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特許7526885充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法
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  • 特許-充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法 図1
  • 特許-充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法 図2
  • 特許-充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/30 20120101AFI20240725BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240725BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G06Q20/30
G06Q50/06
G01C21/26 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023521170
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2021076903
(87)【国際公開番号】W WO2022073836
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102020006087.0
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】エヒャート,ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ケプラー,マーティン
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-230615(JP,A)
【文献】特表2010-539866(JP,A)
【文献】特開2010-146568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置(12)による自動車(10)のエネルギー貯蔵装置(14)の充填方法であって、前記自動車(10)が前記充電装置(12)に対して所定の閾値距離よりも近くに配置されるとすぐに、前記自動車(10)に割り当てられた決済口座を一意に識別する識別子が、前記自動車(10)の電子計算装置(16)によって無線送信を用いて前記充電装置(12)に対して提供され、前記エネルギー貯蔵装置(14)が、前記充電装置(12)によって充填され、充填量に応じて前記決済口座に自動的に課金される、充填方法において、
所定の量の電気エネルギーが、前記エネルギー貯蔵装置(14)によって前記充電装置(12)から受け取られ、転送された量の電気エネルギーに相当する額が前記決済口座に自動的に課金され、
前記額は、前記識別子によって識別される前記決済口座から自動的に引き落とされ
無線送信された前記識別子の受信に先立って、前記充電装置(12)によって前記自動車(10)に対する予約が受信され、無線送信された前記識別子が受信されると、前記予約によって特徴付けられる前記自動車(10)と前記識別子によって特徴付けられる前記自動車(10)とが一致するか否かが前記充電装置(12)により判定され、一致すると判定されると、前記自動車(10)の前記充電装置(12)へのアクセスが許可され
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
エネルギー貯蔵装置(14)としての前記自動車(10)のバッテリは、前記充電装置(12)によって、所定の量の電気エネルギーで充電され、転送された量の電気エネルギーに応じて前記決済口座に課金される
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記充電装置(12)での少なくとも1回の充電停車を含む前記自動車(10)の走行経路を指定するために、前記自動車(10)のナビゲーション装置(18)が使用され、前記識別子を無線で受信し、前記決済口座に課金するように、及び/又は、前記自動車(10)の予約を受信するように構成されている充電装置(12)が前記充電停車に対して選択される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
選択された前記充電装置(12)は、前記ナビゲーション装置(18)によって予約される
ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション装置(18)が、選択された前記充電装置(12)への到着予定時刻を数回、一定の間隔で決定し、前記充電装置(12)に前記到着予定時刻を提供することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記充電装置(12)の前記予約は、前記到着予定時刻に応じて調整される
