(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/24 20210101AFI20240725BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240725BHJP
H01M 50/59 20210101ALI20240725BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01M50/24
H01M50/204 201
H01M50/284
H01M50/244 A
H01M50/296
H01M50/247
H01M50/213
H01M50/569
H01M50/588
H01M50/59
B25F5/00 H
(21)【出願番号】P 2023026184
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021551168の分割
【原出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2019180796
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長濱 達也
(72)【発明者】
【氏名】行田 稔
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-43684(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017184(WO,A1)
【文献】特開2014-203702(JP,A)
【文献】特開2014-203703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックであって、
電池セルと、
前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、
前記制御基板
の上面に設けられ
ている複数の端子と、
前記制御基板
の前記上面に設けられている複数の隔壁部と
、を備え、
前記複数の端子は、第1の
電力端子と、左右方向において、前記第1の電力端子と隣り合う
第1の信号端子と、左右方向において、前記第1の電力端子と隣り合っており、前後方向において、前記第1の信号端子と隣り合う第2の信号端子と、を含み、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第1の電力端子と前記第1の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少なく、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第1の電力端子と前記第2の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少ない、電池パック。
【請求項2】
前記複数の端子は、さらに、左右方向において、前記第1の信号端子及び前記第2の信号端子に並んでおり、前記第1の信号端子及び前記第2の信号端子に対して前記第1の電力端子と反対側に配置されている第2の電力端子と、左右方向において、前記第1の信号端子と前記第2の電力端子との間に配置されている第3の信号端子と、左右方向において、前記第2の信号端子と前記第2の電力端子との間に配置されており、前後方向において、前記第3の信号端子と隣り合う第4の信号端子と、を含み、
前記第3の信号端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第2の電力端子と前記第3の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少なく、
前記第3の信号端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第2の電力端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少なく、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数、及び、前記第3の信号端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第1の信号端子と前記第3の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少なく、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数、及び、前記第3の信号端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数は、前記第2の信号端子と前記第4の信号端子との間に設けられている前記隔壁部の数よりも少ない、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1の電力端子は、左右方向の最も外側であって、前記制御基板の第1の側に設けられており、
前記第1の信号端子及び前記第2の信号端子は、前記第1の電力端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられており、
前記第2の信号端子は、前後方向において、前記第1の信号端子よりも第3の側に設けられており、
前記複数の隔壁部は、前記第1の電力端子の一部を囲む第1の周囲壁と、前記第1の信号端子の周囲を囲む第2の周囲壁と、前記第2の信号端子の一部を囲む第3の周囲壁と、を含み、
前記第1の周囲壁は、
前記第1の電力端子よりも前記第1の側に設けられている第1の側壁部と、
前記第1の電力端子よりも前記第2の側に設けられている第2の側壁部と、
前記第1の電力端子よりも前記第3の側に設けられており、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部とを接続する第3の側壁部と、を有しており、
前後方向において、前記第1の電力端子よりも第4の側であって、前記第3の側と反対の前記第4の側には、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部との間に第1の開口が設けられており、
前記第3の周囲壁は、
前記第2の信号端子よりも前記第1の側に設けられている第4の側壁部と、
前記第2の信号端子よりも前記第2の側に設けられている第5の側壁部と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられており、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部とを接続し、前記第2の周囲壁と共用されている第6の側壁部と、を有しており、
前記第2の信号端子よりも第3の側には、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部との間に第2の開口が設けられており、
前記複数の隔壁部は、さらに、前記第1の周囲壁の前記第1の側壁部から前記第1の側に延びる延伸壁部を有している、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記延伸壁部は、前記第1の側壁部から前記制御基板の前記第1の側の端部まで延びる、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記複数の隔壁部は、前記第1の電力端子の一部を囲む第1の周囲壁を含み、
前記第1の周囲壁は、
左右方向において、前記第1の電力端子よりも第1の側に設けられている第1の側壁部と、
左右方向において、前記第1の電力端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられている第2の側壁部と、
前後方向において、前記第1の電力端子よりも第3の側に設けられており、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部とを接続する第3の側壁部と、
前後方向において、前記第1の電力端子よりも第4の側であって、前記第3の側と反対の前記第4の側に設けられており、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部とを接続する接続壁部と、を有しており、
前記接続壁部の下部には、第1の開口が設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記複数の隔壁部は、前記第1の電力端子の一部を囲む第1の周囲壁を含み、
前記第1の周囲壁は、
左右方向において、前記第1の電力端子よりも第1の側に設けられている第1の側壁部と、
左右方向において、前記第1の電力端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられている第2の側壁部と、
前後方向において、前記第1の電力端子よりも第3の側に設けられており、前記第1の側壁部の前記第3の側の端部と前記第2の側壁部の前記第3の側の端部とを接続する第3の側壁部と、を有しており、
前記第1の側壁部、前記第2の側壁部、及び、前記第3の側壁部のそれぞれには、下端部から外側に延びるフランジ部が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第2の信号端子は、前後方向において、前記第1の信号端子よりも第3の側に設けられており、
前記複数の隔壁部は、前記第1の信号端子の周囲を囲む第2の周囲壁と、前記第2の信号端子の一部を囲む第3の周囲壁と、を含み、
前記第3の周囲壁は、
左右方向において、前記第2の信号端子よりも第1の側に設けられている第4の側壁部と、
左右方向において、前記第2の信号端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられている第5の側壁部と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられており、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部とを接続する第6の側壁部と、を有しており、
前記第2の信号端子よりも前記第3の側には、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部との間に第2の開口が設けられており、
前記第2の周囲壁は、
前記第1の信号端子よりも前記第1の側に設けられている第7の側壁部と、
前記第1の信号端子よりも前記第2の側に設けられている第8の側壁部と、
前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間に設けられており、前記第7の側壁部と前記第8の側壁部を接続し、前記第6の側壁部と共用されている第9の側壁部と、
前後方向において、前記第1の信号端子よりも第4の側であって、前記第3の側と反対の前記第4の側に設けられており、前記第7の側壁部と前記第8の側壁部とを接続する第10の側壁部と、を有しており、
前記第7の側壁部と前記第8の側壁部との間の距離は、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部との間の距離よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックであって、
電池セルと、
前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、
前記制御基板
の上面に設けられ
ている複数の端子と、
前記制御基板の上面に設けられている複数の隔壁部と
、を備え、
前記複数の端子は、
左右方向の最も外側であって、前記制御基板の第1の側に設けられている第1の端子と、左右方向において、前記第1の端子と隣り合
い、前記第1の端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられている第2の端子
と、左右方向において、前記第1の端子と隣り合っており、前後方向において、前記第2の端子に隣り合い、前記第2の端子よりも第3の側に設けられている第3の端子と、を含み、
前記複数の隔壁部は、前記第1の端子の一部を囲む第1の周囲壁と、前記第2の端子の周囲を囲む第2の周囲壁と、前記第3の端子の一部を囲む第3の周囲壁と、を含み、
前記第1の周囲壁は、
前記第1の端子よりも前記第1の側に設けられている第1の側壁部と、
前記第1の端子よりも前記第2の側に設けられている第2の側壁部と、
前記第1の端子よりも前記第3の側に設けられており、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部とを接続する第3の側壁部と、を有しており、
