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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】癌を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4155 20060101AFI20240725BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240725BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240725BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61K31/4155
A61K31/444
A61K31/573
A61P13/08
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
【請求項の数】 47
(21)【出願番号】P 2022507799
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 US2020045410
(87)【国際公開番号】W WO2021026454
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/099754
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522050147
【氏名又は名称】ラークナ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LAEKNA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ルー,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ルイポン
(72)【発明者】
【氏名】ユエ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ミンホア
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531884(JP,A)
【文献】Molecular Cancer Therapeutics,2015年,Vol.14, No.12, Suppl.2,B29
【文献】Steroids,2015年,Vol.95,p.80-87
【文献】Annals of Oncology,2016年,Vol.27, Suppl.6,VI243
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において去勢抵抗性前立腺癌を処置するための医薬であって、
(i) N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミド(アフレセルチブ)またはその薬学的に許容できる塩;および
(ii) 1-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-3-(4-メチル-ピリジン-3-イル)-イミダゾリジン-2-オン(CFG920)またはその薬学的に許容できる塩、を含み;
ここで、(i) アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、および(ii) CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、同時にまたは順次に投与され;
ここで、該患者は、一つまたはそれ以上の抗アンドロゲン剤、化学療法剤、またはこれらの組み合わせを含む一つまたはそれ以上の処置に対して抵抗性がある、医薬
【請求項2】
抗アンドロゲン剤が、一つまたはそれ以上のアビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、およびダロルタミド、またはそれらの薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の医薬
【請求項3】
化学療法剤が、一つまたはそれ以上のドセタキセルおよびカバジタキセル、またはそれらの薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の医薬
【請求項4】
アフレセルチブが、結晶性塩酸塩の形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬
【請求項5】
CFG920が、無水遊離塩基の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬
【請求項6】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg~約150mgの1日総用量で患者に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項7】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg~約100mgの1日総用量で患者に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項8】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの1日総用量で患者に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項9】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、患者に1日1回(QD)投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬
【請求項10】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約50mg~約200mgの1日総用量で患者に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項11】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約150mg~約200mgの1日総用量で患者に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項12】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、約50mg、約75mg、または約100mgの用量で患者に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬
【請求項13】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、患者に1日2回(BID)投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬
【請求項14】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項15】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項16】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項17】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項18】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項19】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項20】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項21】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項22】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬
【請求項23】
ルチコステロイドをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬
【請求項24】
コルチコステロイドがプレドニゾンである、請求項23に記載の医薬
【請求項25】
プレドニゾンが、患者に約10mgの1日総用量でBID投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項26】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項27】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項28】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項29】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項30】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項31】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項32】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項33】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項34】
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項35】
コルチコステロイドおよびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、同時に投与される、請求項24に記載の医薬
【請求項36】
コルチコステロイドおよびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、合剤にされる、請求項24に記載の医薬
【請求項37】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、同時に投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬
【請求項38】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、順次に投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬
【請求項39】
(i) アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が1日1回投与され、
(ii) CFG920またはその薬学的に許容できる塩が1日2回投与され、
ここで、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の1日2回用量の一つと同時に投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬
【請求項40】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬
【請求項41】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬
【請求項42】
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、患者に経口投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬
【請求項43】
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、患者に経口投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の医薬
【請求項44】
患者が、アンドロゲン枯渇療法をさらに適用される、請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬
【請求項45】
アンドロゲン枯渇療法が、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項44に記載の医薬
【請求項46】
アンドロゲン枯渇療法が、患者における血清テストステロンの去勢レベルを維持するのに十分である、請求項44に記載の医薬
【請求項47】
去勢抵抗性前立腺癌が、転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項1~46のいずれか一項に記載の医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年8月8日出願の国際出願第PCT/CN2019/099754号の優先権および利益を主張する。上記の全内容は引用により本明細書に包含される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、癌を処置する方法、およびそのような処置に有用な組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
癌を含む過増殖性障害の有効な処置は、腫瘍学の分野において継続的な目標である。一般的に、癌は、細胞分裂、分化およびアポトーシス細胞死を制御する正常な過程の調節異常に起因し、無制限の成長、局所伸長および全身転移の潜在性がある悪性細胞の増殖を特徴とする。正常な過程の調節異常には、シグナル伝達経路の異常、および/または遺伝子転写の調節異常、および/または正常な細胞に見られるものとは異なる因子(例えば、成長因子)に対する反応が含まれる。
【0004】
前立腺癌は、アンドロゲンシグナル伝達経路に依存することを特徴とする。アンドロゲン受容体における遺伝子の特定の特異的変化により、アンドロゲンシグナル伝達経路を活性化し、前立腺癌細胞の成長を促進することできる。転移性前立腺癌の主な処置法は、歴史的には、アンドロゲン受容体に結合できるリガンド(アンドロゲン)の量を減少させるか、アンドロゲン受容体とそのリガンドとの結合をブロッキングするかどちらか一方によってアンドロゲン-アンドロゲン受容体シグナル伝達を標的とすることに焦点が当てられており、臨床ではこの主な2種類の抗前立腺癌薬が使用されている。
【0005】
第一の種類の抗前立腺癌薬は、抗アンドロゲン薬としても知られているアンドロゲンアンタゴニストである。抗アンドロゲン薬は、受容体をブロッキングするか、細胞表面の結合部位を拮抗させるか、またはアンドロゲン産生に影響を与えることによってアンドロゲン経路を変動させる。最も一般的な抗アンドロゲン薬は、標的細胞のレベルに作用し、アンドロゲン受容体に競合的に結合するアンドロゲン受容体アンタゴニストである。循環するアンドロゲンと前立腺細胞受容体上の結合部位を競合させることにより、抗アンドロゲン薬はアポトーシスを促進し、前立腺癌の成長を阻害する。
【0006】
第二の種類の抗前立腺癌薬は、アンドロゲン合成酵素の阻害剤である。チトクロムP450 17A1は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20リアーゼ(CYP17A1)とも称されており、プロゲスチン、ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲンおよびエストロゲンを産生する経路における重要な酵素である。CYP17A1の阻害により、アンドロゲン-受容体(AR)シグナル伝達経路を標的とする有効な治療手段を提供するが、この経路が受容体リガンド結合後のレベルで、またはホルモン非媒介性メカニズムを介して活性化している場合、CYP17A1阻害剤では十分でないかもしれない。特定の理論に限定する意図はないが、これは、前立腺癌細胞の成長には追加の要因が関与し、CYP17A1阻害剤の使用後の薬剤抵抗性の発達に関係し得ることを暗示している(Rini, B. I., and Small, E. J., Hormone-refractory prostate cancer. Cuf. Treat. Options Oncol. 2002; 3:437; Singh, P., Yam, M., Russell, P. J., and Khatri, A., Molecular and traditional chemotherapy: a united front against prostate cancer. Cancer Lett. 2010;293:1)。
【0007】
多くの前立腺癌はまた、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路の構成的または異常な活性化を特徴とする。PI3K経路は、ヒト癌においても最も一般的に活性化される経路の一つであり、発癌における重要性は十分に確立されている(Samuels Y and Ericson K. Oncogenic PI3K and its role in cancer. Current Opinion in Oncology, 2006;18:77-82)。シグナル伝達の開始は、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート(PIP2)のリン酸化から始まり、ホスファチジルイノシトール-3,4,5-P3(PIP3)を産生する。PIP3は、プレクストリン相同ドメインを含むタンパク質を細胞膜に動員し、そこでそれらを活性化させる決定的な二次メッセンジャーである。これらのタンパク質の中で最も研究が進んでいるのは、細胞の生存、成長、および増殖を促進するプロテインキナーゼB(AKT)である。多くの場合、前立腺癌におけるPI3Kシグナル伝達の活性化のメカニズムは、腫瘍抑制タンパク質ホスファターゼおよびテンシン(PTEN)の機能的欠陥であることが示されている。
【0008】
アンドロゲン枯渇療法は、依然として進行性前立腺癌の処置のための標準的なケアである。初期には良好な反応が得られるものの、ほぼすべての患者は必ずより侵攻的で去勢抵抗性の表現型へ進行する。去勢抵抗性前立腺癌の発症は、アンドロゲン受容体のシグナル伝達の継続と因果関係があることを示すといった証拠がある。アンドロゲンが去勢レベル(<50ng/mL)にもかかわらず進行している前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と称される。アビラテロンおよびエンザルタミドは、化学療法後の転移性の去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)を処置するための薬物として承認されている。アビラテロンは、副腎および腫瘍内アンドロゲン合成の両方の重要な酵素であるCYP17の不可逆性阻害剤であるのに対し、エンザルタミドはアンドロゲン受容体アンタゴニストである。アビラテロンおよびエンザルタミドは両方とも、患者のアンドロゲンシグナルレベルを低下させ、前立腺癌の成長をブロッキングする。しかし、アビラテロンおよびエンザルタミドに反応する患者の大部分のは、最終的に抵抗性を持つようになる。このような癌に対して現在利用可能な処置は、アビラテロン、エンザルタミドおよび化学療法をローテーションすることに限られ、以前の処置が失敗したmCRPC患者ではPFS中央値が2.8~4.0ヶ月程度である(de Bono, et al., Eur Urol. 2018;74(1):37-45.; Caffo, et al., Eur Urol. 2015;68(1):147-53.)。しかし、最近、タキサン類(ドセタキセルおよびカバジタキセル)とAR標的剤であるアビラテロンおよびエンザルタミドとの交差抵抗性が文献的に報告されており、これは、処置抵抗性mCRPC患者に対する、現在の処置戦略による臨床管理をより困難にさせる(van Soest, et al., Eur J Cancer. 2013;49(18):3821-30.; Shiota, et al., Cancer Sci. 2018;109(10):3224-34. doi: 10.1111/cas.13751.)。したがって、処置抵抗性mCRPC患者のための新しい治療法の開発には、大きなアンメットメディカルニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
本出願は、とりわけ、患者において去勢抵抗性 前立腺癌を処置する方法であって、該患者は一つまたはそれ以上の前立腺癌処置に対して抵抗性があり、