ことを特徴とする請求項4に従属する請求項5記載の方法。
【請求項7】
自動車(10)用の充電装置(12)の動作方法であって、
前記自動車(10)が前記充電装置(12)に対して所定の閾値距離よりも近くに配置されるとすぐに、前記自動車(10)に割り当てられた決済口座を一意に識別する識別子が、前記自動車(10)の電子計算装置(16)によって無線送信され、前記充電装置(12)により受信され、
前記自動車(10)のエネルギー貯蔵装置(14)が、前記充電装置(12)により充填され
填量に応じて前記決済口座が、前記充電装置(12)により自動的に課金され
無線送信された前記識別子の受信に先立って、前記充電装置(12)によって前記自動車(10)に対する予約が受信され、無線送信された前記識別子が受信されると、前記予約によって特徴付けられる前記自動車(10)と前記識別子によって特徴付けられる前記自動車(10)とが一致するか否かが前記充電装置(12)により判定され、一致すると判定されると、前記自動車(10)の前記充電装置(12)へのアクセスが許可され
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記充電装置(12)の可用性が前記充電装置(12)により決定され、前記自動車(10)の前記充電装置(12)へのアクセスが、決定された前記可用性により許可される
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記可用性が、前記充電装置(12)の既存の予約に関して確認される
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法及び自動車用の充電装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の経路計画用装置が、下記特許文献1から公知である。この装置は、電気自動車におけるエネルギー貯蔵装置の現在の充電状態及び電気自動車の計画された経路を受信するための入力インターフェースを備える。さらに、この装置は、充電ステーションの位置を有する充電ステーション情報を受信するためのデータベースインターフェースを備える。さらに、この装置は、エネルギー貯蔵装置の現在の充電状態及び計画された経路に基づき、エネルギー貯蔵装置の充電状態の予測される結果を決定するためのエネルギー計画ユニットを有する。この装置は、充電状態の予測される結果、充電ステーション情報及び計画された経路に基づき、充電ステーションを選択するための充電計画ユニットをさらに備える。さらに、この装置の調整ユニットは、計画された経路に基づいて、選択された充電ステーションの位置を介して少なくとも1つの調整された経路を決定するように構成される。さらに、この装置は、車両が充電切れを起こす地点への到達予定時刻を特定するため、及び到達予定時刻に選択された充電ステーションを予約するための予約ユニットを有し得る。予約ユニットは、好ましくは、充電ステーションの充電期間を管理するための予約サービスと移動体通信するための移動体通信ユニットである。
【0003】
下記特許文献2には、インターネットに接続された1台以上のサーバーを備えるクラウドシステムを使用した、無線充電パッドを介した車両の自動充電を可能とする方法及びシステムが開示されている。この方法は、ユーザーアカウントに関連付けられた、電気自動車のIDをサーバー上で受信することを含む。このユーザーアカウントは、充電ユニット(CU)のネットワークに関連付けられたCUから充電を受けるために事前認証されている。また、この方法は、CUネットワークの1基のCUの充電パッド上に電気自動車の少なくとも一部が位置することを示すデータをサーバー上で受信することを含む。このサーバーは、このCUにデータを送信し、ユーザーアカウントが事前に認証されている場合、充電パッドが自動的に電気自動車を充電できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第10 2018 214 986(A1)号
【文献】米国特許第9 371 007(B1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ユーザーにとって便利な自動車のエネルギー貯蔵装置の充填処理を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、充電装置による自動車のエネルギー貯蔵装置の充填方法に関し、当該方法では、自動車が充電装置から所定の閾値距離よりも近くに配置されるとすぐに、自動車の電子計算装置によって、識別子が無線送信によって充電装置に提供される。この識別子は、自動車に割り当てられた決済口座を一意に識別する。このように、充電装置に接近中の自動車が識別、又は充電装置に接近中の自動車に割り当てられた決済口座が識別される。ここで、例えば、充電装置に対して所定の閾値距離よりも近い自動車の接近は、近接センサ装置によって判断し得る。この方法によりさらに、充電装置によってエネルギー貯蔵装置が充填されることが提供される。ここで、エネルギー貯蔵装置には、充電装置により所定の量のエネルギー源が充填され得る。充填量に応じて、決済口座に課金される。つまり、充電装置によってエネルギー貯蔵装置に充填されたエネルギー源の量に相当する額が決済口座から引き落とされる。したがって、この方法では、充填処理の無線での支払いは、自動車が充電装置に接近することをきっかけに行われる。これにより、充填処理の支払いの個別の承認は、省略され得る。説明された方法は、ユーザーにとって特に便利な自動車のエネルギー貯蔵装置の充填処理を可能にし、これにより、充填処理は、特に簡便かつ高速であり得、自動化された方法で支払われ得る。
