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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】原子炉用パッシブ格納容器冷却システム
(51)【国際特許分類】
   G21D 5/00 20060101AFI20240725BHJP
   G21C 13/00 20060101ALI20240725BHJP
   G21C 15/18 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G21D5/00
G21C13/00 200
G21C15/18 L
G21C15/18 T
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022537149
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2020066581
(87)【国際公開番号】W WO2021133787
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】16/726,355
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ハインズ,デイビッド エイチ.
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-501811(JP,A)
【文献】特開2007-051929(JP,A)
【文献】特表2001-513895(JP,A)
【文献】特開2015-141175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 5/00
G21C 13/00
G21C 15/18
G21C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所であって、
原子炉と、
前記原子炉が配置される格納容器環境を少なくとも部分的に規定する1つ以上の内面を有する格納容器構造と、
パッシブ格納容器冷却システムであって、
冷却液を保持するように構成された冷却剤容器、
冷却剤チャンネルが前記冷却剤チャンネルの底部の冷却剤チャンネル入口から前記冷却剤チャンネルの上部の冷却剤チャンネル出口まで垂直に延設されるように、前記格納容器構造に連結された前記冷却剤チャンネル、
前記冷却剤容器の下方領域に開放した冷却剤供給導管の入口から下方に延設される前記冷却剤供給導管であって、前記冷却剤供給導管の出口は、前記冷却剤チャンネル入口に連結されて、前記冷却剤供給導管が、重力に従って前記冷却液の流動を前記冷却剤容器の前記下方領域から出て前記冷却剤チャンネル入口を介して前記冷却剤チャンネルの前記底部内まで下方に方向づけるように構成され、前記冷却液が、少なくとも前記格納容器構造を介して前記格納容器環境における前記原子炉から遮断された熱を吸収することに基づき、前記冷却液が、前記冷却液の浮力の変化に応じて、前記冷却剤チャンネルの前記底部から前記冷却剤チャンネルの前記上部まで前記冷却剤チャンネルを通じて上昇するようにする前記冷却剤供給導管、及び
前記冷却剤チャンネルの前記上部で前記冷却剤チャンネル出口に連結された入口を有する冷却剤返却導管であって、前記冷却剤返却導管は、前記冷却剤返却導管の前記入口から前記冷却剤容器の前記下方領域上方の前記冷却剤容器の上方領域に開放した前記冷却剤返却導管の出口まで上方に延設されて、前記冷却剤チャンネルの前記底部における前記冷却液の浮力を超えて前記冷却剤チャンネルの前記上部における前記冷却液の浮力が上昇したことに応じて、前記冷却液の流動を、前記冷却剤チャンネルの前記上部から出て前記冷却剤チャンネル出口を介して前記冷却剤容器の前記上方領域内まで上昇するように方向付けるように構成される前記冷却剤返却導管を備える前記パッシブ格納容器冷却システムと、
前記冷却剤容器の前記冷却液の上面下に第1の垂直方向深さに設けられ、前記冷却剤チャンネルを通じて前記冷却剤容器と流体連通し、前記格納容器環境と流体連通した第1の逆止弁アセンブリと、を備え、
前記第1の逆止弁アセンブリは、第1の逆止弁アセンブリ入口と第1の逆止弁アセンブリ出口との間に連結された1つ以上の逆止弁を備え、前記第1の逆止弁アセンブリ入口は、前記格納容器環境に向かって開放され、前記第1の逆止弁アセンブリ出口は、前記冷却剤チャンネルを通じて、前記冷却剤容器と流体連通し、
前記1つ以上の逆止弁は、前記1つ以上の逆止弁の入口の圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、前記第1の閾値の大きさは、少なくとも部分的に、前記第1の垂直方向深さにおける前記第1の逆止弁アセンブリ出口での前記冷却液の静水圧に対応し、
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記第1の垂直方向深さにおける前記第1の逆止弁アセンブリ出口での前記格納容器環境の圧力が、前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、前記1つ以上の逆止弁が開放することに基づき、前記格納容器環境から前記第1の逆止弁アセンブリ出口を介して前記冷却剤容器へ、前記冷却剤チャンネルを通じ、前記第1の逆止弁アセンブリ出口及び前記冷却剤チャンネルを介した格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にするように構成される原子力発電所。
【請求項2】
前記第1の閾値の大きさは、前記冷却剤容器が参照容器深さまで充填された結果である前記冷却剤容器内の前記冷却液の前記上面下方の前記第1の垂直方向深さにおける前記冷却液の参照静水圧を上回る請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項3】
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記一方向の流動を選択的に可能にした後、前記第1の逆止弁アセンブリ入口における前記格納容器環境の前記圧力が前記第1の閾値の大きさを下回ったことに応じて、前記1つ以上の逆止弁が閉鎖することに基づき、前記格納容器流体の前記一方向の流動を禁じるように構成される請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項4】
前記1つ以上の逆止弁は、前記第1の逆止弁アセンブリ入口と前記第1の逆止弁アセンブリ出口との間に複数の逆止弁の直列接続を含み、
前記複数の逆止弁のうちの各逆止弁は、前記逆止弁の入口における圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記複数の逆止弁の前記直列接続のうちのすべての逆止弁が開放することに基づき、前記一方向の流動を選択的に可能にするように構成される請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項5】
前記1つ以上の逆止弁は、前記第1の逆止弁アセンブリ入口と前記1つ以上の逆止弁アセンブリ出口との間に1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続を含み、
前記1つ以上の逆止弁の複数組のうち各逆止弁は、前記逆止弁の入口における圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記1つ以上の逆止弁の複数組の前記並列接続のうちの1つ以上の逆止弁の任意の組に基づき、前記一方向の流動を選択的に可能にするように構成される請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項6】
前記第1の逆止弁アセンブリ入口と前記1つ以上の逆止弁アセンブリ出口との間の1つ以上の逆止弁の各別個のセットは、前記第1の逆止弁アセンブリ入口と前記第1の逆止弁アセンブリ出口との間に逆止弁の直列接続を備え、
逆止弁の各直列接続のうちの各逆止弁は、前記逆止弁の入口における圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、
前記第1の逆止弁アセンブリは、逆止弁の少なくとも1つの直列接続のうちのすべての逆止弁が開放したことに基づき、前記一方向の流動を選択的に可能にするように構成される請求項5に記載の原子力発電所。
【請求項7】
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記1つ以上の逆止弁の前記入口と前記第1の逆止弁アセンブリ入口とに直列に連結された破裂ディスクを備え、前記破裂ディスクは、前記第1の逆止弁アセンブリ入口における前記格納容器環境の圧力が特定の設定点圧力の大きさ以上になったことに応じて、破裂するように構成される請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項8】
前記冷却剤容器内の前記冷却液の上面下方の第2の垂直方向深さに設けられ、前記冷却剤チャンネルを通じて前記冷却剤容器と流体連通し、前記格納容器環境と流体連通し、前記第2の垂直方向深さは前記第1の垂直方向深さ未満である第2の逆止弁アセンブリをさらに備え、
前記第2の逆止弁アセンブリは、前記第2の逆止弁アセンブリの入口における格納容器環境の圧力が第2の閾値の大きさ以上となったことに応じて、前記第2の逆止弁アセンブリの1つ以上の逆止弁が開放することに基づき、前記格納容器環境から前記冷却剤容器まで前記冷却剤チャンネルを通じ、前記格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にするように構成され、前記第2の閾値の大きさは、前記第2の垂直方向深さにおける前記第2の逆止弁アセンブリの出口での前記冷却液の静水圧に少なくとも部分的に対応する請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項9】
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記格納容器構造を通じて前記第1の垂直方向深さにおける前記冷却剤チャンネル内まで延設され、前記第1の逆止弁アセンブリは、前記冷却剤チャンネルに開放し、
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記第1の逆止弁アセンブリ入口を介して前記格納容器環境から、前記第1の逆止弁アセンブリ出口を介して前記冷却剤チャンネルまで、前記格納容器流体の前記一方向の流動を選択的に可能にするように構成される請求項1に記載の原子力発電所。
【請求項10】
原子炉用パッシブ格納容器冷却システムの操作方法であって、
重力に応じて、冷却剤容器の下方領域を出て冷却剤供給導管を介し、前記原子炉が配置される格納容器環境を少なくとも部分的に規定する格納容器構造に沿って垂直方向に延設された冷却剤チャンネルの底部まで下方に向かって冷却液の流動を方向付けることと、
前記冷却液が少なくとも前記格納容器構造を介して前記格納容器環境内の前記原子炉から遮断された熱を吸収したことに基づき、前記冷却液の浮力の変化に応じて、前記冷却剤チャンネルの前記底部から前記冷却剤チャンネルの上部を介して前記冷却剤容器の上方領域に向かって、前記冷却剤チャンネルを通じて前記冷却液を上昇させることと、
前記格納容器環境から前記冷却剤チャンネルを通じて前記冷却剤容器まで、前記冷却剤容器内の前記冷却液の上面下方の第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリを介し、さらに前記冷却剤チャンネルを介して、格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にすることと、をさらに備え、
前記第1の逆止弁アセンブリは、前記冷却剤チャンネルを通じて前記冷却剤容器と流体連通し、前記格納容器環境に流体連通し、前記選択的に可能にすることは、前記第1の逆止弁アセンブリの1つ以上の逆止弁の入口における圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、前記1つ以上の逆止弁が開放することに基づき、前記第1の閾値の大きさは、少なくとも部分的に、前記第1の垂直方向深さにおける前記第1の逆止弁アセンブリの出口における前記冷却液の静水圧に対応する方法。
【請求項11】
前記第1の閾値の大きさは、前記冷却剤容器が参照容器深さまで充填された結果である前記冷却剤容器内の前記冷却液の前記上面下方の前記第1の垂直方向深さにおける前記冷却液の参照静水圧を上回る請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一方向の流動を選択的に可能にした後、前記第1の逆止弁アセンブリの入口における前記格納容器環境の前記圧力が前記第1の閾値の大きさを下回ったことに応じて、前記1つ以上の逆止弁が閉鎖することに基づき、前記一方向の流動を禁じることをさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の逆止弁は、前記第1の逆止弁アセンブリの入口と前記第1の逆止弁アセンブリの前記出口との間に複数の逆止弁の直列接続を含み、
前記複数の逆止弁のうちの各逆止弁は、前記逆止弁の入口における圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、
前記選択的に可能にすることは、前記複数の逆止弁の前記直列接続のうちのすべての逆止弁が開放することに基づく請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の逆止弁は、前記第1の逆止弁アセンブリの入口と前記1つ以上の逆止弁アセンブリ出口との間に1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続を含み、
前記1つ以上の逆止弁の複数組のうち各逆止弁は、前記逆止弁の入口における圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成され、
前記選択的に可能にすることは、前記1つ以上の逆止弁の前記複数組の前記並列接続のうちの1つ以上の逆止弁の任意の組に基づく請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記選択的に可能にすることは、前記第1の垂直方向深さにおける前記第1の逆止弁アセンブリの前記入口での圧力が前記第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、前記1つ以上の逆止弁の前記入口と前記第1の逆止弁アセンブリの入口とに直列に連結された破裂ディスクが破裂することに基づく請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の例としての実施形態は、原子炉全般に関し、特に、原子炉格納容器のパッシブ冷却の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉は、原子炉内又は原子炉付近に循環される1つ以上の冷却液への伝熱によって冷却されるように構成され得る。このような伝熱は、本明細書中、原子炉による熱遮断とも称され得る。種々の冷却液を利用して、原子炉から熱を除去し得る。冷却液は、水、液体金属、溶融塩、気体状物質、これらの何らかの組み合わせ等を含む、1つ以上の種々の物質を含む流体であり得る。
【0003】
原子力発電所によっては、冷却液が原子炉によって遮断された熱を吸収する原子炉内のポイントまで、水等の冷却液の循環を促進することによって、原子炉による熱遮断を管理するために、原子炉は、本明細書中、単に「格納容器」とも称される格納容器システムを備えるが、加熱された冷却液はその後、ヒートリターン又はヒートシンクまで循環され、ここで加熱された冷却液は、冷却されて、吸収した熱を放射する。原子力発電所によっては、格納容器システムは、例えば、発電等の仕事を誘発するように使用される動力冷却剤ループの伝熱能力を超えた熱遮断による影響を受け得る。したがって、格納容器システムは、冷却を利用して、格納容器システム温度を管理するか、格納容器システムが認められた温度を超過するのを防ぎ得る。
【0004】