(i) N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミド(アフレセルチブ(afuresertib))またはその薬学的に許容できる塩;
(ii) 1-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-3-(4-メチル-ピリジン-3-イル)-イミダゾリジン-2-オン(CFG920)またはその薬学的に許容できる塩;および
(iii) 場合により、プレドニゾンなどのコルチコステロイド、を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明の一つまたはそれ以上の実施態様の詳細は、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、この説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1A~1Dは、MiniPDXマウスモデルでのMDX191210の処置におけるCFG920およびアフレセルチブの抗腫瘍効果を示すグラフである。値は平均±SEMとして示す。図1Aは、Cell Titer-Glo(CTG)アッセイで決定した、各試験群の相対的発光単位(RLU)値を示す。図1Bは、各試験群の相対的腫瘍増殖値(%)を示す。図1Cは、各試験群の体重のグラムでの変化を示す。図1Dは、各試験群における体重の相対的変化(RCBW、0日目からの百分率の変化として報告される)を示す。
【0012】
図2図2A-2Cは、ヒト患者におけるCFG920およびアフレセルチブの抗腫瘍効果を示すグラフである。図2Aは、試験処置を受ける前後の患者のPSAレベルの変化(カットオフ日付:2020年7月23日)である。図2Bは、試験処置下の患者のテストステロンレベルの変化を示す。図2Cは、試験処置下の患者のアルドステロンレベルの変化を示す。
【0013】
(詳細な説明)
CFG920は、チトクロム17A1(CYP17A1)(テストステロン合成用酵素)およびCYP11B2(アルドステロンシンターゼ)の新規な非ステロイド性の可逆性二重阻害剤である。ファースト・イン・ヒューマンの第I/II相試験は、Novartis Pharmaceuticalsにより転移性の去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者に実施された。(ClinicalTrials.gov識別子:NCT01647789を参照)。本試験では、安全性、第II相の推奨用量(RP2D)、薬物動態データ(PK)、および薬力学データ(PD)を評価し、この試験において前立腺特異抗原(PSA)のベースラインからの50%以上の低下の未確認率が、以前の化学療法を受けた患者と化学療法を未実施の患者でそれぞれ28%(57人中16人、95%信頼区間[CI]:17~42)と26%(124人中32人、95%CI:18~34)であることを実証することにより、mCRPC患者における概念実証を達成した。mCRPC患者ついては、エンザルタミドおよびアビラテロンアセテートの承認により、最も一般的に使用される医薬が変わった(Beer, et al., J Clin Oncol. 2014;32(Suppl_4), abs LBA1.; Scher, et al., N Engl J Med. 2012;367(13):1187-97.; Shore, et al., Lancet Oncol. 2016;17(2):153-63.; de Bono, et al., N Engl J Med. 2011;364:1995-2005.; Ryan, et al., N Engl J Med. 2013;368(2):138-48.)。しかし、ドセタキセルおよびエンザルタミドで進行後、その後のアビラテロンでPSAの50%以上の低下を達成した患者の8%のみを含む限られた数のmCRPC患者でアビラテロンに対するより穏やかな反応が観察された。アビラテロン処置後の進行までの時間の中央値(PSA、客観的または症候性)はわずか15.4週間(95%CI 10.7~20.2)であった(Loriot, et al., Ann Oncol. 2013;24(7):1807-12.; Noonan, et al., Ann Oncol. 2013;24(7):1802-7.)。
【0014】
いずれかの特定の理論に限定する意図はないが、エンザルタミドおよびアビラテロン+プレドニゾン、の処置後のmCRPC患者における低いPSA反応率および短い無増悪生存期間(PFS)の潜在的理由の一つは、アンドロゲン-シグナル経路以外の他の要因も前立腺癌細胞の成長および分化に寄与しているということである。ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/AKT経路は、前立腺の発癌性や去勢抵抗性に関与しているものの、PI3K/AKT経路の正確な機能はまだ十分に解明されていない(Chen, et al., Front Biosci (Landmark Ed). 2016;21:1084-91.)。活性化されたAKTは細胞質および核に転座し、転位および侵襲(Vo, et al., Endocrinology. 2013;154(5):1768-79.)に加えて、前立腺癌細胞の生存(Wegie, et al., Int J Cancer. 2008;122(7):1521 9.; Lee, et al., Mol Cancer. 2004;3:31. doi: 10.1186/1476-4598-3-31.)、増殖(Gao, et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003;310(4):1124 32.)、およびアポトーシス(Kim, et al. Phytother Res. 2014;28(3):423-31.)に関わる下流標的を活性化する。10番染色体上の腫瘍抑制因子ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)の欠失は、PI3KおよびAKT (Sansal, et al. J Clin Oncol. 2004;22(14):2954-63.; Carnero, et al., Curr Cancer Drug Targets. 2008;8(3):187-98.)経路の主要な阻害剤として認識されており、ヒト腫瘍において頻繁に失われている。前立腺癌は、PTEN異常による影響を最も一般的に受ける癌の一つである(Sulis, et al., Trends Cell Biol. 2003;13(9):478 83.)。PI3K/AKT経路の活性化およびPTEN状態のバイオマーカーは、前立腺癌におけるインスリン成長因子結合タンパク質2であることが示された(Mehrian-Shai, et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2007;104(13):5563-8.)。ボルテゾミブは、インビトロでの前立腺癌処置への使用が研究されており、そこでは、ホスホ-AKTを脱リン酸化し、PI3K/AKT/mTORシグナルを抑制し、前立腺癌細胞における成長阻止およびアポトーシスを誘導することが見出されている(Befani, et al., J Mol Med (Berl). 2012;90(1):45-54.)。さらには、欠失または変異によるPTENの不活性化は、根治的な前立腺摘除術での原発性前立腺腫瘍サンプルの約16~20%および去勢抵抗性腫瘍の50%超で確認される(Hamid, et al. Eur Urol. 2019 Jul;76(1):89-97; Jamaspishvili, et al. Nat Rev Urol. 2018;15(4):222-234.)。PTEN損失は、以前のドセタキセル処置に失敗したmCRPC患者の60%超に存在することから、PTEN損失が原因となるAKT経路の活性化は、以前の標準処置に失敗した後のmCRPCの進行に重要な役割を果たすことを意味する(de Bono, et al. Annals of Oncology. 2016; 27 (Suppl_6):243-265.)。
【0015】
臨床研究では、CRPC患者の約70%超が、最初にアビラテロンまたはエンザルタミドでの第一選択処置に反応することが報告されている(de Bono, et al., N Engl J Med. 2011;364:1995-2005)。しかし、その後のPSAの増加、または腫瘍の進行は、約15ヶ月でほぼすべてのレスポンダーで発生した(de Bono, et al., Eur Urol. 2018;74(1):37-45)。CRPCの進行に伴うPTEN損失患者の百分率の増加は、アビラテロンおよび/またはエンザルタミド抵抗性の主要なメカニズムとして重要な役割を果たし得るPI3K/AKT経路の活性化を引き起こす。
【0016】
本出願は、患者において去勢抵抗性前立腺癌を処置する方法であって、
(i) N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミド(アフレセルチブ)またはその薬学的に許容できる塩;
(ii) 1-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-3-(4-メチル-ピリジン-3-イル)-イミダゾリジン-2-オン(CFG920)またはその薬学的に許容できる塩;および
(iii) 場合により、コルチコステロイド、を該患者に投与することを含み;
ここで、該患者は、一つまたはそれ以上の前立腺癌処置に対して抵抗性がある、方法を提供する。
アフレセルチブは、以下の化学構造:
【化1】
を有する。
【0017】
CFG920は、以下の化学構造:
【化2】
を有する。
【0018】
いくつかの実施態様において、患者は、一つまたはそれ以上の以前の前立腺癌処置に対して抵抗性がある。前立腺癌処置は、一つまたはそれ以上の抗アンドロゲン剤、化学療法剤、またはこれらの組み合わせによる処置を含むことができる。いくつかの実施態様において、患者は、一つまたはそれ以上の抗アンドロゲン剤、化学療法剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる、前立腺癌の一つまたはそれ以上の基本ケア処置に対して抵抗性がある。いくつかの実施態様において、患者は、一つまたはそれ以上の抗アンドロゲン剤、化学療法剤、またはこれらの組み合わせを含む処置に対して抵抗性がある。いくつかの実施態様において、患者は、少なくとも二つの抗アンドロゲン剤に対して抵抗性がある。いくつかの実施態様において、患者は、少なくとも一つの抗アンドロゲン剤および少なくとも一つの化学療法剤に対して抵抗性がある。いくつかの実施態様において、抗アンドロゲン剤は、一つまたはそれ以上のアビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、およびダロルタミドもしくはそれらの薬学的に許容できる塩またはそれらのプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、化学療法剤は、一つまたはそれ以上のドセタキセルおよびカバジタキセルもしくはそれらの薬学的に許容できる塩またはそれらのプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、患者は、去勢抵抗性前立腺癌に罹患しており、ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)の損失を有する。いくつかの実施態様において、患者は、以前の処置の結果に基づいて抵抗性があると決定される。例えば、患者は、一つまたはそれ以上の処置療法による抵抗性に関連している一つまたはそれ以上のバイオマーカーの同定を介して抵抗性があると決定される。いくつかの実施態様において、患者は、ゲノム解析を介して抵抗性があると決定される。いくつかの実施態様において、患者は、生検組織サンプルのインビトロ試験を介して抵抗性があると決定される。
【0019】
いくつかの実施態様において、本明細書では、患者において去勢抵抗性前立腺癌を処置する方法であって、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩;CFG920またはその薬学的に許容できる塩;および、場合によりコルチコステロイド、を該患者に投与することを含む方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施態様において、去勢抵抗性前立腺癌は、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。
【0021】
アビラテロンおよびその薬学的に許容できる塩は、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害剤である。アビラテロンアセテート(CAS登録番号154229-18-2)は、以下に示される式を有する、化学名(3S, 10R, 13S)-10,13-ジメチル-17-ピリジン-3-イル-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15-デカヒドロ1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル]アセテート)で知られている化合物である。アビラテロンアセテートは、Janssen Biotech、Inc.からZYTIGA(登録商標)として市販されており、PCT国際出願WO93/20097(その内容は引用により本明細書に包含される)に開示されている。アビラテロンアセテートは、インビボで、CYP17(17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ)を阻害するアンドロゲン生合成阻害剤であるアビラテロンに変換される。
【化3】
【0022】
エンザルタミドおよびその薬学的に許容できる塩は、アンドロゲン受容体阻害剤である。エンザルタミドは、Pfizer Inc./Astellas Pharma US, Inc.からXTANDI(登録商標)として市販されている。IUPAC名4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド。CAS番号915087-33-1。エンザルタミドは、米国特許出願公報US2007/0004753A1(その内容は引用により本明細書に包含される)に最初に記載された。
【化4】
【0023】
アパルタミドおよびその薬学的に許容できる塩は、アンドロゲン受容体阻害剤である。アパルタミドは、Janssen Biotech, Inc.からERLEADA(登録商標)として市販されている。IUPAC名4-[7-[6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-8-オキソ-6-スルファニリデン-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタン-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド。CAS番号956104-40-8。アパルタミドは、PCT特許出願公報WO2007/126765(その内容は引用により本明細書に包含される)に最初に記載された。
【化5】
【0024】
ダロルタミドおよびその薬学的に許容できる塩は、アンドロゲン受容体アンタゴニストである。ダロルタミドは、去勢抵抗性前立腺癌の処置のために、Orion OyjおよびBayer HealthCareによって開発名ODM-201およびBAY-1841788下で開発中である。IUPAC名N-((S)-1-(3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-2-イル)-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド。CAS番号1297538-32-9。ダロルタミドは、PCT特許出願公報WO2011/051540(その内容は引用により本明細書に包含される)に最初に記載された。
【化6】
【0025】
ドセタキセルおよびその薬学的に許容できる塩は、乳癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、頭頸部癌、および卵巣癌を含む様々な癌の処置に一般的に使用されるタキサン系化学療法剤である。ドセタキセルは、Sanofi-Aventisからタキソテール(登録商標)として市販されており、フランス特許出願公報FR2601675A1に最初に記載された。IUPAC名[(1S,2S,3R,4S,7R,9S,10S,12R,15S)-4-アセチルオキシ-1,9,12-トリヒドロキシ-15-[(2R,3S)-2-ヒドロキシ-3-[(2-メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニルアミノ]-3-フェニルプロパノイル]オキシ-10,14,17,17-テトラメチル-11-オキソ-6-オキサテトラシクロ[11.3.1.03,10.04,7]ヘプタデカ-13-エン-2-イル]ベンゾエート。CAS番号114977-28-5。
【化7】
【0026】
カバジタキセルおよびその薬学的に許容できる塩は、タキサン系化学療法剤である。カバジタキセルは、Sanofi-AventisからJEVTANA(登録商標)として市販されており、PCT出願公報WO96/30355に最初に記載された。IUPAC名(2α,5β,7β,10β,13α)-4-アセトキシ-13-({(2R,3S)-3-[(tertブトキシカルボニル)アミノ]-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル}オキシ)-1-ヒドロキシ-7,10-ジメトキシ-9-オキソ-5,20-エポキシタックス-11-エン-2-イルベンゾエート。CAS番号183133-96-2。
【化8】
【0027】
アフレセルチブの製造方法は、米国特許第8,410,158号および第8,609,711号に記載されている。いくつかの実施態様において、アフレセルチブは塩酸塩の形態である。いくつかの実施態様において、アフレセルチブは、例えば、N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミド対塩酸の化学量論比が1:1である塩酸塩の形態である。いくつかの実施態様において、アフレセルチブは、結晶性N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミドヒドロクロライドの形態である。いくつかの実施態様において、結晶性塩酸塩は、Cu Kα線を用いて粉末X線ディフラクトグラムで測定される、7.2°、14.4°、17.9°、18.5°、20.8°、21.5°、22.4°、22.9°、23.7°、24.5°、24.7°、25.1°、25.7°、27.3°、28.2°、28.8°、30.4°、32.4°、32.7°、35.2°、36.1°、40.0°、41.3°、および41.7°から選択される2θ(±0.3°)に一つまたはそれ以上の特徴的回折ピークを有する。いくつかの実施態様において、結晶性塩酸塩は、約220℃に吸熱ピーク有するDSCサーモグラムを有する。結晶性アフレセルチブおよびその塩の製造方法は、米国特許8,609,711に記載されている。
【0028】
CFG920の製造方法は、米国特許RE45,173に記載されている。いくつかの実施態様において、CFG920は遊離塩基の形態である。いくつかの実施態様において、CFG920は結晶形態である。いくつかの実施態様において、CFG920は無水結晶形態の遊離塩基である。いくつかの実施態様において、無水結晶性遊離塩基は、Cu Kα線を用いて粉末X線ディフラクトグラムで測定される、12.7°、13.5°、15.7°、17.2°、18.7°、19.1°、20.0°、20.6°、22.2°、24.1°、25.6°、26.1°、26.5°、27.1°、および27.8°から選択される2θ(±0.3°)に一つまたはそれ以上の特徴的回折ピークを有する。いくつかの実施態様において、無水結晶性遊離塩基は、約175℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを有する。
【0029】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で、
(i) 約1mg~約1,000mg;または
(ii) 約1mg~約500mg;または
(iii) 約10mg~約500mg;または
(iv) 約20mg~約400mg;または
(v) 約30mg~約300mg;または
(vi) 約40mg~約250mg;または
(vii) 約50mg~約200mg;または
(viii) 約75mg~約150mg;または
(ix) 約75mg~約100mg、
の1日総用量で患者に投与される。
