(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】筆記用ボール、筆記用ボールの製造方法及び筆記用ボールを備えたボールペン
(51)【国際特許分類】
B43K 1/08 20060101AFI20240725BHJP
B43K 7/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B43K1/08 100
B43K7/00
(21)【出願番号】P 2023563656
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2022042736
(87)【国際公開番号】W WO2023095713
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021192227
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】高山 晃一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-80262(JP,A)
【文献】特開2000-62379(JP,A)
【文献】特開平8-207481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00- 1/12
B43K 5/00- 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を含む第1の硬質成分と、第2の金属を含む第2の硬質成分と、結合成分とを少なくとも含む球体であって、
前記第1の硬質成分が露出した前記球体の最外面である第1の外面と、前記第2の硬質成分が露出した前記第1の外面より内側に凹んだ第2の外面を底面とする凹部と、を有し、前記第1の外面が平滑面を有する、筆記用ボール。
【請求項2】
前記凹部が、前記第2の硬質成分を構成する粒子の粒径に対応した巾寸法を有する、請求項1に記載の筆記用ボール。
【請求項3】
前記第1の外面が第一粗面部を有する、請求項1
に記載の筆記用ボール。
【請求項4】
前記第2の外面が第二粗面部を有する、請求項3に記載の筆記用ボール。
【請求項5】
前記第1の硬質成分が炭化チタン(TiC)であり、前記第2の硬質成分が炭化タングステン(WC)である、請求項1
に記載の筆記用ボール。
【請求項6】
前記結合成分として少なくともニッケルを含む、請求項5に記載の筆記用ボール。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の筆記用ボールがボール座に接するように回転自在に装着されたボールペンチップを備えた、ボールペン。
【請求項8】
第1の金属を含む第1の硬質成分と、第2の金属を含む第2の硬質成分と、結合成分とを少なくとも含む球体を形成する球体形成工程と、
形成された前記球体の表面処理を行う表面処理工程と、
表面処理された前記球体を、前記第2の硬質成分を溶解するが前記第1の硬質成分を溶解しない溶液を用いてエッチングするエッチング工程と、
を含む、筆記用ボールの製造方法。
【請求項9】
製造された前記筆記用ボールが、前記第1の硬質成分が露出した前記球体の最外面である第1の外面と、前記第2の硬質成分が露出した前記第1の外面より内側に凹んだ第2の外面を底面とする凹部とを有し、
前記球体形成工程で用いる前記第2の硬質成分を構成する粒子の粒径を異ならせることにより、製造された前記筆記用ボールの前記凹部の巾寸法を異ならせる、請求項8に記載の筆記用ボールの製造方法。
【請求項10】
前記表面処理工程において、前記球体を平滑面仕上げする、請求項8
に記載の筆記用ボールの製造方法。
【請求項11】
前記表面処理工程において、前記球体に機械的粗面化処理を行う、請求項8
に記載の筆記用ボールの製造方法。
【請求項12】
前記第1の硬質成分及び前記第2の硬質成分の体積比が3:7~7:3の範囲となるように、前記第1の硬質成分及び前記第2の硬質成分の粒子径を調整することにより、前記エッチング工程で形成された凹部の分布状態を調整する、請求項8から11の何れか1項に記載の筆記用ボールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールペンチップに装着される筆記用ボール、筆記用ボールの製造方法及び筆記用ボールを備えたボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールペンチップのボール座に回転自在に装着された筆記用ボールが、紙面に接して回転しながらインキを紙面に供給し筆記が行われる。このような、筆記用ボールでは、長期間使用しても書き味が低下しにくい特性を有することが望まれる。