【0007】
充填量に応じて決済口座に課金するために、本発明によれば、自動車のエネルギー貯蔵装置によって、充電装置から所定の量の電気エネルギーが充填され、転送された電気エネルギー量に相当する額が自動的に決済口座に課金され、その額は、識別子によって識別される決済口座から自動的に引き落とされることが提供される。
【0008】
本発明の有利なさらなる発展形態では、エネルギー貯蔵装置としての自動車のバッテリが、充電装置によって、所定の量の電気エネルギーで充電され、電気エネルギーの転送された量に応じて決済口座に課金されることが提供される。したがって、この自動車は、特に、バッテリからの電気エネルギーで駆動可能な電動自動車である。このバッテリは、特に高電圧バッテリである。充電装置は、自動車のバッテリを充電するための電気エネルギーを提供するように構成された充電ステーションであり得る。したがって、この方法によれば、充填処理の間、特に自動車としての電気自動車の充電処理の間に、充電処理、特に充電処理の支払いが、自動車の運転手にとって特に便利に実施され得る。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、自動車のナビゲーション装置により、充電装置での少なくとも1回の充電停車を含む自動車の走行経路が指定され、識別子を無線で受信し、決済口座に課金するように、及び/又は、自動車の予約を受信するように構成されている充電装置が充電停車用に選択される場合に有利であることが示されている。特に、ナビゲーション装置は、ユーザー、特に車両乗員、特に自動車の運転手から、走行の開始を特徴付ける開始入力と、走行の目的地を特徴付ける目的地入力とを受信し、開始入力及び目的地入力に応じて走行経路を決定するように構成されている。さらに、ナビゲーション装置は、所定の走行経路に対する自動車のエネルギー消費量を決定し得る。決定されたエネルギー消費量と、自動車のエネルギー貯蔵装置に受け入れられた、すなわち貯蔵されているエネルギー量とに応じて、ナビゲーション装置は、少なくとも1回の充電停車が必要か否か、及び/又は、何回の充電停車が必要か、及び/又は、それぞれの決定された可能な走行経路に沿ってそれぞれの充電停車が提供されるべき場所を決定し得る。ここで、それぞれの充電装置における少なくとも1回の充電停車は、それぞれの充電停車で提供されるそれぞれの充電装置に対し、自動車が接近したときの決済口座の識別及び非接触決済、及び/又は、自動車の予約の受信が可能であるか否かに応じて選択され得る。これにより、自動車の運転者にとって特に便利な走行経路を決定することができ、自動車のエネルギー貯蔵装置に自動車の運転者にとって特に便利かつ容易にエネルギー源が充填され得て、それぞれの充填処理が支払いされ得る少なくとも1つの充電停車が提供され得る。
【0010】
この記載では、選択された充電装置がナビゲーション装置によって予約された場合、特に有利なことが示されている。すなわち、選択された充電装置に対して、希望する予約を特徴付ける予約信号がナビゲーション装置から提供される。ナビゲーション装置から提供された予約信号が受信されると、予約信号によって特徴付けられる所定の時間間隔が、予約信号によって特徴付けられる自動車のために充電装置によって予約され得る。したがって、予約によって特徴付けられる時間間隔の間、充電装置は、予約信号によって特徴付けられる自動車のために予約済みとされ得る。これにより、自動車が充電装置に到着したときに、充電装置がその自動車のために利用可能であり、したがって空いていることが確保され得る。この予約は、充電装置が空くまでこの自動車が充電装置で長時間待機する必要がないことを意味するため、この自動車が、特に時間効率の良い走行経路を走行することが可能となる。これにより、この走行経路は、有利に特に迅速に走行され得る。
【0011】
この記載では、ナビゲーション装置が、選択された充電装置への到着予定時刻を数回、一定の間隔で決定し、その到着予定時刻を充電装置に提供する場合に、さらに有利であることが示されている。これは、ナビゲーション装置が一定時間ごとに更新された到着時刻を決定し、充電装置へ通知することを意味する。これにより、充電装置は、それぞれの充電容量を割り当てる際に、更新されたそれぞれの自動車の到着予定時刻を考慮し得る。これにより、この充電装置は、特に多数の自動車に次々とエネルギー源を充電する、又は充填するために使用され得る。
【0012】