【0030】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、または約150mgの1日総用量で患者に投与される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの1日総用量で患者に投与される。
【0031】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、患者に1日1回(QD)投与される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は患者に、遊離塩基基準で約75mg~約150mgの用量で1日1回投与される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は患者に、遊離塩基基準で約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、または約150mgの用量で1日1回投与される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は患者に、約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの用量で1日1回投与される。
【0032】
いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で、
(i) 約1mg~約1,000mg;または
(ii) 約1mg~約750mg;または
(iii) 約10mg~約750mg;または
(iv) 約20mg~約500mg;または
(v) 約30mg~約400mg;または
(vi) 約40mg~約300mg;または
(vii) 約50mg~約300mg;または
(viii) 約75mg~約300mg;または
(ix) 約100mg~約250mg;または
(x) 約125mg~約200mg;または
(xi) 約150mg~約200mg;または
(xii) 約75mg~約200mg、
の1日総用量で患者に投与される。
【0033】
いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約175mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約275mg、約280mg、約290mg、または約300mgの1日総用量で患者に投与される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、約150mgまたは約200mgの1日総用量で患者に投与される。
【0034】
いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、患者に1日2回(BID)投与される。例えば、CFG920の150mgの1日総用量は、1回あたり75mgで1日2回投与される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、
(i) 遊離塩基基準1回あたり約1mg~約1,000mg、1日2回(約2mg~約2,000mgの1日総用量);または
(ii) 遊離塩基基準1回あたり約1mg~約500mg、1日2回(約2mg~約1,000mgの1日総用量);または
(iii) 遊離塩基基準で1回あたり約10mg~約500mg、1日2回(約20mg~約1,000mgの1日総用量);または
(iv) 遊離塩基基準で1回あたり約20mg~約400mg、1日2回(約40mg~約800mgの1日総用量);または
(v) 遊離塩基基準で1回あたり約30mg~約300mg、1日2回(約60mg~約600mgの1日総用量);または
(vi) 遊離塩基基準で1回あたり約40mg~約250mg、1日2回(約80mg~約500mgの1日総用量);または
(vii) 遊離塩基基準で1回あたり約50mg~約200mg、1日2回(約100mg~約400mgの1日総用量);または
(ix) 遊離塩基基準で1回あたり約75mg~約125mg、1日2回(約150mg~約250mgの1日総用量);または
(x) 遊離塩基基準で1回あたり約75mg~約100mg、1日2回(約150mg~約200mgの1日総用量)、
の用量で患者に投与される。
【0035】
いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、遊離塩基基準で1回あたり約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、または約150mgの1日2回用量で患者に投与される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、1回あたり約75mgまたは約125mgの1日2回用量(約150mgまたは約250mgの1日総用量)で患者に投与される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、1回あたり約75mgまたは約100mgの1日2回用量(約150mgまたは約200mgの1日総用量)で患者に投与される。
【0036】
いくつかの実施態様において、コルチコステロイドはプレドニゾンである。いくつかの実施態様において、プレドニゾンは、約10mgの1日総用量で患者に投与される。いくつかの実施態様において、プレドニゾンは、患者に1日2回(BID)投与される。いくつかの実施態様において、プレドニゾンは、1回あたり約5mgの1日2回用量で患者に投与される。
【0037】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量、を投与される。
【0038】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される。
【0039】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0040】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される。
【0041】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される。
【0042】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0043】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される。
【0044】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0045】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される。
【0046】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日2回用量(約250mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される。
【0047】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される。
【0048】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される。
【0049】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量(約100mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0050】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される。
【0051】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される。
【0052】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で約75mgの1日2回用量(約150mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0053】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回を投与される。
【0054】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される。
【0055】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量(約200mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される。
【0056】
いくつかの実施態様において、患者は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日2回用量(約250mgの1日総用量);プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量(約10mgの1日総用量);およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される。
【0057】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩は同時に投与される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩は順次に投与される。いくつかの実施態様において、コルチコステロイド、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩は同時に投与される。いくつかの実施態様において、コルチコステロイド、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩は合剤されることでコルチコステロイドおよびCFG920は単一医薬組成物の一部として一緒に製剤化される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は1日1回投与され、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は1日2回投与され、ここで、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、CFG920たはその薬学的に許容できる塩の一つの用量と同時に投与される。
【0058】
いくつかの実施態様において、患者は、本明細書に開示される処置レジメンを最多数ヶ月の期間投与される。いくつかの実施態様において、患者は、前立腺癌が進行するまで、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。いくつかの実施態様において、患者は、悪影響がもはや耐えられないまで、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。いくつかの実施態様において、患者は、死ぬまで、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。いくつかの実施態様において、患者は、患者が継続的な治療への同意を撤回するまで、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。いくつかの実施態様において、患者は、前立腺癌が寛解していると決定されるまで、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。「寛解」は、癌の徴候や症状の減少または消失として定義される。いくつかの実施態様において、患者は、約28日間の一つまたはそれ以上の処置サイクルの間、本明細書に開示される処置レジメンを投与される。
【0059】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、患者に経口投与される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、患者に経口投与される。いくつかの実施態様において、プレドニゾンは、患者に経口投与される。
【0060】
いくつかの実施態様において、患者が一つまたはそれ以上の処置下で発現した有害事象(TEAE)に関連する一つまたはそれ以上の症状を示すと確認された場合、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の用量;CFG920またはその薬学的に許容できる塩の用量;または両方の用量を減少させてもよい。一つまたはそれ以上の処置下で発現した有害事象は、低ナトリウム血症、高カリウム血症、高血糖、低マグネシウム血症、無力症、疲労、昏睡、不眠症、貧血症、記憶障害、記憶喪失症、皮膚感染症、上気道感染症、肺炎、血中アルカリホスファターゼ増加、背部痛、骨痛、腹痛、便秘、めまい、悪心、嘔吐、下痢、消化不良、食欲不振、嚥下障害、呼吸困難、摂食障害、発熱、体重減少、胃食道逆流性疾患、胃腸損傷、血小板減少症、軟部組織壊死、血小板数減少、好中球減少症、発熱性好中球減少症、嚥下痛、掻痒症、筋肉痛、口内炎、末梢性ニューロパチー、発疹、脱毛症、敗血症、肝機能検査異常、心毒性、ALT増加、関節痛、AST増加、心房細動、帯状疱疹、リパーゼ増加、扁平上皮細胞癌、排尿障害、および尿路感染症の一つまたはそれ以上を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施態様において、患者は、アンドロゲン枯渇療法をさらに適用される。いくつかの実施態様において、アンドロゲン枯渇療法は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストまたはアンタゴニストである。いくつかの実施態様において、患者は、本開示の処置方法の全経過で、アンドロゲン枯渇療法を継続する。いくつかの実施態様において、患者は外科的精巣摘出術を受けている。特定の実施態様において、患者は、血清テストステロンの去勢レベル、約50ng/dL未満の血清テストステロンレベルまたは約1.7nmol/L未満の血清テストステロンレベルを維持するのに十分なアンドロゲン枯渇療法を適用される。
【0062】
本開示の化合物は、医薬品として使用される場合、医薬組成物の形態で投与され得る。これらの組成物は、製薬分野でよく知られている方法で調製され得て、局所的または全身的処置が望まれるかどうか、および処置される領域に応じて、様々な経路で投与され得る。投与は、局所投与(経皮投与、表皮投与、眼投与、および粘膜への投与(鼻腔内送達、膣送達、直腸送達を含む))、肺投与(例えば、ネブライザーによるものを含む粉末またはエアゾールの吸入または吹送;気管内投与または鼻腔内投与)、経口投与または非経腸投与であり得る。非経腸投与は、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与または注射もしくは注入;または頭蓋内投与、例えば、髄腔内投与または脳室内投与を含む。非経腸投与は、単回ボーラス投与の形態であってもよく、例えば、連続灌流ポンプによる投与であってもよい。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐薬、スプレー、液体および粉末を含み得る。従来の医薬用担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが必要または望ましいことがある。
【0063】
本開示はまた、本開示の化合物またはその薬学的に許容できる塩を活性成分として、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物を含む。本開示の組成物の製造において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合されるか、賦形剤によって希釈されるか、または、例えば、カプセル、小袋(sachet)、紙もしくは他の容器の形態でそのような賦形剤の中に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として機能する、固体、半固体、または液体の材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、ピル、粉末、ロゼンジ、小袋、カシェ、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアゾール(固体または液体媒体として)、例えば最大10重量%の活性化合物を含む軟膏、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、坐薬、無菌注射液および無菌包装粉末の形態であり得る。
【0064】
製剤の調製において、活性化合物は、他の成分と組み合わせる前に、適切な粒子径を提供できるように粉砕してもより。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒子径に粉砕してもよい。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒子径は、製剤中に実質的に均一な分布を提供できるように、例えば約40メッシュに粉砕することによって調整してもよい。
【0065】
本開示の化合物は、錠剤形成および他の製剤の型式に適切な粒子径を得るために、湿式粉砕などの知られている粉砕操作を用いて粉砕してもよい。本開示の化合物の微粉化(ナノ粒子)調製は、当技術分野で知られている方法によって調製することができ、例えば、国際出願第WO2002/000196号を参照すること。
【0066】
適当な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルジネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースがある。製剤は、滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;防腐剤、例えばメチル-およびプロピルヒドロキシ-ベンゾエート;甘味剤;および風味剤をさらに含み得る。本開示の組成物は、当技術分野で知られている操作を使用することにより、患者へ投与後に活性成分の迅速な、持続的な、または遅延した放出を提供できるように製剤化され得る。
【0067】
組成物は、単位剤形で製剤化され得る。用語「単位剤形」とは、ヒト患者および他の哺乳動物のための単位用量として適した物理的に離散した単位を意味し、各単位は、適当な医薬賦形剤と関連して、所望の治療効果をもたらすようにあらかじめ決められた量の活性物質を含有する。
【0068】
錠剤などの固体組成物を調製について、主要な活性成分を医薬賦形剤と混合して、本開示の化合物の均質な混合物を含有する固体プレフォーミュレーション組成物を形成する。これらのプレフォーミュレーション組成物を均質であると称する場合、活性成分は、典型的には、組成物が錠剤、ピル、およびカプセルなどの同等に有効な単位剤形に容易に細分できるように、組成物全体に均質に分散されている。次に、この固体プレフォーミュレーションは、上記の型式の単位剤形に細分される。
【0069】
本開示の錠剤またはピルは、コーティングされるか、または他の方法で配合されて、作用が延長されるという利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤またはピルは、内側投与成分および外側投与成分を含むことができ、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。この二つの成分は、胃での崩壊に抵抗し、内側成分が十二指腸に無事に通過するか、または放出を遅延させるうえで役立つ腸溶層(enteric layer)によって分離され得る。様々な材料をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料は、いくつかのポリマー酸、およびポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、およびセルロースアセテートなどの材料との混合物を含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、経口投与に適している。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、微結晶セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの一つまたはそれ以上をさらに含む。いくつかの実施態様において、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、以下の製剤の形態である:
【表1】