これに対応するため、タングステンカーバイトと、結合成分としてのコバルトを少なくとも含有し、ボール表面から1μmの深さの範囲におけるコバルト原子に対するニッケル原子の割合が0.01重量%以上0.3重量%以下である筆記用ボールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の筆記用ボールでは、コバルトに対するニッケル原子の割合を0.01重量%以上0.3重量%以下にすることで、結合成分であるコバルトの溶出を防ぎ、そこから生ずるタングステンカーバイトの脱落を抑えることができる。これにより、筆記用ボールの表面粗さの増大を抑制することができるので、良好な書き味を長期継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、筆記用ボールの表面の凹凸を大きくすると、インキの載りは良好になり、インキの流出が安定するが、ボールペンチップのボール座の摩耗が大きくなる問題が生じる。一方、ボール表面の凹凸を小さくすると、ボール座の摩耗は小さくなるが、インキの載りは不良となり、インキの流出が安定しないという問題が生じる。更に、ボール表面の凹凸が小さい場合には、焼き付きが発生することもある。特許文献1に記載の筆記用ボールでは、筆記用ボールの表面粗さの増大を抑制することはできるが、ボール座の摩耗の抑制とインキ流出の安定化とを両立させることは困難である。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、ボールペンチップのボール座の摩耗が抑制されるとともに、安定したインキ流出が得られる筆記用ボール、この筆記用ボールの製造方法及びこの筆記用ボールを備えたボールペンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施態様に係る筆記用ボールは、
第1の金属を含む第1の硬質成分と、第2の金属を含む第2の硬質成分と、結合成分とを少なくとも含む球体であって、
前記第1の硬質成分が露出した前記球体の最外面である第1の外面と、前記第2の硬質成分が露出した前記第1の外面より内側に凹んだ第2の外面を底面とする凹部と、を有し、前記第1の外面が平滑面を有する。
【0008】
本発明の1つの実施態様に係る筆記用ボールの製造方法は、
第1の金属を含む第1の硬質成分と、第2の金属を含む第2の硬質成分と、結合成分とを少なくとも含む球体を形成する球体形成工程と、
形成された前記球体の表面処理を行う表面処理工程と、
表面処理された前記球体を、前記第2の硬質成分を溶解するが前記第1の硬質成分を溶解しない溶液を用いてエッチングするエッチング工程と、
を含む。
【0009】
本発明の1つの実施態様に係るボールペンは、
上記の筆記用ボールがボール座に接するように回転自在に装着されたボールペンチップを備える。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明により、ボールペンチップのボール座の摩耗が抑制されるとともに、安定したインキ流出が得られる筆記用ボール、この筆記用ボールの製造方法及びこの筆記用ボールを備えたボールペンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の実施形態に係る筆記用ボールの製造方法の流れを示すフローチャートであって、表面処理工程として、平滑面仕上げのみを行う場合を示す図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る筆記用ボールの製造方法の流れを示すフローチャートであって、表面処理工程として、平滑面仕上げである第1の表面処理工程を行った後に機械的粗面化処理である第2の表面処理工程を行う場合を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に対応した実施例の表面を示す顕微鏡写真(SEM)である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に対応した実施例の表面を示す顕微鏡写真(SEM)である。
【
図6】比較例の表面を示す顕微鏡写真(SEM)である。
【
図7A】第1の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【
図7B】第2の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【
図7C】第3の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(本発明の実施形態に係る筆記用ボールの製造方法の説明)
はじめに、
図1A及び
図1Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る筆記用ボールの製造方法の説明を行う。
図1A及び
図1Bは、本発明の実施形態に係る筆記用ボールの製造方法の流れを示すフローチャートであって、
図1Aは、表面処理工程として、平滑面仕上げのみを行う場合を示し、