前後方向において、前記第1の側壁部の第4の側であって、前記第3の側と反対の前記第4の側には、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部との間に第1の開口が設けられており、
前記第3の周囲壁は、
前記第3の端子よりも前記第1の側に設けられている第4の側壁部と、
前記第3の端子よりも前記第2の側に設けられている第5の側壁部と、
前記第2の端子と前記第3の端子との間に設けられており、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部とを接続する第6の側壁部と、を有しており、
前記第3の端子の前記第3の側には、前記第4の側壁部と前記第5の側壁部との間に第2の開口が設けられており、
前記複数の隔壁部は、さらに、前記第1の周囲壁の前記第1の側壁部から前記第1の側に延びる延伸壁部を有している、電池パック。
【請求項9】
電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックであって、
電池セルと、
前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、
前記制御基板
の上面に設けられ
ている複数の端子と、
前記制御基板
の前記上面に設けられている複数の隔壁部と
、を備え、
前記複数の隔壁部が、
前記複数の端子のうちの第1の端子よりも右側に設けられている第1の右壁部と、
前記第1の端子よりも左側に設けられている第1の左壁部と、
前記第1の端子よりも前側に設けられており、前記第1の右壁部と前記第1の左壁部とを接続する第1の前壁部と、
前記第1の端子よりも後側に設けられており、前記第1の右壁部と前記第1の左壁部とを接続する第1の後壁部と、を含み、
前記第1の前壁部及び前記第1の後壁部のうちの一方の下部には、開口が設けられておいる、電池パック。
【請求項10】
電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックであって、
電池セルと、
前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、
前記制御基板
の上面に設けられ
ている複数の端子と、
前記制御基板
の前記上面に設けられて
おり、前記複数の端子のうちの第1の端子の少なくとも一部を囲む第1の隔壁部と
、を備え、
前記第1の隔壁部の下端部には、前記下端部から外側に延びるフランジ部が設けられている、電池パック。
【請求項11】
電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックであって、
電池セルと、
前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、
前記制御基板
の上面に設けられ
ている複数の端子と、
前記制御基板
の前記上面に設けられている複数の隔壁部と
、を備え、
前記複数の端子は、第1の端子と、
前後方向において、前記第1の端子と隣り合
い、前記第1の端子よりも第1の側に設けられている第2の端子
と、を含み、
前記複数の隔壁部は、前記第1の端子の周囲を囲む第1の周囲壁と、前記第2の端子の一部を囲む第2の周囲壁と、を含み、
前記第1の周囲壁は、
前記第1の端子よりも右側に設けられている第1の右壁部と、
前記第1の端子よりも左側に設けられている第1の左壁部と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられており、前記第1の右壁部と前記第1の左壁部とを接続する第1の側壁部と、
前後方向において、前記第1の端子よりも第2の側であって、前記第1の側と反対の前記第2の側に設けられており、前記第1の右壁部と前記第1の左壁部とを接続する第2の側壁部と、を有しており、
前記第2の周囲壁は、
前記第2の端子よりも右側に設けられている第2の右壁部と、
前記第2の端子よりも左側に設けられている第2の左壁部と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられており、前記第2の右壁部と前記第2の左壁部とを接続する第3の側壁部と、を有しており、
前記第2の端子よりも前記第1の側には、前記第2の右壁部と前記第2の左壁部との間に開口が設けられており、
前記第1の右壁部と前記第1の左壁部との間の距離は、前記第2の右壁部と前記第2の左壁部との間の距離よりも大きい、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-9023号公報に、電動工具に前方から後方にスライドして取付け可能な電池パックが開示されている。電池パックは、電池セルと、電池セルの上方に配置され、電池セルに接続される制御基板と、制御基板に設けられており、左右方向に並んでいる複数の端子と、電池セル、制御基板、及び、複数の端子を収容しており、電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような電池パックにおいては、端子受入部等からアウターケースの内部に水が浸入することがある。アウターケースの内部に水が浸入すると、水によって、制御基板に設けられている端子同士が短絡する場合がある。
【0004】
本明細書は、アウターケースの内部に水が浸入した場合に、アウターケースの内部の端子同士が水を介して短絡することを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられており、左右方向に並んで配置されている複数の端子と、前記制御基板に設けられている複数の隔壁部と、前記電池セル、前記制御基板、前記複数の端子、及び、前記複数の隔壁部を収容しており、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、第1の端子と、左右方向において、前記第1の端子と隣り合う第2の端子を含み、前記第1の端子と前記第2の端子との間には、少なくとも2つの前記隔壁部が設けられていてもよい。
【0006】
上記の電池パックでは、左右方向において隣り合う第1の端子と第2の端子との間の沿面距離を、隔壁部が1つだけの場合、又は、隔壁部が設けられていない場合よりも、長くすることができる。このため、アウターケースの内部に水が浸入した場合であっても、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0007】
本明細書によって開示される別の電池パックは、スライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続されている制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられており、前記複数の端子のうちの第1の端子の周囲を囲む第1の隔壁部と、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記第1の隔壁部の内側の前記制御基板には、基板孔が設けられていてもよい。
【0008】
上記の構成の電池パックでは、周囲を第1の隔壁部によって囲まれている第1の端子と、他の端子との間の沿面距離を、第1の隔壁部が設けられていない場合よりも長くすることができる。また、第1の隔壁部の内側の制御基板に基板孔が設けられているため、第1の隔壁部の内側に水が溜まらない。このため、第1の隔壁部の内側に溜まった水が第1の隔壁部の外側にあふれ出て、周囲を第1の隔壁部によって囲まれている第1の端子が、水を介して他の端子と短絡することを抑制することができる。
【0009】
本明細書によって開示される別の電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に設けられ、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられている1以上の隔壁部と、電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、1または複数の電力端子と、前記1または複数の電力端子に対して左右方向に並んで配置されている1または複数の信号端子と、を備え、左右方向に並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうち、最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子の左右方向の間には、前後方向に延びる第1の前後方向隔壁部が設けられており、前記最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうちの一方の端子の前方には、左右方向に延びる左右方向隔壁部が設けられており、前記最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうちの他方の端子の前方には、前記左右方向隔壁部が設けられていなくてもよい。
【0010】
アウターケースの内部に浸入して制御基板上に到達した水は、電池パックの向きに応じて、様々な方向に流れる。このため、端子間に前後方向隔壁部を設けた場合であっても、その前後方向隔壁部を水が回り込んで短絡するおそれがある。上記の電池パックでは、第1の前後方向隔壁部によって、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子の間の左右方向の沿面距離を長くすることができる。また、上記の電池パックでは、左右方向隔壁部によって、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子の間で第1の前後方向隔壁部を水が回り込んだ場合の沿面距離を長くすることができる。従って、アウターケースの内部に水が浸入した場合に、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子が短絡することを抑制することができる。
【0011】
また、上記の構成では、電動工具は、電池パックの後部側に取付けられる。そして、一般的に、制御基板においては、電動工具が取付けられる側とは反対側に、素子などを実装する素子領域が設けられる。上記の構成では、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子のうちの一方の端子の前方に、左右方向隔壁部が設けられており、他方の前方には左右方向隔壁部が設けられていない。このため、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子の両方の前方に、左右方向隔壁部が設けられている場合と比較して、制御基板において素子領域として利用可能な領域を大きくすることができる。
【0012】
本明細書によって開示される別の電池パックは、スライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられている1以上の隔壁部と、前記電池セル、前記制御基板、前記複数の端子、及び、前記1以上の隔壁部を収容しており、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、前記電動工具の端子に接続される1または複数の電力端子と、前記電動工具の端子に接続される1または複数の信号端子と、を備え、前記複数の端子の全てが、他の端子と少なくとも1つの前記隔壁部によって隔てられていてもよい。
【0013】
複数の端子同士の短絡を防止する方策として、複数の端子間の沿面距離をできるだけ長くすることが望ましい。上記の電池パックでは、複数の端子の全てが、他の端子と少なくとも1つの隔壁部によって隔てられている。このため、複数の端子間の沿面距離を長くすることができる。従って、アウターケースの内部に水が浸入した場合に、アウターケースの内部の端子同士が短絡することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施例の電池パック2を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図2】第1実施例の電池パック2を下方から見た下面図である。
【
図3】第1実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図4】第1実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から見た上面図である。
【
図5】第1実施例の電池モジュール10を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図6】第1実施例の電池モジュール10を後方左方上方から見た斜視図である。
【
図7】第1実施例の電池モジュール10を右方から見た断面図である。
【
図8】第1実施例のセルケース60を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図9】第1実施例のセルケース60を上方から見た上面図である。
