(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電気自動車のディスコネクトプラグ構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240725BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 G
(21)【出願番号】P 2022518419
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2020000409
(87)【国際公開番号】W WO2021220028
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 利次
(72)【発明者】
【氏名】名渕 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】八田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 弘一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美希
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248969(JP,A)
【文献】特開2017-052302(JP,A)
【文献】特開2012-240476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0221800(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02985479(FR,A1)
【文献】米国特許第09260065(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083020(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のディスコネクトプラグ構造であって、
車室内の後席下方に搭載されたバッテリユニットと、
前記後席のシートクッションと前記バッテリユニットとの間のフロアパネルから上方に突出
して形成された、前記シートクッションの前部分内に位置する前突時の乗員のサブマリン挙動を防止する膨出部と、
前記バッテリユニットの内部から
外部へ延出して前記膨出部の内部へと立設されたプラグブラケットと、
前記プラグブラケット
において前記バッテリユニットの外部へ延出した部分の前面に脱着可能に取り付けられた、前記バッテリユニットの電力回路を遮断するディスコネクトプラグと、
前記膨出部の前方壁に前方に向けて開口された、前記ディスコネクトプラグへのアクセス用の
、リッドで覆われた、開口部と、
前記膨出部の前方、かつ、前記シートクッションの前面下方
に形成されたトリム部に設けられた、前記開口部
及び前記リッドを覆う開閉可能なカバーと、を備えている、ディスコネクトプラグ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のディスコネクトプラグ構造であって、
前記ディスコネクトプラグは、取り外し時に操作されるレバーを有し、かつ、当該レバーが横方向に揺動されるように前記プラグブラケットに取り付けられている、ディスコネクトプラグ構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のディスコネクトプラグ構造であって、
前記後席がベンチシートであり、前記ディスコネクトプラグが前記ベンチシートの中央下方に位置されている、ディスコネクトプラグ構造。
【請求項4】
請求項3に記載のディスコネクトプラグ構造であって、
前記膨出部が、前記ベンチシートの横幅に対応して横方向に延在している、ディスコネクトプラグ構造。
【請求項5】
請求項4に記載のディスコネクトプラグ構造であって、
前記プラグブラケットが、前記バッテリユニットの内部の下部ブラケットと前記バッテリユニットの天板から立設された上部ブラケットとからなり、