図1Bは、表面処理工程として、平滑面仕上げである第1の表面処理工程を行った後に機械的粗面化処理である第2の表面処理工程を行う場合を示す。表面処理工程を除く他の工程においては、
図1A及び
図1Bは同一である。
【0013】
<球体形成工程>
はじめに、筆記用ボールの母体となる球体を形成する球体形成工程を行う。球体は、第1の金属を含む第1の硬質成分と、第2の金属を含む第2の硬質成分と、結合成分とを少なくとも含む。第1の金属としてチタン(Ti)を例示することができ、第1の硬質成分として炭化チタン(TiC)を例示することができる。第2の金属としてタングステン(W)を例示することができ、第2の硬質成分として炭化タングステン(WC)を例示することができる。結合成分として、ニッケル(Ni)を例示することができる。更に、耐食性を向上させるため、クロム(Cr)を含むことが好ましい。
【0014】
上記の金属成分の粉末を混合させて焼結させることにより、筆記ボールの母材となる超硬の球体を形成できる。所定量のTiC粉体、WC粉体、Ni粉体及びCr粉体を混合し、熱プラズマ焼結法、マイクロ波焼結法、ミリ波焼結法等の無加圧焼結法や、ホットプレス焼結法、放電プラズマ焼結法、超高電圧焼結法、熱間等方加圧焼結法、高圧ガス反応焼結法等の加圧焼結法を用いて球体を形成できる。
【0015】
粉末の添加量としては、TiC粉体が8~15WT%程度、WC粉体が80~88%程度、Ni粉体が2~5WT%程度、Cr粉体が2WT%程度である場合を例示できる。このように、炭化タングステン(WC)成分の重量が炭化チタン(TiC)成分の重量の10倍前後のとき、炭化タングステン(WC)成分及び炭化チタン(TiC)成分の体積が近似した値となる。これらの粉末の混合物を焼結することにより、WC-TiC-CrーNi系の超硬の球体が得られる。
【0016】
<表面処理工程>
次に、球体形成工程で形成された球体の表面処理を実施する表面処理工程を行う。表面処理工程では、
図1Aに示すように、平滑面仕上げのみを行う場合と、
図1Bに示すように、平滑面仕上げである第1の表面処理工程を行った後に機械的粗面化処理である第2の表面処理工程を行う場合がある。
【0017】
[平滑面仕上げ]
表面処理工程において、例えば、粒形が比較的小さいダイアモンドパウダーを用いた研磨処理により、球体を平滑面仕上げすることができる。ただしこれに限られるものではなく、その他の既知の任意の方法で平滑面仕上げを行うことができる。このような平滑面仕上げにより、球体の最外面を確実に平滑面にすることができる。この球体から形成された筆記ボールでは、平滑面により、ボール座の摩耗を効果的に抑えることができる。
【0018】
[機械的粗面化処理]
平滑面仕上げである第1の表面処理工程を行った後に実施する第2の表面処理工程において、例えば、粒形が平滑面仕上げより大きいダイアモンドパウダーを用いた研磨処理により、球体に機械的粗面化処理を行うことができる。ただしこれに限られるものではなく、その他の既知の任意の方法で機械的粗面化処を行うことができる。このよう機械的粗面化処理により、球体の最外面に粗面部を形成することができる。この球体から形成された筆記ボールでは、粗面部により、ボール座の焼き付きを抑えながらも、紙面との間の摩擦が高まるので、ボールが回転し易くなり、書き出し性能を高めることができる。
なお、機械的粗面化処理は、平滑面の全てが粗面になるまで処理するのではなく、無数の傷状の凹部が表面に走ったような、平滑面を有する領域と粗面を有する領域とが混在した表面を有することになる。
【0019】
<エッチング工程>
次に、上記のように表面処理された球体をエッチング処理するエッチング工程を行う。エッチングには、第2の硬質成分を溶解するが第1の硬質成分を溶解しない溶液を用いる。例えば、第1の硬質成分が炭化チタン(TiC)で、第2の硬質成分が炭化タングステン(WC)の場合、アルカリ溶液を用いることにより、炭化チタン(TiC)は溶解せず、炭化タングステン(WC)のみを溶解するエッチングを行うことができる。
【0020】
エッチングに用いるアルカリ溶液として、村上試薬などのアルカリ溶液が例示できる。このエッチング工程により、本発明の実施形態に係る筆記用ボールが形成される。
炭化チタン(TiC)の表面に形成された粗面はそのまま維持され、炭化タングステン(WC)の表面に形成された粗面は、エッチング工程により更に深い粗面となる。
【0021】
以上のように、第2の硬質成分を溶解するが第1の硬質成分を溶解しない溶液を用いたエッチング工程により、第1の硬質成分が露出した球体の最外面を維持したまま、第2の硬質成分を溶解させて、最外面より凹んだ凹部を形成できる。第1の硬質成分が露出した最外面により、筆記用ボールが装着されたボールペンチップのボール座の摩耗や焼き付きを抑えることができる。また、凹部にインキを保持することができるので、インキの流出を安定させることができ、ボール座の潤滑にも貢献する。よって、良好な筆記性能を有するとともに、ボール座の長寿命化に貢献する筆記用ボールを確実に製造できる。