原子力発電所によっては、原子炉は、原子炉が配置され得る格納容器環境内の温度及び/又は圧力のエクスカーションを経験し得る。格納容器環境内の温度及び/又は圧力は、原子炉の性能及び/又は保全に影響するように制御され得る。原子力発電所によっては、このような温度及び/又は圧力制御は、格納容器環境の圧力解放及び/又は冷却を管理する種々の制御システムを通じて実施され得る。このような制御システムは、コンピュータ実装機能及び/又はオペレータ制御機能を利用し得るため、電力、オペレータ操作、これらの組み合わせ等を消費し得る。また、格納容器環境内の圧力制御には、格納容器環境から流体を解放することが含まれ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの例としての実施形態によると、原子力発電所は、原子炉と、原子炉が配置される格納容器環境を少なくとも部分的に規定する1つ以上の内面を有した格納容器構造と、パッシブ格納容器冷却システムとを備えてもよい。パッシブ格納容器冷却システムは、冷却液を保持するように構成された冷却剤容器と、格納容器構造に連結されて、冷却剤チャンネルが冷却剤チャンネルの底部における冷却剤チャンネル入口から冷却剤チャンネル上部における冷却剤チャンネル出口まで垂直方向に延設されるようにする冷却剤チャンネルと、冷却剤容器の下方領域に開放する冷却剤供給導管の入口から下方に延設された冷却剤供給導管とを備えてもよい。冷却剤供給導管の出口は、冷却剤チャンネル入口に連結され、冷却剤供給導管が重力によって冷却剤容器の下方領域から出て冷却剤チャンネル入口を介して冷却剤チャンネルの底部内に向かって下方に冷却液の流動を方向付けるように構成され、冷却液が格納容器環境内の原子炉から遮断された熱を吸収したことに基づき、冷却液の浮力の変化に応じて、冷却剤チャンネルを通じて冷却剤チャンネルの底部から冷却剤チャンネルの上部まで上昇するようにしてもよい。パッシブ格納容器冷却システムは、冷却剤チャンネルの上部において冷却剤チャンネル出口に連結された入口を有する冷却剤返却導管を備えてもよい。冷却剤返却導管は、冷却剤返却導管の入口から、冷却剤容器の下方領域上方の冷却剤容器の上方領域に開放する冷却剤返却導管の出口まで上方に延設され、冷却剤返却導管が、冷却剤チャンネルの底部における冷却液の浮力を超えて冷却剤チャンネルの上部における冷却液の浮力が上昇したことに応じて冷却剤チャンネル出口を介して冷却剤チャンネルの上部から出て冷却剤容器の上方領域内に向かって冷却液の流動を上昇させるように方向付けるよう構成されるようにしてもよい。
【0006】
パッシブ格納容器冷却システムは、冷却剤容器内の冷却液の上面下方の第1の垂直方向高さに、冷却剤容器と格納容器環境とに流体連通した第1の逆止弁アセンブリを備えてもよい。第1の逆止弁アセンブリは、第1の逆止弁アセンブリ入口と第1の逆止弁アセンブリ出口との間に連結された1つ以上の逆止弁を備えてもよい。第1の逆止弁アセンブリ入口は、冷却剤容器と流体連通してもよい。1つ以上の逆止弁は、1つ以上の逆止弁の入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成されてもよく、第1の閾値の大きさは、第1の垂直方向高さにおける逆止弁アセンブリ出口での冷却液の静水圧に少なくとも部分的に対応してもよい。第1の逆止弁アセンブリは、第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリ入口での格納容器環境内の圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、1つ以上の逆止弁が開放することに基づき、第1の逆止弁アセンブリ入口を介して格納容器環境から、第1の逆止弁アセンブリ出口を介して冷却剤容器まで、格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよい。
【0007】
第1の逆止弁アセンブリは、格納容器構造を通じて、第1の垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル内まで延設されてもよく、第1の逆止弁アセンブリは、冷却剤チャンネルに開放して、第1の逆止弁アセンブリが冷却剤チャンネルを通じて冷却剤容器と流体連通するようにしてもよい。第1の逆止弁アセンブリは、第1の逆止弁アセンブリ入口を介して格納容器環境から、第1の逆止弁アセンブリ出口を介して冷却剤チャンネルまで、格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよい。
【0008】
第1の閾値の大きさは、冷却剤容器が参照容器深さまで充填された結果である冷却剤容器の底部下方の第1の垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル内の冷却液の参照静水圧を上回り、第1の垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル内の冷却液の参照静水圧が、第1の垂直方向深さと参照容器深さとの合計である特定の垂直方向深さにおける冷却液の静水圧に等しくなるようにしてもよい。
【0009】
第1の逆止弁アセンブリは、一方向の流動を選択的に可能にした後、第1の逆止弁アセンブリ入口における格納容器環境の圧力が第1の閾値の大きさを下回ったことに応じて、1つ以上の逆止弁が閉鎖することに基づき、格納容器流体の一方向の流動を禁じるように構成されてもよい。
【0010】
1つ以上の逆止弁は、第1の逆止弁アセンブリ入口と第1の逆止弁アセンブリ出口との間に複数の逆止弁の直列接続を備えてもよい。複数の逆止弁のうちの各逆止弁は、逆止弁の入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成されてもよい。第1の逆止弁アセンブリは、複数の逆止弁の直列接続のうちのすべての逆止弁が開放することに応じて、一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよい。
【0011】
1つ以上の逆止弁は、第1の逆止弁アセンブリ入口と1つ以上の逆止弁アセンブリ出口との間に1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続を備えてもよい。1つ以上の逆止弁の複数組のうちの各逆止弁は、逆止弁の入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成されてもよい。第1の逆止弁アセンブリは、1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続のうち1つ以上の逆止弁の任意の組に基づき、一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよい。
【0012】
第1の逆止弁アセンブリは、1つ以上の逆止弁に直列に連結された破裂ディスクを備えてもよい。破裂ディスクは、特定の(或いは、事前に定められた)閾値(例えば、「設定点」)の圧力の大きさまで格納容器環境内で圧力が増加したことに応じて破裂することで、入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったとき、格納容器流体の圧力が、格納容器流体の流動を許容する第1の逆止弁アセンブリの入口に達するようにしてもよい。
【0013】
原子力発電所は、冷却剤容器内の冷却液の上面下方の第2の垂直方向高さに第2の逆止弁アセンブリを備えてもよい。第2の逆止弁アセンブリは、冷却剤容器と格納容器環境とに流体連通してもよい。第2の垂直方向深さは、第1の垂直方向深さ未満であってもよい。第2の逆止弁アセンブリは、第2の逆止弁アセンブリの入口での格納容器環境の圧力が第2の閾値の大きさ以上になったことに応じて、第2の逆止弁アセンブリの1つ以上の逆止弁が開放することに基づき、格納容器環境から冷却剤容器まで格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよい。第2の閾値の大きさは、第2の垂直方向深さにおける第2の逆止弁アセンブリの出口での冷却液の静水圧に少なくとも部分的に対応してもよい。
【0014】
原子力発電所は、冷却剤容器内の冷却液の上面下方の底面垂直方向高さにおいて、冷却剤容器と格納容器環境とに流体連通した可溶栓をさらに備えてもよい。底部垂直方向深さは、第1の垂直方向深さよりも大きく、底部垂直方向深さにおける冷却液の静水圧が第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリ出口での冷却液の静水圧を上回るようにしてもよい。可溶栓は、格納容器環境に開放する可溶栓の端部における格納容器環境における温度が閾値温度以上になったことに応じて、少なくとも部分的に溶解し、可溶栓が、冷却液の少なくとも一部で格納容器環境を少なくとも部分的に浸水させるために、冷却剤容器との間で格納容器環境内まで延設された流動導管を露出させるようにしてもよい。
【0015】
第1の逆止弁アセンブリは、第1の逆止弁アセンブリ入口における格納容器環境内の圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にしたことに基づき、可溶栓が少なくとも部分的に溶解したことに応じて、露出した流動導管を通じて格納容器環境内に冷却液の流動を可能にするために、底部垂直方向深さにおける冷却液の静水圧を下回る大きさに、底部垂直方向深さにおける格納容器環境内の圧力を維持するように構成されてもよい。
【0016】
第1の逆止弁アセンブリと可溶栓とは、可溶栓を介して底部垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル又は他の冷却剤経路設定通路から格納容器環境まで、及び第1の逆止弁アセンブリを介して第1の垂直方向深さにおける格納容器環境から冷却剤チャンネル又は他の冷却剤経路設定通路まで、格納容器環境内の冷却液の循環を可能にするようにまとめて構成されてもよい。
【0017】
いくつかの例としての実施形態によると、原子炉用パッシブ格納容器冷却システムの操作方法は、重力に応じて、冷却剤容器の下方領域を出て冷却剤供給導管を介し、原子炉が配置される格納容器環境を少なくとも部分的に規定する格納容器構造に沿って垂直方向に延設された冷却剤チャンネルの底部まで下方に向かって冷却液の流動を方向付けることと、冷却液が少なくとも格納容器構造を介して格納容器環境内の原子炉から遮断された熱を吸収したことに基づき、冷却液の浮力の変化に応じて、冷却剤チャンネルの底部から冷却剤チャンネルの上部を介して冷却剤容器の上方領域に向かって、冷却剤チャンネルを通じて冷却液を上昇させることを備えてもよい。
【0018】
この方法は、冷却剤容器内の冷却液の上面下方の第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリを介して格納容器環境から冷却剤容器まで格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にすることをさらに含み、第1の逆止弁アセンブリは、冷却剤容器と格納容器と流体連通してもよい。選択的に可能にすることは、1つ以上の逆止弁の入口における圧力が第1の閾値大きさ以上になったことに応じて、第1の逆止弁アセンブリの1つ以上の逆止弁が開放することに基づいてもよい。第1の閾値の大きさは、第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリの出口での冷却液の静水圧に少なくとも部分的に対応してもよい。
【0019】
第1の閾値の大きさは、冷却剤容器が参照容器深さまで充填された結果である冷却剤容器内の冷却液の上面下方の第1の垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル内の冷却液の参照静水圧を上回り、第1の垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル内の冷却液の参照静水圧が、第1の垂直方向深さと参照容器深さとの合計である特定の垂直方向深さにおける冷却液の静水圧に等しくなるようにしてもよい。
【0020】
この方法は、一方向の流動を選択的に可能にした後、第1の逆止弁アセンブリの入口における格納容器環境の圧力が第1の閾値の大きさを下回ったことに応じて、1つ以上の逆止弁が閉鎖したことに基づき、一方向の流動を禁じることをさらに備えてもよい。
【0021】
1つ以上の逆止弁は、第1の逆止弁アセンブリの入口と第1の逆止弁アセンブリの出口との間に複数の逆止弁の直列接続を含んでもよい。複数の逆止弁のうちの各逆止弁は、逆止弁の入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成されてもよい。選択的に可能にすることは、複数の逆止弁の直接接続におけるすべての逆止弁が開放することに基づいてもよい。
【0022】
1つ以上の逆止弁は、第1の逆止弁アセンブリの入口と1つ以上の逆止弁アセンブリ出口との間に1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続を含んでもよい。1つ以上の逆止弁の複数組のうちの各逆止弁は、逆止弁の入口における圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて開放するように構成されてもよい。選択的に可能にすることは、1つ以上の逆止弁の複数組の並列接続のうちの1つ以上の逆止弁の任意の組に基づいてもよい。
【0023】
選択的に可能にすることは、第1の垂直方向深さにおける第1の逆止弁アセンブリの入口での圧力が第1の閾値の大きさ以上になったことに応じて、例えば、1つ以上の逆止弁の入口と第1の逆止弁アセンブリの入口との間で1つ以上の逆止弁と直列に連結された破裂ディスクが破裂したことに基づいてもよい。
【0024】
この方法は、格納容器環境に開放した可溶栓の端部における格納容器環境内の温度が閾値温度以上になったことに応じて、底部垂直方向において冷却剤容器と格納容器環境とに流体連通した可溶栓が少なくとも部分的に溶解して流動導管を露出させることに基づき、格納容器環境を少なくとも部分的に浸水させるために、冷却剤容器内の冷却液の上面下方の底部垂直方向深さにおける冷却液の少なくとも一部を、底部垂直方向深さにおいて冷却剤容器と格納容器環境との間で露出した流動導管を介して格納容器環境内に流れ込むように方向付けることをさらに備えてもよい。
【0025】
第1の逆止弁アセンブリは、一方向の流動を選択的に可能にすることに基づき、可溶栓が少なくとも部分的に溶解することに応じて、露出した流動導管を通じて格納容器環境内への冷却液の流動を可能にするために、底部垂直方向深さにおける冷却液の静水圧未満の大きさに、底部垂直方向深さにおける格納容器環境内の圧力を維持してもよい。
【0026】
第1の逆進弁アセンブリと前記可溶栓とは、底部垂直方向深さにおける冷却剤チャンネル又は他の冷却剤経路設定通路から可溶栓を介して格納容器環境まで、及び第1の垂直方向深さにおける格納容器環境から第1の逆止弁アセンブリを介して冷却剤チャンネル又は他の冷却剤経路設定通路まで、格納容器環境内の冷却液の循環をまとめて可能にしてもよい。
【0027】
本明細書中の非限定的な実施形態の種々の特徴及び効果は、添付の図面と併せた詳細な説明を検討することにより、さらに明らかとなるであろう。添付の図面は、単に例示を目的として提供されるものであり、請求の範囲を限定するものと解釈されてはならない。添付の図面は、明示のない限り、縮尺を表すものと考えられてはならない。明確さのため、図中の種々の寸法が強調されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、いくつかの例としての実施形態に係る、格納容器通気システムと格納容器浸水システムとをさらに備えたパッシブ格納容器冷却システムを備える原子力発電所の横断面概略側面図である。
図2図2A図2Cは、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Aの拡大図である。
図3図3は、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Aの拡大図である。
図4図4は、いくつかの例としての実施形態に係る、パッシブ格納容器冷却システムの操作の方法を示すフローチャートである。
図5図5は、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Bの拡大図である。
図6図6は、いくつかの例としての実施形態に係る、格納容器内に一体化された1つ以上の冷却剤チャンネルを備えたパッシブ格納容器冷却システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
要素又は層が他の要素又は層「の上」、他の要素又は層「に接続される」、他の要素又は層「に連結される」、又は他の要素又は層「を被覆する」と言及されるとき、それは、他の要素又は層の上に直接、他の要素又は層に直接接続される、他の要素又は層に直接連結される、又は他の要素又は層を直接被覆するということであってもよく、又は介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、要素が他の要素又は層「の上に直接」、他の要素又は層「に直接接続される」、又は他の要素又は層「に直接連結される」と言及されるとき、介在する要素又は層は存在しない。明細書全体を通して、同様の数字で同様の要素について言及する。本明細書において使用される「及び/又は」という用語には、挙げられた関連項目のうちの1つ以上の任意及びすべての組み合わせが含まれる。
【0030】
本明細書中、種々の要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを記述するため、第1の、第2の、第3の等の用語を使用するが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は、単に、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを他の領域、層、又はセクションから区別するために使用されるものである。したがって、以下に検討される第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例としての実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションという用語で示し得る。