前記下部ブラケットと前記上部ブラケットとが、前記天板を介して結合されている、ディスコネクトプラグ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のディスコネクトプラグ構造[a structure of a disconnect plug of an electric vehicle]に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧回路を有するバッテリ電気自動車(BEV)やハイブリッド電気自動車(HEV)は、高電圧回路を安全に遮断する[disconnect]ディスコネクトプラグを備えている。多くの場合、ディスコネクトプラグはバッテリユニットに搭載されており、容積が大きくかつ重いバッテリユニットは後席の下方に搭載されることが多い。下記特許文献1は、ディスコネクトプラグ構造を開示している。ディスコネクトプラグは、特許文献1ではサービスディスコネクタ[service disconnector]と呼ばれており、ディスコネクトスイッチやマニュアル高電圧ディスコネクトとも呼ばれる。
【0003】
ディスコネクトプラグは、整備[maintenance]や乗員救出[passenger rescue]の際の作業安全のために取り外される。特許文献1に開示されたディスコネクトプラグ構造では、ディスコネクトプラグにアクセスするための開口部が、後席のシートクッション下のフロアパネルに開口されている。従って、ディスコネクトプラグを外して高電圧回路を遮断する場合には、大きなシートクッションを取り外さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたディスコネクタプラグは後席のシートクッションを取り外さなければアクセスできないので、整備や乗員救出の作業性が悪い。特に、事故などで車体が変形している場合は、シートクッションを取り外すことが難しい場合もある。そこで、ディスコネクトプラグへの容易なアクセスを可能にするディスコネクトプラグ構造が要望されている。
【0006】
従って、本発明の目的は、ディスコネクトプラグへの容易なアクセスを可能にする、電気自動車のディスコネクトプラグ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴に係る電気自動車のディスコネクトプラグ構造では、後席下のフロアパネルに形成された乗員のサブマリン挙動防止のための膨出部の内部へとバッテリユニットの内部からプラグブラケットが立設されている。また、プラグブラケットの前面にディスコネクトプラグが脱着可能に取り付けられ、膨出部の前方壁にはディスコネクトプラグへのアクセス用の開口部が形成されている。さらに、後席のシートクッションの前面下方のトリム部には、開口部を覆う開閉可能なカバーが設けられている。なお、ここに言う「後席」とは、最前席の運転席及び助手席よりも後方の座席をいう。例えば、座席が三列あれば、二及び三列目が後席である。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴によれば、後席のシートクッションを取り外す必要なく、シートクッションの前端下方のトリム部から容易にディスコネクトプラグに容易にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るディスコネクトプラグ構造の断面斜視図である。
【
図2】
図2は、上記ディスコネクトプラグ構造のフロアパネルの斜視図である。
【
図3】
図3は、上記ディスコネクトプラグ構造のバッテリユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、上記ディスコネクトプラグ構造のディスコネクトプラグ及びプラグブラケットの拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、上記ディスコネクトプラグ構造の変形例におけるディスコネクトプラグ及びプラグブラケットの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図4を参照しつつ実施形態に係る電気自動車のディスコネクトプラグ構造について説明する。
【0011】
本実施形態の電気自動車[electric vehicle]は、内燃機関を搭載しておらず、バッテリユニット1に蓄えられた電力を消費して、その前部及び後部にそれぞれ搭載された二つのモータ(図示せず)で四輪を駆動するバッテリ電気自動車(BEV)である。この車両[vehicle]の減速時には、モータは回生発電を行い、発電された電力によってバッテリユニット1が充電される。バッテリユニット1は、車両の外部から供給される電力によっても充電される。
【0012】
BEVの無充電航続可能距離は、バッテリユニットに蓄えられた電力(及び回生発電された電力)で決まる。そこで、より長い無充電航続可能距離のニーズに応えるには、より多くの充電容量のバッテリユニットを搭載する必要がある。充電容量が多いほど、バッテリユニットの体積は大きくなる。従って、BEVのバッテリユニットは、後席の下方空間に搭載されることが多い。内燃機関のないBEVの場合は排気管や燃料タンクのための空間も利用できるので、後席の下方には大きな空間を確保しやすい。