なお、上記では、表面処理工程を行った後にエッチング工程を行っているが、これに限られるものではない。逆に、エッチング工程を行った後に表面処理工程を行うこともできる。
【0022】
(本発明の第1の実施形態に係る筆記用ボール)
次に、
図2及び
図3を参照しながら、上記の製造方法で製造された第1の実施形態に係る筆記用ボールの説明を行う。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
図2は、筆記用ボールの断面の顕微鏡写真に基づいて作図された図であり、凹凸が強調して示されている。
図3は、第1の実施形態に対応した実施例の表面を示す顕微鏡写真(SEM/倍率10000倍)である。第1の実施形態に係る筆記用ボール10Aは、
図1Aに示す製造方法に対応し、表面処理工程で平滑面仕上げのみを行って製造された筆記用ボールである。
【0023】
図2に示すように、第1の実施形態に係る筆記用ボール10Aは、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Aと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Aより内側に凹んだ第2の外面4Aを底面とする凹部6Aとを有する。
【0024】
図2において、平滑面仕上げされた最外面の第1の外面2Aは、算術平均高さSa(ISO25178)で、10nm未満、好ましくは5nm未満の表面粗さを有する。また、エッチング工程により、最大高さSz(ISO25178に基づいてZygo社製のNewViewにて測定)で、5nm以上0.5μm以下の範囲で内側に凹んだ凹部6Aが形成されている。凹部6Aの幅寸法としては、0.1~10μm程度を例示できる。凹部6Aの底面を構成する第2の外面4Aは、第1の外面2Aより、5nm以上0.5μm以下の範囲で内側に凹んでいる。
【0025】
図3の顕微鏡写真で、濃い色で示された部分が、最外面である第1の外面2Aを示し、白色で示された部分が、内側に凹んだ第2の外面4Aを示す。上記のように、本実施形態に係る筆記用ボール10Aでは、炭化チタン(TiC)成分及び炭化タングステン成分(WC)の体積が近似しているので、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)が露出した第1の外面2Aと、第2の硬質成分であるタングステン(WC)が露出した第2の外面4Aとがほぼ均等に分布している。筆記用ボール10Aの母材である球体を焼結して形成するとき、TiC粉末、WC粉末、結合成分となるNi粉末等が均等に混合されているので、第1の外面2Aによる最外面の全域に、第2の外面4Aを底面とする凹部6Aが偏りなく点在している。
【0026】
図2、3から明らかなように、第2の外面4Bを底面とする凹部6Aに囲まれた最外面の第1の外面2Aがミクロン単位の巾寸法を有しており、十分な大きさの平滑面がボール座に接触する。これにより、ボール座の摩耗や焼き付きを十分に抑えることができる。それとともに、第2の外面4Bを底面とする凹部6Aがミクロン単位の巾寸法及び深さを有しており、この凹部6Aに十分な量のインキを保持することができる。
【0027】
ここで比較例として、従来のWC-Co-Cr系の筆記用ボールの表面の顕微鏡写真(SEM/倍率10000倍)を
図6に示す。WC-Co-Cr系の筆記用ボールでは、エッチング処理を行っても、全体に一様な凹凸が生じるだけである。このため様々なエッチング処理や表面処理を行っても、一様に生じた凹凸の大きさが変わるだけである。このため、筆記用ボールの表面の凹凸を大きくすると、ボール座の摩耗が大きくなる問題が生じ、凹凸を小さくすると、インキの載りが不良となる問題が生じる。
【0028】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る筆記用ボール10Aは、第1の金属(Ti)を含む第1の硬質成分(TiC)と、第2の金属(W)を含む第2の硬質成分(WC)と、結合成分(Ni)とを少なくとも含む球体であって、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Aと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Aより内側に凹んだ第2の外面4Aを底面とする凹部6Aと、を有する。
【0029】
最外面の弟1の外面2Aにより、筆記用ボール10Aが装着されたボールペンチップのボール座の摩耗や焼き付きを抑えることができる。また、第2の外面4Aを底面とする凹部6Aにインキを保持することができるので、インキの流出を安定させることができ、ボール座の潤滑にも貢献する。よって、ボール座の摩耗が抑制されるとともに、安定したインキ流出が得られる筆記用ボール10Aを提供できる。
【0030】