【0031】
空間的に相対的な用語(例えば、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」等)は、本明細書中、図に示させるように、他の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を記述する際の説明を容易にするために使用される。空間的に相対的な用語は、図中に描かれる向きに加え、使用中又は動作中の装置の異なる方向も包含することが意図されている旨、理解しなければならない。例えば、図中の装置が反転される場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」として記述される要素は、他の要素又は特徴の「上」の向きとなる。したがって、「下方」という用語は、上方及び下方の向きの双方を包含し得る。装置は、他の向きであってもよく(90°又は他の向きに回転される)、それに応じて本明細書中で使用される空間的に相対的な記述が解釈される。
【0032】
本明細書において使用される用語は、種々の実施形態を説明することのみを目的としており、例としての実施形態を限定することは意図されていない。本明細書において使用される単数形の不定冠詞又は定冠詞は、文脈上、明らかに否定する旨の記載のない限り、複数形も含むことが意図される。「含む」、「含んでいる」、「備える」、及び/又は、「備えている」という用語を本明細書中において使用するとき、言及される特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は、構成要素が存在することを特定するものの、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又は、これらの群の存在又は追加を除外するものでないことがさらに理解される。
【0033】
例としての実施形態は、本明細書中、例としての実施形態のうち理想化された実施形態(及び中間構造)の概略図である横断面図を参照して説明する。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として図示の形状から変動することも予期される。したがって、例としての実施形態は、本明細書中に示した領域の形状に限定されるものと理解されてはならず、例えば、製造の結果として生じる形状の変動も含み得るものである。例えば、矩形に示された移植領域は、通常、移植領域から非移植領域への2値的変化ではなく、そのエッジにおける丸い、又は湾曲した特徴及び/又は移植濃度の勾配を有するものである。同様に、移植によって形成された埋込領域は、結果として、埋込領域と移植が発生する表面との間の領域に何らかの移植を生じ得る。したがって、図面に示された領域は、性質上、概略的であり、それらの形状は、その装置の領域の実際の形状を示すことが意図されるものでなく、例としての実施形態の範囲を限定することが意図されるものでない。
【0034】
以下にさらに詳細に検討するユニット及び/又は装置とともに実装されてもよい動作の作用及び象徴的表現(例えば、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、ブロック図等の形態)を参照して、例としての実施形態を説明し得る。特定の方法で検討を行うが、特定のブロックに特定された機能又は動作は、フローチャート、フロー図等において特定されたフローとは異なって実施されてもよい。例えば、2つの連続的なブロックにおいて直列に実施されるものとして示された機能又は動作は、実際には、同時に実施されてもよく、場合によっては、逆の順に実施されてもよい。
【0035】
規定のない限り、本明細書中に使用される(技術用語及び科学的用語を含む)すべての用語は、例としての実施形態が属する技術分野の当業者にとって一般に理解されるのと同一の意味を有する。さらに、一般に使用される辞書に規定されるものを含む用語は、関連技術の文脈における意味と一貫した意味を有するものとして解釈されなければならず、本明細書中に明示的な規定のない限り、理想化したり、過度にフォーマルな意味として解釈されるものでない。
【0036】
特定の例及び図面を参照して説明するが、当業者によって、本記載に従い、例としての実施形態の変更、追加、及び置換が種々の方法でなされてよい。例えば、記載の技術は、記載の方法とは異なる順に実施されてもよく、及び/又は、記載のシステム、アーキテクチャ、装置、回路等の構成要素は、上述の方法とは異なるように接続又は組み合わせられてもよく、又は他の構成要素又は同等物によって結果がおおよそ達成されてもよい。
【0037】
本明細書において記載される「原子炉」は、核燃料要素、制御ロッド等の有無を問わず、炉心を含む、原子炉の周知の構成要素のいずれか又はすべてを含んでもよいことが理解される。本明細書において記載される原子炉には、沸騰水型原子炉(BWR)、加圧水型原子炉(PWR)、液体金属冷却原子炉、溶融塩原子炉(MSR)等を含むが、これに限定されない任意の種別の原子炉が含まれてもよいことが理解される。本明細書において記載されるとおり、原子炉は、高度沸騰水型原子炉(ABWR)、高経済性単純沸騰水型原子炉(ESBWR)、BWRX-300原子炉等が含まれてもよい。
【0038】
本明細書において記載される「冷却液」には、水、液体金属(例えば、液体ナトリウム)、ガス(例えば、ヘリウム)、溶融塩、これらの組み合わせ等を含む、原子力発電所、及び/又は、原子炉のいずれかの部品の冷却に使用されてもよい、いずれかの周知の冷却液が含まれてもよいことが理解される。本明細書において記載される「流体」には、気体、液体、又はこれらの任意の組み合わせが含まれてもよいことが理解される。
【0039】
本開示は、格納容器構造に連結され、冷却剤チャンネルの底部の冷却剤チャンネル入口から冷却剤チャンネルの上部の冷却剤チャンネル出口まで垂直方向に延設された1つ以上の冷却剤チャンネルを利用する独自のパッシブ格納容器冷却システムに関し、この場合、パッシブ格納容器冷却システムは、本明細書中、単に、「パッシブ格納容器冷却システム」とも称されるが、冷却液が格納容器環境内の原子炉から遮断された熱を吸収することに基づき、冷却液浮力が変化することに応じて、冷却液が、冷却剤チャンネルの底部から冷却剤チャンネルの上部まで、冷却剤チャンネルを通じて垂直方向に上昇するように流動を冷却剤チャンネルの底部内に方向付け、この場合、冷却剤チャンネルは、格納容器構造に連結される。パッシブ格納容器冷却システムは、重力に応じて、冷却剤容器から、冷却剤容器の下方領域に開放した冷却剤供給導管の入口から下方に延設された冷却剤供給導管を介し、冷却剤チャンネル入口に連結された冷却剤供給導管の出口まで、下方に(例えば、重力加速度の方向に)流動していることに基づき、冷却液を、冷却剤チャンネルの入口を介してその底部まで供給してもよい。さらに、パッシブ格納容器冷却システムは、冷却剤チャンネルの上部において冷却剤チャンネル出口に連結された入口を有し、冷却剤返却導管の入口から、冷却剤供給導管の入口が開放する冷却剤容器の下方領域上方にある冷却剤容器の上方領域に開放した冷却剤返却導管の出口まで、上方に延設された冷却剤返却導管を介して、加熱された冷却液の浮力の増加により、冷却剤容器の上方領域に冷却液を返却してもよい。
【0040】
結果として、パッシブ格納容器冷却システムは、原子炉から遮断された熱を吸収することによる浮力の増加により、冷却剤チャンネルから出て冷却剤容器内に戻るように、冷却液を上方に循環させてもよく、上昇している冷却液は、重力により、別個の冷却剤供給導管を介して、冷却剤チャンネルの底部に向かって下方に流動するより冷たい冷却液により、冷却剤チャンネルの底部で変位されてもよく、これにより格納容器環境から熱を取り除けるようにしてもよい。より冷たい冷却液が冷却剤容器の下方領域から方向付けられ、加熱された冷却液が、冷却剤容器のより高い上方領域内に方向づけられるため、加熱された冷却液は、原子炉から遮断された熱によって加熱されたため、冷たい冷却液より温かくなった結果として浮力が増加したため、冷却剤容器内のより冷たい冷却液の上方に留まり、冷却剤供給導管を通じて冷却剤チャンネルの底部まで落下するように方向付けられた冷却液が、冷却剤返却導管を介して冷却剤容器に返却される加熱された冷却液より冷たくなるようにしてもよい。したがって、加熱された冷却液は、冷却剤供給導管入口よりも冷却剤容器の底部からの高さの高いところで、冷却剤容器に向かって開放した冷却剤返却導管出口を介して、冷却剤容器に返却されてもよいことが理解される。したがって、原子炉によって遮断された熱を取り除くためのパッシブ格納容器冷却システムを通じて冷却剤容器に冷却剤を循環させることは、ここで冷却剤容器は少なくとも一時的なヒートシンクとして機能してもよいが、冷却液の流動を誘発又は維持するため、例えば、ポンプ等の流動発生器装置の動作により、又は、操作者の介入(例えば、1つ以上の装置を制御するための電気制御信号を発生する人、及び/又は、メモリに記憶された指示のプログラムを実行するプロセッサ等、処理回路を含む)に基づいて、循環が操作されない「パッシブ」なものであってもよい。したがって、パッシブ格納容器冷却システムは、原子炉の「パッシブ」冷却を提供することに基づき、原子力発電所を動作させるためのエネルギー消費を低減することに基づいて原子力発電所の動作効率を向上できるようにしてもよく、原子炉の冷却を可能化、及び/又は、制御するために、1つ以上の装置を制御するための操作者又は制御システムの介入に依らず、安全性を向上できるようにしてもよい。
【0041】
冷却剤チャンネルは、格納容器構造の表面(例えば、外面、内面、内装面、これらの任意の組み合わせ等)、格納容器構造を部分的又は全体的に規定する構造の内層内に規定されるチャンネル(例えば、一体型パッシブ冷却格納容器構造)、これらの任意の組み合わせ等に連結(例えば、溶着、ボルト付け、機械的手段を通じた固定等)されたパイプを含む、任意の種別の導管であってもよい。
【0042】
パッシブ格納容器冷却システムは、原子炉が配置される格納容器環境内の圧力のパッシブ制御(例えば、オペレータ又は制御システムの介入によって制御されない制御)を可能にする1つ以上の第1の逆止弁アセンブリをさらに備えてもよい。1つ以上の第1の逆止弁アセンブリは、格納容器環境と冷却剤容器との双方と流体連通し、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリの入口における格納容器環境の圧力が、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリの出口における冷却剤容器の冷却液の静水圧に対応する閾値圧力の大きさに達したこと(例えば、これ以上になったこと)に基づいて、格納容器流体が、格納容器環境を出て、冷却剤容器に向かう、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリが開放し、これを介して1つ以上の第1の逆止弁アセンブリが冷却剤容器と流体連通をする、1つ以上のチャンネル、及び/又は、導管を介して、一方向の流動(本明細書中、「通気」を実施するとも称する)を選択的に可能にし、格納容器環境から、冷却剤容器への1つ以上の冷却剤チャンネル又は他の通路までの、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリを通じた圧力勾配を保証して、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリを通じた、冷却剤容器への1つ以上の冷却剤チャンネル又は他の通路から格納容器環境内までの逆流のリスクを低減又は防止してもよい。
【0043】
結果として、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリは、それに備えられた1つ以上の逆止弁の閉鎖状態と開放状態との間の駆動に基づき、格納容器環境内の圧力を解放するための、格納容器環境から冷却剤容器までの格納容器流体の一方向の流動を選択的に可能にしてもよい。このように、冷却剤容器への格納容器流体の一方向の流動を可能にすることは、格納容器環境の「通気」とも称され得る。格納容器流体には、気体、及び/又は、液体、又はこれらの組み合わせ等に乗せて運ばれる気体、液体、固体材料のうちの1つ以上が含まれてもよい。
【0044】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリは、格納容器構造を通じて、容器下方の深さの冷却剤チャンネル内まで延設され、第1の逆止弁アセンブリが冷却剤チャンネルに開放され、冷却剤チャンネルを通じて冷却剤容器と流体連通し、その深さで格納容器環境から冷却剤チャンネルまでの一方向の流動を選択的に可能にするように構成されてもよいが、例としての実施形態は、これに限定されるものでない。
【0045】
格納容器流体には、放射性材料が含まれてもよく、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリは、格納容器環境を出た一方向の流動を選択的に可能にしたことに基づいて、冷却剤容器内への格納容器流体、及び/又は、冷却剤容器への1つ以上の冷却剤チャンネル又は他の通路内の冷却液の流動を、選択的に「通気し」てもよく、格納容器流体が、冷却剤容器への1つ以上の冷却剤チャンネル又は他の通路の上部までの冷却液の上方への流動に乗せて運ばれてもよく、ひいては、格納容器流体が、冷却液の流動を介して冷却剤容器内に引き込まれてもよいようにする。冷却剤容器への1つ以上の冷却剤チャンネル又は他の通路の冷却液内に通気されることに基づき、冷却剤容器内に引き込まれ、ここに保持された結果として、格納容器流体は、原子力発電所の外装から解放されてしまうことを、少なくとも一時的に規制されてもよい。冷却剤容器は、冷却液を介して格納容器環境から除去された熱のためのヒートシンクとして機能するのに加え、格納容器流体に含まれる放射性材料のための容器として機能してもよい。加えて、水蒸気(例えば、蒸気)等の気体を含む格納容器流体は、冷却剤チャンネル、及び/又は、容器内の冷却液によって凝集されて液体状態に戻されてもよく、これにより、原子力発電所の格納容器内に圧力が蓄積されるのを軽減し、原子力発電所の外部の大気に気体を通気する必要性を減らす、又はなくすようにしてもよい。
【0046】
1つ以上の逆止弁アセンブリは、1つ以上の逆止弁の入口での圧力が閾値圧力に達するか否かに基づき、開放状態と閉鎖状態との間で駆動するように構成された1つ以上の逆止弁を備えてもよい。1つ以上の逆止弁は、入口での圧力に基づき、通気動作を制御するための操作者(例えば、人及び/又は処理回路)又は制御システムによるいずれの介入も伴うことなく、開閉すべく駆動するように(例えば、開放状態又は閉鎖状態に駆動するように)構成されてもよい。したがって、逆止弁アセンブリによって提供される通気機能は、少なくとも操作者又は制御システムによる介入に基づいて動作するのでないため、「パッシブ」であると理解されてもよい。結果として、原子力発電所格納容器のための圧力解放能力も提供しつつ、格納容器が改善されてもよい。原子力発電所の「格納容器」は、原子力発電所の原子炉が配置される、少なくとも格納容器環境を包含する構造を包含してもよいことが理解される。「制御システム」の介入は、処理回路の1つ以上の例、例えば、メモリに記憶された指示のプログラムを実行するプロセッサを備えてもよい制御システムによる介入と称されてもよいと理解され、この場合、制御システムによって実施される介入には、非限定的に、装置又は他の別個の装置に動作を実施させる(例えば、弁の駆動、ポンプ動作の制御等)ために、装置に通信される(例えば、送信される)制御信号とも称される電気信号を生成する制御システムが含まれてもよい。
【0047】
パッシブ格納容器冷却システムは、冷却剤容器と格納容器環境とに流体連通された(例えば、可溶栓が、少なくとも部分的に格納容器環境を規定する格納容器構造を通じて、冷却チャンネル又はその他の通路内に向かって延設されることに基づき)、1つ以上の逆止弁アセンブリが配置される冷却剤容器下方の最低深さより下にある深さにおける冷却剤容器への1つ以上の可溶栓をさらに備えてもよく、冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路における可溶栓の深さでの冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路における冷却液の静水圧が、1つ以上の逆止弁アセンブリ出口における冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路における冷却液の最大静水圧を上回るようにする。1つ以上の可溶栓は、任意の周知の可溶栓であってもよく、格納容器環境に開放した可溶栓の一部における格納容器環境内の温度が少なくとも閾値温度(例えば、特定の可溶合金の融点温度)を満たすことに応じて、(例えば、特定の可溶合金を含むことに基づき)少なくとも部分的に溶解するように構成されてもよく、可溶栓が、少なくとも部分的に溶解し、可溶栓を介して冷却剤容器と格納容器環境との間で延設される流動導管を露出するようにする。結果として、冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路内の冷却液の少なくとも一部は、格納容器環境を少なくとも部分的に浸水させることにより、格納容器環境内の温度制御を提供し、原子炉温度を限定する援助を行う。さらに、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリは、可溶栓における格納容器環境内の圧力が、可溶栓の深さにおける冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路内の冷却液の静水圧を下回ることを保証するように、選択的に駆動するように構成されてもよいため、可溶栓における格納容器環境内の温度が閾値温度に達するときの、冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路から格納容器環境内への圧力勾配を保証し、これによって、可溶栓が少なくとも部分的に溶解するときに、冷却液が格納容器環境内に流れ込み得るリスクを低減又は防止する。格納容器環境の浸水により、原子炉、及び/又は、格納容器環境の冷却、及び/又は、燃料含有材料(FCM)、溶岩様燃料含有材料(LFCM)、原子炉に関して原子力産業で理解されているものとして周知の用語である「炉心」、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これに限定されない放射性材料を含む、格納容器環境内の材料の冷却を提供してもよい。
