(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】油井最適化のためにワックス/水和物の蓄積を予測する油井モデルを開発・展開するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240725BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240725BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06N20/00 160
(21)【出願番号】P 2022557880
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 US2021024452
(87)【国際公開番号】W WO2021195547
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500204511
【氏名又は名称】アスペンテック・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AspenTech Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ラオ・アショック
(72)【発明者】
【氏名】カスティロ・ペドロ・アレジャンドロ・カスティロ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】カーン・ミール
(72)【発明者】
【氏名】ハームズ・マギール・ジェー
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/222129(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0256055(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0166099(US,A1)
【文献】米国特許第06042715(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装され、コンピュータが実行する、油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記コンピュータが、油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを含むデータを読み込み、前記油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットに基づいてデータセットを生成するステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記コンピュータが、前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
前記コンピュータが、油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記コンピュータが、前記
エンリッチングされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよび
エンリッチングされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
前記コンピュータが、機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
前記コンピュータが、識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力することによって、油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップと、
前記コンピュータが、
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップと、
前記コンピュータが、運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記コンピュータが、前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記コンピュータが、前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
前記コンピュータが、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記読み込まれたデータが、一つ以上のユーザー指定設定値をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、入力間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、他のすべての入力にわたって前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、一つの入力のみを選択して、前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせた和が前記事前に定義された閾値以上であるときに、前記選択した入力と相関度が高い入力を除去するステップをさらに含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記選択した入力が、前記
ピアソン積率相関係数の最小和を有する入力である、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、
前記サブデータセットおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムが、
プロセッサと、
コンピュータコード命令がその中に格納されたメモリと、を備え、前記プロセッサおよび前記メモリが、前記コンピュータコード命令を用いて、前記システムに、
油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを含むデータを読み込み、前記油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットに基づいてデータセットを生成させるステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記
エンリッチングされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよび
エンリッチングされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力することによって、油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップと、
正常なデータ範囲および状態条件を、
前記サブデータセットから決定するステップと、
運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を実行させるように構成されている、コンピュータシステム。
【請求項17】
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記読み込まれたデータが、一つ以上のユーザー指定設定値をさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項21】
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項22】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、入力間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項23】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、他のすべての入力にわたって前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、請求項22に記載のコンピュータシステム。
【請求項24】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、一つの入力のみを選択して、前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせた和が前記事前に定義された閾値以上であるときに、前記選択した入力と相関度が高い入力を除去するステップをさらに含む、請求項23に記載のコンピュータシステム。
【請求項25】
前記選択した入力が、前記
ピアソン積率相関係数の最小和を有する入力である、請求項24に記載のコンピュータシステム。
【請求項26】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、
前記サブデータセットおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項27】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項28】
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項29】
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項30】
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項31】
油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するための非一時的コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が、その中に格納されたコンピュータコード命令を有するコンピュータ可読媒体を備え、前記コンピュータコード命令が、プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに関連付けられた装置に、
油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを含むデータを読み込み、前記油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットに基づいてデータセットを生成させるステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記
エンリッチングされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよび
エンリッチングされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力することによって、油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップと、
正常なデータ範囲および状態条件を、
前記サブデータセットから決定するステップと、
運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を実行させるように構成されている、非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項32】