【0071】
いくつかの実施態様において、アフレセルチブは、以下の組成を有する錠剤として製剤化される:
【表2】

【0072】
いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩は、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、経口投与に適している。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、プレドニゾンをさらに含む。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、微結晶セルロース、マンニトール、ステアリン酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびコロイド性二酸化ケイ素の一つまたはそれ以上をさらに含む。いくつかの実施態様において、CFG920またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物は、以下の処方の形態である:
【表3】

【0073】
いくつかの実施態様において、CFG920は、以下の組成を有する錠剤として製剤化される:
【表4】

【0074】
経口または注射による投与のための、本開示の化合物および組成物を組み込むことができる液体形態は、、水溶液、適切に風味付けされたシロップ、水性または油性の懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ココナッツ油またはピーナッツ油などの食用油を有する風味付けされたエマルジョン、ならびにエリキシルおよび同様の医薬ビヒクルを含む。
【0075】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容できる水性または有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体または固体の組成物は、上記の適当な薬学的に許容できる賦形剤を含み得る。いくつかの実施態様において、組成物は、局所的または全身的効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを使用することによって噴霧され得る。噴霧される溶液は、噴霧デバイスから直接呼吸されてもよく、噴霧デバイスをフェースマスク、テント、または間欠陽圧呼吸デバイスに取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な方法で製剤を送達するデバイスから経口または経鼻投与され得る。
【0076】
局所製剤は、一つまたはそれ以上の従来の賦形剤を含有することができる。いくつかの実施態様において、軟膏は、水および、例えば、液体パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択される一つまたはそれ以上の疎水性賦形剤を含有することができる。クリームの賦形剤の組成は、水とグリセロールならびに一つまたはそれ以上の他の成分、例えばグリセリンモノステアレート、PEG-グリセリンモノステアレートおよびセチルステアリルアルコールとの組み合わせに基づくことができる。ゲルは、イソプロピルアルコールおよび水を用いて、他の成分、例えばグリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどと適切に組み合わせて製剤化され得る。いくつかの実施態様において、局所製剤は、少なくとも約0.1wt%、少なくとも約0.25wt%、少なくとも約0.5wt%、少なくとも約1wt%、少なくとも約2wt%、または少なくとも約5wt%の本開示の化合物を含有する。局所製剤は、例えば、選択される徴候の処置のための説明書に任意に関連している100gのチューブに適切に包装され得る。
【0077】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防法または療法などの投与の目的、患者の状態、投与方法などに応じて変動する。治療適用において、組成物は、すでに疾患に罹患している患者に、疾患およびその合併症の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与され得る。有効な用量は、処置される疾患の状態ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重および全身状態などに応じた主治医の判断に依存する。
【0078】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌することができ、または、無菌濾過してもよい。水溶液は、そのまま使用できるように包装されるか、凍結乾燥され得て、凍結乾燥調剤は、投与前に無菌水性賦形剤と組み合わされる。化合物調剤のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8である。上記の賦形剤、担体、または安定化剤のうちの特定のものの使用は、医薬塩の形成をもたらすことが理解されるであろう。
【0079】
本開示の化合物の治療用量は、例えば、処置が行われる特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康および状態、ならびに処方する医師の判断によって変動され得る。医薬組成物中の本開示の化合物の比率または濃度は、用量、化学的特徴(例えば、疎水性)、および投与経路を含むいくつかの因子に応じて変動され得る。例えば、本開示の化合物は、非経腸投与のために、約0.1~約10%w/vの化合物を含有する水性生理学的緩衝溶液で提供され得る。
【0080】
本開示の組成物は、化学療法剤、ステロイド、抗炎症性化合物、または免疫抑制剤などの一つまたはそれ以上の追加の医薬品をさらに含むことができる。
【0081】
特定の実施態様において、活性化合物は、インプラントを含む放出制御製剤、およびマイクロカプセル化送達システムなど、化合物を急速な放出から保護する賦形剤と共に調製され得る。生分解性、生体適合性のポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸が使用され得る。そのような製剤を調製するための多くの方法は、特許を取得しているか、または一般的に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1978)を参照すること。
【0082】
本明細書で使用される場合、互換的に使用される用語「対象」、「個体」または「患者」とは、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類を含むいずれかの動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「処置する」または「処置」という用語は、(1)疾患を抑制すること;例えば、疾患、状態または障害の病理または症状を経験または示している個体における該疾患、状態または障害を抑制すること(すなわち、病状および/または症状の更なる進展を阻止すること);および(2)疾患を改善すること;例えば、疾患の重症度を減少させるなど、疾患、状態もしくは障害の病理または症状を経験または示している個体における該疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、病状および/または症状を逆転させること)、といった一つまたはそれ以上を意味する。いくつかの実施態様において、「処置する」または「処置」という用語は、疾患を抑制または改善することを意味する。
【0084】
また、本明細書では、疾患を予防する方法も提供される。例えば、疾患、状態または障害にかかりやすい素因を持っているかもしれないが、疾患の病理または症状をまだ経験または示していない個人の該疾患、状態または障害を予防する。
【0085】
本明細書で使用される場合、量、用量、時間的持続期間などの測定可能な値を意味すときの「約」は、±10%の変動を包含することを意味する。特定の実施態様において、「約」は、指定される値からの±5%、±1%、または±0.1%の変動、およびその間のいずれかの変動を含み得て、そのような変動は、開示される方法を実行するのに適切である。
【0086】
すべての化合物およびその薬学的に許容できる塩は、水および溶媒(例えば、水和物および溶媒和物の形態で)などの他の物質と一緒に見られ得るか、または単離され得る。いくつかの実施態様において、本開示の化合物またはその塩は、実質的に単離されている。「実質的に単離されている」とは、化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的または実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離は、例えば、本開示の化合物を濃縮した組成物を含むことができる。実質的な分離は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の本開示の化合物またはその塩を含む組成物を含むことができる。化合物およびその塩を単離する方法は、当該技術分野において日常的に行われている。
【0087】
本明細書で使用される語句「薬学的に許容できる」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー性反応、免疫原性または他の問題もしくは合併症なしに、合理的な利益/危険性比に相応してヒトおよび動物の組織と接触させる使用に適する、それらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。
【0088】
本開示はまた、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容できる塩を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物が、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容できる塩の例としては、塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、例えばアミンなどの;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機酸塩;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示の薬学的に許容できる塩は、例えば、無毒性無機酸または有機酸から形成される親化合物の無毒性塩を含む。本開示の薬学的に許容できる塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性の部分を含有する親化合物から合成され得る。一般的には、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基の形態を、水中または有機溶媒中、あるいは両者の混合物中で化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製され得て;一般的には、エーテル、酢酸エチル、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソ-プロパノールまたはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)のような非水性媒体が好ましい。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418 and Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見られ、その各々の全体は引用により本明細書に包含される。
【0089】
本明細書で使用される場合、語句「薬学的に許容できる賦形剤」とは、薬学的に許容でいる材料、組成物、またはビヒクル、例えば液体または固体の増量剤、希釈剤、溶媒、または封入材料を意味する。賦形剤は一般的に安全で無毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものでもなく、獣医学的使用およびヒト製薬学的使用に許容できる賦形剤を含む。一実施態様において、各成分は、本明細書で定義される「薬学的に許容できる」ものである。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed.; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, Pa., 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 6th ed.; Rowe et al., Eds.; The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2009; Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd ed.; Ash and Ash Eds.; Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, 2nd ed.; Gibson Ed.; CRC Press LLC: Boca Raton, Fla., 2009を参照すること。
【0090】
明確にするために、別々の実施態様の文脈で記載されている本開示の特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて提供することもできる(一方、実施態様は、多重従属形式で書かれているかのように組み合わせられることが意図されている)ことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施態様の文脈で記載されている本開示の様々な特徴も、別々に、またはいずれかの適当な下位組み合わせで提供することができる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「QD」は、患者に1日1回投与される用量を意味すると解釈される。「BID」は、患者に1日2回投与される用量を意味すると解釈される。
【0092】
「有害事象」(AE)とは、医薬品を投与された臨床試験患者における、必ずしもこの処置と因果関係がないいずれかの厄介な医学的発生として定義される。
【0093】
本明細書では、以下の略語を使用することがある:
AE=有害事象;CTCAE=有害事象共通用語規準;DCR=疾患制御率;DOR=奏効期間;ECG=心電図;mCRPC=転移性去勢抵抗性前立腺癌;ORR=全奏効率;OS=全生存期間;PCWG3=前立腺癌ワーキンググループ3;PSA=前立腺-特異抗原;PTEN=ホスファターゼおよびテンシンホモログ;RECIST 1.1=固形癌効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)1.1版;rPFS=放射線無増悪生存期間。
【0094】
本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明する。以下の実施例は、例示の目的で提供されるものであり、本発明をいかなる形でも限定することを意図するものではない。当業者であれば、本質的に同じ結果を得るように変更または修正することができる様々な重要でないパラメーターを容易に認識するであろう。明確にするために、別個の実施態様の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施態様において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施態様の文脈で記載される本発明の様々な特徴は、別々にまたはいずれかの適当な下位組み合わせで提供することができる。
【0095】
本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることも意図されている。すべての特許、特許出願、および公報を含む、本開示で引用される各参考文献は、その全体が引用により本明細書に包含される。
【実施例
【0096】
実施例A:マウスMini-PDXモデル試験
【0097】
一般的な試験デザイン
本試験の目的は、MDX191210 Mini-PDXモデルにおいて、CFG920およびアフレセルチブのインビボでの治療効果を評価することであった。腫瘍サンプルは、アビラテロン抵抗性前立腺癌と診断された63歳の男性患者から採取した。
【0098】
動物
雄Balb/cヌードマウスを、Nanjing Biomedical Research Institute of Nanjing University (Nanjing, China, SCXK(Su)2018-0008)、認証:201806774から購入した。種:ハツカネズミ;株:Balb/cヌード;年齢:6~8週齢;性別:雄性;体重:20~25g;動物の数:マウス6匹。動物は、試験の全体期間中、照射滅菌された乾燥顆粒食品を自由に摂取できた。動物は無菌の飲料水を自由に摂取できた。
【0099】
マウスを恒温恒湿の特定の病原体フリールームで、1ケージに2匹ずつ入れた。ハウス条件:温度:20~26℃、湿度:40~70%、光周期:12時間の明と12時間の暗。ケージはポリカーボネート製(325mm×210mm×180mm)であった。敷材はコーンコブで、週2回交換した。各ケージの識別ラベルには以下の情報を含ませた:動物数、性別、系統、受けた日、処置、試験番号、群番号、および処置開始日。動物に耳コーディングで印をつけた。
【0100】
Mini-PDXデバイス
Mini-PDXカプセルデバイスは、マイクロカプセル化および中空糸培養システムを改良したもの(OncoVee MiniPDX(登録商標), LIDE Biotech)である。カプセルは、500kDa未満の分子を通過させることができる孔径を持つ中空糸膜で作られている。中空糸培養システムは、インビボでの毛細血管網を介した血液の送達と同様の方法で、細胞に培地を送達する。Mini-PDXデバイスの動作に関する追加情報は、Zhang, et al., Cancer Communications, 38, 60, 2018に記載されており、これは引用により本明細書に包含される。
【0101】
方法
前立腺腫瘍組織を安全キャビネットの10cmペトリ皿に保管した。腫瘍組織をHank’s平衡塩溶液(HBSS)で洗浄し、非腫瘍組織および壊死性腫瘍組織を除去した。腫瘍を、メスを用いて1~3mm3の断片に切断し、次に組織を刻み、50mL円錐形バイアルに移した。コラゲナーゼ溶液(10×)をバイアルに加え、最終濃度を1×とした。潜在的な細菌/酵母の汚染を防ぐために、チューブをキャップで閉じ、そして、キャップをパラフィルムでラップした。チューブを37℃の振盪機中に横向きにして200rpmの速度で1~2時間置いた。チューブを500×g、室温で5分間遠心分離し、細胞をペレット化した。ペレットを200μlのHBSSに再懸濁し、抗繊維芽細胞マイクロビーズ(Miltenyi, cat: 130-050-601)、抗CD45マイクロビーズ(Miltenyi, cat: 130-045-801)、LSカラム(Milteny, cat: 130-042-401)およびQuadroMACS magnet(Miltenyi, cat: 130-091-051)を用いて免疫細胞および間質細胞を枯渇させた。残った腫瘍細胞を回収し、HBSSで洗浄し、Mini-PDXカプセルデバイス(OncoVee MiniPDX(登録商標), LIDE Biotech)に充填した。このカプセルをBalb/cヌードマウスの両側腹部に、皮膚を小さく切開することを介して皮下埋め込み、Mini-PDXの効果試験にはマウス1匹あたり3カプセルを使用した。これらの試験における処置期間は7日間であった。試験の終了時に、すべてのマウスを安楽死させ、埋め込んだカプセルを除去し、腫瘍細胞増殖を、CellTiter Glo Luminescent Cell Viability Assay kit(G7571, Promega, Madison, WI, US)を用いて製造者の指示通りに評価した。発光は分光光度計(SpectraMax M3, Molecular Devices, Sunnyvale, CA, US)を用いて相対輝度単位(RLU)で測定した。相対生存率(%)は、式:
腫瘍相対増殖値(%)=(処置群の7日目の平均RLU-0日目の平均RLU)/(ビヒクル群の7日目の平均RLU-0日目の平均RLU)×100%、を用いて計算した。
【0102】
各試験群における試験薬の投与および動物数は、以下の実験デザインにまとめる(表1)。
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
観察
試験中、動物の世話と使用は、実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care, AAALAC)の規定に従って行った。Mini-PDXデバイスの接種後、動物を罹病率および死亡率について毎日チェックした。定期的なモニタリングの際に、動物を正常な行動に対する治療の影響、例えば、可動性、食物および水の消費量の目測、体重の増減、眼/毛髪の艶消し、およびその他の異常な影響についてチェックした。
【0106】
エンドポイント
腫瘍相対増殖率(%)を抗腫瘍活性の指標として使用した。腫瘍相対増殖率(%)=Vt7/Vc7×100%(Vt7:処置群の7日目の細胞生存率;Vc7:ビヒクル対照群の7日目の細胞生存率)。
【0107】
マウスの体重を毎日測定し、以下の式により各マウスの相対体重変化を計算した:RCBW(%)=(BWi-BW0)/BW0×100、BWiはある日の処置後の体重、BW0は処置初日の体重である。
【0108】
結果
効果試験の目的は、MDX191210 Mini-PDXモデルにおけるCFG920およびアフレセルチブの治療効果を評価することであった。終了時、ビヒクル対照、フレセルチブ75mg/kg、およびフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの処置群のCTG値はそれぞれ、42459±4790、24516±2133および14701±1790であった(図1A)。また、アフレセルチブ75mg/kg群およびアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kg群の腫瘍相対増殖率(%)は、53.37%および27.86%であった(図1B)。アフレセルチブ75mg/kgおよびアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの処置は、ビヒクル対照と比較した場合、CTGアッセイでモニターしたMDX191210腫瘍細胞の生存率を統計的に有意に低下させた(P<0.01)。このデータは、アフレセルチブ75mg/kgおよびアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの処置により、MDX191210腫瘍細胞の増殖を阻害することを示唆している。この試験中、アフレセルチブ75mg/kgおよびアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの処置群では、有意な体重減少(体重減少<10%)をもたらさなかった(図1C)。5日目および6日目にアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの群で1匹のマウスの体重減少が15%を超えたが、これは個体差に起因するものと考えられる。このデータは、アフレセルチブ75mg/kgまたはアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgは動物によく耐えらたことを示唆している(表2)。
【0109】
要約すると、アフレセルチブ75mg/kgおよびアフレセルチブ75mg/kg+CFG920 300mg/kgの処置群では、MDX191210 MiniPDXモデルにおいて有意な抗腫瘍活性を示し、処置は十分に耐えられた。
【0110】
実施例B:標準ケア処置後の転移性去勢抵抗性前立腺癌患者におけるCFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの用量漸増および効果試験
【0111】
全体デザイン
本試験の第I相部分は、いずれかの抗アンドロゲン療法(アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、または後に承認される他のいずれかのアンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストなど)または上記の抗アンドロゲン処置の一つ+ドセタキセルおよびカバジタキセルから選択される一つの化学療法、の二つの以前処置で、PTEN状態に関わらず進行したかまたは耐えられていない転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者におけるCFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの併用療法の第II相推奨用量(RP2D)を特定するための用量漸増試験である。本試験の第II相部分は、いずれかの抗アンドロゲン薬(上記)のまたは上記の抗アンドロゲン処置の一つ+ドセタキセルおよびカバジタキセルから選択される一つの化学療法、の二つの以前処置で、進行したかまたは耐えられていないPTEN欠損のmCRPC患者において、CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの併用療法の予備的な効果および安全性をアフレセルチブ単剤療法と比較して評価するものである。
【0112】
第I相:各用量漸増段階において、3+3デザインを採用する。最大耐量(MTD)評価またはRP2Dは、患者における安全性プロファイル、PKおよびPDの観察に基づいて行う。用量漸増の決定は、その特定の用量レベルで観察された安全性プロファイル、PKおよびPDに基づいて行う。3人の患者を併用療法の開始用量で登録する。以下の用量漸増ガイドラインの表に記載されているように、患者が用量制限毒性(DLT)を経験する場合、用量漸増を停止し、コホートは6人の患者に拡大する。開始用量は、前立腺癌、卵巣癌または胃癌などの様々な癌の徴候におけるCFG920、プレドニゾンおよびアフレセルチブの以前の第I/II相単剤療法試験に基づいて選択した。推奨する併用用量の漸増は、単に第1サイクルの1日目(C1D1)で、すべての患者がCFG920およびプレドニゾンを特定の用量でアフレセルチブとともに1日1回(QD)単回投与を受ける以外は、以下のとおりである。
【0113】
【表8】