【
図10】第1実施例において、セルケース60を前方から見た断面図である。
【
図11】第1実施例の制御基板62を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図12】第1実施例の端子カバー68を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図13】第1実施例の端子カバー68を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図14】第1実施例に係る電池パック2を電動工具200に取付けた状態を右方上方前方から見た斜視図である。
【
図15】電動工具200の端子部202を下方から見た下面図である。
【
図16】第2実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から見た上面図である。
【
図17】第2実施例の端子カバー368を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図18】第2実施例の端子カバー368を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図19】第3実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から上面図である。
【
図20】第3実施例の端子カバー568を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図21】第3実施例の端子カバー568を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図22】第4実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から上面図である。
【
図23】
図22のXXIII-XXIII線に沿った断面図である。
【
図24】第4実施例の端子カバー768を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図25】第5実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から上面図である。
【
図26】
図25のXXVI-XXVI線に沿った断面図である。
【
図27】第5実施例の端子カバー968を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図28】第6実施例において、電池モジュール10と下部ケース16を上方から上面図である。
【
図29】
図28のXXIX-XXIX線に沿った断面図である。
【
図30】第6実施例の端子カバー1168を前方右方上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書によって開示される電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられており、左右方向に並んで配置されている複数の端子と、前記制御基板に設けられている複数の隔壁部と、前記電池セル、前記制御基板、前記複数の端子、及び、前記複数の隔壁部を収容しており、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、第1の端子と、左右方向において、前記第1の端子と隣り合う第2の端子を含み、前記第1の端子と前記第2の端子との間には、少なくとも2つの前記隔壁部が設けられていてもよい。
【0016】
1またはそれ以上の実施形態において、第1の端子と第2の端子との間に設けられている少なくとも2つの隔壁部は、前後方向に延びる第1の隔壁部と、第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第2の隔壁部と、を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部の上面の少なくとも一部には、前後方向に傾斜している傾斜部が設けられていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていく。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0018】
1またはそれ以上の実施形態において、傾斜部は、前後方向における第1方向側の面が、第1方向側と反対の第2方向側の面よりも下方に位置するように傾斜していてもよい。連結部よりも第1方向側の制御基板に第1の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていき、第1の制御基板孔を通過する。従って、制御基板の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0020】
1またはそれ以上の実施形態において、第1の端子と第2の端子との間に設けられている少なくとも2つの隔壁部は、前後方向に延びる第1の隔壁部と、第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第2の隔壁部と、を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部には、貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔の下側の制御基板には、第2の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、貫通孔及び第2の制御基板孔を通過する。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0022】
1またはそれ以上の実施形態において、複数の端子は、第2の端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の端子と隣り合う第3の端子を含んでもよい。第1の隔壁部は、第1の端子と第2の端子の間、及び、第1の端子と第3の端子の間に設けられるように、前後方向に延びていてもよい。複数の隔壁部は、第1の隔壁部と第3の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第3の隔壁部を含んでもよい。連結部は、第1の隔壁部と第3の隔壁部とを連結してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、第1の端子と第2の端子との間、及び、第1の端子と第3の端子との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0024】
本明細書によって開示される別の電池パックは、スライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続されている制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられており、前記複数の端子のうちの第1の端子の周囲を囲む第1の隔壁部と、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記第1の隔壁部の内側の前記制御基板には、基板孔が設けられていてもよい。
【0025】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、さらに、アウターケースの内部に収容されており、2個以上の電池セルを保持しており、制御基板の下方に配置されるセルケースを備えてもよい。2個以上の電池セルは、互いに間隔を空けて、アウターケースの底面に対して平行に並んで設けられていてもよい。セルケースには、隣り合う2個の電池セルの間にケース孔が設けられていてもよい。
【0026】
制御基板の基板孔から排水される水は、セルケースの上面に到達する。上記の構成によれば、セルケースの上面に到達した水は、セルケースに設けられているケース孔を通過して、アウターケースの底面に流れ出ていく。従って、制御基板や電池セルよりも下方まで水を案内することができる。
【0027】
1またはそれ以上の実施形態において、セルケースのケース孔は、隣り合う2個の電池セルの間のセルケースの上面に設けられており、セルケースの上面を上下方向に貫通する第1のケース孔と、セルケースの下面において第1のケース孔に対向する位置に設けられており、セルケースの下面を上下方向に貫通する第2のケース孔と、を備えてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、セルケースの上面に到達した水は、第1のケース孔を通ってセルケース内に浸入し、第2のケース孔の近傍に到達し、第2のケース孔を通過してセルケースの外部に流れ出て、アウターケースの底面に到達する。従って、制御基板や電池セルよりも下方まで水を案内することができる。
【0029】
1またはそれ以上の実施形態において、隣り合う2個の電池セルの間のセルケースの上面の電池セルの長手方向の端部には、上方に延びる突出部が設けられていてもよい。セルケースのケース孔は、突出部に設けられており、突出部を電池セルの長手方向に貫通する第3のケース孔を備えてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、セルケースの上面に到達した水は、セルケースの上面を伝って突出部に設けられている第3のケース孔に到達し、第3のケース孔を通過してアウターケースの底面に流れ出ていく。従って、制御基板や電池セルよりも下方まで水を案内することができる。
【0031】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。複数の端子は、左右方向において、第1の端子と隣り合う第2の端子を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられている第2の隔壁部と、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを連結する連結部と、を備えてもよい。連結部の上面の少なくとも一部には、前後方向に傾斜している傾斜部が設けられていてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていく。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0033】
1またはそれ以上の実施形態において、傾斜部は、前後方向における第1方向側の面が、第1方向側と反対の第2方向側の面よりも下方に位置するように傾斜していてもよい。連結部よりも第1方向側の制御基板に第1の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていき、第1の制御基板孔を通過する。従って、制御基板の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0035】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。複数の端子は、左右方向において、第1の端子と隣り合う第2の端子を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられている第2の隔壁部と、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを連結する連結部と、を備えてもよい。連結部には、貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔の下側の制御基板には、第2の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、貫通孔及び第2の制御基板孔を通過する。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0037】
1またはそれ以上の実施形態において、複数の端子は、第2の端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の端子と隣り合う第3の端子を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の隔壁部と第3の端子の間に設けられている第3の隔壁部を備えてもよい。連結部は、第1の隔壁部と第3の隔壁部とを連結してもよい。
【0038】
上記の構成によれば、第1の端子と第2の端子との間、及び、第1の端子と第3の端子との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0039】