到着予定時刻に応じて充電装置の予約を調整する場合に、特に有利であることがここに示されている。自動車の到着時刻の定期的な更新により到着時刻が変化した場合、更新された到着予定時刻に応じて、充電装置により、さらなる自動車のエネルギー貯蔵装置の充填のそれぞれの放出が許可又は禁止され得る。したがって、一方では、予約に係る自動車がその到着予定時刻に充電装置へ到着したときに、充電装置が自動車のために空いていることが保証され、したがって自動車のエネルギー貯蔵装置の充填が可能であり、他方では、特に多数の自動車が充電装置によってエネルギー源を充填、特に充電が可能とされ得て、それによって充電装置が特に効率的に動作され得る。
【0013】
本発明は、さらに、自動車用の充電装置を動作させる方法に関し、本方法では、自動車の電子計算装置から充電装置によって識別子が受信される。この識別子は、自動車に割り当てられた決済口座を一意に識別する。この識別子は、自動車が充電装置に対して所定の閾値距離よりも近くに配置されているとすぐに、自動車の電子計算機装置から充電装置によって無線で受信される。この方法では、充電装置によって自動車のエネルギー貯蔵装置が充填されることがさらに提供される。このため、充電装置は、自動車のエネルギー貯蔵装置に対してエネルギー源又は電気エネルギーを供給する。自動車のエネルギー貯蔵装置は、特にバッテリ、特に自動車の高電圧バッテリであり、自動車は、特に電気的に駆動され得る。この方法では、充電装置によって、所定の量のエネルギー源又は所定の量の電気エネルギーを自動車に供給、特に、自動車のエネルギー貯蔵装置に充填又は転送することが提供される。この方法では、充填量に応じた額、特に充電装置によって提供される電気エネルギーの所定の量に応じて、決済口座が自動的に課金されることがさらに提供される。したがって、エネルギー貯蔵装置のそれぞれの充填処理に対する自動車の運転手による引き落とし処理のさらなる承認が省略され得る。すなわち、充填処理、特に充電処理は、自動車の運転手にとって特に簡単かつ便利に支払いされ得る。充電装置から自動車のエネルギー貯蔵装置に供給又は転送されるエネルギー源の量を特徴付ける金額は、自動車が充電装置に対して所定の閾値距離よりも接近したと判断されたことに基づいてのみ、承認され得る。したがって、この決済処理は、自動車の運転手と充電装置の運営者との両者にとって、特に簡易、便利、安全であり、かつ信頼できる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、充電装置の可用性が決定され、自動車に対する決定された可用性に応じて、充電装置へのアクセスが許可又は禁止される場合に有利であることが示される。つまり、充電装置が自動車にとって利用可能であると判断された場合には、自動車から充電装置への物理的アクセスが可能となり、一方、充電装置が自動車にとって利用可能でないと判断された場合には、自動車から充電装置への物理的アクセスが阻止され、したがってブロックされる。充電装置への自動車のアクセスが阻止される場合、自動車は、例えば、駐車場に誘導され得る。したがって、充電装置の可用性により、充電装置によってそれぞれの現在時点においてエネルギー源又は電気エネルギーで充電され得る自動車のみが、充電装置へのアクセスを許可される。したがって、充電装置の過剰なアクセスは、有利に回避され得る。
【0015】
ここで、充電装置の既存の予約に関して可用性を確認する場合に特に有利であることが示される。これは、どの期間又はどの複数の期間に渡って充電装置が予約されており、それぞれの期間についてどの車両に対して充電装置が予約されているかを確認するために充電装置が使用されることを意味する。それぞれの自動車が充電装置に到着すると、充電装置は、関連する期間の充電装置の予約があるか否か、したがって充電装置に配置された自動車の充填処理と競合し得るか、又は充電装置が充電装置に配置された自動車に利用可能であるか否かを判断する。自動車の到着の検証は、無線で、好ましくは、例えば、無線リンクを用いて行われる。充電装置に配置された自動車にエネルギー源を充填する可能性に関連する期間に予約が存在すると判断された場合、現在の予約がどの自動車に割り当てられるかが確認される。充電装置に配置されている自動車に予約が割り当てられている場合、充電装置に配置されている自動車は、充電装置へのアクセスが許可される。この許可も無線で行われる。関連する期間と競合する現在の予約が、充電装置に配置された自動車と関連しないと判断された場合、充電装置に配置された自動車は、充電設備へのアクセスを拒否され得る。あるいは、充電装置に配置された自動車は、予約によって示される時間帯の開始まで、充電設備へのアクセスを許可され得る。このようにして、充電装置に配置された自動車のエネルギー貯蔵装置の予約及び充填処理が特に有利な方法で調整され得る。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、充電装置によって自動車に対する予約が受信され、無線送信された識別子が受信されると、予約によって特徴付けられる自動車と識別子によって特徴付けられる自動車とが一致するか否かが判定され、一致すると判定されると、自動車の充電装置へのアクセスが許可される場合に有利であることが示される。これは、充電装置によって、充電装置に所定の閾値距離よりも接近している自動車に対して、自動車によって提供される識別子によって特徴付けられる自動車のための予約が存在することを条件として、充電装置へのアクセスが許可されることを意味する。これにより、予約が行われた自動車には、それぞれの予約時間に充電装置によってエネルギー源、特に電気エネルギーが充填され得る。