【0114】
【表9】

【0115】
コホート-1(CFG920 50mg BID+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QD);コホート-2A(CFG920 50mg BID+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 125mg QD)およびコホート-2B(CFG920 50mg BID+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 75mg QD)の3つの併用量の段階的減量(de-escalation)レベルがある。
【0116】
処置サイクルは28日からなる。DLTは、血液学的DLTおよび非血液学的DLTに分ける。DLTは、第I相期間の最初のサイクル(28日間)内に発生し、以下の基準のいずれかを満たす、疾患、疾患の進行、併発病気、または併用薬とは無関係で、少なくともCFG920+プレドニゾン+アフレセルチブの処置に関連していると評価される有害事象(AE)または異常な臨床検査値と定義する。
【0117】
【表10】

【0118】
さらに、グレード3以上の貧血症、血小板減少症、疲労、悪心および嘔吐、ならびに高カリウム血症/低カリウム血症、高ナトリウム血症/低ナトリウム血症、および高血圧/低血圧を特に注目すべきAEと見做し、それらの発生率を個別に分析する。
【0119】
DLT以外のいずれかの理由で試験を中止する患者、第I相期間の最初の処置サイクル(28日間)中、CFG920およびプレドニゾンまたはアフレセルチブのどちらか一方の計画用量を21日未満受けたか、または計画用量の25%超を欠いた患者については、入れ替えを行う。
【0120】
CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブ処置のPKは、C1D1およびC1D15の異なる時点で得られたCFG920およびアフレセルチブの血漿中レベル、ならびに後続のサイクルの1日目の投与前測定に基づいて評価する。CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブのPDは、特定の副腎ホルモン、テストステロン、および血中リン酸化グリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ(pGSK3β)レベルを特定の時点で定期的に測定することにより評価する。
【0121】
MTDは、CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの併用療法の第1サイクルで33%以下の患者がDLTを経験する最高の併用薬物用量として定義する。6人の患者を処置し、33%以下の患者がDLTを経験した最高の併用量は、SRCによるレビュー後、RP2Dとして第II相コホートに進む。
【0122】
mCRPC患者におけるCFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの併用療法の予備的効果は、目的およびエンドポイントの部分に記載されているとおり、第I相で評価する。
【0123】
第II相:CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブのRP2Dが確立したら、抗アンドロゲン薬(アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、または後に承認される他のいずれかのARアンタゴニストなど)または上記の抗アンドロゲン処置の一つ+ドセタキセルまたはカバジタキセルから1つの化学療法、の二つの以前の標準処置で進行したかまたは耐えられていないPTEN欠損を有するmCRPC患者50人からなるコホートを第II相に登録し、RP2DでのCFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブならびにアフレセルチブ 150mg QD単剤療法の予備的効果および安全性を評価する。適格な患者を、CFG920およびプレドニゾン BID+アフレセルチブ QDとアフレセルチブ単剤療法との2群に1:1の割合で無作為化する。CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブならびにアフレセルチブ単剤療法の予備的効果は、放射線無増悪生存期間(rPFS)、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、疾患制御率(DCR)、全生存期間(OS)、前立腺癌ワーキンググループ3(PCWG3)による前立腺特異抗原(PSA)モニタリング、および放射線腫瘍評価(PCWG3に基づく骨病変および固形癌効果判定基準1.1版[RECIST1.1]に基づくその他の病変)の測定によって評価する。
【0124】
全試験期間において、併用療法および単剤療法の安全性および忍容性を、mCRPC患者を対象に注意深く観察する。
【0125】
患者の数:
【0126】
第I相:最大で4つの用量漸増コホートの上昇、2つのコホートの下降のために各コホートあたり最大6人の患者の登録が必要(RP2DまたはMTDの決定には6人の患者が必要)である場合、試験では、第I相において最多24人の患者を登録することができる。より多くの用量レベルを調査する場合、登録患者の数はこの数を超えてもよい。DLTのために中止する患者以外の脱落者を入れ替えるために、追加の患者を登録することがある。
【0127】
第II相:第II相部分において、50名の患者を登録し、1:1の割合で2つの処置群(1群あたり25名)に無作為化し、mCRPC患者に対するCFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブの併用療法ならびにアフレセルチブ単剤療法の予備的効果を評価し;無作為化は以前の化学療法(有/無)で層別化する。第II相部分では、入れ替えは認めない。
【0128】
処置群および期間:
試験処置は、それぞれ28日のDLT観察サイクルで適用する。CFG920は、25mgおよび/または100mgのカプセルとして経口投与する。アフレセルチブは50mgおよび/または75mgの錠として経口投与する。プレドニゾンは5mg錠として経口投与する。CFG920およびプレドニゾンは、第I相の第1サイクルの1日目を除き、BID投与とし、ここで、各薬物は単回の朝投与のみとする。アフレセルチブはQD投与する(CFG920およびプレドニゾン+アフレセルチブ処置の場合、CFG920の朝投与と同時に)。
【0129】
患者は、ラベルされている投与指示に従って、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストまたはアンタゴニストの投与を受け続ける。副腎機能不全およびアルドステロン過剰関連臨床検査およびAESIを注意深くモニターし、臨床検査結果に基づいて治験責任医師が必要な臨床管理を適用する。
【0130】
試験期間:
主なデータ分析および報告は、すべての患者が少なくとも6ヶ月間の処置を完了し、進行、試験からの脱落(ICF中止、治験責任医師の判断またはノンコンプライアンスなどの理由で)、または何らかの理由で死亡した時点で行う。第II相の試験終了は、第II相試験において少なくとも90%の患者が進行、試験からの脱落(ICF中止、治験責任医師の判断、またはノンコンプライアンスなどの理由で)、または何らかの理由で死亡した時点と定義する。
【0131】
研究対象集団(Study Population)
試験患者は、前立腺腺癌(神経内分泌分化または小細胞組織学を除く)の組織学的または細胞学的証拠が文書化されている18歳以上の男性から選択する。患者は、試験登録の前に「前立腺癌に関する米国泌尿器科学会のガイドライン(Guidelines of American Urological Association for Prostate Cancer)」(https://www.auanet.org/guidelines/prostate-cancer-castration-resistant-guideline)に基づく転移性疾患の証拠となるX線像を持っており、PTEN免疫組織化学(IHC)染色のための腫瘍生検サンプルを提供できる必要がある。PTEN IHCの有効な結果は、スクリーニング来院から2か月以内に収集し、中央検査室検査(PTEN IHCの結果が「無効」または「失敗」である参加者は登録不可)によって確認する必要がある。患者は、PCWG3基準に基づく進行性疾患を患っている必要がある。PCWG3基準は、1)総PSAの上昇のみで進行した患者は、少なくとも1週間間隔で3回連続して一連の上昇値を有し(3回目の測定値が2回目の測定値より大きくない場合、少なくとも1週間間隔で4回目を測定し、2回目の測定値より大きい必要がある)、エントリには2.0ng/mLの最小レベルである必要がある;2)RECIST 1.1に基づく疾患進行が文書化されている患者はPSAと無関係に適格である;3)PCWG3による骨のみで進行(すなわち、2つ以上の新しい病変の出現を示す骨のスキャン)のある患者。患者は以前にPSA反応があり、その後に以前のホルモン処置でPSA進行が文書化されている必要がある。患者は去勢レベルのテストステロン(<50ng/dLまたは1.7nmol/L)を有する必要がある。患者は、試験登録の前に少なくとも3ヶ月間、精巣摘除術などのアンドロゲン枯渇療法(ADT)を受けているか、LHRHアゴニストまたはアンタゴニストを使用している必要がある。LHRHアゴニスト/アンタゴニストを使用している患者は、試験期間中、これらの薬剤の使用を引き続ける必要がある。患者は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスが1以下である必要がある。患者は、登録前28日以内に、地元の検査室で、絶対好中球数≧1,500/μL、血小板数≧75,000/μL、ヘモグロビン≧9g/dLによって証明される適切な造血機能を有する必要がある。登録前28日以内の血清総ビリルビン≦1.5×ULN(既知のジルベール症候群の患者においては、総ビリルビン≦3×ULN、直接ビリルビン≦1.5×ULN)。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ≦2.5×ULN(登録前28日以内にASTおよびALTが5×ULN未満である必要がある、肝臓に腫瘍の浸潤がある患者を除く)。患者は、登録前28日以内の参考検査室の血清クレアチニン≦1.5×ULNまたはクレアチニンクリアランス≧50mL/min(Cockcroft-Gault式または24時間採尿から計算)により証明される十分な腎機能を有する必要がある。登録前28日以内の血清カリウム≧3.5mmol/Lかつ<ULN。空腹時血漿グルコース[空腹時とは、少なくとも8時間カロリー摂取がないこととして定義する]:2型糖尿病の事前の診断がない患者の場合、≦126mg/dLまたは≦7.0mmol/L;2型糖尿病、糖化ヘモグロビン(HbA1C)≦8.0%の事前の診断がある患者の場合、≦167mg/dLまたは≦9.3mmol/L。
【0132】
第I相では、患者は、いずれかの抗アンドロゲン薬(アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、または後に承認する他のいずれかのARアンタゴニストなど)または上記の抗アンドロゲン処置の一つ+ドセタキセルまたはカバジタキセルの一つの化学療法、の二つの以前処置(場合によっては少なくとも一つの以前処置)を受けた後に、進行したかまたは耐えられないmCRPCを有する必要がある。患者は、スクリーニング来院の前に、いずれかの抗アンドロゲン処置を少なくとも3週間受けるか、および/またはドセタキセルまたはカバジタキセルの処置を少なくとも4サイクル完了している必要がある。
【0133】
第II相では、患者は、いずれかの抗アンドロゲン薬(アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、または後に承認する他のいずれかのARアンタゴニストなど)または上記の抗アンドロゲン処置の一つ+ドセタキセルまたはカバジタキセルの一つの化学療法、の二つの以前処置を受けた後に、進行したかまたは耐えられないmCRPCを有する必要がある。患者は、スクリーニング来院の前に、いずれかの抗アンドロゲン処置を少なくとも3週間受けるか、および/またはドセタキセルまたはカバジタキセル処置を少なくとも4サイクル完了している必要がある。この併用療法はmCRPCの第三選択療法を標的とするものであるため、二つの前処置のみを許容する。
【0134】