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項33】
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項34】
前記読み込まれたデータが、一つ以上のユーザー指定設定値をさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項35】
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項36】
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項37】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、入力間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項38】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、他のすべての入力にわたって前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、請求項37に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項39】
油井の運用状態識別のために相関度の高い入力を除去するステップが、一つの入力のみを選択して、前記
ピアソン積率相関係数を足し合わせた和が前記事前に定義された閾値以上であるときに、前記選択した入力と相関度が高い入力を除去するステップをさらに含む、請求項38に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項40】
前記選択した入力が、前記
ピアソン積率相関係数の最小和を有する入力である、請求項39に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項41】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、
前記サブデータセットおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項42】
前記サブデータセットから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項43】
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記
サブデータセットを訓練
サブデータセットおよび試験
サブデータセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項44】
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項45】
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、請求項31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、油井最適化のためにワックス/水和物の蓄積を予測する油井モデルを開発・展開するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年3月26日出願の米国仮特許出願第62/994,936号の利益を主張する。上記出願の教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
米国で稼働中の油井およびガス井は、90万本を超える。2010年以来、13万本を超える数が掘削されてきた。米国における油井の大部分(96%)は、人工採油を必要とする。人工採油の2つの主なカテゴリーは、ポンプシステムとガスリフトである。ほとんどのガスリフト井は、連続流で運用されている。例えば、ガスは生産導管内に連続的に注入され、生成された坑井流体と混合されて密度および自噴坑底圧を減少させ、それによって流体が坑井孔に流れ込むことを可能にする圧力差が生じる。
【0004】
ワックスの堆積や水和物の蓄積は、石油生産プロセスにおいて最も困難な流路保全問題の一つである[1]。関連する問題は油層から精製所まで及ぶが、生産油井、特に沖合など、影響を受ける地域が到達困難な場所である時に、その影響が特に大きなものである場合がある。孔、孔面、チュービングストリング、およびポンプに隣接する領域のワックスの堆積は、冷却効果の結果であり、これは、石油が高圧の油層から坑井孔に入り込み、表面へと流れる時に発生する。減圧中に、石油は膨張し、熱が石油から奪われる。熱の喪失は、温度の低下をもたらし、それによってワックスの結晶化およびその後の坑井のプラギングを誘発する。この場合には、ワックスの堆積は、坑井の流量の減少をもたらし、最終的に完全な閉塞を引き起こす。
【0005】
石油産業における現在の慣行は、繰り返して行われる定期的なワックス除去である。頻繁に使用される方法および技術には、機械的除去、高温油循環および高温水循環による加熱のほか、溶媒および分散剤の使用による化学的抑制などが含まれる。それにもかかわらず、使用される方法はどれも高価であり、ワックス/水和物の蓄積を適切に解決できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Sousa A. L., H. A. Matos, L.P. Guerreiro, Preventing and removing wax deposition inside vertical wells: a review, Journal of Petroleum Exploration and Production Technology (2019) 9:2091-2107
【文献】Venkat Venkatasubramanian, The Promise of Artificial Intelligence in Chemical Engineering: Is It Here, Finally?” AIChE Journal, Vol.65-2, 467-479
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生産油井のワックス/水和物の堆積状態をモデル化し予測するためのシステムおよび方法は、メンテナンス計画をサポートし、石油生産のコスト効率を改善するために望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
人工知能(AI)および機械学習(ML)の研究および応用における最近の進歩は、この問題に対処する助けとなる好機[2]を提供する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、過去の運用データを使用することによって、油井のモデルを構築して展開することで、産業従事者を支援することができる。システムおよび方法は、ユーザーが一つ以上の油井のワックス/水和物の堆積条件を予測および推定することを可能にする。各油井の状態に基づき、ユーザーは、油井の操業停止を低減し、メンテナンスコストを削減し、操業を延長することにより、メンテナンス計画を改善し、油井生産を最適化することができる。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、ワックス/水和物の堆積状態をモデル化し予測することによって、油井生産を支援する。実施形態は、油井のワックスおよび水和物の堆積状態を推定するための、オンラインのスケーラブルな油井プロセスモデル(例えば、回帰モデル、機械学習モデル、統計モデルなど)を構築して展開する。
【0010】
本明細書に記載の一実施形態は、油井におけるワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータ実装方法である。
【0011】
別の実施形態は、油井におけるワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータシステムを対象とする。コンピュータシステムは、プロセッサと、コンピュータコード命令が格納されたメモリと、を備え、プロセッサおよびメモリは、コンピュータコード命令を用いて、本明細書に記載の方法をシステムに実行させるように構成されている。
【0012】
別の実施形態は、油井におけるワックスまたは水和物の堆積を推定するための非一時的コンピュータプログラム製品を対象とする。コンピュータプログラム製品は、コンピュータコード命令をその上に格納したコンピュータ可読媒体を含み、コンピュータコード命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに関連付けられた装置に、本明細書に記述された任意の方法を実施させるように構成される。
【0013】
データセットは、油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを読み込むことによって生成され、油井の過去のセンサー測定データの各セットは、油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットは、油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む。生成されたデータセットは、油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質において無効である測定値を識別して除去することによってクレンジングされる。クレンジングされたデータセットは、油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによってエンリッチされ、それにより、エンリッチングによって、一つ以上の導出された特徴変数の値をクレンジングされたデータセットに加える。相関度の高い入力の群は、エンリッチされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって識別され、識別された相関度の高い入力の各群は、センサー変数のサブセットの測定値およびクレンジングおよびエンリッチされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうち一つ以上を含む。特徴選択は、識別された相関度の高い入力の各群からの一つの代表的な入力を使用して実行され、結果をサブデータセットに出力する。データクラスターは、機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用して識別およびラベル付けされ、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成する。油井の運用状態識別のための相関度の高いセンサーが除去される。正常なデータ範囲および状態条件は、クラスター化されたデータから決定される。部分最小二乗(PLS)モデルが、運用状態識別のために構築される。イベントは、構築されたPLSモデルおよび閾値から識別およびラベル付けされる。反復では、データセットは、データセットを訓練データセットおよび試験データセットに反復的に分割され、訓練サブデータセットを使用して油井モデルが構築および訓練され、モデルの品質は試験サブデータセットを使用して評価され、終了基準が満たされたときにモデルは保存される。構築され訓練された油井モデルは、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するために実行される。
【0014】