【0048】
パッシブ格納容器冷却システムは、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリが、特定の閾値圧力の大きさにおいて駆動する(且つ、格納容器環境を出る一方向の流動を選択的に可能にする)ように構成されることと、可溶栓が、特定の閾値温度で少なくとも部分的に溶解するように構成されることとに基づき、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリが一方向の流動を可能にすることで、少なくとも部分的に溶解した可溶栓によって露出した流動導管を介して、冷却剤容器への冷却剤チャンネル又は他の通路から、格納容器環境内に向かって、格納容器環境を通じて1つ以上の第1の逆止弁アセンブリまで上方に、格納容器環境から1つ以上の第1の逆止弁アセンブリを介して冷却剤チャンネル内に戻すように、流体(例えば、冷却液)の流動を可能にした後に、可溶栓が溶解することを保証するように構成されてもよい。
【0049】
少なくとも部分的に溶解した可溶栓を介して格納容器環境を少なくとも部分的に浸水させる能力を提供することに基づき、このような浸水能力は、操作者又は制御システムの介入を伴うことなく(例えば、これとは独立して)実施されてもよい「パッシブ」であると見なされてもよい。したがって、圧力及び/又は温度のエクスカーションに応じた原子炉及び放射性材料の格納容器の冷却性能と、原子力発電所からの前述の材料の放出の防止について、改善されてもよい。
【0050】
本明細書に記載のとおり、「逆止弁」は、不還弁、還流弁、保持弁、一方向弁等と相互入れ替え可能に言及されてもよく、一方向の流動が禁じられる閉鎖位置と、一方向の流動が可能となる解放位置との間で選択的に駆動することに基づき、流体(例えば、液体、及び/又は、気体)を一方向のみにおいて弁を通じて流動させる(例えば、一方向の流動を選択的に可能にする)ように構成された弁を言及するものと理解される。本明細書において記載される逆止弁には、揺動逆止弁、傾斜ディスク逆止弁、クラッパ弁、ねじ止め逆止弁、リフト逆止弁、インライン逆止弁、空気圧不還弁、これらの任意の組み合わせ等を含むが、これに限定されない、一方向の流体流動を選択的に可能にすることに関して周知の任意の種別の逆止弁が含まれてもよい。
【0051】
本明細書において記載される「可溶栓」には、可溶栓の少なくとも一部が閾値温度に達する(例えば、これ以上の)温度に露出されたことに応じて、少なくとも部分的に溶解するように構成された任意の種別の可溶栓が含まれてもよいことが理解される。例えば、本明細書において記載される可溶栓には、可溶栓の両側端部の間で、その長手軸に沿った金属円筒の長さ全体を通じて延設された導管を備える本体円筒(少なくとも部分的に、本体材料を含む)が含まれてもよく、この場合、導管は、本体円筒の本体材料の融点温度未満の融点温度で溶解するように構成された特定の材料(「可溶合金」とも称される)で充填され、本体円筒の少なくとも一端の温度が融点温度に達したとき、特定の本体材料が、部分的又は全体的に溶解してもよく、特定の可溶合金材料は、導管から少なくとも部分的に流出し、本体円筒を通じ、可溶栓の両側端部の間で、導管を露出してもよいようにする。本明細書において記載される可溶栓には、真鍮、青銅、鋼、及び/又は、砲金を含む本体材料を有する可溶栓、錫を含む可溶合金を有する可溶栓、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これに限定されない任意の周知の可溶栓が含まれてもよい。
【0052】
パッシブ格納容器冷却システムは、別個の各冷却剤供給導管と冷却剤返却導管とを介して、冷却剤容器に連結される複数の冷却剤チャンネルを備えてもよく、パッシブ格納容器冷却システムは、冷却剤容器への別個の各冷却剤導管又は他の通路内に向かって延設された1つ以上の別個の第1の逆止弁アセンブリを備えてもよい。さらに、複数の逆止弁アセンブリは、冷却剤容器への所与の冷却剤チャンネル又は他の通路内の同一又は異なる高さ又は深さにおいて、冷却剤容器への所与の冷却剤チャンネル又は他の通路内へ延設されてもよく、1つ又は複数の可溶栓は、冷却剤容器への所与の冷却剤チャンネル又は他の通路内の同一又は異なる高さ又は深さで、冷却剤容器への所与の冷却剤チャンネル又は他の通路内に向かって延設されてもよい。
【0053】
図1は、いくつかの例としての実施形態に係る、格納容器通気システムと格納容器浸水システムとをさらに備えたパッシブ格納容器冷却システムを備える原子力発電所の横断面概略側面図である。図2A~2Cは、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Aの拡大図である。図3は、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Aの拡大図である。図5は、いくつかの例としての実施形態に係る、図1の領域Bの拡大図である。図6は、いくつかの例としての実施形態に係る、格納容器構造内に一体化された1つ以上の冷却剤チャンネルを備えたパッシブ格納容器冷却システムの斜視図である。
【0054】
図1を参照すると、原子力発電所1は、基礎2(地面、岩盤、構造的基礎、これらの任意の組み合わせ等であってもよい)上の原子炉建屋構造110と、原子炉建屋構造110内の原子炉100とを備える。原子炉100は、格納容器環境192の圧力保持を提供するための格納容器構造140によって包囲され、且つ、少なくとも部分的に規定された格納容器環境192内にある。格納容器構造140の内面140iは、格納容器環境192を少なくとも部分的に規定してもよい。格納容器構造140は、ともに連結された1つ以上の材料片からなる固体構造であってもよく、金属及び/又はコンクリート材料片を含んでもよい。いくつかの例としての実施形態において、格納容器構造140は、鋼-コンクリート複合(SC)構造であってもよく、この用語は周知である。
【0055】
図1に示されるとおり、原子力発電所1は、格納容器環境192及びその内部に備えられた格納容器流体197のパッシブ冷却及び格納容器と、その内部に設けられた原子炉100のパッシブ冷却及び格納容器とを提供するように構成されたパッシブ格納容器冷却システム200を備える。パッシブ格納容器冷却システム200は、冷覚剤容器120、1つ以上の冷却剤供給導管150、格納容器構造140に連結された1つ以上の冷却剤チャンネル160、及び1つ以上の冷却剤返却導管170を備える。図示のとおり、パッシブ格納容器冷却システム200は、1つ以上の逆止弁アセンブリ180を備えてもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでない。パッシブ格納容器冷却システム200は、原子炉100によって遮断された熱102を吸収し、冷却剤容器120に熱を取り除くために、冷却剤容器120と1つ以上の冷却剤チャンネル160との間に冷却液122、124、125、126の流動又は循環を誘発及び/又は維持することに基づき、格納容器環境192のパッシブ冷却を提供するように構成される。
【0056】
図1に示されるとおり、パッシブ格納容器冷却システム200は、格納容器構造140の別個の部分に連結され、且つ、別個の各冷却剤供給導管150と別個の各冷却剤返却導管170とを介して冷却剤容器120に連結された複数の冷却剤チャンネル160を備えてもよく、この場合、別個の各逆止弁アセンブリ180は、冷却剤容器120への別個の各冷却剤チャンネル160又は1つ以上の他の通路内に向かって、且つ、必要に応じて、冷却剤容器120への別個の各冷却剤チャンネル160又は1つ以上の他の通路への格納容器構造140の厚さ141を通じて、延設され、この場合、別個の各可溶栓190は、冷却剤120への別個の各冷却剤チャンネル160又は1つ以上の他の通路内に向かって、且つ、必要に応じて、冷却剤容器120への別個の各冷却剤チャンネル160又は1つ以上の他の通路への格納容器構造140の厚さ141を通じて延設される。以下の説明は、単一の冷却剤チャンネル160と、この中に向かって延設される各導管150、170と逆止弁アセンブリ180、380と、可溶栓190とに関するが、以上の説明は、パッシブ格納容器冷却システム200の冷却剤チャンネル160、導管150、170、逆止弁アセンブリ180、380(第2の逆止弁アセンブリ380を図3に示す)、及び可溶栓190のすべてに適用され得ることが理解される。
【0057】
図1に示されるとおり、冷却剤容器120は、原子炉100の垂直方向上方に配置され、原子炉100の上部が垂直方向高さH1に配置されるようにし、冷却剤容器120の底部120bが、垂直方向高さH2にあるようにし、この場合、H2は、H1より高い。したがって、冷却剤容器120内に保持されたいずれの流体も、冷却剤容器120から原子炉100の任意の部分の高さまで下方に流動してもよい(例えば、重量加速度「g」の方向に向かって下方に流動、すなわち「落下」してもよい)。
【0058】
本明細書に記載の高さH1~H6はすべて、単一の固定参照高さH0から測定した高さと理解される。図1に示されるとおり、高さH1~H6は、高さH0の基礎2の上面からの高さであると示されており、基礎2の上面が、原子力発電所1内の他の要素の高さH1~H6が記述及び比較される参照高さH0を提供するようにする。しかしながら、いくつかの例としての実施形態において、基礎2の上面は、可変高さを有してもよく、本明細書に記載の高さH1~H6は、基礎2の上面の高さとは異なってもよい単一の一定参照高さH0(例えば、全球平均海水面(MSL)の高さであり、この用語は周知である)からの高さであると理解されてもよい。
【0059】
図1に示されるとおり、冷却剤容器120は、冷却液122を保持する(例えば、これで充填される)ように構成され、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122tが冷却剤容器120の底部120bの高さ(H2)を上回る深さD122にあるようにする。したがって、冷却剤容器120の底部120bにおける冷却液122の静水圧は、深さD122に等しい高さを有する冷却液122の圧力水頭に等しいことが理解される。図1に示されるとおり、且つ、以下にさらに詳細に説明するとおり、冷却剤容器120は、上方領域121aと、上方領域121aの下方の(例えば、底部120bの付近で、上方領域121aとの関連で上面122tの遠位の)下方領域121bとを有するものと見なされてもよい。さらに、冷却剤容器120内に保持された冷却液122には、上方領域121a内である冷却液122の一部として規定された冷却液123aと、下方領域121b内である冷却液122の一部として規定された下方冷却液123bとが含まれてもよい。
【0060】
図1に示されるとおり、冷却剤供給導管150は、冷却剤容器120に連結され、冷却剤供給導管150の入口152が冷却剤容器120の下方領域121bにむかって開放されるようにし(例えば、冷却剤容器120の下方領域121b内に向かって直接解放されるようにし)、冷却剤供給導管150が、入口152から下方に(例えば、重力加速度「g」の方向に)、冷却剤容器120の底部120bから下方に、出口154まで延設される。図示のとおり、入口152は、垂直方向高さH3にあってもよく、出口154は、垂直方向高さH4にあってもよく、この場合、H3はH4よりも高く、H4はH1未満であり、H3はH2以上である。したがって、冷却剤容器120の底部120bから下方に延設されることに基づき、冷却剤供給導管150は、冷却剤容器120内の冷却液122の少なくとも一部(例えば、下方領域121bにおける冷却液123b)を、冷却液124として、冷却剤容器120から入口152を介して冷却剤供給導管150内に向かって下方に(例えば、少なくとも部分的に重力加速度「g」の方向に)流動するように、且つ、重力(例えば、重力加速度)に従って、冷却剤供給導管150を通じて出口154まで少なくとも部分的に下方に流動する(例えば、「落下する」)ように方向付けるよう構成されてもよいことが理解される。したがって、冷却剤供給導管150を通じた冷却液124の流動は、重力に応じて、誘発及び/又は維持されてもよく、ひいては、いずれのアクティブな流動発生器(例えば、ポンプ)の操作を伴わず、操作者又は制御システムの介入を伴わず(例えば、これとは独立して)誘発及び/又は維持されてもよく、この流動は「パッシブ」であると考慮されてもよい。
【0061】
図1に示されるとおり、冷却剤供給導管150の入口152は、離間高さH152分、冷却剤容器120の底部120bの上方に持ち上げられてもよい。図1において、H152は、正の値として示されており、入口152における高さH3が、冷却剤容器120の底部120bの高さH2より高くなるようにする。しかしながら、いくつかの例としての実施形態において、入口152は、冷却剤容器120の底部120bと同一の高さであってもよく(例えば、H2はH3に等しくてもよい)、高さH152がヌル値になるようにしてもよい。さらに、図1は、冷却剤容器120の底部120bが平坦で水平な面であるものとして(例えば、重力加速度「g」の方向に直交するものとして)示されているが、例としての実施形態はこれに限定されるものでないと理解され、いくつかの例としての実施形態において、底部120bの高さH3は、冷却剤容器120の底部120bの最も低い高さであると理解されてもよい。例えば、いくつかの例としての実施形態において、底部120bは、入口152が底部120bの最も低い部分の高さにある(例えば、H3=H2)角度を有してもよく(例えば、円錐台形状を有してもよい)、冷却剤容器120の最も低い部分における冷却液123bが、重力に従って、入口152内に向かって下方に引き込まれるようにしてもよい。
【0062】
再び図1を参照すると、原子力発電所1は、格納容器構造140に連結された1つ以上の冷却剤チャンネル160を備え、各冷却剤チャンネル160が、冷却剤チャンネル160の底部にある冷却剤チャンネル入口162から冷却剤チャンネル160の上部にある冷却剤チャンネル出口164まで、格納容器140に沿って垂直方向に延設されるようにする。
【0063】
図1において、冷却剤チャンネル160は、格納容器構造140の外面140oと連結された導管(例えば、パイプ)として示されている(これは、別個の構造に導管を接合する任意の周知の方法で実装されてもよい。いくつかの例としての実施形態において、冷却剤チャンネル160は、例えば、1つ以上の物理的制約を満たすために、外面140oの代わりに、格納容器構造140の内面140iに連結されてもよいことが理解される)。しかしながら、冷却剤チャンネル160の例としての実施形態は、これに限定されるものでないことが理解される。例えば、図6に戻ると、いくつかの例としての実施形態において、格納容器構造140は、内側円筒形シェル642と外側円筒形シェル644との同心配置を備えてもよく、内側円筒形シェルの内面642iは、格納容器環境192を少なくとも部分的に規定し、内側円筒形シェル642の外面642oと外側円筒形シェルの内面644iとは、1つ以上の冷却剤チャンネル160が、例えば、面642o及び644iのみによって規定されるか、又は追加の構造的表面との組み合わせで規定されてもよい環状間隙空間648をまとめて規定する。例えば、図6において、1つ以上のコラム構造646は、環状間隙空間648を通じて垂直方向に延設され、さらに面642oと644iとの間で完全に延設されて、環状間隙空間648を複数の分離された冷却剤チャンネル160に方位的に区画して、所与の冷却剤供給導管150と冷却剤返却導管170とが、特定の冷却剤チャンネル160に連結されてもよい。図6に示される冷却剤チャンネル160は、格納容器構造140を少なくとも部分的に備える構造642、644、及び646によって規定されるが、格納容器構造140の内装を通じて延設され、格納容器構造140内に一体化されるものと理解されてもよい。
【0064】