本明細書によって開示される別の電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に設けられ、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられている1以上の隔壁部と、電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、1または複数の電力端子と、前記1または複数の電力端子に対して左右方向に並んで配置されている1または複数の信号端子と、を備え、左右方向に並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうち、最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子の左右方向の間には、前後方向に延びる第1の前後方向隔壁部が設けられており、前記最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうちの一方の端子の前方には、左右方向に延びる左右方向隔壁部が設けられており、前記最も前方側で並んでいる前記電力端子と前記信号端子のうちの他方の端子の前方には、前記左右方向隔壁部が設けられていなくてもよい。
【0040】
1またはそれ以上の実施形態において、1または複数の電力端子は、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子のうち、隣り合う電力端子と信号端子のうちの電力端子である第1の電力端子を含んでもよい。1または複数の信号端子は、隣り合う電力端子と信号端子のうちの信号端子である第1の信号端子を含んでもよい。第1の電力端子と第1の信号端子の左右方向の間には、第1の前後方向隔壁部が設けられていてもよい。第1の電力端子と第1の信号端子のうちの一方の端子の前方には、左右方向隔壁部が設けられており、第1の電力端子と第1の信号端子のうちの他方の端子の前方には、左右方向隔壁部が設けられていなくてもよい。
【0041】
上記の構成によれば、第1の前後方向隔壁部によって、第1の電力端子と第1の信号端子の間の左右方向の沿面距離を長くすることができる。また、左右方向隔壁部によって、第1の電力端子と第1の信号端子の間で第1の前後方向隔壁部を水が回り込んだ場合の沿面距離を長くすることができる。従って、アウターケースの内部に水が浸入した場合に、第1の電力端子と第1の信号端子が短絡することを抑制することができる。また、第1の電力端子と第1の信号端子の両方の前方に、左右方向隔壁部が設けられている場合と比較して、制御基板において素子領域として利用可能な領域を大きくすることができる。
【0042】
1またはそれ以上の実施形態において、複数の端子のうち、左右方向の最も外側に設けられている端子の外側の制御基板に第1の基板孔が設けられていてもよい。
【0043】
上記の構成によれば、左右方向の最も外側に設けられた端子の近傍に水が溜まることを抑制することができる。また、左右方向の最も外側に設けられた端子の前方側の制御基板に第1の基板孔が設けられている場合と比較して、制御基板において素子領域として利用可能な領域を大きくすることができる。
【0044】
1またはそれ以上の実施形態において、複数の端子のうち、前後方向に隣り合う2つの端子の間の制御基板に第2の基板孔が設けられていてもよい。
【0045】
上記の構成によれば、前後方向に隣り合う2つの端子の間の制御基板のそれぞれの前方に基板孔を設ける場合と比較して、制御基板において素子領域として利用可能な領域を大きくすることができる。
【0046】
1またはそれ以上の実施形態において、1または複数の電力端子は、最も前方側で並んでいる電力端子と信号端子のうち、隣り合う電力端子と信号端子のうちの電力端子である第1の電力端子を含んでもよい。1または複数の信号端子は、隣り合う電力端子と信号端子のうちの信号端子である第1の信号端子を含んでもよい。第1の電力端子と第1の信号端子との左右方向の間には、第1の前後方向隔壁部が設けられていてもよい。第1の前後方向隔壁部と第1の信号端子の間には、前後方向に延びる第2の前後方向隔壁部が設けられていてもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第2の千五方向隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部の上面の少なくとも一部には、前後方向に傾斜している傾斜部が設けられていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていく。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0048】
1またはそれ以上の実施形態において、傾斜部は、前後方向における第1方向側の面が、第1方向側と反対の第2方向側の面よりも下方に位置するように傾斜していてもよい。連結部よりも第1方向側の制御基板に第1の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていき、第1の制御基板孔を通過する。従って、制御基板の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0050】
1またはそれ以上の実施形態において、第1の前後方向隔壁部と第1の信号端子の左右方向の間には、前後方向に延びる第2の前後方向隔壁部が設けられていてもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第2の前後方向隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部には、貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔の下側の制御基板には、第2の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0051】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、貫通孔及び第2の制御基板孔を通過する。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0052】
1またはそれ以上の実施形態において、1または複数の信号端子は、第1の信号端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の電力端子と隣り合う第2の信号端子を含んでもよい。第1の前後方向隔壁部は、第1の電力端子と第1の信号端子の間、及び、第1の電力端子と第2の信号端子の間に設けられるように、前後方向に延びていてもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第2の信号端子との間に設けられている第3の前後方向隔壁部を備えてもよい。連結部は、第1の前後方向隔壁部と第3の前後方向隔壁部とを連結してもよい。
【0053】
上記の構成によれば、第1の電力端子と第1の信号端子との間、及び、第1の電力端子と第2の信号端子との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0054】
本明細書によって開示される別の電池パックは、スライドして電動工具に取付け可能であってもよい。電池パックは、電池セルと、前記電池セルの上方に配置され、前記電池セルに接続される制御基板と、前記制御基板に設けられている複数の端子と、前記制御基板に設けられている1以上の隔壁部と、前記電池セル、前記制御基板、前記複数の端子、及び、前記1以上の隔壁部を収容しており、前記電動工具の端子を受け入れる端子受入部を上面に備えるアウターケースと、を備え、前記複数の端子は、前記電動工具の端子に接続される1または複数の電力端子と、前記電動工具の端子に接続される1または複数の信号端子と、を備え、前記複数の端子の全てが、他の端子と少なくとも1つの前記隔壁部によって隔てられていてもよい。
【0055】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。1以上の隔壁部は、左右に延びる複数の左右方向隔壁部を備え、複数の左右方向隔壁部は、最も後方側に位置する第1の左右方向隔壁部と、第1の左右方向隔壁部よりも前方側に位置する第2の左右方向隔壁部と、を備えてもよい。第1の左右方向隔壁部の高さは、第2の左右方向隔壁部の高さよりも低くてもよい。
【0056】
端子間の沿面距離を長くするためには、隔壁部はできるだけ高い方が望ましい。しかしながら、電動工具が電池パックの後部側に取付けられるため、最も後方側の左右方向隔壁部を高くすると、電動工具の端子等と隔壁部が干渉するおそれがある。上記の構成によれば、電動工具に電池パックを取付けたときに、隔壁部が電動工具の端子等と干渉しないようにすることができるとともに、各端子間の沿面距離を確保して、複数の端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0057】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。1または複数の信号端子は、第1の端子と、左右方向において第1の端子と隣り合う第2の端子と、を含んでもよい。1以上の隔壁部は、第1の端子と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第1の前後方向隔壁部と、第1の前後方向隔壁部と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第2の前後方向隔壁部と、を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第2の前後方向隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部の上面の少なくとも一部には、前後方向に傾斜している傾斜部が設けられていてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていく。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0059】
1またはそれ以上の実施形態において、傾斜部は、前後方向の第1方向側の面が、第1方向側と反対の第2方向側の面よりも下方に位置するように傾斜していてもよい。連結部よりも第1方向側の制御基板に第1の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0060】
上記の構成によれば、結部の上面に到達した水は、傾斜部を伝って、連結部から流れ出ていき、第1の制御基板孔を通過する。従って、制御基板の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0061】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、前方から後方にスライドして電動工具に取付け可能であってもよい。1または複数の信号端子は、第1の端子と、左右方向において第1の端子と隣り合う第2の端子と、を含んでもよい。1以上の隔壁部は、第1の端子と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第1の前後方向隔壁部と、第1の前後方向隔壁部と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第2の前後方向隔壁部と、を含んでもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第2の前後方向隔壁部とを連結する連結部を備えてもよい。連結部には、貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔の下側の制御基板には、第2の制御基板孔が設けられていてもよい。
【0062】
上記の構成によれば、連結部の上面に到達した水は、貫通孔及び第2の制御基板孔を通過する。このため、連結部の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部に溜まった水が隔壁部を乗り越えることを抑制することができる。
【0063】
1またはそれ以上の実施形態において、複数の端子は、第2の端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の端子と隣り合う第3の端子を含んでもよい。第1の前後方向隔壁部は、第1の端子と第2の端子の間、及び、第1の端子と第3の端子の間に設けられるように、前後方向に延びていてもよい。電池パックは、さらに、第1の前後方向隔壁部と第3の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第3の前後方向隔壁部を備えてもよい。連結部は、第1の前後方向隔壁部と第3の前後方向隔壁部とを連結してもよい。