油井の過去のセンサー測定データは、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含みうる。
【0015】
油井の過去のイベントデータは、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含みうる。
【0016】
読み込みは、一つ以上のユーザー指定設定値の読み込みをさらに含みうる。
【0017】
本方法は、生成されたデータのスケーリングをさらに含んでもよく、ここで、スケーリングは、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される。
【0018】
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムは、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む。
【0019】
油井の運用状態識別のための相関度の高いセンサーを除去することは、センサー間のピアソン積率相関係数を計算することをさらに含んでもよい。
【0020】
油井の運用状態識別のための相関度の高いセンサーを除去することは、他のすべてのセンサーにわたって係数を足し合わせ、事前に定義された閾値と比較することをさらに含んでもよい。
【0021】
油井の運用状態識別のための相関度の高いセンサーを除去することは、相関係数の最大値の絶対和値が最も高いセンサーを除去することをさらに含んでもよい。
【0022】
油井の運用状態識別のための相関度の高いセンサーを除去することは、残りのセンサーを最小の相関で維持することをさらに含んでもよい。
【0023】
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定することは、クラスター化されたデータおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出することをさらに含んでもよい。
【0024】
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定することは、状態条件およびイベントの持続時間を微調整することをさらに含んでもよい。
【0025】
データ範囲およびイベントデータに従って、データセットを訓練データセットおよび試験データセットに分割することは、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含んでもよい。
【0026】
構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定することは、リアルタイムセンサーデータを読み取り、リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含んでもよい。
【0027】
構築され訓練された油井モデルは、油井の運用を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
前述の内容は、添付の図面に示されているように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかであり、同様の参照文字は、異なる図面全体を通して同じ部分を参照している。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに実施形態を説明することに重点が置かれている。
【0029】
【
図1A】
図1Aは、ワックス堆積物を監視・推定するために、油井モデルを構築・展開するためのシステムおよび方法の例を示すフローチャートである。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aの方法において、油井の運用データやイベント情報を読み込むための例示的なシステムおよび方法を示すフローチャートである。
【
図1C】
図1Cは、
図1Aの方法において、データクレンジング、データエンリッチメント、およびデータスケーリングを実施する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図1D】
図1Dは、
図1Aの方法において、状態識別を実施する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図1E】
図1Eは、
図1Dの状態識別を実施する方法において、データクラスターを識別する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図1F】
図1Fは、
図1Dの状態識別を実施する方法において、相関度の高いセンサーを除去する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図1G】
図1Gは、
図1Dの状態識別を実施する方法において、正常なデータ範囲およびイベントを決定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図1H】
図1Hは、
図1Aの方法において、モデル訓練を実施する例示的な方法の詳細なステップを示すフローチャートである。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aの方法において、油井の最適化エージェントを選択(モデル化)するための例示的なユーザーインターフェースの図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1Aの方法において、モデル構築のための油井を選択するための例示的なユーザーインターフェースの図である。
【
図2C】
図2Cは、
図1Aの方法において、モデル構築のための油井のデータ範囲を選択するための例示的なユーザーインターフェースの図である。
【
図2D】
図2Dは、
図1Aの方法において、エージェント(モデル)、説明、および構築する油井モデル用のセンサー群を選択するための例示的なユーザーインターフェースの図である。
【
図2E】
図2Eは、
図1Aの方法において、モデル構築用の詳細設定を選択するための例示的なユーザーインターフェースの図である。
【
図2F】
図2Fは、
図1Aの方法において、訓練された油井モデルと、油井のワックスの堆積についてのその推定の例の図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態が実装されうるコンピュータネットワーク環境の例の概略図である。
【
図4】
図4は、
図3のネットワークにおける、コンピュータノードのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施形態の説明は、以下の通りである。一般に、実施形態は、油井(例えば、生産油井)のワックス/水和物の堆積状態をモデル化し予測するためのシステムおよび方法に関し、これは、メンテナンス計画をサポートし、石油生産のコスト効率を改善する上で望ましい。
【0031】
<油井の概要>
図5は、ガスリフト油井200の概略図である。坑井孔は、表面から石油の油層220に延びるアニュラス210を画定する。リフトガスは、ガス入口230で油井200に注入される。バルブ、またはチョーク235は典型的に、リフトガスの流量を制御するために使用される。リフトガスケーシング233内のリフトガスは、流量、ケーシング圧力、ケーシング温度、および分子組成を含む属性を有する。リフトガスは、ガス入口で注入され、一つ以上の注入弁250で油井のチュービング240に入り、それによって石油は出口260に向かって上向きに流れる。バルブ、またはチョーク265は典型的に、出口270への石油の流れを制御するために使用される。油井200。生産チュービング263は、チュービング温度およびチュービング圧力を含む属性を有する。注入されたガスは、生成された坑井流体と混合されて、密度および自噴坑底圧を減少させ、それによって流体が坑井孔に流れ込むことを可能にする圧力差が生じる。
【0032】
ワックスの堆積や水和物の蓄積は、石油生産プロセスにおいて最も困難な流路保全問題の1つである。これは、坑井の流量の減少をもたらし、最終的に完全な閉塞を引き起こす。しかしながら、産業慣行において、油井の運用においてワックス堆積物を特定する現在の技術および方法は、依然として開発途上にある。既存の直接的な方法は、直接的なセンサーを使用して、石油生産フロー、油井底(油層)と出口との間の圧力差などを測定することを含むが、大規模なワックス堆積物のみが検出されうる。油井壁のワックス厚を測定する既存の間接的な方法には、多相流による不正確さという欠点がある圧力降下方法(最も一般的)、多相流および特定の流れパターンによる不正確さという欠点がある熱伝達方法、大きな信号減衰を克服するための強力な信号を生成することの困難という欠点がある圧力波伝搬技術が含まれる。
【0033】
既存の方法の限界を考慮すると、より小さなまたは初期の堆積物を検出できるシステムおよび方法が石油産業にとって望ましく、また長期的なフロー条件および生産を保証し、ダウンタイムを回避し、コストの高い介入を阻止するために重要である。
【0034】
<油井モデルを構築・展開する方法の概要>
図1Aは、任意にインターネットを介してオンラインで、一つ以上の油井(例えば、生産油井)のワックスの堆積を推定するための、油井モデルを構築して展開するための全体的なワークフローの例示的な方法100を図示する。油井モデルを構築するために、方法100は、モデルへの入力として使用されるデータセットを読み込み、生成する。データセットには、油井についての過去のセンサー測定値が含まれており、したがって、過去のセンサー測定値は、油井に関する現実世界のデータである。モデルに対する出力データセットを生成するために、方法100はまた、油井の運用イベント情報を読み込み、それらのイベント情報を特定のルールに基づいて、「0」および「1」の値に変換する。ワックス堆積物の蓄積の推定、閉塞の検出、およびメンテナンス計画の最適化における油井モデルの成功は、油井モデルへの入力として使用されるデータセットの主要プロセス変数を選択する方法100の有効性に基づく。
【0035】
実施形態は、以下を含むデータ読み込みのための自動アプローチを使用する。
【0036】
1)油井の過去のセンサー測定データの読み込み、例えば、リフトガス流量、リフトガスケーシング(233)圧力、リフトガスケーシング(233)温度、生産チュービング(263)圧力、生産チュービング(263)温度、アニュラス内圧など、を読み込むステップと、
2)日付および持続時間を含むディーゼルホットフラッシュ(コードDHF)、日付および持続時間を含むスリックライン(コードSLK)、日付および持続時間を含むコイルチュービング(コードCTB)などの、油井の過去のイベントデータを読み込むステップと、
3)データクリーニング、プロセス変数入力の特徴量エンジニアリング、入力変数のエンリッチング、およびエンリッチされたデータのスケーリング、ならびに石油ワックス堆積モデルの入力の最適な選択、を含むデータの前処理をするステップと、
4)クリーニングされたデータセットを分割し、ワックス閉塞のない正常な油井生産(ワックス洗浄後の生産期間など)、故障前の期間(蓄積したワックスの堆積など)、故障期間(油井のロックが発生する)、および故障後の期間(高温の石油によるワックス洗浄など)について、いくつかのサブデータセットを生成するステップと、
5)過去の油井運用データおよびワックスクリーニングのログ日付の各イベントの開始を識別および調整するステップ。
【0037】