【0013】
本実施形態のバッテリユニット1は、後席の下方空間のみならず、車室[passenger compartment]の床下全体を占めている。即ち、バッテリユニット1は、前輪及び後輪(フロントホイールハウス及びリアホイールハウス)の間で、かつ、一対のサイドシル2の間に搭載されている。バッテリユニット1は単位体積あたりの重量が重いので、このようなバッテリユニット1の搭載位置は、車両の重心位置を低くして車両運動性能を向上させる。
【0014】
バッテリユニットは、高電圧電力を出力できる強電部品[high voltage device]である。このため、その強電システムには、高電圧回路(電力回路)を安全に遮断するディスコネクトプラグが設けられる。多くの場合、ディスコネクトプラグは電力源であるバッテリユニットに設けられる。本実施形態でも、ディスコネクトプラグ6がバッテリユニット1に設けられている。ディスコネクトプラグ6については追って詳しく説明する。
【0015】
一方、前突[frontal collision]時の後席乗員のいわゆるサブマリン挙動[submarining motion]を防止するために、後席のシートクッション下方の金属製のフロアパネルからは、アンチサブマリン突起[anti-submarining protrusion]が上方に突出される。この突起は、横方向に延在する部材(アンチサブマリンバー[anti-submarining bar])で構成されたり、シートクッション下方のフロアパネルに形成された膨出部[bulge]で構成されたりする。本実施形態では、シートクッション3下方のフロアパネル4から上方に突出された膨出部5として形成されている。
【0016】
膨出部5の上にはシートクッション3が載せられ、膨出部5はシートクッション3の前部分内に位置する。前突時に乗員の臀部が慣性力で前方に移動するサブマリン挙動を、この膨出部5が防止する。膨出部5の後方壁[rear wall]の傾斜面[ramp]がシートクッション3を介して乗員の臀部の前方移動を規制する。サブマリン挙動の抑止によってシートベルトによる拘束が効果的に発揮される。
【0017】
本実施形態では、前席の運転席及び助手席はセパレートシートであるが、後席はベンチシートであり三名の乗員が座ることができる。膨出部5は、このベンチシートの横幅に対応して横方向に延在している。即ち、膨出部5は、三名の着座位置の全てをカバーする横幅を有している。膨出部5の前方壁[front wall]の横方向中央には、ディスコネクトプラグ6へのアクセス用の開口部[opening]7が形成されている。前方に向けて開口された開口部7には、当該開口部7を塞ぐ金属製のリッド8がネジによって取り付けられる。
【0018】
バッテリユニット1は、その内部から膨出部5の内部へと立設されたプラグブラケット9を備えている。ディスコネクトプラグ6は、このプラグブラケット9の上部前面に脱着可能に取り付けられる。ディスコネクトプラグ6が手動で取り外されると、バッテリユニット1の高電圧回路(電力回路)が機械的に遮断される。ディスコネクトプラグ6は、強電部品の整備時に作業者によって取り外されたり、車両事故時に乗員を救出する際に取り外されたりする。
【0019】
プラグブラケット9は、樹脂製であり、射出成形によって形成されている。プラグブラケット9は、
図4に示されるように、バッテリユニット1の内部の下部ブラケット[lower bracket]9Lとバッテリユニット1の天板[top panel]1Uから突出された上部ブラケット[upper bracket]9Uとからなる。なお、
図4は、電線[electric harnesses]やディスコネクトプラグ6の詳細な内部構造を図示していない。
【0020】
下部ブラケット9Lと上部ブラケット9Uとは、バッテリユニット1の天板1Uを介して結合されている。具体的には、下部ブラケット9Lは、バッテリユニット1の内部に多数搭載されているバッテリモジュール1Mの上方(又は、上面上)に設けられたベースプレート10に固定されている。ベースプレート10は、ブラケット11を介してバッテリモジュール1M(及びバッテリユニット1のケース底)に固定されている。ベースプレート10の上面には、電子部品や配線も固定される。
【0021】