特に、第1の外面2Aが平滑面である場合には、ボール座の摩耗や焼き付きをより効果的に抑えることができる。
【0031】
第1の硬質成分が炭化チタン(TiC)であり、第2の硬質成分が炭化タングステン(WC)の場合には、例えば、アルカリ溶液でエッチングすることにより、最外面である第1の外面2Aと、最外面より内側に凹んだ第2の外面4Aとを確実に形成することができる。
【0032】
更に、結合成分として少なくともニッケル(ni)を含むので、第1の硬質成分(TiC)及び第2の硬質成分(WC)が強固に結合された強度の高い筆記用ボール10Aが得られる。
ただし、結合成分は上記に限られるものではなく、例えば、コバルト(Co)などが例示できる。
【0033】
(本発明の第2の実施形態に係る筆記用ボール)
次に、
図4及び
図5を参照しながら、上記の製造方法で製造された第1の実施形態に係る筆記用ボールの説明を行う。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
図4は、筆記用ボールの断面の顕微鏡写真に基づいて作図された図であり、凹凸が強調して示されている。
図5は、第2の実施形態に対応した実施例の表面を示す顕微鏡写真(SEM/倍率10000倍)である。第2の実施形態に係る筆記用ボール10Bは、
図1Bに示す製造方法に対応し、表面処理工程で、平滑面仕上げである第1の表面処理工程を行い、その後、機械的粗面化処理である第2の表面処理工程を行って製造された筆記用ボールである。
【0034】
図4に示すように、第2の実施形態に係る筆記用ボール10Bも、第1の硬質成分(TiC)が露出した球体の最外面である第1の外面2Bと、第2の硬質成分(WC)が露出した第1の外面2Bより内側に凹んだ第2の外面4Bを底面とする凹部6Bとを有する。
【0035】
図4において、第1及び第2の表面処理工程が行われた最外面の第1の外面2Bは、平滑面2B1と粗面(以下、「第一粗面部」と称する)2B2とが混在している。更に詳細に述べれば、第1の外面2Bは、平滑面2B1に無数の傷状の凹部(第一粗面部)2B2が表面に走ったような表面性状を有する。平滑面2B1は、算術平均高さSa(ISO25178)で、10nm未満、好ましくは5nm未満の表面粗さを有する。第一粗面部2B2は、最大高さSz(ISO25178に基づいてZygo社製のNewViewにて測定)で、10nm以上5μm以下の範囲の表面粗さを有する。
【0036】
更に、エッチング工程により、最大高さSz(ISO25178に基づいてZygo社製のNewViewにて測定)で、5nm以上0.5μm以下の範囲で内側に凹んだ凹部6Bが形成されている。個々の凹部6Bの幅寸法としては、0.1~10μm程度を例示できる。
凹部6Bの底面を構成する第2の外面4Bは、第1及び第2の表面処理工程で形成された平滑面がエッチング工程により凹んだ非凹凸面4B1と、第1及び第2の表面処理工程で形成された粗面の凹部が、エッチング工程により更に深く凹んだ粗面(以下、「第二粗面部」と称する)4B2とを有する。
【0037】
図4に示すように、非凹凸面4B1の第1の外面2Bの平滑面2B1に対する凹み量をD1とすると、5nm以上0.5μm以下となる。一方、第一粗面部2B2の第1の外面2Bの平滑面2B1に対する凹み量をD2とすると、10nm以上5μm以下となる。
よって、D1 < D2の関係を有する。
これにより、エッチング処理後、必ず凹部6Bの底面に粗面が残るので、第2の外面4Bで保持するインキ量を増やすことができる。更に、エッチング液による溶解で、より凹みの深い第二粗面部4B2が形成されるので、第2の外面4Bでより多くのインキ量を保持することができる。
【0038】
図5の顕微鏡写真で、濃い色で示された部分が、最外面である第1の外面2Bを示し、白色で示された部分が、内側に凹んだ第2の外面4Bを示す。上記と同様に、第1の外面2Bによる最外面の全域に、第2の外面4Bを底面とする凹部6Bが偏りなく点在している。
【0039】
図4、5から明らかなように、第2の外面4Bを底面とする凹部6Bに囲まれた最外面の第1の外面2Bがミクロン単位の巾寸法を有している。よって、粗面である第1の外面2Bにより、ボール座の摩耗や焼き付きを抑えながらも、紙面との間の摩擦が高まるので、ボールが回転し易くなり、書き出し性能を高めることができる。それとともに、第2の外面4Bを底面とする凹部6Bがミクロン単位の巾寸法、深さを有しており、この凹部6Bに十分な量のインキを保持することができる。
【0040】
以上のように、第2の実施形態に係る筆記用ボール10Bも、第1の金属(Ti)を含む第1の硬質成分(WC)と、第2の金属(W)を含む第2の硬質成分(TiC)と、結合成分(Ni)とを少なくとも含む球体であって、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Bと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Bより内側に凹んだ第2の外面4Bを底面とする凹部6Bと、を有する。
