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  • 特許-引出し用整理トレー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】引出し用整理トレー
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/994 20170101AFI20240725BHJP
   A47B 88/975 20170101ALI20240725BHJP
【FI】
A47B88/994
A47B88/975
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023132517
(22)【出願日】2023-08-16
(62)【分割の表示】P 2019130096の分割
【原出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2023144053
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-09-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ニトリ店舗 販売日 平成30年11月8日 (2)ウェブサイトの掲載アドレス https://www.nitori-net.jp/store/ja/ec/8920337?ptr=item 掲載日 平成30年11月16日 (3)テレビCM 放送日 平成30年12月3日 (4)新聞折り込みチラシ 頒布日 平成30年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3212060(JP,U)
【文献】登録実用新案第3199697(JP,U)
【文献】特開平10-147336(JP,A)
【文献】実開平6-59216(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0084584(US,A1)
【文献】米国特許第06467622(US,B1)
【文献】米国特許第05738425(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102006019651(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/994
A47B 88/975
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が平面視において略正方形状であり、かつ、底板及び側壁により囲まれた収容部が仕切板によって90°回転非対称に区画されている本体トレーと、
略矩形状の底板上において三方を側壁により囲み、開放部分によって前記本体トレーの各辺にスライドして係合可能であり、前記本体トレーとの間にスライド位置に応じた大きさの収容部を形成する、スライドトレーと、
を備え引出し用整理トレー。
【請求項2】
前記スライドトレーは、第1及び第2のスライドトレーの一対を有し、
前記第1及び第2のスライドトレーのスライド方向の奥行寸法の合計は、前記本体トレーの一辺の寸法に略等しい、
請求項1に記載の引き出し用整理トレー。
【請求項3】
前記本体トレーの収容部は、180°回転非対称に区画されている、
請求項1又は2に記載の引き出し用整理トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば台所などの引出しに入れて用いられる引出し用整理トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引出し用整理トレー(以下、単に「整理トレー」と呼ぶこともある)として、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された整理トレーは、本体トレーと、当該本体トレーにスライド可能に係合されるスライドトレー(可動トレー)と、を有し、スライドトレーのスライド位置を調整することにより、整理トレー内での区画及び整理トレーの外形サイズを変更することができるようになっている。これにより、整理トレー内に収容しようとする小物に応じて区画を変更でき、また、整理トレーを収容しようとする引出しのサイズに応じて外形サイズを変更できるので、非常に便利である。
【0003】
この種の整理トレーは、特許文献1に記載されたもの以外にも、様々な構成のものが製造され、家庭に広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3212060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の整理トレーを台所の引出しに収容して用いる場合には、特に以下の性能が求められる。
(1)衛生上、埃が溜まりにくいこと
(2)引出しの開閉が頻繁に行われるので、スライドトレーのスライド位置が引出しの開閉によってずれにくいこと
(3)スライド位置の調整が容易かつスライド位置の自由度が高いこと
【0006】
しかしながら、上記(1)-(3)の性能を満たす整理トレーの構成については、十分な検討がなされていなかった。例えば、特許文献1の整理トレーでは、凹部と凸部の嵌合によってスライド位置の調整を行うため、凹凸部に埃が溜まり易くかつスライド位置の自由度が低いなどの点で要求を十分に充たしているとは言えない。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、埃が溜まりにくく、スライド位置がずれにくく、かつ、スライド位置の調整が容易かつスライド位置の自由度が高い、引出し用整理トレーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の引出し用整理トレーの一つの態様は、
本体トレーと、
前記本体トレーにスライド可能に係合されるスライドトレーと、
前記本体トレーの底板の下面又は前記スライドトレーの底板の上面に設けられており、前記本体トレー又は前記スライドトレーよりも滑り抵抗が大きい第1の滑り抑制材と、