【0017】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な実施形態の以下の説明及び図面から明らかになるであろう。本明細書において上述した特徴及び特徴の組み合わせ、ならびに図の説明において後述する特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は図に単独で示した特徴は、それぞれの場合に示した組み合わせだけでなく、本発明の範囲を離れることなく他の組み合わせ又は単独で使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】充電装置からの電気エネルギーによって充電されるエネルギー貯蔵装置を有し、充電装置のために無線送信される識別子を提供し、それによって、自動車に割り当てられ得る決済口座が一意に識別可能となり、決済口座に、充電装置から転送される電気エネルギーの量に応じて充電装置によって課金され得る、充電装置に配置された自動車の概略斜視図である。
図2】充電装置によって自動車のエネルギー貯蔵装置を充填する方法に関するフローチャートである。
図3】自動車用の充電装置の動作方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、自動車10及び充電装置12が示されている。充電装置12と自動車10とは互いに接続可能であり、それによって、箱として模式的に示される自動車10のエネルギー貯蔵装置14が、充電装置12によって充填可能である。エネルギー貯蔵装置14は、好ましくはバッテリとして、特に高電圧バッテリとして設計される。エネルギー貯蔵装置14によって、電気エネルギーを自動車10の電気駆動系に供給可能であり、それによって、自動車10は、エネルギー貯蔵装置14からの電気エネルギーによって電気的に駆動可能である。充電装置12は、電気エネルギーを供給するように構成されており、当該電気エネルギーによって自動車10のエネルギー貯蔵装置14を充電し得る。
【0020】
自動車10は、電子計算装置16を有し、これも本実施形態では箱として模式的に示されている。電子計算装置16は、充電装置12に固有の識別子を無線で提供するように構成されている。特に、電子計算装置16は、自動車10が充電装置12に対して所定の閾値距離を超えて位置していると判定されると、充電装置12のための識別子を提供するように構成されている。充電装置12に対する自動車10のそれぞれの距離は、特に、自動車10と充電装置12との位置比較により、又は近接センサにより決定され得る。この近接センサは、充電装置12の一部又は自動車10の一部であり得る。位置比較のために、電子計算装置16及び充電装置12は、自動車10及び/又は充電装置12のそれぞれの位置を特徴付けるデータを交換し得て、それによって、自動車10と充電装置12との間のそれぞれの距離が、電子計算装置16及び/又は充電装置12により決定され得る。自動車10が充電装置12に対して所定の閾値距離よりも近くに配置されていると判定されると、電子演算装置16によって、充電装置12のための識別子が無線で提供される。この識別子は、自動車10に関連する決済口座を一意に識別する。このように、識別子を受信した結果として、充電装置12に、自動車10に関連する決済口座が通知され得る。充電装置12から自動車10のエネルギー貯蔵装置14へ転送された電気エネルギーの量に相当する金額は、この決済口座に自動的に課金され得る。これは、自動車10のエネルギー貯蔵装置14に供給された電気エネルギー量に相当する額が、識別子によって特定される決済口座から充電装置12によって自動的に引き落され得ることを意味する。これにより、充電装置12から自動車10へ転送された電気エネルギーの量に対する決済処理が、特に簡易かつ迅速に行われる。
【0021】
図2に、充電装置12によって自動車のエネルギー貯蔵装置14を充填する方法に関するフローチャートを示す。自動車10と充電装置12との間の現在の距離が所定の閾値距離未満であると判定されるとすぐに、第1の方法ステップVA1において、自動車10に関連する決済口座を識別する固有の識別子が、無線接続を介して電子計算装置16によって充電装置12に提供される。第2の方法ステップVA2において、自動車10のエネルギー貯蔵装置14によって、充電装置12から所定の量の電気エネルギーが受け取られる。第3の方法ステップVA3において、充電装置12からエネルギー貯蔵装置14に転送された電気エネルギーの量に相当する金額が決定され、識別子によって識別される決済口座から自動的に引き落とされる。この場合、自動車10の運転者による金額の引き落としのための確認は省略され得る。
【0022】