試験処置前28日以内に大手術を受けた患者、または以下のいずれかで処置された患者は除外される:登録前6週間以内に第二選択ADT(ケトコナゾールおよびアミノグルテチミドを含むかこれらに限定されない);登録から3ヶ月以内にシプレウセル-T(Provenge(登録商標))処置;登録前6週間以内に抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド(EULEXIN(登録商標))、ビカルタミド(CASODEX(登録商標))、またはニルタミド(NILANDRON(登録商標));登録の3ヶ月以内に5-アルファレダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド(PROSCAR(登録商標)、PROPECIA(登録商標))、またはデュタステライド(AVODART(登録商標));登録前3ヶ月以内にラジウムRa 223ジクロライド(XOFIGO(登録商標))またはサマリウムSm 153レキシドロナム(QUADRAMET(登録商標));コルチコステロイドまたは別の免疫抑制剤(悪心および嘔吐を制御するための10mgまでのプレドニゾン(または同等物)または低用量のステロイドの毎日の使用、局所ステロイド、吸入ステロイドの使用以外);カリウム消耗性利尿剤;前立腺癌の処置に適応されるものを超えるいずらかの治験薬をその半減期の5倍の以内に受けた患者;薬剤の半減期が不明な場合は、登録前に4週間治験療法を中止する必要がある(どちらか短い方を優先すべき);試験登録から4週間以内に標的病変に苦痛緩和療法およびその他の放射線療法を受けた患者;前立腺癌による症候性または既知の中枢神経系転移を有する患者、または脊髄圧迫の危険性が高い患者;視床下部、下垂体または副腎機能不全の病歴を有する患者;試験登録時にインシュリンを必要とする糖尿病患者;現在臨床的に重要な、または現在積極的介入を必要とする別の原発性悪性腫瘍の病歴;試験登録前の28日間に少なくとも5分間隔で最大3回測定した後の十分に制御されていない高血圧(例えば、収縮期血圧≧160mmHgまたは拡張期血圧≧95mmHg)または低血圧(例えば、収縮期血圧≦80mmHgまたは拡張期血圧≦50mmHg);活動性心疾患または以下のいずれかの心機能不全の病歴がある患者:a. 試験登録前6ヶ月以内に重度または不安定の狭心症、急性冠症候群または卒中、b. 症候性心膜炎、c. 試験登録前6ヶ月以内に文書化されている心筋梗塞または動脈血栓事象、d. 文書化されているうっ血性心不全(NYHA分類(New York Health Association functional classification)III~IV)の病歴、e. 心筋症の文書化されている病歴、f. 登録前28日以内にマルチゲートスキャンまたは心エコー図により決定された既知の左室駆出率<50%、g. 治験担当医師によって決定された臨床的に重要な心不整脈の病歴;スクリーニング心電図(ECG)(QTcF式を使用)でFridericia補正QT(QTcF)間隔が450ミリ秒を超える患者、QT短縮/延長症候群、またはQT延長/多形性心室頻拍の病歴がある患者;登録前10日以内に全身療法を必要とする活動性感染(ウィルス、細菌または真菌)(結核を含むがこれに限定しない)の病歴がある患者; 活動性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎、またはC型肝炎を有する患者;現在、アイソザイムCYP1A(α-ナフトフラボン、フラフィリン、オメプラゾール、ランソプラゾールを含むがこれらに限定されない)およびアイソザイムCYP3A(イトラコナゾール、ケトコナゾール、アザムリン、トロレアンドマイシン、ベラパミル、リファンピシンを含むがこれらに限定されない)の中程度または強力な阻害剤または誘導剤であることが知られている薬物による処置を受けている患者。患者は、試験登録前に少なくとも2週間中等度または強力な誘導剤を中止し、試験登録前に少なくとも1週間中等度または強力な阻害剤を中止する必要がある。スピロノラクトン、強力な胆汁塩輸出ポンプ(BSEP)阻害剤、グレープフルーツジュース、生薬、例えばセントジョーンズワート、カバ、エフェドラ、ギンコビロバ、デヒドロエピアンドロステロン、ヨヒンベ、ノコギリヤシおよび高麗人参は中止すべき;性的に活発な男性で、本試験の全期間および治療中止後16週間、コンドームを使用する意思のない者。男性患者はこの期間中に父親になってはならない。精液を介した薬物の送達を防ぐため、精管切除された男性も男性パートナーとの性交時にもコンドームを使用する必要があり;薬物乱用を含むその他の医学的、精神医学的、社会的状態の、治験責任医師の見解では、試験への参加が不可能な患者;過去3ヶ月以内に上部消化管出血またはコントロール不能な消化性疾患の病歴があり、治験責任医師の見解では、患者の試験参加に影響を及ぼし得る患者;過去にAKTまたはPI3キナーゼ経路またはmTOR阻害剤を受けている患者。
【0135】
統計的方法:
本試験の第I相部分については、仮説検証を実施していない。従って、統計分析のアプローチは記述的である。本試験の第II相部分については、以下の一次分析を行う:
【0136】
併用処置群およびアフレセルチブ単剤処置群それぞれについて、Kaplan-Meier法を用いてrPFSの中央値を推定し、片側90%Brookmeyer-Crowley信頼区間(CI)を提供する。rPFSの中央値≧5.5ヶ月、関連する片側90%CI限界>3.5ヶ月である場合、臨床的に意味のある改善と見做す。処置群間の比較のための統計的仮説検定は行わない。探索的な目的で、Cox比例ハザード回帰モデルを適用して、処置および以前の化学療法(あり/なし)を独立変数として2つの処置群のrPFSを分析する。
【0137】
安全性評価
安全性評価には、AE(DLTを含む)、検査パラメーター、バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸数および体温)、身長・体重、身体検査、およびECGが含まれる。
【0138】
効果評価
治療効果は、併用療法(第I相および第II相)およびアフレセルチブ単剤療法(第II相のみ)について、以下の規準に基づき決定する:放射線無増悪生存期間;全客観的奏効率(第II相のみ);全生存期間(第II相のみ);奏効期間;疾患制御率(第II相のみ);事前に指定した時点で収集したPSAレベル;PSA反応およびPSA進行までの時間;および事前に指定した時点での放射線腫瘍評価。
【0139】
抗腫瘍活性は、標的病変および非標的病変の奏効評価に基づき、RECIST 1.1およびPCWG3の指示に従い、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、疾患進行(P.D)、疾患安定(S.D)に分類される。標的病変に対する奏効の定義は以下の通りである:
- 完全奏効(CR):すべての標的病変の消失。病理学的リンパ節(標的、非標的を問わず)は、短軸が10mm未満に縮小している必要がある。
- 部分奏効(PR):標的病変の直径の合計が、ベースラインの合計直径を基準として、少なくとも30%減少している。
- 疾患進行(P.D.):標的病変の直径の合計が、試験での最小の合計(試験中の最小値であれば、ベースラインの合計を含む)を基準として、少なくとも20%増加している。20%の相対的な増加に加えて、合計が少なくとも5mmの絶対的な増加を示す必要がある。(注:一つまたはそれ以上の新しい病変の出現も進行と見做す)。
- 疾患安定(S.D.):試験中の最小の合計直径を基準として、PRに該当するほどの十分な収縮もPDに該当するほどの十分な増加もない。
【0140】
放射線無増悪生存期間(rPFS)は、療法の開始から、RECIST 1.1(付録6)および/またはPCWG3基準による疾患進行、あるいは何らかの原因による死亡のうち、最初に起こるまでの期間として測定されるものである。全生存期間(OS)は、療法の開始から何らかの原因による死亡までの期間として測定される。客観的奏効率(ORR)は、CRまたはPRが確認された最良全奏効(BOR)を達成する患者の比率である。疾患制御率(DCR)は、CR、PRまたはSDが確認されたBORを達成する患者の比率である。全奏功の期間は、奏功(CRまたはPR)の最初の決定から、疾患再発または疾患進行が客観的に記録される最初の日までの期間である。
【0141】
PSA関連の効果は、最低1週間間隔で一連の値を取得することによって決定する。PSA反応は、PSAがベースラインから50%以上減少として定義し、最低3週間間隔でのその後の2回のPSA評価によって確認することができる。二次PSA反応は、PSAがベースラインから試験処置後12週間以上まで30%以上減少として定義し、4週間後の再検査で確認できる。
【0142】
投与の選択と時点
第1サイクルの1日目にCFG920およびプレドニゾンの単回用量を投与する。第1サイクルの2日目(24時間PKサンプル採取後)に始め、本試験の各処置サイクル全般にわたって、CFG920を各投与の間に約12時間の間隔を空けてBID経口投与する。プレドニゾンをCFG920と同時にBID経口投与する。アフレセルチブをCFG920の朝投与と同時に投与する。
【0143】
カプセルを200mLの水で丸ごと摂取し、噛んだり開けたりしてはならない。CFG920の投与は、食事の少なくとも1時間前または2時間後に、絶食状態で投与する。患者が嘔吐する場合、次の予定の投与の前の再投与は許容しない。
【0144】
第1サイクルの13日目に、現場スタッフは患者に連絡し、以下のことについて注意する:BID投与スケジュールはできるだけ12時間投与に近いスケジュールで行うべきである;第1サイクルの14日目と15日目には、CFG920投与前後に適切な空腹時間を確保すべきである;第1サイクルの15日目の朝には、投与前のサンプルを採取してその日の予定時刻に朝投与できるよう適切な時刻に現場に報告する必要がある。次の日の投与日時を記録する:第1サイクルの1日目、第1サイクルの2日目(朝投与)、第1サイクルの14日目(朝投与および夕投与)、第1サイクルの15日目(朝投与および夕投与)、および第1サイクルの6日目(朝投与)。他のBID投与日については、最初の投与から12時間(±2時間)後に2回目の投与を行わない場合、2回目の投与はスキップする。第1サイクルの1日目と第1サイクルの15日目との間に逃したまたはスキップした投与はどれでも記録する。第1サイクルの1日目および15日目の朝投与について、患者の投与前の直近の食事摂取日時、および投与後の次の食事摂取日時を記録する。
【0145】
警告および注意
動物試験結果、予備的な臨床安全性データ、およびアビラテロンについて報告した臨床データに基づいて、CFG920およびアフレセルチブを投与された患者に対する潜在的な毒性を以下にそれぞれ要約する。CFG920およびアフレセルチブの臨床評価中、患者の安全性を確保するために、AEおよび臨床検査結果の変化がないか患者をモニターする。
【0146】
患者のCFG920による潜在的な毒性は、血液学的毒性;高血糖;肝臓への影響;コルチゾールおよび関連する効果の減少;生殖器官の変化;および臨床検査室の変更、を含む。患者のアフレセルチブによる潜在的な毒性は、消化器毒性;内分泌/代謝毒性;肝臓毒性;;皮膚毒性;および甲状腺毒性、を含む。
【0147】
併用療法
患者は、精巣摘除術を受けたか、登録前に少なくとも3ヶ月間LHRHアゴニスト/アンタゴニストを使用する必要がある。LHRHアゴニスト/アンタゴニストを使用している患者は、試験期間中、これらの薬剤を使用し続ける必要がある。
【0148】
一般的には、試験中に患者のケアに必要とみなされる市販薬を含むいずれかの併用薬/療法の使用を許容し、電子症例報告書(eCRF)に適切にキャプチャーする。
【0149】
フルタミド(EULEXIN(登録商標))、ビカルタミド(CASODEX(登録商標))、またはニルタミド(NILANDRON(登録商標))などの抗アンドロゲン薬を、3ヶ月を超えて受けた患者は、登録前に6週間処置を中止し、中止後もPSAの上昇が続くことを証明する必要がある。抗アンドロゲン剤を3ヶ月以下使用した患者は、2週間休薬する必要がある。
【0150】
ラジウムra223ジクロライド(ゾーフィゴ(登録商標))を受けた患者は、登録前に7週間療法を中止するか、サマリウムsm 153レキシドロナム(QUADRAMET(登録商標))を試験登録前に少なくとも2週間療法を中止する必要がある。
【0151】
現在、アイソザイムCYP1A(α-ナフトフラボン、フラフィリン、オメプラゾール、ランソプラゾールを含むがこれらに限らない)およびアイソザイムCYP3A(イトラコナゾール、ケトコナゾール、アザムリン、トロレアンドマイシン、ベラパミル、リファンピシンを含むがこれらに限らない)の中等度または強い阻害剤/誘導剤であることが知られている薬物で処置を受けている患者。これらの医薬は、処置の開始前に、少なくとも2週間は強力な誘導剤を中止し、少なくとも1週間は強力な阻害剤を中止する必要がある。
【0152】
ビスホスホネートおよび他の骨支持剤の併用は、用量および腎機能が登録前の少なくとも12週間安定しており、試験薬処置前の少なくとも4週間は関連するグレード2以上の副作用がない場合に許容する。
【0153】
フィブラートおよびHMG-CoAレダクターゼ阻害剤の併用療法は、横紋筋融解症、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)レベルの著しい上昇、ミオグロビン尿症、急性腎不全、時には死亡によって示される、希薄ではあるが深刻な骨格筋毒性の危険性の増加と関連している。この療法を使用することの危険性対利益は、高脂血症の心血管および/または膵臓の合併症の危険性に基づいて、個々の患者について決定すべきである。
【0154】
グレープフルーツ、セビリアオレンジ、およびそれらの製品(ジュースなど)の使用は、登録の1週間前および処置中は許容しない。
【0155】
用量変更
以下の表では、CFG920およびアフレセルチブの用量変更のガイダンスを提供する。
【表11】

