作を制御するように構成されている。超音波トランスデューサインターフェース106は、ソフトウェアプログラムとして(オプションに従って)、
図1に図示してある。プロセッサアセンブリ120は、超音波トランスデューサインターフェース106を介して、超音波トランスデューサ102を制御する。超音波トランスデューサインターフェース106はまた、ビームフォーマーとも呼ばれる。一例によれば、超音波トランスデューサインターフェース106は、サーバ110の非一時的コンピュータ可読媒体112(以降、メモリ112と称する)に有形に記憶されたサーバ実行可能コード(ソフトウェアプログラム)を含んでもよく、別の例によれば、超音波トランスデューサインターフェース106は、サーバ実行可能コードと協働する電子ハードウェア構成要素の組み合わせを含む。一般的に言えば、超音波トランスデューサインターフェース106は、(A)(超音波トランスデューサ102の出力ポートを介して)超音波トランスデューサ102に動作可能に接続すること、(B)トランスデューサ素子104によって送信される入射音響信号の形状を制御すること、(C)超音波トランスデューサ102から超音波情報を受信すること、および(D)提供される走査線を発生させるように活性化されるトランスデューサ素子104にマッピングされた走査線を提供すること(すべてのトランスデューサ素子104が必ずしも活性化されるわけではなく、したがって、トランスデューサ素子104のこれらの未使用のインスタンスは、活性化されないであろう)、を行うように構成されている。超音波トランスデューサインターフェース106は、超音波トランスデューサ102によって放出および/または受信される超音波エネルギーの電子的に制御された集束を容易にするように構成されたデバイスである。
【0049】
一般に、空間センサ108は、(A)超音波トランスデューサ102の空間移動を検出すること、および(B)超音波トランスデューサ102が超音波トランスデューサインターフェース106に超音波情報を送信する間、超音波トランスデューサ102の空間移動を示す空間情報を提供すること、を行うように構成されている。空間センサ108は、超音波トランスデューサ102に取り付けられてもよい。代替的に、空間センサ108は、超音波トランスデューサ102と統合化されてもよい。
【0050】
サーバ110はまた、コンピュータ等としても知られている。一般に、サーバ110は、(A)超音波トランスデューサインターフェース106とインターフェース接続すること、(B)空間センサ108とインターフェース接続すること、および(C)実行可能コード114(プロセッサ実行可能コードとも呼ばれ、以降、プログラム114と称する)を有形に記憶するメモリ112を有すること、を行うように構成されている。このプログラム114は、サーバ110によって実行される動作可能なタスクの組み合わせである。サーバ110は、ソフトウェアと好適なコンピュータハードウェアとの組み合わせであるシステムである。サーバ110は、専用のコンピュータ、またはコンピュータの組み合わせを含んでもよい。サーバ110は、クライアントサーバアーキテクチャのために構成されてもよい(必要に応じて)。
【0051】
メモリ112は、コンピュータ実行可能プログラムもしくはプロセッサ実行可能プログラム(命令または動作の一連のもの)、および/またはデータ(例えば、プログラム状態情報)を、一時的に、またはサーバ110内での永続的な使用のため記憶するために使用される物理的なデバイス、およびそれらと同等のものを指す場合がある。一次メモリは、二次メモリと区別されて、高速で機能する物理システム(RAMまたはランダムアクセスメモリなど)内の情報のために使用され、その二次メモリは、アクセスするには遅いが、より大きなメモリ容量を要求するプログラムおよびデータストレージ用の物理的なデバイスである。二次メモリ上に記憶された一次メモリは、「仮想メモリ」と呼ばれる。例として、メモリ112は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。例として、メモリ112は、テープ、磁気ディスクおよび光ディスク(CD-ROMまたはコンパクトディスクROM、およびDVD-ROMまたはデジタルビデオディスクROM)等の二次メモリを含み得る。
【0052】
プログラム114は、当業者に知られているような既知のソフトウェアツールを使用して構築され、コンピュータプログラムされた命令は、高級コンピュータプログラミング言語で組み立てられ、コンパイラおよび他のツールを使用して、コンピュータプログラムされた命令を実行可能コードに変換する。プログラム114は、プロセッサアセンブリ120によって実行される方法または一連の動作を提供することが理解されるであろう。メモリ112は、実行可能コード114(また、プログラム114とも呼ばれる)を含む(有形に記憶する)。実行可能なコード114は、プロセッサアセンブリ120によって実行される動作可能なタスクの組み合わせを含む。例えば、実行可能コード114は、超音波トランスデューサ102の限定された数の選択可能な走査線を有する走査線セットに関連付けられた超音波情報を受信するように、サーバ110に指示するように構成される。例として(また、それに限定されないが)、走査線セットは、所望される場合、(走査線セットの選択された走査線を発生させるために使用される)超音波トランスデューサ102の限定されたセットのトランスデューサ素子104でマッピングされる限定された数の走査線を有してもよい。