【0064】
上記の構成によれば、第1の端子と第2の端子との間、及び、第1の端子と第3の端子との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0065】
(第1実施例)
以下では図面を参照しながら、実施例の電池パック2について説明する。
図14に示すように、電池パック2は、電動工具200に着脱可能に取付けることができる。
図14では、電動工具200が電動ドライバである場合を例示しているが、電動工具200は、例えば電動ドリル、電動グラインダ、電動マルノコ、電動チェーンソー、電動レシプロソー、電動芝刈り機、電動刈払機、電動ブロア等であってもよい。電動工具200に取付けられると、電池パック2は、電動工具200に電力を供給する。以下の説明では、電池パック2に関して、電動工具200に取付けられた時に、電池パック2から見て電動工具200が位置する方向を上方といい、その反対方向を下方という。また、電池パック2に関して、電動工具200に取付けられる時に、電池パック2をスライドさせる方向を後方といい、電動工具200から取り外される時に、電池パック2をスライドさせる方向を前方という。すなわち、以下の説明において、前後方向は、電池パック2を電動工具200に対してスライドさせるスライド方向に相当する。
【0066】
図1~
図13に示すように、電池パック2は、電池モジュール10(
図5参照)と、電池モジュール10を収容するアウターケース12(
図1参照)を備えている。
【0067】
(アウターケース12の構成)
図1に示すように、アウターケース12は、全体が略直方体形状に形成されており、上部ケース14と、下部ケース16に分割されている。上部ケース14と下部ケース16は、金属製のねじ18(
図2参照)によって互いに固定されている。
【0068】
上部ケース14には、スライドレール20と、端子受入部22と、フック24が設けられている。スライドレール20は、前後方向に沿って伸びており、上部ケース14の上部の左右端部に配置されている。スライドレール20は、電動工具200に電池パック2を着脱する際に、電動工具200のスライドレール(図示省略)に対して、摺動可能に係合する。
【0069】
端子受入部22は、上部ケース14の上面14aに設けられている端子開口部22aを備えている。端子開口部22aは、左右のスライドレール20の間に配置されており、電動工具200に電池パック2を取付ける際に、電動工具200の端子部202(
図15参照)を受け入れる。フック24は、上部ケース14の前上部に配置されている。フック24は、樹脂製の部材であって、操作部24aと、突出部24bを備えている。フック24は、上下方向に移動可能に上部ケース14に保持されている。フック24は、図示しない圧縮バネによって上方向に向けて付勢されており、操作部24aや突出部24bが下方に向けて押圧されると下方に移動する。突出部24bは、電動工具200に電池パック2が取付けられた時に、電動工具200のハウジングに形成された係合溝(図示省略)に係合して、電動工具200に電池パック2を固定する。電動工具200から電池パック2を取り外す際には、ユーザが操作部24aを下方に押し下げることで、突出部24bが下方に移動する。この状態で、電池パック2をスライドさせることで、電動工具200から電池パック2を取り外すことができる。操作部24aは、内側に窪んだ形状を有している。このため、ユーザが操作部24aに指をかけて操作部24aを下方に押し下げる際に、指が滑ることなく操作部24aを押し下げることができる。
【0070】
下部ケース16の前面には、表示部30が設けられている。表示部30は、電池パック2の充電残量をユーザに提示する残量表示部30aと、充電残量の表示のオン・オフを切り替えるボタン30bを備えている。
図2に示すように、下部ケース16の底面16aには、複数の孔32が設けられている。
【0071】
(電池モジュール10の構成)
図5に示すように、電池モジュール10は、セルケース60と、制御基板62と、LED基板64と、複数の端子66と、端子カバー68を備えている。セルケース60は、絶縁性の材料からなり、例えば、樹脂材料からなる。セルケース60は、右セルケース70と、左セルケース72に分割されている。
【0072】
図7に示すように、セルケース60には、10本の電池セル90a~90jが上下2段に並んで配置されている。電池セル90は、一方の端部に正極が形成され、他方の端部に負極が形成された、略円筒形状の二次電池セルであり、例えばリチウムイオン電池セルである。本実施例では、電池セル90は、18650型のリチウムイオン電池セルであり、定格電圧は、3.6[V]である。電池セル90は、上下方向に隣接する電池セル90において正極から負極への向きが互いに逆方向となるように配置されている。下段の電池セル90a~90eにおいて、電池セル90b~90eの正極から負極への向きが、最も後方側の電池セル90aの正極から負極への向きと逆方向になるように配置されている。また、上段の電池セル90f~90jにおいて、電池セル90g~90jの正極から負極への向きが、最も後方側の電池セル90fの正極から負極への向きと逆方向になるように配置されている。即ち、電池セル90a、90g~90jは、正極から負極への向きが同方向となるように配置されており、電池セル90b~90fは、正極から負極への向きが電池セル90a、90g~90jとは逆方向になるように配置されている。それぞれの電池セル90の一方の端部は、セルケース60の右側面側に設けられた金属製のリード板92a~92fに接続されており(
図5参照)、電池セル90の他方の端部は、セルケース60の左側面側に設けられた金属製のリード板92g~92kに接続されている(
図6参照)。
図5に示すように、複数のリード板92a~92fは、互いに間隔を空けて配置されている。従って、複数のリード板92a~92fは、互いに絶縁されている。また、
図6に示すように、複数のリード板92g~92kは、互いに間隔を空けて配置されている。従って、複数のリード板92g~92kは、互いに絶縁されている。電池セル90は、リード板92a~92kによって、電気的に直列に接続されている。このため、電池パック2の定格電圧は36[V]である。なお、図示省略しているが、セルケース60の右側面60a及び左側面60bには、絶縁シートが貼着されている。
【0073】
図5に示すように、制御基板62は、セルケース60の上方に配置されている。制御基板62は、上下方向に直交する面に沿うように配置されている。制御基板62は、ねじ96を介してセルケース60に固定されている。制御基板62において、複数の端子66の前側には、抵抗、コンデンサ、ダイオード等の電子部品が配置されている素子領域EA(制御基板62上の2点鎖線)が設けられている。素子領域EAには、防水のためのコーティングが施されている。
【0074】
図11に示すように、制御基板62には、複数の端子66を制御基板62に接続するための端子接続部142a~142lが設けられている。また、制御基板62には、基板孔144a、144b、146a、146bが設けられている。基板孔144a、144bは、左右方向において、基板孔146a、146bよりも外側に設けられている。右端部側の基板孔144aは、端子接続部142a~142lのうち、最も右側に位置する端子接続部142a、142bよりも外側(右側)に設けられている。また、左端部側の基板孔144bは、端子接続部142a~142lのうち、最も左側に位置する端子接続部142k、142lよりも外側(左側)に設けられている。基板孔146aは、端子接続部142dと端子接続部142eの間に設けられている。基板孔146bは、端子接続部142hと端子接続部142iの間に設けられている。基板孔144a、144b、146a、146bの前後方向の位置は略一致する。
【0075】
図5に示すように、制御基板62の上面には、複数の端子66が設けられている。端子66は、充電・放電のために使用される電池側負極端子100、充電・放電のために使用される電池側正極端子102、及び、信号の伝達のために使用される電池側信号端子104、106、108、110で構成されている。なお、後述するように、電池側信号端子110は、電池パック2が電動工具200に取付けられている場合に使用されない。電池側信号端子110は、電池パック2が充電器(図示省略)に取付けられている場合にのみ使用される。電動工具200が電池パック2に取付けられている状態において、電池側負極端子100及び電池側正極端子102は、一対の放電端子として機能する。電池側負極端子100は、制御基板62の端子接続部142a、142b(
図11参照)に接続されており、電池側正極端子102は、制御基板62の端子接続部142k、142l(
図11参照)に接続されている。第1電池側信号端子104は、制御基板62の端子接続部142c、142d(
図11参照)に接続されており、第2電池側信号端子106は、制御基板62の端子接続部142e、142f(
図11参照)に接続されており、第3電池側信号端子108は、制御基板62の端子接続部142g、142h(
図11参照)に接続されており、第4電池側信号端子110は、制御基板62の端子接続部142i、142j(
図11参照)に接続されている。
【0076】
また、制御基板62の上面には、端子カバー68が設けられている。端子カバー68は、半透明の樹脂で形成されている。端子カバー68は、制御基板62に対して両面テープで接着される。端子カバー68が半透明である場合、制御基板62に対する端子カバー68の接着状態を容易に確認することができる。
図12に示すように、端子カバー68は、6個の周囲壁120、122、124、126、128、130と、2個の延伸壁132a、132bと、連結部134を備えている。周囲壁120は、前壁120aと、右壁120bと、後壁120cと、左壁120dで構成される。右壁120bの前後方向の中央部には外側(右側)に突出する突出部120eが設けられている。突出部120eから外側(右側)に延伸壁132aが延びている。なお、
図13に示すように、後壁120cの下部には開口136が設けられている。
図12に示すように、周囲壁122は、前壁122aと、右壁122bと、後壁122cと、左壁122dで構成される。左壁122dの前後方向の中央部には外側(左側)に突出する突出部122eが設けられている。突出部122eから外側(左側)に延伸壁132bが延びている。周囲壁124は、前壁124aと、右壁124bと、後壁124cと、左壁124dで構成される。周囲壁126は、右壁126bと、後壁126cと、左壁126dで構成される。周囲壁128は、前壁128aと、右壁128bと、後壁128cと、左壁128dで構成される。周囲壁130は、右壁130bと、後壁130cと、左壁130dで構成される。なお、周囲壁124の前壁124aと周囲壁126の後壁126cは共用されている。また、周囲壁128の前壁128aと周囲壁130の後壁130cは共用されている。端子カバー68において最も後方側に位置する後壁122c、124c、128cの高さは、それ以外の壁の高さよりも低い。連結部134は、左右方向において間隔が空いている周囲壁を連結する。具体的には、一番右側の連結部134は、周囲壁120の左壁120dと、周囲壁124、126の右壁124b、126bと、を連結する。また、中央の連結部134は、周囲壁124、126の左壁124d、126dと、周囲壁128、130の右壁128b、130bと、を連結する。また、一番左側の連結部134は、周囲壁128、130の左壁128d、130dと、周囲壁122の右壁122bと、を連結する。
【0077】
図4に示すように、制御基板62の上面に、端子カバー68が取付けられている状態において、電池側負極端子100は、周囲壁120内に配置されている。電池側負極端子100は、後方の下部以外が周囲壁120によって囲まれている。また、周囲壁120の突出部120eの内側に基板孔144aが配置されている。電池側正極端子102は、周囲壁122内に配置されている。電池側正極端子102は、周囲壁122によって四方が囲まれている。また、周囲壁122の突出部122eの内側に基板孔144bが配置されている。
【0078】
電池側信号端子104、106、108、110は、周囲壁124、126、128、130内に配置されている。第1電池側信号端子104は、周囲壁124によって四方が囲まれている。また、周囲壁124の内側において、第1電池側信号端子104の前方側に基板孔146aが配置されている。第2電池側信号端子106は、前方以外が周囲壁126によって囲まれている。第3電池側信号端子108は、周囲壁128によって四方が囲まれている。また、周囲壁128の内側において、第3電池側信号端子108の前方側に基板孔146bが配置されている。第4電池側信号端子110は、前方以外が周囲壁130によって囲まれている。