サブデータセットを生成するために、実施形態は、油井運用データベースの測定可能なプロセス変数について、利用可能な測定済み入力(油井の過去の測定データ)を読み込むことから始める。読み込まれた利用可能な測定済み入力は、オリジナルの(未加工の)入力データセットを含み、多くの場合、リフトガス流量、アニュラス内圧、生産チュービング(263)圧力、リフトガスケーシング(233)圧力、生産チュービング(263)温度、リフトガスケーシング(233)温度などを含む。さらに、読み込まれたデータセットはまた、ホットフラッシュ、スリックライン介入、コイルチュービング介入などの油井メンテナンス記録(油井の過去のイベントデータ)も含む。
【0038】
次に、実施形態は、特徴変数および対応する値(特徴入力)を導出するために、データセットの利用可能な測定された入力を使用して、まず特徴量エンジニアリングを実行することによるアプローチを提供する。特徴量エンジニアリングを通して、実施形態は、オリジナルの入力データセットをもとに、エンリッチされた入力データセットを生成する。そのために、実施形態は、自動データエンリッチメント手順を適用して、未加工の入力データセット内の測定された入力から特徴入力を導出するが、これが、オリジナルの入力データセットに追加される、
【0039】
実施形態はまた、石油ワックスの堆積との相関が全くないか、または比較的少ない、測定された入力および/または導出された特徴入力から、エンリッチされた入力データセットを試験し除外するための、入力-出力モデル適合分析を提供する。その結果、実施形態は、複数の技術を介して、オリジナルの入力データセットについて低減された入力次元を有する結果を提供する。
【0040】
このアプローチでは、実施形態は、まず、低品質の(無効な)データセグメント、およびオリジナルの未加工の入力データセットからの欠損した測定値や無効な測定値のクレンジングをしてもよい。例えば、これらの実施形態は、米国特許第9,141,911 B2号に記載される自動データスクリーニングおよびスライシング技術を適用し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
第二に、実施形態は、各センサー変数について、標準の統計平均または統計中央値(測定値データ分布に応じて)および標準偏差(STD)を使用して、データセットのスケーリングをしてもよい。
【0042】
次に、実施形態は、特徴量エンジニアリングを使用して入力空間(オリジナルの未加工のデータセット)のエンリッチングをし、これが、測定された入力変数の値よりも、標的のイベントに対してより予測性が高い可能性のある一つ以上の導出された特徴変数の値を生成する。実施形態は、例えば、データセットの測定可能な入力変数(測定された入力)の値に対数変換を適用することによって、またはデータセットの一つ以上の測定された入力、例えば、二つの測定点の温度差、二つの測定点の圧力差などの数学式を使用して新しい入力変数を計算することによって、物理的原理または数値変換のいずれかに基づいて、特徴変数および対応する値(入力)を導出する。次に、導出された特徴入力はデータセットに追加され、測定された入力と共に、エンリッチされたデータセットを形成する。
【0043】
実施形態は、標準的な統計方法を使用して、エンリッチされたデータセットのさらなるクリーニングおよびスケーリングを行う。
【0044】
次に、実施形態は、油井状態識別プロセスを実行する。人工知能および機械学習データクラスタリングアルゴリズム、例えばK-meansクラスタリングは、エンリッチされたデータセットに適用され、エンリッチされたデータセットは、いくつかのクラスターとしてクラスター化およびラベル付けされ、そのそれぞれは、類似した「油井の挙動」を示す。
【0045】
さらに、実施形態は、測定された特徴入力および導出された特徴入力の両方を含む、エンリッチされたデータセットのすべての入力間の相互相関解析を行う。相互相関解析は、データセットの相関度の高い入力を識別し、それらをグループ化して、これらの高度に相関した(冗長)入力が、油井モデルへの最終入力としてすべて選択されることを制限する。
【0046】
実施形態は、部分最小二乗(PLS、また、潜在構造への射影(Projection-to-Latent-Structure)とも呼ばれる)技術を適用して、クラスター化されたデータセットに基づいて油井イベントモデルを構築する。モデル訓練を準備するために、モデル入力変数およびモデル出力は、以下の考慮事項および仮定によって選択される。最大のデータクラスターは、正常な油井の運用条件に対応するものとみなされる。残りのクラスターは、他の状態であるとみなされる。これらのクラスターから、最小持続時間(この場合、1時間)よりも長いデータ範囲は潜在的なイベントとみなされる。状態出力変数の値を、正常な運用データクラスターには「0」を、イベントには「1」の値を割り当てる。
【0047】
実施形態は、各イベントの開始をさらに調整し、モデリングで計数された油井イベントについて仮定された最小持続時間に基づく特別なルールが、データセットに適用される。識別された各イベントの開始時間および持続時間を調整した後、実施形態は、油井モデルの訓練ステップに移動する。
【0048】
実施形態は、油井のワックス堆積状態を推定する改善された予測可能な能力を有する油井モデルを構築および訓練するために、結果として得られるエンリッチされた入力サブデータセットおよび定義されたイベント出力値を使用する。例えば、実施形態は、(i)測定可能なプロセス変数および導出された特徴変数の値を含む、エンリッチされたサブデータセットを入力として使用してもよく、(ii)正常な運用状態およびイベントとしてそれぞれ「0」および「1」の出力値を割り当てて、油井モデルを訓練してもよく、このモデルは、PLSモデル、または深層学習ニューラルネットワークモデルとすることができる。モデル訓練プロセスは、実施形態が複数のステップ(データを訓練セットおよび試験セットに分割する、特徴を選択する、モデルを訓練する、試験データを用いて予測を実行し、モデル品質を評価するなど)を実行する、一つ以上の反復を含んでもよい。最終モデルは、反復が終了したときに取得される。
【0049】
次に、実施形態は、油井モデルをオンラインで展開し、運用中の油井からセンサーによって収集されたリアルタイム油井データを用いて、油井のワックスの堆積の状態を監視する。次に、オンラインで展開された油井モデルは、最適な油井メンテナンスおよびワックス洗浄計画に役立つオンライン展開モデルのエンリッチされた入力によって、油井のワックス堆積状態を早期に推定することができる。
【0050】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、人工知能および機械学習技術を用いて油井モデルを構築し、油井の過去の運用センサーデータおよび運用イベント記録(ディーゼルホットフラッシュ(コード:DHF)、スリックライン(コード:SLK)、コイルチュービング(コード:CTB)など)を使用するためのものである。また、このシステムおよび方法はさらに、油井従事者が、構築されたモデルを試験および検証し、そのモデルをオンラインで展開してワックス堆積状態を推定および検出することを可能にする。油井の運用において一つ以上のそのようなモデルを使用することにより、ユーザーは、各油井におけるワックス堆積物の状態を監視し、さらにその情報に基づいて、複数の油井に対する石油生産およびメンテナンス計画を最適化することができる。
【0051】
方法100はまた、推定されたワックスまたは水和物の堆積に基づいて、さらなる処理を実施するか、または現実世界の措置を取ることができる。例えば、例示的な実施形態は、例えば、油井からの生産を減少させることによって、油井からの生産を停止することによって、油井からの生産を増加させることによって、バルブを部分的または完全に開くことによって、またはバルブを部分的または完全に閉じることによって、推定されたワックスまたは水和物の堆積に基づいて、油井の運用を調整する。別の例示的な実施形態は、油井の運用を調整する出力信号を提供する。一部の実施形態では、出力信号は、さらなる処理のためにオンラインシステムによって受信されてもよい。
【0052】
<油井データの読み込み>
方法100はステップ110から始まる。方法100は、ステップ111で、油井の過去のデータベースまたは油田データベースから、油井のプロセス変数に対する油井の過去の運用データ(過去のセンサー測定値)を読み込む。過去のセンサー測定値は、油井の現実世界の運用に関するデータである。他の実施形態では、方法100(ステップ110)は、他のデータサーバー、油井管理システム、またはプラントもしくは油田の任意の他の資源などの、他の供給源からの油井の変数に対して、運用データ(過去のセンサー測定値)を読み込む(インポートする)ことができる。さらに他の実施形態では、運用データは、スプレッドシートファイル、テキストファイル、バイナリファイルなどのファイル形式から読み込まれてもよい。読み込まれた運用データは、油井の数多くのプロセス変数(プロセス変数タグ)に対する周期的または連続的な測定値を含むことが好ましい。方法100(ステップ111)は、油井のプロセス変数に対して読み込まれたオリジナルの運用データを含む未加工のデータセットを生成するものであり、このデータセットは、運用データに関連付けられたタイムスタンプに基づく時系列形式である。
【0053】
実施形態では、方法100はさらに、ステップ112で、構築される油井モデルの出力に特定の離散値(例えば、「0」または「1」)を(後続のステップで)割り当てるためのベースとして、その油井についての、油井の過去のイベントデータをさらに読み込む。過去のイベントデータは、運用中の油井で発生したイベントを表す。さらに、実施形態では、方法100(ステップ113)はまた、データセットおよびモデルについて、少なくとも一つ以上のユーザー指定設定値も読み込む。
【0054】
例えば、
図2A~2Eでは、方法100(ステップ110)は、ユーザー(例えば、油井オペレーター、メンテナンスエンジニア、ほか)が、アプリケーションソフトウェア製品のユーザーインターフェースから、「油井最適化」として表示されるオプション項目を選択することによって、モデル(ソフトウェア製品では「エージェント」と呼ばれる)構築プロセスを開始できるようにしうる。一部の実施形態では、方法100(ステップ110)は、
図2Bに示すように、ユーザーインターフェースを通して、ユーザーに表示しうる。ユーザーは、
図2Bに示すようにユーザーインターフェースを通して、データ読み込みおよびモデル構築用の油井の表示および選択ができる。
図2Bのユーザーインターフェースでは、油井は、資産IDと関連付けられた資産名を有する。任意選択的に、ユーザーインターフェースは、データ開始フィールドおよびデータ終了フィールドに日付および/または時間を表示できる。任意選択的に、ユーザーインターフェースは、データ開始日からデータ終了日までの日付範囲における油井の過去のイベントデータの数および故障の数を表示できる。次に、方法100(ステップ110)は、
図2Dに示すように、ユーザーが、選択した各油井のためのデータ範囲を選択し、油井モデルのための名前、説明、およびセンサー群を入力することを可能にする。
図2Cは、データ範囲を選択するための例示的なユーザーインターフェースである。方法100(ステップ110)は、選択されたセンサー変数およびユーザー指定のデータ範囲に対する過去の運用測定値(関連するタイムスタンプを含む)を読み込む。
【0055】
さらに、方法100(ステップ110)は、