自動車10を出発地点から走行経路に沿って目的地点まで特に時間効率よく移動させることができるようにするために、自動車10は、出発地点から目的時点までの自動車10の経路を決定することができるナビゲーション装置18を有し得る。図中では、このナビゲーション装置18は、同様に模式的に箱で表示されている。特に、エネルギー要求量が自動車10のエネルギー貯蔵装置14の貯蔵量を超える経路の場合、ナビゲーション装置18によって、経路上で充電装置12、特に充電ステーションでの少なくとも1つの充電停車が予定されることが好ましい。この場合、識別子を受信するように構成されている複数の充電装置12のうちの1つで充電停車が提供され得る。さらに、充電停車のために、複数台の充電装置12のうち、充電装置12からエネルギー貯蔵装置14に転送された電気エネルギーの量に相当する額を、識別子によって識別される決済口座に自動的に課金するように構成されている充電装置12が選択され得る。さらに、少なくとも1回の充電停車のために、複数の充電装置12から、自動車10のナビゲーション装置18から自動車10を示す予約を受信するように構成されている充電装置12が選択され得る。この場合、予約、特に予約を示す予約信号は、充電装置12における自動車10の予想到着時間によって予め決められた充電開始時間、及び充電装置12から自動車10のエネルギー蓄積装置14へ所定の量の電気エネルギーを転送するのに必要な予想充電持続時間を特徴付ける。ナビゲーション装置18により自動車10の走行経路を選択した後、選択された充電装置12がナビゲーション装置18により予約され得る。このため、ナビゲーション装置18は、予約を特徴付ける予約信号を充電装置12に提供し得る。充電装置12に提供されたこの予約信号は、特に、充電装置12における自動車10の予想到着時間だけでなく、自動車10のエネルギー貯蔵装置14の要求エネルギー量又は自動車10のエネルギー貯蔵装置14の予想充電時間を特徴付け得る。予約信号を受信した結果、充電装置12は、自動車10の充電装置12への到着予定時刻から、予約信号によって指定された充電時間又は受信した予約信号に応じて決定された予想充電時間を自動車10用に予約し得る。ナビゲーション装置18によって、充電装置12に対して、充電装置12における自動車10のそれぞれの更新された到着予定時刻を特徴付ける更新された予約信号が複数回かつ一定の時間間隔で提供され得る。それぞれの現在の予約信号を受信した結果、充電装置12によって、自動車10のそれぞれの予約が更新された到着予定時刻に調整され得る。このようにして、充電装置12は、自動車10の予約時間の外にある時間帯に、別の自動車のために利用可能とされ得て、これにより、充電装置12に対して、特に有利な利用が達成され得る。
【0023】
識別子の送信は、無線方式で実現する。近距離無線方式(例えば、マイクロ波無線又はBluetooth(登録商標))、長距離無線方式、例えば、移動無線ネットワークによるデータ伝送が利用され得る。近距離無線方式は、好ましくは、自動車10が充電装置12に接近する際に使用される。近距離無線方式は、充電ステーションにおける自動車10の無線に基づく識別に利用され得る。ただし、近距離無線方式は、自動車10と充電装置12との間の距離を検出するためにも使用され得て、その場合、近接センサに置き換えられる。長距離無線方式は、充電装置12を事前に予約しようとする場合に使用され得る。
【0024】
特に、識別子として近距離無線装置の固有の識別子を採用することもできることが望ましい。したがって、充電設備12の予約は、自らの近距離無線装置の固有の識別子によって自身が「正しい」車両であることを識別する専用の自動車10の到着時刻に、ナビゲーション装置18によって携帯電話データネットワークを介して行われることになる。
【0025】
図3に、充電装置12の動作方法のフローチャートを示す。第1の方法ステップVB1において、自動車10に関連する決済口座を一意に識別する無線送信された識別子が、充電装置12によって自動車10の電子計算装置16から受信される。第2の方法ステップVB2において、所定の量の電気エネルギーが充電装置12によって自動車10のエネルギー貯蔵装置14に供給され、したがって、エネルギー貯蔵装置14は、この所定の量の電気エネルギーで充電される。第3の方法ステップVB3において、エネルギー貯蔵装置14に供給された電気エネルギー量に対応する金額が決定され、識別子によって一意に識別される決済口座に、決定された金額が課金される。これにより、自動車10のエネルギー貯蔵装置14の充填処理に対する支払いが、充電装置12によって特に容易かつ便利になる。
【0026】