【0079】
上述のように、制御基板62上に設けられている複数の端子66のうち、電池側負極端子100、電池側正極端子102、及び、電池側信号端子104、106、108は、電動工具200の端子部202(
図15参照)に接続されるが、第4電池側信号端子110は、電動工具200の端子部202に接続されない。
図15に示すように、電動工具200の端子部202には、電池側負極端子100に対応する工具側負極端子210と、電池側正極端子102に対応する工具側正極端子212と、第1電池側信号端子104に対応する第1工具側信号端子214と、第2電池側信号端子106に対応する第2工具側信号端子216と、第3電池側信号端子108に対応する第3工具側信号端子218と、が設けられているが、第4電池側信号端子110に対応する工具側信号端子が設けられていないためである。端子カバー68は、複数の端子66のうち電動工具200の端子部202に接続される端子を隔てるように構成されている。
図4に示すように、電池側正極端子102、第1電池側信号端子104、第3電池側信号端子108は、周囲壁122、124、128によって四方が囲まれており、他の端子と隔てられている。しかしながら、電池側負極端子100については、周囲壁120の後壁120cの下部に開口136が設けられている。また、第2電池側信号端子106については、周囲壁126は、前壁を有さない。このため、仮に延伸壁132a、132bが設けられていない場合には、制御基板62の上面に付着した水が、開口136を通過して、周囲壁120または周囲壁122の外側を回り込んで、周囲壁126内に到達することで、電池側負極端子100と第2電池側信号端子106が水を介して短絡するおそれがある。このような状況を回避するために、端子カバー68には、延伸壁132a、132bが設けられている。延伸壁132aの右端は、制御基板62の右端と略一致し、延伸壁132bの左端は、制御基板62の左端と略一致する。このため、延伸壁132a、132bによって、制御基板62の前方側から後方側、及び、後方側から前方側に水が流れることが抑制される。このため、制御基板62の上面に付着した水が、開口136を通過して周囲壁120の外側を回り込んで、延伸壁132aに到達すると、延伸壁132aによって前方側に流れることが阻害される。具体的には、制御基板62の右側、即ちセルケース60の上面60cに水が流れ出ていく。従って、電池側負極端子100と第2電池側信号端子106は、周囲壁120、周囲壁126、及び、延伸壁132a、132bによって隔てられていると言える。
【0080】
図8に示すように、セルケース60は、右セルケース70と、左セルケース72に分割されている。セルケース60の上面60cは、電池セル90の長手方向の側面に対応する形状を有している。セルケース60の右側面60aの上部には、セルケース60の上面60cよりも上方に突出する突出部74が設けられている。突出部74は、隣り合う2個の電池セル90に跨るように配置されている。突出部74には、突出部74を左右方向に貫通するケース孔76が設けられている。
図6に示すように、セルケース60に左側面60bの上部には、セルケース60の上面60cよりも上方に突出する突出部78が設けられている。突出部78は、隣り合う2個の電池セル90に跨るように配置されている。突出部78には、突出部78を左右方向に貫通するケース孔80が設けられている。なお、突出部74、78には、へこみ部88が設けられている。へこみ部88は、上部ケース14の上面14aの裏側に設けられている突条部(図示省略)に対応する形状を有している。上部ケース14とセルケース60が連結されると、上部ケース14に設けられている突条部が、セルケース60に設けられているへこみ部88に受容される。このため、例えば、電池パック2が取付けられている状態の電動工具200(
図14参照)が落下した時の衝撃により、上部ケース14と下部ケース16との間に位置ずれが発生したとしても、上部ケース14とセルケース60との間に位置ずれが発生することを抑制することができる。従って、上部ケース14が、セルケース60に固定されている制御基板62に接触することを抑制することができる。即ち、突出部74、78、及び、へこみ部88は、上部ケース14と下部ケース16との間の位置ずれを抑制するために設けられている。
【0081】
図9に示すように、セルケース60の上面60cにおいて、隣り合う2つの電池セル90の間には窪み60e1~60e4が設けられている。窪み60e1~60e4には、上面60cよりも上方に突出する突出部82が設けられている。突出部82は、セルケース60における左右方向の中央部に設けられている。突出部82には、突出部82を上下方向に貫通するケース孔84が設けられている。また、
図10に示すように、セルケース60の下面60dには、ケース孔84に対向する位置にケース孔86が設けられている。
【0082】
続いて、
図4、
図9、
図10を参照して、端子開口部22a等からアウターケース12の内部に水が浸入した水が、制御基板62の基板孔144a、144b、146a、146b等を通過して、セルケース60の上面60cに到達する場合の排水経路について説明する。セルケース60の上面60cに到達した水は、セルケース60の上面60cの窪み60e1~60e4に溜まっていく。窪み60e1~60e4に水が溜まっていくと、セルケース60の上面60cのケース孔84、及び、セルケース60の下面60dのケース孔86を通って、下部ケース16側に水が流れ出ていく。下部ケース16に流れ出た水は、下部ケース16の底面16aに到達し、底面16aの孔32(
図2参照)から外部に排水される。なお、制御基板62の基板孔144a、144b、146a、146bを通過する水の多くは、窪み60e2、60e3に溜まっていく。窪み60e2、60e3に溜まっていくと、セルケース60の突出部74に設けられているケース孔76、及び、突出部78に設けられているケース孔80を通過して下部ケース16に水が流れ出ていく。下部ケース16に流れ出た水は、下部ケース16の底面16aに到達し、底面16aの孔32(
図2参照)から外部に排水される。このように、セルケース60の右側面60aに設けられているケース孔76、及び、左側面60bに設けられているケース孔80によって、セルケース60の上面60cにおける排水性が高められる。
【0083】
1またはそれ以上の実施形態において、
図1~
図13に示すように、電池パック2は、電池セル90と、電池セル90の上方に配置され、電池セル90に接続される制御基板62と、制御基板62に設けられており、左右方向に並んで配置されている複数の端子66と、制御基板62に設けられている複数の右壁120b、122b、124b、126b、128b、130bと、制御基板62に設けられている複数の左壁120d、122d、124d、126d、128d、130dと、電動工具200の端子部202を受け入れる端子受入部22を上面14aに備えるアウターケース12と、を備えている。左右方向において隣り合う2つの端子(例えば、電池側負極端子100、第3電池側信号端子108)の間には、少なくとも2つの壁が設けられている。上記の構成によれば、左右方向において、隣り合う2つの端子間の沿面距離を、壁が1つだけの場合、又は、壁が設けられていない場合よりも、長くすることができる。このため、アウターケース12の内部に水が浸入した場合であっても、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0084】
(対応関係)
複数の右壁120b、122b、124b、126b、128b、130b、及び、複数の左壁120d、122d、124d、126d、128d、130dが、「複数の隔壁部」の一例である。電池側負極端子100、電池側正極端子102、電池側信号端子104、106、108、110が、「第1の端子」の一例である。電池側負極端子100、電池側正極端子102、電池側信号端子104、106、108、110が、「第2の端子」の一例である。
【0085】
1またはそれ以上の実施形態において、
図1~
図13に示すように、電池パック2は、電池パック2は、電池セル90と、電池セル90の上方に配置され、電池セル90に接続されている制御基板62と、制御基板62に設けられている複数の端子66と、制御基板62に設けられており、複数の端子66のうちの1つの端子の周囲を囲む周囲壁122、124、128と、電動工具200の端子部202を受け入れる端子受入部22を上面14aに備えるアウターケース12と、を備えている。周囲壁122、124、128の内側の制御基板62には、基板孔144b、146a、146bが設けられている。上記の構成によれば、周囲壁122、124、128によって囲まれている電池側正極端子102、第1電池側信号端子104、第3電池側信号端子108と、他の端子との沿面距離を、周囲壁122、124、128が設けられていない場合よりも長くすることができる。また、周囲壁122、124、128の内側の制御基板62に基板孔144b、146a、146bが設けられているため、周囲壁122、124、128の内側に水が溜まらない。このため、周囲壁122、124、128の内側に溜まった水が周囲壁122、124、128の外側にあふれ出て、周囲壁122、124、128によって囲まれている端子102、104、108が、水を介して他の端子と短絡することを抑制することができる。
【0086】
1またはそれ以上の実施形態において、
図5~
図10に示すように、電池パック2は、アウターケース12の内部に収容され、10個の電池セル90を保持しており、制御基板62の下方に配置されるセルケース60を備えている。10個の電池セル90は、アウターケース12の底面16aに対して平行に並んで設けられており、セルケース60には、隣り合う2個の電池セル90の間にケース孔76、80、84、86が設けられている。制御基板62の基板孔144b、146a、146bから排水される水は、セルケース60の上面60cに到達する。上記の構成によれば、セルケース60の上面60cに到達した水は、セルケース60に設けられているケース孔76、80、84、86を通過して、アウターケース12の底面16aに流れ出ていく。従って、制御基板62や電池セル90よりも下方まで水を案内することができる。
【0087】
1またはそれ以上の実施形態において、
図10に示すように、セルケース60は、隣り合う2個の電池セル90の間のセルケース60の上面60cの窪み60e1~60e4に設けられており、セルケース60を上下方向に貫通するケース孔84と、セルケース60の下面60dにおいてケース孔84に対向する位置に設けられており、セルケース60を上下方向に貫通するケース孔86と、を備えている。上記の構成によれば、セルケース60の上面60cの窪み60e1~60e4に到達した水は、セルケース60の上面60cの窪み60e1~60e4に設けられているケース孔84を通ってセルケース60内に浸入し、セルケース60の下面60dに設けられているケース孔86の近傍に到達し、ケース孔84を通過してアウターケース12に流れ出て、アウターケース12の底面16aに到達する。従って、制御基板62や電池セル90よりも下方まで水を案内することができる。
【0088】
1またはそれ以上の実施形態において、
図5~
図10に示すように、隣り合う2個の電池セル90の間のセルケース60の上面60cの電池セル90の長手方向の端部には、上方に延びる突出部74、78が設けられている。突出部74、78には、セルケース60を電池セル90の長手方向に貫通するケース孔76、80が設けられている。上記の構成によれば、セルケース60の上面60cに到達した水は、セルケース60の上面60cを伝って突出部74、78に設けられているケース孔76、80に到達し、ケース孔76、80を通過してアウターケース12の底面16aに流れ出ていく。従って、制御基板62や電池セル90よりも下方まで水を案内することができる。
【0089】
(対応関係)
周囲壁122、124、128が、「第1の隔壁部」の一例である。ケース孔84が、「第1のケース孔」の一例である。ケース孔86が、「第2のケース孔」の一例である。ケース孔76、80が、「第3のケース孔」の一例である。電池側正極端子102、電池側信号端子104、108が、「第1の端子」の一例である。
【0090】
1またはそれ以上の実施形態において、
図1~