【0041】
第2の実施形態でも、上記の第1の実施形態と同様に、最外面の弟1の外面2Bにより、筆記用ボール10Bが装着されたボールペンチップのボール座の摩耗を抑えることができる。また、第2の外面4Bにより、凹部にインキを保持することができるので、インキの流出を安定させることができ、ボール座の潤滑にも貢献し焼き付きを押さえることができる。よって、ボール座の摩耗が抑制されるとともに、安定したインキ流出が得られる筆記用ボール10Bを提供できる。
【0042】
特に、第1の外面10Bが第一粗面部2B2も有する場合には、ボール座の摩耗や焼き付きを抑えながらも、紙面との間の摩擦が高まるので、ボールが回転し易くなり、書き出し性能を高めることができる。
【0043】
(凹部の分布状態)
上記の実施形態では、筆記用ボール10A、10Bの炭化チタン(TiC)成分及び炭化タングステン(WC)成分の体積が近似しており、第1の外面2A、2Bによる最外面及び第2の外面4A、4Bを底面とする凹部6A、6Bがほぼ同等に存在している。ただし、インキの性質や用途によって、第1の外面2A、2Bによる最外面と第2の外面4A、4Bを底面とする凹部6A、6Bとの分布状態を変更することも考えられる。以下に、凹部6A、6Bの分布状態を変更する例について説明する。
【0044】
<粒子径の調整>
上記の実施形態に係る筆記用ボール10A、10Bにおいて、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)及び第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粒子径を調整することにより、エッチング工程で形成された凹部6A、6Bの分布状態を調整することができる。基本的に、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)の粒子径を大きくすれば、第1の外面2A、2Bによる最外面の割合を大きくすることができ、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粒子径を大きくすれば、第2の外面4A、4Bを底面とする凹部6A、6Bの割合を大きくすることができる。
【0045】
ボール座の摩耗の抑制及びインキ流出の安定化を両立させる観点から、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC))の粒子径及び第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粒子径を調整して、炭化チタン(TiC)成分及び炭化タングステン(WC)成分の体積比が3:7~7:3の範囲内にすることが好ましい。これにより、バランスの取れた凹部6A、6Bの分布状態が得られる。その中でも特に、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粒子径を異ならせることにより、凹部の分布状態を効果的に変更して、用途に適した筆記用ボールを提供することができる。
【0046】
<第1~第3の実施例>
次に、実際に第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粒子径を異ならせて試作した第1~第3の実施例の筆記用ボールについて説明する。ここで、
図7Aは、第1の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図であり、
図7Bは、第2の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図であり、
図7Cは、第3の実施例の筆記用ボールの表面の凹凸の状態を示す図である。
【0047】
第1、第2及び第3の実施例の筆記用ボール10A、10C、10Dは、何れも、上記の
図1Aに示す筆記用ボールの製造方法により試作された。具体的には、まず、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)の粉体と、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の粉体と、結合成分であるNi粉体及びCr粉体を混合して焼結させることにより、筆記ボールの母材となる超硬の球体を形成する球体形成工程を行った。
【0048】
このとき、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)については、第1~第3の実施例において同じ粉末を用いている。一方、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)については、第1~第3の実施例において、それぞれ異なる粒径の粉末を用いた。
【0049】