前記スライドトレーの底板の下面に設けられており、前記スライドトレーよりも滑り抵抗が大きい第2の滑り抑制材と、
を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1及び第2の滑り抑制材によってスライド位置が維持されるので、埃が溜まりにくく、スライド位置がずれにくく、かつ、スライド位置の調整が容易かつスライド位置の自由度が高い、引出し用整理トレーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る引出し用整理トレーの分解斜視図
図2】引出し用整理トレーの斜視図
図3】本体トレーに対するスライドトレーの取付け方向を変えた例を示す斜視図
図4】スライドトレーをスライド方向と垂直な面で切った断面図
図5】本体トレーを下方向から見た平面図
図6】スライドトレーを下方向から見た平面図
図7】他の実施の形態によるシリコンシールの貼着位置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る引出し用整理トレー100(以下、単に「整理トレー100」と呼ぶ)の全体構成を示す斜視図である。図1は、本体トレー110からスライドトレー120、130を取り外した状態を示す分解斜視図であり、図2は、本体トレー110にスライドトレー120、130を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0013】
本体トレー110及びスライドトレー120、130は、ポリエチレンテレフタラートを用いて形成されている。ただし、本体トレー110及びスライドトレー120、130の材料は必ずしもこれに限らず、他の樹脂や、防錆処理を施した金属などを用いて形成してもよい。
【0014】
本体トレー110は、平面視において、正方形形状である。正方形の一辺は例えば25~28cmである。本体トレー110の収容部は仕切板111によって区画されている。図の例の場合、収容部は仕切板によって3つの収容部112a、112b、112cに区画されている。各収容部112a、112b、112cの幅は異なる。最も幅が狭い収容部112aは、例えば箸などを収容するのに適している。最も幅が広い収容部112cは、例えばしゃもじなどを収容するのに適している。幅が中間の収容部112bは、例えばスプーンやフォークなどを収容するのに適している。
【0015】
収容部112aを形成する両側壁の上部には切欠113が形成されている。これにより、菜箸などの本体トレー110の一辺の長さよりも長い箸を、切欠113に載せるようにして収容することができる。
【0016】
スライドトレー120、130は、図2に示したように、本体トレー110にスライド自在に取り付けられる。本体トレー110にスライドトレー120、130が取り付けられると、スライドトレー120、130の側壁と本体トレー110の側壁とに区画されて、収容部120a、130aが形成される。収容部120a、130aの大きさは、スライドトレー120、130のスライド位置により変化する。
【0017】
なお、本実施の形態の場合、本体トレー110は、正方形状とされているので、スライドトレー120、130を、図3に示したように、図1とは別の方向から本体トレー110にスライド自在に取り付けることができるようになっている。つまり、スライドトレー120、130は、平面視において、本体トレー110の4つの辺のうちの互いに対向する第1及び第2の辺にスライド可能に係合できるとともに、本体トレー110の4つの辺のうちの互いに対向する第3及び第4の辺にスライド可能に係合できるようになっている。
【0018】
図4は、スライドトレー120(130)をスライド方向と垂直な面で切った断面図である。スライドトレー120(130)の上端部には断面L字状の係止部121(131)が形成されている。これにより、本体トレー110は、スライドトレー120(130)の底板の上面と係止部121(131)の間にスライド可能に挟持される。この結果、スライドトレー120(130)は、上下方向の移動が規制されつつ、スライド方向に移動可能となっている。
【0019】
図5は、本体トレー110を下方向(裏面方向)から見た平面図である。本体トレー110の底板の下面には、第1の滑り抑制材としてのシリコンシール200が貼着されている。シリコンシール200は、本体トレー110の4つの角部近傍に設けられている。
【0020】
図6は、スライドトレー120、130を下方向(裏面方向)から見た平面図である。スライドトレー120、130の底板の下面には、第2の滑り抑制材としてのシリコンシール300が貼着されている。シリコンシール300は、スライドトレー120、130それぞれの2つの角部近傍に設けられている。
【0021】
ユーザーは、引出しのサイズや、収容しようとする小物のサイズに応じて、スライドトレー120、130のスライド位置を調整する。調整後のスライドトレー120、130のスライド位置は、第1の滑り抑制材としてのシリコンシール200の摩擦力により維持される。さらに、調整後のスライドトレー120、130のスライド位置は、第2の滑り抑制材としてのシリコンシール300の摩擦力により維持される。
【0022】
ここで、本体トレー110とスライドトレー120、130は、上下方向に若干隙間が存在するように係合されており、これにより、ユーザーは本体トレー110に対して容易にスライドトレー120、130をスライドさせることができる。
【0023】
スライド位置の調整後に整理トレー100が引出し内に置かれると、本体トレー110の自重により、本体トレーの底板の下面と、スライドトレー120、130の底板の上面との間の垂直抗力が高まり、その結果、シリコンシール200の摩擦力が高まることで、本体トレー110に対してスライドトレー120、130が動きにくくなる。
【0024】