図2Eに示すように、ユーザーが、一つ以上の詳細なモデル化設定値を選択することを可能にする。一般に、これらのユーザー指定の基準は、値、測定単位(UOM)、下限、および上限を有し、これらは、ユーザーまたはオペレーターによって指定される。これらのユーザー指定設定値には、以下を含めることができる。
【0056】
終了基準 - 最大時間制限、方法100のステップ140に割り当てられる最大時間。この時間に達すると、反復ループが停止する。デフォルト値:20分。
【0057】
終了基準 - 最大反復数、方法100のステップ140に割り当てられる最大反復数。この反復回数に達すると、反復ループは停止する。デフォルト値:100。
【0058】
訓練セット - 訓練用のイベントの最大パーセント。訓練セットで使用されるイベントの最大パーセント(方法100のステップ141)。デフォルト値:50%。
【0059】
訓練セット - 訓練用の正常なデータの最大パーセント。訓練セットで使用される正常な運用条件に関連付けられたデータの最大パーセント(方法100のステップ141)。デフォルト値:30%。
【0060】
過去のデータ - ローリングルックバックウィンドウファクター。データエンリッチメントステップ中のセンサーデータ変換のためのローリングルックバックウィンドウ持続期間を定義する数(方法100のステップ123)。デフォルト値:2。この係数に、平均イベント持続時間を掛けると、ルックバックウィンドウ持続時間が求まる。
【0061】
過去のデータ - ローリングルックバックウィンドウ内のオフラインデータは欠損しているものとみなす。真(True)に設定した場合、装置がオフラインであるとみなされうる(すなわち、運用されていない)タイムスタンプに対応するセンサー値は、欠損データとみなされる。偽(False)に設定した場合、センサーの測定値は保持される。デフォルト値:真。
【0062】
データスケーリング - スケーリングアプローチ。1に等しい場合、各坑井からのセンサーデータは、その坑井に対応するセンサー平均およびセンサー標準偏差でスケーリングされる。0に等しい場合、各坑井からのセンサーデータは、全坑井にわたるセンサー平均およびセンサー標準偏差でスケーリングされる。デフォルト値:1。
【0063】
状態識別 - 状態識別の実行ステップ。真(True)に設定した場合、方法100のステップ130が実行される。偽(False)に設定した場合、方法100のステップ130はスキップされる。デフォルト値:真。
【0064】
状態識別 - 特徴選択インデックス。一対のセンサー間の高相関を定義する閾値(方法100のステップ132、
図1Fのε)。デフォルト値:0.6。
【0065】
状態識別 - 正常な挙動に対する確率閾値。正常な運用条件に関連付けられたデータ範囲を識別するために使用されるPLSモデル予測用の閾値(方法100のステップ133-3)。デフォルト値:0.3。
【0066】
状態識別 - 異常な挙動(イベント)に対する確率閾値。異常な運用条件に関連付けられたデータ範囲を識別するために使用されるPLSモデル予測用の閾値(方法100のステップ133-3)。デフォルト値:0.5。
【0067】
状態識別 - イベントの開始の最大持続時間。イベントの最大持続時間を指定する閾値(方法100のステップ133-4)。デフォルト値:6日。
【0068】
状態識別 - 重要なイベントの最小持続時間。分析の対象であるとみなされうるイベントの最小持続時間を指定する閾値(方法100のステップ133-3)。デフォルト値:2日。
【0069】
方法100は、ステップ110で、油井の選択されたプロセス変数候補に対して読み込まれた運用測定値を含む未加工のデータセットを生成するものであり、このデータセットは、関連するタイムスタンプに基づく時系列形式である。
【0070】
<データ処理>
方法100は、ステップ120で、ステップ110で生成されたデータセットに対してデータクレンジングおよび修復を行う。例示的な実施形態では、方法100(ステップ120)は、生成されたデータセットの識別およびクレンジングをするための自動データスクリーニングおよびスライシング技術を適用する。一部の実施形態では、方法100(ステップ120)は、米国特許第9,141,911 B2号に記載される自動データスクリーニングおよびスライシング技術を適用し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0071】
油井の過去のセンサー測定データの各候補セットについて、方法100(ステップ120)は、油井の過去のセンサー測定データをスクリーニングし、油井に関連付けられたイベントをモデル化するための低品質(無効)の測定データ(部分的および全体)を識別する。方法100(ステップ120)は、データセットから排除される可能性のあるものとして、識別された測定データをマークする。入力変数候補に対する低い品質の測定データは、欠損値(ギャップ)、凍結した信号(長期間にわたる一定値)、短期外れ値、および高/低プロセス限界でプロセス外であるか、またはプロセス変数候補の連続測定で高ノイズである値によって特徴付けられうるが、これらに限定されない。方法100(ステップ120)は、データサンプルの状態、記録された値の品質、既知のセンサー中断、運用のダウンタイム、運用の上限および下限、ならびに連続測定データ(ステップ110で、プラントの過去のデータベースから読み込まれたもの)について計算された統計に基づいて、プロセス変数候補の低品質の測定データを識別およびマークしうる。
【0072】
方法100(ステップ120)は、いくつかの修復および除去の処理オプションを使用して、データセットのマークされた低品質の測定値を前処理して、これらの値をクレンジングするための柔軟性を提供する。一部の実施形態では、方法100(ステップ121)は、ユーザーインターフェースを介して、マークされた低品質の測定データをユーザーに表示し、ユーザーが、マークされた測定データに適用するクレンジングまたは修復のオプションを選択または確認できるようにする。
【0073】
一部の実施形態では、方法100(ステップ121)は、データセット中のプロセス変数候補について、マークされた低品質の測定データの一部または全部を修復しうる。プロセス変数候補の測定値(ギャップ)が欠損している場合、方法100(ステップ121)は、油井の過去のセンサー測定データのギャップを補間法によって埋めてもよい。プロセス変数候補の測定データにおける外れ値、ギャップ、および他の低品質のデータセグメントの場合、方法100(ステップ121)は、モデルベースのデータ修復を適用して、これらの低品質のデータセグメントを、これらの測定値について内部モデル生成された推定で置き換えてもよい。方法100(ステップ121)はまた、主成分分析(PCA)または部分空間モデリングおよびセンサー検証アルゴリズムを使用することによって、プロセス変数候補について、低品質の値、ギャップ、凍結した信号などの比較的短いスライスを修復することもできる。これらについては、米国特許第9,141,911 B2号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0074】
プロセス変数候補についてノイズの多い測定値の場合、方法100(ステップ121)は、非位相シフトフィルタリングを、作図または同期のためのノイズ値を含む測定データの滑らかな部分(トレンド除去、再サンプリング、アップサンプリング、ダウンサンプリングなど)に適用することによって、データ分布を改善してもよい。方法100(ステップ121)は、プロセス変数候補の測定値を、スナップショットから取った値、または計算された測定値の平均で再サンプリングまたはダウン/アップサンプリングしてもよく、または油井変数候補の測定値を、補間値でダウン/アップサンプリングしてもよい。方法100(ステップ121)はまた、「中心平均」または「フィルター平滑化」手法を用いて、油井変数候補の測定データを毎分1サンプル~毎時1サンプルで再サンプリングすることによるなど、前処理オプションを使用して、測定データを準備してもよい。
【0075】
一部の実施形態では、方法100は、ステップ122で、データセットからデータ測定値のスケーリングをしてもよい。例示的な実施形態では、方法100(ステップ122)は、各センサー測定時系列からの平均、中央値、標準偏差(STD)を計算し、その後、それらを各時系列のスケール変更に使用することができる。
【0076】
<入力特徴エンリッチメントの実行>
方法100は、ステップ123で、ステップ121から生じたクレンジングされた入力データセットに対して入力特徴エンリッチメントを実施する。特徴のエンリッチメントは、物理的に意義があるか、または数値的により関連性の高い、導出されたプロセス変数および対応する値を追加することによって、データセットを強化する。方法100(ステップ123)は、特徴変数および対応する値を、データセット中の油井変数候補の測定値から自動的に導出する。導出された特徴変数値は、油井の識別された少なくとも一つの油井イベントについて、データセット中の油井変数候補の未加工の測定値よりも予測的でありうる。方法100(ステップ123)は、エンジニアリング変換式を使用して、特徴変数および対応する値を導出してもよい。例えば、ステップ123は、入力データセット中の油井変数候補の測定値を変換することによって、特徴変数の値を導出してもよい(例えば、測定値の対数の計算、測定値の二次式または多項式の値の計算など)。別の例では、ステップ123は、入力データセット中の油井変数候補の測定値に基づいて、ドメインエンジニアリング知識ベースの仮想値に基づいて、特徴変数の値を導出してもよい(例えば、油井の二つの特定の位置間の圧力差を計算する)。さらなる例として、ステップ123は、入力データセット中のプロセス変数候補の測定値に基づいて、統計的測定値を計算することによって、特徴変数の値を導出してもよい(例えば、移動平均値(MVA)、導函数または変化率の推定、時間窓にわたる標準偏差(STD)、移動標準偏差(MVSTD)、移動変化率などを計算する)。
【0077】
方法100(ステップ123)は、(ステップ110から)導出された特徴値をデータセットに追加して、エンリッチされたデータセットを生成する。入力データセットのサイズは、特徴変数のエンリッチング値を追加することによって時間的に増加する。しかしながら、特徴変数の値を追加することによる入力空間(入力データセット)のエンリッチメントは、油井のワックス堆積状態を推定するための油井モデルを構築するのに有用であることが実証されている。
【0078】
一部の実施形態では、方法100(ステップ124)は、ステップ121と同じ技術を使用して、エンリッチされたデータセットをさらにクレンジングする。方法100(ステップ125)はまた、ステップ122で使用される標準統計アルゴリズムによって、エンリッチされたデータセットのスケーリングをする。
【0079】
<状態識別の実行>
方法100は、ステップ130で、状態識別を実行する。ステップ131から開始して、この方法は、ステップ120から生じるエンリッチング/クレンジング/スケーリングされたデータセットに対してデータクラスタリングを実行し、データセットから正常な運用データクラスターおよび変則的なデータクラスターを識別するのに役立つ。実施形態は、例えば、人工知能(AI)および機械学習(ML)の教師なしクラスタリングアルゴリズムの一つ、例えば、K-meansクラスタリングアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムなどを使用して、主要センサーに基づいてデータクラスターを計算およびラベル付けしてもよい。例えば、方法100(ステップ131)は、生産チュービング(263)温度および、リフトガスケーシング(233)温度と生産チュービング(263)温度との間の温度差などの、(ドメイン知識に基づく)二つのデフォルトの主要センサー変数を、データクラスタリングのための主要変数として使用してもよい。