自動車10が充電装置12に接近した場合、充電装置12によって自動車10に対する充電装置12の可用性が判断され得て、判断された可用性に応じて、自動車10に対する充電装置12へのアクセスが許可され得る、又は禁止され得る。この可用性確認に関連して、充電装置12の予約があるか否か、また、どのような期間に対してであるかが判断され得る。さらに、充電装置12の既存の予約がこの自動車10に割り当てられているか否かが判定され得る。充電装置12に接近する自動車10の関連する充電期間に予約が存在しない、又は、充電装置12に接近する自動車10に既存の予約が割り当てられていると判定された場合、この自動車10は、充電装置12へのアクセスが許可される。充電装置12に接近する自動車10の関連する充電期間に予約が存在し、その予約が充電装置12に接近する自動車とは異なる自動車に割り当てられていると判定された場合、充電装置12に接近する自動車10は、充電装置12へのアクセスが拒否される。特に、充電装置12は、自動車10の予約を受信し、自動車10から識別子を受信すると、予約によって特徴付けられる自動車10と識別子によって特徴付けられる自動車10とが一致するか否かが判定される。一致する場合、充電装置12は、この自動車10のアクセスを許可する。一致しない場合、充電装置12は、この自動車10が充電装置12にアクセスすることを禁止する。
【0027】
自動車10に設置されたナビゲーション装置18は、常に、計画された充電装置12への現在の予想到着時間を決定することができ、それを充電装置12及び/又は上位の電子計算装置、特に、サービスバックエンドとも称してもよいサーバー装置が利用可能とすることができる。さらに、自動車10は、電子計算装置16を備え、電子計算装置16は、無線決済システムの一部であり得て、決済ユニットに接近すると、無線接続を介して、決済口座を認識するため、及びサービス、この場合は充填処理に課金するための固有の識別子を提供する。走行経路に沿った充電停車計画の一環として、どの充電設備12が無線決済システムを介した課金を可能にするかを特徴付ける情報が検索され得る。この場合、無線決済システムによる課金を可能にするこれらの充電装置12の情報は、上位のサーバー装置に格納され得て、上位のサーバー装置によりナビゲーション装置18に提供され得る、及び/又は自動車10に格納され得る。さらに、充電停車計画の一環として、どの充電設備12が無線決済システムを介した事前予約を可能にしているかが知られている。どの充電設備12が無線決済システムを介した事前予約を可能にしているかに関する情報は、上位のサーバー装置に格納され得て、ナビゲーション装置18に提供され得る、及び/又は自動車10に格納され得る。
【0028】
説明した無線決済システムを介した支払いを可能にする充電装置12に対して、戦略的な充電計画なしの突発的充電は、以下のように示すことができる。自動車10が突発的に充電装置12に接近する場合、充電装置12に接近した際に無線送信される固有の識別子によって自動車10は自動的に識別され得て、説明した課金プロセスが決済口座を介して使用され得るため、充填処理の登録、許可及び支払いが、ユーザーとのさらなる対話なしで自動的に行われる。
【0029】
ナビゲーション装置18による走行経路選択時の戦略的な充電計画では、充電処理及び決済処理は、以下のように進められる。無線決済システムによる支払いを可能にする充電装置12について、サーバー装置、特にサービスバックエンドは、対応する充電装置12について無線決済システムによる支払いを自動的にプリセットし、固有の識別子を少なくとも1台の充電装置12のオペレータに送信する。その後、自動車10が充電装置12のための識別子を提供し、自動車10のエネルギー貯蔵装置14が充電装置12によって充填されるとすぐに、自動車10を充電装置12への到着時に固有の識別子によって自動的に識別できるため、充填処理の登録、許可及び支払いは、ユーザーとのさらなる対話なしに自動的に行われる。戦略的な充電計画により、さらに、特定の自動車10のために充電設備12の事前予約を行うことができる。この場合、充電装置12は、自動車10が接近すると同時に、到着した自動車10の予約があるか否か独立して自動的に検出し得る。予約が存在する場合、自動車10に対して充電装置12へのアクセスが許可され得る。この予約のない自動車10には、可用性に基づきこのアクセスが付与され、充電装置12が利用できない場合は、駐車場に誘導させられ得る。
【0030】
ナビゲーション装置18と、上位のサーバー装置と、充電装置12との間のやり取りにより、充電装置12への自動車10の走行における遅延、又は、自動車10の走行経路の当初の決定において決定されたよりも早期の充電装置12への自動車10の到着が、充電装置12に対する自動車10の予約に自動的に適用されるように、動的な予約が実施され得る。これにより、充電装置12の最適な利用、特に信頼性の高い充電計画、及び自動車10の運転者にとって特に有益な充電体験が可能となる。したがって、予約を持つ自動車10が遅れ、30分遅れて到着した場合、この30分の間に他の自動車が充電装置12によって充電され得るので、この充電装置12の特に有利な利用が可能となる。さらに、運転手は渋滞で移動計画が変わっても自身の予約が有効であることを確かめ得るため、特に有利な充電体験が実現され得る。充電装置12は、独立して自動車10の到着を検出し得て、特に予約した充電装置12にそれを誘導し得る。充電装置12は、自動車10の到着を自律的に検知し得て、自動車10の運転者が対話することなく、自動車10の充填処理の登録、許可及び支払いを実行し得る。
図1
図2
図3