【0053】
上記の点から、一般的に、超音波トランスデューサインターフェース106を有する医療撮像システム100を動作させる方法が提供されており、その超音波トランスデューサインターフェース106は、超音波トランスデューサ102と動作可能にインターフェース接続するように構成されており、超音波トランスデューサ102は、トランスデューサ素子104を含み、医療撮像システム100はまた、超音波トランスデューサ102の空間移動を示す空間情報を提供するように構成された空間センサ108も有しており、この方法は、超音波トランスデューサ102の限定された数の選択可能な走査線を有する走査線セットに関連付けられた超音波情報を受信することを含むことが理解されるであろう。さらに、サーバ110は、超音波トランスデューサ102の限定された数の選択可能な走査線を有する走査線セットに関連付けられた超音波情報を受信するように構成される(プログラムされる)。さらに、非一時的コンピュータ可読媒体112は、その非一時的コンピュータ可読媒体112に有形に記憶される実行可能コード114を含み、その実行可能コード114は、サーバ110によって実行可能である動作可能なタスクの組み合わせを含み、その実行可能コード114は、超音波トランスデューサ102の限定された数の選択可能な走査線を有する走査線セットに関連付けられた超音波情報を受信するよう、サーバ110に指示するように構成される(プログラムされる)。
【0054】
サーバ110はまた、ディスプレイアセンブリ116、入力/出力インターフェースモジュール118、プロセッサアセンブリ120、メモリ112に有形に記憶されたデータベース122、超音波データ123、および空間データ124も含む。超音波データ123および空間データ124は、データベース122に記憶されるか、またはメモリ112に記憶される。入力/出力インターフェースモジュール118は、プロセッサアセンブリ120を、ディスプレイアセンブリ116、超音波トランスデューサインターフェース106(および間接的には、超音波トランスデューサ102)、ならびに空間センサ108に動作可能に接続するように構成されている。このようにして、プロセッサアセンブリ120は、ディスプレイアセンブリ116、超音波トランスデューサインターフェース106、および空間センサ108の動作を制御することができ、また、超音波トランスデューサインターフェース106の直接制御を介して超音波トランスデューサ102も制御することができる。入力/出力インターフェースモジュール118はまた、プロセッサアセンブリ120をユーザインターフェースデバイス(キーボード、マウス、タッチスクリーンディスプレイアセンブリ等)にもインターフェース接続するように構成されている。
【0055】
プロセッサアセンブリ120(また、中央処理ユニットまたはCPUまたは中央プロセッサユニットとも呼ばれる)は、演算動作、論理動作、および入力/出力動作を実行することによって、プログラム114内に記述された命令を実行するサーバ110内のハードウェアである。プロセッサアセンブリ120は、1つ以上のCPUのインスタンスを有し得る。このCPUは、マイクロプロセッサ(CPUが単一のシリコンチップ上に含まれることを意味する)を含むことができる。一部の集積回路(IC)は、単一のチップ上に複数のCPUを含むことができ、それらのICは、マルチコアプロセッサと呼ばれる。1つのCPUを含む1つのICはまた、周辺機器、およびコンピュータシステムの他の構成要素を含むことができ、これは、システムオンチップ(SoC)と呼ばれる。CPUの構成要素は、演算動作および論理動作を実行する演算論理ユニット(ALU)、およびメモリから命令を取り出してそれらの命令を復号化および実行し、必要に応じてALUを呼び出す制御ユニット(CU)である。プロセッサアセンブリ120は、アレイプロセッサ、または多重並列コンピューティング素子を有するベクトルプロセッサを含むことができ、1つのユニットが、「中心」と見なされない。分散コンピューティングモデルでは、分散して相互接続されたプロセッサのセットによって、様々な問題が解決される。医療撮像システム100によって表示される画像は、リアルタイムで、かつ/または取得もしくは処理遅延の後に、表示することができる(ディスプレイアセンブリ116を介して)。
【0056】
図2Aおよび2Bは、非常に短い脱相関時間を有する画素を排除することによる、脱ノイズ前後の超音波画像である。これらの画素は、通常、真の生物学的効果ではなく、受信信号内のランダムノイズの産物であり、流量もしくは静止した解剖学的構造に関連する測定可能な媒体もしくは長い脱相関時間を有する画素とは区別可能である。これらの短い脱相関画素の増幅を除去または低減することによって、画像の全体的な信号対ノイズ比が改善される。
図2Aは、補正前の画像を示す。一方、
図2Bは、短い脱相関時間画素が除去された同じ画像を示す(補正後)。
【0057】
潅流領域を明るくして血流領域を強調表示することに加えて、周辺の静止した組織領域の輝度信号を抑制して、潅流組織と非潅流組織との間のコントラストを与えることができる。
【0058】
図3は、画像内のノイズ領域と比較したときの、血管からの潅流信号の一例を示す。この血液信号は、明確な線形勾配を有する。一方、ノイズ信号は、ランダムのように見え、全体的な傾向がない。
【0059】