図1に示されるとおり、冷却剤チャンネル160の入口162は、冷却剤供給導管150の出口154に連結されてもよく、入口162が、冷却剤供給導管150の出口154における高さ、すなわち、高さH4と同一の高さとなるようにする。さらに図示されるとおり、冷却剤チャンネル160の上部における冷却剤チャンネル160の出口164の高さH5は、冷却剤容器120の底部120bの高さH2未満であってもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでなく、いくつかの例としての実施形態において、冷却剤チャンネル160は、垂直方向上方に、冷却剤容器120の底部120bの高さを超えて延設されてもよく、H5がH2より高くなるようにしてもよい。いくつかの例としての実施形態において、本明細書に記載の冷却剤返却導管170は、原子炉100の高さH1を超えて出口174の高さH6まで延設された冷却剤チャンネル160の上方部分内に組み込まれてもよい。
【0065】
図1に示されるとおり、重力に応じて、冷却剤供給導管150を通じて出口154まで落下するように方向付けられた冷却液124は、出口154に連結された入口162を介して、高さH4にて、冷却剤チャンネル160の底部内に方向づけられてもよい。図示のとおり、冷却剤チャンネル160は、格納容器構造140に連結されるため、原子炉100によって遮断された熱102を、格納容器環境192を通じ、格納容器構造140の少なくとも一部を介して、受容するように構成される。冷却剤チャンネル160内にある冷却液124は、熱102の少なくとも一部を吸収してもよく、ひいては、加熱された冷却液125となってもよい。冷却剤チャンネル160内の加熱された冷却液125は、前述の熱102を吸収したことに基づき、浮力の変化(例えば、密度の変化)を有してもよく、加熱された冷却液125の浮力が、冷却剤供給導管150を介して冷却剤チャンネル160の底部内に方向付けられているより冷たい冷却液124との関連で、増加する(及び、密度が低下する)ようにする。
【0066】
結果として、加熱された冷却液125は、浮力が増加したこと(例えば、密度が低下したこと)に基づき、高さH4の冷却剤チャンネル160の底部から高さH5の冷却剤チャンネル160の上部まで上昇してもよい一方で(例えば、少なくとも部分的に、重力加速度「g」と反対の方向で、上方に流動する)、加熱された冷却液125は、冷却剤チャンネル160の底部において、冷却剤供給導管150を介して新たに供給された、より冷たい(そのため、より浮力が小さく、密度が高い)冷却液124で置換される。冷却剤チャンネル160内における加熱された冷却液125の上方への流動(例えば、上昇)は、原子炉100によって遮断された熱を吸収することによって導入された流動がアクティブ流動発生器(例えば、ポンプ)によって操作されるのではなく、具体的に冷却液の流動を制御するための操作者の介入によって操作されるのでないため、冷却液の流動の「パッシブ」操作と見なされてもよいと理解される。原子炉100による熱遮断102を調整する、操作者の介入、及び/又は、原子力発電所1内の装置の操作は、熱102吸収による冷却液125の流動に間接的に影響を及ぼし得るものの、本明細書中、冷却液の流動を制御するための操作者の介入、及び/又は、原子力発電所1内の装置の操作とは見なされない。
【0067】
再び図1を参照すると、冷却剤返却導管170は、入口172にて、(例えば、高さH5における)冷却剤チャンネル160の上部における冷却剤チャンネル160の出口164に連結され、より高い高さH6にある出口174まで上方に延設される。図1にさらに示されるとおり、出口174は、冷却剤容器120の上方領域121aに向かって開放される。図1は、冷却剤容器120の底部120bを通じて、底部120bの上方の高さH174まで上方に延設されることで、出口174は、冷却剤供給導管150の入口152と同様に、上方に面するようにする冷却剤返却導管170を示している。しかしながら、例としての実施形態は、これに限定されるものでないことが理解される。例えば、冷却剤返却導管170は、高さH6まで上方に延設されてもよく、出口174が側方に対向する(例えば、重力加速度「g」の方向に直交する)ように、冷却剤容器120の側壁120sを通じて曲がり、延設されてもよい。
【0068】
図示のとおり、高さH5における冷却剤チャンネル160の上部まで上昇する加熱された冷却液125は、出口164を通じて、ひいては、連結された入口172を通じて方向付けられてもよく、冷却剤返却導管170は、加熱された冷却液125の流動を、冷却液126として、冷却剤チャンネル160の底部のより冷たい冷却液124の浮力に比して、(例えば、高さH5における)冷却剤チャンネル160の上部のより温かい冷却液126(加熱された冷却液125として熱102を吸収したことによる)の浮力が増加していることに応じて、冷却剤チャンネル出口164を介して冷却剤チャンネル160の上部を出て上昇し、導管170及び出口174を介して冷却剤容器120内に向かって上昇するように方向付けるように構成されるようにしてもよい。いくつかの例としての実施形態において、冷却剤供給導管150及び/又は冷却剤返却導管170は、冷却液126の浮力によって操作された上方への流動、及び/又は、下方への重量、及び/又は、冷却液124の密度によって操作された流動に影響を及ぼし得る、冷却液126による熱損失を緩和するように、部分的又は完全に分離されてもよい。
【0069】
冷却剤装置120に戻って参照すると、冷却剤容器120は、上方領域121aと下方領域121bとに垂直方向に分割されると考えられてもよく、この場合、上方及び下方領域121aと121bとの間の境界は、(高さH2における)冷却剤容器120の底部120bからの冷却剤返却導管出口174の高さH174と、(高さH2における)冷却剤容器120の底部120bからの冷却剤供給導管入口152の高さH152との間の任意の高さであってもよい。いくつかの例としての実施形態において、上方及び下方領域121a及び121bの間の境界の高さH121は、高さH152及び高さH174とは等しく垂直方向に離間した(例えば、両者間の中間)高さH121である。いくつかの例としての実施形態において、上方及び下方領域121a及び121bの間の境界の高さH121は、冷却剤容器120内の出口174の高さH174であって、高さH2とH6との間の冷却剤容器のすべての部分が下方領域121bとなり、高さH6以上の冷却剤容器120のすべての部分が上方領域121aとなるようにする。
【0070】
図1に示されるとおり、冷却剤供給管入口152は、冷却剤容器120の下方領域121bに向かって開放されており、冷却剤返却導管出口174は、冷却剤容器120の上方領域121aに向かって開放されている。より温かい冷却液122ではより冷たい冷却液122よりも浮力が増すため、冷却剤容器120の上方領域121a内の冷却液123aは、冷却剤容器120の下方領域121bにおける冷却液123bに比して、より温かく、浮力が増していることが理解される。より温かい冷却液126は、冷却剤容器120の下方領域121bにおける冷却液123bを含む、冷却剤容器120におけるより冷たい冷却液122に比して、浮力が増している(例えば、密度が低下している)ことが理解される。したがった、より温かい冷却液126が上方領域121aを占め、より温かく、より浮力の高い冷却液123aの一部となる一方で、より冷たい冷却液122は、冷却液123bとして下方領域121bを占め得る。
【0071】
したがって、図1に示されるとおり、冷却剤容器120の下方領域121bを占めるより冷たい冷却液122(例えば、冷却液123b)は、下方領域121bに開放した(例えば、この内部に配置された)入口152を介して、重力と、より温かい冷却液123aに比して低い浮力(例えば、より高い密度)とに応じて、冷却剤供給導管150内へと引き込まれてもよい。したがって、パッシブ格納容器冷却システムは、冷却液124として、より冷たくより密度の高い冷却液123bを冷却剤チャンネル160に供給してもよく、一方でより温かい冷却液126は、冷却液123aとして、より冷たい冷却液123bの上方に上昇させられ、ひいては、下方領域121bにおけるより冷たい冷却液123bに比して増加した冷却液126の浮力(例えば、低下した密度)に基づき、入口152を介して冷却剤供給導管150内に予期せず引き込まれてしまうことを防ぐようにする。さらに、図1に示されるとおり、冷却剤返却導管出口174は、dH152の垂直方向距離分、入口152よりも冷却剤容器120内の垂直方向で高いところにあるが、上方領域121aに向かって開放される(例えば、この内部に配置される)ことで、より温かく、密度の低い冷却液126が上方領域121a内に直接供給されて、下方領域121bのより冷たい冷却液123bと混合することなく、冷却液123aと混合してその一部となるようにする。冷却液126は、冷却液123aの一部として上方領域121aに留まってもよく、ひいては、冷却液123bに比して温かいために浮力が増しているため、入口152から分離されて維持されてもよい。経時的に、冷却液123aの少なくとも一部は、冷却してもよく、下方領域121b内に循環して冷却液123bとなり、最終的には冷却剤供給導管150内へ引き戻されてもよい。
【0072】
さらに図1に示されるとおり、原子力発電所1は、冷却液126によって冷却剤容器120内に導入された熱102を除去することで、冷却液122が温まってしまい、ひいては、パッシブ格納容器冷却システム200が格納容器環境192から熱102を取り除く能力を潜在的に低下させてしまうリスクを緩和又は防止するように構成された熱除去システム(例えば、熱交換器128であって、任意の周知の熱交換器装置であってもよい)を備えてもよい。しかしながら、冷却剤容器120は、少なくとも一時的に、熱102が任意の熱交換器128の動作を介して冷却剤容器120から取り除かれることなく、少なくとも一定期間、冷却液126を介して冷却剤容器内に取り除かれた熱102を吸収及び保持し得るヒートシンクとして機能してもよいことが理解される。したがって、パッシブ格納容器冷却システム200は、格納容器環境192から熱102を取り除くために、冷却剤容器120と冷却剤チャンネル160との間の冷却液122、124、125、126のパッシブ操作(例えば、冷却剤供給導管150を介し、及び、冷却剤チャンネル160及び冷却剤返却導管170を介して吸収された熱を介して、重力によって操作される)循環を可能にしてもよい。冷却液125によって実施される、格納容器環境192と格納容器構造140の少なくとも一部とを介して原子炉100によって遮断された熱102を吸収することは、格納容器環境192から熱を除去することに匹敵すると理解される。
【0073】
冷却液124、125、126の流量は、原子炉100による熱遮断102の割合によって少なくとも部分的に操作され得ることが理解される。したがって、冷却液による格納容器環境192から冷却剤容器120内への熱除去の割合は、導管150、170と冷却剤チャンネル160を通じた冷却剤の流量に比例してもよく、このような流量は、原子炉100による熱遮断102の割合によって操作され、これに比例してもよい。パッシブ格納容器冷却システム200による流動及び熱除去の変動は、原子炉100による熱遮断102の割合によって部分的又は全体的に操作され得るもので、原子力発電所1において何らの操作者の介入も伴うことなく(例えば、これとは独立して)、さらに原子炉100の動作に関する何らの介入さえ伴うことなく、実施されてもよい。したがって、パッシブ格納容器冷却システム200は、少なくとも一時的に、何らの操作者又は制御システムによる介入も伴うことなく(例えば、これとは独立して)格納容器環境192の温度及び/又は圧力の規制を可能にしてもよい。
【0074】
再び図1を参照し、さらに図2A~2Cを参照すると、パッシブ格納容器システム200は、冷却剤容器120の底部120b下方の垂直方向深さDB180、つまり、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の垂直方向深さDT180の位置に、第1の逆止弁アセンブリ180を備えてもよく、この場合、第1の逆止弁アセンブリ180は、冷却剤容器120と格納容器環境192との双方と流体連通する。図1に示されるとおり、第1の逆止弁アセンブリ180は、格納容器構造140の厚さ141(例えば、上面140iと140oとの間)を通じて、冷却剤チャンネル160内に向かって延設されて、冷却剤チャンネル160を介して冷却剤容器120と流体連通するようにしてもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでなく、第1の逆止弁アセンブリ180の出口180oは、垂直方向深さDB180/DT180における任意の冷却剤チャンネル160以外の他の別個の導管(本明細書中、「通路」と交換可能に称される)に向かって開放されてもよく、この場合、他の別個の導管は、冷却剤容器120と流体連通して、ひいては、第1の逆止弁アセンブリ180と冷却剤容器120との間に流体連通を構築する。垂直方向深さDT180は、冷却剤容器120内の底部120bから上面122tまでの、垂直方向深さDB180と冷却液122の冷却剤容器深さD122との合計に等しいと理解される。逆止弁アセンブリ180は、入口導管181iを介した第1の逆止弁アセンブリ入口180iと、出口導管181oを介した逆止弁アセンブリ出口180oとの間に連結された1つ以上の逆止弁182を備えてもよい。図示のとおり、第1の逆止弁アセンブリ入口180iは、格納容器環境192に向かって開放され、第1の逆止弁アセンブリ出口180oは、垂直方向深さDB180/DT180において、冷却剤容器120と流体連通する(例えば、垂直方向深さDB180/DT180にて、冷却剤チャンネル160又は冷却剤容器120への任意の他の導管に向かって開放されている)。
【0075】
いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の逆止弁182は、開放するように駆動することにより(例えば、閉鎖状態から開放状態に駆動することにより)、入口180iと出口180oとの間に連続的に流動導管187(本明細書中、流体導管とも称する)を構築し、ひいては、1つ以上の逆止弁182の入口182iにおける圧力の大きさが第1の閾値の大きさ(例えば、PX1)以上になったことに応じて、格納容器環境192内に配置された、本明細書中では格納容器流体197と称される流体の一部又は全部の冷却剤容器120への一方向の流動198を可能にするように構成される。このような構成は、1つ以上の逆止弁182が、1つ以上の逆止弁182の入口182iにおける圧力が第1の閾値PX1以上になったことに応じて開放するように構造的に構成される(例えば、ばね負荷アクチュエータを備えることに基づく)ことに基づいてもよい。図1及び図2A~2Cに示されるとおり、1つ以上の逆止弁182は、入口導管181iを介して、格納容器環境192に開放した入口180iに連結された入口182iを有して、1つ以上の逆止弁182の入口182iにおける圧力が第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iにおける格納容器環境の圧力P192-1と同一になる(等しくなる)ようにしてもよい。したがって、1つ以上の逆止弁は、圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達したこと(例えば、これ以上になったこと)に応じて開放するように構成されてもよい。
【0076】
第1の閾値の大きさPX1は、垂直方向深さDB180/DT180における第1の逆止弁アセンブリ出口180oでの冷却剤容器120へ冷却剤チャンネル160又は他の同様の通路における、冷却液125の静水圧P180に少なくとも部分的に対応してもよい。静水圧P180は、垂直方向深さDT180に等しい高さを有する冷却液122、124、125、及び/又は126の圧力水頭に等しくてもよいことが理解される。いくつかの例としての実施形態において、冷却剤容器120は、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122tが原子力発電所1の動作全体を通じて、冷却剤容器120の底部120b上方の特定深さD122となるように、容器深さD122まで冷却液122が充填されるように構成されてもよい。
【0077】