【0080】
方法100は、ステップ131-1で、まずセンサーをフィルタリングし、データクラスタリングのための最も代表的なセンサーを選択する。実施形態は、例えば、データクラスタリングに参加するいくつかの主要センサーのみを選択してもよく、ステップ131-1は、エンジニアリングドメイン知識に基づいて、入力データセット中の油井変数候補の測定値から重要度の低いセンサーをフィルタリングして除去してもよい。ステップ131-1の後、選択されたセンサーは、オリジナルのセットをもとにしたセンサーの縮小版リストであり、これがデータクラスタリングを容易にする。
【0081】
方法100(ステップ131-2)は、(ステップ131-1からの)縮小版データセットを、一つ以上の機械学習(ML)教師なしクラスタリングアルゴリズムでクラスタリングする。例えば、ステップ131-2では、セントロイドベースのK-meansアルゴリズム、または接続ベースのDensity-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズム、または他の既知のアルゴリズムを使用して、主要センサーに基づいてデータクラスターを計算およびラベル付けしてもよい。
【0082】
一つ以上のデータクラスタリングアルゴリズム(ステップ131-2)を適用した後、データセットは分離され、一つ以上のデータクラスターとしてラベル付けされる。方法100は、ステップ131-3で、「正常な」運用条件に関連するデータクラスターを識別する。これらの「正常な」クラスター内のデータサンプルは、「正常な運用条件データ」としてラベル付けされ、ステータスフラグ値「0」がそれらのデータサンプルに割り当てられる。ここでの重要な仮定は、油井は、ほとんどの時間、正常な条件下で運用されるということである。
【0083】
方法100(ステップ131-4)は、「正常な」運用条件に対して定義された基準を満たさないデータクラスターをフィルタリングして除去する。その結果、サブデータセットは、ステップ131-4で「正常な」運用データとして作成され、後のステップでのモデル訓練用に保存される。
【0084】
モデルの精度および堅牢性を改善するために、方法100(ステップ132)は、相関度の高いセンサーを除去してもよい。方法100は、センサーの各対間のピアソン積率相関係数を計算することによって、センサー変数間の入力相関行列を生成する(ステップ132-1)。ステップ132-1で使用されるセンサーの対の例は、リフトガスケーシング(233)温度と生産チュービング(263)温度の対、リフトガスケーシング(233)圧力と生産チュービング(263)圧力の対などである。方法100(ステップ132-2)は、入力センサー変数の各対間の相関係数の絶対値を取得する。各反復ループで、センサー(i)(ここで、i=1、...、Nであり、またNはセンサーの総数)について、他のすべてのセンサーの相関係数を合計する(j ≠ i)。絶対相関係数の総和が閾値(例えば、ε = 0.6)以上のセンサーは、相関度が高いとみなされる。相関度が高いセンサーについては、方法100(ステップ132-4)は、入力用に一つのセンサーのみを選択し、選択されたセンサーにとの相関度が高いセンサーを除去する(ステップ132-3)。選択されたセンサーは、すべてのセンサーにわたって絶対相関係数の最小和を有するセンサーである。選択されたセンサーは、(前の反復から取得された)最も相関度の低いセンサーのリストに追加される。
【0085】
方法100(ステップ133)は次に、正常なデータ範囲およびイベントを決定する。(ステップ131からの)最大クラスターは、正常な運用条件に対応するとみなされる。方法100(ステップ133-1)は、残りのクラスター(正常な運用条件に対応していないステップ131-3のクラスター)を、モデル適合および最適時間範囲の決定のための他の状態であると仮定する。残りのクラスター(正常な運用条件に対応していないステップ131-3のクラスター)から、最小持続時間よりも長いデータ範囲(これは、ステップ113での「状態識別-重要イベントの最小持続時間」設定のユーザー定義値に依存する)が、潜在的なイベントとみなされる。正常なデータおよび潜在的なイベントでは、部分最小二乗(PLS)(潜在構造への射影とも呼ばれる)モデルは、A主成分を使用してステップ133-2で構築され、ここで、Aは、10と残りのセンサー数との間の最小値である。Xデータ(すなわち、既知の入力変数)は、センサーの時系列データであり、一方、Yデータ(すなわち、予測する出力変数)は、正常な条件の間は「0」に等しく、潜在的なイベントの間は「1」に等しい。方法100(ステップ133-3)は、「状態識別 - 正常な挙動に対する確率閾値」にPLSモデル予測およびユーザー指定値を使用して、正常な挙動を識別し、「状態識別 - 異常な挙動(イベント)に対する確率閾値」にユーザー指定値を使用して、イベントを識別する。例えば、PLSモデル予測が、「状態識別 - 正常な挙動に対する確率閾値」の閾値について事前に指定された値と同じか、それより小さい場合は、正常とみなされ、また最小持続時間よりも長いデータ範囲(例えば、現場慣行に基づくデフォルト設定によれば2日を超える)は、PLSモデル予測が、事前に指定された値と等しいか、またはそれより大きい、「状態識別 - 異常な挙動(イベント)に対する確率閾値」の閾値について事前に指定された値と同じか、それよりも大きい場合であり、イベントとみなされる。これら2つのカテゴリーに該当しないデータ範囲は、「不明」として分類され、ステップ133-4では、特定の条件下でイベントの開始に割り当てることができる。方法100(ステップ133-4)は、(ステップ133-3から)イベントの持続時間および「不明」のデータ範囲を微調整する。同じタイプの連続する日付範囲が二つ以上ある場合(「正常」、「イベント」、「不明」)、それらは単一のデータ範囲にマージされる。イベントの前に「不明」のデータ範囲が存在する場合には、「不明」のデータ範囲は、イベントとマージされる。しかしながら、このマージによるイベントの持続時間が、「状態識別 - イベント発生の最大持続時間」設定(ステップ113から)のユーザー指定値を超える場合には、イベントの持続時間は、マージ前に「不明」のデータ範囲が分割されて、マージ後の最大ユーザー指定値を超えないようにされる。
【0086】
<油井モデル/訓練プロセスの構築>
方法100(ステップ140)は、クリーニングおよびエンリッチされたセンサーデータセット(ステップ120で生成される)および正常なデータ範囲およびイベント(ステップ130で決定)を訓練データセットとして使用して、油井モデルを構築する。方法100(ステップ140)は、モデル構築を一回以上の反復で実行する。モデル構造は、PLSモデル、部分最小二乗判別分析(PLS-DA)モデル、またはニューラルネットワークモデルとすることができる。各反復において、方法100(ステップ141)は、データセットを訓練データセットおよび試験データセットに無作為に分割し、特徴選択を実行し(ステップ142)、訓練データセット上にモデルを構築し(ステップ143)、試験データセット上に新しいモデルを実行し(ステップ144)、モデル予測誤差を用いてモデル品質を評価し(ステップ145)、最後に反復終了基準が満たされているかどうか(ステップ146)をチェックして、反復を終了する。反復基準が満たされると、方法100は、ステップ147で反復を停止し、訓練されたモデル(エージェント)を保存する。
【0087】
エージェント訓練プロセスのさらなる詳細は、米国特許公開第2019/0188584 A1号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
<油井モデルの展開>
100は、ステップ150で、油井モデル(すなわち、油井エージェント)を、好ましくはオンラインで展開して、油井の監視、好ましくは連続的な監視を行い、現在のワックス堆積状態およびイベントの確率を監視/推定する。方法100(ステップ150)は、油井センサーからリアルタイム測定値を受信し、これが、油井モデルに供給される。リアルタイム測定値は、油井の現実世界の運用に関するデータである。当業者であれば、多少の遅れ(例えば、信号伝送時間および/または信号処理から生じる遅れ)があってもよいことを認識する。「リアルタイム」という用語は、この運用上の遅れを排除することを意図するものではない。
【0089】
リアルタイム測定値から、油井のエージェントはまず、データセットのクレンジング、スケーリングおよびエンリッチメントを行ってから、PLSモデル係数(エージェント訓練プロセス中に決定)を対応するセンサーに適用して、ワックスの堆積または油井の健康状態についての現在の推定値を、時間経過に油井モデルの指標(ステップ130で識別される)として使用される連続的な主要業績評価指標(KPI)の形式で生成する。油井モデルから生成されたKPIは、ユーザー(例えば、油井オペレーター、メンテナンスエンジニア)または油田システムにとって、安全かつ最適な運用条件で油井生産の運用を監視および最適化するために非常に重要でありかつ有用である。例えば、プラントのユーザーまたはシステムは、KPIを使用して、ワックス蓄積の現在または将来の状況を示してもよい。生成されたKPIは、メンテナンス計画および持続的な油井生産の最適化を実施するためにさらに使用されうる。
【0090】
<アプリケーション例>
図2Fは、それぞれ訓練データおよび試験データを使用して、油井モデルの訓練および検証を描写するデータチャートの詳細な例を示す。
図2Fにあるプロットされたデータの収集前に、方法100のアプリケーションは、データ前処理(方法100のステップ120)を実行することによって、油井の運用履歴(方法100のステップ110)から、油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを読み込む。油井の過去のセンサー測定データは、リフトガス流量、リフトガスケーシング(233)圧力、リフトガスケーシング(233)温度、生産チュービング(263)圧力、生産チュービング(263)温度、およびアニュラス内圧のうちの一つ以上を含みうる。次に、アプリケーションは、データクラスターを識別し、相関度の高いセンサーを除去し、PLSモデル予測およびユーザー指定の閾値を使用して、正常なデータ範囲およびイベント(方法100のステップ130)を決定する。次に、アプリケーションは、ステップ120~130で生成された前処理データおよび正常なデータ範囲およびイベントを、PLSモデルに対する訓練および検証入力として使用して、油井エージェントを構築する(方法100のステップ140)。
【0091】
図2Fは、油井モデルを使用した既知のイベントの予測の例を示しており、垂直の点線は、訓練に使用される過去のイベントを表し、垂直の破線は、試験(モデル検証)に使用される過去のイベントを表す。x軸は時間ドメインであり、y軸は確率値である。垂直の破線の上部には、ディーゼルホットフラッシュ(DHF)またはスリックライン(SLK)など、イベントの性質を示すイベントコードである。これらのイベントは、
図2Fの表にも示されている。曲線はモデルの結果であり、ワックスおよび水和物の蓄積の程度を推定する。y軸値が0に近めのデータ点は、ワックスおよび水和物の蓄積レベルが低いこと、言い換えれば、油井が清浄であることを示す。y軸値が1に近めのデータ点は、ワックスおよび水和物の蓄積が高いこと、言い換えれば、油井が詰まっていることを示す。