下部ブラケット9Lの上面に、上部ブラケット9Uの底面(フランジ)が載せられ、この面が天板1Uの下面に接する。上部ブラケット9Uのフランジ以外の部分は、天板1Uに形成された孔から上方に突出される。バッテリユニット1が下方から車体(サイドシル2等)に取り付けられると、上部ブラケット9Uの上部は膨出部5の内部に進入する。天板1U上には樹脂製(又は金属製)のリテーナ12が取り付けられる。リテーナ12は、天板1Uを挟み込んで、下部ブラケット9Lの上面及び上部ブラケット9Uのフランジとネジで固定される。
【0022】
ディスコネクトプラグ6は、レバー6Lを有しており、その取り外しはレバー6Lの操作によって行なわれる。レバー6Lが横方向に揺動されるように、ディスコネクトプラグ6はプラグブラケット9に取り付けられている。即ち、レバー6Lが横方向に揺動されるように、ディスコネクトプラグ6は配向されている[oriented]。さらに言い換えれば、レバー6Lの揺動軸は実質的に垂直である。ここで、「実質的に垂直」とは水平面に対して0°~30°のことを言う。レバー6Lにはロック機構が組み込まれてもよい。また、ディスコネクトプラグ6にはヒューズが組み込まれてもよい。
【0023】
図1に示されるように、シートクッション3の前面下方のトリム部[trim]13には、開口部7(リッド8)を覆う開閉可能なカバー14が設けられている。カバー14は、上下に[vertically]開閉可能とされている。本実施形態では、カバー14の上縁がヒンジであり、上方に開かれる。また、トリム部13は柔軟性のある布材[cloth material]であり、閉状態はジッパー[slide fastener]やベロクロテープ[Velcro tape]で維持される。なお、ヒンジが上に位置しているため、ジッパーなどを閉め損ねてもカバー14は自重で閉じる。従って、開口部7(リッド8)は見えない。また、カバー14は、乗員の視線の方向とは逆方向に配向されている。従って、カバー14によって、内装は美麗な外観を提供し、ディスコネクトプラグ6へのアクセス部を隠す。なお、トリム部13は樹脂パネルでもよい。この場合、カバー14は、樹脂ヒンジ[plastic hinge]及び係止爪を有し、係止爪で閉状態が維持されてもよい。
【0024】
ディスコネクトプラグ6の取り外し操作について説明する。カバー14を開いて、リッド8を取り外す。整備時にはネジを外してリッド8を取り外す。乗員救出時にはバールなどを用いてリッド8を強制的に取り外すことも可能である。次に、開口部7に手を入れてレバー6Lを横方向に90°揺動する。その後、レバー6Lを引っ張ることでディスコネクトプラグ6は取り外され、開口部7を通して取り出すことができる。このようにして、高電圧システムを遮断することができる。
【0025】
このとき、ディスコネクトプラグ6には、車室内に露出しているトリム部13から容易にアクセスすることができる。トリム部13の前方には後席乗員のレッグスペースがあるため、開口部7にも容易にアクセスでき、作業スペースも十分である。ディスコネクトプラグ6にアクセスするために後席(ベンチシート)のシートクッション3を取り外す必要もない。また、ディスコネクトプラグ6はベンチシートの横方向の中央下方に配置されているので、整備作業や救出作業時には、車両の左側からでも右側からでも容易にアクセスできる。特に、救出作業時には、何れかの側からしかアクセスできないこともあり、ディスコネクトプラグ6の配置はこの点で重要である。
【0026】
また、何らかの理由でリッド8が外されたままとなっていた場合、後席に座った乗員がディスコネクトプラグ6を見つける場合も想定され得る。(ただし、上述したようにカバー14は自重で閉じるため、開口部7は見つけられにくい。)その場合でも、開口部7より奥に位置するレバー6Lの操作方向が横方向であるため、後席に座っている乗員はレバー6Lを容易に操作できない。操作方向が縦方向[vertical direction](特に上方向)であると後席に座った乗員でも操作し得てしまうが、本実施形態では、誤操作防止[anti-tamper]のために操作方向が横方向にされている。
【0027】
図5に、上記実施形態の変形例を示す。BEVの場合、充電容量(無充電航続可能距離)の異なるグレードが用意される場合がある。充電容量が多いほど、即ち、多くのバッテリモジュール1Mを搭載するほど車両価格は高くなる。そこで、ユーザの要望に応じた複数の充電容量(モデル/グレード)が用意される。この場合、一つのバッテリモジュール1Mの容量を増やすことも考えられるが、バッテリユニット1の内部に搭載するバッテリモジュール1Mの数を増やすことで対応できる。バッテリモジュール1Mの数を増やすには搭載スペースが必要であるが、床下スペースは限られており、後席下方にスペースを確保しやすい。