例としての実施形態において、第1の容器深さD122は、冷却剤容器120内の冷却液122の量の変動に基づいて変動し得る。いくつかの例としての実施形態において、参照静水圧P180は、特定の参照深さD122まで冷却剤容器120が充填された結果としての静水圧P180であってもよく、冷却剤容器120が特定の参照深さD122まで冷却液122で充填されるとき、参照静水圧P180が垂直方向深さDT180に等しい高さを有する冷却液122、124、125、及び/又は126の圧力水頭に等しくなるようにしてもよい。1つ以上の逆止弁182は、1つ以上の入口182i(と、ひいては、逆止弁182のうちの少なくとも1つに対しては、入口180iにおける格納容器環境の圧力P192-1)の圧力の大きさが、少なくとも参照静水圧P180を上回る第1の閾値の大きさPX1に達した(例えば、これ以上となった)ことに応じて、開放状態に駆動するように構成され、冷却剤容器120が特定の参照深さD122まで充填されるとき、圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達すると、圧力勾配が1つ以上の逆止弁1182に亘って存在するようにしてもよい。冷却剤容器120が冷却液122で充填されてもよい深さD122が所与の時間で変動するため、第1の閾値の大きさPX1は、参照静水圧P180(例えば、冷却剤容器120が特定の参照深さD122まで充填されるときの出口180oにおける静水圧P180)を超えて少なくとも特定のマージン(例えば、5%超、10%超、20%超、特定の追加量圧力、これらの任意の組み合わせ等)である大きさに設定されてもよく、圧力P192-1の大きさが第1の閾値圧力PX1に達する時、実際の静水圧P180が1つ以上の逆止弁182の入口182iにおける第1の閾値の大きさPX1未満となる可能性を改善することで、入口180iから出口180oまでの第1の逆止弁アセンブリ180に亘って圧力勾配が存在することを保証してもよい。第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iは、第1の逆止弁アセンブリ180のうちの残りのものと同一の垂直方向深さDB180/DT180にあるため、入口180iにおける格納容器環境192の圧力P192-1は、垂直方向深さDB180/DT180における格納容器環境192の圧力P192-1であると理解し得ることを理解するであろう。
【0078】
1つ以上の逆止弁182は、1つ以上の逆止弁182の入口182iでの圧力が第1の閾値の大きさPX1以上であるか否かに基づいて、選択的に(例えば、可逆的に)駆動するように構成されてもよい。したがって、第1の逆止弁アセンブリ180は、垂直方向深さDB180/DT180における第1の逆止弁アセンブリ入口180iでの格納容器環境192の圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1以上になったことに応じて、1つ以上の逆止弁182が開放するように駆動した(例えば、開放した)ことに基づき、格納容器環境192から冷却剤容器120まで、第1の逆止弁アセンブリ180と1つ以上の冷却剤チャンネル160、又は出口180oが開放される冷却剤容器120への他の通路を介して、格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にするように、流動導管187を選択的に開放するように構成されてもよい。一方向流動198の一方向が保証されてもよく、これによって、第1の逆止弁アセンブリ180が入口180iから出口180oまで1つ以上の逆止弁182を通じて延設されるように流動導管187を規定することに基づき、第1の逆止弁アセンブリ180を通じて、冷却剤チャンネル160又は他の通路から格納容器環境192内に向かう逆流を防止してもよく、この場合、1つ以上の逆止弁182は、入口180iから出口180oまでの方向に一方向の流動を可能にするように構成され、1つ以上の逆止弁182は各々、逆止弁182の入口182iでの圧力が、垂直方向深さDB180/DT180における出口180oでの冷却液125の参照静水圧P180(例えば、深さDT180と等しい高さにおける冷却液の圧力水頭に等しい冷却液125の静水圧)を上回る第1の閾値圧力PX1に少なくとも達したことに応じて開放するように構成される。
【0079】
いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の逆止弁182は、圧力P192-1が一旦第1の閾値の大きさPX1を下回って降下すると、これに続いて閉鎖してもよい。したがって、格納容器流体197の一方向の流動は、格納容器環境内の圧力を規制するために、選択的に可能にされたり、禁じられてもよい。
【0080】
格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にすることは、本明細書中、例えば、格納容器環境192内の圧力(例えば、P192-1)を規制し、ひいては、格納容器構造140の過圧のリスクを緩和又は防止するための、格納容器流体197の「通気」とも称され得る。
【0081】
第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182の動作(例えば、駆動)は、いかなる操作者の介入もなく(例えば、これとは独立して)発生してもよい。したがって第1の逆止弁アセンブリ180によって提供される圧力開放又は「通気」の機能は、「パッシブ」であると理解され得る。
【0082】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180の出口180oが垂直方向深さDB180/DT180にて冷却剤チャンネル160に向かって開放する場合、格納容器流体197は、放射性材料、固体、気体、液体、これらの任意の組み合わせ等を含み得るが、冷却剤チャンネル160を通じて加熱された冷却液125の上昇流動に乗せて運ばれてもよく、ひいては、冷却液126とともに冷却剤容器120内に引き込まれてもよい。同様に、出口180oが冷却剤容器120への他の通路に向かって開放する場合、格納容器流体197は、他の通路を介して、第1の逆止弁アセンブリ180から容器120まで通過してもよい。冷却液125、126、122は、格納容器流体197の何らかの気体(例えば、蒸気)を急冷することで、冷却剤容器120内の圧力を低下させてもよく、格納容器流体197の他の部分は、少なくとも一時的に冷却剤容器120内に保持されて、格納容器流体197が原子力発電所1の外部の周辺環境に通気されたり、又は逃げるのを低減又は防いでもよい。したがって、第1の逆止弁アセンブリ180は、格納容器環境192内の圧力のパッシブな規制を可能にしつつ、格納容器流体のためのパッシブな格納容器を改善し得る。
【0083】
図1は、1つ以上の冷却剤チャンネル160内に向かって延設された1つ以上の第1の逆止弁アセンブリ180を示しているが、例としての実施形態はこれに限定されるものでないことが理解される。例えば、パッシブ格納容器冷却システム200の1つ以上の第1の逆止弁アセンブリ180は、冷却剤チャンネル160内に向かって延設される代わりに、通路、並行通路等とも称されてもよく、中に向かって1つ以上の第1の逆止弁アセンブリ180が延設され得る1つ以上の他の別個の導管を介して、冷却剤容器120に経路設定されてもよい。例えば、第1の逆止弁アセンブリ180は、格納容器環境192から、1つ以上の冷却剤チャンネル160とは独立して冷却剤容器120に向かって延設されてもよい別個の通路又は並行通路(図1には図示せず)とも称されてよい別個の導管内に向かって延設されてもよい。したがって、いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の第1の逆止弁アセンブリ180は、1つ以上の冷却剤チャンネル160とは独立して(例えば、これと並行して)、格納容器流体197の冷却剤容器120への1つ以上の一方向の流動198の「通気」を可能にするように構成されることで、冷却剤容器120が、1つ以上の冷却剤チャンネル160とは独立して、冷却液197の材料の少なくとも一部を保持できるようにしてもよい。
【0084】
図2A~2Cをここで全般的に参照すると、第1の逆止弁アセンブリ180は、図示の1つ以上の逆止弁182の1つ以上の種々の構成を備えてもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでない。
【0085】
図2Aに示されるとおり、第1の逆止弁アセンブリ180は、入口導管181iを介して第1の逆止弁アセンブリ入口180iに連結され、ひいては、入口182iが入口180iに向かって開放される入口182iと、出口導管181oを介して第1の逆止弁アセンブリ出口180oに連結され、ひいては、出口182oが出口180oに向かって開放される出口182oとを有する単一の逆止弁182を備えてもよい。したがって、いくつかの例としての実施形態において、入口180iでの圧力P192-1は、第1の逆止弁アセンブリ180の単一の逆止弁182の入口182iにおける圧力であってもよく、逆止弁182は、入口182iでの圧力が第1の閾値の大きさPX1に達したことに応じて、閉鎖状態から開放状態に駆動するように構成されてもよい。したがって、逆止弁182は、入口180iでの圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達したことに応じて開放するように駆動することで、第1の逆止弁アセンブリ180に、逆止弁182と導管181i及び181oとを介して入口180iと出口180oとの間に開放流動導管187を選択的に構築させるようにし、ひいては、圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達したことに基づき、格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にするようにしてもよい。
【0086】
図2Bを参照すると、いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の逆止弁182は、第1の逆止弁アセンブリ入口180iと第1の逆止弁アセンブリ出口180oとの間に複数の逆止弁182-1~182-iの直列接続(例えば、「i」個の逆止弁の直列接続で、「i」は、2以上の値を有する正の整数である)を備えてもよい。図2Bに示される通り、逆止弁182-1~182-(i-1)の出口182oは、中間導管183-1~183(i-1)を介して直列に接続された隣接の逆止弁の隣接の入口182iに連結されてもよい。複数の逆止弁182-1~182-iのうちの各逆止弁182は、各逆止弁182の入口182iでの圧力が第1の閾値の大きさPX以上になったことに応じて開放するように駆動するよう構成されてもよい。図2Aと同様に、直列接続における第1の逆止弁182-1の入口182iは、入口導管181iを介して入口180iに連結され、これに向かって開放してもよく、直列接続における最後の逆止弁181-iの出口182oは、出口導管181oを介して出口180oに連結され、これに向かって開放してもよい。したがって、入口180iにおける圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達するとき、第1の逆止弁182-1は、第1の逆止弁182-1の入口182iでの圧力が入口180iでの圧力と同一になると、開放するように駆動してもよく、その後、直列接続における次の逆止弁182-2~182-iは、すべての逆止弁182-1~182-iが開放されて、逆止弁182-1~182-iを介して入口180iと出口180oとの間に流動導管187が構築されるまで、直列接続の各先行する逆止弁182が開放し入口180iと直列接続された後続の逆止弁182の入口182iとの間で流体連通を構築することに応じて、連続して開放するように駆動してもよい。したがって、第1の逆止弁アセンブリ180は、複数の逆止弁開口182-1~182-iの直列接続のうちのすべての逆止弁182が選択的に駆動して開放したことに基づき、格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にしてもよい。さらに、一方向の流動198は、逆止弁182-1~182-iのいずれかが閉鎖されたことに応じて、禁じられてもよい。したがって、圧力P192-1が最初に第1の閾値の大きさPX1に達した後に、次いで第1の閾値の大きさPX1を下回って降下した場合、逆止弁182-182-iのいずれか1つの閉鎖によって流動導管187が閉鎖されて、一方向の流動198を禁じるので、逆止弁182-1~182-iの直列接続により、入口180iと出口180oとの間の流動導管187が開放されたままとなり得るリスクを低減してもよい。したがって、図2Bに示される直列接続は、第1の逆止弁アセンブリ180を介して冷却剤チャンネル160、又は出口180oが開放する他の通路から格納容器環境192内までの予期しない逆流のリスクを低減することで、パッシブ格納容器冷却システム200の信頼性を向上してもよい。
【0087】
図2Cを参照すると、いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の逆止弁182は、入口180iと1つ以上の出口180o-1~180o-J(例えば、少なくとも入口180iを備えた「i」個の逆止弁の直列接続の「j」個の組の並列接続であって、「j」は、1以上の正の整数であり、「i」は1以上の正の整数である)との間に複数の逆止弁182-1,1~182-i,jの並列接続を備えてもよい。図2Cに示される通り、逆止弁182-1,1~182-1,jの入口182iは、入口導管181iを介して入口180iに並列に、且つ各入口分岐導管281-1~281-jとは別に連結されてもよい。さらに示されるとおり、1つ以上(例えば、「i」個)の逆止弁182の各別個の分岐(1~j)は、図2Bを参照して説明したとおり、逆止弁182-1~182-iの直列接続と同様に、入口180iと別個の出口180o-1~180o-jとの間で直列に連結されてもよい。しかしながら、例としての実施形態はこれに限定されるものでなく、いくつかの例としての実施形態において、逆止弁182の2つ以上の分岐1~jが、単一の入口180iと単一の出口180oとの間で、1つ以上の分岐入口導管281-1~281-jと1つ以上の分岐出口導管282-1~282-jを介して並列に連結されてもよい。
【0088】
複数の逆止弁182-1,1~182-i,jのうちの各逆止弁182は、各逆止弁182の入口182iでの圧力が第1の閾値の大きさPX1以上になったことに応じて開放するように構成されてもよい。したがって、逆止弁182-1,1~182-i,jの入口182iにおける圧力が入口180iにおける圧力と同一であってもよく、逆止弁182の各並列分岐における1~i個の逆止弁の各直列接続が図2Bを参照して上述したとおり、連続して駆動することで、入口180iと1つ以上の出口180o-1~180-jとの間に複数の並列流体導管187-1~187-jを構築してもよいため、逆止弁182-1,1~182-i,jは、各々、入口180iの圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達するとき、開放してもよい。したがって、第1の逆止弁アセンブリ180は、1つ以上の逆止弁182-1,1~182-i,jの組の並列接続のうちの1つ以上の逆止弁のいずれかの組が開放するように駆動したことに基づき、格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にしてもよい。「i」が1に等しく、第1の逆止弁アセンブリ180が逆止弁182-1~182-jの並列接続を含むようにするとき、第1の逆止弁アセンブリ180は、逆止弁182-1~182-jの並列接続のうちのいずれかの逆止弁182が開放するように駆動したことに基づき、格納容器流体197の一方向の流動198を選択的に可能にしてもよい。したがって、いくつかの例としての実施形態において、一方向の流動198は、逆止弁182-1~182-jのうちの1つ以上が開放しなくても、逆止弁182-1~182-jのうちの少なくとも1つ(例えば、いずれか)が開放する限り、一方向の流動198が保証されてもよい。
【0089】
図2A~2Cを再び参照すると、いくつかの例としての実施形態において、逆止弁アセンブリは、1つ以上の逆止弁182の入口182iと第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iとの間に連結された破裂ディスク186を備える。例えば、図2A~2Cに示されるとおり、破裂ディスク186は、第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182と直列に連結されてもよい。破裂ディスク186は、圧力安全ディスク、破壊ディスク、破裂ディスク、破裂ダイアフラム等としても既知であるが、非再閉鎖圧力開放流動制御(例えば、圧力開放)装置を提供するのに使用される任意の周知の種別の破裂ディスクであってもよい。いくつかの例としての実施形態において、破裂ディスク186は、破裂ディスク186の入口側186iにおける圧力が第1の閾値圧力PX1、又は他の任意の特定圧力閾値の大きさ(例えば、特定の、又は代替の、事前に定められた「設定点」閾値)に達したことに応じて破裂するように構成される。破裂ディスク186は、図2A~2Cに示されるとおり、1つ以上の逆止弁182のうちの第1の逆止弁182の入口182iとの間にあってもよいため、破裂ディスク186の入口側186iは、入口180iと開放流体連通しており(例えば、これに向かって開放しており)、入口180iでの圧力P192-1が破裂ディスク186の入口側186iでの圧力でもあるようにし、ひいては、破裂ディスク186は、圧力P192-1が第1の閾値圧力の大きさPX1、又は他の任意の特定圧量閾値の大きさに達した場合に破裂するように構成されて、1つ以上の逆止弁182の入口182iでの圧力が入口180iでの圧力P192-1に達するようにし、ひいては、1つ以上の逆止弁182は、圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1に達したことに応じて、全体を通じて格納容器流体197の一方向の流動198を可能にするように、開放状態へと駆動してもよい。破裂ディスク186は、圧力P192-1が少なくとも一度も第1の閾値の大きさPX1に達していない場合に、第1の逆止弁アセンブリ180を通じた流動導管187の時期尚早な構築を防ぐことに基づき、第1の逆止弁アセンブリ180に対する信頼性をさらに高いレベルにしてもよい。