図13に示すように、電池パック2は、電池セル90と、電池セル90の上方に設けられ、電池セル90に接続される制御基板62と、制御基板62に設けられている複数の端子66と、制御基板62に設けられている1以上の壁と、電動工具200の端子部202を受け入れる端子受入部22を上面に備えるアウターケース12と、を備えている。複数の端子66は、電池側負極端子100と、電池側正極端子102と、電池側信号端子104、106、108と、を備えている。最も前方側で隣り合う電池側負極端子100と第2電池側信号端子106の左右方向の間には、前後方向に延びる左壁120d、及び、右壁126bが設けられており、電池側負極端子100の前方にのみ、左右方向に延びる前壁120aが設けられている。上記の構成によれば、左壁120d、及び、右壁126bによって、電池側負極端子100と第2電池側信号端子106の左右方向の沿面距離を長くすることができる。また、前壁120aによって、電池側負極端子100と第2電池側信号端子106の間で左壁120d、及び、右壁126bを水が回り込んだ場合の沿面距離を長くすることができる。従って、アウターケース12の内部に水が浸入した場合に、最も前方側で隣り合う電池側負極端子100と第2電池側信号端子106が短絡することを抑制することができる。
【0091】
また、最も前方側で隣り合う電池側負極端子100と第2電池側信号端子106のうちの電池側負極端子100の前方に、前壁120aが設けられており、第2電池側信号端子106の前方には壁が設けられていない。このため、最も前方側で隣り合う電池側負極端子100と第2電池側信号端子106の両方の前方に、壁が設けられている場合と比較して、制御基板62において素子領域EAとして利用可能な領域を大きくすることができる。
【0092】
1またはそれ以上の実施形態において、
図4に示すように、左右方向の最も外側に設けられている電池側負極端子100の外側、及び、電池側正極端子102の外側に基板孔144a、144bが設けられている。上記の構成によれば、電池側負極端子100、及び、電池側正極端子102の近傍に水が溜まることを抑制することができる。また、電池側負極端子100の前方側、及び、電池側正極端子102の前方側の制御基板62に基板孔が設けられている場合と比較して、制御基板62において素子領域EAとして利用可能な領域を大きくすることができる。
【0093】
1またはそれ以上の実施形態において、
図4に示すように、前後方向に隣り合う2つの電池側信号端子104、106の間の制御基板62に基板孔146aが設けられている。上記の構成によれば、前後方向に隣り合う2つの電池側信号端子104、106の間の制御基板62のそれぞれの前方に基板孔を設ける場合と比較して、制御基板62において素子領域EAとして利用可能な領域を大きくすることができる。
【0094】
(対応関係)
電池側負極端子100及び第2電池側信号端子106が、「最も前方側で隣り合う前方側電力端子と前方側信号端子」の一例である。電池側負極端子100が、「第1の電力端子」の一例である。第2電池側信号端子106が、「第1の信号端子」の一例である。左壁120d、及び、右壁126bが、「第1の前後方向隔壁部」の一例である。前壁120aが、「左右方向隔壁部」の一例である。電池側負極端子100、及び、電池側正極端子102が、「左右方向の最も外側に設けられている端子」の一例である。電池側信号端子104、106が、「前後方向に隣り合う2つの端子」の一例である。基板孔144a、144bが、「第1の基板孔」の一例である。基板孔146a、146bが、「第2の基板孔」の一例である。
【0095】
1またはそれ以上の実施形態において、
図1~
図13に示すように、電池パック2は、電池セル90と、電池セル90の上方に配置され、電池セル90に接続される制御基板62と、制御基板62に接続されている複数の端子66と、制御基板62に設けられている周囲壁120、122、124、126、128と、制御基板62に設けられている延伸壁132a、132bと、電動工具200の端子部202を受け入れる端子受入部22を上面14aに備えるアウターケース12と、を備えている。上記の構成によれば、複数の端子66のうち、電動工具200の端子部202に接続される端子100、102、104、106、108の全てが、他の端子と少なくとも1つの壁によって隔てられている。このため、複数の端子66間の沿面距離を長くすることができる。従って、アウターケース12の内部に水が浸入した場合に、アウターケース12の内部の端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0096】
1またはそれ以上の実施形態において、
図12に示すように、最も後方側に位置する後壁122c、124c、128cの高さは、後壁122c、124c、128cよりも前方側に位置する後壁120c、126cの高さよりも低い。上記の構成によれば、電動工具200に電池パック2を取付けたときに、後壁122c、124c、128cが電動工具200の端子部202等と接触しないようにすることができるとともに、各端子間の沿面距離を確保して、電動工具200の端子部202に接続される端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0097】
(対応関係)
電池側負極端子100、電池側正極端子102が、「電力端子」の一例である。端子カバー68の周囲壁120、122、124、126、128、延伸壁132a、132bが、「隔壁部」の一例である。後壁122c、124c、128cが、「第1の左右方向隔壁部」の一例である。後壁120c、126cが、「第2の左右方向隔壁部」の一例である。
【0098】
(第2実施例)
図16~
図18を用いて、第1実施例の電池パック2と異なる点について説明する。なお、以下では、実施例間で共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。第2実施例の電池パック2は、端子カバー368の構造が、第1実施例の電池パック2の端子カバー68の構造と異なる。
【0099】
図17に示すように、端子カバー368は、6個の周囲壁420、122、124、426、128、430と、2個の延伸壁132a、132bと、連結部134を備えている。周囲壁420は、前壁420aと、右壁420bと、後壁420cと、左壁420dで構成される。右壁420bの前後方向の中央部には外側(右側)に突出する突出部420eが設けられている。
図18に示すように、本実施例では、後壁420cの下部に開口が設けられていない。
図17に示すように、周囲壁426は、前壁426aと、右壁426bと、後壁426cと、左壁426dで構成される。また、周囲壁430は、前壁430aと、右壁430bと、後壁430cと、左壁430dで構成される。
【0100】
図16に示すように、制御基板62の上面に、端子カバー368が取付けられている状態において、各端子100、102、104、106、110は、それぞれ、周囲壁420、122、124、426、128、430によって四方が囲まれている。このような構成によっても、第1実施例の電池パック2と同様の効果を奏することができる。なお、変形例では、端子カバー368は、延伸壁132a、132bを有していなくてもよい。
【0101】
(第3実施例)
図19~
図21を用いて、第1実施例の電池パック2と異なる点について説明する。第3実施例の電池パック2は、制御基板562及び端子カバー568の構造が、第1実施例の電池パック2の制御基板62及び端子カバー68の構造と異なる。
【0102】
図20に示すように、端子カバー568は、6個の周囲壁620、122、624、626、628、630と、2個の延伸壁132a、132bと、連結部134を備えている。周囲壁620は、前壁620aと、右壁620bと、後壁620cと、左壁620dで構成される。右壁620bの前後方向の中央部には外側(右側)に突出する突出部620eが設けられている。
図18に示すように、後壁620cの下部に開口は設けられていない。
図17に示すように、周囲壁624は、前壁624aと、右壁624bと、後壁624cと、左壁624dで構成される。周囲壁626は、前壁626aと、右壁626bと、後壁626cと、左壁626dで構成される。周囲壁628は、前壁628aと、右壁628bと、後壁628cと、左壁628dで構成される。周囲壁630は、前壁630aと、右壁630bと、後壁630cと、左壁630dで構成される。周囲壁624の前壁624aと周囲壁626の後壁626cが共用されていない点、及び、周囲壁628の前壁628aと周囲壁630の後壁630cが共用されていない点が、第1実施例の端子カバー68(
図12参照)と異なる。
【0103】
図19に示すように、制御基板562の上面に、端子カバー568が取付けられている状態において、各端子100、102、104、106、110は、それぞれ、周囲壁620、122、624、626、628、630によって四方が囲まれている。なお、図示省略しているが、制御基板562において、第1電池側信号端子104と第2電池側信号端子106の間、及び、第3電池側信号端子108と第4電池側信号端子110の間に基板孔146a、146bは設けられていない。上記の構成によれば、各端子100、102、104、106、110が、2つの壁によって他の端子から隔てられようになる。このような構成によっても、第1実施例の電池パック2と同様の効果を奏することができる。なお、変形例では、端子カバー568は、延伸壁132a、132bを有していなくてもよい。
【0104】
(第4実施例)
図22~
図24を用いて、第1実施例の電池パック2と異なる点について説明する。第4実施例の電池パック2は、制御基板762及び端子カバー768の構造が、第1実施例の電池パック2の制御基板62及び端子カバー68の構造と異なる。
【0105】
本実施例の端子カバー768は、連結部834の構造が、第1実施例の端子カバー68の連結部134の構造と異なる。
図23、
図24に示すように、連結部834の上面は、後方側が前方側よりも下方に位置するように傾斜している傾斜部834aを備えている。
【0106】
図22、
図23に示すように、制御基板762には、基板孔764が設けられている。基板孔764は、連結部834の傾斜部834aよりも後側に設けられている。
【0107】
1またはそれ以上の実施形態において、
図23に示すように、端子カバー768の連結部834の上面は、後方側の面が、前方側の面よりも下方に位置するように傾斜している傾斜部834aを備えている。上記の構成によれば、連結部834の上面に到達した水は、傾斜部834aを伝って、連結部834から流れ出ていく。このため、連結部834の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部834に溜まった水が、壁を乗り越えることを抑制することができる。
【0108】
1またはそれ以上の実施形態において、
図23に示すように、傾斜部834aは、後方側の面が、前方側の面よりも下方に位置するように傾斜している。連結部834よりも後方側の制御基板762には、基板孔764が設けられている。上記の構成によれば、連結部834の上面に到達した水は、傾斜部834aを伝って、連結部834から流れ出ていき、基板孔764を通過する。従って、制御基板762の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0109】
1またはそれ以上の実施形態において、
図24に示すように、一番右側の連結部834は、周囲壁120の左壁120dと周囲壁126の右壁126bとの間、及び、周囲壁120の左壁120dと周囲壁124の右壁124bとの間を連結している。上記の構成によれば、電池側負極端子100と第2電池側信号端子106との間、及び、電池側負極端子100と第1電池側信号端子104との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0110】
また、
図24に示すように、一番左側の連結部834は、周囲壁122の右壁122bと周囲壁130の左壁130dとの間、及び、周囲壁122の右壁122bと周囲壁128の左壁128dとの間を連結している。上記の構成によれば、電池側正極端子102と第4電池側信号端子110との間、及び、電池側正極端子102と第3電池側信号端子108との間に、水が溜まることを抑制することができる。従って、左右方向において隣り合う端子同士が短絡することを抑制することができる。
【0111】
(対応関係)
1つの側面では、電池側負極端子100が、「第1の端子」の一例である。第2電池側信号端子106が、「第2の端子」の一例である。第1電池側信号端子104が、「第3の端子」の一例である。左壁120dが、「前後方向に延びる第1の隔壁部」の一例である。右壁126bが、「左右方向において、第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第2の隔壁部」の一例である。右壁124bが、「左右方向において、第1の隔壁部と第3の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第3の隔壁部」の一例である。傾斜部834aが、「傾斜部」の一例である。後方が、「第1方向」の一例である。前方が、「第2方向」の一例である。基板孔764が、「第1の制御基板孔」の一例である。