【0156】
【表12】

【0157】
【表13】

【0158】
【表14】

【0159】
【表15】

【0160】
【表16】

【0161】
略語:ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BID=1日2回、CRPC=去勢抵抗性前立腺癌、CXDX=第XサイクルのX日目、CT=コンピュータ断層撮影、ECG=心電図、ECOG=米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)、EOT=処置の終了、HIV=ヒト免疫不全ウイルス、MRI=磁気共鳴断層撮影、pGSK3β=リン酸化グリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ、PSA=前立腺-特異抗原、PTEN=ホスファターゼおよびテンシンホモログ、QD=1日1回。
注:1サイクル=28日。
a. 同意・承認を得る前に、試験特有の操作を実行してはならない。
b. 病歴は現在の試験に関連しているべきであり、初期診断時のグリーソンスコア、癌の診断と程度、前立腺癌の病歴、併発疾患、および以前の投薬/処置、例えば、以前のCRPC処置、以前の放射線療法または過去の手術を含むべきである。
c. バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸数、体温)は、試験中に収集する。脈拍および血圧は、患者が座った状態で、次に1分間立った後に取得する。少なくとも2分間休憩した後、患者が座った状態で2つの血圧記録を測定すべきである。その後、高血圧または低血圧の発生をモニターするために、患者が1分間立ってから2回の血圧測定を行うべきである。
【0162】
d. ECGはすべて5分間隔で二重に実施する。トレースが正常でない場合は、3回目のトレースが必要である。
e. 完全血球算定は、白血球数、ヘモグロビン、白血球数(百分率数)、および血小板数の測定からなる。完全血球算定は、用量制限毒性の評価期間中に毎週、および第2、3、4サイクルでは隔週ごとに、その後、後続の残りのサイクルでは月に1回、およびEOT受診時に評価する。
f. 血清生化学検査は、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素、クレアチニン、グルコース、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、カルシウム、マグネシウム、リン、アルブミン、総蛋白、尿酸の血清レベルの測定からなる。血清生化学検査は、用量制限毒性の評価期間中に毎週、および第2、3、4サイクルでは隔週ごとに、その後、後続の残りのサイクルでは月に1回、およびEOT受診時に実施する。
【0163】
g. 尿検査は、pHおよび比重の測定;ならびにグルコース、ケトン、タンパク質、ビリルビン、および血液の尿試験紙測定からなる。尿試験紙測定のいずれでも2+またはそれ以上である場合は、尿の顕微鏡検査も行うべきである。
h. CFG920およびアフレセルチブPK血漿中濃度の測定のための血液サンプルは、C1D1およびC1D15(投与前、および朝投与から0.5、1、2、4、6、8、12、24時間後)、および後続のサイクルの1日目(朝投与前)に採取する。
注:C1D15の12-時間サンプルはその日の次のCFG920投与前に、C1D1およびC1D15の24-時間サンプルはそれぞれ、C1D2およびC1D16のCFG920およびアフレセルチブの朝投与前に採取するべきである。C1D2およびC1D16の朝投与は、試験ユニットを訪れ、PKサンプルが採取されるまでは行わないよう患者に説明する。
1日目の投与前のサンプルは投与前1時間以内、15日目の投与前のサンプルは朝投与前10分以内に採取すべきである。その他の時点では、投与後1時間以内に採取する試料は予定サンプリング時間の±2分、投与後1時間超8時間以内に採取する試料は予定サンプリング時間の±5分、投与後8時間超24時間以内に採取する試料は予定サンプリング時間の±30分に得ることができる。
【0164】
i. 薬力学的分析は、総テストステロン、コルチゾール、アルドステロン、副腎皮質刺激ホルモン、および血漿レニン活性の測定からなる。血液サンプルは、第1サイクルの1日目、8日目、15日目および第3サイクル、第8サイクル、第24サイクルの1日目の、CFG920およびアフレセルチブの朝投与前(投与前)1時間以内に取得する。1日目の投与前のサンプルは投与前1時間以内に、それ以外の日の投与前のサンプルは朝投与前10分以内に採取すべきである。
j. 腫瘍評価は、転移性疾患の領域を特定するためのすべての関連するイメージング操作を含めるべきであり、試験全般にわたって、腫瘍評価の同じ仕様書を用いる同じ方法(例えば、CT、MRI、骨スキャン)を使用すべきである。
k. C1D13に患者に連絡し、CFG920については約12時間の投与間隔を維持し、アフレセルチブについてはC1D14およびC1D15に24時間の投与間隔を維持し、CFG920投与の前後に適切な絶食期間を維持し、C1D14に自己投与用量の投与日時を記録するように注意する。また、投与前のサンプルを採取し、CFG920およびアフレセルチブの朝投与を時間どおり(すなわち、C1D14のCFG920の夕投与の約12時間後)に投与できるように、患者にC1D15の正しい時間に試験ユニットに報告するよう注意する。
l. 後続のサイクルでの15日目の受診と評価は、第2サイクル、第3サイクル、第4サイクル、第6サイクルについてのみ行う。
【0165】
m. EOT受診は、最後の投与から15(±3)日後に行う。
n. 前立腺癌または有害事象に関与する部位に焦点を当てた、標的身体検査(直腸指診はスクリーニング時にのみ実施するべき)。
o. トラフサンプルのみ(すなわち、朝投与前)。
p. 疾患の程度を決定するための腫瘍評価は、第2サイクル、第4サイクル、第6サイクルの終わり(28±7日目)に取得し;患者がEOTから28日以内に腫瘍評価を完了したことを除いて、第6サイクル後の3処置サイクルごとの処置の終了時にも取得する。進行性疾患または何らかの原因による死亡によらず試験処置を終了する患者は、患者が同意すれば、EOT後の腫瘍評価スケジュールを維持すべきである。
q. この試験では、身長はスクリーニング時にのみ収集する。
r. 1日目から5日間以内に実施するスクリーニング中に実施する操作は、1日目の投与前評価としても使用でき、繰り返す必要はない。
【0166】
【表17】