【0090】
再び図1を参照すると、パッシブ格納容器冷却システム200は、パッシブ格納容器冷却システム200の各別の冷却剤チャンネル160内に向かって延設された1つの第1の逆止弁アセンブリ180を含むものとして示されているが、いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、冷却剤チャンネル160内の冷却剤容器120の底部120b下方の同一又は異なる深さに、格納容器環境192から格納容器構造140の厚さ141を通じて同一の冷却剤チャンネル160内に向かって各々延設される、複数の第1の逆止弁アセンブリ180を備えてもよいことが理解される。
【0091】
ここで図3を参照すると、いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、第1の逆止弁アセンブリ180に加えて、冷却剤容器120の底部120b下方の垂直方向深さDB380と、ひいては、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の垂直方向深さDT380である位置に、1つ以上の追加的又は第2の逆止弁アセンブリ380を備えてもよく、この場合、1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380は、冷却剤容器120と格納容器環境192との双方と流体連通している。図3に示される通り、第2の逆止弁アセンブリ380は、格納容器構造240の厚さ141を通じて、冷却剤容器120の底部120b下方の垂直方向深さDB380と、ひいては冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の垂直方向深さDT380における冷却剤チャンネル160内に向かって延設されてもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでなく、第2の逆止弁アセンブリ380の出口380oは、垂直方向深さDB380/DT380における任意の冷却剤チャンネル160以外の他の別個の導管に向かって開放してもよく、この場合、他の別個の導管は、冷却剤容器120と流体連通しており、ひいては、第2の逆止弁アセンブリ380と冷却剤容器120との間に流体連通を構築する。垂直方向深さDT380は、冷却剤容器120内の底面120bから上面122tまでの、垂直方向深さDB380と冷却液122の冷却剤容器深さD122との合計に等しいことが理解される。図示のとおり、垂直方向深さDB380は、垂直方向深さDB180未満であってもよい。例えば、第1及び第2の逆止弁アセンブリ180及び380がともに格納容器構造140を通じて冷却剤チャンネル160まで延設される場合、1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380は、第1の逆止弁アセンブリ180に比して、冷却剤チャンネル160内の垂直方向により高い位置に配置されてもよく、ひいては、冷却剤容器120に対してより近くに配置されてもよい。
【0092】
いくつかの例としての実施形態において、第2の逆止弁アセンブリ380は、入口380iを介して格納容器環境192に向かって開放された入口導管381iと、垂直方向深さDB380/DT380において冷却剤容器120と流体連通した(例えば、深さDB380/DT380において冷却剤チャンネル160又は冷却剤容器120への他の任意の導管に開放した)出口導管381oと、入口導管381iと出口導管381oとの間に連結された1つ以上の逆止弁382とを備える。導管と第2の逆止弁アセンブリ380内の逆止弁382との構成は、図2A~2Cのいずれかに示される構成のいずれかを含む、第1の逆止弁アセンブリ180が有してもよい構成のうちのいずれかであってもよく、第2の逆止弁アセンブリ380が、第1の逆止弁アセンブリ180に含まれてもよい逆止弁382の任意の直列接続及び/又は並列接続を備えてもよく、第2の逆止弁アセンブリ380の逆止弁382の構成が、第1の逆止弁アセンブリ180の逆止弁182の構成と同一であってもよく、又はこれと異なってもよいようにすることが理解される。
【0093】
第1の逆止弁アセンブリ180と同様に、第2の逆止弁アセンブリ380は、流動導管387を選択的に開放し、ひいては、1つ以上の逆止弁382の入口382iにおける圧力と、ひいては第2の逆止弁アセンブリ入口380iにおける格納容器環境192の圧力P192-3と、ひいては垂直方向深さDB380/DT380(この場合、圧力P192-3は、任意の所与のタイミングにおける圧力P192-1と同一であってもよく、又は異なってもよい)が第2の閾値の大きさPX2以上となる(例えば、これに達する)ことに応じて、第2の逆止弁アセンブリ380の1つ以上の逆止弁382が開放するように駆動することに基づいて、格納容器環境192から冷却剤容器まで格納容器流体197の一方向の流動398を選択的に可能にするように構成される。第2の閾値の大きさPX2は、第1の閾値の大きさPX1とは異なってもよい。第2の閾値の大きさPX2は、第2の逆止弁アセンブリの出口380oにおける冷却剤チャンネル160内の冷却液125の静水圧P380に少なくとも部分的に対応してもよい。換言すると、第2の閾値の大きさPX2は、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の深さDT380における冷却液125の静水圧P380に少なくとも部分的に対応してもよく、ひいては、冷却液の深さDT380における冷却液122の圧力水頭に対応(例えば、これに等しいか、又は特定の比例マージン及び/又はマージンの大きさ分大きい)してもよい。第1の閾値の大きさPX1と同様に、いくつかの例としての実施形態において、第2の閾値の大きさPX2は、冷却剤容器120が特定の参照深さD122まで冷却液で充填された結果である深さDT380における参照静水圧P380に対応(例えば、これに合致するか、又は特定のマージン割合又は大きさ分超過)してもよい。
【0094】
第2の逆止弁アセンブリ380の1つ以上の逆止弁382は、第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182を参照して本明細書中に説明したのと同様に動作してもよく、ひいては、格納容器環境192のパッシブ通気を提供するように構成されてもよいことが理解される。
【0095】
第2の逆止弁アセンブリ380は、垂直方向離間距離dH380分、パッシブ格納容器冷却システム200内の第1の逆止弁アセンブリ180の垂直方向上方に離間してもよく、且つ、いくつかの例としての実施形態においては、圧力P192-3とP192-1とが同時に(例えば、格納容器環境192が少なくとも深さDB180/DT180とDB380/DT380との間で気体によって充填されるとき)、同一の大きさであってもよいため、第2の逆止弁アセンブリ380の1つ以上の逆止弁382は、圧力P192-3/P192-1が深さDT380における静水圧P380よりは大きいものの、深さDT180における静水圧P180よりは小さい第2の閾値の大きさPX2に等しくなるとき、開放するように駆動して、第2の逆止弁アセンブリ380を介して格納容器環境192から冷却剤チャンネル160までの一方向の流動398を選択的に可能にしてもよい。第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182は、次いで、圧力P192-3/P192-1が第2の閾値の大きさPX2から第1の閾値の大きさPX1まで続いて増加したことに応じて、開放するように駆動して、一方向の流動198を選択的に可能にしてもよい。第1及び第2の逆止弁アセンブリ180及び380は、格納容器流体197の各一方向の流動198及び398を独立して選択的に可能にしたり、又は禁じたりするように、独立して駆動してもよく、ひいては、格納容器環境192内の圧力が上昇するほど、より多くの流動導管387及び187がより多くの逆止弁アセンブリ380及び180によって構築されてもよいため、パッシブ格納容器冷却システム200によって提供される格納容器流体197の「通気」は、格納容器環境192内の圧力に比例する増加率で提供されてもよい。格納容器環境192内の圧力が増減するのに合わせて、開放する流動導管187及び387の量を増減されてもよく、このような流動導管の比例的且つ独立的な開閉は、何らの操作者の介入もなく(例えば、これとは独立して)実施されてもよく、ひいては、パッシブ格納容器冷却システム200によって提供されるパッシブな比例通気能力であると理解されてもよい。
【0096】
図3は、単一の第2の逆止弁アセンブリ380のみを示しているが、パッシブ格納容器冷却システム200は、冷却剤チャンネル160内において同一又は異なる垂直方向高さに配置されてもよく、冷却剤容器120の底部120b下方の各第2の逆止弁アセンブリの各深さに基づく、別の各閾値PXを有してもよい任意の量の第2の逆止弁アセンブリ380を備えてもよいことが理解される。いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、第2の逆止弁アセンブリ380を全く備えなくてもよいことが理解される。
【0097】
図3は、冷却剤チャンネル160内に向かって延設された第2の逆止弁アセンブリ380を示しているが、例としての実施形態はこれに限定されるものでないことが理解される。例えば、パッシブ格納容器冷却システム200の第2の逆止弁アセンブリ380は、冷却剤チャンネル160内に延設される代わりに、別の通路又は並行通路とも称される、1つ以上の他の別個の導管を介して冷却剤容器120に経路設定されてもよく、1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380はこの中に向かって延設されてもよい。例えば、第2の逆止弁アセンブリ380は、別の通路又は並行通路とも称される(図1又は3には図示せず)、格納容器環境192から、1つ以上の冷却剤チャンネル160から独立して冷却剤容器120まで延設されてもよい別の導管内に向かって延設されてもよい。したがって、いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380は、1つ以上の冷却剤チャンネル160から独立して、冷却剤容器120までの格納容器流体197の1つ以上の一方向の流動398の「通気」を可能にするように構成されることで、冷却剤容器120が、1つ以上の冷却剤チャンネル160から独立して、冷却液197の材料の少なくとも一部を保持できるようにしてもよい。いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180は、冷却剤チャンネル160内に向かって延設されてもよく、第2の逆止弁アセンブリ380は、第1の逆止弁アセンブリ180が中に向かって延設される冷却剤チャンネル160、又は他の任意の冷却剤チャンネル160とは独立して、冷却剤容器120まで延設される別の導管内に向かって延設される。いくつかの例としての実施形態において、第2の逆止弁アセンブリ380は、冷却剤チャンネル160内に向かって延設されてもよく、第1の逆止弁アセンブリ180は、第2の逆止弁アセンブリ380が中に向かって延設される冷却剤チャンネル160、又は他の任意の冷却剤チャンネル160とは独立して、冷却剤容器120に向かって延設される別の導管内に向かって延設される。
【0098】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180は、冷却剤チャンネル160の一部又は全部に存在しなくてもよい。いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、第1の逆止弁アセンブリ180を全く備えなくてもよい。
【0099】
また図1を参照し、さらに図5を参照すると、パッシブ格納容器冷却システム200は、冷却剤容器120の底部120b下方の底部垂直方向深さDB190において、ひいては、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の深さDT190において、可溶栓190を備えてもよく、可溶栓190は、冷却剤容器120と格納容器環境192と流体連通する。例えば、図5に示される通り、可溶栓190は、両側の端部190i、190oの間で、格納容器構造140の厚さ141を通じて、冷却剤容器120の底部120b下方の底部垂直方向深さDB190、ひいては、冷却剤容器120内の冷却液122の上面122t下方の深さDT190における冷却剤チャンネル160内に向かって延設されてもよいが、例としての実施形態はこれに限定されるものでない。例えば、可溶栓190の端部190oは、垂直方向深さDB190/DT190において、任意の冷却剤チャンネル160以外の他の別個の導管に向かって開放されてもよく、他の別個の導管は、冷却剤容器120と流体連通することで、可溶栓190と冷却剤容器120との間に流体連通を構築する。垂直方向深さDT190は、冷却剤容器120内の底部120bから上面122tまでの垂直方向深さDB190と冷却液122の冷却剤容器深さD122との合計に等しいことが理解される。底部垂直方向深さDB190/DT190は、図1に示されるとおり、距離dH192分、第1の垂直方向深さDB180/DT180より大きく、底部垂直方向深さDB190/DT190における冷却剤チャンネル160内の冷却液124/125の静水圧P190(冷却液の深さDT190の冷却液の圧力水頭に対応する静水圧P190であってもよい)が、第1の逆止弁アセンブリ出口180oにおける冷却剤チャンネル160内の冷却液125の静水圧P180(例えば、冷却液の深さDT180の圧力水頭に対応する静水圧P180)を上回るようにしてもよい。
【0100】
いくつかの例としての実施形態において、可溶栓190は、可溶栓190における(例えば、格納容器環境192に開放した可溶栓190の端部190iにおける)格納容器環境192内の温度T192が少なくとも閾値温度TXを満たしたことに応じて、少なくとも部分的に溶解するように構成され、可溶栓190が、冷却液124、125の少なくとも一部で格納容器環境192を少なくとも部分的に浸水させるために、両側の端部190oと190iとの間で、底部垂直方向深さDB190/DT190における冷却剤チャンネル160又は冷却剤容器120へのその他の通路との間で、格納容器環境192内に向かって、延設された流動導管195を露出するようにする。図1及び5に示されるとおり、可溶栓190は、冷却剤チャンネル160の底部、例えば、高さH4に位置決めされて、冷却剤チャンネル160に開放された可溶栓190の端部190oを通り過ぎ、ひいては、可溶栓190が少なくとも部分的に溶解したことに応じて、格納容器環境192を浸水させる冷却液となる冷却液124が、より冷たい冷却液124となるようにし、ひいては、格納容器環境192内の冷却を改善するようにしてもよい。可溶栓190は、格納容器構造140の厚さ141を通じて延設され、可溶性190の端部190iにおける温度T192が閾値温度TX(例えば、可溶合金193の融点)に達したことに応じて溶解するように構成された可溶合金193(例えば、錫)の充填された内側円筒形導管195(本明細書中、流動導管、流体導管等とも称する)を規定する内面191iを有する円筒形本体191(例えば、真鍮、鋼等を含む)を備えた、任意の周知の種別の可溶栓であってもよく、可溶合金193が少なくとも部分的に溶解して、円筒形本体191を通じて延設された円筒形導管195を開放(例えば、露出)し、ひいては、露出された導管195を介して、可溶栓190を通じて流動導管を構築し、ひいては、導管195を通じて格納容器環境192内に冷却液124を流動させることができるようにしてもよい。一旦格納容器環境192内に導入されると、浸水した冷却液124は、格納容器環境192及び/又は原子炉100、格納容器を冷却し、格納容器環境内の放射性材料(例えば、FCM、LFCM、炉心溶融物、これらの任意の組み合わせ等)を冷却及び制御して、(例えば、格納容器環境192内の蒸気の冷却及び凝集を通じて)格納容器環境192、これらの任意の組み合わせ等における圧力を低減してもよい。