【0112】
また、別の側面では、電池側正極端子102が、「第1の端子」の一例である。第4電池側信号端子110が、「左右方向において、前記第1の端子と隣り合う第2の端子」の一例である。第3電池側信号端子108が、「第2の端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の端子と隣り合う第3の端子」の一例である。周囲壁122が、「第1の端子の周囲を囲む第1の隔壁部」の一例である。左壁130dが、「第1の隔壁部と第2の端子の間に設けられている第2の隔壁部」の一例である。左壁128dが、「第1の隔壁部と第3の端子の間に設けられている第3の隔壁部」の一例である。傾斜部834aが、「傾斜部」の一例である。後方が、「第1方向」の一例である。前方が、「第2方向」の一例である。基板孔764が、「第1の制御基板孔」の一例である。
【0113】
また、別の側面では、電池側負極端子100が、「第1の電力端子」の一例である。第2電池側信号端子106が、「第1の信号端子」の一例である。第1電池側信号端子104が、「第2の信号端子」の一例である。左壁120dが、「第1の前後方向隔壁部」の一例である。右壁126bが、「第2の前後方向隔壁部」の一例である。右壁124bが、「第3の前後方向隔壁部」の一例である。傾斜部834aが、「傾斜部」の一例である。後方が、「第1方向」の一例である。前方が、「第2方向」の一例である。基板孔764が、「第1の制御基板孔」の一例である。
【0114】
また、別の側面では、電池側負極端子100が、「第1の端子」の一例である。第2電池側信号端子106が、「左右方向において第1の端子と隣り合う第2の端子」の一例である。第1電池側信号端子104が、「第2の端子と前後方向に並んでおり、かつ、左右方向において、第1の端子と隣り合う第3の端子」の一例である。左壁120dが、「第1の端子と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第1の前後方向隔壁部」の一例である。右壁126bが、「第1の前後方向隔壁部と第2の端子との間に設けられており、前後方向に延びる第2の前後方向隔壁部」の一例である。右壁124bが、「第1の前後方向隔壁部と第3の端子の間に設けられており、前後方向に延びる第3の前後方向隔壁部」の一例である。傾斜部834aが、「傾斜部」の一例である。後方が、「第1方向」の一例である。前方が、「第2方向」の一例である。基板孔764が、「第1の制御基板孔」の一例である。
【0115】
(第5実施例)
図25~
図27を用いて、第1実施例の電池パック2と異なる点について説明する。第5実施例の電池パック2は、制御基板962及び端子カバー968の構造が、第1実施例の電池パック2の制御基板62及び端子カバー68の構造と異なる。
【0116】
本実施例の端子カバー968は、連結部1034の構造が、第1実施例の端子カバー68の連結部134の構造と異なる。
図26、
図27に示すように、連結部1034の上面は、前方側が後方側よりも下方に位置するように傾斜している第1の傾斜部1034aと、後方側が前方側よりも下方に位置するように傾斜している第2の傾斜部1034bと、で構成されている。第1の傾斜部1034aは、第2の傾斜部1034bの前側に設けられている。
【0117】
図25、
図26に示すように、制御基板962には、基板孔964、966が設けられている。基板孔964は、連結部834の第1の傾斜部1034aよりも前側に設けられている。基板孔966は、連結部834の第2の傾斜部1034bよりも後側に設けられている。
【0118】
1またはそれ以上の実施形態において、
図26に示すように、端子カバー968の連結部1034の上面には、第1の傾斜部1034a、及び、第2の傾斜部1034bが設けられている。連結部1034の上面の前方側に設けられている第1の傾斜部1034aは、前方側の面が、後方側の面よりも下方に位置するように傾斜している。また、連結部1034の上面の後方側に設けられている第2の傾斜部1034bは、後方側の面が、前方側の面よりも下方に位置するように傾斜している。上記の構成によれば、連結部1034の上面に到達した水は、第1の傾斜部1034a、及び、第2の傾斜部1034bを伝って、連結部1034から流れ出ていく。このため、連結部1034の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部1034に溜まった水が、壁を乗り越えることを抑制することができる。
【0119】
1またはそれ以上の実施形態において、
図26に示すように、端子カバー968の連結部1034の上面には、第1の傾斜部1034a、及び、第2の傾斜部1034bが設けられている。そして、連結部1034よりも前方側の制御基板962には、基板孔964が設けられている。また、連結部1034よりも後方側の制御基板962には、基板孔966が設けられている。上記の構成によれば、連結部1034の上面に到達した水は、第1の傾斜部1034a、及び、第2の傾斜部1034bを伝って、連結部1034から流れ出ていき、基板孔964、966を通過する。従って、制御基板962の上面に水が溜まることを抑制することができる。
【0120】
(対応関係)
第1の傾斜部1034a及び第2の傾斜部1034bが、「傾斜部」の一例である。第1の傾斜部1034aが「傾斜部」の一例である場合、前方が「第1方向」の一例であり、後方が「第2方向」の一例である。第2の傾斜部1034bが「傾斜部」の一例である場合、後方が「第1方向」の一例であり、前方が「第2方向」の一例である。基板孔964、966が、「第1の制御基板孔」の一例である。
【0121】
(第6実施例)
図28~
図30を用いて、第1実施例の電池パック2と異なる点について説明する。第6実施例の電池パック2は、制御基板1162及び端子カバー1168の構造が、第1実施例の電池パック2の制御基板62及び端子カバー68の構造と異なる。
【0122】
本実施例の端子カバー1168は、連結部1234の構造が、第1実施例の端子カバー68の連結部134の構造と異なる。
図28~
図30に示すように、連結部1234の上面は、前後方向及び左右方向を含む面に対して平行である。連結部1234には、前側カバー孔1236と、後側カバー孔1238と、が設けられている。前側カバー孔1236と後側カバー孔1238は、前後方向に並んで設けられている。前側カバー孔1236は、後側カバー孔1238よりも前側に設けられている。
【0123】
図29に示すように、連結部1234の下側の制御基板1162には、基板孔1164、1166が設けられている。基板孔1164、1166は、前後方向に並んで設けられている。基板孔1164は、基板孔1166よりも前側に設けられている。基板孔1164は、前側カバー孔1236の下側に設けられており、基板孔1166は、後側カバー孔1238の下側に設けられている。基板孔1164、1166のサイズは、前側カバー孔1236、後側カバー孔1238のサイズよりも大きい。
【0124】
1またはそれ以上の実施形態において、
図29に示すように、端子カバー1168の連結部1234には、カバー孔1236、1238が設けられており、カバー孔1236、1238の下方の制御基板1162には、基板孔1164、1166が設けられている。上記の構成によれば、連結部1234の上面に到達した水は、カバー孔1236、1238及び基板孔1164、1166を通過する。このため、連結部1234の上面に水が溜まることを抑制することができる。従って、連結部1234に溜まった水が壁を乗り越えることを抑制することができる。
【0125】
(対応関係)
カバー孔1236、1238が、「貫通孔」の一例である。基板孔1164、1166が、「第2の制御基板孔」の一例である。
【0126】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0127】
(第1変形例)端子カバー68の壁の高さが全て同じであってもよい。
【0128】
(第2変形例)セルケース60にケース孔76、80、84、86が設けられていなくてもよい。また、別の変形例では、ケース孔76、80、84、86のうちの少なくとも1つのケース孔が設けられていなくてもよい。
【0129】
(第3変形例)上記の実施例では、突出部74、78は、セルケース60と上部ケース14の位置ずれを抑制するために設けられている。変形例では、突出部74、78は、セルケース60の上方に設けられる制御基板62を支持するために設けられていてもよいし、リード板92間の前後方向の沿面距離を長くするために設けられていてもよい。
【0130】
(第4変形例)左右方向の最も外側に設けられている電池側負極端子100、及び、電池側正極端子102の前側、又は、後側に、基板孔144a、144bが設けられていてもよい。
【0131】
(第5変形例)第4、第5実施例において、制御基板762、962に、基板孔764、964、966が設けられていなくてもよい。
【0132】
(第6変形例)第4実施例の端子カバー768において、連結部834の上面の一部が、前後方向及び左右方向を含む面と平行であってもよい。
【0133】
(第7変形例)各実施例の連結部134、834、1034、1234が、左右方向において隣り合う周囲壁120、122、124、168、128、130の一部にのみ連結されていてもよい、例えば、第4実施例の端子カバー768において、一番右側の連結部834が、周囲壁120の左壁120dと周囲壁126の右壁126bを連結するが、周囲壁120の左壁120dと周囲壁124の右壁124bを連結しなくてもよい。
【0134】
(第8変形例)第6実施例の端子カバー1168が、連結部1234を有していなくてもよい。即ち、周囲壁120と周囲壁124、126とが連結されていない。また、周囲壁124、126と周囲壁128、130とが連結されていない。また、周囲壁128、130と周囲壁122とが連結されていない。そして、周囲壁120と周囲壁124、126との間の制御基板1162、周囲壁124、126と周囲壁128、130との間の制御基板1162、及び、周囲壁128、130と周囲壁122との間の制御基板1162には、基板孔1164、1166が設けられている。本変形例では、例えば、周囲壁120の左壁120dと周囲壁124の右壁124bとの間の制御基板1162に到達した水は、制御基板1162に設けられている基板孔1164、1166を通ってセルケース60の上面60cに到達する。
【0135】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的な有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0136】
2:電池パック、10:電池モジュール、12:アウターケース、14:上部ケース、14a:上面、16:下部ケース、16a:底面、18:ねじ、20:スライドレール、22:端子受入部、22a:端子開口部、24:フック、24a:操作部、24b:突出部、30:表示部、30a:残量表示部、30b:ボタン、32:孔、60:セルケース、60a:右側面、60b:左側面、60c:上面、60d:下面、60e1~60e4:窪み、62:制御基板、64:LED基板、66:端子、68:端子カバー、70:右セルケース、72:左セルケース、74:突出部、76:ケース孔、78:突出部、80:ケース孔、82:突出部、84:ケース孔、86:ケース孔、88:へこみ部、90a~90j:電池セル、92a~92k:リード板、96:ねじ、100:電池側負極端子、102:電池側正極端子、104:第1電池側信号端子、106:第2電池側信号端子、108:第3電池側信号端子、110:第4電池側信号端子、120、122、124、126、128、130:周囲壁、132a、132b:延伸壁、134:連結部、136:開口、142a~142l:端子接続部、144a、144b、146a、146b:基板孔、200:電動工具、202:端子部、210:工具側負極端子、212:工具側正極端子、214:第1工具側信号端子、216:第2工具側信号端子、218:第3工具側信号端子、368:端子カバー、420、426、430:周囲壁、562:制御基板、568:端子カバー、620、624、626、628、630:周囲壁、EA:素子領域、762:制御基板、764:基板孔、768:端子カバー、834:連結部、834a:傾斜部、962:制御基板、964、966:基板孔、968:端子カバー、1034:連結部、1034a:第1の傾斜部、1034b:第2の傾斜部、1162:制御基板、1164、1166:基板孔、1168:端子カバー、1234:連結部、1236:前側カバー孔、1238:後側カバー孔、EA:素子領域