【0167】
【表18】

【0168】
略語:ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BID=1日2回、CRPC=去勢抵抗性前立腺癌、CXDX=第XサイクルX日目、CT=コンピュータ断層撮影、ECG=心電図、ECOG=米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)、EOT=処置の終了、HIV=ヒト免疫不全ウイルス、MRI=磁気共鳴断層撮影、PSA=前立腺-特異抗原、PTEN=ホスファターゼおよびテンシンホモログ、QD=1日1回。
注:1サイクル=28日。
a. 同意・承認を得る前に、試験特有の操作を実行してはならない。
b. 病歴は現在の試験に関連しているべきであり、初期診断時のグリーソンスコア、癌の診断と程度、前立腺癌の病歴、併発疾患、および以前の投薬/処置、例えば、以前のCRPC処置、以前の放射線療法または過去の手術を含むべきである。
c. バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸数、体温)は、試験中に収集する。脈拍および血圧は、患者が座った状態で、次に1分間立った後に取得する。少なくとも2分間休憩した後、患者が座った状態で2つの血圧記録を測定すべきである。その後、高血圧または低血圧の発生をモニターするために、患者が1分間立ってから2回の血圧測定を行う。
【0169】
d. ECGはすべて5分間隔で二重に実施する。トレースが正常でない場合は、3回目のトレースが必要である。
e. 完全血球算定は、白血球数、ヘモグロビン、白血球数の百分率数、および血小板数の測定からなる。完全血球算定は、用量制限毒性の評価期間中に毎週、および第2、3、4サイクルでは隔週ごとに、その後、後続の残りのサイクルでは月に1回評価する。
f. 血清生化学検査は、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素、クレアチニン、グルコース、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、カルシウム、マグネシウム、リン、アルブミン、総蛋白、尿酸の血清レベルの測定からなる。血清生化学検査は、用量制限毒性の評価期間中に毎週、および第2、3、4サイクルでは隔週ごとに、その後、後続の残りのサイクルでは月に1回実施する。
g. 尿検査は、pHおよび比重の測定;ならびにグルコース、ケトン、タンパク質、ビリルビン、および血液の尿試験紙測定からなる。尿試験紙測定のいずれでも2+またはそれ以上である場合は、尿の顕微鏡検査も行うべきである。
【0170】
h. 腫瘍評価は、転移性疾患の領域を特定するためのすべての関連するイメージング操作を含めるべきであり、試験全般にわたって、腫瘍評価の同じ仕様書を用いる同じ方法(例えば、CT、MRI、骨スキャン)を使用すべきである。
i. 後続のサイクルでの15日目の受診と評価は、第2サイクル、第3サイクル、第4サイクルについてのみ行う。
j. EOT受診は、最後の投与から15(±3)日後に行う。
k. 前立腺癌または有害事象に関与する部位に焦点を当てた、標的身体検査(直腸指診はスクリーニング時にのみ実施するべき)。
l. 疾患の程度を決定するための腫瘍評価は、第2サイクル、第4サイクル、第6サイクルの終わり(28±7日目)に取得し;患者がEOTから28日以内に腫瘍評価を完了したことを除いて、第6サイクル後の3処置サイクルごとの処置の終了時にも取得する。進行性疾患または何らかの原因による死亡によらず試験処置を終了する患者は、患者が同意すれば、EOT後の腫瘍評価スケジュールを維持すべきである。
m. この試験では、身長はスクリーニング時にのみ収集する。
n. 1日目から5日間以内に実施するスクリーニング中に実施する操作は、1日目の投与前評価としても使用でき、繰り返す必要はない。
【0171】
実施例C:ヒト患者におけるCFG920+アフレセルチブの併用療法の効果および安全性のまとめ
実施例Bでの本試験の目的の一つは、コホート1のCFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QDの併用療法の投与を受けた患者を評価することであった。この患者では、CFG920+プレドニゾン+アフレセルチブ(AFURESERTIB)処置の併用療法を受けた後、前立腺特異抗原(PSA)によって評価される抗癌効果を示した。この患者の臨床症状を、特許出願をサポートするために、以下のように要約する。
【0172】
病歴:この試験では、心房細動、高血圧、酸の逆流、不眠症、および緑内障の既往歴を持つ79歳の白人男性を参加させ、上記の各障害に対してそれぞれジゴキシン、リシノプリル/メトプロロール、アルミニウムヒドロキシド/シメチコン、テマゼパム、チモロール/トラボプロストで処置した。66歳の時に前立腺癌と診断された。前立腺癌と診断された直後に根治的前立腺摘除術を受け、アンドロゲン-枯渇療法(ADT)を受けたものの、8年後に前立腺癌が骨転移を含む転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に進行した。その後、この患者は、アビラテロン、カバジタキセル、エンザルタミド、ラジウム223(ゾーフィゴ)、ドセタキセル(タキソテール)およびデノスマブ(ザイゲバ)などの複数の種目の抗癌処置を受けたものの、実施例Bに記載の試験への登録前にも、腫瘍は依然として進行していた。
【0173】
試験処置:この患者は、すべての包含・除外基準を満たした後、コホート1における患者として本試験の第I相段階に登録され、CFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QDの開始併用療法投与を受けた。残念ながら、この患者は操作ミスで、57日目から85日目まで(第3サイクル)、合計28日間、CFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 150mg QDといったアフレセルチブの高い用量を受けた。以下に要約するように、このエラーを修正し、第4サイクルの1日目(85日目の後)に、用量をCFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QDに戻した:
・ 第1サイクル(1日目~28日目):CFG920 75mg BID+アフレセルチブ 100 mg QD
・ 第2サイクル(29日目~56日目):CFG920 75mg BID+アフレセルチブ 100mg QD
・ 第3サイクル(57日目~85日目):CFG920 75mg BID+アフレセルチブ 150mg QD
・ 第4サイクル(86日目~114日目):CFG920 75mg BID+アフレセルチブ 100mg QD
・ 第5サイクル(115日目~118日目):CFG920 75mg BID+アフレセルチブ 100mg QD(カットオフ日付は、118日目の2020年7月23日である)
【0174】
併用療法の抗癌効果:PSAは前立腺癌の進行を測定する主要なサロゲートマーカーである(Scott Williams. Surrogate endpoints in early prostate cancer research. Transl Androl Urol. 2018 Jun; 7(3): 472-482)。試験中、PSA反応は、前立腺癌ワーキンググループ3(PCWG3)基準(Howard I. Scher, Michael J. Morris, Walter Michael Stadler, Celestia S. Higano, Susan Halabi, Matthew Raymond Smith et al., The Prostate Cancer Working Group 3 (PCWG3) consensus for trials in castration-resistant prostate cancer (CRPC). Journal of Clinical Oncology, 2015, Volume 33, Issue 15_suppl)により、ベースラインから50%以上低下されたものと定義した。
【0175】
患者のPSAレベルは、図2Aに示すように、2020年7月23日のカットオフ日付で、第2サイクルの1日目(すなわち29日目)から第5サイクルの1日目(すなわち115日目)までベースラインのPSAレベルから50%以上低下した。図2Aに示す併用療法の抗癌効果は、主にCFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QDの用量によって達成し、これは、CFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 150mg QDの高併用量を開始したのは、第2サイクルのPSAが低下した最初の日(すなわち29日目)から4週間後の第3サイクルの1日目(すなわち57日目)にのみであるためである。第3サイクルの1日目から第3サイクルの28日目までは、CFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 150mg QDのより高い併用用量によって処置したが、患者のPSAレベルは、第1サイクル、第2サイクルのPSAレベルに比べ、それ以上低下せず、むしろわずかに上昇した。
【0176】
別の腫瘍進行評価は、前立腺癌における骨のスキャン、PSA反応および固形癌効果判定基準(RECIST) 1.1を用いるPCWG3に基づく腫瘍画像試験である(Lawrence H. Schwartz, Lesley Seymour, Saskia Litiere, et al. RECIST 1.1 - Standardisation and disease-specific adaptations: Perspectives from the RECIST Working Group. Eur J Cancer. 2016 Jul; 62: 138-145)。この試験において、RECIST1.1に基づく腫瘍画像評価がこの試験の主要エンドポイントである。この患者の腫瘍画像評価を、RECIST 1.1基準に基づいて、試験処置中の安定な疾患状態として報告した。この患者では、CFG920+プレドニゾン+アフレセルチブの併用療法の処置下、PSAの充実な反応(ベースラインの50%未満)を示し、PCWG3基準によって前立腺癌の状態が112日以上安定的と評価した。
【0177】
薬力学的マーカー:男性ホルモンは、前立腺癌の増殖、アポトーシス、血管新生、転移、および分化を制御することが広く受け入れられている(Takashi Imamoto, Hiroyoshi Suzuki, Masashi Yano, Koji Kawamura, Naoto Kamiya, Kazuhiro Araki, Akira Komiya, Naoki Nihei, Yukio Naya and Tomohiko Ichikawa. The role of testosterone in the pathogenesis of prostate cancer. International Journal of Urology (2008) 15, 472-480)。主要なアンドロゲンホルモンの一つであるテストステロンは、前立腺癌に対する抗アンドロゲン処置の薬力学的マーカーとして、多くの試験で広く使用されている。試験処置下でのテストステロンレベルの変化を図2Bに示す。その結果、CFG920+プレドニゾン+アフレセルチブの併用療法が、この患者のテストステロン産生を効果的に阻害できることを示した。この薬力学的マーカーは、CFG920 75mg+プレドニゾン 5mg BID+アフレセルチブ 100mg QDの抗癌併用療法の効果をさらに証明するもので、この試験ではただ開始用量であるものの、結果では、この組み合わせおよび用量により、この患者のPSAおよびアンドロゲンの両方のレベルを効果的に低下させることができると示している。
【0178】
CFG920はCYP11BおよびCYP17A1の両方を阻害する:CFG920はCYP11BおよびCYP17A1の両方に対する二重酵素阻害剤で、抗癌作用でアンドロゲン産生を阻害するだけでなく、アルドステロン合成を阻害して高アルドステロン症を予防する。高アルドステロン症は、高血圧、低カリウム血症、疲労、頭痛、筋力低下およびしびれを含む、いくつかの重篤な臨床症状を伴う障害である。図2Bからの結果により、ベースライン(試験処置前)から第3サイクルの1日目までの様々な時点のアルドステロンレベルは、ベースラインと同程度のアルドステロンレベルである第2サイクルの1日目を除き、ベースラインより低くなっていることを示した。また、この患者は高アルドステロン症の症状のような有害事象(AE)を報告していない(表7参照)。図2B図2C、および表7の結果は、CFG920が二重の酵素阻害作用を有し、併用療法中に高アルドステロン症の臨床症状を引き起こさないという確かな証拠を示している。されには、この患者は高アルドステロン症の症状のような有害事象(AE)を報告していない(表7を参照)。図2B図2C、および表7の結果は、CFG920が二重の酵素阻害を有し、併用療法による処置中、高アルドステロン症の臨床症状を引き起こさない、といった動かぬ証拠を提供している。
【0179】
併用療法の安全性:この患者は、以下の表7に示すように、重症度評価においてグレード1/軽度の4つのAEを報告した。この患者は、第3サイクル中、高用量のアフレセルチブ(150mgQD)を受けたものの、AEの日および試験処置の用量を注意深く評価した後、第1サイクルでは4つのAEすべてが発生したのに対し、第3サイクルでは150mgQDの高用量のアフレセルチブを服用したため、AEの発生時間と試験処置用量との間に相関性はない。AEと患者が高用量のアフレセルチブを服用することとの間には1ヶ月を超えるギャップが存在する。さらには、第3サイクルは患者が150mgQDの高用量のアフレセルチブを投与されたサイクルであるが、そこでAEは報告されていない。さらには、報告された4つのAEはすべて、この試験における併用療法に関連する重大な臨床的帰結なしに、良性性質で重症度は軽度である。
【0180】
【表19】

【0181】
本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な変更は、前述の説明から当業者には明らかであろう。このような変更も添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。本願で引用したすべての特許、特許出願、および刊行物を含む各参考文献は、その全体が引用により本明細書に包含される。
さらに、本願発明は次の態様を含む。
[態様1]
患者において去勢抵抗性前立腺癌を処置する方法であって、
(i) N-{(1S)-2-アミノ-1-[(3-フルオロフェニル)メチル]エチル}-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-チオフェンカルボキサミド(アフレセルチブ)またはその薬学的に許容できる塩;および
(ii) 1-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-3-(4-メチル-ピリジン-3-イル)-イミダゾリジン-2-オン(CFG920)またはその薬学的に許容できる塩、を該患者に投与することを含み;
ここで、該患者は、一つまたはそれ以上の抗アンドロゲン剤、化学療法剤、またはこれらの組み合わせを含む一つまたはそれ以上の処置に対して抵抗性がある、方法。
[態様2]
抗アンドロゲン剤が、一つまたはそれ以上のアビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、およびダロルタミド、またはそれらの薬学的に許容できる塩を含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
化学療法剤が、一つまたはそれ以上のドセタキセルおよびカバジタキセル、またはそれらの薬学的に許容できる塩を含む、態様1に記載の方法。
[態様4]
アフレセルチブが、結晶性塩酸塩の形態である、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
[態様5]
CFG920が、無水遊離塩基の形態である、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
[態様6]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg~約150mgの1日総用量で患者に投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg~約100mgの1日総用量で患者に投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの1日総用量で患者に投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様9]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、患者に1日1回(QD)投与される、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約50mg~約200mgの1日総用量で患者に投与される、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、遊離塩基基準で約150mg~約200mgの1日総用量で患者に投与される、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
[態様12]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、約50mg、約75mg、または約100mgの用量で患者に投与される、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
[態様13]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、患者に1日2回(BID)投与される、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
[態様14]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様15]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様16]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様17]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様18]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様19]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様20]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様21]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様22]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
[態様23]
患者にさらに投与されるものがコルチコステロイドであることを含む、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
[態様24]
コルチコステロイドがプレドニゾンである、態様23に記載の方法。
[態様25]
プレドニゾンが、患者に約10mgの1日総用量でBID投与される、態様24に記載の方法。
[態様26]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様27]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様28]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約50mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様29]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様30]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様31]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約75mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様32]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様33]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約125mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様34]
患者が、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約100mgの1日2回用量;プレドニゾンの1回あたり約5mgの1日2回用量;およびアフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩の、遊離塩基基準で1回あたり約150mgの1日1回用量を投与される、態様24に記載の方法。
[態様35]
コルチコステロイドおよびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、同時に投与される、態様24に記載の方法。
[態様36]
コルチコステロイドおよびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、合剤にされる、態様24に記載の方法。
[態様37]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、同時に投与される、態様1~36のいずれか一項に記載の方法。
[態様38]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩、およびCFG920またはその薬学的に許容できる塩が、順次に投与される、態様1~36のいずれか一項に記載の方法。
[態様39]
(i) アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が1日1回投与され、
(ii) CFG920またはその薬学的に許容できる塩が1日2回投与され、
ここで、アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩は、CFG920またはその薬学的に許容できる塩の1日2回用量の一つと同時に投与される、態様1~36のいずれか一項に記載の方法。
[態様40]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される、態様1~39のいずれか一項に記載の方法。
[態様41]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む薬学的に許容できる組成物の一部として製剤化される、態様1~40のいずれか一項に記載の方法。
[態様42]
アフレセルチブまたはその薬学的に許容できる塩が、患者に経口投与される、態様1~41のいずれか一項に記載の方法。
[態様43]
CFG920またはその薬学的に許容できる塩が、患者に経口投与される、態様1~42のいずれか一項に記載の方法。
[態様44]
患者が、アンドロゲン枯渇療法をさらに適用される、態様1~43のいずれか一項に記載の方法。
[態様45]
アンドロゲン枯渇療法が、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストまたはアンタゴニストである、態様44に記載の方法。
[態様46]
アンドロゲン枯渇療法が、患者における血清テストステロンの去勢レベルを維持するのに十分である、態様44に記載の方法。
[態様47]
去勢抵抗性前立腺癌が、転移性去勢抵抗性前立腺癌である、態様1~46のいずれか一項に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C