第1の実施例では、粒子径dAが1~2μmの炭化タングステン(WC)の粉末を用いた。第2の実施例では、粒子径dCが第1の実施例より小さい(半分程度の)0.5~1μの炭化タングステン(WC)の粉末を用いた。第3の実施例では、粒子径が第1の実施例より大きい(2倍程度の)2~4μmの粉末を用いた。なお、結合成分であるNi粉体及びCr粉体については、第1~第3の実施例において同じ粉末を用いた。
【0050】
次に、球体形成工程で形成された球体の表面を平滑面仕上げ処理する表面処理工程を行った。
そして、表面処理された球体をアルカリ溶液でエッチング処理するエッチング工程を行った。このエッチング工程により、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)が露出した球体の最外面を維持したまま、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)を溶解させて、最外面より凹んだ凹部を形成した。
【0051】
これにより、
図7Aに示すように、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Aと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Aより内側に凹んだ第2の外面4Aを底面とする凹部6Aとを有する第1の実施例の筆記用ボール10Aが得られた。なお、
図7Aに示す第1の実施例の筆記用ボール10Aは、
図2に示す上記の第1の実施形態に係る筆記用ボール10Aと実質的に同一である。
【0052】
また、
図7Bに示すように、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Cと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Cより内側に凹んだ第2の外面4Cを底面とする凹部6Cとを有する第2の実施例の筆記用ボール10Cが得られた。更に、
図7Cに示すように、第1の硬質成分が露出した球体の最外面である第1の外面2Dと、第2の硬質成分が露出した第1の外面2Dより内側に凹んだ第2の外面4Dを底面とする凹部6Dとを有する第3の実施例の筆記用ボール10Dが得られた。
【0053】
球体形成工程において、炭化チタン(TiC)の粉体と、炭化タングステン(WC)の粉体と、結合成分であるNi粉体及びCr粉体とを均等になるように混合した後、焼結させるの
で、基本的に、隣接する炭化タングステン(WC)の粒子の間に、炭化チタン(TiC)の粒子やNi、Crの粒子が存在する。よって、エッチング溶液により炭化タングステン(WC)の粒子が溶解して形成された凹部6A、6C、6Dは、それぞれ炭化タングステン(WC)の粒子の粒径dA、dC、dDに対応した巾寸法LA、LC、LDを有すると考えられる。
【0054】
第2の実施例の炭化タングステン(WC)の粒子の粒径dCは、第1の実施例の炭化タングステン(WC)の粒子の粒径dAの半分程度なので、第2の実施例の凹部6Cの巾寸法LCは、第1の実施例の凹部6Aの巾寸法LAの半分程度になっている。また、第3の実施例の炭化タングステン(WC)の粒子の粒径dDは、第1の実施例の炭化タングステン(WC)の粒子の粒径dAの2倍程度なので、第3の実施例の凹部6Dの巾寸法LDは、第1の実施例の凹部6Aの巾寸法LAの2倍程度になっている。
【0055】
第1の実施例では、上記のように、最外の平滑面である第1の外面2Aにより、筆記用ボール10Aが装着されたボールペンチップのボール座の摩耗や焼き付きを効果的に抑えることができる。また、第2の外面4Aを底面とする凹部6Aにインキを保持することができるので、インキの流出を安定させることができ、ボール座の潤滑にも貢献する。
【0056】
第2の実施例では、第1の実施例に比べて、より細かな凹凸形状が得られるので、第1の外面2Cである平滑面がより細かく連続している。これにより、ランダムな動きに対して安定した摺動が可能な筆記用ボール10Cを提供できる。
【0057】
第3の実施例では、第1の実施例に比べて、より粗い凹凸形状が得られるので、第1の外面2Dである平滑面の間隔が広くなる。これにより、スパイク効果を発揮して、紙面に食いつくことにより、書き出し性能が向上した筆記用ボール10Dを提供できる。
【0058】
このように、凹部6A、6C、6Dが、第2の硬質成分(炭化タングステン(WC))を構成する粒子の粒径dA、dC、dDに対応した巾寸法LA、LC、LDを有することにより、用途に適した性能を有する筆記用ボール10A、10C、10Dを提供できる。
【0059】
上記のように、第1の金属を含む第1の硬質成分(炭化チタン(TiC))と、第2の金属を含む第2の硬質成分(炭化タングステン(WC))と、結合成分(Ni、Cr)とを少なくとも含む球体を形成する球体形成工程と、形成された球体の表面処理を行う表面処理工程と、表面処理された球体を、第2の硬質成分を溶解するが第1の硬質成分を溶解しない溶液を用いてエッチングするエッチング工程と、を行って、第1~3の実施例の筆記用ボール10A、10C、10Dを試作した。