【0028】
本変形例は、バッテリユニット1の後部の内部構成を変えて、バッテリモジュール1Mの数を増やしている。具体的には、バッテリモジュール1Mを重ねて[stack]いる。この場合でも、フロアパネル4やディスコネクトプラグ6の配置は変えられない。ディスコネクトプラグ6に関しては、
図4に示される実施形態に対して、下部ブラケット9Lの変更のみで対応することが可能である。プラグブラケット9が下部ブラケット9Lと上部ブラケット9Uとに分割できるため、上部ブラケット9Uは共用できる。
【0029】
なお、この場合、ベースプレート10も廃止される。下部ブラケット9Lは、その高さが低く、ブラケット11を介して重ねられたバッテリモジュール1Mに固定されている。上部ブラケット9Uやリテーナ12には何らの変更も必要ない(取付位置や取付構造を含む)。
【0030】
本実施形態では、後席のシートクッション3とバッテリユニット1との間のフロアパネル4から膨出部5が上方に突出されている。また、バッテリユニット1の内部から膨出部5の内部へとプラグブラケット9が立設されており、ディスコネクトプラグ6がプラグブラケット9の前面に脱着可能に取り付けられている。膨出部5の前方壁には開口部7が前方に向けて開口され、シートクッション3の前面下方のトリム部13にはカバー14が設けられている。従って、車内に露出しているトリム部13から、カバー14及び開口部7を介してディスコネクトプラグ6に容易にアクセスすることができる。この際に、後席のシートクッション3を取り除く必要はない。
【0031】
また、ディスコネクトプラグ6は、そのレバー6Lが横方向に揺動されるようにプラグブラケット9に取り付けられている。従って、後席に座っている乗員は、開口部7より奥に位置するレバー6Lを容易に操作できず、ディスコネクトプラグ6(レバー6L)の誤操作を防止できる。
【0032】
また、ディスコネクトプラグ6が後席(ベンチシート)の中央下方に位置されている。従って、ディスコネクトプラグ6を外す整備作業や救出作業に際して車両の左側及び右側の何れからでもディスコネクトプラグ6にアクセスしやすく、作業性が向上する。特に、救出作業時には、何れか一方の側からしかアクセスできないこともあり確実に作業を行える。
【0033】
ここで、膨出部5が、ベンチシート(後席)の横幅に対応して横方向に延在している。即ち、乗員のサブマリン挙動を防止する膨出部5が、ベンチシートの全ての乗員をカバーするように形成されている。このため、膨出部5がフロアパネル4に形成されたビードとして機能し、フロアパネル4が側突[side impact]時などの側方荷重に有効に対抗でき、バッテリユニット1の保護に有効である。また、膨出部5の内部に配されたディスコネクトプラグ6(及び、プラグブラケット9の上部)は、側突時の車体変形によりフロアパネル4との相対位置が変わっても、膨出部5が幅方向に延在しているのでフロアパネル4と干渉することはなく損傷しない。
【0034】
さらに、プラグブラケット9が下部ブラケット9Lと上部ブラケット9Uとからなり、下部ブラケット9Lと上部ブラケット9Uとはバッテリユニット1の天板1Uを介して結合されている。従って、バッテリユニット1に搭載されるバッテリモジュール1Mの数を変更する際に、下部ブラケット9Lを置き換えるだけで容易に対応することができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、電気自動車は、バッテリ電気自動車(BEV)でなく、ハイブリッド電気自動車(HEV:PHEVを含む)であってもよい。また、上記実施形態では、プラグブラケット9が、下部ブラケット9L及び上部ブラケット9Uとで構成された。しかし、プラグブラケット9は、一体的に[monolithically]射出成形されてもよい。この場合、上部ブラケット9Uに対応する第1成形金型と下部ブラケット9Lに対応する第2成形金型が使用される。ここで、第2成形金型のみを二種類用意するだけで、
図4に示されるプラグブラケット9と
図5に示されるプラグブラケット9とを成形できる。即ち、第1金型は共用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 バッテリユニット
1U (バッテリユニット1の)天板
3 (後席の)シートクッション
4 フロアパネル
5 膨出部
6 ディスコネクトプラグ
6L (ディスコネクトプラグ6の)レバー
7 開口部
9 プラグブラケット
9L 下部ブラケット
9U 上部ブラケット
13 (シートクッション3下方の)トリム部
14 カバー