【0092】
曲線(推定された蓄積)の増加と、実際の過去のイベントクリーニング(破線)との相関は、構築された油井モデルが、エンリッチされ選択された入力によって既知のイベントを正確に予測できることを示す。
【0093】
x軸に沿って、かつチャートの下に、2列のバーがある。上の列のバーは、予測される高蓄積シナリオ(ステップ150からの油井エージェントの実行からの出力)を示す。下の行は、ステップ130で方法100によって識別された状態を示し、ここで、データは、高い蓄積シナリオまたは低い蓄積シナリオに対応し、またそれらが訓練データセットまたは試験データセット(方法100によってステップ130および140で決定される)に対応するかどうかを示す。
【0094】
<油井モデルの構築および展開のためのネットワーク環境>
図3は、本発明を実装しうる、コンピュータネットワークまたは類似のデジタル処理環境を図示する。クライアントコンピュータ/デバイス50およびサーバコンピュータ60は、アプリケーションプログラムおよび類似のものを実行する、処理、記憶および入出力デバイスを提供する。クライアントコンピュータ/デバイス50はまた、通信ネットワーク70を介して、他のクライアントデバイス/プロセス50およびサーバコンピュータ60を含む、他のコンピュータデバイスにリンクできる。通信ネットワーク70は、リモートアクセスネットワーク、グローバルネットワーク(例えば、インターネット)、クラウドコンピューティングのサーバーまたはサービス、世界中に散らばったコンピュータの一群、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク、および互いに通信107するためにそれぞれのプロトコル(TCP/IP、Bluetooth(登録商標)など)を現在使用するゲートウェイの一部とすることができる。他の電子デバイス/コンピュータネットワークアーキテクチャも好適である。
【0095】
図4は、
図3のコンピュータシステムにおける、コンピュータ(例えば、クライアントプロセッサ/デバイス50またはサーバコンピュータ60)の内部構造図である。各コンピュータ50、60は、システムバス79を包含し、バスは、コンピュータまたは処理システムの構成要素間のデータ転送に使用される、一連のハードウェアラインである。バス79は本質的に、要素間の情報転送を可能にするコンピュータシステムの異なる要素(例えば、プロセッサ、ディスク記憶装置、メモリ、入出力ポート、ネットワークポートなど)を接続する、共有導管である。システムバス79に取り付けられるのは、様々な入出力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンター、スピーカーなど)をコンピュータ50、60に接続するための、I/Oデバイスインターフェース82である。ネットワークインターフェース86によって、コンピュータが、ネットワーク(例えば、
図3のネットワーク70)に取り付けられる、様々な他のデバイスに接続することが可能になる。メモリ90は、本発明の実施形態を実装するのに使用されるコンピュータソフトウェア命令92およびデータ94(例えば、
図1A~1Hのプロセスにおける、データ処理および油井モデルの構築および展開、ユーザーインターフェース実装、ならびに上記に詳述したコードの支援)用に、揮発性記憶部を提供する。ディスク記憶装置95は、本発明の実施形態を実装するために使用される、コンピュータソフトウェア命令92およびデータ94のための不揮発性記憶装置を提供する。中央処理装置84もまた、システムバス79に取り付けられ、コンピュータ命令の実行に備える。
【0096】
一実施形態では、プロセッサルーチン92およびデータ94は、本発明のシステムにソフトウェア命令の少なくとも一部分を提供する、コンピュータ可読媒体(例えば、一つ以上のDVD-ROM、CD-ROM、ディスケット、テープなどの取り外し可能な記憶媒体)を含む、コンピュータプログラム製品(概して92で参照)である。コンピュータプログラム製品92は、当技術分野において周知のように、任意の好適なソフトウェアインストール手順によってインストールすることができる。別の実施形態では、ソフトウェア命令の少なくとも一部分は、ケーブル、通信および/または無線接続でダウンロードされてもよい。他の実施形態では、本発明のプログラムは、伝搬媒体に伝搬される信号(例えば、電波、赤外線波、レーザー波、音波、またはインターネットなどのグローバルネットワークもしくは他のネットワーク上で伝搬される電気的な波)上で具現化される、コンピュータプログラムを伝搬する信号製品である。こうした搬送媒体または信号は、本発明のルーチン/プログラム92に対する、ソフトウェア命令の少なくとも一部分を提供する。
【0097】
代替の実施形態では、伝搬される信号は、伝搬媒体上で搬送されるアナログ搬送波またはデジタル信号である。例えば、伝搬される信号は、グローバルネットワーク(例えば、インターネット)、電気通信ネットワークまたは他のネットワーク上で伝搬される、デジタル化信号であってもよい。一実施形態では、伝搬される信号は、何ミリ秒、何秒、何分、またはそれより長い期間にわたってネットワーク上をパケットとして送られるソフトウェアアプリケーションに対する命令など、ある期間にわたって伝搬媒体を介して送信される信号である。別の実施形態では、コンピュータプログラム製品92のコンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムを伝搬する信号製品について上に記載するように、コンピュータシステム50が、伝搬媒体を受信し、そして伝搬媒体内の具現化される伝搬される信号を識別することなどによって、受信し、かつ読み出す伝搬媒体である。
【0098】
概して言うと、「搬送媒体」または過渡の搬送波という用語は、前述の過渡信号、伝搬される信号、伝搬される媒体、記憶媒体およびこれに類するものを網羅する。
【0099】
他の実施形態では、プログラム製品92は、いわゆるサービスとしてのソフトウェア(SaaS)、またはエンドユーザーをサポートする他のインストールまたは通信として実装されてもよい。
【0100】
<参照による組み込み、等価物>
本明細書に引用されるすべての特許、公開された出願、および参考文献の教示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0101】
他の実施形態では、本発明は、有用な技術分野の多種多様な他のタイプの装置、または技術的プロセスに使用されうることが理解されるべきである。
【0102】
本発明について、その例示の実施形態を参照して具体的に示し、記載してきたが、形態および詳細の様々な変更が、添付の請求項により網羅される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態になされてもよいことが、当業者には理解されるであろう。
なお、本発明は、態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを読み込むことによってデータセットを生成するステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記エンリッチされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよびエンリッチされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力するステップと、
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップと、
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップと、
運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
〔態様2〕
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様3〕
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様4〕
読み込むステップが、一つ以上のユーザー指定設定値を読み込むステップをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様5〕
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様6〕
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様7〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、センサー間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様8〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、他のすべてのセンサーにわたって係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、態様7に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様9〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、相関係数の最大値の絶対和値を有する前記センサーを除去するステップをさらに含む、態様7に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様10〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、残りのセンサーを最小の相関で維持するステップをさらに含む、態様7に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様11〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、クラスター化されたデータおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様12〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様13〕
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様14〕
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様15〕
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、態様1に記載のコンピュータ実装方法。
〔態様16〕
油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムが、
プロセッサと、
コンピュータコード命令がその中に格納されたメモリと、を備え、前記プロセッサおよび前記メモリが、前記コンピュータコード命令を用いて、前記システムに、
油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを読み込むことによって、データセットを生成させるステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記エンリッチされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよびエンリッチされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力するステップと、