さらに、スライド位置の調整後に整理トレー100が引出し内に置かれると、本体トレー110及びスライドトレー120、130の自重により、スライドトレー120、130の底板の下面と、引出しの底板の上面との間の垂直抗力が高まり、その結果、シリコンシール300の摩擦力が高まることで、引出しに対して整理トレー100が動きにくくなる。また、シリコンシール300の摩擦力が高まると、本体トレー110に対してスライドトレー120、130が益々動きにくくなる。
【0025】
つまり、調整後のスライドトレー120、130のスライド位置は、シリコンシール200とシリコンシール300との協働により、強く維持される。さらに、引出しに対する整理トレー100の移動は、シリコンシール300により抑制される。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、本体トレー110の底板の下面に本体トレー110よりも滑り抵抗が大きい第1の滑り抑制材(シリコンシール200)を設けるとともに、スライドトレー120、130の底板の下面にスライドトレー120、130よりも滑り抵抗が大きい第2の滑り抑制材(シリコンシール300)を設けたことにより、埃が溜まりにくく、スライド位置がずれにくく、かつ、スライド位置の調整が容易かつスライド位置の自由度が高い、整理トレー100を実現できる。
【0027】
つまり、引用文献1のように凹凸によりスライド位置の調整やスライド位置の維持を行う構成と比較して、埃が溜まりにくい。加えて、表面に凹凸が少ないので、掃除が楽であり、美観的にも優れている。また、上述したように、第1の滑り抑制材(シリコンシール200)と第2の滑り抑制材(シリコンシール300)との協働により、スライド位置が強く維持されるので、頻繁に引出しを開閉してもスライド位置のズレを抑制できる。さらに、引用文献1のように凹凸によりスライド位置の調整を行う場合と比較して、無段階のスライド調整ができるので、スライド位置の自由度が高い。
【0028】
なお上述の実施の形態では、第1の滑り抑制材(シリコンシール200)を平面視において本体トレー110の4つの角部近傍に設け(図5参照)、第2の滑り抑制材(シリコンシール300)を平面視において第1及び第2のスライドトレー120、130それぞれの2つの角部近傍に設けた(図6参照)場合について述べたが、第1及び第2の滑り抑制材の配設位置はこれに限らない。
【0029】
第1の滑り抑制材は、要は、本体トレー110の底板の下面の領域のうち、スライドトレー120、130のほぼ全てのスライド位置でスライドトレー120、130の底板の上面に当接する領域に設ければよい。また、第2の滑り抑制材は、要は、スライドトレー120、130の底板の下面の領域のうち、スライドトレー120、130を安定的に引出し内に定置できる領域に設ければよい。
【0030】
ここで、第1の滑り抑制材を本体トレー110の底板の下面の全領域に設けるようにしてもよい。ただし、このようにすると、本体トレー110とスライドトレー120、130との間の摩擦が大きくなり過ぎてスライド位置の調整がし難くなるばかりか、掃除もし難くなるので、上述の実施の形態のように、第1の滑り抑制材は本体トレー110の底板の下面の一部の領域にのみ設けることがより好ましい。同様に、第2の滑り抑制材をスライドトレー120、130の底板の下面の全領域に設けるようにしてもよい。ただし、このようにすると、掃除がし難くなるので、上述の実施の形態のように、第2の滑り抑制材はスライドトレー120、130の底板の下面の一部の領域にのみ設けることがより好ましい。
【0031】
また、上述の実施の形態では、第1の滑り抑制材(シリコンシール200)を本体トレー110の底板の下面に設けた場合について述べたが、図7に示したように、第1の滑り抑制材(シリコンシール200)をスライドトレー120、130の底板の上面に設けてもよい。この場合、第1の滑り抑制材は、スライドトレー120、130の底板の上面の領域のうち、スライドトレー120、130のほぼ全てのスライド位置で本体トレー110の底板の下面に当接する領域に設ければよい。図7の例では、第1の滑り抑制材(シリコンシール200)は、本体トレー100が進入する開口部の近傍に設けられている。
【0032】
また、上述の実施の形態では、第1及び第2の滑り抑制材としてシリコンシール200、300を用いた場合について述べたが、第1及び第2の滑り抑制材はシリコンシール200、300に限らず、要は、本体トレー110、スライドトレー120、130の本体を形成している材料よりも摩擦係数の高い材料であればよい。勿論、第1及び第2の滑り抑制材は、シールに限らず、例えば本体トレー110、スライドトレー120、130の一部に本体トレー110、スライドトレー120、130と一体的に形成されていてもよい。
【0033】
さらに、上述の実施の形態では、本体トレー110と、2つのスライドトレー120、130と、によって整理トレー100を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体トレーと、1つのスライドトレーと、によって整理トレーを構成するようにしてもよい。この場合も上述したのと同様に、第1の滑り抑制材を本体トレーの底板の下面又はスライドトレーの底板の上面に設ければよい。ただし、引出しの底板の上面と整理トレーの底板の下面との間の摩擦を高めるための第2の滑り抑制材は、スライドトレーの底板の下面に加えて、本体トレーの下面にも設けることが好ましい。第2の滑り抑制材は、本体トレーとスライドトレーとをスライド可能に係合したときに、少なくとも下側に位置するトレーに設けるようにする。
【0034】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、埃が溜まりにくく、スライド位置がずれにくく、かつ、スライド位置の調整が容易かつスライド位置の自由度が高いといった効果を有し、例えば台所の引出し用整理トレーとして有用である。
【符号の説明】
【0036】
100 引出し用整理トレー
110 本体トレー
111 仕切板
112a、112b、112c、120a、130a 収容部
113 切欠
120、130 スライドトレー
121、131 係止部
200、300 シリコンシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7