図4は、位置合わせされていない画像、および位置合わせされた画像からの信号の一例を示し、撮像中の移動からの異常な信号が除去されている。画像収集中には、標的領域の、またはその内部の移動もまた、起こり得る。例えば、これは、患者の動き、または身体内の組織および臓器の動きに起因して、起こり得る。任意選択的に、画像を位置合わせして、フレーム間で局所的信号パターンを一致させることによって、この動きを補正することができる。1つの位置合わせ法において、各画素の近傍が識別され、画素近傍の2Dグリッドにわたる信号の時間依存の相互相関を一致させて、異常な信号を除去する。位置合わせ問題を軽減するには、撮像速度をより高速にすることが、有用である場合がある。
【0060】
組織内の血流の増加が、運動中に生じる場合があり、また、固形腫瘍および他の癌腫においても共通している。運動誘発性の血流増加が、
図5A~5Cに示されており、前腕筋肉の活性化前後である。
図5Aは、Bモードマイクロ超音波画像での手首の解剖学的構造を示す。
図5Bは、安静時の指屈筋の画像を示す。
図5Cは、1分間活性化された後の、安静時の指屈筋の画像を示す。
【0061】
図6は、組織内の潅流を撮像するための超音波撮像モードの例示的な方法を示すフロー図である。まず、複数のBモード超音波画像データが、高周波超音波を使用して収集される。別の実施形態では、複数のBモード高周波超音波画像データ(フレーム)が、メモリ112から処理される202。次いで、脱相関傾向が、自動相関画像データについて計算されて、画像フレーム内の各画素について選択された各画像フレーム間の流量および潅流レベルを決定する204。次いで、3つのステップのうちの1つが行われる場合がある。一実施形態では、画像データ内のノイズ成分が、脱相関傾向を使用することによって低減される206。または、潅流レベルの視覚的表現が、脱相関傾向に基づいて形成される208。または、画像データ内のノイズ成分が、脱相関傾向を使用することによって低減され、潅流レベルの視覚的表現が、脱相関傾向に基づいて形成される(210および212に示される)。ステップ210は、206と同じであり、ステップ212は、208と同じである。ステップ210および212は、任意の順番で起きてもよい。また、画像データは、自己相関(図示せず)の前に、すべての画像にわたる各画素において標準化され得る。
【0062】
以下の条項は、本装置の実施例のさらなる説明として提供される。以下の条項のうちの任意の1つ以上は、以下の条項のうちの任意の別の1つ以上と組み合わせ可能であり得、ならびに/あるいは任意の他の条項の任意の小区分もしくは一部分もしくは複数部分、かつ/または条項の組み合わせおよび順列と組み合わせ可能であり得る。以下の条項のうちの任意の1つは、任意の他の条項との、または任意の他の条項の任意の部分との組み合わせを必要とすることなく、それ自体の利点に基づくことができる。
【0063】
条項1:シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理すること、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定することと、を含む撮像処理方法。条項2:脱相関傾向を使用して、超音波データ内のノイズ成分を低減すること、をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項3:脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成すること、をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項4:脱相関傾向を使用して、自己相関データ内のノイズ成分を低減することと、脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成することと、をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項5:20フレーム/秒以上の画像捕捉速度を有する、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項6:画像データが自己相関の前に標準化される、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項7:自己相関データが正規化される、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項8:自己相関データの脱相関傾向が、線形回帰、平均差、または全体的な大きさの変化によって決定される、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項9:非線形傾向を有する自己相関データが、処理されて、期間、指数関数的減衰率、極小値までの時間、または脱相関の別の尺度のうちの1つ以上が決定される、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項10:自己相関が、スピアマン相関、ピアソン相関、またはフーリエ変換を使用して計算される、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項11:信号の視覚的表現の前に、平滑化ステップをさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項12:視覚的表現の前に、閾値の適用、および脱相関傾向の倍率変更をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項13:脱相関傾向の対数変換をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項14:脱相関傾向が、画像内の表現のために、異なる色またはグレースケールの値にマッピングされる、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項15:フレーム間で局所的信号パターンを一致させることによる、動きを補正するための、複数のデジタル画像の位置合わせをさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項16:少なくとも5フレームのシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項17:画像視野のサブセットが、各画像から処理されて、処理時間を短縮する、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項18:画像が、より低い解像度にダウンサンプリングされて、処理時間を短縮する、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項19:超音波データが、15メガヘルツを超える周波数範囲を有する高周波超音波である、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載の方法。条項20:シーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を捕捉、収集するための高周波超音波トランスデューサと、トランスデューサに動作可能に接続された信号処理ユニットであって、その信号処理ユニットは、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定するように構成されている、信号処理ユニットと、を備える、潅流撮像システム。条項21:信号処理ユニットが、脱相関傾向を使用して、超音波データ内のノイズ成分を低減するようにさらに構成されている、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のシステム。条項22:信号処理ユニットが、脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成するようにさらに構成されている、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のシステム。条項23:その信号処理ユニットが、脱相関傾向を使用して超音波データ内のノイズ成分を低減し、脱相関傾向に基づいて潅流レベルの視覚的表現を形成するようにさらに構成されている、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のシステム。条項24:20フレーム/秒以上の画像捕捉速度を有する、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のシステム。条項25:その信号処理ユニットが、自己相関の前に画像データを標準化するように構成されている、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のシステム。条項26:実行可能命令を含み、実行可能命令は、プロセスによって実行されると、プロセッサに、マイクロ超音波を使用して取得されたシーケンシャルBモード超音波反射率データを含む複数のデジタル画像を処理することと、自己相関データの脱相関傾向を計算して、流量および潅流レベルを決定することと、を行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。条項27:その脱相関傾向を使用して、超音波データ内のノイズ成分を低減するための命令をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のンピュータ可読記憶媒体。条項28:その脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成するための命令をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のンピュータ可読記憶媒体。条項29:その脱相関傾向を使用して、超音波データ内のノイズ成分を低減することと、その脱相関傾向に基づいて、潅流レベルの視覚的表現を形成することと、を行うための命令をさらに含む、この段落で述べられる、条項のいずれか一項、またはいずれかの条項のいずれかの部分に記載のンピュータ可読記憶媒体。
【0064】
この明細書に言及されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、この発明が属する当技術分野の当業者のレベルを示し、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、このように記載されており、同じ記載が多くの方法で変更され得ることは、明らかであろう。そのような変形例は、本発明の範囲から逸脱するものとして見なされるべきではなく、当業者には明らかであろう、そのようなすべての修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。