【0101】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180は、第1の逆止弁アセンブリ入口180iにおける格納容器環境192内の圧力P192-1が第1の閾値の大きさPX1以上になったことに応じて、1つ以上の逆止弁182が選択的に開放することに基づき、可溶栓190が少なくとも部分的に溶解したことに応じて、可溶栓190の露出した導管195を通じて格納容器環境192内に冷却液124が流動可能となるために、底部垂直方向深さ(例えば、DB190と、ひいてはDT190)における冷却剤チャンネル160内の冷却液124の静水圧P190未満の大きさに、底部垂直方向深さDB190/DT190における格納容器環境192内の圧力P192-2を維持するように構成される。例えば、第1の逆止弁アセンブリ180は、垂直方向距離dH192、可溶栓190から垂直方向に離間してもよく、1つ以上の逆止弁182は、1つ以上の逆止弁182の入口182iにおける圧力が、深さDB190/DT190における冷却剤チャンネル160内の静水圧P190未満の閾値圧力PX1に達したことに応じて開放するように駆動するよう構成されてもよく、1)圧力P192-2が静水圧P190の大きさに達するのに先立って、1つ以上の逆止弁182が開放するようにすることで、P192―2が静水圧P190の大きさには達しないことを保証し、ひいては、可溶栓190を通じた冷却剤チャンネル160から格納容器環境192までの圧力勾配が確保されるようにし(これにより、可溶栓190を通じた格納容器環境192を出る逆流を緩和又は防止する)、2)(1つ以上の逆止弁182が開放した後)可溶栓190が少なくとも部分的に溶解するとき、格納容器環境192内に深さDB190/DT190~DB180/DT180から、圧力勾配が存在することで、格納容器環境192を通じた流体の流動が、可溶栓190から第1の逆止弁アセンブリ入口180iまで進むようにする。いくつかの例としての実施形態において、深さDB190/DT190における格納容器環境192内の圧力P192-2は、第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iにおける圧力192-1と同一であってもよく、又はこれと異なってもよい。
【0102】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180は、圧力P192-1が、閾値温度の高さTXに達した可溶栓190の端部190iにおける温度T192に対応する圧力の大きさ未満の閾値の大きさPX1に達したことに応じて、1つ以上の逆止弁182が開放するように駆動することに基づき、一方向の流動198を選択的に可能するように構成される。例えば、可溶栓190は、圧力P192-2にて、温度T192が特定の閾値温度TXであるときに少なくとも部分的に溶解するように構成されてもよく、温度T192は、圧力P192-2の大きさに対応してもよく、1つ以上の逆止弁182は、入口側の圧力(例えば、入口182iにおける圧力)が、閾値温度TXである温度T192に対応する圧力未満である第1の閾値の大きさPX1であることに応じて開放するように駆動するよう構成されてもよい。したがって、第1の逆止弁アセンブリ180は、温度T192が閾値温度TXに達して可溶栓が少なくとも部分的に溶解を開始したとき、1つ以上の逆止弁182が開放し、ひいては、流動導管187が開放して一方向の流動198が可能になることを保証するように構成され、可溶栓190が少なくとも部分的に溶解して導管195を露出するとき、通気が確実に行われるようにしてもよい。したがって、パッシブ格納容器冷却システム200は、導管195が露出されるときに導管187が開放されることを保証するように構成されることで、導管195を介して格納容器環境192内に向かって、及び、導管187を介して格納容器環境192を出るように導管を構築してもよい。
【0103】
いくつかの例としての実施形態において、第1の逆止弁アセンブリ180と可溶栓190とは、底部垂直方向深さDB190/DT190における可溶栓190を通じて露出した導管195を介し、格納容器環境192から冷却剤チャンネル160まで、及び、第1の垂直方向深さDB180/DT180における第1の逆止弁アセンブリ180を介して格納容器環境192から冷却剤チャンネル160まで、格納容器環境192内の冷却液124の循環を可能にするようにまとめて構成される。したがって、冷却液は、より冷たい冷却液124が溶解した可溶栓190の流動導管195を介して格納容器環境192に入り、格納容器環境192内の加熱された冷却液を置換し、格納予期環境192内の加熱された冷却液が第1の逆止弁アセンブリ180を介して格納容器環境192から除去され、冷却剤容器120に戻され、これに伴う任意の放射性材料を保持し、ひいては、このような材料を原子力発電所1内に少なくとも一時的に保持することで、格納容器を改善することを保証するように、上方流動方向において、格納容器環境192を出入りするように循環してもよい。
【0104】
複数の可溶栓190は、冷却剤チャンネル160内の冷却剤容器120の底部120bから同一又は異なる深さにおいて、格納容器構造140の厚さ141を通じて、格納容器環境192から同一共通の冷却剤チャンネル160まで延設されてもよいことが理解される。
【0105】
図1は、1つ以上の冷却剤チャンネル160内に延設される1つ以上の可溶栓190を示しているが、例としての実施形態はこれに限定されるものでないことが理解される。例えば、パッシブ格納容器冷却システム200の1つ以上の可溶栓190は、冷却剤チャンネル160内に延設される代わりに、別の通路又は平行通路とも称される、1つ以上の他の別個の導管を介して冷却剤容器120に経路設定されてもよく、可溶栓190は、この中に向かって延設されてもよい。例えば、可溶栓190は、格納容器環境192から、別の通路又は平行通路とも称される(図1又は図5には図示せず)、1つ以上の冷却剤チャンネル160とは独立して冷却剤容器120まで延設されてもよい別の導管内まで、延設されてもよい。したがって、いくつかの例としての実施形態において、1つ以上の可溶栓190は、パッシブ格納容器冷却システム200の1つ以上の冷却剤チャンネル160とは別の独立した冷却剤容器120からの通路を介して、可溶栓190に供給される冷却液を介して、格納容器環境192の少なくとも部分的な浸水を可能にするように構成されてもよい。いくつかの例としての実施形態において、可溶栓190は、第1の逆止弁アセンブリ180及び/又は第2の逆止弁アセンブリ380が中に延設されてもよい、導管、通路、又は冷却剤チャンネル160から独立した(例えば、これと並行して冷却剤容器120に連結された)冷却剤容器120への導管又は通路内に向かって延設されてもよいことが理解される。
【0106】
いくつかの例としての実施形態において、可溶栓190は、冷却剤チャンネル160の一部又は全部に存在しなくてもよいことが理解される。いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、可溶栓190を全く備えなくてもよい。
【0107】
図4は、いくつかの例としての実施形態に係る、パッシブ格納容器冷却システムの操作方法を示すフローチャートである。図4に示される方法は、図1、2A~2C、3、及び5~6に示される例としての実施形態のいずれかを含む、本明細書に記載のパッシブ格納容器冷却システム200の例としての実施形態のいずれかに関して実施されてもよい。
【0108】
図4に示されるとおり、方法は、冷却動作401と、逆止弁アセンブリ動作411と、可溶栓動作421とを含んでもよい。動作401、411、及び421は、少なくとも部分的に同時発生的に(例えば、同時に)、別々に、等のように実施されてもよい。いくつかの例としての実施形態は、動作411は、動作401及び421とは独立して実施されてもよい。いくつかの例としての実施形態において、動作421は、動作401及び411とは独立して実施されてもよい。いくつかの例としての実施形態において、動作411及び/又は421は、省略されて、動作401が単独で実施されるようにしてもよい。いくつかの例としての実施形態において、パッシブ格納容器冷却システム200は、温度T192が、第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182が開放する圧力P192-1に対応する高さであるとき、パッシブ格納容器冷却システム200の可溶栓190が少なくとも部分的に溶解するように構成されてもよいため、動作411において第1の逆止弁アセンブリ180が流動導管187を開放して一方向の流動198を選択的に可能としたことに応じて、動作421は実施されてもよい。
【0109】
いくつかの例としての実施形態において、動作421は、例えば、パッシブ格納容器冷却システム200がいずれの可溶栓190も備えない場合、省略されてもよい。
【0110】
動作401をまず参照すると、S402において、この方法は、冷却液124を、重力に応じて、冷却剤容器120から冷却剤供給装置150を介して、原子炉100のための格納容器環境192を少なくとも部分的に規定する格納容器構造140に連結された冷却剤チャンネル160まで下方に流動させるように方向付けることを備え、冷却剤チャンネル160は、格納容器構造140に沿って垂直方向に延設されて、冷却液124が、重力に応じて、冷却剤チャンネル160の底部内に方向づけられるようにする。
【0111】
S404において、冷却剤チャンネル160内の冷却液124は、少なくとも格納容器構造140を介して格納容器環境192内の原子炉100によって遮断された熱102を吸収する。熱102を吸収したこのような冷却液124は、加熱された冷却液125となり、冷却剤チャンネル160の底部に供給される、より冷たい冷却液124の浮力及び密度との関連で、浮力変化(例えば浮力の増加)と密度変化(例えば、密度低下)を経験する。
【0112】
S406において、加熱された冷却液125は、S404において冷却液125が熱102を吸収した結果として、冷却液124の浮力との関連における、加熱された冷却液125の浮力の変化に応じて、冷却剤チャンネル160の上部を介して冷却剤チャンネル160の底部から冷却剤容器120に向かって、冷却剤チャンネル160を通じて上昇する(例えば、上方に流れる)。上昇する加熱された冷却液125は、冷却剤供給導管150を介して、新鮮なより冷たい冷却液124により、冷却剤チャンネル160の底部で変位されてもよい。
【0113】
S408において、上昇する加熱された冷却液125は、冷却剤チャンネル160の頂部に達し、冷却剤チャンネル160の底部内に供給されている冷却液124を超える冷却液126の浮力の増加及び密度の低下に応じて、冷却液126として、冷却剤返却導管170を通じて上昇し続ける。冷却液126は、冷却剤返却導管170を通じて上方に上昇するため、S410において、冷却剤返却導管170の出口174を介して、冷却剤容器120の上方領域121aに流れ込む。冷却液126は、冷却剤容器120の下方領域121b内のより冷たい冷却液123bを超える浮力増加及び密度低下を有することに基づき、上方領域121aに留まってもよい。いくつかの例としての実施形態において、冷却剤容器120内の冷却液126は、時間とともに冷却してもよく、冷却液123bとして、下方領域121b内に沈み込んでもよく、このため、冷却剤チャンネル160の底部に戻るように方向付けられるため、冷却剤容器120と冷却剤チャンネル160との間に冷却液の循環を構築してもよい。
【0114】
いくつかの例としての実施形態において、加熱された/返却冷却液125/126によって格納容器環境192から除去された熱は、少なくとも一定時間、冷却剤容器120内に保持されてもよい。S412において、いくつかの例としての実施形態において、除去された熱は、1つ以上の種々の熱交換器128を介して、冷却剤容器120からさらに除去されてもよく、これにより、パッシブ格納容器冷却システム200の熱除去の低下又は過熱のリスクを低減又は防止してもよい。
【0115】
動作411を参照すると、動作401のS402~S412のうちのいずれかと同時発生的に、又はこれとは別に、S420及びS422において、第1の逆止弁アセンブリ180のいずれかの逆止弁182の入口182iにおける圧力が、各逆止弁182が開放状態(例えば、S420=YES)に駆動するように構成された対応閾値圧力PXに達したことに応じて、逆止弁182が開放してもよい。第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iに開放する入口182iを有する逆止弁182については、この逆止弁182の入口182iにおける圧力が入口180iにおける格納容器環境192内の圧力P192-1であるため、逆止弁182は、第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iにおける格納容器環境の圧力が逆止弁182の閾値圧力PX1に達したこと応じて開放状態(例えば、「開放」)に駆動してもよい。第1の逆止弁アセンブリ180の入口180iと出口180oとの間のすべての逆止弁182が開放されるとき、流動導管187が開放され、格納容器環境192から冷却剤チャンネル160への一方向の流動198が選択的に可能にされるため、S424において、格納容器流体197が、第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の開放された逆止弁182を介して、格納容器環境192から冷却剤チャンネル160に流動してもよい。
【0116】
S426において、入口180iにおける圧力(例えば、圧力P192-1)が第1の閾値の大きさPX1を下回って降下しない場合(例えば、S426=NO)、流動導管187は、開放したままとなり、第1の逆止弁アセンブリ180を通じた一方向の流動198が維持される。S426及びS428において、圧力P192-1が閾値圧力を下回って降下した場合(例えば、S426=YES)、第1の逆止弁アセンブリ180の1つ以上の逆止弁182は、閉鎖状態に駆動してもよいため、流動導管187は、閉鎖され、一方向の流動198は禁じられる。一方向の流動198は、次いで、S420及びS422において、圧力P192-1が次いで少なくとも閾値圧力PX1まで上昇して戻った場合に、再度可能とされてもよい。
【0117】
以上の動作411の動作S420~S428は、動作401の動作S400~S412のいずれかと並行して実施されてもよいことが理解される。上述の動作411の動作S420~S428は、第1の逆止弁アセンブリ180を参照して上述したが、パッシブ格納容器冷却システム200が第1の逆止弁アセンブリ180に加えて1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380を備える場合、動作S420~S428が第1の逆止弁アセンブリ180に関して実施されるのに並行して、動作S420~S428が1つ以上の第2の逆止弁アセンブリ380に関して並行して実施されてもよいことが理解される。
【0118】
S402~S412及び/又はS420~S428のうちのいずれか(例えば、動作401及び/又は動作411)と同時発生的に、又はこれとは別に、S430及びS432において、冷却剤チャンネル160内の底部垂直方向深さDT190における1つ以上の可溶栓190は、可溶栓190の格納容器環境対向端部190iにおける温度T192が閾値温度TXに達したことに基づき(例えば、S430=YES)、少なくとも部分的に溶解してもよく(例えば、可溶合金193が、格納容器環境192に開放する端部190iと冷却剤チャンネル160に開放する反対側端部190oとの間で円筒形本体191に規定される導管195を通じて延設されることに基づく)、ここで閾値温度TXは、端部190iにおける格納容器環境192の圧力P192-2における可溶合金193の溶解温度であってもよい。S432で少なくとも部分的に溶解した結果として、深さDT190における冷却剤チャンネル160内の冷却液124の少なくとも一部は、S434において、線422で示されるように、S432で溶解した結果として露出した導管195を通じて、格納容器環境192に流れ込むことにより、少なくとも部分的に格納容器環境192を浸水させてもよい。
【0119】
S436において、格納容器環境192を浸水した冷却液124は、格納溶液環境192が冷却液で深さDT180まで充填された場合、格納容器環境192からの熱を吸収することに基づいて、深さDT180まで上昇してもよく、冷却液は、線431で示されるように、S406~S410において、冷却剤容器120に戻るように、一方向の流動198の一部として、深さDT180における逆止弁アセンブリ180を通じて開放した流動導管187を通じ、深さDT180における冷却剤チャンネル160に戻るように流動してもよい。例としての実施形態によっては、動作S430=YESであればいつでも、S420=YES及びS426=NOであり、可溶栓190がS432で少なくとも部分的に溶解したときにはいつでも、流動導管187が開放するようにしてもよい。
【0120】
本明細書中、多数の例としての実施形態について説明を行ったが、他の変更も可能であり得ることが理解されなければならない。このような変化は、本開示の要旨及び範囲から逸脱するものと見なされてはならず、当業者にとって明らかとなるように、このような修正は、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図されるものである。さらに、本明細書中にプロセスを開示したが、記載のプロセスの要素は、要素及びその組み合わせ等を異なって選択することにより、異なる順で実施されてもよいことが理解されなければならない。例えば、本開示のプロセスのいくつかの例としての実施形態は、図示及び説明を行ったプロセスよりも少ない数の要素を使用して実施されてもよく、本開示のプロセスのいくつかの例としての実施形態は、図示及び説明を行ったプロセスよりも多い数の要素を使用して実施されてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6