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップと、
正常なデータ範囲および状態条件を、クラスター化されたデータから決定するステップと、
運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を実行させるように構成されている、コンピュータシステム。
〔態様17〕
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様18〕
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様19〕
読み込むステップが、一つ以上のユーザー指定設定値を読み込むステップをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様20〕
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様21〕
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様22〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、センサー間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様23〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、他のすべてのセンサーにわたって係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、態様22に記載のコンピュータシステム。
〔態様24〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、相関係数の最大値の絶対和値を有する前記センサーを除去するステップをさらに含む、態様22に記載のコンピュータシステム。
〔態様25〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、残りのセンサーを最小の相関で維持するステップをさらに含む、態様22に記載のコンピュータシステム。
〔態様26〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、クラスター化されたデータおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様27〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様28〕
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様29〕
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様30〕
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、態様16に記載のコンピュータシステム。
〔態様31〕
油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するための非一時的コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が、その中に格納されたコンピュータコード命令を有するコンピュータ可読媒体を備え、前記コンピュータコード命令が、プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに関連付けられた装置に、
油井の過去のセンサー測定データの一つ以上のセットを読み込むことによってデータセットを生成させるステップであって、油井の過去のセンサー測定データの各セットが、前記油井の属性に関連する測定値、および油井の過去のイベントデータの一つ以上のセットを含み、油井の過去のイベントデータの各セットが、前記油井のイベントに関連する日付および持続時間を含む、ステップと、
前記油井でのワックスまたは水和物の堆積をモデル化するために品質面で無効である測定値を識別して除去することによって、前記生成されたデータセットをクレンジングするステップと、
油井のセンサー変数の測定値に基づいて、一つ以上の特徴変数および対応する値を導出することによって、前記クレンジングされたデータセットをエンリッチングするステップであって、それにより、エンリッチングによって前記一つ以上の導出された特徴変数の値を前記クレンジングされたデータセットに加える、ステップと、
前記エンリッチされたデータセットについて相互相関解析を実行することによって、相関度の高い入力のグループを識別するステップであって、識別された相関度の高い入力の各グループが、前記センサー変数のサブセットの測定値および前記クレンジングおよびエンリッチされたデータセット中の導出された特徴変数の値のうちの一つ以上を含む、ステップと、
識別された相関度の高い入力の各グループからの一つの代表的な入力を使用して特徴選択を実行し、結果をサブデータセットに出力するステップと、
機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムを使用してデータクラスターの識別およびラベル付けをして、それによって、モデル構築用の正常なデータ範囲およびイベントデータを含むデータセットを生成するステップと、
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップと、
正常なデータ範囲および状態条件を、クラスター化されたデータから決定するステップと、
運用状態識別のために部分最小二乗(PLS)モデルを構築するステップと、
前記構築されたPLSモデルおよび閾値からイベントの識別およびラベル付けをするステップと、
前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに反復的に分割し、前記訓練サブデータセットを使用して油井モデルの構築および訓練をし、前記試験サブデータセットを使用して前記モデルの品質を評価し、終了基準が満たされたときに前記モデルを保存するステップと、
リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記構築され訓練された油井モデルを実行して、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積を推定するステップと、を実行させるように構成されている、非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様32〕
前記油井の過去のセンサー測定データが、リフトガス流量、リフトガスケーシング圧力、リフトガスケーシング温度、生産チュービング圧力、生産チュービング温度、またはアニュラス内圧を含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様33〕
前記油井の過去のイベントデータが、ディーゼルホットフラッシュ、スリックライン、およびコイルチュービングのうちの一つ以上を含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様34〕
読み込むステップが、一つ以上のユーザー指定設定値を読み込むステップをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様35〕
前記生成されたデータのスケーリングをさらに含み、スケーリングが、クレンジング後、かつエンリッチング前に実施される、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様36〕
前記機械学習教師なしデータクラスタリングアルゴリズムが、K-meansアルゴリズム、Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)アルゴリズム、またはLocal Outlier Factor(LOF)アルゴリズムを含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様37〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、センサー間のピアソン積率相関係数を計算するステップをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様38〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、他のすべてのセンサーにわたって係数を足し合わせて、事前に定義された閾値と比較するステップをさらに含む、態様37に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様39〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、相関係数の最大値の絶対和値を有する前記センサーを除去するステップをさらに含む、態様37に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様40〕
油井の運用状態識別のために相関度の高いセンサーを除去するステップが、残りのセンサーを最小の相関で維持するステップをさらに含む、態様37に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様41〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、クラスター化されたデータおよび閾値から時間範囲および状態条件を導出するステップをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様42〕
クラスター化されたデータから正常なデータ範囲および状態条件を決定するステップが、状態条件およびイベントの持続時間を微調整するステップをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様43〕
前記データ範囲およびイベントデータに従って、前記データセットを訓練データセットおよび試験データセットに分割するステップが、モデル出力値を、正常な運用条件については「0」、および潜在的なイベント中は「1」として割り当てることをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様44〕
前記構築され訓練された油井モデルを実行し、リアルタイム石油センサーデータに基づいて、前記油井内のワックスまたは水和物の堆積状態を推定するステップが、リアルタイムセンサーデータを読み取り、前記リアルタイムセンサーデータのクリーニング、スケーリング、およびエンリッチングをし、PLSモデルオンライン計算を実行し、出力値をユーザーインターフェースに送信することをさらに含む、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
〔態様45〕
前記構築され訓練された油井モデルが、前記油井の運用を調整する、態様31に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。