【0060】
このとき、製造された筆記用ボール10A、10C、10Dが、第1の硬質成分(炭化チタン(TiC))が露出した球体の最外面である第1の外面2A、2C、2Dと、第2の硬質成分(炭化タングステン(WC))が露出した第1の外面2A、2C、2Dより内側に凹んだ第2の外面4A、4C、4Dを底面とする凹部6A、6C、6Dとを有し、球体形成工程で用いる第2の硬質成分(炭化タングステン(WC))を構成する粒子の粒径dA、dC、dDを異ならせることにより、製造された筆記用ボール10A、10C、10Dの凹部6A、6C、6Dの巾寸法LA、LC、LDを異ならせることができる。
【0061】
第2の硬質成分(炭化タングステン(WC))を構成する粒子の粒径dA、dC、dDを異ならせることにより、用途に適した性能を発揮する巾寸法LA、LC、LDの凹部6A、6C、6Dを有する筆記用ボール10A、10C、10Dを確実に製造できる。
【0062】
なお、第1の硬質成分を構成する粒子及び第2の硬質成分を構成する粒子の粒径については、上記の数値に限られるものではなく、その他の任意の粒径の粒子を用いることができる。また、上記のおいては、表面処理工程として、平滑面仕上げ処理のみを行っているが、更に機械的粗面化処理を行った場合にも、同様な作用効果を得ることができる。
【0063】
以上のように、第1の硬質成分(TiC)及び第2の硬質成分(WC)の粒子径を調整することにより、確実に、筆記用ボール10A、10Bの最外面2A、2Bが維持された領域と凹部6A、6Bとの分布状態を調整することができる。これにより、所望の特性を有する筆記用ボール10A、10Bを確実に製造できる。
【0064】
<第1の硬質成分及び第2の硬質成分の割合の調整>
上記のように、炭化タングステン(WC)成分の重量が炭化チタン(TiC)成分の重量の10倍前後のとき、炭化タングステン(WC)成分及び炭化チタン(TiC)成分の体積が近似した値となる。これにより、第2の外面4A、4Bを底面とする凹部6A、Bは、
図3及び
図5に示すような状態で分布している。
【0065】
ここで、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)及び第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の重量比を調整することにより、エッチング工程で形成された凹部6A、6Bの分布状態を調整することができる。基本的に、第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)の重量比を増大させれば、第1の外面2A、2Bによる最外面の割合を大きくすることができ、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の重量比を増大させれば、第2の外面4A、4Bによる凹部6A、6Bの割合を大きくすることができる。
【0066】
ボール座の摩耗の抑制及びインキ流出の安定化を両立させる観点から、第2の硬質成分である炭化タングステン(WC)の重量が第1の硬質成分である炭化チタン(TiC)の重量の7倍から13倍の範囲内に収めることが好ましい。この範囲内に収めることにより、炭化チタン(TiC)成分及び炭化タングステン(WC)成分の体積比が3:7~7:3の範囲内に入り、バランスの取れた凹部6A、6Bの分布状態が得られる。
【0067】
このように、第1の硬質成分(TiC)及び第2の硬質成分(WC)の重量比を調整することによっても、確実に、筆記用ボール10A、10Bの最外面2A、2Bが維持された領域と凹部6A、6Bとの分布状態を調整することができる。これにより、所望の特性を有する筆記用ボール10A、10Bを確実に製造できる。
【0068】
(本実施形態に係る筆記用ボールを備えたボールペン)
上記のような実施形態に係る筆記用ボール10A、10Bは、ボールペンチップのボール座に接するように回転自在に装着されて使用される。このような筆記用ボール10A、10Bが装着されたボールペンチップを備えることにより、良好な筆記性能を有するとともに、ボール座の摩耗や焼き付きの少ない信頼性の高いボールペンを提供できる。
【0069】
本実施形態に係る筆記用ボール10A、10Bは、油性インキをはじめとして、水性インキ、ゲルインキを含むその他の様々なインキを用いたボールペンのボールペンチップに適用することができる。
【0070】
本発明の実施の形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0071】
2A、2B、2C、2D 第1の外面
2B1 平滑面
2B2 第一粗面部
4A、4B、4C、4D 第2の外面
4B1 非凹凸面
4B2 第二粗面部
6A、6B、6C、6D 凹部
10A、10B、10C、10D 筆記用ボール